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【発明の名称】 釣竿用収納容器
【発明者】 【氏名】松尾 孝洋

【氏名】染野 一隆

【要約】 【課題】収納容器内に収納された釣竿に、ブリスターを発生させたり、強化木材の収縮、膨張、割裂や塗膜・金属被膜の剥離を防止すると共に、収納容器内部に塵や埃等の浸入を防止することができる釣竿用収納容器を提供する。

【解決手段】四方を包囲し両端に開口部を有する共に内部に釣竿Tを収納可能に形成された胴部1と、胴部1の一方の開口部を閉塞する底部3と、胴部1の他方の開口部を閉塞する蓋部2と、を備えた釣竿用収納容器Aにおいて、少なくとも胴部1の側面1Aに通気孔4を設け、通気孔4を通気性防塵シート材5により閉塞した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 四方を包囲し両端に開口部を有すると共に内部に釣竿を収納可能に形成された胴部と、前記胴部の一方の開口部を閉塞する底部と、前記胴部の他方の開口部を閉塞する蓋部と、を備えた釣竿用収納容器において、少なくとも前記胴部側面に通気孔を設け、該通気孔を通気性防塵シート材により閉塞したことを特徴とする釣竿用収納容器。
【請求項2】 前記通気性防塵シート材は、前記通気孔を内側より閉塞していることを特徴とする請求項1に記載の釣竿用収納容器。
【請求項3】前記通気孔の総開孔面積は、前記胴部の総表面積の0.1%〜1%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣竿用収納容器。
【請求項4】 前記通気性防塵シート材は、前記通気孔を完全に閉塞すると共に、前記通気孔の外周で両面貼着材により貼着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の釣竿用収納容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣具用容器に関し、詳しくは、販売展示等において使用する釣竿等を収納するための釣竿用収納容器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に釣竿は、工場で製造された後、例えば、実開昭57−1570号公報に記載されているような収納容器に梱包して出荷され、収納容器に収納されたまま店頭の陳列棚に陳列される。
【0003】このような釣竿用収納容器は、例えば、ポリエチレンテフタレート(PET),ポリプロピレン(PP),塩化ビニル(PVC)等の透明性を有する合成樹脂材により形成されているものが多く、運搬中や保管中の釣竿を外的損傷から保護していると共に、釣具店の陳列棚に陳列した際に、その内部に収納された釣竿が視認できるような構造になっている。
【0004】また、収納容器内に塵や埃が侵入し、釣竿が汚れたり、収納容器内で釣竿が動いた際に釣竿が収納容器内面等とこすれ、釣竿表面に細かい擦り傷をついてしまうことを防止しするため、収納容器内に空気が出入することを抑えた、ほぼ密閉された構造になっている。
【0005】ところで、一般に釣竿は、カーボン繊維等の補強繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻回し、熱硬化処理をすることによって形成されている。このようにして形成された釣竿は、特開平3−10631号公報等で開示されているように、その表面に、エポキシ樹脂系塗料,ウレタン樹脂系塗料,フッ素樹脂系塗料等による塗膜を形成したり、特開平9−201146号公報等に見られるように、イオンプレーティングや真空蒸着等を用いてアルミニウム等の金属被膜を形成し、その上に透光性のシリコーン樹脂系塗料を塗布することによって、釣竿に良好な外観を持たせると共に、ブリスター現象の発生や外観の損傷等を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように釣竿は、外的損傷や水分に対する保護が幾重にも施されているにもかかわらず、展示販売する以前の釣竿に不具合が起きてしまうことがある。
【0007】例えば、工場から出荷された釣竿を物流倉庫等で一時保管する場合を想定すると、上述したように釣竿は、合成樹脂製の収納容器に収納されたまま保管されることとなる。
【0008】すると、ほぼ密閉された状態の収納容器の内部に存在する水蒸気が、収納容器外の気圧や温度の変化等により、収納容器の内部で結露を引き起こす。そして、その水蒸気や水滴が、釣竿の内周面等、保護が施されていない部分から釣竿内部に浸透し、焼成されたプリプレグの層や表面被膜層に層間剥離を引き起こす、いわゆる、ブリスター呼ばれる現象を発生させてしまうのである。
