| 【発明の名称】 |
育苗培土の製造方法および固化方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】舟見 正行
【氏名】岩熊 正樹
【氏名】横地 太郎
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| 【要約】 |
【課題】育苗培土基材の種類および量に応じて、良好な固化状態を有する育苗培土を簡便にかつ安定して得ることができる育苗培土の製造方法および固化方法を提供する。
【解決手段】育苗培土基材と、アルギン酸塩とを含む育苗培土の製造方法であって、上記育苗培土中の多価カチオン当量(me)が、上記アルギン酸塩のアニオン当量(me)の160%以上となるように、上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】育苗培土基材とアルギン酸塩とを含む育苗培土の製造方法であって、上記育苗培土中の多価カチオン当量(me)が、上記アルギン酸塩のアニオン当量(me)の160%以上となるように、上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合することを特徴とする育苗培土の製造方法。 【請求項2】育苗培土基材とアルギン酸塩とを含む育苗培土の製造方法であって、上記育苗培土中の2価カチオン当量(me)が、上記アルギン酸塩のアニオン当量(me)の80%以上となるように、上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合することを特徴とする育苗培土の製造方法。 【請求項3】0.01〜5.0重量%のアルギン酸塩水溶液を用いて、上記アルギン酸塩を、上記育苗培土基材と混合することを特徴とする請求項1または2記載の育苗培土の製造方法。 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の育苗培土の製造方法により得られた育苗培土を固化することを特徴とする育苗培土の固化方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、農園芸作物の機械移植に好適に用いられる育苗培土の製造方法および固化方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、農園芸作業の効率化を図る目的で、野菜、花卉、水稲等の農園芸作物の機械移植がさかんに行われている。一般に、機械移植は、鉢形等の形状よりなる育苗容器(育苗ポット)中で土付苗を育苗し、続いて、移植機により、上記育苗ポットから土付苗を、たとえば、突き出すことによって分離した後、畝へ植付けるという手順により行われる。 【0003】このように、機械移植は、農園芸作業の効率化を図るために、上記土付苗、すなわち、苗と、苗を育成するために育苗ポット中に充填され、該苗の根によって包みこまれた育苗培土(以下、「根鉢部分」という)とが、ともに移植機により畝へ植付けられるという作業工程を有している。上記突き出しを行う場合は、たとえば、育苗ポットの底部に穿設された穴を貫通し得るように移植機に設けられた突き出し棒により、土付苗が突き出される。 【0004】従って、上記手順による機械移植が円滑に行われるためには、土付苗が崩壊することなく、育苗ポットから突き出されることが必要である。そこで従来より、アルギン酸塩溶液を育苗培土基材に対し潅注・浸透させる等の処理をすることで育苗培土を固化させる手法が用いられている。 【0005】上記アルギン酸塩溶液を用いて育苗培土を固化させる方法としては、たとえば、特許第2923544号公報(特開平4−335826号公報)に、育苗容器にて育成した苗の移植前に、該苗を育成した育苗培土基材を、アルギン酸塩水溶液にて潅注・浸漬処理する移植用育苗培土の固化方法が開示されている。この育苗培土では、アルギン酸塩が、土壌中に含まれる多価金属イオン(多価カチオン)と反応してゲル化反応を起こすことにより育苗培土の固化が行われる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の育苗培土の固化方法では、育苗培土基材に添加するアルギン酸塩水溶液の濃度等は規定されているが、育苗培土基材としての土壌の種類については特に規定されていない。従って、同じ濃度のアルギン酸塩水溶液を、育苗培土基材に対して同じ割合で用いても、育苗培土基材の種類によっては、つまり、育苗培土基材中に含まれる多価カチオン量によって育苗培土の固化状態が変化してしまう場合がある。このため、実際に上記従来の方法を使用しても、用いる育苗培土基材によっては、期待通りの良好な固化状態、すなわち、機械移植時に必要とされる根鉢部分の固化強度を得られないという問題点がある。 【0007】上記問題点は、アルギン酸塩水溶液のゲル化反応の機構に起因している。すなわち、アルギン酸塩は、多価カチオンと反応した場合にのみゲル化反応を起こすため、多価カチオンを殆どまたは全く含まない育苗培土基材、たとえば、カナダ産、フィンランド産、スウェーデン産の白ピートモス;バーミキュライト;パーライト;等は、アルギン酸塩により処理しても固化させることはできない。 【0008】つまり、用いる育苗培土基材の種類によっては、得られる根鉢部分が十分な強度を有さない場合があり、このような場合には育苗ポットから土付苗を突き出す際に、該土付苗の根鉢部分が崩壊するため、移植機による機械作業を円滑に行うことができない。 