トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 釣用リール
【発明者】 【氏名】作本 昭則

【要約】 【課題】遠心力ブレーキを備える両軸受リールに関し、ブレーキ力の調節作業を幅広く行なえる機能を具備する。

【解決手段】両軸受リールのスプール6に、ブレーキケース21を設け、その外側にケースカバー22を回動可能に嵌装し、装着部28を設けて、ブレーキシュー23を内装し、該ブレーキシューの当接軸23dにスプリング33を弾装して中心へ向けて付勢し、その先端をブレーキケース21外周から出没可能に成し、ブレーキシューの当接軸の突出側を貫通部c1〜c8にて解放する一方、残るブレーキシューの当接軸の突出側をケースカバーの外周部21bにて閉塞し、ケースカバーを回動して止め位置を変更し、各ブレーキシューの当接軸の先端を解放若しくは閉塞することにより、スプ−ルの回転によりケースカバーの外周から突出する当接軸の数を変更する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 遠心力ブレーキを備えた両軸受リールにおいて、左右両側枠間に軸支したスプールの一側に、同スプールと同芯しつつ一体的に回動する略円盤型のブレーキケースを設けると共に、該ブレーキケースの外側に略リング状のケースカバーを回動可能に嵌装すると共に、一体化したブレーキケースとケースカバーとを左右一側の側枠に凹設形成した円形凹部内に適宜な間隙を介して内装し、上記ブレーキケースとブレーキカバーとの間にブレーキシューの装着部を複数形成して、円周方向に所定の間隔を置いて配置し、これらの装着部にブレーキシューを各々に内装し、該ブレーキシューをブレーキケース側にて保持して、同ブレーキケースの径方向へ摺動可能に案内すると共に、これらブレーキシューに突出形成した当接軸に各々スプリングを弾装して、各ブレーキシューをブレーキケースの中心へ向けて常時弾性的に付勢し、各ブレーキシューに突出形成した当接軸の先端を上記ケースカバーの外周部の複数箇所に開設した各貫通部から出没可能に成し、これらの貫通部は、ケースカバーの外周に沿って所定の間隔、且つ外周方向に所定の幅をもって複数開設し、上記ケースカバーを所定の角度ずつ回動させて所定の止め位置にて位置決めする位置決め手段を設け、同ケースカバーの止め位置を選定することにより、所定のブレーキシュー当接軸の突出側を上記貫通部にて解放すると同時に、残るブレーキシューの当接軸の突出側をケースカバーの外周部にて閉塞し、上記ケースカバーの回動によりその止め位置を変更して、各ブレーキシューの当接軸の突出側を任意のパターンにて解放若しくは閉塞することにより、スプ−ルが回転した際に、ケースカバーの外周から突出して上記円形凹部の内周面に接触するブレーキシューの当接軸の本数及び突出位置を任意に設定できるように構成した遠心力ブレーキを具備する釣用リール。
【請求項2】 上記ケースカバーにおけるブレーキシューの回動軌道に対応する円周に沿って、所定の間隔をおいて所定数の覗き孔を穿設し、この覗き孔の何れかにブレーキシューが覗いた時に、その覗き孔の近傍に記載した数字等の表示に対応する数のブレーキシューがカバー外周面から突出可能な状態となるように構成した請求項1記載の釣用リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、両軸受型の釣用リールに関し、さらに詳しくは、スプールの回転により生じる遠心力を利用して釣糸のバックラッシュを防止する遠心力ブレーキを備える釣用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の両軸受リールの中には、キャスティング直後に生じ易いバックラッシュを防止するために遠心力ブレーキを備えたものがある。これらの遠心力ブレーキは、キャスティングにより糸が繰り出される際において、スプールの回転に伴って生じる遠心力を利用して、スプールの回転に適度なブレーキ力を加え、キャスティングの直後にスプールが高回転する現象を抑えることにより、バックラッシュの発生を防止するものである。