トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 育苗用培地の製造方法及び製造装置
【発明者】 【氏名】山本 惣一

【氏名】中村 一雄

【要約】 【課題】農家の負担を一層軽減させることができる育苗用培地の製造方法及び製造装置を得る。

【解決手段】育苗用培地の製造装置40は接着剤塗布部50を備えており、ここで予め長尺マット状に形成された床土用籾殻マット20の上面に接着剤24が塗布される。その上に播種部70によって種子16が播種された後、覆土重合部80によって予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マット22が床土用籾殻マット20の上面側に重合される。その後、圧縮成形装置100によって圧縮されて長尺マット状の育苗用培地10が形成される。従って、各農家で播種作業及び覆土作業を行う必要がなくなり、その分、農家の負担を一層軽減させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 予め長尺マット状に形成されて搬送ベルト上に載せられた床土用籾殻マットの上面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、接着剤塗布後の床土用籾殻マットの上面又は接着剤塗前の床土用籾殻マットの上面に育苗対象となる種子を所定の間隔で播いていく播種工程と、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マットを床土用籾殻マットの上面側に重合させる覆土重合工程と、床土用籾殻マット及び覆土用籾殻マットに所定の力をかけて長尺マット状の育苗用培地を形成する加圧工程と、長尺マット状の育苗用培地を所定の長さで切断する切断工程と、を有することを特徴とする育苗用培地の製造方法。
【請求項2】 駆動することにより搬送ベルトを一定方向へ移動させる搬送手段と、予め長尺マット状に形成されて搬送ベルト上に載せられた床土用籾殻マットの上面に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、この接着剤塗布手段よりも搬送方向下流側又は搬送方向上流側に設けられ、接着剤塗布後の床土用籾殻マットの上面又は接着剤塗布前の床土用籾殻マットの上面に育苗対象となる種子を所定の間隔で播いていく播種手段と、この播種手段よりも搬送方向下流側に設けられ、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マットを床土用籾殻マットの上面側に重合させる覆土重合手段と、この覆土重合手段よりも搬送方向下流側に設けられ、床土用籾殻マット及び覆土用籾殻マットに所定の力をかけて長尺マット状の育苗用培地を形成する加圧手段と、この加圧手段よりも搬送方向下流側に設けられ、長尺マット状に形成された育苗用培地を所定の長さで切断する切断手段と、を有することを特徴とする育苗用培地の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水稲等の作物の苗を育苗するための育苗用培地の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、水稲等の作物の苗を苗床によって育苗することが行われており、さらにこの苗床の床土としては一般に土壌培土が用いられていた。ところが、このような土壌培土は、良質(均質)な床土が比較的高価で入手が困難であったり、重く運搬性等が悪かった。そこで、このような土壌培土に代わる床土(培土)が提案されている(一例として、特公昭56−18165号公報参照)。
【0003】前記公報に開示された培土は、植物質培土材(樹皮、パルプチップ、オガクズなどを堆肥化したバーク堆肥等)を、親水性ウレタンプレポリマーを結合剤として用いて固結させ乾燥させた構成となっている。なお、結合剤としては、ポリビニルアルコールやデンプン類も用いられる場合がある。この種の培土は、樹皮やパルプチップ等の所謂産業廃棄物を培土材として有効利用することができ、またこの植物質培土材も比較的安価である。