【0009】本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、育苗培土基材の種類および量に応じて、良好な固化状態を有する育苗培土を簡便にかつ安定して得ることができる育苗培土の製造方法および固化方法を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を続けてきた。その結果、アルギン酸塩を用いて育苗培土を固化させる場合において、良好な固化状態を安定して得られる育苗培土中の多価カチオン当量とアルギン酸塩のアニオン当量との関係を明らかにすることによって、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0011】請求項1の育苗培土の製造方法は、上記の課題を解決するために、育苗培土基材とアルギン酸塩とを含む育苗培土の製造方法であって、上記育苗培土中の多価カチオン当量(me)が、上記アルギン酸塩のアニオン当量(me)の160%以上となるように、上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合することを特徴としている。 【0012】請求項2の育苗培土の製造方法は、上記の課題を解決するために、育苗培土基材とアルギン酸塩とを含む育苗培土の製造方法であって、上記育苗培土中の2価カチオン当量(me)が、上記アルギン酸塩のアニオン当量(me)の80%以上となるように、上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合することを特徴としている。 【0013】上記の構成によれば、育苗培土中の多価カチオン当量(me)と、アルギン酸塩のアニオン当量(me)とが上記の関係を満たすように、育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合することで、常に良好な固化状態を安定して得ることができる。従って、たとえば、育苗培土基材中または育苗培土中に含まれる多価カチオン量を事前に分析して、どの程度の量のアルギン酸塩で良好な固化状態を得られるかを、作物を移植する前に判断することができる。このため、用いるアルギン酸塩の量を決定して、育苗培土基材の潅注(潅水)処理、浸漬処理を行うことにより、育苗培土基材の種類および量に応じて、良好な固化状態を有する育苗培土を簡便にかつ安定して得ることができる。 【0014】請求項3の育苗培土の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の構成に加えて、0.01〜5.0重量%のアルギン酸塩水溶液を用いて上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合することを特徴としている。 【0015】上記の構成によれば、アルギン酸塩水溶液を用いることにより、水溶性のアルギン酸塩を育苗培土基材に対して浸透させることができるので、育苗培土基材とアルギン酸塩との混合をより確実かつ迅速に行うことができる。また、アルギン酸塩水溶液の濃度を上記範囲内とすることで、根鉢部分に対し機械移植時に必要とされる根鉢部分の固化強度を、より確実に付与することができる。 【0016】請求項4の育苗培土の固化方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の育苗培土の製造方法により得られた育苗培土を固化することを特徴としている。 【0017】上記の構成によれば、上記育苗培土の製造方法により得られた育苗培土を固化することにより、育苗培土基材の種類および量に応じて、良好な固化状態を有する育苗培土を簡便にかつ安定して得ることができる。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明の内容について、以下に詳細に説明する。本発明の育苗培土の製造方法は、育苗培土基材と、アルギン酸塩とを含む育苗培土の製造方法であって、上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを、上記育苗培土中の多価カチオン当量(me)(単位:milli equivalent,以下「me」という)が、上記アルギン酸塩のアニオン当量(me)の160%以上となるように混合する方法である。 【0019】本発明にかかる育苗培土基材の種類は、特に限定されないが、造粒培土、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト等の鉱物資材;ピートモス、ヤシガラピートモス、バカス、バーク等の植物系繊維資材;および上記例示の資材の混合品;等が挙げられる。 【0020】上記例示の育苗培土基材のうち、特に、混合するアルギン酸塩のアニオン当量の160%以上の多価カチオンを含んでいる基材がより好ましい。しかしながら、たとえば、カナダ産、フィンランド産、またはスウェーデン産の白ピートモス;バーミキュライト;パーライト;等の多価カチオンをほとんど含まない基材であっても、多価カチオン当量がアルギン酸塩のアニオン当量に対し、上記の関係を有するように多価カチオン量を調整することにより、育苗培土基材として用いることができる。 【0021】上記例示の多価カチオンをほとんど含まない基材について、多価カチオン量を調整する方法としては、たとえば、水酸化カルシウム(消石灰);炭酸カルシウム;たとえば過リン酸石灰等の多価カチオンを含む肥料;等を添加して多価カチオンを吸着させる方法等が挙げられる。 【0022】上記多価カチオンとしては、アルミニウムイオン、鉄イオン、ホウ素イオン、チタンイオン、セリウムイオン等の3価カチオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、銅イオン、亜鉛イオン;ニッケルイオン;ストロンチウムイオン等の2価カチオン等が挙げられる。 