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【発明の名称】 両軸受リールのハンドル取付構造
【発明者】 【氏名】桜井 智治

【要約】 【課題】丸形金属製の両軸受リールに採用しても高級感が得られ、かつハンドル外側面への糸絡みやゴミの付着を可及的に防止できるようにする。

【解決手段】両軸受リールのハンドル取付構造は、雄ねじ部30aが形成されたハンドル軸30の先端にハンドル2を回転不能に取り付けるための構造であって、ハンドルアーム2aと、ナット28と、リテーナ29とを備えている。ハンドルアーム2aは、ハンドル軸30の先端に回転不能に装着される小判孔2cと、その外側面の小判孔2cの周囲に所定深さで凹んで形成された非円形の収納凹部2dとを有している。ナット28は、ハンドル軸30の先端に螺合する多角形のナット部28aを有している。リテーナ29は、収納凹部2dにハンドルアーム2aの外側面と実質的に面一に収納され、ナット28のナット部28aに係合してナット28の回り止めを行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ねじ部が形成された両軸受リールのハンドル軸の先端にハンドルを回転不能に取り付けるための両軸受リールのハンドル取付構造であって、前記ハンドル軸の先端に回転不能に装着される装着孔と、その外側面の前記装着孔の周囲に所定深さで凹んで形成された非円形の収納凹部とを有するハンドルアームと、前記ハンドル軸の先端に螺合する多角形の外周部を有するナットと、前記収納凹部に前記ハンドルアームの外側面と実質的に面一に収納され、前記ナットの外周部に係合して前記ナットの回り止めを行う回り止め部材と、を備えた両軸受リールのハンドル取付構造。
【請求項2】前記回り止め部材は、金属板材製である、請求項1に記載の両軸受リールのハンドル取付構造。
【請求項3】前記回り止め部材は、前記収納凹部の縁部の形状に沿った外形を有している、請求項1又は2に記載の両軸受リールのハンドル取付構造。
【請求項4】前記収納凹部は、前記ハンドル軸の周囲に形成された大径部と、前記大径部から離反した位置に形成された小径部と、両部を包絡線で連結する連結部とからなる略雨滴形状の縁部を有し、前記回り止め部材は、前記雨滴形状の外形を有している、請求項3に記載の両軸受リールのハンドル取付構造。
【請求項5】前記回り止め部材は、前記小径部に相当する部分に前記収納凹部で前記ハンドルアームにねじ止めされるねじ止め部が形成され、前記大径部に相当する部分に前記ナットの外周部に係合する係合孔が形成されている、請求項4に記載の両軸受リールのハンドル取付構造。
【請求項6】前記ねじ止め部は、頭部と頭部より小径のねじ部とを有するねじ部材の前記ねじ部が貫通可能な貫通孔と、前記頭部を収納可能な収納部とを有する、請求項5に記載の両軸受リールのハンドル取付構造。
【請求項7】前記ナットは、所定長さで六角形状に形成されたナット部と前記ナット部より小径の袋部とを有する金属製の六角袋ナットである、請求項1から6のいずれかに記載の両軸受リールのハンドル取付構造。
【請求項8】前記ナット部の所定長さは、前記回り止め部材の厚みの0.8〜1.3倍の範囲である、請求項7に記載の両軸受リールのハンドル取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハンドル取付構造、特に、先端にねじ部が形成された両軸受リールのハンドル軸の前記先端にハンドルを回転不能に取り付けるための両軸受リールのハンドル取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ハンドル軸にドラグ機構を有する両軸受リールにおいて、側面視略円形で金属製のリール本体を有する丸形の両軸受リールが知られている。この種の丸形の両軸受リールては、ハンドル軸の先端に取り付けられるハンドルは、通常、ナットによって締め付け固定されている。このナットには、ドラグ機構のスタードラグを逆転したときの緩みを防止するために、回り止め部材が取り付けられている。
【0003】ハンドルは、ハンドル軸に装着される板状のハンドルアームと、ハンドルアームの一端又は両端に取り付けられた把手とを有している。回り止め部材は、略雨滴状の金属製の板状部材で構成され、ハンドルアームのリール本体と逆側の面(ハンドル外側面)に装着されている。回り止め部材には、ナットの周囲の角部を係止可能な星形の係止孔が形成されている。そして回り止め部材をハンドルアームにねじ止めすることで、ナットの緩み止めを行っている。このような構成では、回り止め部材はハンドルアームの外側面から僅かに突出し、さらにナットが回り止め部材から外方に突出している。また、回り止め部材を止めるためのビスの頭部も回り止め部材から突出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにナットや回り止め部材がハンドルアームから突出すると、突出部分に魚の餌やゴミ等が付着しやすく、また糸絡みが発生しやすい等の問題がある。
【0005】そこで、丸形以外の両軸受リールでは、合成樹脂製の回り止め部材でナットとハンドル軸の端部を滑らかに覆うように構成しているものがある。しかし、金属製の丸形の両軸受リールの場合、このような合成樹脂製の回り止め部材を用いると、全体のデザインの統一性が失われ、高級感がある外観が得られにくい。