【0009】特に、夏場等には収納容器内部の蒸れはひどく、一晩倉庫等に安置するうちに、収納容器内部で結露を起こしてしまい、収納容器内に納められた台紙や取扱説明書等に水滴が付着して変形させてしまったり、釣竿にブリスターを発生させてしまう。また、ときには、釣竿の竿尻等の部品に使用されている強化木材に収縮や膨張、割裂等を生じさせてしまうということもある。
【0010】本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的とするところは、収納容器内部に収納された釣竿に、ブリスターを発生させたり、強化木材の収縮、膨張、割裂や塗膜・金属被膜の剥離を防止すると共に、収納容器内部に塵や埃等の進入を防止することができる釣竿用収納容器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、収納容器の少なくとも胴部に通気孔を設けることで上記問題点を解決できることを見出し、この知見により本発明を完成させた。
【0012】すなわち、本発明が講じた技術的手段は、(1)、四方を包囲し両端に開口部を有すると共に内部に釣竿を収納可能に形成された胴部と、前記胴部の一方の開口部を閉塞する底部と、前記胴部の他方の開口部を閉塞する蓋部と、を備えた釣竿用収納容器において、少なくとも前記胴部側面に通気孔を設け、該通気孔を通気性防塵シート材により閉塞したことにある。
【0013】この技術的手段によれば、釣竿用収納容器の少なくとも胴部側面に通気孔を設けることで、釣竿用収納容器の正面にステッカー等を貼着したり、背面の内部に台紙等を挿入したとしても、釣竿用収納容器内に通気性を確保することができ、釣竿用収納容器内外の温度、湿度、気圧等を均一化することができる。また、店頭の陳列棚に展示された際には、一般に長辺側の側面を斜め上にした状態で立てかけられるため、正面から通気孔が目立たなくなり、側面に開孔された通気孔から塵や埃等が侵入し難くなる。さらに、通気孔を通気性防塵シート材により閉塞することで、釣竿用収納容器内の通気性を確保したまま、釣竿用収納容器内に塵や埃等が浸入することを防止することができる。
【0014】これにより、釣竿用収納容器内に存する水蒸気を釣竿用収納容器外に放出することが可能となり、釣竿用収納容器内での結露の発生を防止でき、内部に収納された釣竿にブリスターを発生させたり、強化木材に収縮や膨張、割裂等を引き起こすことを防止することができると共に、塵や埃等の浸入によって釣竿が汚れたり、表面に擦り傷が付くことを防止することができる。
【0015】また、(2)、上記(1)に記載の釣竿用収納容器において、前記通気性防塵シート材は、前記通気孔を内側より閉塞していることにある。
【0016】この手段によれば、釣竿を運搬される際に他の釣竿用収納容器と擦れたりすること等により、通気性防塵シート材が釣竿用収納容器から剥離されてしまうことを防止することができる。
【0017】また、(3)、上記(1)又は(2)に記載の釣竿用収納容器において、前記通気孔の総開孔面積は、前記胴部の総表面積の0.1%〜1%であることにある。
【0018】この技術的手段によれば、釣竿用収納容器における胴部の総表面積に対する通気孔の総開孔面積を0.1%〜1%に設定することで、釣竿用収納容器内に収納された釣竿に通気性を充分確保することができると共に、釣竿用収納容器の十分な剛性を十分に確保することができる。好ましくは、釣竿用収納容器の潰れ等に対する剛性を維持するために、通気孔を胴部側面の幅、すなわち、胴部の断面における短辺の長さに対し、約25%以下の直径となる略円形状に形成するとよい。
【0019】さらに、(4)、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の釣竿用収納容器において、前記通気性防塵シート材は、前記通気孔を完全に閉塞すると共に、前記通気孔の外周で両面貼着材により貼着されていることにある。
【0020】この技術的手段によれば、通気孔を完全に閉塞するため、釣竿用収納容器内への塵や埃などの浸入を確実に防止することができると共に、通気孔の外周で貼着しているため、通気孔の通気性が損なわれることを防止し、通気性防塵シート材に釣竿用収納容器外部からの耐圧強度を備えさせることができる。
