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【発明の名称】 動物の排泄物用処理剤
【発明者】 【氏名】中野 佳彦

【氏名】田内 賢

【氏名】西原 景哲

【氏名】亀井 正治

【要約】 【課題】尿等の吸水速度が十分であって、尿が下方まで浸透せず、かつ尿を吸収した後で強固な固まりとなる、扱いやすく、処理しやすい動物の排泄物用処理剤を提供する。

【解決手段】吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物と吸水速度が遅く、吸水後の硬さが大きい造粒物の5:5〜2:8の割合の混合物であることを特徴とする動物の排泄物用処理剤。吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物の直径が5mm以下であることがよい。吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物と吸水速度が遅く、吸水後の硬さが大きい造粒物の基材が同一物質からなることがよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物と吸水速度が遅く、吸水後の硬さが大きい造粒物の5:5〜2:8の割合の混合物であることを特徴とする動物の排泄物用処理剤。
【請求項2】 吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物の直径が5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の動物の排泄物用処理剤。
【請求項3】 吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物と吸水速度が遅く、吸水後の硬さが大きい造粒物の基材が同一物質からなることを特徴とする請求項1または2記載の動物の排泄物用処理剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動物、特にペット等の小動物の排泄物用処理剤に関する。更に詳しくは、処理剤を吸水後の状態が異なる2種類の造粒物を混合して調製することによって、猫や犬等のペットの排泄物を速やかに吸収固化して、簡単に効率よく処理でき、かつ軽くて持ち運びやすい、改良された小動物の排泄物用処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ペットの排泄物用処理剤造粒物としてはパルプ、古紙のスラッジ、木粉、鉱物質等の造粒物が知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の動物の排泄物用処理剤では、同一組成で同一配合割合の造粒物を利用していたため、造粒物の硬度は一定であった。そのため硬い造粒物の場合は、吸水すると硬い固まりになるため、持ち運びやすく、べたつかないという利点がある反面、吸水速度が遅く、尿が下方まで到着しやすいという欠点があった。また、脆い造粒物の場合は、吸水速度が速く、吸収力が大きく、更に吸水するとゾルまたは糊状となって、尿が下方まで浸透しないという利点がある反面、吸水すると造粒物がべたつき、処理後扱いにくいという問題があった。
【0004】本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、尿等の吸水速度が十分であって、尿が下方まで浸透せず、かつ尿を吸収した後で強固な固まりとなる、扱いやすく、処理しやすい動物の排泄物用処理剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、吸水性が高い材料として各種物質を調べ、かつその物質同志が相互にくっついて団塊物になる性質を備えると共に吸水性もある物質との組合せを検討し、併せてこれらの物質から得られる造粒物の粒径との関係を研究してきたところ、造粒物の特性としては、尿等の吸水速度の大きさと尿を吸収した後の硬さとは相反性があるため、前記各物質を配合して得る1種類の配合物の造粒物を使用することで、前記の各性質を満足する排泄物用処理剤を得ることは困難であり、むしろそれぞれ各性質を別に満足する造粒物を配合するようにした方が技術的に容易であり、しかもより優れたものが得られることに着目し、その配合のみならず、各造粒物の粒径との関係等まで研究することにより本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明は、次の手段により前記課題を解決することができた。