【0006】本発明の課題は、丸形金属製の両軸受リールに採用しても高級感が得られ、かつハンドル外側面への糸絡みやゴミの付着を可及的に防止できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明1に係る両軸受リールのハンドル取付構造は、ねじ部が形成された両軸受リールのハンドル軸の先端にハンドルを回転不能に取り付けるための構造であって、ハンドルアームと、ナットと、回り止め部材とを備えている。ハンドルアームは、ハンドル軸の先端に回転不能に装着される装着孔と、その外側面の装着孔の周囲に所定深さで凹んで形成された非円形の収納凹部とを有している。ナットは、ハンドル軸の先端に螺合する多角形の外周部を有している。回り止め部材は、収納凹部にハンドルアームの外側面と実質的に面一に収納され、ナットの外周部に係合してナットの回り止めを行う部材である。
【0008】このハンドル取付構造では、ハンドルアームの外側面に配置される回り止め部材がハンドルアームに形成された収納凹部に収納され、ハンドルアームの外側面と回り止め部材の表面とが面一になる。このため、ハンドルアームの外側面から突出するのがナットだけになり、丸形金属製の両軸受リールに採用しても高級感が得られ、かつハンドル外側面への糸絡みやゴミの付着を可及的に防止できるようになる。
【0009】発明2に係る両軸受リールのハンドル取付構造は、発明1に記載の構造において、回り止め部材は、金属板材製である。この場合には、回り止め部材に強度が高い金属を用いるので、肉厚を薄くすることができ、収納凹部の深さを浅くすることができる。
【0010】発明3に係る両軸受リールのハンドル取付構造は、発明1又は2に記載の構造において、回り止め部材は、収納凹部の縁部の形状に沿った外形を有している。この場合には、回り止め部材と収納凹部との隙間が少なくなり、隙間に異物が貯まりにくくなる。また、回り止め部材を収納凹部で回り止めでき、回り止め部材の係止構造が簡素になる。
【0011】発明4に係る両軸受リールのハンドル取付構造は、発明3に記載の構造において、収納凹部は、ハンドル軸の周囲に形成された大径部と、大径部から離反した位置に形成された小径部と、両部を包絡線で連結する連結部とからなる略雨滴形状の縁部を有し、回り止め部材は、雨滴形状の外形を有している。この場合には、回り止め部材でナットの回り止めを行いかつ回り止め部材自身の回り止めを行う構造を簡素でかつ最小の面積で実現できる。
【0012】発明5に係る両軸受リールのハンドル取付構造は、発明4に記載の構造において、回り止め部材は、小径部に相当する部分に収納凹部でハンドルアームにねじ止めされるねじ止め部が形成され、大径部に相当する部分にナットの外周部に係合する係合孔が形成されている。この場合には、回り止め部材を収納凹部にねじ止めすることにより、回り止め部材の回り止めを行える。
【0013】発明6に係る両軸受リールのハンドル取付構造は、発明5に記載の構造において、ねじ止め部は、頭部と頭部より小径のねじ部とを有するねじ部材のねじ部が貫通可能な貫通孔と、頭部を収納可能な収納部とを有する。この場合には、回り止め部材の回り止めをねじ部材により行っても、ねじ部材の頭部が回り止め部材から突出しにくくなり、頭部と回り止め部材との間に釣り糸がくいこみにくくなる。このため、ハンドル外側面への糸絡みをさらに防止できる。
【0014】発明7に係る両軸受リールのハンドル取付構造は、発明1から6のいずれかに記載の構造において、ナットは、所定長さで六角形状に形成されたナット部とナット部より小径の袋部とを有する金属製の六角袋ナットである。この場合には、ナットの袋部でハンドル軸の先端を覆うことができるので、袋部の形状を滑らかな凸面にすることにより、ハンドル外側面への糸絡みやゴミの付着をさらに防止できる。
【0015】発明8に係る両軸受リールのハンドル取付構造は、発明7に記載の構造において、ナット部の所定長さは、回り止め部材の厚みの0.8〜1.3倍の範囲である。この場合には、ナット部がほとんど回り止め部材の外側に突出せず、ナット部が手に触れたり釣り糸に接触したりする可能性が減少する。
【0016】
【発明の実施の形態】図1〜図3において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは、ベイトキャスト用の丸形の両軸受リールである。このリールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを備えている。
【0017】〔ハンドルの構成〕ハンドル2は、板状のアーム部2aと、アーム部2aの両端に回転自在に装着された把手2bとを有するダブルハンドル形のものである。アーム部2aは、図3に示すようにハンドル軸30の先端に回転不能に装着されており、ナット28によりハンドル軸30に締結されている。ハンドル軸30の先端は他の部分より小径であり、その外周面に雄ねじ部30aと平行な面取り部30bとが形成されている。ナット28は、雄ねじ部30aに螺合してアーム部2aをハンドル軸30に締結している。
【0018】アーム部2aのハンドル軸30装着部分には、図2に示すように、小判孔2cが形成されており、小判孔2cが面取り部30bに係合することによりアーム部2aは、ハンドル軸30に回転不能に係止される。この小判孔2cの周囲には、大径部と大径部から離反した小径部と両部を連結する包絡線とで構成された略雨滴状の収納凹部2dが形成されている。
