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【発明の名称】 緑化屋根
【発明者】 【氏名】藤田 秀雄

【要約】 【課題】勾配が急な屋根であっても、植栽用の土壌をしっかりと屋根上に支持できるようにする。

【解決手段】傾斜した屋根下地材(4)上に複数の金属製の屋根板(10)を並列に敷設し、該屋根板(10)上に下地材(4)の傾斜方向に延びる立ち上り部(10b)(10c)と該立ち上り部(10b)(10c)に対して直角方向に延びる立ち上げ部(10d)とで囲まれた水溜め部(14)を設ける。水溜め部(14)上に天然ガラス系黒曜石を焼成発泡した無機質超軽量礫状骨材により構成した吸水材(16)を敷き詰め、その上に植栽用土壌を詰めた略直方体形状の土嚢(22)を桝目状に複数載置する。屋根板(10)上に、その傾斜方向に対して直角な方向に延びる土嚢止め(28)を配設し、この土嚢止め(28)により各土嚢(22)の下位側面を支持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 傾斜した屋根下地材(4)上に金属製の屋根板(10)を敷設し、該屋根板(10)上に下地材(4)の傾斜方向に延びる立ち上り部(10b)(10c)と該立ち上り部(10b)(10c)に対して直角方向に延びる立ち上げ部(10d)(48a)とで囲まれた水溜め部(14)を設け、前記水溜め部(14)上に植栽用土壌を詰めた略直方体形状の土嚢(22)を桝目状に複数載置し、前記屋根板(10)上にその傾斜方向に対して直角な方向に延びる土嚢止め(28)を配設し、該土嚢止め(28)により前記各土嚢(22)の下位側面を支持するようにしたことを特徴とする緑化屋根。
【請求項2】 前記水溜め部(14)に吸水材(16)を配置し、その上に前記土嚢(22)を配置したことを特徴とする「請求項1」に記載の緑化屋根。
【請求項3】 前記吸水材(16)を、天然ガラス系黒曜石を焼成発泡した無機質超軽量礫状骨材により構成したことを特徴とする「請求項2」に記載の緑化屋根。
【請求項4】 前記土嚢(22)の土壌の中に植物の種子を入れ、この種子から出た芽が土嚢(22)の袋の編み目を通じて外に出るように成し、土嚢(22)の袋上面に植物を生育させるようにしたことを特徴とする「請求項1」に記載の緑化屋根。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋根上に芝生などの植物を育成できるようにした緑化屋根に関する。
【0002】
【従来の技術】金属屋根板の凹入部に水を溜め、植物を屋根上に植え付けることができるようにした緑化屋根が特開平9−132954号公報及び特開平9−144233号公報及び特開2000−17792号公報等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−132954号公報、特開平9−14423号公報及び特開2000−17792号公報に開示されている緑化屋根はいずれも金属屋根板に水溜め部を形成し、この水溜め部に植栽用土壌を配置し、この土壌に植物を植え付けるという構成になっている。この構成によると、屋根板上に土壌を安定的に支承することが難しく、土壌の上にネットを張ったり、砂袋で土留めを行っているが充分な効果を挙げることができない。特に、屋根の勾配がきつい場合には、土壌が不安定になってしまい、落下方向に崩れやすくなるという問題点がある。本発明は上記問題点を解決することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、傾斜した屋根下地材(4)上に金属製の屋根板(10)を敷設し、該屋根板(10)上に下地材(4)の傾斜方向に延びる立ち上り部(10b)(10c)と該立ち上り部(10b)(10c)に対して直角方向に延びる立ち上げ部(10d)(48a)とで囲まれた水溜め部(14)を設け、前記水溜め部(14)上に植栽用土壌を詰めた略直方体形状の土嚢(22)を桝目状に複数載置し、前記屋根板(10)上にその傾斜方向に対して直角な方向に延びる土嚢止め(28)を配設し、該土嚢止め(28)により前記各土嚢(22)の下位側面を支持するようにしたものである。