【0023】本発明にかかるアルギン酸塩としては、水溶性のアルギン酸塩が使用できる。より具体的には、たとえば、アルギン酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;やアンモニウム塩;等が挙げられる。 【0024】アルギン酸塩と育苗培土基材とを混合する方法としては、具体的には、たとえば、アルギン酸塩水溶液を育苗培土基材に対し潅水する方法や、アルギン酸塩水溶液中に育苗培土基材を浸漬する方法等が挙げられる。より具体的には、育苗培土基材の入った育苗ポット上方より、育苗培土基材全体に十分浸透する量のアルギン酸塩水溶液を潅水するか、または、該水溶液に上記育苗ポットを浸漬することにより処理を行う方法を用いることができる。 【0025】また、上記アルギン酸塩水溶液を用いる方法の他、所定量のアルギン酸塩の粉末を、直接育苗培土基材に対し添加した後、適宜潅水し、育苗ポットに充填する方法を用いてもよい。 【0026】また、アルギン酸塩と育苗培土基材とを一括混合する上記方法の他、予め、高濃度のアルギン酸塩を含むマスターバッチ土壌を調製し、次いでこれと土壌とを混合して所定濃度とする方法を用いてもよい。 【0027】アルギン酸塩の育苗培土中における混合割合は、多価カチオン当量が、アルギン酸塩のアニオン当量の160%以上となるように育苗培土基材およびアルギン酸塩の種類に応じて適宜設定することができる。 【0028】育苗培土基材と混合するアルギン酸塩が水溶液である場合、該水溶液の濃度は、育苗培土基材の種類、苗の種類、苗の生育状態および必要とされる育苗培土の硬度等に応じて適宜選択されるが、通常、0.01〜5.0重量%の範囲内であることが望ましい。 【0029】本発明において、上記多価カチオン当量およびアニオン当量に用いられる当量とは、化学当量に等しいミリグラム数のイオンの量すなわち、ミリグラム当量(me)をさす。 【0030】たとえば、多価カチオンのうち、3価カチオンであるアルミニウムイオン当量の場合、1meとは、アルミニウムイオンとして9mgに相当する値である。すなわち、上記3価カチオンの場合、アルミニウムイオンは、アルミニウムの原子量が約27、アルミニウムイオンの価数が3価であり、化学当量とは、酸素の7.999g(酸素原子の1/2モル)と化合する元素の質量をWgとするときのWをいうことから、上記原子量を上記価数で除した値から換算して、アルミニウムイオン9gが1グラム当量とみなすことができ、同様にアルミニウムイオン9mgを1ミリグラム当量とみなすことができる。これを本発明の多価カチオン当量で表せば、アルミニウムイオン9gが1多価カチオン当量(1equivalent=1000milli equivalent( me))となる。 【0031】他の多価カチオンについても上記と同様であり、たとえば、原子量が40で2価のカルシウムイオンは20gが、原子量が56で3価の鉄イオンは18.7gが、原子量が58.7で2価のニッケルイオンは29.35gが、原子量が65.4で2価の亜鉛イオンは32.7gが、原子量が63.5で2価の銅イオンは31.75gが、原子量が137.3で2価のバリウムイオンは68.65gが、原子量が87.6で2価のストロンチウムイオンは、43.8gが、それぞれの1多価カチオン当量に相当する。 【0032】また、アルギン酸塩のアニオン当量とは、広義には、酸として作用する1当量の水素を含む酸性官能基の量を表すものである。多価カチオン当量およびアニオン当量の算出方法等につき、アルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを例にとって、以下に詳しく説明する。 【0033】アルギン酸ナトリウムは、以下に示す繰り返し単位からなる構造を有している。 【0034】 【化1】
【0035】アルギン酸ナトリウムは、水溶液中では、上記Na部分が電離し、遊離のカルボキシル基が生じるため、アニオン性を持つこととなる。ここで、上記繰り返し単位のうち、○で囲んだ部分に注目すると、○部分一つ当たり、Na+ が一つ電離する。 【0036】従って、○部分の分子量が198(=C×6+H×7+O×6+Na×1)であることから、アルギン酸ナトリウム198gが1アニオン当量(1equivalent=1000milli equivalent( me))に相当する。従って、上記のような関係を考慮すれば、育苗培土基材と混合するアルギン酸塩の重量から、育苗培土中に含まれるアルギン酸塩のアニオン当量を算出することができる。 【0037】たとえば、育苗ポットに充填した育苗培土基材に、1ポット当たり、アルギン酸ナトリウム0.02gを混合した場合、アニオン当量(me)は、0.02÷198g×1000=0.101(me) となる。以上の説明から明らかなように、育苗培土中のアニオン当量は、混合するアルギン酸塩の重量により決定づけられる。 【0038】本願発明者らは、上述のように、育苗培土基材およびアルギン酸塩の種類と量との組み合わせによって、育苗培土の固化状態が変化することを見出し、上記育苗培土基材中の多価カチオンの量とアルギン酸塩のアニオン量とが育苗培土の固化状態に関して、上記一定の関係を有することを明らかにした。以下において、本発明の育苗培土の製造方法において、育苗培土基材中の多価カチオンの量とアルギン酸塩が提供するアニオン量との関係を、アルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを用いた場合を例にとってさらに詳しく説明する。 