【0019】ナット28は、アーム部2aの収納凹部2dに装着されたリテーナ29により回り止めされている。ナット28は、所定長さで六角形状に形成されたナット部28aと、ナット部28aより小径で徐々に縮径する略円錐台形状の袋部28bとを有する六角袋ナットである。ナット部28aの軸方向の長さ(所定長さ)は、リテーナ29の厚みの0.8〜1.3倍の範囲である。このような範囲にナット部28aの軸方向長さが設定されると、ナット部28aがリテーナ29の外面からほとんど突出せず、その部分が手に触れたり、釣り糸に接触する可能性が少なくなる。袋部28bは先端が滑らかに丸められて釣り糸が引っ掛かりにくい構造である。
【0020】リテーナ29は、大径部と大径部から離反した小径部と両部を連結する包絡線とで構成された収納凹部2dの縁部に沿った外形を有する略雨滴状のステンレス鋼などの金属製の板状部材であり、その板厚は、収納凹部2dの深さに略等しい。この結果、リテーナ29は、アーム部2aの外側面と略面一に装着されている。リテーナ29の大径部に対応する部分には、ナット部28aの外周角部を係止可能な12個の角部を星形の係止孔29aが形成されている。また、小径部に対応する部分には脱落防止及び回り止め用の頭部とねじ部とを有する小ねじ29bが装着され、小ねじ29bにより、リテーナ29はアーム部2aに止められている。このリテーナ29の小ねじ装着部分には円形の装着凹部29cが形成されており、小ねじ29bの頭部がアーム部2aの外面から突出しないようになっている。このように、リテーナ29及び小ねじ29bがアーム部2aから突出しないので、釣り糸がそれらに引っ掛かったり、食い込んだりしにくくなる。
【0021】〔リール本体の構成〕リール本体1は、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金などの金属製の部材であり、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6及び第2側カバー7とを有している。リール本体1の内部には糸巻用のスプール12がスプール軸20(図3)を介して回転自在かつ着脱自在に装着されている。第1側カバー6は、スプール軸方向外方から見て円形であり、第2側カバー7は、2つの交差する外周円で構成されたひょうたん型である。
【0022】フレーム5内には、図3に示すように、スプール12と、サミングを行う場合の親指の当てとなるクラッチレバー17と、スプール12内に均一に釣り糸を巻くためのレベルワインド機構18とが配置されている。またフレーム5と第2側カバー7との間には、ハンドル2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構18に伝えるためのギア機構19と、クラッチ機構21と、クラッチレバー17の操作に応じてクラッチ機構21を制御するためのクラッチ制御機構22と、スプール12を制動するドラグ機構23と、スプール12の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構24とが配置されている。また、フレーム5と第1側カバー6との間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための遠心ブレーキ機構25が配置されている。
【0023】〔フレームの構成〕フレーム5は、図3〜図6に示すように所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された1対の側板8,9と、これらの側板8,9を一体で連結する上下の連結部10a,10bとを有している。1対の側板8,9のうち、ハンドル2装着側の図3右側の側板9と第2側カバー7とで、第1円筒部11aと第1円筒部11aと略同径の第2円筒部11bとが構成される。第1円筒部11aは、内部に円柱状の第1空間を有しており、第2円筒部11bは、第1円筒部11aの外周円と交差するように前下方に偏芯して外周円が配置されかつ第1円筒部11aのスプール軸方向に突出し内部に第1空間と連通する第2空間を有している。また、第1円筒部11aと第2円筒部11bとは、外周面の一部がスプール軸方向で重なり合っている。
【0024】また、図3左側のハンドル装着側と逆側の側板8は、スプール軸方向から見て円形の内部に空間を有する扁平有底筒状の部材である。側板8の中心部よりやや上方には、スプール12を着脱するための円形の開口8aが形成されている。この開口8aの内周面には、雌ねじ部8bが形成されている。雌ねじ部8bには、スプール12の回転軸であるスプール軸20の左端を支持するスプール支持部13が着脱自在に装着されている。
【0025】スプール支持部13は、図1,図3及び図6に示すように、開口8aに着脱自在に装着されるリング部14と、リング部14の内周側にリング部14と同芯に配置された有底筒状の軸受部15と、リング部14と軸受部15とを連結するとともにスプール支持部13を回動操作するための操作凸部16とを有している。これらの各部は一体成形された合成樹脂又は金属製の部材である。
【0026】リング部14の外周面には開口8aに形成された雌ねじ部8bに螺合する雄ねじ部14aが形成されている。リング部14の内周面には、遠心ブレーキ機構25のブレーキライナー68が固定されている。
