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【発明の名称】 釣用リール
【発明者】 【氏名】作本 昭則

【要約】 【課題】遠心力ブレーキを備える両軸受リールに関し、ブレーキ力の調節作業を幅広く行なえる機能を具備することにある。

【解決手段】両軸受リールのスプール6に、ブレーキケース21を設け、該ケースの外側ケースカバー22を回動可能に嵌装して、その間にブレーキシュー23の装着部28を設け、ブレーキシュー23を内装し、該ブレーキシューの当接軸23dをブレーキケース21の外周から出没可能に成し、当接軸と摺動板34との間にコイルスプリング33を弾装し、摺動板をブレーキケースの内周面12aに当接せしめ、内周面に設けた段差面26に沿って摺動板を摺動可能に成し、一体化したブレーキケースとケースカバーとを側枠1a,1bの円形凹部12に内嵌し、ブレーキケースの外周面から突出する当接軸を円形凹部の内周に当接せしめる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 遠心力ブレーキを具備した両軸受リールにおいて、左右両側枠間に軸支したスプールの一側に、同スプールと同芯しつつ一体的に回動する略円盤型のブレーキケースを設けると共に、該ブレーキケースの外側に略リング状のケースカバーを回動可能に嵌装して、これらの間にブレーキシューの装着部を形成し、該装着部にブレーキシューを内装して、ケースカバーと共に回動可能に、且つ、スプールの径方向へ摺動可能に保持し、該ブレーキシューに突出形成した当接軸の先端を上記ブレーキケースの外周面から出没するように構成し、この当接軸の基端部と同軸先端側に嵌挿せしめた摺動板との間にコイルスプリングを弾装し、上記摺動板をブレーキケースに形成した内周面に対し弾性的に当接せしめ、その内周面に沿って、スプールの軸芯からの距離が段階的に変化する段差面を形成し、この段差状の円周に沿って上記摺動板を往復摺動可能に成し、且つ、一体化したブレーキケースとケースカバーとを左右一側の側枠に凹設形成した円形凹部内に適宜な間隙を介して内嵌し、スプ−ル回転時に突出する上記当接軸の先端を円弧状凹部の内周面に圧接可能にして成る釣用リール。
【請求項2】 上記した如く構成した遠心力ブレーキのブレーキシューをブレーキケースの円周に沿って複数個配設して成る請求項1記載の釣用リール。
【請求項3】 遠心力ブレーキのブレーキケースの円周に沿って配設したブレ−キシュ−のコイルスプリングを着脱可能に構成し、弾性力の異なるコイルスプリングと交換可能に構成してなる請求項1又は2記載の釣用リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、両軸受型の釣用リールに関し、さらに詳しくは、スプールの回転により生じる遠心力を利用して釣糸のバックラッシュを防止する遠心力ブレーキを備える釣用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の両軸受リールの中には、キャスティング直後に生じ易いバックラッシュを防止するために遠心力ブレーキを備えたものがある。これらの遠心力ブレーキは、キャスティングにより糸が繰り出される際において、スプールの回転に伴って生じる遠心力を利用して、スプールの回転に適度なブレーキ力を加え、キャスティングの直後にスプールが高回転する現象を抑えることにより、バックラッシュの発生を防止するものである。上記したような遠心力ブレーキを備える従来の両軸受けリールの内、多くのものはスプールと共に一体的に回転するスプール軸、若しくは該スプール軸に対して一体的に取り付けた部材から外周側へ向けて支軸を突設し、該支軸に略筒型のブレーキシューを嵌装し、このブレーキシューが支軸に沿って摺動するように構成したものが多く用いられている(特開昭57−202234号,特開平11−127744号)。