【0039】本願発明者らは、まず、固化させる育苗培土に含まれる対象基材として化学的に不活性な海砂を用い、該海砂に、0.5重量%の濃度となるようにアルギン酸ナトリウムを添加した。次に海砂に対して20重量%の量の水を加えて混合し、該海砂を湿状態のまま、底部の穴を塞いだレタス育苗用トレー(288ポット)に、4.8g/ポットとなるように充填した。 【0040】上記充填後の育苗ポット上部より、2価カチオン(Ca2+、Ba2+、Cu2+、Zn2+、Sr2+)または3価カチオン(Al3+、Fe3+)を含む水溶液を潅注処理し、アルギン酸ナトリウムと反応させた。10分経過後、上記育苗ポット底部に穿設された穴より、突き出し棒を用いて海砂を突き出し、固化状態を評価した。評価方法は、突き出した海砂を1mの高さより自然落下させ、崩壊の有無を目視により観察した。上記操作を、各100個の試験用育苗培土について行い、崩壊した育苗培土の個数を調べた。結果を表1に示す。 【0041】上記評価方法において、1ポット当たりに、海砂は乾重で4g含まれ、また、アルギン酸ナトリウム濃度は、上記のように0.5重量%であるため、1ポット当たりのアルギン酸ナトリウム量は、0.02gとなる。従って、上記と同様の計算により、1ポットに含まれるアルギン酸ナトリウムのアニオン当量は、0.101meとなる。 【0042】 【表1】
【0043】表1の結果から明らかなように、2価カチオンは、1ポット当たり0.08me、3価カチオンは、1ポット当たり0.16me添加することで、海砂を安定して固化させることができる。 【0044】これを1ポット当たりのアルギン酸ナトリウム量(アニオン当量として、0.101me)との関係で見ると、2価カチオンを添加した場合は、アルギン酸ナトリウムのアニオン当量の80%以上の2価カチオンを添加すれば安定した育苗培土の固化状態を得られることがわかる。一方、3価カチオンを添加した場合は、アルギン酸ナトリウムのアニオン当量の160%以上の3価カチオンを添加すれば安定した育苗培土の固化状態を得られることがわかる。 【0045】以上の結果より、育苗培土中に含まれる多価カチオン量は、育苗培土中に含まれるアルギン酸塩のアニオン当量の160%以上とすることにより、常に安定した固化状態を得ることができる。 【0046】本発明にかかる育苗培土の製造方法では、必要に応じて、アルギン酸塩以外の添加剤等がアルギン酸塩の効果を阻害しない範囲内で含まれていてもよい。 【0047】本発明の育苗培土の製造方法により製造された育苗培土は、野菜、花卉、苗木、稲等の農園芸作物に対し使用することができる。ビート等の単根性の野菜の土付苗においても、機械移植可能な固化性を有する根鉢部分を安定して形成することができる。 【0048】次に、本発明の特徴点をさらに明らかにするため、本発明にかかる製造方法における育苗培土基材とアルギン酸塩との混合の形態について、以下に説明する。 【0049】育苗培土基材とアルギン酸塩とを上記の関係、すなわち、育苗培土中に含まれる多価カチオン量が、育苗培土中に含まれるアルギン酸塩のアニオン当量の所定割合以上であるという関係を満たすように混合するためには、具体的には、たとえば、(1)上記育苗培土基材中の多価カチオンの量を測定し、該多価カチオンの量に応じて育苗培土中の多価カチオン当量(me)およびアニオン当量(me)が上記の関係を満たすように、混合するアルギン酸塩の種類を選択する方法;(2)上記育苗培土基材中の多価カチオンの量を測定し、該多価カチオンの量に応じて育苗培土中の多価カチオン当量(me)およびアニオン当量(me)が上記の関係を満たすように、アルギン酸塩の使用量を設定する方法;(3)用いるアルギン酸塩のアニオン量に基づいて、育苗培土中の多価カチオン当量(me)およびアニオン当量(me)が上記の関係を満たすように使用する育苗培土基材を選択する方法;(4)アルギン酸塩のアニオン量に基づいて、育苗培土中の多価カチオン当量(me)およびアニオン当量(me)が上記の関係を満たすように、上記育苗培土基材中の多価カチオンの量を調整する方法;等が挙げられる。 【0050】上記(1)〜(4)の方法において多価カチオン当量を測定する場合には、たとえば、育苗培土基材としての土壌を一定量採取し、育苗培土一定量当たりの多価カチオン量を以下に述べるような3価カチオンの定量法を用いて定量し、これを、たとえば、1ポット当たりの多価カチオン当量に換算する方法が挙げられる。 【0051】また、上記(4)において、育苗培土基材中の多価カチオンの量を調整する方法としては、たとえば、必要に応じた量の多価カチオンを提供できる金属塩水溶液等の処理液を育苗培土基材に添加する等が挙げられる。この場合、該処理液等の添加は、アルギン酸塩と育苗培土基材との混合前に行うことが望ましい。 【0052】本発明によれば、育苗培土基材中の多価カチオンの量と、アルギン酸塩のアニオン量とが、上記の関係を満たすことで得られる育苗培土は、良好な固化状態を常に安定して形成することができる。この場合、育苗培土基材中に、たとえばナトリウムイオン等の1価カチオンが別に存在している場合であっても、1価カチオンの存在が、上記多価カチオンの量およびアルギン酸塩が提供するアニオン量ならびに育苗培土の固化状態の3者間の対応関係には何ら影響しない。従って、本発明の育苗培土の製造方法を用いれば、上記多価カチオンの量およびアニオン量のみを指標として、選択すべき育苗培土基材またはアルギン酸塩の種類および混合量が決定できるので、簡便に上記目的を達成することができる。 【0053】本発明にかかる育苗培土基材中の多価カチオンの量の測定方法は特に限定されない。