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【発明の名称】 茸栽培部材
【発明者】 【氏名】松下 浩幸

【氏名】山本 幸司

【要約】 【課題】土中より回収する必要のないる茸栽培部材を提供する。

【解決手段】生分解性樹脂を用いることを特徴とする茸栽培部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性樹脂を用いることを特徴とする茸栽培部材。
【請求項2】 生分解性樹脂が3−ヒドロキシ酪酸単位を50モル%以上含む脂肪族ポリエステルである請求項1記載の茸栽培部材。
【請求項3】 生分解性樹脂がポリ−3−ヒドロキシ酪酸を50重量%以上含む樹脂組成物である請求項1記載の茸栽培部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、茸、特に松茸、ホンシメジなどに代表される菌根性の菌などの人工栽培に用いる部材に関する。
【0002】
【従来の技術】ブナシメジ、マイタケ、マッシュルームなどは人工栽培できる茸としてよく知られている。従来、その栽培方法には、おが粉に米糠やその他栄養分を配合した堆肥を既存の樹脂容器に入れた菌床を蒸気滅菌し、その後に植菌し栽培する手法がとられている。しかし、菌根性の茸、例えば松茸やホンシメジなどの栽培には通常アカマツなどの根と共生し成長するため、人工堆肥のみでの栽培は極めて困難である。あらかじめ、アカマツの苗木に松茸菌を感染させておき、この苗木を成木の隣に植え、松茸菌を成木に感染させる手法が考えられているが、成功例は非常に少ないのが現実である。そこで、最近では、菌床で松茸菌をある程度まで成長させておき、菌床ごとアカマツの根本に植える手法などが考えられている。しかしこの手法を用いた場合、松茸菌がアカマツの根に感染し、松茸が収穫できたとしても、菌床の容器が分解されず、半永久的に残るため、容器を掘り起こさなければならない。コストが非常にかかるばかりではなく、その付近の環境の変化が大きく起き、次回の栽培に適さない環境となるおそれが指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に見られる前記課題に対し、生分解性樹脂を利用するーすなわち、茸菌をある程度まで成長させる段階では外気から容器内へ進入する雑菌を防ぎ、アカマツなどの根本付近に容器毎植えた後、速やかに生分解される茸栽培部材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明によれば、生分解性樹脂を利用することにより、菌床に茸菌が成木に感染可能なまでに成長するまでは、外気からの雑菌進入を防ぎ、そして成木の根本に容器ごと菌床を植えると、容器は自然環境下で微生物の働きや加水分解などにより水や無機物などへ分解が始まり、茸菌の成長を阻害することなく、菌を成木に感染させうる。さらに、茸の収穫が終わった後、容器を取り除く必要が無いため、周辺の環境が荒らされる可能性が少なくなる。
【0005】本発明の要旨は、(1)生分解性樹脂を用いることを特徴とする茸栽培部材、(2)生分解性樹脂が3−ヒドロキシ酪酸単位を50モル%以上含む脂肪族ポリエステルである(1)記載の茸栽培部材、および(3)生分解性樹脂がポリ−3−ヒドロキシ酪酸を50重量%以上含む樹脂組成物である(1)記載の茸栽培部材とするものである。
【0006】通常の蒸気滅菌が行われる120℃前後の温度に耐えられない生分解性樹脂を用いる場合、部材のみガス滅菌し、植菌の前に別に蒸気滅菌を行った菌床を部材に入れても良い。もちろん耐熱性を有する3−ヒドロキシ酪酸単位を構成成分として含む脂肪族ポリエステルを利用し、蒸気滅菌に耐えうる耐熱性を有する生分解性樹脂を用いた場合、部材を別滅菌せずとも良い。3−ヒドロキシ酪酸を構成成分として含む樹脂は、3−ヒドロキシ酪酸単位が多くなるに従い、融点が高くなり、耐熱性が高くなる。ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の融点は約175℃である。そのため、通常の蒸気滅菌に耐えられる様にするためには、3−ヒドロキシ酪酸単位を50モル%以上含む脂肪族ポリエステルを含む生分解性樹脂を用いることが好ましく、また、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸と他の生分解性樹脂を混合して部材を作製する場合、同上の理由によりポリ−3−ヒドロキシ酪酸は50重量%以上であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で示される生分解性樹脂とは、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸を代表とするポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、グリコール類と脂肪族ジカルボン酸やその誘導体から合成される脂肪族ポリエステル、変性デンプン、キチン/キトサン、バクテリアセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、これらの混合体や共重合体など、微生物の働きや加水分解などの作用を受け、水や二酸化炭素などの無機物に分解される樹脂を示す。