【0027】軸受部15の内周面には、スプール軸20の一端を回転自在に支持するための軸受26bが装着されている。また底部には、キャスティングコントロール機構24の摩擦プレート51が装着されている。
【0028】操作凸部16は、リング部14と軸受部15とを連結するように直径に沿って配置されており、軸方向外方に向かって凸に湾曲して形成されている。この結果、操作凸部16の両側に開口16a,16aが形成される。この開口16aからスプール12の側部が臨めるとともに、そこに指先を入れることができる。
【0029】右側の側板9は、図5に示すように、側板8と同径の扁平有底筒状の装着部9aと、装着部9aの斜め前下方の縁部に装着部9aの外周円と交差する外周円となるように偏芯して形成された突出部9bとを有している。突出部9bは、三日月状に円弧で形成されている。装着部9aの底部には、後述するピニオンギア32が支持されるボス部9cが形成されている。また、ボス部9cの両側には、第2側カバー7を位置決めするための2本の位置決めピン9d,9eが立設されている。位置決めピン9d,9eの先端は、小径の頭部が形成されており、頭部が第2側カバー7に形成された位置決め孔7eに挿入されることで、側板9と第2側カバー7とが位置決めされる。
【0030】さらに、ボス部9cの斜め前下方には、ハンドル軸30の基端を支持するボス部9fが形成されている。ボス部9fは、装着部9aの外周円と突出部9bの外周円とが重複する部分に形成されている。また、ボス部9cと位置決めピン9eとの間には、クラッチ制御機構22のクラッチプレート55を案内する案内部9gが扇形に僅かに凹んで形成されている。装着部9aの前側の縁部から突出部9bの底部にかけて、レベルワインド機構25のギア部材63a(図11)を配置するための内外周を貫通する切欠き部9iが形成されている。この切欠き部9iを塞ぐために、ギア部材63aの外縁に沿うような円弧状に湾曲したカバー部材41が着脱自在に装着されている。突出部9bには、斜め前下方への偏り部分から三日月部分の外縁に沿って円弧状に湾曲した縁部9hが形成されている。この縁部9hは、突出部9bにおいて、2つの外周円が交差する位置まで形成されている。
【0031】上側の連結部10aは、側板8,9の外形と同一面に配置されており、下側の連結部10bは、前後に1対設けられており、外形より内側に配置されている。下側の連結部10bには、図4及び図7に示すように、リールを釣り竿に装着するための前後に長い、たとえばアルミニウム合金等の金属製の竿装着脚部4がリベット止めされている。竿装着脚部4の裏面には、円形凹部からなる滑り止め部4aが両端部を中心に多数形成されている。この円形凹部からなる滑り止め部4aは、プレス加工により設けられており、加工硬化作用によって竿装着脚部4自体の曲げ剛性を向上させてもいる。
【0032】〔第1側カバーの構成〕第1側カバー6は、図6,図8,図9に示すように、スプール12の着脱を可能にするために側板8に揺動自在に装着されフレーム5に対して開閉可能である。第1側カバー6は、図3及び図4に示す閉姿勢から図1及び図6に示す開姿勢に揺動自在である。第1側カバー6は、側板8の外方を覆う円板状のカバー本体33と、カバー本体33を揺動自在に支持するための揺動軸34と、カバー本体33を側板8から離反する方向に付勢するコイルばね35とを有している。
【0033】カバー本体33は、側板8を覆うように外方に僅かに凸に湾曲した金属製の部材であり、意匠性の向上を図るとともに軽量化を図るために外周部に直径が異なる多数の丸孔33bが周方向及び径方向に間隔を隔てて設けられている。カバー本体33の外周側の内面には、揺動軸34を固定するためのねじ穴33aが形成されている。ねじ穴33aの周囲には、外周縁部から中心側に突出するボス部33cが形成されており、ボス部33cの底部との境界部分には、略周方向に沿って直線的に切り欠かれた係止部33dが形成されている。また、カバー本体33aの中心よりやや偏倚した内面には、内方に突出する取付部33e(図3)が形成されている。取付部33eは、カバー本体33が側板8に装着されたとき、スプール支持部13の操作凸部16に近接した位置にスプール支持部13に当接可能に配置され、スプール支持部13が緩み方向に回転しないようにしている。
【0034】カバー本体33の内面側には、丸孔33bから内部への異物や液体の浸入を防止するためのシール部材42が装着されている。シール部材42は、たとえば、ABS樹脂(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)等の合成樹脂製であり、かつ内部が見えるような透光性を有している。シール部材42は、図9に示すように、カバー本体33の湾曲に合わせた形状で外方に凸に湾曲しており、カバー本体33の縁部の内側に沿った外径を有している。シール部材42のボス部33cに沿った部分では、係止部33dに係止されるような凹部42aが形成されている。また内面には、取付部33eを覆うような筒部42bを有している。この筒部42bを貫通してビス42cが取付部33eにねじ込まれており、凹部42aと筒部42bとによりシール部材42は、第1側カバー6の裏面に固定されている。すなわち、シール部材42を第1側カバー6に装着する際には、凹部42aを係止部33dに差し込んだ後に、筒部42bを取付部33eにかぶせる。そして、ビス42cを取付部33eにねじ込んでシール部材42を第1側カバー6の内面に固定する。