また、本発明は、前記水溜め部(14)に吸水材(16)を配置し、その上に前記土嚢(22)を配置したものである。また、本発明は、前記吸水材(16)を、天然ガラス系黒曜石を焼成発泡した無機質超軽量礫状骨材により構成したものである。また、本発明は、前記土嚢(22)の土壌の中に植物の種子を入れ、この種子から出た芽が土嚢(22)の袋の編み目を通じて外に出るように成し、土嚢(22)の袋上面に植物を生育させるようにしたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。(2)は建物の外壁を構成するコンクリート、(4)は、コンクリート(2)の急勾配面に固設された屋根の下地材であり、モルタルや硬質木片セメント板などから構成されている。下地材(4)には、下地材(4)の勾配方向に延びる複数の吊り子(6)(図6参照)が所定間隔を在して、平行に配置され、該下地材(4)に、各吊子(6)の下位水平部がビスなどの止着具によって固定されている。
【0006】前記下地材(4)の上にはアスファルトルーフィングなどの防水シート(8)が敷設され、防水シート(8)の上に、複数の、ステンレスなどから成る金属製の帯状の屋根板(10)がそれらの長手方向が建物の棟に対して直角な方向即ち下地材(4)の勾配方向に配置され、且つ互いに平行に隣接して配置されている。
【0007】各屋根板(10)の両側部には、それらの帯状平面部(10a)に対して直角に立ち上がり部(10b)(10c)が形成され、該立ち上がり部(10b)(10c)は、対応する吊り子(6)の立ち上がり部の上部に、隣接する屋根板(10)の立ち上がり部(10c)(10b)の上部とともに、図6に示す如く、屈折圧着の上、接合固着されている。
【0008】前記屋根板(10)には、その長手方向に対して直角な方向に延びる水止め用立ち上げ部(10d)が複数、所定間隔を在して形成されている。各屋根板(16)は、図7に示すように、所望の部分を折り重ねて、2重部分(12)を形成し、この2重部分を矢方向Fに立ち上げて、水止め用の立ち上げ部(10d)を形成している。該水止め用立ち上げ部(10d)と屋根板(10)の両立ち上り部(10b)(10c)とで囲まれた箱状の空間は、水溜め部(14)を構成している。
【0009】図7は、屋根板(10)の両側の立ち上り部(10b)(10c)に、折り曲げ部(10e)(10f)(10g)を屈折形成する前の状態を示している。前記各屋根板(10)の水溜め部(14)には、天然ガラス系黒曜石を焼成発泡した無機質超軽量礫状骨材から成る吸水材(16)が配置されている。
【0010】この吸水材(16)は、化学製品に比べ断熱、保温性と同時に耐火性(耐1380度c)の大きい無機質素材で、附着水は、ミネラル水となりイオン交換性も認められるものである。又、植物の根腐れ防止効果が抜群であり、礫粒相互の噛み合い接着により予想以上の支持力と水分の濾過を伴う浸上り移動が認められる。また、土壌に混合すると浸水と保水の効果を両立させることができる。
【0011】吸水材(16)は、屋根板(10)の立ち上り部(10b)(10c)の高さの略半分くらいの高さまで配置されている。前記吸水材(16)の上には、布袋に植栽用土壌が充填された複数の土嚢(22)が配置されている。前記土嚢(22)は、横幅が前記立ち上り部(10b)(10c)間の対向距離と略同一で、縦幅が、図1に示すように、2つの立ち上げ部(10d)に跨る長さを有し、土嚢(22)の上面が前記立ち上り部(10b)(10c)より所定長さ上方に突出する厚さを有する略直方体形状に設定されている。
【0012】各土嚢(22)は、屋根板(10)の各立ち上り部(10b)(10c)間ごとに、複数、縦方向及び横方向に隣接するように桝目状に配列されている。各土嚢(22)の中には、植物の種子が埋められており、この種子から出た芽(24)が土嚢(22)の袋の編み目を通じて外に伸びている。土嚢(22)の袋は本実施形態では、麻袋を用いているが、細かい編み目を有する合成樹脂製の袋やその他の材料から成る袋を用いる事ができ、特定の材料に限定されるものではない。