(1)吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物と吸水速度が遅く、吸水後の硬さが大きい造粒物の5:5〜2:8の割合の混合物であることを特徴とする動物の排泄物用処理剤。
(2)吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物の直径が5mm以下であることを特徴とする前記(1)記載の動物の排泄物用処理剤。
(3)吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物と速度が遅く、吸水後の硬さが大きい造粒物の基材が同一物質からなることを特徴とする前記(1)または(2)記載の動物の排泄物用処理剤。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物と吸水速度が遅く、吸水後の硬さが大きい造粒物を混合することを特徴とする動物の排泄物用処理剤に係るが、造粒物の前記の「吸水後の硬さが小さい」と「吸水後の硬さが大きい」の条件は相対的なものである。前記の「吸水速度が速く、吸水後の硬さが小さい造粒物」(以下「脆い造粒物」ともいう)と「吸水速度が遅く、吸水後の硬さが大きい造粒物」(以下「硬い造粒物」ともいう)の吸水前のその造粒物自体の硬さは、このような性質にするためには、その組成ないし製造法の関係で、前者の方が後者よりも小さくなる傾向にあるが、その硬さの大きさは特に問題とはしない。本発明において脆い造粒物と、硬い造粒物は、同一基材であっても、異種の基材であってもよい。同一基材の場合は、成型助剤等の配合割合を変えて造粒することにより吸水後の硬さを調節することが可能となる。
【0008】本発明で用いる主原料は、製紙工場から排出されるスラッジや新聞、雑誌等の古紙、木粉、籾殻、竹粉、その他ケフナ、トウモロコシ芯材等の植物粉などが挙げられる。前記造粒物の製造方法は、それらの主原料とトビ粉(こんにゃく芋粉)、タブ粉、コンスターチなどの澱粉類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、エチレングリコール、クレー、ベントナイトなどの成形助剤をナウターミキサー、ニーダー、リボンミキサー、万能ミキサー、モルタルミキサーなどの混合装置に入れ、攪拌しながら水で成形できるよう適量入れて混合し、ディスクペレッターやミートチョッパーなどの押出式造粒機や転動式造粒機などで、円筒状もしくは球状に成形造粒する。これらの造粒物は、鉱物質であるクレー、ベントナイトなどの造粒物と同様に粒径、嵩比重、着色、その他の物理生を調節することが可能である。
【0009】必要により、吸水性能や接着性能を向上させる目的で、予めセルロースパウダー、CMC、PEG、吸水性樹脂各々の粉末を前記の混合装置で均一に混合しておいた被覆剤を、適度に湿った前記造粒物に加えて、前記の混合ミキサー又は転動式被覆機中で混合することにより、造粒物表面にむら無く強力に自己接着させることができる。これらの成形された造粒物は乾燥して、排泄物用処理材として得られる。製造の際は、上記原材料を適宜組み合わせて使用することができる。本発明の排泄物用処理材には、必要に応じて、殺虫剤、忌避剤、消臭剤、脱臭剤、芳香剤、防かび剤、防腐剤、抗菌剤、着色剤、猫が好むマタタビのような嗜好成分、嵩比重の調節のために鉱物質の増量剤などを各々0.01〜10重量%含有させることができる。これらは、本発明の排泄物用処理材中に存在していればよく、予め造粒の際に添加してもよい。
【0010】本発明において、造粒物の粒径は1〜20mmあれば使用可能であり、好ましくは1〜5mmがよい。脆い造粒物と硬い造粒物の粒径は、同一でも相違してもよいが、相違する場合は、硬い造粒物の粒径は大きい方が望ましい。本発明において、脆い造粒物と硬い造粒物の配合割合は5:5〜2:8が好ましく、脆い造粒物の配合割合が50%を超えると吸水後べたつきが出てくるのでこのましくない。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、排泄物用処理材の物理的性質については、比較例との比較も行った。
【0012】実施例1〜6及び比較例1〜7実施例においては、第1表に示す組成と第5、7、9表に示す混合比率で製剤を作り、下記の実験を行い、比較例と比較した。また、以下の試験評価項目について、その結果を造粒物の集塊の人工尿吸収後の形状は肉眼観察による印象で示し、物理性状は測定値で示しているが、これらはいずれも猫のトイレ用の猫砂として使用されることを想定したものである。
(造粒物)使用した造粒物の組成を第1表に示す。造粒物は基材と被覆物とからなり、第1表では基材と被覆物の別にその組成を示している。
【0013】
【表1】

