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【発明の名称】 園芸用シート
【発明者】 【氏名】永田 良平

【氏名】中村 瑠奈

【氏名】伊東 有道

【要約】 【課題】断熱性が良好であり、植物にとって生育や保管に好適な環境を現出できる園芸用シートを提供する。

【解決手段】園芸用シート10を、中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物からなる薄膜の断熱性シートで構成する。種苗シート1を始めとして、植木鉢やプランターの断熱用、各種の保管容器の断熱用などに用いることができ、夜間や冬期においても、植物にとって生育や保管に好適な環境を現出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物からなる薄膜の断熱性シートで構成したことを特徴とする園芸用シート。
【請求項2】 断熱性シートは、中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物が含浸性基材の少なくとも一部に含浸したものであることを特徴とする請求項1に記載の園芸用シート。
【請求項3】 断熱性シートは、その片面もしくは両面に被覆層が積層されたものであることを特徴とする請求項2に記載の園芸用シート。
【請求項4】 断熱性シートが装飾を伴ったものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の園芸用シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種苗シートを始めとして、植物の生育補助、保管などに好適に用いられる園芸用シートに関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、この種の園芸用シートとしては、合成樹脂製のシートが一般的に使用されているが、合成樹脂製のシートは、断熱性が良好でないために、夜間や冬期における植物の生育がよくなく、場合によっては枯れてしまうこともあった。また、合成樹脂製のシートでは、害虫を駆除する機能はない。
【0003】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱性が良好であり、植物にとって生育や保管に好適な環境を現出できる園芸用シートを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の園芸用シートは、中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物からなる薄膜の断熱性シートで構成したことを特徴としている。
【0005】また、上記構成の園芸用シートにおいて、断熱性シートは、中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物が含浸性基材の少なくとも一部に含浸したものであることを特徴としている。
【0006】また、上記構成の園芸用シートにおいて、断熱性シートは、その片面もしくは両面に被覆層が積層されたものであることを特徴としている。
【0007】また、上記構成の園芸用シートにおいて、断熱性シートが装飾を伴ったものであることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】図1は本発明に係る園芸用シートを適用した種苗シートの斜視図である。同図に示すように、種苗シート1は、細長い園芸用シート10に複数の定植孔2を配列して形成されている。この種苗シート1の使い方は従来のものと同様であり、土の表面にセットされた状態で、定植孔2に植物の苗を固定して栽培するのに使用される。そして、この種苗シート1を構成する園芸用シート10は断熱性シートであるため、種苗シート1で覆われた地面の熱が外気に逃げず、苗が良好に生育することができる。また、種苗シート1は、薄膜のシート状であるので、自由に切ったり抜いたりすることができる。また、害虫忌避物質を予めシートに塗布又は練り込んでおくことにより、害虫駆除の副次的効果も期待できる。
【0010】図2は本発明に係る園芸用シートを適用した植木鉢の断面図、図3は同じくプランターの断面図である。図2に示す植木鉢3は内面及び外面の両方全てに園芸用シート10を装着してあり、図3に示すプランター4は側壁の内外面に園芸用シート10を装着してある。なお、植木鉢3とプランター4はプラスチック成形品でも陶器製でもよい。このように、植木鉢やプランターの内側と外側の少なくとも一方に園芸用シート10を装着しておけば、園芸用シート10が断熱シートであるため、夜間や冬期でも土壌の保温が保たれる。