上記したような遠心力ブレーキを備える従来の両軸受けリールの内、多くのものはスプールと共に一体的に回転するスプール軸、若しくは該スプール軸に対して一体的に取り付けた部材から外周側へ向けて支軸を突設し、該支軸に略筒型のブレーキシューを嵌装し、このブレーキシューが支軸に沿って摺動するように構成したものが多く用いられている(特開昭57−202234号,特開平11−127744号)。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】上記したように両軸受リールに設けられる遠心力ブレーキは、キャスティング時の糸の繰り出によりスプールが回転することで遠心力を生じ、この遠心力によりブレーキシューが支軸に沿ってスプール外周側へ移動する。そして、支軸の先端側に移動したブレーキシューの先端面が、リールの側枠側の部材に凹設した円形凹部の内周面に接触することにより、ブレーキ力を発生するように構成してある。しかし、上記した如く構成した遠心力ブレーキでは、キャスティングの際にスプールに加わるブレーキ力の特性が常に一定であるため、例えばルアーの重さやポイントまでの飛距離、さらに風の影響等の要素に対応してスプールに加わるブレーキ力を調節することは出来ない。。
【0004】そこで、従来の両軸受リールの一部には、上記したように支軸とブレーキシューとから構成した遠心力ブレーキの数を増減することで、キャスティングの際にスプールに加わるブレーキ力を調整するように構成したものがある。また、支軸にコイルスプリングを嵌装し、このコイルスプリングの圧縮量を可変してブレーキ力を調整するもの、さらには、構造の異なるブレーキシューを複数組み合わせることにより、ブレーキ力の特性を可変できるようにしたもの等が提案されている。しかし、上記したようにブレーキ力を調節できるように構成した両軸受リールの遠心力ブレーキ機構は、ブレーキ力の調節を行なうために、ブレーキシューを外したり、コイルスプリングを交換したりする面倒な作業を行なう必要があり、さらに、ブレーキ力の調整作業を釣り場で行なっている最中に作業中においてコイルスプリング等の細かな部品を無くしてしまうこともあった。
【0005】本発明の課題は、バックラッシュ防止用の遠心力ブレーキを備える両軸受リールに関し、ブレーキ力の調節を広い範囲で簡単に行なえる機能を具備せしめることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明の釣用リールは、遠心力ブレーキを備えた両軸受リールにおいて、左右両側枠間に軸支したスプールの一側に、同スプールと同芯しつつ一体的に回動する略円盤型のブレーキケースを設けると共に、該ブレーキケースの外側に略リング状のケースカバーを回動可能に嵌装すると共に、一体化したブレーキケースとケースカバーとを左右一側の側枠に凹設形成した円形凹部内に適宜な間隙を介して内装し、上記ブレーキケースとブレーキカバーとの間にブレーキシューの装着部を複数形成して、円周方向に所定の間隔を置いて配置し、これらの装着部にブレーキシューを各々に内装し、該ブレーキシューをブレーキケース側にて保持して、同ブレーキケースの径方向へ摺動可能に案内すると共に、これらブレーキシューに突出形成した当接軸に各々スプリングを弾装して、各ブレーキシューをブレーキケースの中心へ向けて常時弾性的に付勢し、各ブレーキシューに突出形成した当接軸の先端を上記ケースカバーの外周部の複数箇所に開設した各貫通部から出没可能に成し、これらの貫通部は、ケースカバーの外周に沿って所定の間隔、且つ外周方向に所定の幅をもって複数開設し、上記ケースカバーを所定の角度ずつ回動させて所定の止め位置にて位置決めする位置決め手段を設け、同ケースカバーの止め位置を選定することにより、所定のブレーキシュー当接軸の突出側を上記貫通部にて解放すると同時に、残るブレーキシューの当接軸の突出側をケースカバーの外周部にて閉塞し、上記ケースカバーの回動によりその止め位置を変更して、各ブレーキシューの当接軸の突出側を任意のパターンにて解放若しくは閉塞することにより、スプ−ルが回転した際に、ケースカバーの外周から突出して上記円形凹部の内周面に接触するブレーキシューの当接軸の本数及び突出位置を任意に設定できるように構成したものである。