【0035】揺動軸34の先端には、図10に示すように、ねじ穴33aにねじ込まれるねじ部34aが形成されており、ねじ部34aに隣接して大径の工具係止部34bが形成されている。ねじ部34aはカバー本体33にねじ込まれ、これにより揺動軸34がカバー本体33に固定されている。
【0036】揺動軸34の外周側には、側板8を貫通してパイプ部材36が同芯に配置されている。揺動軸34の先端はパイプ部材36に回転自在に支持され、基端側は側板9に回転自在に支持され、さらに、第2側カバー7から外方に突出している。パイプ部材36は、揺動軸34を回転自在支持するとともに軸方向移動不能に支持する。パイプ部材36の先端には大径部36aが形成されており、大径部36a内に揺動速度を規制するためのOリング37が装着されている。
【0037】大径部36aと側板8との間には揺動軸34の外周側にコイルばね35が圧縮状態で装着されている。パイプ部材36の大径部36aを除く部分の外周面には、平行な面取り部36bが形成されており、側板8には面取り部36bを軸方向移動自在かつ回転不能に支持するための小判孔38aを有する支持部材38がねじ止めされている。パイプ部材36の基端には揺動軸34の軸方向の移動を規制する規制円板39が止め輪39aにより固定されている。この規制円板39と大径部36aとでパイプ部材36を挟持することで、揺動軸34は、パイプ部材36に対して軸方向に移動不能に支持される。またこの規制円板39が側板8に当接することにより、第1側カバー6が開くときの軸方向位置が決定される。これにより、第1側カバー6は、側板8に揺動自在かつ軸方向に所定距離移動可能に装着され側板8に対して脱落することなく開閉自在となっている。
【0038】揺動軸34の基端部には、ねじ部34cが形成されており、ねじ部34cは、第1側カバー6を開閉操作するための操作部材である着脱ナット40にねじ込まれている。着脱ナット40は、第2側カバー7に回転自在かつ軸方向移動不能に装着されている。この着脱ナット40を反時計回りに回転させて着脱ナット40からねじ部34cを離反させると、揺動軸34は、コイルばね35に付勢されて図4左方に移動する。するとカバー本体33も左方に移動して第1側カバー6が開く。第1側カバー6が開くと自重により揺動する。このときの揺動速度はOリング37によりゆったりとした速度に規制される。
【0039】〔第2側カバーの構成〕第2側カバー7は、図2〜図5に示すように、側板9と同一の2つの外周円が交差する偏芯した円形の側面を有している。第2側カバーは、たとえば3本のねじにより側板9に固定されている。第2側カバー7は側板9の突出部9bに沿った形状で同径の扁平有底筒状の装着部7cと、装着部7cの斜め後上方の縁部に偏芯した円弧で側板9の装着部9aに対向して三日月状に形成された突出部7dとを有している。装着部7cの底部には、ハンドル軸30を支持するための筒状のボス部7aと、スプール軸20を支持するための筒状のボス部7bとが間隔を隔てかつ外方に突出して固定されている。ボス部7aは、側板9に形成されたボス部9fと、またボス部7bは、ボス部9cとそれぞれ同一軸芯上に配置される。ボス部9cの前側には、第2側カバー7を位置決めするための位置決め孔7eが形成されている。さらに、ボス部7aの後方には、第1側カバー6を開閉操作するための着脱ナット40が回転自在に支持されるつまみ孔7gが形成されている。
【0040】突出部7dには、斜め後上方への偏り部分から三日月部分の外縁に沿って円弧状に湾曲した縁部7hが形成されており、縁部7hは、側板9の装着部9aと同芯に配置され、かつ突出部9bの縁部9hとひょうたん型に接続されている。このような構成により、2つの円筒部11a,11bの外周面(縁部9h,7h)がスプール軸方向に重なり合う構成が実現されている。この縁部9h,7hは、それぞれ円弧で構成されているので、容易に切削加工できる。
【0041】突出部7dのボス部7bを挟んで位置決め孔7eと逆側の位置には、位置決め孔7fが形成されている。前述したように、側板9に立設された位置決めピン9d,9eの頭部が位置決め孔7e,7fに挿入されることにより、側板9と第2側カバー7とが位置決めされ、各ボス部9c,7b、9f,7aがそれぞれ芯出しされ同一軸芯上に配置される。
【0042】このように構成されたリール本体1では、側板9と第2側カバー7とで内部にそれぞれ円柱状の空間を有し2つの外周円が交差するように偏芯した2つの円筒部11a,11bが形成される。このため、このうち外方に突出した第2円筒部11bで突出部を構成することにより、突出部を設けて回転効率を向上させても外周面の切削加工が容易になる。このため、突出部を有する両軸受リールのリール本体において、外観の意匠性及び装飾性の向上を図ることができる。
【0043】〔スプールの構成〕スプール12は、図3に示すように、両側部に皿状のフランジ部12aを有しており、両フランジ部12aの間に筒状の糸巻き胴部12bを有している。また、スプール12は、糸巻き胴部12bの内周側の軸方向の実質的に中央部に一体で形成された筒状のボス部12cを有しており、ボス部12cを貫通するスプール軸20にたとえばセレーション結合により回転不能に固定されている。この固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。