【0004】しかしながら、前述の如き従来の培土は、依然として以下の欠点があった。すなわち、培土材の結合(結合剤を用いた固結乾燥)に長い時間(例えば、1〜3時間程度)がかかり、量産が困難で結果的にコスト高であった。また、完成した培土(すなわち、結合剤により固結され乾燥された培土材)は、硬質であるものの割れたり欠け易く、このため運搬中に形が崩れたりし、その取り扱いが面倒で煩雑であった。また一方、実際の使用に際しては、前記従来の培土を育苗のために灌水すると、灌水前にも増して形が崩れ易くなる。このため、例えば自動田植機の苗台にセットして田植えを実施しようとしても、装置のフィンガー部分がうまく苗を掴み取ることができず、スムーズな作業が困難となる場合もあった。また何より、前述の如き従来の培土では、培土材自体は比較的安価であるものの、親水性ウレタンプレポリマー等の結合剤が高価であり、結果的に全体としては依然として高価であった。
【0005】そこで、このような欠点を解消することができる育苗用の成形培地を既に本件出願人が提案している(特願平9−276059号参照)。この育苗用の成形培地は、屈曲性及び保水性に富んでおり、割れたり欠け難く、その取り扱いも容易であり、さらに量産が可能である。
【0006】しかしここにきて、床土としての育苗用培地を製造するにとどまらず、更なるシステム化を達成することにより、農家の負担軽減を図ろうとする気運が高まってきている。かかる観点から、本件出願人が提案した前記の育苗用培地を自ら検討し直したところ、以下の点において改良の余地があるとの結論に至った。
【0007】すなわち、本件出願人が案出した前記の育苗用培地を農家で実際に使用する場合、まず当該育苗用培地を敷いて灌水した後、水稲等の種子を播種し、更に覆土した上で、日々灌水等を行うという手順になる。日々灌水する作業を各農家で行うのは仕方のないことであるが、他の作業(播種作業及び覆土作業)だけでも、育苗用培地の生産者サイドで賄うことができれば、農家の負担軽減に資することができる。従って、従来の育苗用培地はこの点において改良の余地がある。
【0008】本発明は上記事実を考慮し、農家の負担を一層軽減することができる育苗用培地の製造方法及び製造装置を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明に係る育苗用培地の製造方法は、予め長尺マット状に形成されて搬送ベルト上に載せられた床土用籾殻マットの上面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、接着剤塗布後の床土用籾殻マットの上面又は接着剤塗前の床土用籾殻マットの上面に育苗対象となる種子を所定の間隔で播いていく播種工程と、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マットを床土用籾殻マットの上面側に重合させる覆土重合工程と、床土用籾殻マット及び覆土用籾殻マットに所定の力をかけて長尺マット状の育苗用培地を形成する加圧工程と、長尺マット状の育苗用培地を所定の長さで切断する切断工程と、を有することを特徴としている。
【0010】請求項2記載の本発明に係る育苗用培地の製造装置は、駆動することにより搬送ベルトを一定方向へ移動させる搬送手段と、予め長尺マット状に形成されて搬送ベルト上に載せられた床土用籾殻マットの上面に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、この接着剤塗布手段よりも搬送方向下流側又は搬送方向上流側に設けられ、接着剤塗布後の床土用籾殻マットの上面又は接着剤塗布前の床土用籾殻マットの上面に育苗対象となる種子を所定の間隔で播いていく播種手段と、この播種手段よりも搬送方向下流側に設けられ、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マットを床土用籾殻マットの上面側に重合させる覆土重合手段と、この覆土重合手段よりも搬送方向下流側に設けられ、床土用籾殻マット及び覆土用籾殻マットに所定の力をかけて長尺マット状の育苗用培地を形成する加圧手段と、この加圧手段よりも搬送方向下流側に設けられ、長尺マット状に形成された育苗用培地を所定の長さで切断する切断手段と、を有することを特徴としている。
【0011】請求項1記載の本発明によれば、まず、接着剤塗布工程で、予め長尺マット状に形成されて搬送ベルト上に載せられた床土用籾殻マットの上面に接着剤が塗布される。次に、播種工程で、接着剤が塗布された床土用籾殻マットの上面に育苗対象となる種子が所定の間隔で播かれる。なお、接着剤塗布工程と播種工程は順序が逆であってもよい。次に、覆土重合工程で、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マットが床土用籾殻マットの上面側に重合される。次に、加圧工程で、床土用籾殻マット及び覆土用籾殻マットに所定の圧力がかけられる。圧力がかけられると、両者の界面に介在する接着剤が床土用籾殻マットの上面及び覆土用籾殻マットの下面に染み込み、これにより覆土用籾殻マットが床土用籾殻マットに固着され、長尺マット状の育苗用培地が形成される。次に、切断工程で、長尺マット状の育苗用培地が所定の長さで切断される。これにより、製品たる育苗用培地が得られる。