【0007】上記した手段によれば、釣用リールが具備するスプールの一側面には、遠心力ブレーキの本体となるブレーキケースと、これに嵌装して一体化するケースカバーと装着してある。上記ブレーキケースは、スプ−ルの側面に設けて同スプ−ルと同芯しつつ一体的に回転する。このブレーキケースの外側には、リング形のケースカバーを嵌装してあり、ブレーキケースに対して回動可能に装着してある。上記ブレーキケースとケースカバーとが一体的に嵌合することより、両者の間に複数の装着部が形成される。これらの装着部は、円周方向に所定の間隔を持って配置してあり、各装着部に内装されるブレーキシューは、ブレーキケース側に保持されて、径方向へ摺動可能に保持される。
【0008】通常時、装着部に内装した各ブレーキシューは、スプリングの弾性によりブレーキケースの中心側へ向けて常時付勢され、同ブレーキシューに突出形成した当接軸はブレーキケースの外周面と同一若しくは若干内側に没入状態した状態を維持する。ブレーキシューの当接軸は、スプ−ルの回転に伴って生じる遠心力により、ブレーキシューが外側に移動することで、スプリングの付勢力に抗してブレーキケースの外周面に開設した各貫通部から突出して円形凹部の内周面に接触する。また、遠心力が減衰すると、上記スプリングの付勢力により再び没入した状態に戻る。
【0009】上記した個々の貫通部は、ケースカバーの外周に沿って各々所定間隔を置いて設けられ、また、各々が所定の幅(円周に沿う長孔状の間隙となる)をもって開設してある。上述したように、ケースカバーはブレーキケースに対して回動可能に嵌合するが、これらの間には、ブレーキケースを所定の角度ずつ回動させて所定の止め位置にて位置決めする位置決め手段を設けてある。よって、ケースカバーを回動させて任意の止め位置にて止めることにより、予め設定しておいた位置にあるブレーキシューの当接軸の突出側を上記貫通部にて解放すると同時に、残るブレーキシューの当接軸の突出側をケースカバーの外周部にて閉塞する。尚、上記した位置決め手段は、ブレーキケースに対してケースカバーを所定角度ずつ回動させて任意の停止位置にて停止し得るものであれば、既存のどのような構造を用いてもよい。
【0010】キャスティングによりスプ−ルが回転すると、遠心力により各ブレーキシューがスプリングの付勢力に抗して各々外側へ移動する。すると、ケースカバー外周の貫通部の範囲に相当するブレーキシューの当接軸は妨げるものがないので、同ケースカバーの外周から突出して円形凹部の内周面に接触してスプ−ルの回転にブレーキをかける。一方、ケースカバー外周の貫通部以外の部分にて先を塞がれたブレーキシューの当接軸は、スプ−ルが回転してもその先端がケースカバーの内周面に当たった状態で停止する。よって、上記した遠心力ブレーキは、ケースカバーを回動して任意の位置にて止めることにより、 ケースカバーの外周から突出して円形凹部の内周面に接触するブレーキシューの当接軸の数と、その突出位置を選択することが可能となる。即ち、上記遠心力ブレーキは、ケースカバーを回動してブレーキケースに対する停止位置を変更することにより、同ケースカバーの外周から突出して円形凹部の内周面に接触するブレーキシューの当接軸の数、即ちスプ−ルに加える摩擦力(ブレーキ力)を増減できる。
【0011】請求項2記載の釣用リールは、上記ケースカバーにおけるブレーキシューの回動軌道に対応する円周に沿って、所定の間隔をおいて所定数の覗き孔を穿設してある。そして、これらの覗き孔の何れかにブレーキシューが覗いた時に、その覗き孔の近傍に記載した数字等の表示に対応する数のブレーキシューがカバー外周面から突出可能な状態となるように構成したものである。この場合、ケースカバーを回転すると、同ケースカバーにおけるブレーキシューの回動軌道上に開設した覗き孔から、各装着部にて保持されるブレーキシューの一部が覗く。そして、上記ケースカバーが所定の停止位置にて停止した際に、各ブレーキシューの内、設定したブレーキシューだけがケースカバー外周に開設した所定の貫通部から突出可能な状態となる。また、これと同時に、上記した如くブレーキシューが覗く覗き孔の近傍には、上記した突出可能なブレーキシューの数に相当する数字等の表示(数字や数を現す記号等)が記載してある。