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【発明の名称】 スピニングリールのロータ
【発明者】 【氏名】明上 誠治

【要約】 【課題】スピニングリールを接地面に置いたときに、ロータを傷つきにくくする。

【解決手段】スピニングリールのロータ3は、リール本体2に回転自在に装着され釣り糸をスプールに巻き付けるためのものであって、円筒部20と、第1及び第2ロータアーム21,22と、ベールアーム23と、弾性体製の緩衝部材30a〜30cとを備えている。円筒部20は、リール本体2に回転自在に装着されている。第1及び第2ロータアーム21,22は、円筒部20の後部外周面に連結され円筒部20の両側方に互いに対向して配置されている。ベールアーム23は、両ロータアーム21,22の先端に揺動自在に装着され釣り糸をスプール4に案内する。緩衝部材30a〜30cは、円筒部20及び両ロータアーム21,22のスピニングリールを接地したときに接地面に接触する接触部に固定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】スピニングリールのリール本体に回転自在に装着され釣り糸をスプールに巻き付けるためのロータであって、前記リール本体に回転自在に装着された円筒部と、前記円筒部の後部外周面に連結され前記円筒部の両側方に互いに対向して配置された第1及び第2ロータアームと、前記両ロータアームの先端に揺動自在に装着され前記釣り糸を前記スプールに案内するベールアームと、前記スピニングリールを接地したときに接地面に接触する可能性がある前記円筒部及び前記両ロータアームの接触部に固定された弾性体製の緩衝部材と、を備えたスピニングリールのロータ。
【請求項2】前記両ロータアームは、前記円筒部の後部外周面から径方向に延びさらに湾曲して前記円筒部の両側方に配置され、前記緩衝部材が固定される接触部は、前記両ロータアームが連結される部分を含む前記円筒部の後部外周面及び前記ロータアームの側部の少なくとも一部と前記両ロータアームの外側湾曲部とである、請求項1に記載のスピニングリールのロータ。
【請求項3】前記緩衝部材は合成樹脂弾性体製である、請求項1又は2に記載のスピニングリールのロータ。
【請求項4】前記合成樹脂弾性体は、スチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム(NBR)、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、ウレタン‐ゴムからなる群から選択された少なくともひとつである、請求項3に記載のスピニングリールのロータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータ、特に、リール本体に回転自在に装着され釣り糸をスプールに巻き付けるためのスピニングリールのロータに関する。
【0002】
【従来の技術】スピニングリールは、一般に、釣り竿に装着されるリール本体と、リール本体に回転自在に装着された釣り糸案内用のロータと、ロータにより案内された釣り糸を巻き取るスプールとを有している。ロータは、リール本体に回転自在に装着された円筒部と、円筒部の後部外周面に連結され円筒部の両側方に互いに対向して配置された第1及び第2ロータアームと、両ロータアームの先端に揺動自在に装着され釣り糸をスプールに案内するベールアームとを有している。円筒部の後端部には他の部分より大径のリング状の大径部が設けられており、大径部の外周面の対向する位置で1対のロータアームが径方向外方に延びた後に湾曲して前方に延びている。
【0003】この種のスピニングリールでは、ハンドルを回転させると、ロータが回転してベールアームにより釣り糸がスプールに案内されて釣り糸がスプールに巻き付けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、スピニングリールを接地したときに接地面に接触する接触部、つまり両ロータアームの屈曲部分や両ロータアーム間の大径部の外周面が傷つくことがある。たとえば、スピニングリールを岸壁や堤防や岩場や砂浜等の接地面上に放置しておくと、接触部が接地面に接触して傷つくことがある。特に、ロータが合成樹脂製であると、接地面より軟質なため傷つきやすくなる。また、ロータがマグネシウム合金等の腐食しやすい金属製であると、ロータが傷つくと表面に形成された酸化膜や塗膜などの耐蝕層が剥離してその部分から腐食しやすくなる。
【0005】本発明の課題は、スピニングリールを接地面に置いたときに、ロータを傷つきにくくすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニングリールのロータは、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着され釣り糸をスプールに巻き付けるためのものであって、円筒部と、第1及び第2ロータアームと、ベールアームと、弾性体製の緩衝部材とを備えている。円筒部は、リール本体に回転自在に装着されている。第1及び第2ロータアームは、円筒部の後部外周面に連結され円筒部の両側方に互いに対向して配置されている。ベールアームは、両ロータアームの先端に揺動自在に装着され釣り糸をスプールに案内する。弾性体製の緩衝部材は、スピニングリールを接地したときに接地面に接触する可能性がある円筒部及び両ロータアームの接触部に固定されている。
