| 【発明の名称】 |
擬 餌 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 雅人
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| 【要約】 |
【課題】擬餌を水中で移動させるとき、擬餌に対して進路を急に変更するときの小魚特有の機敏な運動に似た動きを実現させ、それにより大型魚の食欲を刺激して釣果の増大を図る。
【解決手段】擬餌1の側面3の側の肉を頭部4から尾部5まで平面状にそぎ落とし、他方の側面6の側の肉を頭部4から全長のほぼ1/2〜2/3の間に亙って削ぎ落とし、それより後部の形状を、そぎ落としの深さが次第に浅くなって後部の途中で零となる略弓形の湾曲面になるように削ぎ落とした部分7を備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 小鯵などの形状を摸して製作される魚用の釣り具としての擬餌であって、全体的に略魚形状で頭部先端および尾部後端にそれぞれ環体を設け、一側面を全長にわたりほぼ一定の薄い厚みとし、かつ幅方向の両端より中心部にかけて漸次厚みを厚くして中心部が膨らみを帯びるように形成するとともに、他側面を頭部側先端より長さ方向の1/2〜2/3に至る間を、尾部に向けて漸次厚みが厚くなるように上方又は下方から見て略弓形に削ぎ落とし、両側面に魚眼状の目玉模様を付けたことを特徴とする擬餌。 【請求項2】 前記擬餌の削ぎ落とし部を設けた側面において、削ぎ落としの零となる点から尾部後端に至る間に、高さが漸次低くなる横断面略山形部を形成し、該略山形部の幅方向の中心位置に長手方向にほぼ平行でなだらかな丸みのある稜線が形成されるように構成した請求項1記載の擬餌。 【請求項3】 小鯵などの形状を摸して製作される魚用の釣り具としての擬餌であって、擬餌の長手方向に沿って一方の側面の肉を削ぎ落として削ぎ落としの深さを頭部から尾部にかけてほぼ一定の深さとすることにより、前記一方の側面に対しその全長に亙って横断面の形がやや蒲鉾状の膨らみを備える面を形成するとともに、他方の側面の肉を頭部先端から全長のほぼ1/2〜2/3の間に亙って削ぎ落とし、かつその深さが尾部に近づくにつれて次第に浅くなる要領に削ぎ落とすとともに、削ぎ落としの深さが零となる点の近傍で浅くなる割合をやや大きくし、削ぎ落としの深さが零となる点を経て尾部後端に至る間を漸次高さが低くなる横断面略山形に形成し、擬餌全体の外形を丸味を帯びた形状としたことを特徴とする擬餌。 【請求項4】 前記擬餌の削ぎ落とし部を設けた側面において、削ぎ落としの零となる点から尾部後端に至る間に、該区間内の上半部表面と下半部表面とをいずれも比較的平らな面に形成し、その両面が上下から相互に接近してほぼ中央位置で互いに交差する部分に、擬餌の長手方向にほぼ平行でなだらかな丸みのある稜線が形成されるように構成した請求項3記載の擬餌。 【請求項5】 前記側面の削ぎ落とし部における削ぎ落とし角度(α・β)のうちの緩やかな湾曲面の削ぎ落とし角度βを0°〜5°、やや急な湾曲面の削ぎ落とし角度αを10°〜20°の範囲に設定した請求項1〜4のいずれかに記載の擬餌。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、釣り具に関するもので、とくに釣り具の一部としての擬餌に関するものである。 【0002】釣りは、レジャーに付随するスポーツとしての一面が改めて評価されたこともあって、近年急に脚光を浴びてきたもので、特に釣り具としての擬餌に関する研究開発は、その形状あるいは水中における動き等が直接釣果を左右するものとなるため、きわめて盛んに行われている。 【0003】 【従来の技術】図6および図7は従来使用されている擬餌の一種を示し、本体101の前部に釣り糸を結びつける環体102と、後部に釣り針103を取り付ける環体104とを備えている。本体101は、一般に鉛を主成分とする金属などによって製造され、表面には小魚らしい意匠が彩色されるのが普通である。また本体101は、図7に示されるように、その側面105および106は、いずれもほぼ平面に形成され、本体の厚さは全体に亙ってほぼ一定寸法に仕上げられている。