【0021】この場合、通気性防塵シート材のコストを低く抑えると共に、通気性防塵シート材の外部からの耐圧強度を確保するため、通気性防塵シート材は、通気孔の縁より1mm〜5mm程度の余裕をもたせるように通気孔を閉塞し、両面貼着材による貼着幅を1mm以上とることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を図面にもとづいて詳細に説明する。図1は、本発明における釣竿用収納容器Aを示した図であり、(A)に正面図、(B)に側面図、(C)に(B)の矢視線C−Cの断面図をそれぞれ示している。図中1は胴部を、2は蓋部を、3は底部をそれぞれ示している。
【0023】胴部1は、釣竿Tを収納可能な長さを有し、内部に収納される釣竿Tを視認することができるように、透明性を有する合成樹脂のシート材(例えば、PET等)を折り曲げて、接合部を接着剤で接着し、断面が略長方形の筒状に形成されている。
【0024】蓋部2及び底部3は、断面が胴部1よりも若干大きく、略長方形の筒状に形成された筒部21,31と、天面22及び底面32とが一体に形成されており、胴部1の両端に外嵌し、胴部1の両端開口部を閉塞できるようになっている。そして、胴部1の一方の図示しない開口部に底部3を外嵌して接着剤で固定し、他方の開口部11aに蓋部2を着脱自在に外嵌することで、釣竿用収納容器Aが形成されている。
【0025】蓋部2及び底部3は、例えば、EVA(エチレン酢酸ビニル)系樹脂等が用いられ、運搬する際に釣竿用収納容器Aに加えられる外的衝撃を緩和することができるようになっている。
【0026】胴部1の断面における短辺1a側の両側面1A,1Aには、釣竿用収納容器A内部に通気性を確保するための通気孔4が複数形成されている。これらの通気孔4は、胴部1の全長に亙って一定の間隔をあけて設けられており、釣竿用収納容器A全体の通気性を確保し、釣竿収納容器A内部が局部的に蒸れることを防止している。通気孔4,4どうしの間隔は、容器全長にもよるが、釣竿用収納容器Aの強度及び内部に存在する空気の均質化を図るため、好適には100mm〜300mm程度の間隔に形成することが好ましい。
【0027】通気孔4は、釣竿用収納容器A内部の水蒸気を迅速に発散させることができる通気性と、釣竿用収納容器Aの剛性を十分確保することができるように、胴部1全体の総面積に対する総開孔面積が0.1%〜1%となるように形成されている。好適には、釣竿用収納容器Aの潰れに対する強度を維持するために、短辺1aの長さに対する個々の通気孔4の孔径を25%以下となるように設定することが好ましい。
【0028】これら複数の通気孔4,4,…は、気体に対して透過を許し、固体や液体に対して透過を許さない通気性防塵シート材5,5,…によってそれぞれ閉塞されている。以下、通気性防塵シート材5について図2にもとづいて説明する。図2は、図1に使用されている通気性防塵シート材5の拡大断面図を示している。
【0029】図2(A)に示すように、通気性防塵シート材5は、ポリエステル、ナイロン等からなるシート状の主素材51と、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン等からなる複素材52とよりなる。この複素材52は、空気、水蒸気等の気体に対し透過性を有し、塵、埃等の固体や、水、油等の液体に対しては透過性を有さないものが用いられ、主素材51を被覆している。ここで、複素材52は、シート状のものを用いてもよいし、主素材51にコーティングするものであってもよい。また、図2(B)に示すように、複素材52を二枚の主素材51,51で挟んだものを用いてもよい。
【0030】通気性防塵シート材5は、主に複素材52にポリウレタンを用いた無孔質のものと、複素材52にポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン等を用いた多孔質のものとに分類される。複素材52が無孔質のものは、通気性と親水性とを有し、液体及び固体に対し透過性を持たず、複素材52中に水分を吸収する。そして、複素材52中に吸収された水分が飽和状態になると主素材51を透過し、外部に水蒸気が放出される性質を持つものである。一方、複素材52が多孔質のものは、約0.01μm〜0.4μmの径を有する微細孔を多数備えている。そのため、微細孔径以下の大きさの気体に対しては透過性を有するが、それ以上の大きさを有する塵や埃等に対しては透過性を有さないという性質を持つ。
【0031】本発明において使用される通気性防塵シート材5は、多孔質及び無孔質のどちらを用いてもよいが、気圧の急激な変化に対応でき、釣竿用収納容器A内の水蒸気を外部へすばやく発散できるものが望まれるため、好適には、複素材52が多孔質からなるものが選ばれる。