【0011】図4は本発明に係る園芸用シートを適用した腐葉土の調製・保管容器の断面図である。同図に示すように、この保管容器5は、容器本体6と蓋7の組合せからなっており、容器本体6の内面全体と外面の一部に園芸用シート10が装着され、また蓋7の内外面の一部に園芸用シート10が装着されている。このように、容器の内側と外側の少なくとも一方に園芸用シート10を装着しておけば、容器の中の熱が逃げないので、季節に関わらず、常時良好な腐葉土を作ることができる。
【0012】図5は本発明に係る園芸用シートを適用した薦(こも)を巻いた樹木の斜視図である。薦とは、樹木の幹に巻き付けて害虫を駆除するためのものである。樹木の害虫は冬期になると暖かい場所を好んで仮死状態になる。そこで、例えば首都圏では12月頃に、通常薦と称するわらで編んだ幅30cm位の筵(むしろ)を松などの幹に1周以上巻き付け、その上から荒縄などで縛って固定しておく。すると、害虫は幹を上って暖かいわらの中に潜り込んでじっとしている。立春の頃にそのわらをそっと外し、全て燃やしてしまう。これにより害虫の駆除を実に効果的に行うことができるというものである。
【0013】図5に示す薦は、幅30cm位の帯状の園芸用シート10からなるもので、これを樹木の幹8に巻いてある。このように従来のわらに代えて園芸用シート10を薦に用いることにより、材質、触感、柔軟性等について樹木に対応したものを選ぶことができる。そして、冬期の雨や雪から幹側を遮断して害虫に快適な環境を作ることができる。また、シートの表面に化粧を施すことにより意匠性に富んだデザインを付与できる。また、シートにオレフィン系素材を用いることにより、火災で燃焼してもダイオキシンなどの有害ガスが出ない。また、昆虫フェロモンなどを予めシートに塗布又は練り込んでおくことにより、雄又は雌だけを誘引して生殖阻害効果を持たせることもできる。また、シート状であるため、スナップ、マジックテープ(登録商標)、粘着剤などを用いて容易に固定する工夫も可能である。
【0014】本発明の園芸用シートは、中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シートからなるが、この断熱性シートは、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の合成樹脂の発泡シートであってもよい。
【0015】断熱性シートの厚みとしては、厚い方が断熱性能が優れているが、剛性が増して、園芸用シートとして使いにくくなるので、0.2〜10mm程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5mm程度である。
【0016】図6は含浸タイプの断熱性シートを例示した断面図で、図6(A)の断熱性シート20は、高分子マトリックス21中に中空粒子22を内包した樹脂組成物が含浸性基材24に含浸したもの、図6(B)の断熱性シート20は、高分子マトリックス21中に気泡23を内包した樹脂組成物が含浸性基材24に含浸したもの、図6(C)の断熱性シート20は、高分子マトリックス21中に中空粒子22および気泡23の両方を内包した樹脂組成物が含浸性基材24に含浸したものである。
【0017】なお、含浸タイプにおいては、含浸性基材24の一方の面から他方の面に到達しない部分含浸(厚み方向の一部への含浸)を行って、他方の面の近傍に未含浸の部分を残すこともあり、未含浸の部分には接着剤が浸透しやすいので、接着性を向上させることができる。
【0018】中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物からなるシートの単独タイプのものは、図6に示す含浸タイプのものから、含浸性基材24を除いたものであり、含浸性基材24を除去し、片面に基材を積層したものが、積層タイプに相当する。
【0019】断熱性シート20に被覆層を積層した形態を採ることもできる。図7は断熱性シート20に被覆層を積層した例で、図7(A)は断熱性シート20の片面に被覆層25を積層した例を示しており、図7(B)は断熱性シート20の両面に被覆層25を積層した例を示している。被覆層25を積層することにより、断熱性シート20の表面を平滑化し、接着剤や着色、印刷を良好にし、また素材にもよるが、断熱性シート表面の強度を向上させるか、もしくは断熱性シートの吸湿性を抑制することができる。