たとえば3価カチオンであるアルミニウムイオンの場合、以下に述べるアルミニウムイオン定量法(「土壌養分分析法」第7版,養賢堂)を用いて行うことができる。 【0054】<アルミニウムイオン定量法>(1)試験液の調製育苗培土基材を完全に乾燥した状態である乾燥土壌として1.00gに相当する量を100ml共栓つき遠沈管に入れ、これにpH4,1N酢酸ナトリウム水溶液40mlをピペットで添加した。上記遠沈管を密栓後ただちに振とう機にかけ、振とう温度30℃において3時間振とう機で振とうした。振とう後、2500rpmで5分間遠心分離し、上澄液を採取し試験液とした。上澄液は、必要に応じて乾燥定量濾紙により濾過した。定量の精度の高さを確保するために、該上澄液は、育苗培土基材が火山灰土壌である場合には、10ml、その他の土壌である場合には、30ml程度採取した。採取した上澄液(試験液)を保存する場合は、三角フラスコ等に密栓して保存した。 【0055】尚、上記1N酢酸ナトリウム水溶液は、特級水酸化ナトリウム飽和水溶液を脱塩水で希釈し、正確に2N水酸化ナトリウムとした後、これを定容フラスコにより500ml量り採り、1リットル容ビーカーに採取した。上記定容フラスコに残存する水酸化ナトリウム水溶液は、少量の脱炭酸した脱塩水で洗浄し、全て上記ビーカーへ移した。該ビーカーに特級酢酸を徐々に撹拌しつつ加え、ガラス電極でpH4.00に調整したのち、これを定容フラスコにより1リットルとした。 【0056】(2)アルミノン比色法アルミニウムイオンは、以下に述べるアルミノン比色法を用いて定量した。アルミノン緩衝液:4N特級アンモニア水250mlおよび4N特級酢酸250mlを正確に調製し、これらを1リットル容ビーカー中で混合して500mlのpH7,2N酢酸アンモニウムとした。これに37%特級塩酸を50ml加えて混合した。この溶液に0.5%アルミノン水溶液100mlを加えて混合した。さらに、2%特級アラビアゴム水溶液100mlをこれに添加し、定容フラスコで脱塩水を添加して1リットルとした後、冷暗所に保存した。尚、上記アルミノンは、イーストマン(Eastman Organic Chemicals )社製を用いることが最も好ましいが、国産品を使用する場合は、小宗化学製または和光純薬製を用いることが好ましい。また、特級アラビアゴムは、最初、少量の脱塩水で溶かし、その後さらに脱塩水を加えて調製した。また、特級アラビアゴムの水に不溶な部分については、遠心分離により除去した。 【0057】塩酸ヒドロキシルアミン溶液:1N特級塩酸100mlに5.0gの塩酸ヒドロキシルアミンを溶かした。尚、塩酸ヒドロキシルアミン溶液は、各実験時ごとに新たに調製した。 【0058】アルミニウム標準液:100.0mg〜200.0mgの金属アルミニウム(純度99.0%以上)を正確に秤量し、特級濃塩酸で溶解させた。溶解は、砂浴上で弱加温して行い、完全に溶解させた後、定容フラスコで1リットルとし、アルミニウム標準液を得た。該アルミニウム標準液は、使用時に適宜希釈して用いた。 【0059】上記(1)で調製した試験液の一定量を50ml容ビーカーに採取した。採取量は、火山灰土壌の場合は、0.2ml〜1ml、鉱質土壌の場合は、2ml〜5mlを目安とした。但し、上記アルミノン緩衝液に使用したアルミノンが国産品である場合は、採取量は上記の1/2量とした。尚、この時点で、上記試験液が腐植により着色していれば、過酸化水素水5mlを加えて湯せん上で時計皿をかぶせて該着色を分解した。時計皿を取り蒸発乾固した後、特級濃塩酸1ml加えて残さを溶解させ、澄明な液を得た。但し、採取量が1ml以下の火山灰土壌の場合は、上記操作は行わなかった。 【0060】次に、鉄を還元するため、4mlの塩酸ヒドロキシルアミン液をこれに添加し、さらに脱塩水を加えて液量を25mlとした。次に、上記アルミノン緩衝液10mlをホールピペットを用いて添加した後、ガラス電極pHメーターにより、2N塩酸、2Nアンモニア水を用いてpH3.5に正確に調整した。 【0061】次に、砂浴上に上記ビーカーを置き、時計皿をかぶせ、静かに5分間沸騰させた。この場合、激しく沸騰させないようにした。砂浴からビーカーをおろし、流水中で冷却させた後、定容フラスコで50mlに希釈したものを被試験液とし、これを2時間放置後、530mμで比色した。発色液を添加し発色後は、2時間〜24時間以内に比色を行った。検量線は、アルミニウム標準液を希釈し、50ml中0〜100μgのアルミニウムを与える濃度内で数点について上記被試験液と同様に調製し、上記と同様の操作で比色して作成した。上記検量線作成に当たっては、発色後の液濃度が上記被試験液を同程度の範囲内となるように、pH4、1N酢酸ナトリウム液を最初に添加しておいた。但し、上記腐植による着色を分解するために、過酸化水素水を加えた場合は、上記酢酸ナトリウムの添加は行わなかった。また、比色時の標準として水は用いず、アルミニウムを添加しない発色液を比色時の標準として使用した。検量線は測定ごとに新たに調製した。 【0062】(3)以上の操作は、特に以下の点に注意して行った。 定量の精度を確保するためには、発色液のpHと発色後比色するまでの時間を一定にする。また、発色液のpHを正確にpH3.5にすることが必要であることに加え、上記沸騰時における激しい沸騰を避け、上記pHが変化しないよう留意する。これは、pH3.5付近が最もpHによる発色量の変動が少ない領域であるためである。特に比色時の標準として使用するアルミニウムを含まない発色液において、上記変動が大きいため注意する。 【0063】また、上記アルミノン比色法は、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、すずによっていずれもほとんど妨害されることがない。