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】上記したように両軸受リールに設けられる遠心力ブレーキは、キャスティング時の糸の繰り出によりスプールが回転することで遠心力を生じ、この遠心力によりブレーキシューが支軸に沿ってスプール外周側へ移動する。そして、支軸の先端側に移動したブレーキシューの先端面が、リールの側枠側の部材に凹設した円形凹部の内周面に接触することにより、ブレーキ力を発生するように構成してある。しかし、上記した如く構成した遠心力ブレーキでは、キャスティングの際にスプールに加わるブレーキ力の特性が常に一定であるため、例えばルアーの重さやポイントまでの飛距離、さらに風の影響等の要素に対応してスプールに加わるブレーキ力を調節することは出来ない。
【0004】そこで、従来の両軸受リールの一部には、上記したように支軸とブレーキシューとから構成した遠心力ブレーキの数を増減することで、キャスティングの際にスプールに加わるブレーキ力を調整するように構成したものがある。また、支軸にコイルスプリングを嵌装し、このコイルスプリングの圧縮量を可変してブレーキ力を調整するもの、さらには、構造の異なるブレーキシューを複数組み合わせることにより、ブレーキ力の特性を可変できるようにしたもの等が提案されている。しかし、上記したようにブレーキ力を調節できるように構成した両軸受リールの遠心力ブレーキ機構は、ブレーキ力の調節を遠心力ブレーキのブレーキシューの数を増減することや、コイルスプリングの圧縮量を調節することで行なっているので、ブレーキ力の強弱を調節できるが、その調節できる範囲は限られており、釣り場の状況に応じてブレーキ力の強弱を幅広く調節することが不可能であった。さらに、ブレーキシューの支持が安定していないため、一定のブレーキ力を長期にわたって維持するのが困難であった。
【0005】本発明の課題は、バックラッシュ防止用の遠心力ブレーキを備える両軸受リールに関し、ブレーキ力の調節を幅広く行なえると共に、ブレーキ力を長期にわたり安定して発揮し得る機能を具備せしめることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明の釣用リールは、遠心力ブレーキを具備した両軸受リールにおいて、左右両側枠間に軸支したスプールの一側に、同スプールと同芯しつつ一体的に回動する略円盤型のブレーキケースを設けると共に、該ブレーキケースの外側に略リング状のケースカバーを回動可能に嵌装して、これらの間にブレーキシューの装着部を形成し、該装着部にブレーキシューを内装して、ケースカバーと共に回動可能に、且つ、スプールの径方向へ摺動可能に保持し、該ブレーキシューに突出形成した当接軸の先端を上記ブレーキケースの外周面から出没するように構成し、この当接軸の基端部と同軸先端側に嵌挿せしめた摺動板との間にコイルスプリングを弾装し、上記摺動板をブレーキケースに形成した内周面に対し弾性的に当接せしめ、その内周面に沿って、スプールの軸芯からの距離が段階的に変化する段差面を形成し、この段差状の円周に沿って上記摺動板を往復摺動可能に成し、且つ、一体化したブレーキケースとケースカバーとを左右一側の側枠に凹設形成した円形凹部内に適宜な間隙を介して内嵌し、スプ−ル回転時に突出する上記当接軸の先端を円弧状凹部の内周面に圧接可能にして成るものである。
【0007】上記した手段によれば、スプールの一側面には、同スプールと一体化して回転するブレーキケースが設けてある。このブレーキケースの外側には、リング形のケースカバーを嵌装してあり、ブレーキケースに対して回動自在に装着してある。ブレーキケースとケースカバーとが一体的に嵌合することより、両者の間には装着部が形成され、この装着部内にてブレーキシューを保持している。装着部内のブレーキシューは、ケースカバー側に保持され、同ケースカバーと共に回動する。また、ブレーキシューには当接軸を設けてあり、上記装着部内にて保持されるブレーキシューがスプールの径方向に摺動することで、同当接軸の先端がブレーキケースの外周面から出没する。また、回動可能に嵌合するブレーキケースとケースカバーとは、側枠に形成した円形凹部に内嵌し、スプールの回転に伴って遠心力が生じると、ブレーキケースの外周面からブレーキシューの当接軸の先端が突出して上記円形凹部の内周面に当接する。