【0013】前記吊子(6)には、止め金具(26)を介して、断面L字状の長尺状のアングルから成る土嚢止め(28)が架設されている。土嚢止め(28)は、上位の土嚢(22)と下位の土嚢(22)との隣接境界に沿って図1中、紙面垂直方向に長く延びている。止め金具(26)は、図4,5に示すように、左右一対の側板(30)(32)と、これら側板(30)(32)を締め付ける一対のボルト(34)及びナット(36)とを備え、側板(30)(32)の略中央部にアングル挿入凹部(38)が形成されている。
【0014】前記一対のボルト(34)のうち、一方のボルト(34)にストッパー(40)が揺動自在に枢支されている。止め金具(26)を屋根板(10)の接合部(42)に取付け、土嚢止め(28)を屋根板(10)上に架設するには、まず、図4に示すように、側板(30)(32)をボルト(34)を緩めた状態で、側板(30)(32)の下部の対向部を、屋根板接合部(42)の上部に挿入し、一方のボルト(34)をナット(36)によって締め付けて、側板(30)(32)を互いに締め付け、接合部(42)に固定する。
【0015】この要領で、各接合部(42)の複数箇所に止め金具(26)を固定する。次に、側板(30)(32)のアングル挿入凹部(38)に長い土嚢止め(28)を挿入し、ストッパー(40)を、図5B中、反時計方向に回動して、ストッパー(40)で土嚢止め(28)を押え、該状態で、他方のボルト(34)をナット(36)によって締め、側板(30)(32)をボルト(34)により締め付けるとともに、ストッパー(40)を側板(32)に圧着固定する。
【0016】止め金具(26)と土嚢止め(28)を屋根板(10)上セットした後、吸水材(16)の上から土嚢(22)を配置する。このとき、各土嚢止め(28)は、土嚢(22)の下位側面と接し、これの落下を阻止する。各土嚢止め(28)の突片部分(28a)及び止め金具(26)の土嚢(22)と接する部分は、土嚢(22)にめり込んだ状態となっている。屋根下地材(4)の上部と下部には、それぞれ、図1,2中、紙面垂直方向に延びる土止板(44)(46)が配置され、各土止板(44)(46)は、止めビスにより、下地材(4)に固定されている。
【0017】下部土止板(44)のストッパー面(44a)は、最下位の各土嚢(22)の下位側面に対向し、上部の土止板(46)のストッパー面(46a)は、最上位の各土嚢(22)の上位側面に対向している。また、傾斜屋根(18)の両側部にも、図3に示すように、土止板(48)が下地材(4)上に立設され、それぞれ、ストッパー面が土嚢(22)の側面に対向している。
【0018】前記土嚢(22)の上に土壌を被せるようにしても良い。建物の、傾斜屋根(18)の反対側の対称位置にも傾斜屋根が形成され、この傾斜屋根も、上記に説明し図示する緑化屋根と同様の構成となっている。屋根(18)の上部には、略全長にわたって管壁に小孔が透設された散水用のホースから成る給水パイプ(図示省略)が配置されている。
【0019】給水パイプから出た水は、屋根の一番上の水溜め部(14)にまず溜まり、上段の水溜め部(14)が水で一杯になると、ここからあふれて下段の水溜め部(14)に順次供給されるように構成されている。尚、上記実施形態は、屋根板(10)に直接吸水材(16)を介して土嚢(22)を配置したが、図8に示すように、立ち上げ部(10d)を有しない屋根板(10)の上に、立ち上げ部(48a)を形成した、断面コ字状の長尺状の収納板(48)を配置し、これにより、屋根を二重構造とし、この収納板(48)の水溜め部(14)の上に吸水材(16)を介して、土嚢(22)を配置するようにしても良い。
【0020】
【発明の効果】本発明は上述の如く構成したので、屋根上に植栽用土壌を安定的に支持することができ、植物育成にとって極めて良い環境とすることができる。
【出願人】 【識別番号】597090273
【氏名又は名称】藤田 秀雄
【出願日】 平成12年6月5日(2000.6.5)
【代理人】 【識別番号】100067758
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 綾雄
【公開番号】 特開2001−346436(P2001−346436A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−167841(P2000−167841)