但し、3価鉄は本比色法に対し正の誤差を与えるが、塩酸ヒドロキシルアミンを添加して還元した状態では誤差を与えない。また、クロムはやはり正の誤差を与える(アルミニウムとほぼ同量存在する条件で+10%程度)を与えるが、これが土壌中に大量に存在することはなく、無視してさしつかえない。 【0064】その他、各種3価カチオン、2価カチオンの定量方法としては、たとえば、以下に示す定量方法(「土壌養分分析法」第7版,養賢堂)を用いることができる。 【0065】<鉄イオン定量方法>鉄イオンは、以下のo−フェナントロリン法を用いて定量した。 【0066】(1)試薬調製Morganの浸出液(pH4.8酢酸ナトリウム緩衝液):酢酸ナトリウム100gに95%氷酢酸30mlを加えて水で薄めて1lとし、ガラス電極pHメーターでpHを測定しつつ、希酢酸および希水酸化ナトリウム液で正確にpH4.8とした。 2M酢酸液:氷酢酸126mlを水で薄めて1lとした。 2M酢酸ナトリウム液:NaCH3 COO/3H2 O272gを水に溶かして1lとした。 o−フェナントロリン液:o−フェナントロリン液1gを400mlの水に溶かし暗所に保管した。 ハイドロキノン液:ハイドロキノン液1gをpH4.5の緩衝液100mlに溶かし、冷暗所に保管した。着色した場合は、再度調製した。 鉄標準原液:特級硫酸第一鉄アンモニウムFeSO4 ・(NH4)2 SO4 ・6H2 O7.0215gを水に溶かして1lとし、さらにこの液10mlを1lとしてFe10ppmを得た。使用の際には、適宜希釈して用いた。 【0067】(2)試験液の調製まず、常法により育苗培土基材を風乾し、2mmの円孔ふるいで礫を除き乾燥細土(乾土)とした。次に、該乾土20gを三角フラスコにとり、pH4.8酢酸ナトリウム液50mlを加えて1時間振とう後静置し、上澄液を濾過して試験液とした。 【0068】(3)比色定量上記試験液5ml(乾土2g相当)を、10ml容試験管にとり、酢酸(1:1)1mlを加え、pH3.5付近とした。これにハイドロキノン液1ml、o−フェナントロリン液2mlを加えて発色させ、水を加えて10mlとした。1時間放置後、生じた赤橙色をフィルター510mμを用い光電光度計で吸光度を測定した。測定値は、別に作った標準液の検量線に基づいて作成した。 【0069】検量線は、鉄標準液(10ppm)1ml(Fe0.01mg)をとり、pH4.8酢酸ナトリウム液4mlと酢酸(1:1)1mlとを加えてほぼpH3.5の液mlとし、試験液と同様に処理して発色させ水を加えて10mlとした。この液は、試験液が乾土2g相当量であるから、土壌の可給態Feとしては、5ppmに相当する標準液となる。土壌の可給態Feは、大体2〜20ppmの範囲のものが多いことに鑑み該範囲を中心として標準液を調製した。また、2価カチオンについては、以下に述べる各定量方法により定量することができる。 【0070】<カルシウムイオン・マグネシウムイオン定量方法>(1)試験液の調製育苗培土基材を乾燥土壌として所定量秤量し、常法に従いカチオンを抽出し、土壌抽出液を調製した。土壌抽出液は、腐植のために多少着色している場合はEDTA滴定の終点を不鮮明にするので、水浴上で王水処理によって分解し、併せてけい酸分離を行い原子吸光分光分析の精度を良好にするようにした。 【0071】上記土壌抽出液を入れたビーカーは、ドラフト内の煮沸している水浴上にのせ、時計皿の蓋をガラス三角架で持ち上げて内容を蒸発させ、小体積(液の厚さで3〜5mmくらい)まで濃縮した。三角架を除去してビーカーを直接時計皿で覆い、ビーカーの口ばしからHNO3 約20mlを加え、水浴上に戻した。駒込ピペットから30%H2 O2 約4mlを加えた。この際、ピペットをビーカー中に深く挿入せず、ピペットの先端をビーカーの口ばしに辛うじて載せるようにして加えた。発泡反応が大体しずまったとき、溶液の色が褐色味を失い黄色ないし無色になっていれば、H2 O2 処理は終わったものとした。その後、発泡が認められなくなってから、ガラス三角架を時計皿の下に挿入して、内容を蒸発乾固した。 【0072】H2 O2 処理が不完全と認められたら、H2 O2 約2mlずつの添加を繰り返し、以後蒸発乾固に移した。蒸発乾固したら、ガラス三角架を極小量の水液でビーカー中に洗い込んでから除去し、ビーカーを時計皿で直接覆った。ビーカーの口ばしからHCl約15mlとHNO3 約5mlとを加え、ビーカーを水浴上に戻した。発泡反応が止んだらガラス三角架を時計皿の下に挿入して内容を蒸発乾固した。ガラス三角架を極小量の水液でビーカー中に洗い込んでから除去し、ビーカーを時計皿で直接覆い、ビーカーの口ばしからHCl約10mlを加えた。ビーカーを水浴上に戻し、発泡反応が止んだら、ガラス三角架を時計皿の下に挿入して内容を蒸発乾固した。この場合、褐色の固形物ができると、H2 O2 添加の回数を多くする必要が生ずるので、残渣が固化しない程度まで濃縮するに留めた。 【0073】残渣をHCl1〜5滴でしめしてからガラス三角架を水約20mlでビーカー中に洗い込み、ビーカーを時計皿で覆って小炎上で溶液が煮沸するまで加熱した。内容を東洋濾紙No.5B,7cmで濾過し、時計皿とビーカーとを洗瓶からの熱湯で洗い込み、最後に濾紙を洗う。濾紙と洗液とは100mlビーカーに受けた。この全容70mlぐらいまでの溶液を水で薄めて200ml定容とし試験液とした。 【0074】(2)EDTA滴定法カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンは、以下に述べるEDTA滴定法により定量した。 