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【発明の名称】 動植物育成装置
【発明者】 【氏名】和田 滋

【氏名】山田 正之

【氏名】波多野 卓史

【氏名】寺本 みゆき

【氏名】横田 聡

【氏名】三井 整

【要約】 【課題】動植物の育成装置において、外部からの供給電力を削減し、且つ装置の大型化を回避する。

【解決手段】動植物を育成する容器と、この容器内の環境を調整する環境調整装置とを有する動植物育成装置であって、前記容器の外周壁の少なくとも一部に透光性太陽電池を配設し、この透光性太陽電池で発電された電力によって前記環境調整装置を作動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動植物を育成する容器と、この容器内の環境を調整する環境調整装置とを有し、前記容器の外周壁の少なくとも一部に透光性太陽電池を配設し、この透光性太陽電池で発電された電力によって前記環境調整装置を作動させることを特徴とする動植物育成装置。
【請求項2】 前記容器が水槽であって、前記環境調整装置が水質維持装置、飼料供給装置、照明設備のうちの少なくとも一つである請求項1記載の動植物育成装置。
【請求項3】 前記容器が温室であって、前記環境調整装置が空気調整装置、散水装置、肥料散布装置、農薬散布装置、照明装置のうちの少なくとも一つである請求項1記載の動植物育成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動植物を育成する装置に関し、より詳細には独自に発電した電力を専ら用いて装置内の環境調整を行う動植物育成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水槽や温室などの動植物を育成するこれまでの装置では、家庭用交流電源などの外部電源を用いてエアーポンプや換気扇、照明装置といった装置を作動させて容器内の環境を調整してきた。また太陽電池が開発され広く市販されるようになってきてからは、外部から供給電力を削減するため動植物育成装置においても太陽電池による発電電力を利用することが試みられている。しかし従来の太陽電池を用いる場合は、太陽電池を設置する場所を動植物の育成容器の設置場所とは別に設ける必要があり、装置が大型化するという問題があった。
【0003】一方、装置の大型化回避だけを考えるならば、育成容器に太陽電池を一体的に設置すればよいが、従来の太陽電池は透光性を有さず、例えば一般に使用されているアモルファスシリコン層を用いた太陽電池は茶色または濃青色系の暗い色調であるため、このような太陽電池を育成容器に一体的に設置すると、太陽電池によって育成容器への光照射が遮られてしまい動植物の十分な育成が図れなくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従来の問題に鑑みなされたもので、動植物の育成装置において、外部からの供給電力を削減し、且つ装置の大型化を回避することをその目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明の動植物育成装置では、動植物を育成する容器と、この容器内の環境を調整する環境調整装置とを有し、前記容器の外周壁の少なくとも一部に透光性太陽電池を配設し、この透光性太陽電池で発電された電力によって前記環境調整装置を作動させる。
【0006】ここで前記容器が水槽であるときは、前記環境調整装置は水質維持装置、飼料供給装置、照明装置のうちの少なくとも一つであるのが好ましく、また前記容器が温室であるときは、前記環境調整装置は空気調整装置、散水装置、肥料散布装置、農薬散布装置、照明装置のうちの少なくとも一つであるのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明者等は、動植物の育成装置において装置を大型化させずに外部からの供給電力を削減することを目的として鋭意検討を重ねた結果、太陽電池として透光性のものを用いて、これを容器の外周壁に配設することにより前記目的が達成できることを見出し本発明をなすに至った。
【0008】すなわち太陽電池を使用することによりまず外部からの供給電力の削減が図れ、そして容器内への光照射を妨げることのない透光性の太陽電池を使用することによって、容器の外周壁に太陽電池を設けることが可能となり装置の大型化が回避できるのである。
【0009】本発明で使用する透光性太陽電池としては、透光性を有する太陽電池であれば従来公知のものが使用でき、例えば薄型アモルファスシリコン系太陽電池や色素増感型太陽電池などが使用できる。この中でも透光性などの点で色素増感型太陽電池が好ましい。
