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【発明の名称】 竿ピースの合わせ部構造及びこの合わせ部構造を有する釣竿
【発明者】 【氏名】友金 清一

【要約】 【課題】継ぎ部において剛性を高めて振動を良好に伝え感度の向上を図る竿ピースの合わせ部構造及びこの合わせ部構造を有する釣竿を提供する。

【解決手段】後竿ピース11と前竿ピース12との合わせ部Aにおいて、前竿ピース12の合わせ部Aを形成するカーボンプリプレグ1,2の間にボロン線を配置する。後竿ピース11の合わせ部Aの表面に金属線を含むプリプレグが配置される。合わせ部Aを形成するカーボンプリプレグの間にボロン線を配置することにより、金属繊維のハイブリッド構造を持つことで剛性を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後竿ピースと前竿ピースとの合わせ部において、前記前竿ピースの合わせ部を形成するプリプレグの間にボロン線を配置したことを特徴とする合わせ部構造。
【請求項2】 後竿ピースと前竿ピースとの合わせ部において、前記前竿ピースの合わせ部を形成するカーボンプリプレグの間にボロン線を配置し、後竿ピースの合わせ部の表面に金属線を含むプリプレグが配置されていることを特徴とする合わせ部構造。
【請求項3】 前記金属線がチタン圧延線であることを特徴とする請求項2に記載の合わせ部構造。
【請求項4】 前記金属線を含むプリプレグは、外側がガラス繊維プリプレグで内側がカーボン繊維プリプレグとの間に金属線が封止されたプリプレグであることを特徴とする請求項2に記載の合わせ部構造。
【請求項5】 前記金属線の方向が竿軸と垂直方向であることを特徴とする請求項2に記載の合わせ部構造。
【請求項6】 前記ボロン線が竿軸方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の合わせ部構造。
【請求項7】 後竿ピースと前竿ピースとの合わせ部において、前記前竿ピースの合わせ部を形成するカーボンプリプレグの間に竿軸方向に配向されたボロン平線を配置し、後竿ピースの合わせ部の表面に竿軸方向と垂直方向に配向されたチタン圧延線を含むプリプレグが配置され、該プリプレグは、外側がガラス繊維プリプレグで内側がカーボン繊維プリプレグであることを特徴とする合わせ部構造。
【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせ部構造を有することを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後竿ピースと前竿ピースとの合わせ部の構造及びこの合わせ部構造を有する釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、釣竿において、前竿ピースと後竿ピースを継ぎ合わせたり、前竿ピースを後竿ピースに延設された合わせ栓で継ぎ合わることで長尺な一本の竿にする方法が採用されている。このような釣竿では、釣竿が撓って曲げ応力が継ぎ合わせ部(合わせ部)に集中した場合、前竿ピースの竿尻端が後竿ピースの内壁に食い込み、或いは後竿ピースに延設された合わせ栓の先端が前竿ピースの内壁に食い込む現象が生ずる。その結果、竿ピースに使用されるプリプレグシートの繊維が折損したり、繊維と含浸樹脂の界面にクラックが発生する等の問題があった。
【0003】そこで、たとえば実用新案登録第2512375号に係る釣竿では、合成樹脂含浸繊維強化プリプレグで形成した竿管の継合部において、太径竿管の先端内側部に第1補強層を形成し、継合した細径竿管の元端部が位置する太径竿管の内側部に第2補強層を形成するとともに、太径竿管の先端外側部に第3補強層を形成する構成が採用されている。
【0004】かかる構成例によれば、細径竿管の元端部が第2補強層に当たっても、前述のように繊維が剥離したり、繊維と含浸樹脂の界面にクラックが発生したり、竿管内面側から破損することが起こり難くなる。また、継合部は、第1補強層と第2補強層と第3補強層で分散補強されているので、軽量となり釣竿のたわみがスムーズになる。そして衝撃負荷や捻じり応力と曲げ応力の組合せ負荷が働いても本体繊維のみならず、補強層からのサケや割れあるいはササクレ等を防止することができ、耐久性あるは信頼性のある高強度の釣竿を実現することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の例をはじめ従来のこの種の多数本継ぎの釣竿では、連設する竿ピース相互間を継ぎ合わせ部において、魚の当たり等の振動を次の竿ピースへ十分且つ確実に伝達し切れないという問題点を抱える。たとえば、8本継ぎであれば、必然的に7か所の継ぎ合わせ部が存在するが、この部分で振動が伝達しにくいため、特に1本ものの釣竿に比べると著しく感度が劣ることになる。