よって、使用者はブレーキシューが覗く覗き孔の近傍に付された数字を視ることにより、作動するブレーキシューの数、即ち回転するスプ−ルの円形凹部の内周面に当接して生じるブレーキ力の強さを段階的に認識することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明を実施した両受け軸型の釣用リールAである。この釣用リールAは、円盤状に形成した左右一対の側枠1aと1bとの間を連結軸2aと脚固定軸2bとを架設することで連結し、左右両側枠1aと1bとがスプール6の幅よりも若干広い間隔を置いて対向した状態で支持してある。上記スプール6の軸芯部の両端部にはスプール軸5を一体に突出形成せしめ、これらスプール軸5の端部を左右両側枠1a,1bの中心部に設けた軸受部で軸受することにより、スプール6を左右両側枠1a,1bの間にて回転自在に支持してある。
【0013】左右両側枠1a,1bの外側には、カバー3a,3bを嵌装し、各々手指を使って弛めることのできる取付ネジによって着脱可能に装着してある。図1にて示すように、釣用リールAの右側は、ドラッグ調整ハンドル4cとハンドル軸4aとを同軸上に突出せしめ、そのハンドル軸4aの先端にハンドル4bをネジ止めして装着してある。また、上記右側の側枠1aと側枠カバー3aとの間に形成れる空間内には、上記ハンドル4b及びハンドル軸4aの回転駆動をスプール軸5に伝達するためのギヤ機構及びドラッグ機構等を内設してあるが、これらの構造の説明は省略する。
【0014】図1にて示すように、ハンドル4bと反対側の側枠1bの内面側には、略輪状に突出する輪状突部11を形成し、該突部11の内側に沿って凹溝12を凹設してある。凹溝12の中心部には、ベアリング13aを内嵌して前記したスプ−ル5の端部を軸受する軸受部13を形成してある。また、上記軸受部13の外周と輪状突部11の内周との間に形成される凹溝12に、スプ−ル6の側面からリング状に突出する遠心力ブレーキaを適宜なクリアランスを介して内装してある。遠心力ブレーキaは、スプール軸5の外周に対して着脱可能に嵌装してある。また、遠心力ブレーキaは、スプール6と一体化して回転するブレーキケース21と、このブレーキケース21に外側から嵌装するケースカバー22と、これらの間に内装するブレーキシュー23と、該ブレーキシュー23に装着するコイルスプリング33とから構成してある。
【0015】図2乃至図4にて示すように、遠心力ブレーキaのブレーキケース21は、略円盤形に形成し、その中心部にスプール軸5の端部に嵌合する装着孔21aを開設してあり、この装着孔21aを同スプール軸5の端部に対して堅めに嵌合することにより、同ブレーキケース21がスプール6と一体的に回転するように構成してある。上記ブレーキケース21の外側面には、ブレーキシュー23を内装する装着部28の片側を構成する装着凹部28aを段部24と外周部との間の円周に沿って等間隔を置いて6箇所に設けてある。また、ブレーキケース21の外周には、ケースカバー22へ向けて突出する周面部21bを外側、即ちケースカバー22側へ向けてリング状に突出形成し、上記各装着部28の中央に対応する位置に挿通部21cを各々切欠形成し、装着部28内に装着したブレーキシュー23の当接軸23dがケースカバー22の外周面部22aがら外側へ出没するように成す。
【0016】図4−aにて示すように、ブレーキケース21は、円盤状に形成し、嵌着孔21aと外周縁との中間に形成した段部24の円周に沿って、同ケース21の外側へ向けて突出する6本の爪片30,30'を一体に形成してある。爪片30は、先端部にケースカバー22の開口部の縁に内側から掛止する掛止爪30aを形成してあり、また、爪片30'は、後述する位置決め用の小凹部と係合する断面半円形の突起30a'を突出形成してある。上記した爪片30及び30'は、円周方向に沿って交互に配置してある。また、各爪片30,30'は少しではあるが弾性的に屈曲する。
【0017】上記ブレーキケース21の外側面には、円弧面27aと両端面27bとからなる6個のガイド部27を円周方向に等間隔を置いて一体に突出形成してある。上記周面部21bの内側から同ブレーキケース21の中芯へ向けて略台形に突出形成してあり、隣り合うガイド部27の両端面27b同士を所定の間隔を置いて平行状に対面する形で形成し、この両端面27bの間に、後述するブレーキシュー23を挟持する形で嵌装する装着凹部28aを形成してある(図4−a)。
