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【発明の名称】 鉢物用給水材
【発明者】 【氏名】多田 秀

【氏名】佐々木 幸治

【要約】 【課題】簡易で有効な給水性能を備え、採算性や実用性に優れた鉢物用給水材を提供する。

【解決手段】少なくとも吸水性繊維からなるものをシート体2に形成し、該シート体2の一面に不透水性シート3をラミネートして積層体を形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも吸水性繊維からなるものをシート体に形成し、該シート体の一面に不透水性シートをラミネートして積層体を形成したことを特徴とする鉢物用給水材。
【請求項2】前記不透水性シートはさらに不透光性を有していることを特徴とする請求項1に記載の鉢物用給水材。
【請求項3】前記シート体の他面に透水性のシートをラミネートしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉢物用給水材。
【請求項4】前記積層体は、植物が植載される鉢のほぼ開口形状に、1ないし複数個で形成されており、中間部に前記植物を通過させる穴部を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の鉢物用給水材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉢物植物への水やりと植物の鮮度保持に有効な鉢物用給水材に関する。
【0002】
【従来の技術】鉢物植物に給水する場合、貯水タンクから給水用管を配管しポンプの駆動力を利用して給水する撒水装置、鉢の横に貯水タンクを置き、吸水エレメントの毛細現象を利用して給水する装置、また、キャップに工夫を加えたペットボトルや透明容器入りのゲル状タイプのものを利用する給水材等が従来から知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のものでは、貯水タンク等の設置や給水用管の配管を調整する等の作業が大掛かりで、面倒なものとなる場合がある。鉢物を移動させることが頻繁でない場合、例えば、家庭で鉢物を一定の場所に固定して載置する場合等にはこのような面倒な作業を頻繁に行うことは少ないと考えられるが、流通の場面、例えば、鉢物の入れ替えが頻繁に行われる鉢物植物を売買する売り場等や、鉢物をトラックで移送する場合等では、鉢物を移動させる毎に、上記作業を行うのは面倒であり、さらに、コストが高くなる場合があるという問題があった。
【0004】ペットボトルやゲル状タイプのものもまた、嵩ばったり、単価が高いという問題があった。
【0005】この発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、簡易で有効な給水性能を備え、採算性や実用性に優れた鉢物用給水材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため、請求項1の発明は、少なくとも吸水性繊維からなるものをシート体に形成し、該シート体の一面に不透水性シートをラミネートして積層体を形成したことを特徴とする。
【0007】請求項2の発明は、請求項1において、前記不透水性シートはさらに不透光性を有していることを特徴とする。
【0008】請求項3の発明は、請求項1または2において、前記シート体の他面に透水性のシートをラミネートしたことを特徴とする。
【0009】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記積層体は、植物が植載される鉢のほぼ開口形状に、1ないし複数個で形成されており、中間部に前記植物を通過させる穴部を有していることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいてこの発明を説明する。図1はこの発明の鉢物用給水材を使用している状況を示す図である。
【0011】植物用給水材1は、少なくとも吸水性繊維からなるものをシート状に形成したシート体2の一面、ここでは上面に不透水性シート3をラミネートし、他面、ここでは下面側に、鉢物への給水性を調整するため、適宜透水性シート4をラミネートして積層体を形成している。この植物用給水材1は、鉢5に植えられた植物7の土6の上面に不透水性シート3が上面となるように載せて用いられている。
【0012】この鉢物用給水材1の形状は、円形、半円形、正方形、長方形、菱形、楕円形等の任意の形状から選択してよいが、このうち、図1に示すように、鉢の開口の形状に合わせたものでもよい。この開口形状のものは、1ないし複数個で形成させるとともに、中間部に植物7を通過させる穴部8を有している。1個のものは、穴部8まで切り込み線を入れてもよい。また、鉢物用給水材1を半円形状に形成させるとともに、その中心部に植物7の幹を通過させるための穴部8を有する形状としている。この鉢物用給水材1を二つ、穴部8を植物の幹に合わせて両者を対向してのせるだけでよいので、使い勝手のよいものとなる。また、外観上の見栄えをよくするため、鉢物用給水材1の表面を適宜所望の色彩、例えば土の色やカラフルな色に着色してもよい。