【0012】上記育苗用培地の製造方法によって製造された育苗用培地には、床土用籾殻マットと覆土用籾殻マットとの間に育苗対象となる水稲等の種子が予め埋め込まれている。すなわち、本発明では、育苗用培地の生産段階で、播種作業及び覆土作業が行われる。このため、各農家では、播種作業及び覆土作業を行う必要がなくなり、灌水管理さえ適切に行えば育苗することができる。
【0013】請求項2記載の本発明によれば、まず、搬送手段が駆動された状態で、予め長尺マット状に形成された床土用籾殻マットが搬送ベルト上に載せられ、この状態で接着剤塗布手段によって床土用籾殻マットの上面に接着剤が塗布される。次に、播種手段によって、接着剤が塗布された床土用籾殻マットの上面に育苗対象となる種子が所定の間隔で播かれる。なお、接着剤塗布手段と播種手段との配置順序を逆にしてもよい。次に、覆土重合手段によって、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マットが床土用籾殻マットの上面側に重合される。次に、加圧手段によって、床土用籾殻マット及び覆土用籾殻マットに所定の圧力がかけられる。圧力がかけられると、両者の界面に介在する接着剤が床土用籾殻マットの上面及び覆土用籾殻マットの下面に染み込み、これにより覆土用籾殻マットが床土用籾殻マットに固着され、長尺マット状の育苗用培地が形成される。次に、切断手段によって、長尺マット状の育苗用培地が所定の長さで切断される。これにより、製品たる育苗用培地が得られる。
【0014】上記育苗用培地の製造装置によって製造された育苗用培地には、床土用籾殻マットと覆土用籾殻マットとの間に育苗対象となる水稲等の種子が予め埋め込まれている。すなわち、本発明では、育苗用培地の生産段階で、播種作業及び覆土作業が行われる。このため、各農家では、播種作業及び覆土作業を行う必要がなくなり、灌水管理さえ適切に行えば育苗することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図4を用いて、本発明に係る育苗用培地の製造方法及び製造装置の一実施形態について説明する。
【0016】図1には、育苗用培地10の縦断面図が概略的に示されている。この図に示されるように、育苗用培地10は、籾殻群を粉砕することにより得られた床土用粉砕籾殻群12に所定の圧力をかけて形成されかつ培地下層を構成する床土用籾殻マット20と、同様に籾殻群を粉砕することにより得られた覆土用粉砕籾殻群14に所定の圧力をかけて形成されかつ培地上層を構成する覆土用籾殻マット22と、によって構成されている。覆土用籾殻マット22は、床土用籾殻マット20の上面に塗布された接着剤24によって当該床土用籾殻マット20の上面に固着されている。さらに、床土用籾殻マット20と覆土用籾殻マット22との界面、即ち接着剤24が塗布された部分には、育苗対象となる水稲等の種子16が所定の間隔で埋設されている。
【0017】粉砕籾殻層を構成する床土用籾殻マット20及び覆土用籾殻マット22について補足すると、これらは、主として、培地基材としての役割を果たす多数の床土用粉砕籾殻群12又は覆土用粉砕籾殻群14と、芯鞘型繊維から成る結合剤18(図2参照)と、培地製造のために必要に応じて適宜混入される種々の要素群(例えば、初期育成用・中期育成用肥料、農薬、界面活性剤、PH調整剤、発芽抑制物質除去剤等)とによって構成されている。
【0018】なお、図2に示されるように、結合剤18として使用される芯鞘型繊維は芯部18Aと鞘部18Bとによって構成されており、複雑で細かい網状になっている。鞘部18Bは所定の温度(例えば、110℃等)で軟化するのに対し、芯部18Aはこれよりも高い所定の温度(例えば、250℃等)によって軟化する。従って、加熱圧縮すると、結合剤18の鞘部18Bが軟化して部分的に溶着し合い、細かい網状になって床土用粉砕籾殻群12又は覆土用粉砕籾殻群14等と絡み合い、続いてこれを冷却圧縮すると、軟化して溶着状態にあった結合剤18の鞘部18Bが直ちに冷却され、床土用粉砕籾殻群12又は覆土用粉砕籾殻群14等と絡み合った状態のままで硬化され、これにより、容易に割れたり崩れたりすることがなく、安価で取り扱いも容易であるという特長を有する連続した長尺マット状の床土用籾殻マット20及び覆土用籾殻マット22が形成される構成である。