【0010】この色素増感型太陽電池とは、レドックス系を含む電解質溶液と色素を吸着させた半導体光電極、対極とを備えた電池であって、半導体光電極に吸着させた色素の増感作用により太陽光の可視光域を十分に、且つ安定的に利用しようとするものである。
【0011】使用できる半導体光電極としては、透光性と導電性を有するものであれば特に限定はなく、例えばチタニア膜を表面に形成した導電性ガラスや導電性樹脂などが挙げられる。
【0012】また色素としては、例えばルテニウム錯体やローズベンガルやシアニン、メロシアニン、フタロシアニン、クロロフィルなどが挙げられる。この中でも増感作用の点からルテニウム錯体が望ましい。代表的ルテニウム錯体の構造を図6に示す。この色素はカルボキシル基によりチタニア膜表面に化学的に固定される。このカルボキシル基が増感色素からチタニアへの電子移動を効率的に進めるので増感作用が優れていると推測される。
【0013】レドックス電解質としては、ヨウ化カリウムやフェロシアン化カリウム、ハイドロキノンなどが挙げられる。中でもエチレンカーボネート(80vol%)とアセトニトリル(20vol%)の混合溶媒にヨウ素とテトラプロピルアンモニウムアイオダイドを加えたものでI-/I3-酸化還元対として使用するものが好ましい。
【0014】対極としては、透光性と導電性を有するものであれば特に限定はなく、例えばITOやネサ膜などの透明導電性膜を使用できる。
【0015】色素増感型太陽電池の構造の一例を図7に示す。フッ素ドープした酸化スズ導電性膜12をガラス表面11に形成した導電性ガラス電極10と、透明性電極からなる対極13とを離隔対向位置に配置し、その間にレドックス電解質14を充填する。前記の導電性ガラス電極10にチタニアコロイドを積層し、450℃程度で焼成してチタニア多孔質膜15を形成する。この多孔質膜15は10〜30nm程度のチタニア粒子の積層からできており、非常に多くの細孔を有している。膜厚は10ミクロン程度である。そしてこのチタニア多孔質膜15に増感色素であるルテニウム錯体を固定する。
【0016】このような色素増感型太陽電池の作用を次に説明する。図7の上方向から太陽電池に光が照射されると、増感色素は可視光を吸収して励起し、電子的基底状態から励起状態へと遷移する。励起された増感色素の電子はチタニア多孔質膜15の伝導体へ移動し、増感色素は酸化状態となる。導電性ガラス電極10に移動した電子は導線を通って対極13に移動する。
【0017】一方酸化された増感色素は、還元状態の電解質(I-)から電子を受け取り、基底状態に戻る。酸化された電解質(I3-)は対極13から電子を受け取り、還元状態の電解質(I-)に戻る。以下この循環が繰り返されて電気が起こされる。
【0018】このような透光性太陽電池を、動植物を育成する容器の外周壁の少なくとも一部として配置する。透光性太陽電池を組み込んだ外周壁の一例を図8に示す。図8は外周壁の断面図である。なお図7と同じ部材については同じ符号とする。容器の外周壁を構成する2枚の透光性部材21,22が離隔平行して配置され、この透光性部材21,22の間に前記の太陽電池1が配置されている。太陽電池1の導電性ガラス電極10と対極13に接続される端子32がフレーム31にそれぞれ設けられ、この端子32から電極33を通って電力が供給される。なお前記透光性部材21,22は透光性を有するものであれば特に限定はなく、例えばガラス部材、プラスチック部材などを用いることができる。
【0019】本発明の動植物を育成する容器の材質や形状に特に限定はなく、育成する動植物の種類や数などから適宜決定すればよい。もちろん複数の材質のものを用いてもよい。例えば板状部材で直方体とした構成の容器であってもよいし、あるいは一面だけを透光性太陽電池を有する板状体とし、それ以外の面を容器内の動植物が通過できない程度の目開きを有する網や透光性の板状物とした構成であってもよい。またこれまで植物育成用のビニールハウスとして知られているような形状としてもよい。
【0020】本発明における環境調整装置としては、容器内の動植物育成するために必要な装置であれば特に限定はなく、例えばエアーポンプや濾過装置などの水質維持装置や、照明装置、飼料供給装置、換気扇や冷暖房設備などの空気調整装置、散水装置、肥料散布装置、農薬散布装置などが挙げられる。
【0021】以下、本発明の動植物育成装置について図に基づきさらに説明する。なお本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。図1は断面矩形状の容器の断面図である。容器の外周壁は2枚のガラス部材21,22からなり、それらガラス部材の間に透光性太陽電池1が形成されている。この太陽電池1は、導電性ガラス10と対極13とが離隔平行して設けられ、導電性ガラス10と対極13との間には電荷質溶液14が充填され、そして導電性ガラス10の表面には増感色素を固定したチタニア多孔質層15が形成されている。太陽電池1の両端部は封入材23で密封されている。