【0018】一方、上記ブレーキケース21の外側に嵌装するケースカバー22は、ブレーキケース21の段部24より外側の部分をカバーするように略リング状に形成してある(図5)。ケースカバー22には、上記ブレーキケース21の段部24の円弧と略同径の開口部29を開設すると共に、該開口部29の内周縁に沿って略半円形の小凹部29aを口縁に沿って所定のピッチを置いて多数形成してある。また、ケースカバー22の外周部には、内側、即ちブレーキケース21側へ向けてリング状に突出する外周面部22aを突出形成し、前記したブレーキケース21の周面部21bに適宜なクリアランスを介して嵌合し、同ケースカバー22がブレーキケース21に対して回動するように構成してある(図5)。
【0019】上記ケースカバー22の外周面部22aには、その円周方向に沿って所定の間隔をもって貫通部c1〜c8を切欠形成してある(図3)。この貫通部c1〜c8は、後述する各ブレーキシュー23の当接軸23dを出没させるためのものであって、外周面部22aの円周に沿って各々所定の幅にて切欠形成してある。貫通部c1〜c8の幅は必要に応じて設定してあり、例えばc2やc5のように幅の広いものがあれば、c3,c4,c7のように、幅の狭いものもある。即ち、貫通部c1〜c8の幅は、後述する各ブレーキシュー23の当接軸23dの突出条件に対応して設定してある。
【0020】ケースカバー22の外側表面における外周寄りの部位には、円周方向に所定の間隔を置いて5個の覗き孔b2,b3,b4,b6及びb0を貫通状に穿設してある。覗き孔b2〜b6は、ブレーキケース21内に設けた各装着凹部28aに装着されるブレーキシュー23を覗く孔であり、各覗き孔b2〜b0の近傍には、ブレーキ力設定時に突出可能な状態となるブレーキシュー23の数、即ちブレーキ力の強さの度合を現す数字d2,d3,d4,d6,d0を記載してある。覗き孔b2〜b6は、所定の角度、この実施例の場合、ブレーキケース21の円周に沿って配置した各装着凹部28a同士の角度(60゜)よりも幾分狭い角度、例えば円周方向に48゜ずつの間隔を置いて穿設してある。尚、数字の0が付される覗き孔b0は、覗き孔b3,b4と反対の位置に穿設してある。 また、上記ケースカバー22の外周面部22aの外側の縁部に沿っては滑り止めのギザ41を形成してある。
【0021】上記した如く構成したブレーキケース21に対してケースカバー22を外側から嵌合すると、同ブレーキケース21から突出する各爪片30先端の掛止爪30aがケースカバー22の開口部29の口縁に内側から掛止されると共に、爪片30'の突起30a'が上記開口部29の口縁に沿って凹設した小凹部29aに対して内側から嵌係合する。このように嵌合したブレーキケース21とケースカバー22とは、各爪片30による掛止により回動可能な状態を維持しつつ一体的に連結する。また、ブレーキケース21に対してケースカバー22を回動すると、同ケースカバーが上記各小凹部29aのピッチ(12゜)ずつ回動して所定の止め位置にて停止するように構成してある。
【0022】上記したようにブレーキケース21とケースカバー22とを一体的に連結した状態において、ブレーキケース21の各装着凹部28aと、その外側に被嵌するケースカバー22と、各爪片30,30'との間にブレーキシュー23を内装する装着部28が形成される。図3及び図9にて示すように、各装着部28内に内装するブレーキシュー23は、ブレーキケース21の各爪片30,30'の外周面の円弧と略合致する凹状の円弧面23bと、該円弧面23bの両端部に形成した摺動面23cとを形成したベース23aを有する。このベース23aの中央部には、ブレーキケース21の挿通部21c、及びその外側に嵌合するケースカバー22外周面部22aに切欠した貫通部c1〜c8から出没する当接軸23dを一体に突設してある。
【0023】ブレーキシュー23の当接軸23dの外周には、コイルスプリング33を弾装し、この状態でブレーキケース21とケースカバー22との間に形成される各装着部28内に内装する。装着部28に内装したブレーキシュー23は、隣り合うガイド部27の両端面27b同士の間に嵌入し、ベース23の両摺動面23cを両側から挟持された状態で外周側へ向けて摺動する。また、ブレーキシュー23は、挿通部21cの内面とベース23aとの間に弾装したコイルスプリング33の反発力により、ベース23の円弧面23bが爪片30若しくは30'に対して弾性的に押圧される状態となる(図2,図3)。