【0044】スプール軸20は、側板9を貫通して第2側カバー7の外方に延びている。その延びた一端は、第2側カバー7に装着されたボス部7bに軸受26aにより回転自在に支持されている。またスプール軸20の他端は前述したように軸受26bにより回転自在に支持されている。
【0045】スプール軸20の大径部分20aの右端は、側板9の貫通部部分に配置されており、そこにはクラッチ機構21を構成する係合ピン20bが固定されている。係合ピン20bは、直径に沿って大径部分20aを貫通しており、その両端が径方向に突出している。
【0046】〔その他の構成〕クラッチレバー17は、図2に示すように、1対の側板8,9間の後部でスプール12後方に配置されている。クラッチレバー17は側板8,9間で上下方向にスライドする。クラッチレバー17のハンドル装着側には、係合軸17aが側板9を貫通して一体形成されている。この係合軸17aは、クラッチ制御機構22に係合している。
【0047】レベルワインド機構18は、図3及び図7に示すように、スプール12の前方で両側板8,9間に配置され、外周面に交差する螺旋状溝46aが形成された螺軸46と、螺軸によりスプール軸方向に往復移動する釣り糸案内部47とを有している。螺軸46は、両端が側板8,9に装着された軸支持部48,49により回転自在に支持されている。螺軸46の図3左端は、E型止め輪50により抜け止めされている。螺軸46の図3右端には、ギア部材63aが装着されており、ギア部材63aは、ハンドル軸30に回転不能に装着されたギア部材63bに噛み合っている。このような構成により、螺軸46は、ハンドル軸30の糸巻取方向の回転に連動して回転する。
【0048】釣り糸案内部47は、図7に示すように、螺軸46の周囲に配置され一部が軸方向の全長にわたって切り欠かれたパイプ部材53と、螺軸の上方に配置されたガイド軸54とによりスプール軸20方向に案内されている。釣り糸案内部47には、螺旋状溝46aに係合する係止部材47aが回動自在に装着されており、螺軸46の回転によりスプール軸方向に往復移動する。釣り糸案内部47の上部には、釣り糸が通過する、たとえばSiC等の硬質セラミックス製の長円形のガイドリング47bが装着されている。
【0049】パイプ部材53は、両端が軸支持部48,49に係止されている。ガイド軸54は、側板8,9に固定されており、ガイド軸54の側板9側の端部はさらに側カバー7側に突出している。図11に示すように、軸支持部49は略雨滴状であり、大径部で螺軸46を回転自在に支持し、小径部をガイド軸54が貫通して軸支持部49を回り止めしている。
【0050】ギア機構19は、図3に示すように、ハンドル軸30と、ハンドル軸30に固定されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32とを有している。ハンドル軸30は、ボス部9f及びボス部7aに回転自在に装着されており、ローラ型のワンウェイクラッチ86及び爪式のワンウェイクラッチ87により糸繰り出し方向の回転(逆転)が禁止されている。
【0051】ワンウェイクラッチ86は、ボス部7aとハンドル軸30との間に装着されている。ワンウェイクラッチ87は、、図11に示すように、メインギア31とギア部材63bとの間でハンドル軸30に回転不能に装着されたラチェットギア88と、位置決めピン9dに揺動自在に装着されたラチェット爪89とを有している。ラチェットギア88の外周部には、略平行四辺形状に突出して形成されたラチェット歯88aが周方向に間隔を隔てて配置されており、ラチェット爪89がラチェット歯88aに噛み合うことによりハンドル軸30の糸繰り出し方向の回転が禁止される。ラチェット爪89は、ラチェットギア88を両側から挟む制御片89aを先端部に有している。制御片89aは、糸巻取方向の回転時にラチェット爪89をラチェットギア88に接近させ、糸繰り出し方向の回転時に離反させる。この離反時にラチェット爪89が離反しすぎないようにするために、ラチェット爪89は、離反時にガイド軸54に当接するように配置されている。
【0052】メインギア31は、ハンドル軸30に回転自在に装着されており、ハンドル軸30とドラグ機構23を介して連結されている。
【0053】ピニオンギア32は、図3に示すように、側板9の外方から内方に延び、中心にスプール軸20が貫通する筒状部材であり、スプール軸20に軸方向に移動自在に装着されている。また、ピニオンギア32の図3左端側は、軸受27により側板9に回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。ピニオンギア32の図3左端部には係合ピン20bに噛み合う噛み合い溝32aが形成されている。この噛み合い溝32aと係合ピン20bとによりクラッチ機構21が構成される。また中間部にはくびれ部32bが、右端部にはメインギア31に噛み合うギア部32cがそれぞれ形成されている。
【0054】クラッチ制御機構22は、図11に示すように、係合軸17aに係合するクラッチプレート55と、クラッチプレート55に係合してスプール軸20を中心に回動するクラッチカム56と、クラッチカム56によりスプール軸20方向に沿って移動するクラッチヨーク57とを有している。また、クラッチ制御機構22は、スプール12の糸巻取方向の回転に連動してクラッチ機構21をクラッチオンさせるクラッチ戻し機構58を有している。