【0008】ブレーキシューの当接軸には、コイルスプリングを弾装してある。コイルスプリングは、当接軸の基端と同軸の先端側に嵌装した摺動板との間に圧縮した状態で弾装してある。上記摺動板は、コイルスプリングの反発力により、ブレーキケースの内周面に常時当接している。よって、装着内にて保持されるブレーキシューはコイルスプリングの反発力により常時スプール中心方向(没入方向)へ向けて付勢されている。また、ブレーキケースの内周面には、スプールの軸芯からの距離が段階的に変化する段差面を設けてあり、上記摺動板は、ケースカバーを回動することにより、ブレーキケースの内周面に沿って形成した段差面に沿ってスライドしながら移動する。
【0009】したがって、ケースカバーを任意の方向に回動することで、スプール中心から段差面との距離が段階的に変化し、これに伴って当接軸に弾装したコイルスプリングの圧縮量が増減する。すなわち、ケースカバーを回動することで、コイルスプリングによる反発力が段階的に増減調節できる。例えば、上記ケースカバーを回動してコイルスプリングをより圧縮する方向(ブレーキ力弱)に調節すると、スプールの回転によりブレーキシューに加わる遠心力は、強くなったコイルスプリングの反発力により大きく相殺されて弱められる。その結果、側枠の円形凹部の内周面に対してブレーキシューの当接軸の先端が当接する圧力が軽減され、キャスティング時に加わるブレーキ力が弱めに調節される。
【0010】これと反対に、上記ケースカバーを逆に回動してコイルスプリングの圧縮率を少なくする方向(ブレーキ力強)に調節すると、スプールの回転によりブレーキシューに加わる遠心力は、低減されたコイルスプリングの反発力により相殺される。しかし、その相殺力は、前記した場合よりも少なくなるので、側枠の円形凹部の内周面に対してブレーキシューの当接軸の先端が当接する圧力が低減され、キャスティング時に加わるブレーキ力は強めに調節される。
【0011】請求項2記載の釣用リールは、上記した如く構成した遠心力ブレーキのブレーキシューをブレーキケースの円周に沿って複数個配設してなるものである。この場合、ブレーキケース及びケースカバーの円周に沿ってブレーキシューを複数個配設することかできるので、強いブレーキ力を安定して発生し得る共に、各ブレーキシューによるブレーキ力の強弱調整も、上記した場合と同様にケースカバーを回動させることで一度に可変することができる。
【0012】請求項3記載の釣用リールは、遠心力ブレーキのブレーキケースの円周に沿って配設したブレ−キシュ−のコイルスプリングを着脱可能に構成し、弾性力の異なるコイルスプリングと交換可能に構成したものである。よって、各遠心力ブレーキに装着するコイルスプリングを弾性力の強いものと弱いものとで選択的に交換することや、コイルスプリングを取り外して使用することが可能となり、その結果、ブレーキ力の強弱を幅広い範囲で設定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明を実施した両受け軸型の釣用リールAである。この釣用リールAは、円盤状に形成した左右一対の側枠1aと1bとの間を連結軸2aと脚固定軸2bとを架設することで連結し、左右両側枠1aと1bとがスプール6の幅よりも若干広い間隔を置いて対向した状態で支持してある。上記スプール6の軸芯部の両端部にはスプール軸5を一体に突出形成せしめ、これらスプール軸5の端部を左右両側枠1a,1bの中心部に設けた軸受部で軸受することにより、スプール6を左右両側枠1a,1bの間にて回転自在に支持してある。
【0014】左右両側枠1a,1bの外側には、カバー3a,3bを嵌装し、各々手指を使って弛めることのできる取付ネジによって着脱可能に装着してある。図1にて示すように、釣用リールA側には、ドラッグ調整ハンドル4cとハンドル軸4aとを同軸状に突出せしめ、そのハンドル軸4aの先端にハンドル4aをネジ止めして装着してある。また、上記右側の側枠1aと側枠カバー3aとの間に形成れる空間内には、上記ハンドル4b及びハンドル軸4aの回転駆動をスプール軸5に伝達するためのギヤ機構及びドラッグ機構等を内設してあるが、これらの構造の説明は省略する。
