| 【発明の名称】 |
藻類育成具及び藻類育成具を利用した人工藻場 |
| 【発明者】 |
【氏名】籏山 宏
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| 【要約】 |
【課題】潮流による影響や食害のおそれがなく、確実に藻類を繁茂させる。
【解決手段】藻類育成具1は、塊状体2と、塊状体2に結合される化繊ロープ3とからなる。塊状体2は、中心に密封される空気室4を有してボール状に編み込まれる繊維状の廃プラスチックの集合で、ここには、藻類の胞子を強制的に着床させた廃プラスチックの着床片5,5・・が複数個混入されている。又、化繊ロープ3は、両端を塊状体2に結束して塊状体2からリング状に垂下している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 藻類の胞子の着床片を混入させた繊維状の廃プラスチックにより形成される塊状体と、その塊状体に結合される紐状の係留体と、前記塊状体に内設又は前記係留体に結合されるフロートとからなる藻類育成具。 【請求項2】 藻類の胞子の着床片を混入させた小片の廃プラスチックにより形成される塊状体と、その塊状体に結合される紐状の係留体と、前記塊状体に内設又は前記係留体に結合されるフロートとからなる藻類育成具。 【請求項3】 ベースの表面に、請求項1又は2に記載の藻類育成具の係留体を掛止してなる人工藻場。 【請求項4】 ベースが、ガラスカレットを骨材としたコンクリート製である請求項3に記載の人工藻場。 【請求項5】 ベースが、重量物の周囲にガラス塊又はセラミック塊を被覆させたものである請求項3に記載の人工藻場。 【請求項6】 ベースの少なくとも表層がポーラス状である請求項3乃至5のいずれかに記載の人工藻場。 【請求項7】 ベースの下部が逆円錐状に形成されている請求項3乃至6のいずれかに記載の人工藻場。 【請求項8】 ベースに無機質混和剤を混入させた請求項4乃至7のいずれかに記載の人工藻場。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、海底に設置して藻類を育成するために用いられる藻類育成具と、その藻類育成具を利用して形成される人工藻場に関する。 【0002】 【従来の技術】人工藻場は、海中に沈設させるコンクリートのベースの表面に、藻類の胞子を強制的に着床させて藻類を育成することで、コンクリートからのアルカリ成分の溶出を防止し、海域の磯焼け現象の改善や魚等の生物の生息を期待するものである。特に近年では、産業廃棄物の有効利用の面から、廃プラスチックを藻類育成具や人工藻場、人工漁礁等に利用する試みがなされており、例えば特開平10−84807号公報には、廃プラスチックを透水性の包材(金網やプラスチックネット)に収納し、その包材を透孔を有するコンクリート製等の容器に封入した人工漁礁の発明が開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記発明は、藻類をプラスチック片の表面に着床させるのみであるから、着床させた胞子が潮流によって流失したり、発芽したばかりの幼芽が容器内に侵入した食害生物のアメフラシ、ウミウシ等の餌となったりして、藻類の繁茂が得られないおそれがある。又、容器が円筒状や立方体であると、起伏の激しい海底や岩塊群上に設置されると海底で安定しない場合があり、特に円筒状の容器では製造コストもかさむ。更に、容器のコンクリートからアルカリ成分が溶出することで、容器に取り付いたアワビやサザエ等の生物にアルカリ焼けの害を与えてしまう。 【0004】そこで、請求項1及び2に記載の発明は、廃プラスチックを利用しても、潮流による影響や食害のおそれがなく、確実に藻類の繁茂が期待できる藻類育成具を提供することを目的としたものである。又、請求項3に記載の発明は、同じく確実に藻類の繁茂が期待できる人工藻場を提供することを目的としたものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、藻類の胞子の着床片を混入させた繊維状の廃プラスチックにより形成される塊状体と、その塊状体に結合される紐状の係留体と、前記塊状体に内設又は前記係留体に結合されるフロートとからなる藻類育成具としたものである。上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、藻類の胞子の着床片を混入させた小片の廃プラスチックにより形成される塊状体と、その塊状体に結合される紐状の係留体と、前記塊状体に内設又は前記係留体に結合されるフロートとからなる藻類育成具としたものである。 【0006】上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、ベースの表面に、請求項1又は2に記載の藻類育成具の係留体を掛止してなる人工藻場としたものである。請求項4に記載の発明は、請求項3の目的に加えて、余剰原料の有効利用と低コストとを達成するために、ベースを、ガラスカレットを骨材としたコンクリート製としたものである。請求項5に記載の発明は、請求項3の目的に加えて、余剰原料の有効利用と低コストを達成するために、ベースを、重量物の周囲にガラス塊又はセラミック塊を被覆させた構成としたものである。 