したがって、この擬餌の環体102に釣り糸を付けて水中を引き回すと、水中における本体101の両側面の水流に関する抵抗はほぼ等しいから、擬餌を追ってくる大型魚には、擬餌の動きが、さながら水中をほぼ直進状態で遊泳している小魚のように受け取られ、大型魚が後方から釣り針とともに擬餌に食い付きにくることになる。 【0004】上記の従来型の擬餌では、水中における動きが、単に直線に沿って移動しているだけのことで、その間に生き物らしい動きがなく、そのため特に大型魚の食欲をそそるための手段において工夫に欠けるものがあり、釣果の増大を図るために、水中の擬餌に対して積極的に生き物らしい動きを与えることのできる擬餌の開発が行われた。 【0005】実用新案登録第3028531号の擬餌は、まさにその要望に応じて実現したものの一つである。図8および図9はこれを示すもので、擬餌111を構成する本体112は、長手方向に沿って一方の側の肉をそぎ落として側面113を構成している。その削ぎ落としの深さは頭部114から尾部115にかけて、いわゆる魚の調理に関して言い習わされる「中骨を残す程度」の深さとすることにより、側面113の全長に亙ってほぼ偏平な面が構成される。反対側の(他方の)側面116は、頭部114から全長のほぼ1/4〜1/2の間に亙って前記「中骨を残す程度」の深さに削ぎ落として平面部分117を形成し、その延長面としてのそれより後部を、前記そぎ落としの深さが次第に浅くなって後部の途中で零となる曲面118になるように削ぎ落とした形状を備える。図中の符号122は前部環体、124は後部環体、123は釣り針用リングである。 【0006】119は、擬餌の側面116の側であって後部における上半部表面、120は同じく下半部表面で、いずれも平面に形成され、両表面119と120が上下から相互にある角度を保持する状態で接近してほぼ中央位置で互いに交差する部分に、擬餌の長手方向にほぼ平行な稜角線121が形成される。本体の長手方向に沿って各要部における横断面が図10に示される。なお、図10(a)は図8のA−A部、図10(b)は図8のB−B部、図10(c)は図8のC−C部の各横断面を示す。 【0007】前記の構成を備える擬餌111を、環体122に結び付けた釣り糸により、水中において前方矢印Wの方向に引いて移動するときの擬餌111の作動態様を、図11および図12によって説明する。図11は平行水流の中にあって曲面118の部分に平行水流が衝突し、それによって生じる反力が図中のV矢の方向に作用して、擬餌を反時計方向に旋回しようとする力の生じる状態を示している。その結果、水中を曳航される擬餌111に対し、図11の状態から図12の状態に急速に旋回運動を起こさせる。その運動は、遊泳中の魚が進路を急に変更するときの機敏な動作に似ており、生き物らしい動きが与えられるので、それによって魚の食欲を刺激して釣果の増大を図ることが可能となる。 【0008】また、擬餌111の側面116の側であって後部における上半部表面119と、同じく後部における下半部表面120とが交差する部分に形成される稜角線121によって、水中を移動するときの擬餌の進路に対し、主として進路と直交する方向に不安定性を減少して進路に平行な方向に対する安定性が付与され、その結果、やはり擬餌に対して生き物らしい移動の態様を実現させる効果が付加される。なお、図中のA点およびB点は、いずれも互いに異なる側面にあって平行水流の衝撃を強く受ける部位である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】上記実用新案登録済みの従来方式によって製作された擬餌111の狙いとするところは、小魚の群れの中の弱った魚を見つけ、または積極的に小魚の群れに向かって突進してこれらを尾で叩くなどにより弱らせて、弱った魚を捕食するという大型魚族の習性を利用したものである。また、その方法は、釣りに際し擬餌を上下に巻き上げまたは沈める操作で擬餌の動きに変化をつけることにより、大型魚族の捕食欲を刺激して釣り上げるものである。 【0010】この釣り方(ジギング釣法)において、擬餌の動きに変化をつけるための操作と、それによって擬餌に生じる動きの種々の態様について、以下にさらに詳細に説明する。 【0011】後述する本発明に係る擬餌1(図1〜図4参照)の動きに変化をつけるための操作の主体は、水中を移動する擬餌の速度操作にある。