【0015】図1にて示すように、ハンドル4aと反対側の側枠1bの内面側には、略輪状に突出する輪状突部11を形成し、該突部11の内側に沿って凹溝12を凹設してある。凹溝12の中心部には、ベアリング13aを内嵌して前記した軸受部13の端部を軸受する軸受部13を形成してある。また、上記軸受部13の外周と輪状突部11の内周との間に形成される凹溝12に、スプ−ル6の側面からリング状に突出する遠心力ブレーキaを適宜なクリアランスを介して内装してある。遠心力ブレーキaは、スプール軸5の外周に着脱可能に嵌装してある。また、遠心力ブレーキaは、スプール6と一体化して回転するブレーキケース21と、このブレーキケース21に外側から嵌装するケースカバー22と、これらの間に内装するブレーキシュー23と、該ブレーキシュー23に装着するコイルスプリング23とから構成してある。
【0016】遠心力ブレーキaのブレーキケース21は、略円盤形に形成し、その中心部にスプール軸5の端部に嵌合する装着孔21aを開設してあり、この装着孔21aを同スプール軸5の端部に対して堅めに嵌合することにより、同ブレーキケース21がスプール6と一体的に回転するように構成してある。図8にて示すように、ブレーキケース21は、円盤状に形成し、嵌着孔21aと外周縁との中間に形成した段部24の円周に沿って、同ケース2の外側へ向けて突出する4本の爪片30を一体に形成してある。各爪片30は、先端部に掛止爪30aを形成してあり、段部24の円周方向に沿って等間隔を置いて4本配置してある。また、各爪片30は少しではあるが弾性的に屈曲する。
【0017】上記ブレーキケース21の外側の外周縁部の4箇所には、同じ高さの4枚のガイド片25bを一体に突出形成してある。これらのガイド片25bは、ブレーキケース21の外周縁に沿って円周方向へ等間隔を置いて配置し、上記した掛止爪30aと対向するように構成してある(図8−a)。また、ブレーキケース21の外周部における各ガイド片25b同士の間には、段差部26を突出形成してある。段差部26は、後述するブレーキシュー23に装着する摺動板34が摺動可能に当接する部分であり、同ブレーキケース21の中心へ向けて形成してある。即ち、段差部26は、スプール6の軸芯からの距離が段階的に変化する3段の段差面26a,26b,26cを形成し、上記摺動板34がこの段差面26a,26b,26cに当接しつつ往復摺動するように構成してある。
【0018】一方、上記ブレーキケース21の外側に嵌装するケースカバー22は、ブレーキケース21の段部24より外側の部分をカバーするように略リング状に形成してある(図7)。ケースカバー22の内側には、円弧面27aと両端面27bとからなる4個のガイド部27を円周方向に等間隔を置いて一体に突出形成してある。各円弧面27は、ケースカバー22の外周縁より幾分内側に寄った円周に沿って配置し、各ガイド部27の端面27b同士の間に、後述するブレーキシュー23を挟持する形で内装する装着凹部28aを形成してある。尚、各ガイド部27の円弧面27aは、前記したブレーキケース21の各ガイド片25bの内側の円弧面に嵌合して回動する(図4)。
【0019】ケースカバー22の各装着部28の中央部には、ブレーキシュー23の一部を嵌合して摺動可能にガイドするガイド孔28bを開設してある(図7−b)。また、ケースカバー22には、上記ブレーキケース21の段部24の円弧と略同径の開口部29を開設すると共に、該開口部29の内周縁部におけるガイド孔28bと同じ位置に止め片31を各々ブレーキケース21側へ向けて突出形成してある。尚、上記止め片31の外周面は、上記開口部29の円弧と同じ円弧を形成するように形成してある。ケースカバー22は、開口部29の内周縁に沿って略円弧形に形成した位置決め用の小凹部29aを前記ブレーキケース21の段差部26の各段差面26a,26b,26cと対応するように所定の間隔を置いて凹設してある。尚、上記した各小凹部29aは、ブレーキケース21の各爪片30の掛止爪30aと共に設けた小突起30bが弾性的に係合することにより、ブレーキケース21に対するケースカバー22の停止位置を定めることができる。