【0020】中空粒子としては、アクリル、アクリルニトリル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂等の合成樹脂を素材とする有機質のものや、シリカ、アルミナ等を主成分とする無機質のものがあり、天然品としては、火山性のシラスバルーンのようなものも利用できる。また、後述する親水性や疎水性の中空粒子も使用可能である。
【0021】また、気泡を発生させるための発泡剤の一種であるマイクロカプセル型のものであって、予め発泡させたものを使用することもでき、このようなマイクロカプセル型発泡剤の発泡済のものも中空粒子として扱える。マイクロカプセル型発泡剤の発泡済のものの例として、松本油脂製薬(株)製の中空粒子(品番で「F−80ED」、もしくは「F−80E」)は、密度が0.02g/cm3 と小さいので、熱伝導性の抑制に効果的であり、使用することが好ましい。
【0022】一般的に入手が可能で、利用できる中空粒子の粒径は、0.3〜300μmの範囲であり、これらの中から選択して1種類または2種類以上を使用する。
【0023】中空粒子自体は比較的丈夫なため、圧縮等の外力にも耐えるが、中空粒子を合成樹脂塗料組成物、特に合成樹脂エマルジョン系塗料組成物に分散させるときは、攪拌操作により塗料組成物中に気泡が入り込みやすい。
【0024】気泡は、断熱性を向上させる上で役立つので、意図的に気泡を発生させたり、或いは、マイクロカプセル型や分解型等の化学発泡剤等を使用して発泡させ、気泡を発生させるとよい。中空粒子を伴わず、気泡のみでも断熱性を与えることができる。
【0025】中空粒子または気泡のいずれかを利用して断熱性シートを作製して使用したり、中空粒子および気泡を合成樹脂塗料組成物中に分散させたものを用いて断熱性シートを作製して使用すると、中空粒子および/または気泡のつぶれにより、断熱性が経時的に低下する傾向が見られるので、断熱性シートの耐圧縮性を向上させるため、中空粒子の選択を次のような3通りの方式で行うことが好ましい。
(1)粒径の異なる中空粒子のブレンド。
(2)親水性中空粒子の疎水性中空粒子とのブレンド。
(3)粒径の異なる親水性中空粒子と疎水性中空粒子とのブレンド。
【0026】上記(1)の粒径の異なる中空粒子のブレンドで、大きい中空粒子の間を小さい中空粒子が埋めるためには、大きい方の中空粒子の直径aと小さい方の中空粒子の直径bの関係は、b≧a(2−31/2 )/31/2 であり、これを計算すると、b≧0.155aである。また、最も疎な充填である体心立方の場合には、b=a(2−21/2 )/21/2 であり、これを計算すると、b=0.414aである。したがって、0.155a≦b≦0.414aとなり、直径aの中空粒子にブレンドするための中空粒子の直径bが規定される。
【0027】因みに、最も密な六方細密充填の場合に、直径aの中空粒子の空隙に直径bの中空粒子が隙間なく、ちょうど入り込むためには、b=2a(11/3)1/2 /3であり、これを計算すると、b=0.277aである。
【0028】先に述べたように、入手し得る中空粒子の粒径は、0.3〜300μmの範囲であるので、この中から、上記の関係を満たす中空粒子の大小の組み合わせを選択して使用する。
【0029】上記において、直径aの中空粒子の単位当たりの粒子の数N(a)と、直径bの中空粒子が入れる空隙の数N(b)との関係は、六方細密の場合で、N(b)/N(a)=8:6であり、体心立方の場合、N(b)/N(a)=4:2である。これを整理すると、1/2≦N(a)/N(b)≦3/4であり、それぞれの直径の中空粒子をブレンドする際の重量比は、充填の疎密の度合いを決めた後、中空粒子の数の比、各中空粒子の比重・粒径からの計算で求める。
【0030】上記(1)の粒径の異なる中空粒子のブレンドを、このような条件下で行い、高分子マトリックス中に分散させて作製した断熱性シートは、気泡のある部分では、直径の小さい方の中空粒子が直径の大きい方の中空粒子の間に充填されて補強されるため、耐圧縮性が強化され、つぶれにくい構造となる。
【0031】上記(2)の親水性中空粒子と疎水性中空粒子とのブレンドでは、疎水性の中空粒子が空気との親水性の方がより高いために、分散の際に塗料組成物中に取り込まれた気泡を疎水性の中空粒子が取り囲み、外側が疎水性の二次的な粒子を作り、親水性の中空粒子および親水性の樹脂の間に分散した形の断熱性シートとなる。