【0024】通常時、各装着部28内に内装したブレーキシュー23は、コイルスプリング33の反発力により、背面側の爪片30,30'に対して弾性的に押圧される状態を維持する。また、この状態において、上記ブレーキシュー23の当接軸23dの先端は、ブレーキケース21の周面部21bと面一か、若しくは若干内側に入り込んだ状態で保持される。そして、キャスティングの初期においてスプ−ル6が高回転すると、各装着部28内に内装したブレーキシュー23に遠心力が加わり、コイルスプリング33の反発力に抗して外周側へ摺動する。これにより当接軸23dはブレーキケース21の挿通部21cから突出して、その先端が側板1bに形成した輪状突部11の凹溝12の内周面12aに当接し、高回転するスプ−ル6にブレーキ力をかける(図3,図7,図8,図9)。その後、スプ−ル6の回転がある程度まで低下すると、各ブレーキシュー23に加わるで遠心力が低下し、上記コイルスプリング33の付勢力により元の位置まで没入する。
【0025】上記したようにスプ−ルの回転によりブレーキシュー23を外周側へ移動させるような遠心力が加わると、当接軸23dの先端部がケースカバー22周面部21bの挿通部21cから外側へ突出しようとする。しかし、周面部21bの外側に嵌合するケースカバー22外周面部22aの貫通部c1〜c8以外の部分により閉塞される位置のブレーキシュー23は、遠心力が加わっても、当接軸23dの先端が上記ケースカバー22の外周面部22aに内側から当接するので、ケースカバー22を通過して突出することはなく、ブレーキシューとして機能しない。
【0026】上記したように構成した釣用リールAの遠心力ブレーキaは、ブレーキケース21に対してケースカバー22を回動し、同カバー22の外周面部22aに切欠形成した貫通部c1〜c8の停止位置を選定することにより、ケースカバー22の外周面部22aから突出する当接軸23dの本数と突出パターンを設定することができる。本実施例にて用いた遠心力ブレーキaは、当接軸23dの突出本数が2個,3個,4個,6個,及び0個のパターンで変更できるように構成することにより、スプ−ル6に加わるブレーキ力を5段階に調節できるように構成してある(図3,図6〜図9)。また、ケースカバー22の外面の外周部寄りの位置には、前記したようにケースカバー22の停止位置にて特定のブレーキシュー23が覗く覗き孔b2〜b6,b0が穿設してあり、その覗き孔b2〜b6及びb0の近傍には、突出可能な状態のブレーキシュー23を示す数字d2〜d6,d0が記載してある(図5)。
【0027】ブレーキシュー23の突出パターンを具体的に説明すると、ブレーキケース21に対してケースカバー22を回動して図3にて示す止め位置にて停止した場合は、ブレーキケース21の外周面部22aに切欠した貫通部c8,c2,c5から各々ブレーキシュー23の当接軸23dが突出する状態となり、スプ−ルの回転に伴って、これら3本の当接軸23dの先端部が凹溝12の内周面12aに当接し、高回転するスプ−ル6にブレーキ力を加える。この場合、ケースカバー22の外面に穿設した覗き孔b3の中に、ブレーキシュー23が覗き、さらにその覗き孔b3の近傍にの数字d3が記載されていることから、この設定においては、3本の当接軸23dが突出可能な状態にあることが分かる。また、各ブレーキシュー23は例えば黄色や赤等の目立つ色に着色した合成樹脂を用いると、どの覗き孔b3にブレーキシュー23が覗いているか一目で分かるようになる。