【0020】上記した如く構成したブレーキケース21には、外側からケースカバー22を嵌装し、ブレーキケース21の各掛止片30先端の掛止爪30aをケースカバー22の開口部29の内周縁に内側から掛止することにより、両者21,22を嵌合し、ブレーキケース21に対してケースカバー22が往復回動する。また、上記した如く結合したブレーキケース21と、ケースカバー22の各装着凹部28aと、止め片31との間には、ブレーキシュー23を内装する装着部28が形成される(図2,図4)。
【0021】図2及び図4,図9にて示すように、各装着部28内に内装するブレーキシュー23は、ケースカバー22の止め片31の外周面の円弧と合致する凹状の円弧面23bと、該円弧面23bの両端部に形成した摺動面23cとを形成したベース23aを有する。ベース23aの中央部には、ブレーキケース21とケースカバー22の外周に沿って形成されるスリット32から出没する当接軸23dを一体に突設してある。また、ベース23aの側面の中央には、ケースカバー22に開設したガイド孔28bに嵌入する突片23eを一体に形成してある。上記当接軸23d先端部には、後述する摺動板34を回転不能且つ軸方向へ摺動可能に嵌装するように、断面略小判状に形成してある。また、上記突片23eと当接軸23dとの間にはコイルスプリング33が入り込む間隙23fを形成してある。
【0022】上記した如く構成したブレーキシュー23は、当接軸23dの外周に適宜な反発力を有するコイルスプリング33を嵌装し、さらに、同当接軸23dの先端部に摺動板34を挿嵌して、同コイルスプリング33の先端部に当接するように装着してある。また、摺動板34は薄い鋼板に略小判形の孔34aを開設して、上記当接軸23dの先端部に挿嵌することにより、当接軸23dに対して回動せずに一定の姿勢を維持するように取り付けてある(図2,図4)。
【0023】上記ブレーキシュー23は、ブレーキケース21とケースカバー22の間に形成される各装着部28の中に各々内装する。ブレーキシュー23を内装する際には、ベース23a部分を嵌挿凹部28a内における両側面、即ち、平行を保って隣り合うガイド部27内の両端面27bの間に嵌入し、上記ベース23a両側の摺動面23cを上記両端面27bの間に挟む形て支持し、ブレーキシュー23が、ブレーキケース21及びケースカバー22の径方向へ摺動するように支持している(図4)。また、ブレーキシュー23のベース23aに突出形成した突片23eをケースカバー22に開設した各ガイド孔28b内に嵌入し、これにより、ブレーキシュー23をガイドしつつ、同ブレーキシュー23の摺動範囲、即ちブレーキケース21の外周面から出没する当接軸23dの移動ストロークに制限している(図1,図2)。
【0024】上記したように装着部28内に嵌入したブレーキシュー23は、当接軸23dの外周にコイルスプリング33嵌装すると共に、該当接軸23の先端部に摺動版34を嵌挿し、これを上記コイルスプリング33の先端側の端部に当接せしめる。また、摺動板34はコイルスプリング33を圧縮した状態にて、ブレーキケース21の外周部に設けた段差部26の段差面26a,26b,26cに内側から当接せしめてある。これにより、摺動板34は、ブレーキシュー23の当接軸23dに嵌挿したコイルスプリング33の反発力を受けて、段差部26の段差面26a,26b,26cに対して内側から弾性的に当接する。また、ブレーキシュー23は、コイルスプリング33の反発力を受けてブレーキケース21の中心側へ向けて付勢され、ベース23aの円弧面23bが止め片31に当接することにより、通常時に当接軸23dの先端が装着部28内に没入した状態となる(図1,図2)。