【0032】ここで、親水性の中空粒子とは、材質が、ガラス、シリカ、シリカ・アルミナ、セラミック、シラス、中空プラスチック、または中空繊維等からなるものであり、また、疎水性の中空粒子としては、これらの親水性の粒子に疎水化処理を行ったものがある。親水性中空粒子と疎水性中空粒子の混合比は、形成したい気泡の大きさ、各中空粒子の粒径および比重から計算で求める。
【0033】上記(3)の粒径の異なる親水性中空粒子と疎水性中空粒子とのブレンドは、上記の(1)および(2)の方式の手段を合わせたもので、粒径の小さい疎水性粒子と粒径の大きい中空粒子とが混合された中空粒子の間に気泡を有した構造の断熱性シートが得られる。この方式では、粒径の大きい中空粒子の間に粒径の小さい疎水性粒子が充填されるので、中空粒子の間に形成される気泡の壁が強化され、つぶれにくい構造の断熱性シートが得られる。
【0034】高分子マトリックスとしては、次に挙げるような樹脂が使用できる。例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン、もしくはアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂の有機溶剤溶液、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾールもしくはポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂であり、これらの樹脂は、水または有機溶剤に溶解した樹脂溶液とすることができる。
【0035】あるいは、スチレンマレイン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂、もしくはウレタン系のエマルジョン、または、天然ゴム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、もしくはブロックコポリマーゴム(SBS、SIS、SEBS等)も使用することができ、これらの樹脂は、有機溶剤溶液ないしラテックス等として利用することができる。
【0036】気泡を生じさせるには、機械的に気体、特に不活性ガス、好ましくは低熱伝導性のガスの泡を塗料組成物中に取り込んで、含浸性基材に含浸させ、加熱発泡させる場合と、以下に述べるような有機化合物からなる化学発泡剤を塗料組成物中に配合して含浸させ、加熱発泡させる場合とがある。
【0037】発泡剤と言うと、一般的には、分解型等の化学発泡剤を指すことが多いが、ここでは、機械的な方法における泡も含めて、発泡剤と称することとし、いずれも利用し得る。
【0038】化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アビゾスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボキシラート、もしくはp−トルエンスルホニルセミカルバジド等のアジ系発泡剤、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、もしくは4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド系、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ系、重炭酸ナトリウム、もしくは重炭酸アンモニウムがある。
【0039】発泡剤の作用から見ると機械的なガスの泡に近いものとして、アクリロニトリル樹脂等を素材とする外壁にイソブタン、ネオペンタン等の低沸点炭化水素を内包させたマイクロカプセル型発泡剤があり、比較的低温での発泡に適している。なお、化学発泡剤を使用するときは、必要に応じ、発泡温度を低下させて発泡しやすくするための発泡助剤を使用してもよい。このようなマイクロカプセル型発泡剤としては、例えば、松本油脂製薬(株)製の発泡剤(品番で「F−46」、「F−50」、「F−55」、「F−80」、もしくは「F−85」)が使用でき、これらは、発泡倍率も20倍以上あり、好ましい。
【0040】これらの発泡剤を用いた塗料組成物を、含浸性基材に塗布ないし含浸させ、加熱発泡させる場合には、乾燥させた後の膜厚の0.1〜100倍とすることが好ましく、0.1倍未満では、発泡による断熱性向上効果が乏しく、100倍を越えると、断熱性はあるものの、圧縮強度が低下するため、つぶれやすくなるためである。