【0032】通気孔4を通気性防塵シート材5により閉塞する際には、通気性防塵シート材5の剥離を防止するため、通常、人の手に触れることのない釣竿用収納容器Aの内側から両面貼着材6によって貼着し、通気孔4を閉塞する。この両面貼着材6としては、密着性が良く、貼着時の気密性が高い、例えば、アクリル系の接着剤や両面テープ等が使用される。
【0033】通気性防塵シート材5は、外部からの耐圧強度を確保し、且つ通気性防塵シート材5の使用コストを低く抑えるため、少なくとも通気孔4を完全に閉塞し、通気孔4の縁より1mm〜5mm程度の幅の余裕をもたせるような形状に形成される。そして、通気孔4を完全に閉塞し、通気孔4の外周の余った部分で両面貼着材6によって釣竿用収納容器Aに貼着される。好適には、通気性防塵シート材5の確実な耐圧強度を確保するため、両面貼着材6による貼着幅Wを1mm以上とることが好ましい。即ち、通気性防塵シート材5の大きさは、略円形状の通気孔4に対して大きく、通気孔4を閉塞し得るだけの大きさがあれば足りる。また、通気性防塵シート材5の形状は限定するものではないが、好適には、通気孔4と同様に略円形状のであることが好ましい。
【0034】このように、釣竿用収納容器Aを構成することで、内部に収納される釣竿Tに外的損傷から保護すると共に、通気性を十分確保することができ、釣竿用収納容器A内に存在する水蒸気を発散させ、ブリスターや、釣竿Tの部品に使用されている強化木材の割裂の発生等を防止することができる。
【0035】また、通気孔4を胴部1の側面1Aに設けてあるため、胴部1の断面における長辺1b側の側面、即ち正面1Bにラベルやステッカー等を貼着することもできるし、釣具店の陳列棚に展示された場合でも、正面1Bの外観を損なうことがなく、長辺1c側の側面、即ち背面1Cの内側に台紙P等を挿入しても、通気孔4が塞がれて内部の通気性を阻害することもない。
【0036】しかも、通気性防塵シート材5によって通気孔4を釣竿用収納容器Aの内側から閉塞していることにより、釣竿用収納容器A内部で結露を起こす前に水蒸気を容器外へ発散することができ、釣竿用収納容器A内への塵や埃等の侵入が防止して、釣竿Tを汚したり擦り傷をつけることを防止すると共に、通気性防塵シート5の剥離を防止することができる。
【0037】以上、本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、その本質から逸脱しない限り、他のどのような形態であってもよい。例えば、胴部1は、蓋部2及び低部3と一体に形成されたものであってもよいし、断面形状を略長方形に形成する必要はなく、円形や楕円形に形成してもよい。また、通気孔4は、釣竿用収納容器Aの両側面に設ける必要はなく、一方の側面にのみ形成してもよいし、通気孔4の形状や配置間隔などを限定するものでもない。
【0038】
【効果】請求項1によれば、釣竿用収納容器内に存する水蒸気を釣竿用収納容器外に放出することが可能となり、釣竿用収納容器内での結露の発生を防止でき、内部に収納された釣竿にブリスターを発生させたり、強化木材に収縮や膨張、割裂等を引き起こすことを防止することができると共に、塵や埃等の浸入によって釣竿が汚れたり、表面に擦り傷が付くことを防止することができる。
【0039】また、請求項2によれば、釣竿を運搬される際に他の釣竿用収納容器と擦れたりすること等により、通気性防塵シート材が釣竿用収納容器から剥離されてしまうことを防止することができる。
【0040】さらに、請求項3によれば、釣竿用収納容器内に収納された釣竿に通気性を充分確保することができると共に、釣竿用収納容器の十分な剛性を十分に確保することができる。
【0041】そして、請求項4のように、通気孔を完全に閉塞することで、釣竿用収納容器内への塵や埃などの浸入を確実に防止することができると共に、通気孔の外周で貼着しているため、通気孔の通気性が損なわれることを防止し、通気性防塵シート材に釣竿用収納容器外部からの耐圧強度を備えさせることができる。
【出願人】 【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
【出願日】 平成11年8月20日(1999.8.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−57835(P2001−57835A)
【公開日】 平成13年3月6日(2001.3.6)
【出願番号】 特願平11−272928