【0028】図7にて示す位置までケースカバー22を回動して停止した場合は、ブレーキケース21の外周面部22aに切欠した貫通部c4,c8の2箇所から2本の当接軸23dが突出可能な状態となり、スプ−ル6の回転によりこれら2本の当接軸23dの先端部が凹溝12の内周面12aに当接して比較的弱いブレーキ力を加える。上記した設定では、ケースカバー22の覗き孔b2の中に、ブレーキシュー23が覗き、さらにその覗き孔b3の近傍にの数字d2が記載されているので、この設定では、2本の当接軸23dが突出可能な状態にあることが分かる。図6にて示す位置までケースカバー22を回転して停止した場合には、全てのブレーキシュー23の当接軸23dがレースカバー22の外周面部22aに内側から当接した状態となり、スプ−ル6が回転した際に同外周面部22aから外側に突出する状態の当接軸23dは1本もない。すなわち、ブレーキ力が全く働かない状態である。この際、上記覗き孔b0の中に、ブレーキシュー23が覗き、同覗き孔b3の近傍にの数字d0が記載されているので、この設定では、突出する当接軸23dはなく、ブレーキ力が全く加わらない状態であることが分かる。
【0029】図8にて示す位置までケースカバー22を回動して停止した場合は、ブレーキケース21の外周面部22aに切欠した貫通部c1,c2,c5,c6の4箇所から当接軸23dが突出可能な状態となり、スプ−ル6の回転時には、これら4本の当接軸23dの先端部が凹溝12の内周面12aに当接し、高回転するスプ−ル6に比較的強いブレーキ力を加える。上記した設定では、ケースカバー22の覗き孔b4の中に、ブレーキシュー23が覗き、さらにその覗き孔b3の近傍にの数字d4が記載されているので、この設定では、4本の当接軸23dが突出可能な状態にあることが分かる。図9にて示す位置までケースカバー22を回動して停止した場合は、ブレーキケース21の外周面部22aに切欠した貫通部c1,C2,c3,c5,c6,c7から全ての当接軸23dが突出可能な状態となり、スプ−ル6の回転により生じる遠心力によりこれら6本の当接軸23dの先端部が凹溝12の内周面12aに当接し、高回転するスプ−ル6に最も強いブレーキ力を加える。また、上記設定では、ケースカバー22の覗き孔b6の中に、ブレーキシュー23が覗き、さらにその覗き孔b3の近傍にの数字d6が記載されているので、この設定では、6本の当接軸23dが突出可能な状態にあることを確認できる。
【0030】上記した釣用リールAの遠心力ブレーキaにおいては、ブレーキケース21に対してケースカバー22を回動して任意の止め位置にて停止させることにより、所定本数のブレーキシュー23の当接軸23dが同ケースカバー22の外周面部22aに切欠した貫通部c1〜c8から設定された本数の(2本、3本、4本、6本、0本)当接軸23dが突出する。また、上記した当接軸23dの突出本数と突出位置とは、各々の突出本数に応じて安定した状態でブレーキ力を作用させるために、図3,図6〜図9にて示すような5種類のパターンにて当接軸23dが突出して、各々の当接軸23dの先端部が凹溝12の内周面12aに当接し、キャスティング直後において高回転するスプ−ル6に適宜な摩擦力、即ちブレーキ力を加え、バックラッシュを効果的に防止することができる。
【0031】さらに、上記したブレーキシュー23の突出本数は、ケースカバー22を回動して任意の止め位置にて停止させることにより、同ケースカバー22に穿設した特定の覗き孔にブレーキシューが覗くと共に、同覗き孔の近傍に付した数字や記号等の記載により、スプ−ル6に加わるブレーキ力の大きさが一目瞭然となり、ブレーキ力の調節を簡単な操作により段階的に調節することができる。すなわち、本発明の釣用リールの遠心力ブレーキにあっては、ブレーキケースとケースカバーとの間に形成する各装着部と、この装着部に内装するブレーキシューの数と円周方向への間隔、及びブレーキケースの外周面部に切欠形成した貫通部の数と円周方向の配置と幅、さらに、ケースカバーの開口に沿って設けたした小凹部と、ブレーキケースの爪片の突起との係合関係により設定されるブレーキケースの最小回動角度と停止位置の各相互関係とを上記した実施例の如く整合することが必要である。
【0032】次ぎに図11,図12にて示す釣用リールの遠心力ブレーキa'の説明をする。遠心力ブレーキa'は、前述した釣用リールAの遠心力ブレーキaと同様に機能するが、各ブレーキシュー23'をブレーキケース21'側にて保持している。また、上記した各ブレーキシュー23'の当接軸23d'は、断面略凹形に形成してある。一方、ケースカバー22'の内面側の外周部に沿っては、断面略小判形の突起fを並設することにより、外周部22a'を形成する。これら外周部22a'の間には貫通部c1〜c9を開設してある。通常時、上記ケースカバー22'の突起fは、各ブレーキシュー23'の当接軸23d'に形成した凹部に嵌合して同ブレーキシュー23'の突出を止める。また、ケースカバー22'を回動して所定の停止位置にて止めると、上記ブレーキシュー23'の当接軸23d'の凹部と、ケースカバー22'外周部22a'の突起fとの嵌合が外れ、所定部位のブレーキシュー23'が上記外周部22a'の間に形成した貫通部c1〜c9から突出可能な状態となる。