【0041】含浸性基材としては、天然繊維、合成繊維、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維を原料として製造されたフェルト、不織布、布、もしくはこれらの前記繊維を原料として抄造された紙(特に低密度紙)、またはセラミックスシート等のシートであって、これらのいずれかの単層のシート、同じものどうしの2枚以上を積層した、同種のシートの複合シート、もしくは、これらのシートから選ばれた任意の異なるシートを2枚以上積層した、異種のシートの複合シートが使用できる。片面に含浸性がないか、もしくは乏しいシートでもよく、例えば、低透湿性シート等が積層されていてもよい。低透湿性シートは意匠性を付与させた化粧シートであってもよく、この化粧シートは単層であっても2層以上からなる積層体であっても構わない。
【0042】フェルトは、元来は、獣毛を集めて、加湿・加熱しつつ加圧して絡ませ、シート化したものであるが、現在では、原料として天然繊維以外に合成繊維、ロックウール、炭素繊維等も使用されている。不織布は、繊維(天然繊維も扱うが、通常は合成繊維)を紡糸せずに直接、機械的、熱的、または化学的な手段により交絡させてシート化したものである。また、紙は、植物繊維その他の繊維を絡み合わせ、膠着させて製造したもの(JISの定義による)である。
【0043】これらの定義から見ても明らかなように、フェルト、不織布、および紙は、思い浮かべる代表的な製品どうしは相違して見えるものの、本質的には互いに区別のつきにくいものであり、ただ、一般的な紙が、その他のものに比べ、密度が高い点で相違する。
【0044】紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、樹脂含浸紙、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、和紙等も使用できる。より好ましい超低密度紙は、密度が0.1〜0.5g/cm3 が一般的で、一例として0.2g/cm3 程度のものである。
【0045】フェルト、不織布、および布を含めた場合も、密度が0.01〜1g/cm3、好ましくは、0.02〜0.5g/cm3 、より好ましくは、0.02〜0.25g/cm3 である。下限未満であると強度が低くなり、取扱い時に損傷の恐れが増加し、上限を越えると、断熱性が不十分になる。
【0046】布については、繊維としては中空繊維等の断熱性繊維を使用したものが好ましいが、必ずしも、中空繊維等の断熱性繊維でない、通常の繊維を使用したものでも、目付量の少ない、粗い布であれば、使用可能である。
【0047】セラミックスは耐熱性の必要な高温領域の断熱材として主に用いられている。通常、ここで用いられるセラミックスは珪酸カルシウムなど熱伝導率の低い焼結成型体である。セラミックスシートはこのようなセラミックスを繊維状に加工し、シート状にしたもので、各種厚みの製品も市販されている。セラミックスシートの密度としては0.8〜2.3g/cm3 、厚みとしては0.2〜5.0mm程度が好ましい。
【0048】なお、上記において繊維としては、木綿、麻、もしくは羊毛等の天然繊維の単独、もしくは異なる2種以上、または、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、もしくはアクリル等の合成繊維の単独、もしくは異なる2種以上、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、もしくはシリカ繊維等が使用できる。紙の場合には、主に植物繊維のパルプが使用される。また、セラミックスシートを構成する素材としては、狭義のセラミックスであるケイ酸塩に限らず、アルミナ、シリカ、もしくはジルコニアの単独、もしくは異なる2種以上が使用できる。
【0049】以上のような素材を用いて、断熱性シートを製造するには、高分子マトリックスを構成する樹脂、好ましくはその樹脂の水溶液、もしくは有機溶剤溶液、またはエマルジョンと、中空粒子および/または発泡剤、さらには必要に応じ配合しうる各種の添加剤を混合し、塗料組成物を調製してシート化する。シート化の方法としては、剥離性基体に塗布し乾燥後に剥がすキャスティング法、基体に塗布して基体が付着したままで製品とする方法、含浸性基材に含浸して乾燥させる方法等を利用する。