その操作と作用(動作)について図13、図14の擬餌の略図によって説明すると、擬餌Pは表面に突出したA点と、裏面にこれと前後方向にずれた位置に突出したB点とが形成されている。これを、水中において矢印Wの進行方向に移動させる場合の擬餌の運動について考える。【0012】(1) 移動が低速のときは、表面に突出したA点に最初の、最も強い水流圧がかかり、裏面のB点までの水流圧は素直に流れるため、図15に示すいわゆる「尻振り運動」が連続して発生する。図15は1個の擬餌P(1)に発生する運動を連続式に図示したものである。 【0013】(2) つぎに移動が次第に高速になるときは、前後の環体を結ぶ線を境にして表面側の方が裏面側より体積が大きくて重いため(図16、図17参照)、最初は表面側の方が下になっていても、次第に高速に引いて行くに従い表面側が上になる。 【0014】(3) その途中の中速時には、表面が上になりあるいは下になって不安定状態を繰り返し、いわゆる「尻振り運動」が連続して発生して、さながら小魚が逃げ惑うような動きが演出され、大型魚族の捕食行動を促進する。 【0015】(4) 最後に、高速時には、最初に削ぎ落としの表面に沿って流れて来た水流圧が表面のA点で最高圧力となり、後方へ流れて行く。裏面の水流圧は素直に流れようとするが、A点に生じる水流圧が大きいため、擬餌本体(ボディ)が押される結果、裏面のB点に作用する水流圧が強くなる。このときはA点が常に上にある結果、B点に当たる水流圧のためにキックする作用が発生し、前方の環体に糸が結ばれているため、これが支点となって後方部の横振れ現象を発生させる。この後方部の横振れ現象を起こしながらさらに速度を上げ続けると、次第に螺旋運動が継続して行われるようになる。 【0016】しかしながら、上記した実用新案登録済みの擬餌111では、上記したジギング釣法を用いてより高度のテクニックで魚を釣ろうとすると、下記のような点で改良すべき余地がある。 【0017】上記の擬餌111では、特に水中において移動するときの水圧の問題がある。つまり、主に大型魚を釣り対象として擬餌111を水中で自由に移動させる場合、水深が深くなるに従い、擬餌111にまとわり付く水流圧力は、擬餌本体の重量の数倍の重さとして、擬餌111の移動を著しく阻害する。水深が例えば200m〜300mと非常に深いところで、擬餌111を移動させようとすると、かなりの体力と労力を要することになる。このため、上記の擬餌111を用いて水深の深いところを泳ぐ魚を釣るのは非常に難しい。 【0018】この発明は上述の点に鑑みなされたもので、擬餌の外形の形状は極力丸みを持たせて、擬餌の吊り上げはもとより、沈下に際しても擬餌周辺にまとわり付く水流を擬餌から切り離す速度の迅速の容易化を図り、擬餌を水中のとくに水深の深い場所において高速で動かすときに水流圧力が周囲に緩やかに逃げることのできる形状に改良することにより、水深の深い場所においてもジギング釣法を高度なテクニックを要すことなく容易に行えるようにし、上記した従来の擬餌と比較して釣果の一層の増大を図ることのできる擬餌を提供することを目的としている。【0019】この発明の他の目的は、水中を移動するときの擬餌の進路に対し、主として進路と直交する方向の不安定性を減少して進路に平行な方向に対する安定性を付与することにより、擬餌に対して生き物らしい移動の態様を実現させ、特に大型魚の関心を関心を引くことにある。 【0020】 【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために請求項1の発明に係る擬餌は、小鯵などの形状を摸して製作される魚用の釣り具としての擬餌であって、全体的に略魚形状で頭部先端および尾部後端にそれぞれ環体を設け、一側面(裏面)を全長にわたりほぼ一定の薄い厚みとし、かつ幅方向の両端より中心部にかけて漸次厚みを厚くして中心部が膨らみを帯びるように形成するとともに、他側面(表面)を頭部側先端より長さ方向の1/2〜2/3に至る間を、尾部に向けて漸次厚みが厚くなるように上方から見て略弓形に削ぎ落とし、両側面(例えば頭部又は尾部)に魚眼状の目玉模様を付けている。 