【0014】(試験方法)
(1)粒(造粒物)の大きさノギスを用いて、押し出し造粒された粒の直径を測定した。
(2)粒の硬さ株式会社イマダ製DIGITAL FORCE GAUGE MODEL−DPSS50に鋭角歯を装着し、その歯を造粒物の中央部に当て、垂直方向に押し、造粒物が破壊されるまでの力を測定した。
(3)吸水後の粒の硬さ人工尿100ml中に造粒物を1分間浸漬した後、取り出した造粒物の硬さを方法(2)と同じ操作で測定した。使用した人工尿の組成は第2表に示す。
【0015】
【表2】

【0016】(4)吸収力直径90mm×深さ90mmのステンレス製容器(底部は網板を使用)に70mmの高さまで造粒物を入れた。次に、ビュレットの先を造粒物表面の中心より上方に20mm離して固定し、50ml/minの速さで人工尿50mlを滴下し、造粒物の層を通過してくる人工尿の量(A)を測定し、次式にて吸収力を算出した。
吸収力(%)=〔(50−A)/50〕×100【0017】(5)団子(造粒物の集塊)の重量、硬さ、ベタつき、保形性、形状及び浸透距離方法(4)の操作でステンレス製容器内に形成された団子を取り出し、次の操作で各項目を調査した。
■重量電子天秤にて測定した。
■べたつき、保形性団子を手に持ったときの感触にて判定した。
■形状団子を取り出したときの形をスケッチした。
■浸透距離団子の垂直方向の長さをノギスで測定した。
■硬さ株式会社イマダ製DIGITAL FORCE GAUGE MODEL−DPSS50に平面歯(直径16mm)を装着し、その歯を団子の中央部にあて、垂直方向に押し、団子が破壊されるまでの力を測定した。
【0018】(6)猫砂の硬い粒と脆い粒との吸収速度比較■試料硬い粒;トビ粉20%配合品(直径3mm)
脆い粒;トビ粉15%配合品(直径3mm)
■試験方法直径120mm×深さ60mmのポリ容器に人工尿200mlを入れ、試料15mlを投入し、全ての粒が人工尿を吸収して沈降するまでの時間を測定した。
■結果及び考察以下の第3表に示すように、硬い粒より脆い粒の沈降時間が短く、吸収の速いことがわかった。
【0019】
【表3】

【0020】下記の評価結果に関して、団子(造粒物の集塊)のべたつきa)については、評価段階、+:べたつきを感じる、±:ややべたつきを感じる、−:べたつきを感じないで示し、団子の保形性b)については、評価段階、○:変形しない、△壊れないがやや変形する、×:形が壊れる、のいずれも3段階で示した。
【0021】(評価結果)
1.硬さの異なる粒を種々の割合で混合したときの性能比較■粒の性能第4表に示す。人工尿吸収後の団子の形状は、図1の(a)、(b)に断面図として示す。図には上が団子の上部となる。図1(a)では尿が上から来たことを示す。以下同様である。
■配合割合と性能比較第5表に示す。人工尿吸収後の団子の形状は、図2の(c)〜(g)に示す。図には上が団子の上部となる。
【0022】
【表4】

【0023】
【表5】

【0024】2.大きさと硬さの異なる粒を種々の割合で混合したときの性能比較■粒の性能第6表に示す。人工尿吸収後の団子の形状は、図3(h)、図1(b)に示す。図には上が団子の上部となる。
■配合割合と性能比較第7表に示す。人工尿吸収後の団子の形状は、図4の(i)〜(m)に示す。図には上が団子の上部となる。
【0025】
【表6】

【0026】
【表7】

【0027】3.硬く、大きさの異なる粒を種々の割合で混合したときの性能比較■粒の性能第8表に示す。人工尿吸収後の団子の形状は、図3(h)、図1(a)に示す。図には上が団子の上部となる。
■配合割合と性能比較第9表に示す。人工尿吸収後の団子の形状は、図5の(n)〜(p)に示す。図には上が団子の上部となる。いずれも下に流れる形になっている。
【0028】
【表8】

【0029】
【表9】

【0030】
【発明の効果】本発明の動物の排泄物用処理剤は上記のような構成であるので、尿等の吸水速度が異なるため、適度に尿が通過・固化し、その後吸水速度の遅い造粒物によって吸水が進行し強固な固まり状態になるため、扱いやすく、処理しやすい。また、吸水後の硬さが小さい造粒物と硬くなる造粒物の基材が同一であれば、配合割合により硬度の調整が可能であり、最小限の材料費により低コスト化できる。
【出願人】 【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
【出願日】 平成11年9月24日(1999.9.24)
【代理人】 【識別番号】100073874
【弁理士】
【氏名又は名称】萩野 平 (外6名)
【公開番号】 特開2001−86892(P2001−86892A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願平11−270677