【0007】請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5のいずれかの目的に加えて、ベースにおける藻類の繁茂を実現するために、ベースの少なくとも表層をポーラス状としたものである。請求項7に記載の発明は、請求項3乃至6のいずれかの目的に加えて、海底でのベースの安定性を確保するために、ベースの下部を逆円錐状に形成したものである。請求項8に記載の発明は、請求項4乃至7のいずれかの目的に加えて、コンクリートの強度確保とアルカリ成分の溶出防止とを実現するために、ベースに無機質混和剤を混入させたものである。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は藻類育成具(以下「育成具」という)1の説明図で、育成具1は、塊状体2と、塊状体2に結合される係留体としての化繊ロープ3とからなる。塊状体2は、中心に密封されるフロートとしての空気室4を有してボール状に編み込まれる繊維状のプラスチックで形成され、ここには、藻類の胞子を強制的に着床させたプラスチックの着床片5,5・・が複数個混入されている。又、化繊ロープ3は、両端を塊状体2に結束して塊状体2から垂下されている。尚、塊状体2及び着床片5は共に廃プラスチックを利用したものである。 【0009】一方、図2において、6は人工藻場のベースで、表層7と基層8と二層構造のテーブル状を呈する。表層7は、骨材となるガラスカレット9,9・・を、無機質混和剤を混入した少量のセメントによって結合することで、ポーラス状に形成され、基層8は、ガラスカレット9,9・・を骨材として打設されたコンクリート製で、ここでも無機質混和剤が混入されている。又、基層8の下部は、中央部を突出させた逆円錐状に形成されている。10,10・・は、表層7を貫通する下端を基層8に埋設した育成具1の止め金具で、ベース6の表面で等間隔に立設され、各止め金具10の上端には、二股の上端を折り返して一回転させることで、化繊ロープ3の係止部11を形成している。 【0010】以上の如く構成された育成具1は、図3(A)のように、ベース6における止め金具10の二股の間から化繊ロープ3の先端を通して同図(B)のように係止部11に引っ掛けた状態で、ベース6を海中に沈設すると、同図(C)及び図4の如く、塊状体2内で密封される空気室4の浮力により、係留される止め金具10から立ち上がって浮遊状態となり、育成具1を利用した人工藻場12が得られる。このとき、塊状体2は、止め金具10の係止部11に係留される化繊ロープ3の柔軟性によって、海底の複雑な潮流を受けても脱却することがなく、潮流に順応して浮遊できる。又、塊状体2では、繊維状のプラスチックに編み込まれる着床片5,5・・に胞子を着床させているから、胞子がプラスチックに保護され、流出したり、発芽したての幼芽がアメフラシ、ウミウシ等の食害生物に食べられたりするおそれはなくなり、確実に藻類を育成可能となる。尚、塊状体2が化繊ロープ3を介してベース6から離れて浮遊することも、食害の防止に効果的となっている。 【0011】このように、上記形態の育成具1によれば、潮流による被害や食害を防止でき、胞子を確実に発芽させて藻類を育成させることができる。又、海中で係留されて浮遊するので、潮流に順応できて流失等がなくなり、高い耐久性も得られる。更に、廃プラスチックを利用しているから、産業廃棄物が大量に有効利用可能となって製造コストも低減できるのに加えて、磯焼け現象の原因とされているアルカリ成分や有害物質の溶出はなくなり、環境保全にも寄与できる。そして、育成具1は、化繊ロープ3の結合さえできれば場所を問わないため、自然の岩礁等への適用は勿論、老巧化している人工藻場や人工漁礁の再生も容易に可能となる。 【0012】一方、上記形態の人工藻場12によれば、上記育成具1の利用により藻類の繁茂が効果的に実現できる他、耐久性や廃プラスチックの有効利用等、上記育成具1による効果がそのまま維持可能となり、魚等の生物の生息に適した良好な人工藻場が得られる。又、骨材にガラスカレット9を利用しているから、色や材質のばらつきに関係なく余剰原料であるガラスカレットを有効利用できると共に、製造コストの低減が可能となる。更に、表層7がポーラス状であるから、そのまま藻類の育成床やイソギンチャク等の生物の生息場になり、育成具1での藻類の繁茂と合わせて、良好な藻場や魚礁が形成できる。特に、ベース6の下部が逆円錐状となっているから、起伏の激しい海底の砂上や岩塊群上であっても良好な安定性が得られる。そして、ベース6の表層7と基層8共に無機質混和剤が混入されているため、ベース6が緻密化されて強度が確保されると共に、アルカリ成分の溶出も防止可能となる。よって、コンクリート部位に取り付いたアワビやサザエ等の生物にアルカリ焼けの害を発生させることがなく、表面に露出する混和剤成分がこれらの生物を誘引する効果も発揮する。 【0013】尚、育成具は、上記繊維状プラスチックにより形成する他、図5のように、塊状体13を、着床片5,5・・を混入し、内部に密封される空気室4が生じるように接着させた廃プラスチックの小片14,14・・により形成することもできる。この形態によっても、繊維状プラスチックによる塊状体2と変わらない効果が得られる。又、ボール状に限らず、空気室を有して浮力が得られるものであれば、プレート状や棒状等、任意に設計変更可能で、空気室も複数あっても良い。