【0075】まずEDTA滴定の標準曲線をもとめた。0.01MのMgSO4 標準液25mlをピペットで300mlコニカル・ビーカー中に取り、水で薄めて大体90mlとし、トリエタノールアミン液10ml、NH4 Cl−NH4 OH緩衝液約10mlと5%KCN溶液5滴を加える。磁気撹拌しながらTPC指示薬0.1gを加え、直ちにゼロ合わせした50mlビュレットから0.01MEDTA標準液で滴定する。青色がだんだん薄くなってほとんど全く無色(または灰色)になった点を終点とした。少なくとも3回の滴定の平均値をもとめた。EDTA標準液のモル濃度M=(MgSO4 標準液のモル濃度×25.00)/(EDTA溶液の滴定値(v))なる関係式と、以下の操作による試験液の滴定値の平均値とからカルシウムイオン+マグネシウムイオンを定量した。 【0076】まず、(1)の方法により調製した試験液各20mlずつを、3個の300mlコニカルビーカーにそれぞれ取り分けた。第1のビーカーにトリエタノールアミン液10ml,NH4 Cl−NH4 OH緩衝液10ml、KCN溶液5滴を順次振り混ぜながら加え、水約150mlを加えて薄めた。10mlミクロビュレット(1目盛り0.02ml,液溜め付)中のEDTA標準液の液面のゼロ合わせができたら、TPC指示薬少量を加えて磁気撹拌しながら滴定してゆき、青色がだんだんうすくなってほとんど全く無色(灰色)になる点を終点とした。10mlで滴定しきれなかった試料については、滴定を中止し、それらはまとめてそれぞれの第2のビーカーについて、50mlビュレットからのEDTA標準液で同様に滴定しなおした。 【0077】次に、カルシウムイオンのみのEDTA滴定を以下のようにして行った。第3のビーカーにトリエタノールアミン液10ml、8MKOH液4ml、KCN液5滴を順次振り混ぜながら加え、水150mlをこれに加える。約3分経過後、磁気撹拌しながらNN指示薬(2−Hydroxy−1−(2−hydroxy−4−sulfo−1−naphthylazo)−3−naphthoic Acid)約0.1gを加え指示薬が溶解したら直ちに、用意しておいたビュレットからEDTA標準液を滴定し始める。ビュレットは、上記カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの両者についての滴定結果に応じて適宜大きさを決定する。 【0078】指示薬を加えた時の溶液の色は、カルシウム含量の大きいほど赤味が強く、少量になるに従って紫がかってくる。紫色になるまでは、後流誤差を生じない限度内ですみやかに滴定し、以後注意して1滴1滴加え、完全に赤みをおびない青色になった瞬間を終点とする。 【0079】上記のようにしてもとめた滴定値vから、以下の関係式によりカルシウムイオン量およびマグネシウムイオン量を測定する。 【0080】 【数1】
【0081】ここで、Mは、EDTA標準液のモル数、2は、モル濃度を規定濃度になおすための係数、vは、カルシウムイオンの滴定(Ca滴定)のEDTA標準液のml数、Vは、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの滴定(Ca+Mg滴定)のEDTA標準液のml数、fは、風乾細土の乾燥係数、wは、風乾細土の秤取量(g)である。結果は、四捨五入して有効数字3桁とし、小数点以下の値は、四捨五入して有効数字2桁とする。 【0082】<マンガンイオン定量方法>(1)試薬調製中性N酢酸アンモニウム液:氷酢酸の8.5倍希釈液と濃アンモニア水の7.5倍希釈液を等量混合し、pHを測定し氷酢酸17倍液またはアンモニア水15倍液でpHを7.0に調節した。0.2%ハイドロキノン含有中有性N酢酸アンモニウム液:上記酢酸アンモニウム液に0.2%の割合でハイドロキノンを溶かし、使用直前に調製して着色びんに入れた。冷暗所に置き、当日中に使用するようにした。マンガン標準液:特級過マンガン酸カリウム0.2877gをとり、水100mlに溶かし、これに硫酸(1:1)を加えて酸性とし、加温しながら別に調製した10%しゅう酸液を過マンガン酸カリウムの色が完全に消失するまで徐々に加えた。放冷後、水を加えて1lとし、着色びんに入れて冷暗所に保管した。本液1mlは、マンガン(Mn)0.1mgに相当した。 【0083】(2)試験液の調製育苗培土基材としての土壌を風乾し、2mmの円孔ふるいでふるって礫を除き、乾土とした。浮石質土壌のように多量の礫を含有する場合は原土に対する該乾土の%を算出しておいた。 【0084】乾土40gを三角フラスコにとり、中性N酢酸アンモニウム液100mlを加えて1時間振とう浸出し、しばらく放置後上澄液を濾過して試験液とした。該試験液は、50ml(乾土20g相当)を用いた。保温浸出する場合は、乾土40gに中性N酢酸アンモニウム液100mlを加えて湯浴により70℃で1時間保温浸出した。上澄液を濾過して試験液とした。上記のようにして、置換性マンガンについては浸出を行う一方、易還元性マンガンについては、以下のようにして浸出した。まず、乾土10gを三角フラスコにとり、使用直前に調製した0.2%ハイドロキノン含有中性N酢酸アンモニウム液50mlを加えて2時間ごとに数回振とうして6時間以上放置した後、上澄液を濾過して試験液とした。 【0085】(3)比色定量上記試験液適量(通常、10〜20ml(乾土2〜4g相当))を150〜200ml容ケルダール分解びんにとり、濃硫酸5mlおよび濃硝酸2mlを加えて突沸しないように注意して加熱し、試験液中の有機物を分解した。液が透明となって分解が終了した後、少量の水を加えてさらに暫時加熱して硝酸を除き、水を加えて約40mlとして放冷した。