【0055】クラッチプレート55は、扇形に形成された板状部材であり、側板9に形成された案内部9gにより回転方向に案内されている。また、クラッチプレート55は、位置決めピン9eに形成された鍔部9iにより案内部9gとの間に隙間が形成され、浮き上がりが防止されている。クラッチプレート55の一端は、クラッチレバー17の下方への移動に連動して図11反時計回りに移動するようにクラッチレバー17の係合軸17aの下端に接触する位置に延びている。クラッチプレート55の他端は、クラッチカム56に係止されており、クラッチプレート55とクラッチカム56とは連動してスプール軸20回りに回動する。
【0056】クラッチカム56は、略リング状の板部材であり、ボス部9cにスプール軸20回りに回動自在に装着されている。クラッチカム56の外側面のスプール軸20を挟んで対向する位置には、1対の傾斜したカム突起56a,56aが形成されている。また、クラッチカム56の外周部には、クラッチプレート55に係合する係合ピン56bが形成されている。さらに、クラッチカム56の外周部には、クラッチ戻し機構58を構成する戻し爪59を連結するための連結部56cが形成されている。
【0057】クラッチヨーク57は、クラッチカム56の軸方向外方に対向して配置されている。クラッチヨーク57は、側板9と第2側カバー7との間にスプール軸20を挟んで立設された2本のガイド軸60により案内されてスプール軸20方向に移動自在である。また、第2側カバー7とクラッチヨーク57との間でガイド軸60の外周側に圧縮状態で配置されたコイルばね61(図3)により軸方向内方に付勢されている。クラッチヨーク57は、ピニオンギア32のくびれ部32bに係合する半円弧状の係合部57aが形成されている。クラッチヨーク57のクラッチカム56と対向する側面には、カム突起56a,56aに乗り上げる傾斜面(図示せず)が形成されており、クラッチカム56が図11反時計回りに回動してカム突起56a,56aに傾斜面が乗り上げると、クラッチヨーク57は図3右方のクラッチオフ位置に移動し、傾斜面がカム突起56a,56aから下りると、コイルばね61により付勢されてクラッチオン位置に戻る。このクラッチヨーク57の移動に連動してピニオンギア32がスプール軸方向に移動し,クラッチ機構21がクラッチオフ状態とクラッチオン状態とに切り換わる。
【0058】クラッチ戻し機構58は、クラッチカム56の連結部56cに回動自在に連結された戻し爪59と、戻し爪59を付勢するトグルばね62とを有している。戻し爪59は、クラッチカム57の回動により側板9に案内されてラチェットギア88のラチェット歯88aに接触する位置とそこから離反した位置とに移動する。トグルばね62は、戻し爪59を2つの位置で保持する。
【0059】このクラッチ戻し機構58では、クラッチレバー17の押圧操作によりクラッチ機構21がクラッチオフ状態になると、側板9に案内されてラチェット歯88aに接触する位置に前進する。この状態で、ハンドル2の操作によりハンドル軸30が糸巻取方向に回転すると、ラチェット歯88aにより押圧されて離反する位置に移動し、クラッチカム56を図11時計回りに回動し、クラッチ機構21をクラッチオン状態に戻す。
【0060】キャスティングコントロール機構24は、スプール軸20の両端を挟むように配置された複数の摩擦プレート51と、摩擦プレート51によるスプール軸20の挟持力を調節するための制動キャップ52とを有している。左側の摩擦プレート51は、スプール支持部13内に装着されている。
【0061】遠心ブレーキ機構25は、図3及び図5に示すように、スプール12と一体回転するようにスプール軸20に固定された回転部材66と、回転部材66に周方向に間隔を隔てて配置され径方向に移動自在に装着された筒状の摺動子67と、リング部14の内周面に固定され摺動子67に接触可能なブレーキライナー68とを有している。回転部材66は、軸受部15の外周側に配置される円板部66aを有しており、円板部66aには、周方向に間隔を隔てて、たとえば6つの凹部66bが形成されている。各凹部66bには、対向する2対の係止突起70a,70bが径方向に間隔を隔てて形成されている。係止突起70aは、外周部に互いに突出して形成され、摺動子67を抜け止めするための突起である。係止突起70bは、係止突起70aより内周側に形成され、摺動子67がブレーキライナー68に接触しないようにするための突起である。また、凹部66bの底面には、径方向に延びるガイド軸69が放射状に配置されている。このガイド軸69に摺動子67が移動自在に案内される。
【0062】摺動子67は、筒状の部材であり、その内周側の端部に他の部分より大径で係止突起70a,70bに係止される鍔部67aを有している。摺動子67はスプール12が回転すると遠心力によりブレーキライナー68に接触してスプール12を制動する。このとき、鍔部67aが係止突起70bを乗り越えてそれより内周側に配置されると、遠心力が作用しても鍔部67aが係止突起70bに接触してブレーキライナー68に接触できない。この摺動子67の径方向位置を切り換えることにより、遠心ブレーキ機構25の制動力を調整できる。