【0019】覆土用籾殻マット22を床土用籾殻マット20の上面に固定するための接着剤24について補足すると、本実施形態では、接着剤24として水溶性糊剤が使用されているが、親水性ウレタンプレポリマーやポリ酢酸ビニルエマルジョン等も接着剤として使用可能である。なお、本実施形態のように接着剤24として水溶性糊剤を使用した場合には、当該接着剤24は灌水していくに従い水に溶けていくため、播種された種子16が発芽する際に支障を来さないという利点がある。さらに、灌水すれば覆土用籾殻マット22も水を含んで重くなるため、接着剤24が溶けて無くなっても、根立ち現象は生じなく、その結果、健全に育苗することができるという利点もある。
【0020】図3及び図4には上述した育苗用培地10を製造するための製造装置40が概略的に示されており、以下に説明する。
【0021】これらの図に示されるように、育苗用培地の製造装置40は、「搬送手段」としての搬送用ベルトコンベヤ42を備えている。搬送用ベルトコンベヤ42は、図示しないモータの駆動力を受けて軸線回りに時計方向へ駆動回転する駆動ロール44と、この駆動ロール44と対向して配置された従動ロール46と、これらの駆動ロール44及び従動ロール46に巻き掛けられて搬送経路を構成する搬送ベルト48とによって構成されている。
【0022】上記構成の搬送用ベルトコンベヤ42の搬送方向(図3の矢印A方向)上流側には、「接着剤塗布手段」としての接着剤塗布部50が配設されている。接着剤塗布部50は搬送ベルト48の直上に配置された漏斗形状の容器52を備えており、当該容器52の下端部から接着剤24が床土用籾殻マット20の上面に均一に塗布されるようになっている。
【0023】上記接着剤塗布部50よりも搬送方向下流側には、「播種手段」としての播種部70が配設されている。播種部70は搬送ベルト48の直上に配置された種子供給ホッパ72を備えており、更に当該ホッパ72の下端部には繰出しバルブ74が配設されている。この繰出しバルブ74が作動することにより、接着剤24が塗布された部分(接着層)に育苗対象となる水稲等の種子16が所定の間隔で播かれていくようになっている。
【0024】上記播種部70よりも搬送方向下流側には、「覆土重合手段」としての覆土重合部80が配設されている。覆土重合部80は、搬送ベルト48の上側部分から所定距離だけ上方に離間した位置に覆土重合ローラ82を備えている。覆土重合ローラ82は支軸84回りに図3において反時計方向へ回転可能に支持されており、又下部外周には覆土用籾殻マット22が巻き付けられている。そして、覆土重合ローラ82が支軸84回りに反時計方向へ回転することにより、覆土用籾殻マット22が床土用籾殻マット20の上面に重合される構成である。
【0025】上記覆土重合部80よりも搬送方向下流側には、「加圧手段」としての圧縮成形装置100が配設されている。圧縮成形装置100は、圧縮成形用ベルトコンベヤ102を備えている。圧縮成形用ベルトコンベヤ102の搬送ベルト104の下側部分は、搬送用ベルトコンベヤ42の搬送ベルト48の上側部分に対して所定の距離だけ上方に離間して配置されている。なお、その離間距離は育苗用培地10の成形後の厚さに設定されている。
【0026】また、圧縮成形用ベルトコンベヤ102の搬送ベルト104の下側部分並びに搬送用ベルトコンベヤ42の搬送ベルト48の上側部分には、上下一対の圧縮盤106、108が配設されている。これらの圧縮盤106、108を通過する際に、覆土用籾殻マット22が床土用籾殻マット20側へ鎮圧(圧着)される構成である。
【0027】図4に示されるように、上記圧縮成形装置100よりも搬送方向下流側には、「切断手段」としてのマット切断装置120が配設されている。マット切断装置120は、ケーシング122を備えている。ケーシング122の一方の側部には圧縮成形工程において成形された連続した長尺マット状の育苗用培地10が挿入されるマット挿入口124が形成されており、又ケーシング122の他方の側部には切断後の育苗用培地10が排出されるマット排出口126が形成されている。さらに、ケーシング122の内部には、長尺マット状の育苗用培地10の搬送経路を挟む上下に一対の固定刃128及び可動刃130が配置されている。なお、固定刃128は前記搬送経路の下側に配置されており、可動刃130は前記搬送経路の上側に配置されている。また、可動刃130は、所定のタイミングで図示しない駆動手段の駆動力を受けることにより下降して長尺マット状の育苗用培地10をカット(定寸裁断)するようになっている。これにより、マット状の育苗用培地10が形成される構成である。なお、成形された育苗用培地10は、厚さが概略2cmで、種子16までの深さが概略0.5cmで、種子16から底面までの厚さが概略1.5cmとされている。