【0033】尚、上記した遠心力ブレーキa,a'の調節は、取付ネジ(図示せず)を弛めて左右の側枠1a,1bを分解した状態で行なう。また、上記した実施例の釣用リールAでは、遠心力ブレーキa,a'に設けるブレーキシュー23を6個設けた。しかし、本発明の主旨によれば、遠心力ブレーキに設けるブレーキシューは1個以上何個設けても良い。また、本実施例では、ブレーキ力の強弱を5段階に調節できるように構成したが、ブレーキ力の段階的調節も任意に設定しても良く、例えば、5段以下であっても、5段以上であってもよい。上記ブレーキシューの当接軸に嵌挿するコイルスプリングの弾性力の強弱は、求められる条件に応じて適宜に変更してもよい。また、上記コイルスプリングは強いものから弱いものへ、反対に、弱いものから強いものへと入れ換えて使用したり、若しくは、弱いものと強いものとを混在して使用してもよい。また、当接軸に装着するスプリングはコイルスプリングが好ましいが、ブレーキを中心へ向けて付勢できるスプリング若しくは弾性体であれは、既存のどのようなものを使用してもよい。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように構成した本発明の釣用リールは、キャスティングの直後にスプ−ルが回転すると、遠心力の発生により各ブレーキシューがスブリングによる付勢力に抗して各々外側へ移動する。そして、ケースカバー外周の貫通部の範囲に相当するブレーキシューの当接軸が、同ケースカバーの外周部から突出してリール側枠の円形凹部の内周面に当接し、スプ−ルの回転にブレーキをかける。また、この時、ケースカバー外周の貫通部以外の部位にて先を塞がれたブレーキシューの当接軸は、スプ−ルが回転してもその先端がケースカバーの内周面に当たった状態で停止するのでブレーキ力は発生しない。即ち、本願の釣用リールは、遠心力ブレーキのケースカバーを回動して、ブレーキケースに対する止め位置を変更することにより、同ケースカバーの外周から突出して円形凹部の内周面に当接するブレーキシューの当接軸の数と突出位置をを任意に変更して、スプ−ルに加えるブレーキ力を広い範囲で段階的に調節することができる。しかもその操作は、ケースカバーを回動するだけの簡単な操作にて行なうことができるので、例えばルアーの重さやポイントまでの飛距離、及び風の影響等の要素に対応してスプールに加わるブレーキ力を釣り場にて遠心力ブレーキのブレーキ力を簡単に調節することができる。
【0035】請求項2記載の釣用リールは、ケースカバーの円周に沿って覗き孔を穿設し、この覗き孔の何れかにブレーキシューが覗いた時に、その覗き孔の近傍に記載した数字等の表示に対応する数のブレーキシューがカバー外周面から突出するように構成したものである。よって、使用者は、ケースカバーを回動しつつ、ブレーキシューが覗く覗き孔の近傍に付された数字や記号等の表示を視ることにより、ブレーキ調節により設定されるブレーキ力の大きさを段階的に知ることができる。従って、遠心力ブレーキを調節する際には、ケースカバーを順次回動して、自分の望むブレーキ力が表示される覗き孔にブレーキシューが覗く位置で止めることで、その調節作業を簡単に行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
【出願日】 平成12年2月3日(2000.2.3)
【代理人】 【識別番号】100068607
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 政名 (外3名)
【公開番号】 特開2001−211791(P2001−211791A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−26566(P2000−26566)