【0006】本発明はかかる実情に鑑み、継ぎ部において剛性を高めて振動を良好に伝え感度の向上を図る竿ピースの合わせ部構造及びこの合わせ部構造を有する釣竿を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明者等は、このような課題に対して、鋭意研究を重ねた結果、継ぎ合わせ部の剛性を高めることにより振動の伝達を的確にし、また金属繊維のハイブリッド構造を持たせることで剛性を高め得ることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0008】すなわち本発明は、(1)、後竿ピースと前竿ピースとの合わせ部において、前記前竿ピースの合わせ部を形成するプリプレグの間にボロン線を配置した合わせ部構造に存する。
【0009】そして、(2)、後竿ピースと前竿ピースとの合わせ部において、前記前竿ピースの合わせ部を形成するカーボンプリプレグの間にボロン線を配置し、後竿ピースの合わせ部の表面に金属線を含むプリプレグが配置されている合わせ部構造に存する。
【0010】そしてまた、(3)、前記金属線がチタン圧延線である上記(2)の合わせ部構造に存する。
【0011】そしてまた、(4)、前記金属線を含むプリプレグは、外側がガラス繊維プリプレグで内側がカーボン繊維プリプレグとの間に金属線が封止されたプリプレグである上記(2)の合わせ部構造に存する。
【0012】そしてまた、(5)、前記金属線の方向が竿軸と垂直方向である上記(2)の合わせ部構造に存する。
【0013】そしてまた、(6)、前記ボロン線が竿軸方向である上記(1)又は(2)の合わせ部構造に存する。
【0014】そしてまた、(7)、後竿ピースと前竿ピースとの合わせ部において、前記前竿ピースの合わせ部を形成するカーボンプリプレグの間に竿軸方向に配向されたボロン平線を配置し、後竿ピースの合わせ部の表面に竿軸方向と垂直方向に配向されたチタン圧延線を含むプリプレグが配置され、該プリプレグは、外側がガラス繊維プリプレグで内側がカーボン繊維プリプレグである合わせ部構造に存する。
【0015】そしてまた、(8)、上記(1)〜(6)のいずれか1の合わせ部構造を有するに存する。
【0016】本発明は、この目的に沿ったものであれば、上記2〜6の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も採用される。
【0017】本発明によれば、前竿ピースの合わせ部を形成するカーボンプリプレグの間にボロン線を配置することにより、振動を良好に伝達すると共に、竿ピース相互間を継ぐ合わせ部の剛性を高めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき、本発明による竿ピースの合わせ部構造及びこの合わせ部構造を有する釣竿の好適な実施の形態を説明する。図1は、この実施形態における竿ピースの合わせ部Aを示している。合わせ部Aにおいて、前後の2本の竿ピース10(後竿ピース11と前竿ピース12)が嵌合して継ぎ合わされる。後竿ピース11及び前竿ピース12は前後に継ぎ合わされるが、各ピースの構成は実質的に同一とする。
【0019】図2は、合わせ部Aの内部構造拡大して説明した図である。ここで竿ピース10は、方向性(配向)の異なるカーボン繊維プリプレグを巻回焼成することでできている。図において、1は竿ピース10を構成する第1のメインパターン層、2は第1のメインパターン層の上に巻回される第2のメインパターン層である。これらの第1のメインパターン層1は、竿軸方向に配向されたカーボン繊維プリプレグでなり、第2のメインパターン層2は、竿軸方向と垂直に配向されたカーボン繊維プリプレグ(フープ層という)でなる。それぞれカーボン繊維プリプレグの巻回は、1〜4プライが通常採用されている。
【0020】次に、図2において、3は前竿ピース12の合わせ部Aを形成する第1のメインパターン層1と第2のメインパターン層2間に配置されたボロン/CFハイブリッド層を示す。また4は前竿ピース12の合わせ部である第2のメインパターン層2の表面に配置された合わせ補助層である。この合わせ補助層4は、カーボン繊維プリプレグの巻回でなり、その繊維方向や長さは竿により異なる。また、5は後竿ピース11の合わせ部Aの表面(最外周)に配置された金属線を含むプリプレグでなる補強シート層である。
【0021】図3は、竿ピース10(後竿ピース11あるいは前竿ピース12)及びプリプレグの巻回方法を示す。竿ピース10は、前述したように、主として第1のメインパターン層1及び第2のメインパターン層1によって基本構成される。ボロン/CFハイブリッド層3は、竿ピース10の後部側に配置される。このボロン/CFハイブリッド層3は、その配向方向が竿軸方向のものを採用する。
【0022】すなわち、ボロン/CFハイブリッド層3のボロン線の列置する方向を竿軸方向とするのである(なお、ボロンを把持するカーボン繊維プリプレグの方向も同じ)。またボロン/CFハイブリッド層3の長さL2 は、合わせ部Aの長さをL0 =20〜100mmとして、L2=L0 +0〜150mm程度とする(図2参照)。また合わせ補助層4も後部側に配置される。
【0023】補強シート層5は、竿ピース10の前部側に配置される。この補強シート層5は、その配向方向が竿軸方向と垂直方向である。すなわち、補強シート層5の金属線の列置する方向を竿軸と垂直方向とするのである(なお、金属線を把持するカーボン繊維プリプレグは同方向のものが、ガラス繊維プリプレグは竿軸方向とそれと垂直方向の混ざったものが採用される)なお、合わせ部Aにおけるシート層5の長さL1 は、合わせ部Aの長さをL0=20〜100mmとしてL1 =L0 +0〜150mmとする(図2参照)。