【0028】上記マット切断装置120よりも搬送方向下流側には、集積用ベルトコンベヤ140が配設されている。集積用ベルトコンベヤ140は、マット切断装置120によって所定寸法に切断された育苗用培地10を所定の集積位置まで搬送するようになっている。
【0029】次に、本実施形態に係る育苗用培地の製造方法について説明し、当該説明を通して本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0030】まず、予め長尺マット状に形成された床土用籾殻マット20が搬送ベルト48上に載せられる。次いで、図示しないメインスイッチがONにされ、搬送用ベルトコンベヤ42が駆動状態とされる。搬送用ベルトコンベヤ42が駆動されると、搬送ベルト48が図3の矢印A方向へ移動し、長尺マット状の床土用籾殻マット20を矢印A方向へ搬送していく。そして、この状態で、接着剤塗布部50によって床土用籾殻マット20の上面に接着剤24が均一に塗布される(以上が本発明の「接着剤塗布工程」に相当)。
【0031】次に、播種部70の繰出しバルブ74が作動される。これにより、種子供給ホッパ72から水稲等の種子16が床土用籾殻マット20の上面(即ち、接着層)に所定の間隔で播かれる(以上が本発明の「播種工程」に相当)。
【0032】次に、覆土重合部80によって、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マット22が床土用籾殻マット20の上面側に重合される。具体的には、覆土重合部80が備えている重合ローラ82の外周に覆土用籾殻マット22が巻き付けられて、搬送ベルト48の搬送速度に同期して重合ローラ82が支軸84回りに図3の反時計方向へ回転されることにより、覆土用籾殻マット22が床土用籾殻マット20上に重合されていく(以上が本発明の「覆土重合工程」に相当)。
【0033】次に、圧縮成形装置100によって、床土用籾殻マット20及び覆土用籾殻マット22に所定の圧力がかけられて、長尺マット状の育苗用培地10が形成される。具体的には、圧縮成形用ベルトコンベヤ102の搬送ベルト104と搬送用ベルトコンベヤ42の搬送ベルト48との間に床土用籾殻マット20及び覆土用籾殻マット22が重合(積層)された状態で挿入され、その際に上側の搬送ベルト104によって覆土用籾殻マット22が床土用籾殻マット20側へ押圧されて圧縮される。そして、この状態で床土用籾殻マット20及び覆土用籾殻マット22は一対の搬送ベルト48、104によって挟持搬送される。このとき、一対の圧縮盤106、108によって覆土用籾殻マット22が床土用籾殻マット20に鎮圧(圧着)されて、両者の界面に介在する接着剤24が床土用籾殻マット20の上面及び覆土用籾殻マット22の下面に染み込み、覆土用籾殻マット22が床土用籾殻マット20にしっかりと固着される。これにより、長尺マット状の育苗用培地10が形成される(以上が本発明の「加圧工程」に相当)。
【0034】次に、圧縮成形を経た長尺マット状の育苗用培地10は、マット切断装置120へ送り込まれる。マット切断装置120では、ケーシング122のマット挿入口124から挿入された育苗用培地10に対して、所定のタイミングで可動刃130が固定刃128側へ下降される。これにより、長尺マット状の育苗用培地10は所定の寸法で切断(定寸裁断)され、製品たるマット状の育苗用培地10が形成されて、ケーシング122のマット排出口126から排出される(以上が本発明の「切断工程」に相当)。
【0035】なお、マット切断装置120から排出された育苗用培地10は、集積用ベルトコンベヤ140に載せられて、所定の集積位置まで搬送されていく。