【0050】含浸を行うには、含浸用塗料組成物を満たした槽の中に含浸性基材を浸す方法(いわゆるディッピング)によるか、公知の塗布手段により、含浸性基材の片側もしくは両側から塗布を行う。含浸用塗料が十分浸透してから、余分の含浸性塗料を、適宜なかき取り装置または除去装置、例えば、サクションドクター、ドクターロール、もしくは丸棒にワイヤーを巻き付けたワイヤーバー等により、かき取るかまたは除去し、所定の量の含浸用塗料を含浸性基材に含浸させる。その後、乾燥させることによって断熱性シートが得られる。
【0051】なお、含浸用塗料組成物の粘度、塗布から乾燥までの時間を調節すると、厚みの一部への含浸を行うこともでき、こうすると他方の面の未含浸の部分を利用して、接着剤を浸透させ、接着性を向上させることができる。
【0052】含浸用塗料組成物を構成する素材、特に高分子マトリックスの素材によっては、一旦、比較的低温で乾燥させた後、比較的高温度で乾燥させたり、乾燥の一部、もしくは全部を紫外線照射や電子線照射によって行ってもよい。
【0053】断熱性シート(被覆層を施した複合体も含む)は、そのままの状態でも断熱性を発揮することができるが、長時間使用したり、人や物が接触しやすい部位で使用するには、強度が弱く、破損したり、汚損したり、もしくは吸湿して断熱性を損なう恐れが少なくない。このため、断熱性シートの片面もしくは両面を、さらに別の適当な被覆用シートで被覆することが好ましく、具体的には、湿気を通さない、低透湿性シートを使用することが好ましい。低透湿性シートは意匠性を付与させた化粧シートであってもよい。
【0054】図8及び図9は予め被覆層で片面もしくは両面を被覆された断熱性シートに低透湿性シートを積層した例を示す説明図である。
【0055】図8(A)は、断熱性シート20の片面を被覆層25で被覆され、被覆層25で被覆されていない側に低透湿性シート26を積層した例を示している。この構造のものは、断熱性シート20を製造する際に、被覆層25が基材として積層される場合に適しており、被覆層25も低透湿性とすることが可能である。もちろん、用途によっては、被覆層25のある側に低透湿性シート26を積層し、断熱性シート20の片面を被覆層なしで露出させることもできる。
【0056】図8(B)は、片面を被覆層25で被覆された断熱性シート20の両面に低透湿性シート26を積層した例を示している。この構造のものは、断熱性シート20を製造する際に、被覆層25が基材として積層される場合であって、しかもその被覆層25が強度や吸湿の点で充分でない場合に適している。
【0057】図9(A)は、両面を被覆層25で被覆された断熱性シート20の片面に低透湿性シート26を積層した例を示している。また、図9(B)は、両面を被覆層25で被覆された断熱性シート20の両面に低透湿性シート26を積層した例を示している。
【0058】なお、断熱性シートの両面に低透湿性シートを積層した場合には、低透湿性シートの端部どうしを熱シールするか接着して、断熱性シートを2枚の低透湿性シートにより密封すると、端面からの湿気の侵入を防止できるので好ましい。この場合、被覆層を一方の低透湿性シートの代用とすることができる。
【0059】低透湿性シートは、隣接する断熱性シートへの透湿を抑制するか、実質上無くすもので、断熱性シートが、湿気を吸収する等により、断熱性が低下することを防止するものである。
【0060】低透湿性シートと断熱性シートとの積層は、接着剤を使用するか、熱シールによって行う。ただし、断熱性シートの表裏両面に低透湿性シートを配置し、しかも、低透湿性シートの端面どうしをシールする場合には、低透湿性シートと断熱性シートとを接着しないこともあり得る。
【0061】一般的には、低透湿性シートを積層しても、断熱性シートの端面は、空気中に露出するため、端面からの吸湿が問題になる場合には、端面に樹脂塗料を塗布するか、火炎で素材を溶融させる等してシールするとよい。
【0062】低透湿性シートの素材としては、例えば、プラスチックのフィルムが好ましく、プラスチックとしては、ポリエチレン樹脂、ポロプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンセレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等がある。