【0007】このスピニングリールのロータでは、スピニングリールを接地面に置くと、リール本体の後部とロータの接触部付近とが接地面に接触する。このロータの接触部には、弾性体製の緩衝部材が固定されている。このため、通常は接地面に接触しやすいロータの接触部が接地面に直接接触しなくなり、スピニングリールを接地面に置いたときにロータが傷つきにくくなる。
【0008】発明2に係るスピニングリールのロータは、発明1に記載のロータにおいて、両ロータアームは円筒部の後部外周面から径方向に延びさらに湾曲して円筒部の両側方に配置され、緩衝部材が固定される接触部は、両ロータアームが連結される部分を含む円筒部の後部外周面及びロータアームの側部の少なくとも一部と両ロータアームの外側湾曲部とである。この場合には、スピニングリールを接地面に置いたときに最も接触する可能性がある部分が保護されるので、ロータがより傷つきにくくなる。
【0009】発明3に係るスピニングリールのロータは、発明1又は2に記載のロータにおいて、緩衝部材は合成樹脂弾性体製である。この場合には、湾曲したロータの外周面に合わせて合成樹脂の成形により緩衝部材を安価に配置できる。また、意匠の自由度が高くなり、ロータの意匠性を向上させることもできる。発明4に係るスピニングリールのロータは、発明3に記載のロータにおいて、合成樹脂弾性体は、スチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム(NBR)、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、ウレタン‐ゴムからなる群から選択された少なくともひとつである。
【0010】
【発明の実施の形態】図1において、本発明の一実施形態が採用されたスピニングリールは、ハンドル1を有し釣り竿に装着されるリール本体2と、リール本体2の前方に配置されたロータ3と、ロータ3の前方に配置されたスプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2に回転自在に装着されている。スプール4は、リール本体2に前後移動自在に装着されている。
【0011】リール本体2は、たとえはマグネシウム合金製であり、リールボディ2aと、リールボディ2aの図1上方に延びる概ねT状の竿装着部2bとを有している。リールボディ2aの内部には、ハンドル1の回転をロータ3に伝達するための回転伝達機構(図示せず)やハンドル1のロータ3の回転に同期してスプール4を前後移動させるためのオシレーティング機構(図示せず)が設けられている。リールボディ2aの後端下部は、オシレーティング機構を収納するために後方に突出する突出部となっている。この突出部には、リール本体2後部の傷つきを防止するためにプレス成形された、たとえばステンレス合金製等の硬質金属製のカバープレート10が装着されている。カバープレート10とリールボディ2aとの間には、リール本体2の電解腐食を防止するために合成樹脂製の絶縁部材11が介装されている。カバープレート10の表面には緩衝部材12が装着されている。緩衝部材12は、傷つきをさらに防止するために固定されており、カバープレート10の表面に沿って前後から上下方向にかけて配置された、たとえば2本の棒状の部材で構成されている。緩衝部材12は、たとえば棒状に成形された合成樹脂弾性体を、接着剤などによりカバープレート10の表面に張り付けて固定されている。合成樹脂弾性体としては、スチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム(NBR)、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、ウレタン‐ゴムからなる群から選択されたひとつが好ましい。
【0012】ロータ3は、図1及び図2に示すように、リール本体2に回転自在に装着された円筒部20と、円筒部20の側方に互いに対向して設けられた第1及び第2ロータアーム21,22と、両ロータアーム21,22に揺動自在に装着された糸案内用のベールアーム23と、スピニングリールを接地したときに接地面に接触する可能性がある円筒部20及び両ロータアーム21,22の接触部に固定された緩衝部材30a,30b,30cとを有している。
【0013】円筒部20は、たとえば、軽量化を図るためにマグネシウム合金製又はアルミニウム合金製のものであり、後端部外周面に他の部分より大径のリング状の大径部20aを有している。ロータアーム21,22は、大径部20aの外周面の対向する位置に円筒部20と一体形成されている。第1及び第2ロータアーム21,22は、大径部20aの外周面の対向する位置で大径部20aから径方向外方に延びる1対の接続部21a,22aと、1対の接続部21a,22aに連結され円筒部20と間隔を隔てて互いに対向して配置された1対のアーム部21b,22bと、これらの接続部21a,22a及びアーム部21b,22bの外側面を覆うカバー24a,24bとを含んでいる。接続部21a,22aは、大径部20aの対向する外周面から先細りに径方向外方に突出している。アーム部21b,22bは、接続部21a,22aから湾曲して前方に延びている。カバー24a,24bは、ロータ3の軽量化を図るために、たとえばマグネシウム合金製又はアルミニウム合金製である。カバー24a,24bは、接続部21a,22a及びアーム部21b,22bの外側面を覆って外方に凸に湾曲して形成されており、接続部21a,22a及びアーム部21b,22bとの間で内部に空間を形成している。