更に、係留体の形態も、上記リング状のロープに限らず、人工藻場のベースと結合可能な紐状であれば、一本のロープでも良いし、止め金具もフック状とする等、他の構造を採用できる。更に、係留体や止め金具の長さを一定にせず、育成具を異なる高さで浮遊させることも可能である。 【0014】一方、人工藻場においても、ベース6の表層7に段差を設けたり、二層構造でなくベース全体をポーラス状にしたりでき、又、育成具の止め金具を上面のみでなく側面にも設けて差し支えない。更にベースは、図6のように、鉄やコンクリート等の重量物16の周りに、ガラスカレットを互いに接着してなるガラス塊や、タイル等の陶磁器屑を互いに接着してなるセラミック塊の被覆層17を形成して表面をポーラス状としたアンカー15とすることもできる。この場合も有害成分の溶出がなく、上記形態のベース6と同様に余剰原料の有効利用と製造コストの低減とが実現できる。 【0015】又、上記アンカー15に係留した育成具18は、繊維状プラスチック又は廃プラスチック片による塊状体19(空気室はない)を係留体20の中間に結合し、係留体20の先端に別体のフロート21を結合したものである。この場合も、図1や図5と同様の効果が得られる育成具及び人工藻場が形成できるが、特にフロート21を外部に設けたことで、塊状体19を大型や薄板状にしたり、上下に複数設けたり等、形状や数を自由に設定できる利点がある。又、この人工藻場は、単独で作業船上より投入できるようになっているが、図7のように、ベース6を用いて複数係留したり、係留体20の長さを適宜変更したりすることができる。勿論、図1や図5の育成具も、上記アンカー15等を利用して1又は複数設け、作業船上からの投入が可能な人工藻場としても良い。 【0016】 【発明の効果】請求項1及び2に記載の発明によれば、前記塊状体と係留体とフロートとからなる藻類育成具としたことで、潮流による被害や食害を防止でき、胞子を確実に発芽させて藻類を育成させることができる。又、海中で係留されて浮遊するので、潮流に順応できて流失等がなくなり、高い耐久性も得られる。更に、廃プラスチックを利用しているから、産業廃棄物が大量に有効利用可能となって製造コストも低減できるのに加えて、磯焼け現象の原因とされているアルカリ成分や有害物質の溶出はなくなり、環境保全にも寄与できる。そして、藻類育成具は、係留体の結合さえできれば場所を問わないため、老巧化している人工藻場や人工漁礁の再生も容易に可能となる。 【0017】請求項3に記載の発明によれば、ベースの表面に、請求項1又は2に記載の藻類育成具の係留体を掛止した人工藻場としたことで、藻類育成具の利用により藻類の繁茂が効果的に実現できる他、耐久性や廃プラスチックの有効利用等、藻類育成具による効果がそのまま維持可能となり、魚等の生物の生息に適した良好な人工藻場が得られる。請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、ベースを、ガラスカレットを骨材としたコンクリート製としたことで、色や材質のばらつきに関係なく、余剰原料であるガラスカレットの有効利用と製造コストの低減とを達成することができる。請求項5に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、ベースを、重量物の周囲にガラス塊又はセラミック塊を被覆させたものとしたことで、余剰原料であるガラス塊やセラミック塊の有効利用と製造コストの低減とを達成することができる。 【0018】請求項6に記載の発明によれば、請求項3乃至5のいずれかの効果に加えて、ベースの少なくとも表層をポーラス状としたことで、そのまま藻類の育成床や生物の生息場になり、藻類育成具での藻類の繁茂と合わせて、良好な藻場や魚礁が形成できる。請求項7に記載の発明によれば、請求項3乃至6のいずれかの効果に加えて、ベースの下部を逆円錐状に形成したことで、起伏のある海底の砂上や岩塊群上であっても良好な安定性が得られる。請求項8に記載の発明によれば、請求項4乃至7のいずれかの効果に加えて、ベースに無機質混和剤を混入させたことで、ベースが緻密化されて強度が確保されると共に、アルカリ成分の溶出も防止可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】395012857 【氏名又は名称】籏山 宏
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| 【出願日】 |
平成11年12月24日(1999.12.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078721 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 喜樹
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| 【公開番号】 |
特開2001−178305(P2001−178305A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月3日(2001.7.3) |
| 【出願番号】 |
特願平11−367893 |
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