【0013】シート体2は、少なくとも吸水性繊維からなるものから形成される。例えば、吸水性繊維単独をシート状に成型してもよいし、吸水性繊維と他の繊維を混合したものをシート状に成型したものであってもよい。
【0014】ここで、吸水性繊維とは、水膨潤度(自重に対して吸収する水の割合)が3倍以上、好ましくは5倍以上であり、かつ繊維形態を有する限り使用することができるものである。例えば、アクリロニトリル(以下、ANという。)−アクリル酸塩共重合体、ポリアクリル酸塩−多価アルコール共重合体熱処理物、デンプン−アクリル酸もしくはその塩グラフト共重合体、デンプン−ANグラフト共重合体ケン化物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、酢酸ビニル−不飽和ジカルボン酸共重合体ケン化物等を繊維状にしたもの;アクリル繊維、セルロース繊維ポリビニルアルコール繊維等を吸水変性処理(ヒドロゲル化)したもの;繊維表面を親水性重合体で被覆したもの等が挙げられる。なかでも、ヒドロゲル化(吸水性でかつ水不溶性の重合体)外層とAN系重合体内層とで形成されたランシール(東洋紡績(株)製)に代表される複合吸水繊維は、優れた吸水能と共に強伸度などの物性も実用水準を維持していることから、多層の不織布、立体成形品、糸などの繊維形成体の作成も容易であり望ましい。
【0015】また、吸水性繊維に混用される他の繊維としては、公知の合成繊維、再生繊維、天然繊維の中から任意に選択使用されるが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の比較的低温で熱接着可能な合成繊維(熱接着性繊維)を一成分として使用すれば、吸水時においても形態安定性を備えたシート体2を工業的に有利に形成させることができるので望ましい。なお、上記吸水性繊維に混用される他の繊維としての熱接着性繊維の使用割合としては、給水材に求められる吸水能、使用する吸水性繊維の水膨潤度、繊維成型体の形成性等を勘案して適宜選定されるが、概ね10〜70重量%の範囲内であることが望ましい。
【0016】また、上記シート体2の好ましい形態としては、不織布、編織物等が挙げられ、場合によっては複数枚を積層一体化した不織布、不織布と編織物との積層体、不織布と防水シートとの積層体等であってもよい。
【0017】さらに、シート体2の目付けとしては、シート体2の吸水能などに応じて設定されるが、シート体2の3倍以上、好ましくは5〜200倍の水膨潤度を有する場合には、概ね20〜1000g/m2、好ましくは50〜500g/m2であることが望ましい。
【0018】不透水性シート3は、実質的に水分を透過させない材料であり、積層体の一面として作成可能であり、充分な強度を有すれば如何なる材料であってもよい。また、この不透水性シート3は、鉢物用給水材1の保水性能を向上させるため、水の発散を防止する不透水性を有する他、太陽熱吸収による高温蒸発を防ぐため不透光性能を有することが望ましい。このような性能を有するものとしては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル樹脂(PET)などの熱可塑性合成樹脂フィルムやシート状発泡体、セロファン、アルミ箔などが挙げられる。なお、紙、不織布などでも処理によって水不透過性が保たれるならば使用してもよい。また、アルミ箔にポリエチレンをコートしたポリエチレン−アルミ箔などの積層体や上述のフィルムにアルミや銅などを蒸着したラミネートフィルムを利用してもよい。
【0019】次に、前記シート体2の下面側に適宜ラミネートされる透水性シート4は、積層される吸水シート2と用土6との間で水の受給が行えるようなものである。積層体の一面として作成するものであり、吸水シート体2を保持するのに充分な強度を有すれば上述の条件において如何なる材料でもよい。例えば、水の受給のための孔(パーホレーション)が施された各種フィルムや不織布などの素材が例示される。ここで用いられる繊維としても種々のものが例示されるが、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維などの合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、天然繊維などの中から適宜選択される。また、これらは、混合して不織布の形態を保持させるために混合してもよい。
【0020】なお、上記鉢物用給水材1には抗菌剤や忌避剤等を添加して使用してもよい。
【0021】
【実施例】以下,本発明の実施例について、片面に不透水・不透光性材料をラミネートした吸水性繊維と他の繊維とからなるシート状繊維成型体を用いて詳細に説明する。