【0024】ここで図4は、ボロン/CFハイブリッド層3の構成例を示している。このボロン/CFハイブリッド層3は、ボロン線3cを一定のピッチで列置させたものをカーボン繊維プリプレグ3aとガラス繊維プリプレグ3bとで両側から封止することで得られる。また2枚のカーボン繊維プリプレグで両側から封止することや、また同様に2枚のガラス繊維プリプレグで両側から封止することでも得られる。ここでガラス繊維プリプレグの他にガラス以外の有機繊維プリプレグを採用することも可能である。なお、プリプレグを構成する他の有機繊維としては、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維(PBO)あるいはケブラー繊維等が好適である。
【0025】上記構成の如く、前竿ピース12の合わせ部Aを形成するプリプレグの間にボロン線3cを配置することにより、金属線によるハイブリッド構造が形成されることになる。このようなハイブリッド構造を取り入れることにより,後竿ピース11と前竿ピース12の相互間を継ぐ合わせ部Aの剛性を高め、感度の向上を図ることができる。つまり、この例では前竿ピース12から次段の後竿ピース11の口元部へ振動(いわゆる「ヒビキ」)を伝え易くできるものである。そのため、同様な理由で穂先竿から元竿まで順次、的確に振動が伝播し、手元まで振動を逃がさずに確実に伝えることができる。
【0026】図5は、補強シート層5の構成例を示している。ところで、前述したように、前竿ピース12の合わせ部Aのプリプレグの間にボロン線3cが配置され、金属線によるハイブリッド構造となっているので、合わせ部Aの剛性が高まり、竿が撓む際、後竿ピース11を前竿ピース12でこじ開けるように作用する。そのため、後竿ピースを周囲から極力締め付けておくことが必要となり、この補強シート層5はその機能を果たすためのものである。この補強シート層5は、金属線、たとえば、チタン線5cを一定のピッチで列置させたものを、カーボン繊維プリプレグ5aとガラス繊維プリプレグ5bとで、両側から封止することで得られる。
【0027】また2枚のカーボン繊維プリプレグで両側から封止することや、また同様に2枚のガラス繊維プリプレグで両側から封止することでも得られる。チタン線5cは図示のように、例えば、断面円形の金属線を圧延加工し、厚さt=0.01〜1mm、幅w=0.1〜10mmとした金属平線が好ましく採用される。またチタン線5cの巻回するピッチpは、0.1〜10mmが好ましい。 ところで、最近、竿表面に金属光沢を発現させたものが意匠的に好まれているが、この補強シート層は、金属線を配置しているために、その金属光沢が外方から視認される。
【0028】金属光沢を効率よく現出するためには、金属線を含むプリプレグにおいて、外側をガラス繊維プリプレグとし内側をカーボン繊維プリプレグとするとよい。透明性を有するガラス繊維プリプレグを通して金属線の光沢が鮮明に視認されることとなる。このように、より効果的な金属光沢を得るためには、上述のような金属線は円形の金属線を圧延加工した金属平線とすると効果的である。また、金属平線とすることにより、補強シ─ト層5に含有される金属線の量をより少なくすることができると共に、補強シ─ト層5の厚さを薄くすることができるため、竿全体の重量増加を抑えることができる。特に、金属平線としてチタン平線を採用すると軽量化の点から好ましい。
【0029】なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形等が可能である。たとえば、上述した実施形態において用いた具体的数値等は適宜変更可能であり、上記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、この種の釣竿において竿ピースの合わせ部を形成するカーボンプリプレグの間にボロン線を配置することにより、竿ピース相互間を継ぐ合わせ部の剛性を高め、感度の向上を図ることができる。また、後竿ピースの合わせ部表面に金属線を含むプリプレグが配置されているため締めつけ力を増し、後竿ピースがこじ開けられることが防止される。また、金属線を含むプリプレグを、外側がガラス繊維プリプレグで内側がカーボン繊維プリプレグであることとすると、金属光沢を外方から容易に視認できて意匠的な優れたものとなる。
【出願人】 【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
【出願日】 平成11年12月22日(1999.12.22)
【代理人】 【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
【公開番号】 特開2001−178317(P2001−178317A)
【公開日】 平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願番号】 特願平11−365296