【0063】低透湿性シートには、透湿性の低いポリ塩化ビニリデン樹脂等の樹脂バインダーを用いて調製された別の塗料を塗布するか、金属ないし金属酸化物の薄膜を形成して気体透過を抑制しておくとよい。これら金属薄膜においては、一酸化ケイ素と二酸化ケイ素のように酸化数の異なる金属酸化物どうしの混合物であったり、ケイ素化合物とアルミニウム酸化物との混合物であってもよいし、無機酸化物を主体とした有機基と結合したものであってもよい。
【0064】薄膜の形成方法としては、例えば、イオンビーム法、電子ビーム法等の真空蒸着法、またはスパッタリング法等の物理気相成長法、もしくは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、または光化学気相成長法等の化学気相成長法が利用できる。
【0065】薄膜の厚みは、好ましくは、50〜3000Åであり、より好ましくは100〜1000Åである。50Å未満では気体透過を抑制する効果がほとんど無く、3000Åを越えると薄膜にクラックが生じて気体透過性が低下する恐れがある上、材料費も割高となる。なお、熱伝導性からすると若干不利ではあるが、断熱性シートが湿気を吸収するのを防止する観点からは、金属箔を積層したり、上記の合成樹脂シートを構成する合成樹脂と同様な樹脂をバインダーとする塗料の塗膜を形成して、低湿性シートに代えることもできる。
【0066】ところで、園芸用シートには、湿気を放出する、いわゆる吸放湿性が要求される場合もある。この点で、低透湿性シートは、水蒸気を通して逃がすことができるものであることが好ましく、微細な孔を有する多孔質のものを使用することが好ましい。しかしながら、屋外用途では、雨が降ってきたり、水気のある環境で使用したときに、水がしみては困るので、上記多孔質のものの場合でも、水分を通さない程度の十分小さい孔を有していることが望ましい。
【0067】本発明の園芸用シートは、植木鉢やプランターの外面や腐葉土の調製・保管容器の外面に装着する場合には、適宜な装飾が施してあってもよい。装飾の施し方としては種々のものがあるが、着色、印刷、エンボス、もしくはワイピング塗装の他、捺染、転写、もしくは刺しゅう等によればよい。これらのうちから任意に選択して、1種又は2種以上を組み合わせて施すことが普通である。印刷等により模様が与えられる場合、必要に応じて保護層を設けてもよい。装飾は被覆層を含む断熱性シートそのものや低透湿性シートに対して行うことができる。
【0068】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【0069】請求項1に記載の発明である園芸用シートは、中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物からなる薄膜の断熱性シートで構成したことを特徴としているので、種苗シートを始めとして、植木鉢やプランターの断熱用、各種の保管容器の断熱用などに用いることができ、夜間や冬期においても、植物にとって生育や保管に好適な環境を現出することができる。
【0070】請求項2に記載の発明である園芸用シートは、請求項1に記載の園芸用シートにおいて、断熱性シートは、中空粒子および/または気泡を内包する樹脂組成物が含浸性基材の少なくとも一部に含浸したものであることを特徴としているので、上記効果に加え、断熱性シートが含浸性基材によって強化されており、園芸用シートとしても強度の優れたものとなる。
【0071】請求項3に記載の発明である園芸用シートは、請求項2に記載の園芸用シートにおいて、断熱性シートは、その片面もしくは両面に被覆層が積層されたものであることを特徴としているので、表面の平滑化、接着剤や着色、印刷の際の塗布適性もしくは印刷適性が良好となり、また断熱性シートの表面の強度が向上するか、吸湿性を抑制したものとなる。
【0072】請求項4に記載の発明である園芸用シートは、請求項4に記載の園芸用シートにおいて、断熱性シートが装飾を伴ったものであることを特徴としているので、外観の意匠感が向上したものとなる。
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成12年6月16日(2000.6.16)
【代理人】 【識別番号】100096600
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 育郎
【公開番号】 特開2001−352843(P2001−352843A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−180838(P2000−180838)