【0063】〔スプールの着脱操作〕バックラッシュ等により釣り糸がスプール12に絡まる等してスプール12をリール本体1から取り外す際には第1側カバー6を開けて側板8の開口8aを開放する。
【0064】第1側カバー6を開けるには、まず着脱ナット40を反時計回りに回して着脱ナット40から揺動軸34を外す。揺動軸34が着脱ナット40から外れると、コイルばね35の付勢力により揺動軸34が図4左方に移動し、第1側カバー6も左方に移動する。すると、第1側カバー6は自重により揺動軸34回りに揺動し、第1側カバー6が開姿勢に開く。第1側カバーが開いた状態を図1及び図5に示す。第1側カバー6が開くと、スプール支持部13が露出する。この状態で開口16aから指を入れて遠心ブレーキ機構25の摺動子67のスプール径方向の位置の切り換えると、制動力の調整が可能である。すなわち、係止突起70bより内周側に配置すると、その摺動子67がブレーキライナー68に接触できなくなり、制動力がその分弱くなる。
【0065】第1側カバー6を開けると、スプール支持部13を操作凸部16を指でつまんで反時計回りに回す。するとスプール支持部13が側板8から外れて開口8aが外部に露出する。この状態でスプール軸20をつまんで引き出せばスプール12を取り外せる。
【0066】スプール12を装着する際には、スプール12をリール本体1内に装着した後スプール支持部13を側板8に装着して第1側カバー6を閉める。このときには、カバー本体33を閉姿勢側に手で揺動させ、さらに側板8側に押圧する。この状態で、着脱ナット40を時計回りに回すと、着脱ナット40に揺動軸34の先端がねじ込まれ、第1側カバー6が側板8に装着され閉姿勢になる。
【0067】〔実釣時のリールの操作及び動作〕キャスティングを行うときには、クラッチレバー17を下方に押圧する。すると、クラッチプレート55が図11反時計回りに移動する。このとき、クラッチプレート55は、位置決めピン9eにより浮き上がりが防止された状態で案内部9g内を移動する。クラッチプレート55が移動すると、それに連動してクラッチカム56が反時計回りに回動し、クラッチヨーク57が図3外方のクラッチオフ位置に移動する。この結果、クラッチ機構21を構成するピニオンギア32が軸方向外方に移動し、クラッチオフ状態になる。このクラッチオフ状態では、スプール12が自由回転状態になり、キャスティングを行うと仕掛けの重さにより釣り糸がスプール12から勢いよく繰り出される。
【0068】仕掛けが着水すると、ハンドル2を糸巻取方向に回転させる。すると、ラチェットギア88が糸巻取方向(図時計回り)に回転し、ラチェット爪89が制御片89aの作用によりラチェットギア88の外方に位置決めピン9dを中心に揺動し、ガイド軸54に接触する。この結果、糸巻取時にラチェット爪89がラチェットギア88に接触しなくなり、糸巻取時に両者の接触によるクリック音が生じなくなる。また、ラチェットギア88が糸巻取方向に回転すると、ラチェット歯88aが戻し爪59の先端に当接し、戻し爪59を後方に押圧する。すると、戻し爪59はトグルばね62の死点を越えて後退し、トグルばね62により離反位置側に付勢される。この移動に連動してクラッチカム56が図11時計回りに回動し、クラッチヨーク57がコイルばね61の付勢力によりクラッチオン位置に移動し、クラッチ機構21がクラッチオン状態になる。このため、ハンドル2の回転がスプール12に伝達され、スプール12が糸巻取方向に回転する。
【0069】ハンドル軸30が糸巻取方向に回転すると、その回転がギア部材63a,63bを介して螺軸46に伝達され螺軸46が回転する。螺軸46が回転すると、釣り糸案内部47がスプール軸方向に往復移動して釣り糸がスプール12に均一に巻き取られる。
【0070】〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、金属製の丸形の両軸受リールを例に説明したが、本発明に係るハンドル取付構造はこれに限定されず、金属製以外の丸形の両軸受リールや側方から見て丸形ではない両軸受リールにも適用できる。
【0071】(b)前記実施形態では、小ねじによりリテーナを回り止めしたが、収納凹部自体でリテーナを回り止めしてもよい。この場合、リテーナの脱落を防止するために、たとえば、ナット又は収納凹部との間に凹凸による係止構造を設けてもよい。
【0072】(c)前記実施形態では、ナットとして六角袋ナットを用いたが、ナットの形態は六角袋ナットに限定されない。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、ハンドルアームの外側面に配置される回り止め部材がハンドルアームに形成された収納凹部に収納され、ハンドルアームの外側面と回り止め部材の表面とが面一になる。このため、ハンドルアームの外側面から突出するのがナットだけになり、丸形金属製の両軸受リールに採用しても高級感が得られ、かつハンドル外側面への糸絡みやゴミの付着を可及的に防止できるようになる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成11年11月19日(1999.11.19)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−145446(P2001−145446A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願平11−330610