【0021】請求項3の発明に係る擬餌は、小鯵などの形状を摸して製作される魚用の釣り具としての擬餌であって、擬餌の長手方向に沿って一方の側面の肉を削ぎ落として削ぎ落としの深さを頭部から尾部にかけてほぼ一定の深さとすることにより、前記一方の側面に対しその全長に亙って横断面の形がやや蒲鉾状の膨らみを備える面を形成するとともに、他方の側面の肉を頭部先端から全長のほぼ1/2〜2/3の間に亙って削ぎ落とし、かつその深さが尾部に近づくにつれて次第に浅くなる要領に削ぎ落とすとともに、削ぎ落としの深さが零となる点の近傍で浅くなる割合をやや大きくし、削ぎ落としの深さが零となる点を経て尾部後端に至る間を漸次高さが低くなる横断面略山形に形成し、擬餌全体の外形を丸味を帯びた形状としている。 【0022】上記の構成を備える請求項1又は請求項3に記載の擬餌を用いて釣りをするには、削ぎ落とされて肉が薄くなっている頭部側を前部として、その先端(の環体)に釣り糸を結び付け、擬餌の尾部後端(の環体)に釣り針を取り付け、先端の釣り糸を前方(あるいは上方)に向かって引くことにより、水中の擬餌を移動させる。このとき、擬餌の側面を流れる水流のうち、擬餌の全長に亙ってほぼ一定の深さに削ぎ落として蒲鉾状の膨らみを備える側(裏面)を流れる水流はそのまま後方に向かって滑らかに流れ去るが、反対側(表面)を流れる水流は、途中に削ぎ落としの深さが零になる傾斜角のやや大きい湾曲面の介在により、水流が該湾曲面に衝突して流路を押し曲げられることにより、前記反対面側から擬餌の後部を強く押して擬餌に対して旋回力を作用させる結果となり、しかも擬餌の周面が滑らかな丸みをもつ面によって包まれているので、擬餌の推進によって排除される周囲の圧力水が円滑に排除され、その排除の速度はきわめて迅速なので、擬餌に対し魚が進路を急に変更するときの機敏な動作に似た運動を発動させることができ、生き物らしい動きが与えられるので、それによって特に大型魚の食欲を刺激して釣果の増大を図ることが可能となる。 【0023】一方の側面(裏面)を幅方向の中心部にかけて膨らみを帯びるように丸みを付けるとともに、全体的に丸みを帯びた形状にしたことによって、図14に示すように高速で擬餌を移動させるときの、裏面Bポイントのキックするときの水流圧が減少し、滑らかに水流が逃げ、尾部後端位置で水流圧がゼロ(0)になり、水深の深い場所での擬餌の移動が容易にかつスムーズに行える。 【0024】請求項1記載の擬餌において、請求項2に記載のように、前記擬餌の削ぎ落とし部を設けた側面において、削ぎ落としの零となる点から尾部後端に至る間に、高さが漸次低くなる横断面略山形部を形成し、該略山形部の幅方向の中心位置に長手方向にほぼ平行でなだらかな丸みのある稜線が形成されるように構成することができる。 【0025】請求項3記載の擬餌において、請求項4に記載のように、前記擬餌の削ぎ落とし部を設けた側面において、削ぎ落としの零となる点から尾部後端に至る間に、該区間内の上半部表面と下半部表面とをいずれも比較的平らな面に形成し、その両面が上下から相互に接近してほぼ中央位置で互いに交差する部分に、擬餌の長手方向にほぼ平行でなだらかな丸みのある稜線が形成されるように構成することができる。 【0026】請求項2あるいは請求項4に記載のように、擬餌の前記他方の側面であって、削ぎ落としの零となる点から後部の尾部に至る区間の構成として、擬餌の該区間内の上半部表面と下半部表面とをいずれも比較的平らな面に構成して、その両面が上下から相互に接近してほぼ中央位置で互いに交差する部分に、擬餌の長手方向にほぼ平行でなだらかな丸みのある稜線が形成される構成とすることもできる。 【0027】この構成によって、水中を移動するときの擬餌の進路に対し、主として垂直方向の不安定性を減少して進路に平行な方向に対する安定性を付与することができるので、その結果、擬餌に対して生き物らしい移動の態様を実現させる作用が生じる。また、削ぎ落とし部を備えた側面(表面)Aポイントより尾部後端に至る稜線にも丸みを付けたことによって、擬餌が水面(海面)から水底(海底)に向かって沈んでいくときに、沈下螺旋運動が生ずるようになり、魚が食いつく機会が増え、また擬餌の沈下速度がより速くなった。 【0028】請求項5に記載のように、請求項1〜4のいずれかに記載の擬餌において前記側面の削ぎ落とし部における削ぎ落とし角度(α・β)のうちの緩やかな湾曲面の削ぎ落とし角度βを0°〜5°、やや急な湾曲面の削ぎ落とし角度αを10°〜20°の範囲に設定することが好ましい。 