【0022】図1の容器を水槽として使用した場合を図2に示す。図2は水槽の断面図である。前記の太陽電池1で発電された電力は、エアーポンプ41を作動させて水槽に酸素を供給し、さらに飼料供給装置42を作動させて所定時間ごとに飼料を供給する。また、基体に酸化チタンを被覆した粒状物あるいは酸化チタンを含有するシート状物43を水槽の底部に配置しておけば、酸化チタンの光触媒としての作用により魚などから排出された汚物が分解浄化され、水槽内の水質の悪化を有効に防止することができる。ここで前記酸化チタンの中でも大きな活性が得られる点からアナターゼ型結晶の使用が推奨される。このような構成の装置によれば、装置の大型化を招くことなく外部からの供給電力を削減できる。なお太陽電池で発電された電力で作動させる環境調整装置として、前記装置に限らず、照明装置など動植物の育成に必要な装置を適宜使用すればよい。
【0023】次に前記容器が温室の場合について説明する。図3は、透明樹脂シートなどからなる側壁61と、透光性太陽電池1を一部に備えた透光性部材からなる屋根62とを有する温室であり、環境調整装置として散水装置44と空気調整装置45が配設されている。各装置は制御部47で制御されており、例えば散水装置44は所定時間毎に散水を行い、また空気調整装置45は温室内の温・湿度の測定値に基づき制御される。これら装置の動力には、温室の屋根62に設けられた前記透光性太陽電池1で発電された電力を用いる。図4にこの温室の回路図を示す。透光性太陽電池1で発電された電力は整流作用を有するダイオード48を介してスイッチ(SW)49に送電され、ここで制御部47からの信号により蓄電池46と環境調整装置44,45とに送電先が切り替えられる。例えば昼間の場合には、各装置44,45が作動しているときは、スイッチ49は装置側に切り替えられて太陽電池1の発電電力は各装置に送電される。他方、各装置が作動していないときは、スイッチ49が蓄電池46側へ切り替えられて太陽電池1の発電電力は蓄電池46に蓄えられる。そして夜間には、昼間に蓄電池46に蓄えられた電力で各装置は作動する。
【0024】また図3に示す温室において、透光性太陽電池が吸収する波長と異なる波長で発電する第2の太陽電池を温室内にさらに設けてもよい。この場合第2の太陽電池は透光性でなくても構わない。このような温室の制御としては、例えば昼間の前記各装置の作動電力として第2の太陽電池で発電された電力を主として用い、透光性太陽電池で発電された電力は蓄電池に専ら蓄える。そして夜間は、昼間に蓄電池に蓄えた電力を各装置の作動電力として用いるのである。これにより外部からの供給電力の一層の削減が図れる。
【0025】次に本発明の装置が昆虫の育成装置である場合について説明する。図5に育成装置の断面図を示す。なお図1〜図4と同じ部材および部分については同一の符号とする。容器2は透光性の樹脂部材で直方体状に形成され、その上面63の内周面には透光性太陽電池1が配設され、その下側はガラス部材22で保護されている。環境調整装置としては、入射光調整装置50と空気調整装置45とが設置されている。各装置は制御部47で制御されており、例えば入射光調整装置50では、容器内の温度が所定温度を維持するよう入射光量が調整制御される。入射光調整装置としては例えば電動ブラインドなどを用いることができ、ブラインド羽根の開閉度合いを調整することにより容器2内への入射光量を調整すればよい。また空気調整装置45では、容器2内の温・湿度が一定値を維持するように制御される。これら装置の作動電力として、透光性太陽電池1で発電された電力を使用する。
【0026】図5の育成装置の制御回路は図4の制御回路と基本的に同じであり、各装置が作動しているときは、透光性太陽電池で発電された電力をそのまま各装置に送電して使用する。他方各装置が作動していないときは、透光性太陽電池で発電された電力を蓄電池に蓄え、夜間の装置作動などに使用する。
【0027】
【発明の効果】本発明の動植物の育成装置では、動植物を育成する容器の外周壁の少なくとも一部に透光性太陽電池を配設し、この透光性太陽電池で発電された電力によって、前記環境調整装置を作動させるので、育成装置の大型化を招くことなく外部からの供給電力の削減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006079
【氏名又は名称】ミノルタ株式会社
【出願日】 平成11年11月18日(1999.11.18)
【代理人】 【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
【公開番号】 特開2001−136863(P2001−136863A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−327681