【0025】上記した如く各装着部28内に内装したブレーキシュー23は、ケースカバー22側、すなわち装着凹部28a内に保持されているため、同ケースカバー22をブレーキケース21に対して回動せしめることにより、ケースカバー22の各ガイド片25aが、ケースカバー22の各止め片31の側面に当接する範囲で往復回動する(図4〜図6)。そして、この回動範囲内でケースカバー22を回動せしめることにより、各ブレーキシュー23に装着した摺動板34が段差面26a,26b,26cに沿って摺動する。既述したように、上記した段差部26の各段差面26a,26b,26c面は、スプール6の軸芯からの距離が段階的に変化するように形成してある。よって、ケースカバー22を回動して、各ブレーキシュー23の摺動板34を段差面26a,26b,26cの何れかの位置にて停止させることにより、コイルスプリング33の圧縮量、即ち同コイルスプリング33の反発力を3段階に調節することができる。また、上記摺動板34の停止位置の変更は、ブレーキケース21の各小突起30bがケースカバー22の小凹部29a内に係合することにより、簡単に操作することができる。
【0026】上記した如く構成した遠心力ブレーキaは、例えば、上記ケースカバー22を一番左まで回動して摺動板34を段差面26cまで移動させた状態においては、コイルスプリング33が強く圧縮された状態となる(図4−a)。上記した如く調節した状態にてキャスティングを行なうと、その直後に高回転するスプール6の回転によりブレーキシュー23に遠心力が加わり、装着部28内を外周へ向けて移動する。しかし、上記した遠心力は、反発力を強く調整したコイルスプリング33の強い反発力により相殺されてかなり弱められる。その結果、側枠1bに設けた凹溝12の内周面12aに対してブレーキシュー23の当接軸23dの先端が当接する圧力は軽減されるが、その軽減率は少なく、キャスティング時に加わるブレーキ力は比較的弱めに調節される。
【0027】上記した場合とは反対にケースカバー22を一番右まで回動して摺動板34を段差面26aまで移動させた状態においては、コイルスプリング33が比較的弱く圧縮された状態となる(図6)。このように調節した状態でキャスティングを行なうと、スプール6の回転によりブレーキシュー23に加わる遠心力は、比較的弱く調整したコイルスプリング33の反発力により相殺されて弱められるものの、その相殺量は上記した場合と比較すると少ない。その結果、凹溝12の内周面12aに対してブレーキシュー23の当接軸23dの先端が当接する圧力が軽減されるものの、その軽減量は少なく、キャスティング時に加わるブレーキ力は上記した場合とは逆に強めに調節される。
【0028】また、ケースカバー22を中間位置、即ち、摺動板34を段差面26bに移動させた状態においては、コイルスプリング33が、上記した2例の丁度中間の位置まで圧縮された状態となる(図5)。このように中間状態に調節した状態にてキャスティングを行なうと、スプール6の回転によりブレーキシュー23に加わる遠心力が、中間位置に調整したコイルスプリング33の反発力により相殺されて弱められる。その結果、側枠1bに設けた凹溝12の内周面12aに対してブレーキシュー23の当接軸23dの先端が当接する圧力が軽減され、キャスティング時に加わるブレーキ力が上記した2例の丁度中間程度に調節される。尚、上記した遠心力ブレーキaの調節は、取付ネジ(図示せず)を弛めて左右の側枠1a,1bを分解した状態で行なう。