【0029】削ぎ落とし部の削ぎ落とし角度β(図3)および削ぎ落とし角度α(図3)ならびにαとβの角度差は大きく(深く)なればなるほど、水流圧が強くなり、擬餌を釣り糸を介して操作したときの動き(動作)も大きくなるが、逆にまとわりつく水流が強くなり、引きおもりが増大するが、請求項5に記載の擬餌によれば、βを0°〜5°(実施例では0°〜3°)、αを10°〜20°(実施例では10°〜15°)の範囲に設定しているので、比較的水深の深い場所において擬餌に必要な動作が確保されるとともに、擬餌に作用する水流の強さが強くなり過ぎることがない。 【0030】 【発明の実施の形態】以下、釣り具の一部としての擬餌に関するこの発明につき実施の形態を示す図面に基づいて説明する。 【0031】図1は本発明の擬餌の実施例を示す側面図、図2は図1の擬餌の反対側の側面図、図3は図1の擬餌の底面図、図4(a)〜(e)は図1のA−A方向矢視断面図、B−B方向矢視断面図、C−C方向矢視断面図、D−D方向矢視断面図、E−E方向矢視断面図である。 【0032】図1〜図4に示すように、擬餌1を構成する本体2は略魚形状からなり、長手方向に沿って一方の側の肉を削ぎ落として一側面(裏面)3を形成している。その削ぎ落としの深さは、頭部4先端から尾部5後端にかけて、いわゆる魚の調理に関して言い習わされる「中骨を残す程度」のほぼ一定の深さとすることにより、側面3の全長に亙って横断面の形がやや蒲鉾状の膨らみを備える面が構成される。いいかえれば、幅方向の両端から中心部にかけて漸次厚みが厚くなるように膨らみを帯びている。 【0033】反対側(他方)の側面(表面)6は、頭部4先端から全長のほぼ1/2(長手方向の中間位置)の間に亙って削ぎ落としの深さが次第に浅くなる要領に上方又は下方から見て図3のように略弓形に湾曲するように削ぎ落としている。削ぎ落とし部7が先端よりAポイント付近に近づくと、削ぎ落とし深さが浅くなる度合いをやや大きく、削ぎ落とし部7の前方部分の傾斜角度βに比して湾曲面7’の傾斜角度αを大きく(急に)している。そして、この削ぎ落とし部7・7’の全体にわたりなだらかな湾曲面を挟んで、頭部4の先端より削ぎ落としの深さが零となる点(Aポイント)を経て後方の尾部5の後端に至る間を、幅方向の中心部に向けて競り上がる滑らかな傾斜面8によって構成した形状を備える。 【0034】この滑らかな傾斜面8は、擬餌1の側面6の側であって後部における上半部表面9と同じく下半部表面10とで構成される部分を備えており、削ぎ落としの深さが零となる点(Aポイント)から両表面9・10が上下から相互にある角度を保持する状態で接近して幅方向のほぼ中央位置で互いに交差する部分に、擬餌の長手方向にほぼ平行でなだらかな丸みのある稜線11が形成されている。この部分は、図4(c)〜図4(e)に示すように、横断面略山形に形成されている。【0035】また、本体2の長手方向に沿って各要部における横断面が図4に示される。図4(a)は図1のA−A部、図4(b)は図1のB−B部、図4(c)は図1のC−C部、図4(d)は図1のD−D部、図4(e)は図1のE−E部の各横断面を示す。図4の各要部の横断面、ならびに特にその一つを取り出して示した図5に明らかなように、擬餌の全周は一様にR1、R2、…などの大小の丸みによって包まれていて、そのため水中を移動するときの抵抗は極力小さくなるように形成されている。なお、頭部4先端に釣り糸を結ぶための環体12を、また尾部5後端に釣り針17を取り付けるための環体14をそれぞれ一体に設けている。さらに、両側面3・6の頭部4に魚眼状の赤色の目玉模様(本例では、プラスチック製シール)13をそれぞれ固着し、裏面3には銀色の光沢色を施し、表面6において傾斜面8の上半部には青色の光沢色を施し、その他の部分には銀色の光沢色を施している。なお、目玉模様13の取付位置は両側面の頭部4に限定するものではなく、例えば頭部4と尾部5の両方に取り付けたり、頭部4あるいは尾部5よりも長手方向の中間位置寄りに取り付けたりすることがある。 