【0014】ベールアーム23は、釣り糸をスプール4に案内するためのものである。ベールアーム23は、1対のロータアーム21,22の先端にそれぞれ揺動自在に装着された第1,第2ベール支持部材25,26と、第1ベール支持部材25の先端に回転自在に装着されたラインローラ27と、第1ベール支持部材25とラインローラ27を挟んで対向して配置された固定軸カバー28と、第2ベール支持部材26と固定軸カバー28とを連結する線材製の湾曲したベール29とを有している。第1ベール支持部材25は、第1ロータアーム21の外側に揺動自在に装着され、第2ベール支持部材26は、第2ロータアーム22の内側に揺動自在に装着されている。
【0015】緩衝部材30a,30bは、断面が略円形の棒状の弾性体で構成されており、接触部のうち両ロータアーム21,22の外側湾曲部に固定されている。具体的には、緩衝部材30a,30bは、カバー24a,24bの接地面と接触しやすい接触部である湾曲部に、たとえば接着剤などの適宜の固定手段により固定されている。湾曲部には、図3に示すように、緩衝部材30a,30bを装着するための溝24cが周方向に沿って形成されており、緩衝部材30a,30bは、溝24cに装着されて周方向に沿って配置されている。緩衝部材30a,30bは、カバー24a,24bの湾曲部表面より突出するように溝24cに装着されている。緩衝部材30a,30bに用いる弾性体は、好ましくは、スチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム(NBR)、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、ウレタン‐ゴムからなる群から選択された少なくともひとつの合成樹脂弾性体製である。
【0016】緩衝部材30cも断面が略円形の棒状の弾性体で構成されており、接触部のうち両ロータアーム21,22が連結される部分を含む円筒部20の大径部20a外周面及び両ロータアーム21,22の側部の一部に固定されている。この部分にも、図4に示すように、大径部20aから接続部21a,22aの側部にかけて略周方向に溝20bが形成されており、緩衝部材30cは、大径部20aや接続部21a,22aの側部から突出するように溝20bに装着されている。緩衝部材30cに用いる弾性体も緩衝部材30a,30bと同様な合成樹脂弾性体が好ましい。
【0017】スプール4は、ベールアーム23に案内された釣り糸が外周に巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部で両ロータアーム21,22の間に設けられ、糸巻胴部4aより大径のスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に設けられたフランジ部4cとを有している。スプール4は、ロータ3の回転に同期して前後移動し、ベールアーム23により案内された釣り糸を外周面に略均一に巻き取る。
【0018】このように構成されたスピニングリールでは、緩衝部材30a〜30cをロータ3に設けることにより、リールを岸壁や堤防や岩場や砂浜等などの比較的硬質な接地面に置いても、通常は、接地面に接触しやすいロータ3の接触部が緩衝部材30a〜30cにより保護されるので、ロータ3が傷つきにくくなる。また、合成樹脂弾性体製の緩衝部材30a〜30cを用いると、安価に緩衝部材を製造でき、かつ意匠性を向上することができ、傷つきの防止という機能的な効果もさらに大きくなる。
【0019】〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、カバー24a,24bを含むロータ3をアルミニウム合金やマグネシウム合金製にしたが、ロータ3を安価に製造するために合成樹脂製にしてもよい。この場合、カバー24a,24bが接地面より軟質のために緩衝部材30a〜30cが無いとカバー24a,24bを含むロータ3が傷つきやすくなるが、緩衝部材30a〜30cを設ければ傷つきにくくなる。
【0020】(b)前記実施形態では、ロータアーム21,22にカバー24a,24bを設けたり、円筒部20に大径部20aを設けたりしたが、カバー24a,24bや大径部20aが設けられていないロータ3にも本発明を適用できる。
(c)緩衝部材30a〜30cの配置方向は周方向に限定されず、前後方向やそれと交差する斜め方向に配置してもよい。また、緩衝部材30a〜30cの形状は棒状に限定されず、板状やその他の形状の弾性体を用いてもよい。また、溝を設けずにロータ3に直接固定してもよい。さらに、カバー24a,24b全体が緩衝部材として機能するように、カバー24a,24bを合成樹脂弾性体製にしてもよい。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、ロータの接触部に弾性体製の緩衝部材が固定されているので、通常は接地面に接触しやすいロータの接触部が接地面に直接接触しなくなり、スピニングリールを接地面に置いたときにロータが傷つきにくくなる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成11年11月11日(1999.11.11)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−136874(P2001−136874A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−320776