【0029】上記した実施例の釣用リールAでは、遠心力ブレーキaに設けるブレーキシュー23を4個設けた。しかし、本発明の主旨によれば、遠心力ブレーキに設けるブレーキシューは1個以上何個設けても良い。また、本実施例では、摺動板が停止する段差面を3段階に設定したが、摺動板の停止位置となる段差面は2段以上何段に設定してもよい。上記ブレーキシューの当接軸に嵌挿するコイルスプリングの弾性力の強弱は、求められる条件に応じて適宜に変更してもよい。また、上記コイルスプリングは強いものから弱いものへ、反対に、弱いものから強いものへと入れ換えて使用したり、若しくは、弱いものと強いものとを混在して使用してもよい。さらに、上記ブレーキシューに装着するコイルスプリングを外してしまうことにより、ブレーキシューに加わるブレーキシューの当接力を強することにより、キャスティング直後のスプールに加わるブレーキ力を最も強く設定することができる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の発明は、スプールの一側面に設けたブレーキケースと、その外側に回動可能に嵌装したケースカバーと、これらの間に形成した装着部に内装したブレーキシューとを備え、上記ブレーキシューに突出形成した当接軸をコイルスプリングによる反発力により常時スプール中心へ向けて付勢すると共に、上記当接軸に嵌挿せしめた摺動板をブレーキケースの内周面に沿って形成した段差面に沿って摺動可能に構成したものであるから、上記ケースカバーを回動するだけで、スプールに加わるブレーキ力の強弱を簡単に調節することができる。また、ブレーキ力の強弱は、段階的に設定することができるので、例えば釣り場の条件に対応してスプールに加わるブレーキ力を広い範囲で細かく調節することが可能となる。
【0031】また、本発明の釣用リールは、ブレーキケースとケースカバーとの間に形成した装着部にブレーキシューを摺動可能に内装し、このブレーキシューの当接軸に嵌装したコイルスプリングを段階的に圧縮することにより、同スプリングによる反発力の強弱を可変するものであり、スプリングの反発力を強くすることにより、遠心力ブレーキのブレーキ力を弱く設定し、同スプリングの反発力を弱くすることにより、ブレーキ力が強くなるように構成したものである。よって、従来の遠心力ブレーキ付きの両軸受リールと比較すると、ブレーキシューを装着部内にて安定して保持することが可能となり、キャスティング時におけるブレーキシューの摺動を円滑に行なえ、さらに、当接軸の先端が円形凹部の内周面に対して常時一定の状態で当接し得るので、安定したブレーキ力を長期にわたり維持することができる。
【0032】請求項2記載の釣用リールは、上記した如く構成した遠心力レーキのブレーキシューをブレーキケースの円周に沿って複数個配設して成るものであるから、キャスティング直後の最もバックラッシュの生じ易い時に、複数の遠心力ブレーキにより強いブレーキ力を安定して加えることができ、バックラッシュを効果的に防止することができる。また、ブレーキシューにの円周に沿って複数個の遠心力ブレーキを配設しても、前記した場合と同様に、ケースカバーを回動することにより、各遠心力ブレーキの強弱を一度に行なうことができる。
【0033】請求項3記載の釣用リールは、ブレーキケースの円周に沿って配設してなる複数の遠心力ブレーキのコイルスプリングを着脱可能に構成し、弾性力の異なるコイルスプリングと交換可能に構成したものである。したがって、ケースカバーを回動することにより、各遠心力ブレーキの強弱を段階的に調節することができると共に、上記コイルスプリングを弾性力の強いものと、弱いものとで選択的に交換することにより、必要に応じてブレーキ力の強弱を幅広い範囲で行なうことができる。また、遠心力ブレーキのブレーキシューに装着したコイルスプリングを取り外して使用することにより、最大のブレーキ力を発揮することができる。
【出願人】 【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
【出願日】 平成12年1月27日(2000.1.27)
【代理人】 【識別番号】100068607
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 政名 (外3名)
【公開番号】 特開2001−204326(P2001−204326A)
【公開日】 平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願番号】 特願2000−19006(P2000−19006)