【0036】上記の構成を備える擬餌1を、頭部4先端に突設した環体12に結びつけた釣り糸t(図16)により、水中において前方矢印に引いて移動するときの擬餌1の作動態様については、先に図13〜図17を用いて擬餌の水中における作動態様につき、詳細に説明したとおりである。しかし、本発明に係る擬餌1においては従来の擬餌111に比べて、擬餌1を特に水深の深い水中において移動するとき、擬餌1を取り巻く周囲の圧力水が少しでも迅速容易に排除されて擬餌1の諸動作の機敏な速度を阻害することのないように、十分に軽快な動きを生かす構成とされているところが相違している。そのために、上記の擬餌1に発生する諸動作は、遊泳中の小魚が進路を急に変更するときの機敏な動作に一層近づかせることが可能となって生き物らしい動きが与えられ、その結果、特に大型魚の食欲をさらに刺激することができて釣果の一層の増大を図ることが可能となる。 【0037】また、擬餌1の表面6側の削ぎ落とし部7を、全体にわたって上方又は下方より見て湾曲形に、つまり頭部4先端より後方にかけて漸次厚みが厚くなるように削ぎ落とすとともに、長さ方向の1/2の位置(Aポイント)に近づくにつれて厚みが厚くなる度合いが大きくなるようにやや傾斜の急な湾曲面7’に形成している。これに対し、従来の擬餌111(図8・図9参照)では、側面116は、頭部114から全長のほぼ1/4〜1/2の間に亙って前記「中骨を残す程度」の深さに削ぎ落として平面部分117を形成し、その延長面としてのそれより後部を、前記そぎ落としの深さが次第に浅くなって後部の途中で零(0)となる曲面118になるように削ぎ落とした形状を備えている。つまり、本発明の擬餌1における削ぎ落とし部7は長手方向全体にわたって漸次厚みが厚くなるように削ぎ落とし、削ぎ落としの度合いを変化させているが、従来の擬餌111では厚みが一定の平面部分117が削ぎ落とし部の大部分を占め、そのすぐ後方に傾斜角の急な曲面118を連続して設けている。このため、水流圧が大きく作用する水深の深い場所での使用に際し、本発明に係る擬餌1は従来の擬餌111に比べて高度なテクニックを必要とせず、非常に使い易い。 【0038】さらに、擬餌1の側面6の側であって後部における上半部表面9と、同じく後部における下半部表面10とが交差する部分に形成される稜線11によって、水中を移動するときの擬餌1の進路に対し、主として垂直方向の不安定性を減少して進路に平行な方向に対する安定性が付与され、その結果、やはり擬餌1に対して生き物らしい移動の態様を実現させる効果が付加される。 【0039】ところで、上記の本発明に係る擬餌の一実施例について説明したが、本発明は以下のように変形して実施することができる。 【0040】■ 擬餌1の表面6において、Aポイント(図1・図3)を全長の1/2から後方に移動することができ、全長の3/4程度まで移動する場合には擬餌の動作が大きくなっていき、尻振り動作も大きくなっていくが、その分、擬餌の引きおもりが強くなる。一方、Aポイントを全長の1/2の位置より頭部4側(前方)へ近づければ近づけるほど、水流圧が小さくなり、動きがなくなっていく。したがって、結論的には、Aポイント、いいかえれば削ぎ落とし部7(湾曲面7’を含む)は、全長の1/2〜2/3の範囲に形成するのが好ましい。 【0041】■ 削ぎ落とし部7の緩やかな傾斜面の削ぎ落とし角度βおよびこの後方に連続する湾曲面7’の削ぎ落とし角度α(図3)ならびにαとβの角度差は、大きく(深く)なればなるほど、水流圧が強くなり、擬餌1の動き(動作)も大きくなるが、逆にまとわりつく水流が強くなり、引きおもりが増大する。したがって、削ぎ落とし角度βは0°〜5°の範囲で、また削ぎ落とし角度αは10°〜20°の範囲で決定するのが好ましく、実施例ではβを0°〜3°前後に、αを10°〜15°前後に設定している。つまり、実施例では、図3に示すように削ぎ落とし部7の前端部分では平坦に近く(β=0°)、そのやや後方から漸次厚みが厚くなって傾斜が始まって(β=2°〜3°)いる。また、実施例では長さ方向の1/2の位置(Aポイント)に近づくにつれて厚みが厚くなる度合いが大きくなって(α=10°〜15°)やや傾斜の急な湾曲面7’が形成されている。【0042】■ 図4の(e)に示すように、図1のE−E部における横断面の横幅を広くすればするほど、キック力が大きくなり、螺旋運動が起こるまでの時間が短かくなり、移動速度が遅くなるが、引きおもりが増大する。