【0008】本発明で示される3−ヒドロキシ酪酸単位を含む生分解性樹脂は、例えばアルカリゲネス(Alcaligenes )属、アゾトバクター(Azotobacter )属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、ノカルジア属(Nocardia)属、シュードモナス(Pseudomonas )属等の細菌を用いた公知の発酵法により該生分解性樹脂を含有する細菌菌体として製造することができる。生分解性樹脂を含有する細菌菌体より生分解性樹脂を分離精製する方法に関しては、例えば、米国特許第3036959号公報、同第4101533号公報、同第3275610号公報、ヨーロッパ特許第15123号公報、特開平07−079788、同07−135985号公報にピリジン、塩化メチレン、1,2−プロピレンカーボネート、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ニトリル類などの溶剤を用いた精製法が記載されており、また特開平07−177894号公報には細菌菌体を高圧ホモジナイザーで破砕後、生分解性樹脂画分を分離し、分離した生分解性樹脂を酵素系漂白剤で処理する方法が示されている。最近では、発酵法によらずとも化学合成による製造方法が報告されている。
【0009】容器を成形する際、例えばインフレーション法、Tダイ冷却法などの押出成形で作製しても良いし、所望する容器の金型を設計し、射出成形により得ても良い。また、紙との複合材料を利用して得ても良い。本発明の範囲を逸脱せず、本発明の目的を損なわない範囲において、着色剤、可塑剤、離型剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃化剤、酸化防止剤などの慣用の添加剤を目的に応じて添加することができる。
【0010】
【発明の効果】本発明により、生分解性を有する茸栽培部材が得られ、菌根性の茸の栽培において、コストの低減と栽培環境の保持に役立つことができる。
【0011】
【実施例】次に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託してあるMethylobacterium extorquens K(受託番号:FERM BP−3548)を用い、メタノールを炭素源として好気的に連続培養を行った。培養条件は、培養温度32℃、培養pH6.5、平均滞留時間40時間であり、窒素の供給速度が菌体増殖の律速となるよう連続培養を行った。連続培養により得られた菌体を上記特開平07−177894号公報に記載のポリ−3−ヒドロキシ酪酸の分離精製方法に従い、高圧ホモジナイザーで破砕後、遠心分離し、分離したポリ−3−ヒドロキシ酪酸を先ずプロテアーゼで処理し、次いで過酸化水素処理を行い高純度化した。2軸スクリュー押出機で押出し、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸ペレットを得た。このペレットを用い、押出冷却法により厚さ100μmのフィルムを作製し、電気式ヒートシーラーで筒状に成形した後、10%の水分を含むおが粉を入れ、片方の口を綿栓し、120℃、30分の蒸気滅菌を行った。2ヶ月室温で保存したが、その間、外観変化はほとんど観察されなかった。その後、肥沃な畑に埋設した。3ヶ月後、フィルムは完全に分解されていた。
【0012】実施例2実施例1と同じポリ−3−ヒドロキシ酪酸ペレットから、型締め圧力100tの射出成形機にて、22mmΦ、深さ14mm、厚さ1.5mmのコップ状の成形体を得た。その際の金型の温度は60℃であった。得られた容器に10%の水分を含むおが粉を入れ、120℃の蒸気滅菌を行った。滅菌時間を30分、60分、90分、120分とし、滅菌後の状態観察を行ったところ、外観はいずれも試験前と比べ、変化は認められず、かつ実用に耐えうる剛性、強度を有していた。
【0013】実施例3実施例1と同じポリ−3―ヒドロキシ酪酸ペレットを用い、実施例2と同じポリ−3−ヒドロキシ酪酸ペレットを用い、特開平5−245996に示される手法によりポリ−3−ヒドロキシ酪酸を紙に積層させた。積層したポリ−3−ヒドロキシ酪酸の厚さは30μm、総厚みは、300μmであった。このポリ−3−ヒドロキシ酪酸−紙積層体を用い、のりしろ部をアイロンで接着させて60mmφ、深さ100mmの円筒を作製した。実施例2と同様に120℃の蒸気滅菌を行った。滅菌時間を90分とし、滅菌後の状態観察を行ったところ、状態に変化は認められず、かつ実用に耐えうる剛性、強度を有していた。
【出願人】 【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
【出願日】 平成12年6月2日(2000.6.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−346441(P2001−346441A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−165689(P2000−165689)