【0036】上記の如くして、本実施形態に係る育苗用培地の製造方法及び製造装置によって得られた育苗用培地10には、床土用籾殻マット20と覆土用籾殻マット22との間に育苗対象となる水稲等の種子16が予め埋め込まれている。すなわち、本実施形態では、育苗用培地10の生産段階で、播種作業及び覆土作業が行われる。このため、各農家では、播種作業及び覆土作業を行う必要がなくなり、灌水管理さえ適切に行えば育苗することができる。その結果、本実施形態によれば、農家の負担を一層軽減することができる。
【0037】また、本実施形態では、床土用籾殻マット20及び覆土用籾殻マット22が予め長尺マット状に形成されており、前者にあっては搬送用ベルトコンベヤ42の長手方向に沿って移動され、後者にあっては当該長手方向に対して直交する方向に沿って移動されるため、搬送用ベルトコンベヤ42の長手方向にはスペース的な余裕は無いものの、搬送用ベルトコンベヤ42の長手方向と直交する方向にはスペース的な余裕がある場合に好適である。
【0038】なお、本実施形態では、接着剤塗布工程を先に行った後に播種工程を行う方法を採ったが、これに限らず、播種工程を先に行った後に接着剤塗布工程を行う方法を採ってもよい。この場合、育苗用培地の製造装置40については、接着剤塗布部50と播種部70とを入れ替えればよい。
【0039】また、本実施形態では、予め長尺マット状に形成された床土用籾殻マット20に予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マット22を重合させる構成を必要とするが、この点について補足すると、床土用籾殻マット20及び覆土用籾殻マット22は、既に予め別個独立に製造されていてロール状に巻回されているものであってもよいし、或いは、覆土重合工程に同期して床土用籾殻マット20及び覆土用籾殻マット22の製造工程が同時に併行してなされるものであってもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の本発明に係る育苗用培地の製造方法は、予め長尺マット状に形成されて搬送ベルト上に載せられた床土用籾殻マットの上面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、接着剤塗布後の床土用籾殻マットの上面又は接着剤塗前の床土用籾殻マットの上面に育苗対象となる種子を所定の間隔で播いていく播種工程と、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マットを床土用籾殻マットの上面側に重合させる覆土重合工程と、床土用籾殻マット及び覆土用籾殻マットに所定の力をかけて長尺マット状の育苗用培地を形成する加圧工程と、長尺マット状の育苗用培地を所定の長さで切断する切断工程と、を有するので、従来では各農家で行われていた播種作業及び覆土作業を無くすことができ、その結果、農家の負担を一層軽減することができるという優れた効果を有する。
【0041】請求項2記載の本発明に係る育苗用培地の製造装置は、駆動することにより搬送ベルトを一定方向へ移動させる搬送手段と、予め長尺マット状に形成されて搬送ベルト上に載せられた床土用籾殻マットの上面に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、この接着剤塗布手段よりも搬送方向下流側又は搬送方向上流側に設けられ、接着剤塗布後の床土用籾殻マットの上面又は接着剤塗布前の床土用籾殻マットの上面に育苗対象となる種子を所定の間隔で播いていく播種手段と、この播種手段よりも搬送方向下流側に設けられ、予め長尺マット状に形成された覆土用籾殻マットを床土用籾殻マットの上面側に重合させる覆土重合手段と、この覆土重合手段よりも搬送方向下流側に設けられ、床土用籾殻マット及び覆土用籾殻マットに所定の力をかけて長尺マット状の育苗用培地を形成する加圧手段と、この加圧手段よりも搬送方向下流側に設けられ、長尺マット状に形成された育苗用培地を所定の長さで切断する切断手段と、を有するので、従来では各農家で行われていた播種作業及び覆土作業を無くすことができ、その結果、農家の負担を一層軽減することができるという優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
【出願日】 平成12年5月29日(2000.5.29)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2001−333638(P2001−333638A)
【公開日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【出願番号】 特願2000−159254(P2000−159254)