そこで、実施例では、擬餌本体2の全長が123mmで、横幅を12mmにしている。 【0043】■ 図4の(c)に示すように、図1のC−C部における横断面の横幅を広くすればするほど、螺旋運動が起こり易くなるが、広くし過ぎると、動きが安定し過ぎて、変則的(トリッキー)な動きをしなくなり、また沈下速度が遅くなる。そこで、実施例では、擬餌本体2の全長が123mmで、横幅を20mmにしている。 【0044】■ 擬餌の設計に関しては、上記の■〜■に記載した基本構成と動作の関係を考慮し、擬餌を使用する水深、魚種および重量などを考慮に入れて各数値を決定すべきであり、したがって上記実施例に限定するものではない。 【0045】 【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、この発明の擬餌は下記のような効果を備える。 【0046】(1) 請求項1および請求項3に記載の発明では、擬餌の先端(の環体)に釣り糸を結び付け、擬餌の尾部後端(の環体)に釣り針を取り付け、先端の釣り糸を前方(あるいは上方)に向かって引き、水中において移動させるとき、擬餌の側面を流れる水流のうち、擬餌の全長に亙ってほぼ一定の深さに削ぎ落として蒲鉾状の膨らみを備える側(裏面)を流れる水流はそのまま後方に向かって滑らかに流れ去るが、反対側(表面)を流れる水流は、途中に削ぎ落としの深さが零になる湾曲面の介在により、水流が該湾曲面に衝突して流路を押し曲げられることにより、裏面側から擬餌の後部を強く押して擬餌に対して旋回力を作用させる結果となり、しかも擬餌の全周面が滑らかな丸みをもつ面によって包まれているので、擬餌の推進によって排除される周囲の圧力水が円滑に排除され、その排除の速度はきわめて迅速なので、擬餌に対し魚が進路を急に変更するときの機敏な動作に似た運動を発動させることができ、生き物らしい動きが与えられるので、それによって特に大型魚の食欲を刺激して釣果の増大を図ることが可能となる。 【0047】また、裏面を幅方向の中心部にかけて膨らみを帯びるように丸みを付けるとともに、全体的に丸みを帯びた形状にしたことにより、高速で擬餌を移動させるときの、裏面Bポイントのキックするときの水流圧が減少し、滑らかに水流が逃げて尾部後端位置で水流圧がゼロになり、水深の深い場所での擬餌の移動が容易にかつスムーズに行えるようになる。 【0048】(2) 請求項2および請求項4に記載の発明では、水中を移動するときの擬餌の進路に対し、主として垂直方向の不安定性を減少して進路に平行な方向に対する安定性を付与することができるので、その結果、擬餌に対して生き物らしい移動の態様を実現させる作用が生じる。また、削ぎ落とし部を備えた側面(表面)のAポイントより尾部後端に至る稜線にも丸みを付けたことによって、擬餌が水面から水底に向かって沈んでいくときに、沈下螺旋運動が生ずるようになり、魚が食いつく機会が増え、また擬餌の沈下速度がより速くなる。 【0049】(3) 請求項5に記載の発明では、削ぎ落とし部の緩やかな湾曲面の削ぎ落とし角度βを0°〜5°、やや急な湾曲面の削ぎ落とし角度αを10°〜20°の範囲に設定したので、比較的水深の深い場所において擬餌に必要な動作が確保されるとともに、擬餌に作用する水流の強さが強くなり過ぎることもない。 |
| 【出願人】 |
【識別番号】596027955 【氏名又は名称】伊藤 雅人
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| 【出願日】 |
平成11年12月24日(1999.12.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085291 【弁理士】 【氏名又は名称】鳥巣 実 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−178312(P2001−178312A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月3日(2001.7.3) |
| 【出願番号】 |
特願平11−367510 |
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