[給水材の調製]不透水性シートとして発泡ポリスチレン(東レ(株)製ぺフ)を用い、シート体として東洋紡績(株)製ランシール・F50重量%とユニチカ(株)製ポリエステル50重量%を混用した目付300g/m2のサーマルボンド法により製造した不織布(以下SD−300と称する。)とを用い、両者を接合してこれを半円形給水材を作成した。この給水材(以下ペフ・ラミネート・SD−300シートと称する。)は、外周が130mmφ、内周が30mmφの円形シートを2等分したものであり、各部の内訳はぺフの重量が0.8g、ランシールとポリエステルの混用不織布の重量が2.3gであり、その合計は3.1gであった。
[試験方法]市販されている5号鉢・ハイビスカスを深さ5cmの水中に4時間置いて充分に給水し、その後屋外の日陰に2時間静置して試料とする。このものにつき、下記の3条件にて空調した室内に鉢物を置き、高温期におけるぺフ・ラミネート・SD−300シートの給水性能の評価を行う。
【0022】《条件》
1.ペフ・ラミネート・SD−300シート使用2、そのままのSD−300シート使用3、無給水[結果]上記の3条件による試験結果を図2ないし図4に示す。
【0023】ペフ・ラミネート・SD−300シートは、組織の一部が熱溶着により奪われるため本来の保持水量は得られず、その分給水量も若干少なくなっている。しかし、図2及び図3に示すように200g以上の充分な保持水量が得られており、しかも給水率が高いことから、多量の給水量が得られることとなった。
【0024】なお、この実施例では、水分保持容量が少ない用土(砂壌土)を用いており、シートを鉢の上に装着した時点での流出水が多くなり、トレーを使用しない時には損失水となる点を考慮する必要がある。
【0025】また、シートの水切りをせずに装着した場合の流出水の量は、1鉢あたりでは、約100gとなるが、保水容量の大きい鹿沼土や赤玉土のような場合には、この流出水量は問題となるものではない。
【0026】なお、使用後、水に浸して復元性を確認した結果は以下の通りとなった。
【0027】
【表1】

【0028】以上の結果から、本発明の給水材は、自重の数倍から数百倍の水膨潤度を備えており、しかもこのように多量に吸収した水を自重圧力下においても強力に保持する能力を有しているので、施用時の急激な水分の放出はなく、長期間にわたり鉢物に水を供給できるものである。
【0029】また、シート体2の上面に不透水性シート3をラミネートしているので、シート体2が直接外気に触れず、鉢物用給水材の上面からの水の蒸散を防ぐことができる。さらに、この不透光性をも有しているので、鉢物に太陽光があたってもそれに伴う鉢物用給水材の温度上昇を防ぐことができ、水分の蒸散をさらに効果的に防ぐことができる。
【0030】このように、上記鉢物用給水材は、鉢物植物への水やりと植物の鮮度保持に用いるものとして充分な適性を有している、また、この鉢物用給水材は、鉢の上面に載置するだけでよいので、その使用方法は簡易であり、採算性や実用性に優れたものである。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の給水材は、少なくとも吸水性繊維からなるものをシート体に形成し、該シート体の一面に不透水性シートをラミネートして積層体を形成したので、自重の数倍から数百倍の水膨潤度を備えており、鉢物植物への水やりと植物の鮮度保持に用いるものとして充分な適性を有しており、さらに、この鉢物用給水材は、鉢の上面に載置するだけでよいので、その使用方法は簡易であり、採算性や実用性に優れている。また、不透水性シートをラミネートしているので、シート体が直接外気に触れず、鉢物用給水材の上面からの水の蒸散を防ぐことができる。
【0032】請求項2の給水材は、請求項1において、前記不透水性シートはさらに不透光性を有しているので、鉢物に太陽光があたってもそれに伴う鉢物用給水材の温度上昇を防ぐことができ、水分の蒸散をさらに効果的に防ぐことができる請求項3の給水材は、請求項1または2において、前記シート体の他面に透水性のシートをラミネートしたので、鉢物への給水能を調整することができる。
【0033】請求項4の給水材は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記積層体は、植物が植載される鉢のほぼ開口形状に、1ないし複数個で形成されており、中間部に前記植物を通過させる穴部を有しているので、穴部を植物の幹に合わせて対向してのせるだけでよいので、使い勝手のよいものとなる
【出願人】 【識別番号】591286270
【氏名又は名称】株式会社伏見製薬所
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成12年5月31日(2000.5.31)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
【公開番号】 特開2001−333643(P2001−333643A)
【公開日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【出願番号】 特願2000−161631(P2000−161631)