これに過ヨウ素酸カリウムまたはビスマス酸ナトリウムを加えて過マンガン酸イオン(MnO4 - )の赤紫色を発色させた。すなわち、過ヨウ素酸カリウムにより発色させた場合は、冷却した上記試験液に過ヨウ素酸カリウム0.2〜0.3を加え、加熱して1分間煮沸し、次に数分間煮沸しない程度に加熱して発色を完全にした。この場合、硫酸(濃度にして20%程度)の存在の他、リン酸の存在が好影響を及ぼすので、リン酸1〜2ml程度を加えてから過ヨウ素酸カリウムを加えて発色させた。一方、ビスマス酸ナトリウムにより発色させた場合は、上記分解液(液中の硫酸濃度は2〜3規定)に1〜2滴の10%硝酸銀液を加え、次にビスマス酸ナトリウムの0.05〜0.1g(米粒大)を加えて温浴上で温め発色させた。この場合、ビスマス酸ナトリウムが溶解し難いときは、1〜2滴の硫酸を加えた。十分に発色させた後、冷却し、50mlまたは100mlの定容とした。過ヨウ素酸カリウムによる場合およびビスマス酸ナトリウムによる場合ともに、白色の沈殿を生じた場合は、そのまま発色剤を加えて発色させて定容とした後、遠心分離を行い上澄液の吸光度を測定した。該吸光度は、波長525mμ付近のフィルターを用いて光電光度計により測定した。0〜10ppmの範囲の検量線からマンガンを算出した。 【0086】検量線は、上記過マンガン酸カリウム標準液10mlをとり、適当量の硫酸と水とを加えて硫酸濃度が20%となるようにし、酸化剤を加え、煮沸、加熱発色させて1ml中にマンガンが0.01mg(マンガン濃度10ppm)の濃度に調製し、放冷後100mlとしたものを用いた。 【0087】<亜鉛イオン定量方法>亜鉛イオンの定量は、ジチゾン(ジフェニルチオカルバゾン)が亜鉛と錯体(亜鉛キレート)をつくり、四塩化炭素に紅色となって抽出される原理を応用したジチゾン法により行った。四塩化炭素中におけるこの亜鉛キレートの安定pH領域は、5〜9である。土壌浸出液から妨害イオンを隠蔽しながら亜鉛をジチゾン四塩化炭素相へ抽出して生成した紅色のジチゾン−亜鉛錯体を過剰のジチゾンを希アンモニア水で除いた後、単色法によって吸光光度定量を行った。 【0088】(1)試薬調製0.1N塩酸:特級塩酸、すなわち再蒸留を行った塩酸を用いて調製した。 中性N酢酸アンモニウム液:再蒸留アンモニア水で2Nアンモニア水を調製し、これに特級氷酢酸で調製した2N酢酸を同量加えて混合し、ガラス電極法によりpH7になるようにアンモニア水または酢酸を添加した。これを大型分液漏斗に入れて、ジチゾン−四塩化炭素を加えて振とうして捨て亜鉛を除く操作を行った。該操作は、四塩化炭素相が純淡緑色となるまで反復して行った。脱亜鉛を行った調製液は、ポリエチレン瓶に貯えた。 2N塩化マグネシウム液:特級塩化マグネシウム(MgCl・6H2 O)203.31gを水に溶かして1lとする。これを大型分液漏斗に入れて、ジチゾン−四塩化炭素を加えて振とうし、反復して亜鉛を除く操作を酢酸アンモニウム液の場合と同様に行い、ポリエチレン瓶に保管した。 【0089】ジチゾン−四塩化炭素液:ジチゾン(ジフェニルチオカルバゾン)0.2gを1lの四塩化炭素に溶かし、大型の分液漏斗に入れて15分間時々振とうした。これに0.02Nアンモニア水2lを加えて振とうしてジチゾンを水相に移した。淡緑色の四塩化炭素液を捨て、四塩化炭素100mlずつで数回洗浄した。さらに500mlの四塩化炭素と50mlの1N塩酸とをこれに加えた。振とう後、ジチゾンを四塩化炭素相に移し、さらに四塩化炭素を加えて2lに薄めて0.01%ジチゾン−四塩化炭素液とし、褐色瓶に入れて冷暗所に保管した。 ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム液:0.2gを100mlの再蒸留水に溶かした。溶解し難いときは、温めた。上記液は、使用時に調製した。 0.4Mクエン酸アンモニウム緩衝液:90gのクエン酸二アンモニウムを十分に再蒸留した水に溶かし、亜鉛を含まぬ濃アンモニア水をpH8.5になるまでガラス電極pHメーターで測定しながら加えて1lとした。ジチゾン−四塩化炭素で上記試薬と同様に処理して純化し、ポリエチレン製瓶に保管した。 【0090】1N塩酸液:塩酸(1:1)をハリオガラス製蒸留装置で蒸留した。流出塩酸液は、亜鉛を含まぬ蒸留水で薄めて1Nとし、よく洗浄したガラス製試薬瓶に保管した。 1Nアンモニア水:濃アンモニア水を氷浴中に浸漬したハリオガラス容器中に蒸留留出させたもので調製した。 標準亜鉛液:試薬用金属亜鉛1gをビーカーにとり、6N塩酸20mlを加えて時計皿で覆い、ホットプレート上で90℃〜100℃に加熱し、突沸するときは水を加えて加熱を続け、ほぼ完全に溶けた後約2時間加熱した。冷却後水を加えて正確に1lとした。この標準亜鉛原液5mlをとり、1lに薄めると1ml中亜鉛(Zn)5μg(Zn5ppm)となる。調製液は、ポリエチレン瓶に保管した。 亜鉛を含まぬ水:ハリオガラス製の蒸留装置で再蒸留するか、あるいは蒸留水をイオン交換樹脂カラムを通過させて調製した。 【0091】(2)試験液の調製以下のA〜Cいずれかの方法により試験液を調製した。 【0092】A.育苗培土基材としての土壌を風乾後2mmの円孔ふるいにかけて礫を除き乾土とした。該乾土10gを100ml容三角フラスコまたはポリエチレン製広口びん)にとり、0.1N塩酸液50mlを加え、ポリエチレンフィルムで覆ったゴム栓またはポリエチレン栓をして1時間振とうした後遠沈管に移し、毎分2000回転で10分間遠心分離を行い、上澄液5mlを100ml容分液漏斗にとり、フェノールフタレインを指示薬として約1Nのアンモニア水で中和し0.4Mクエン酸アンモニウム液5mlと0.01%ジチゾン−四塩化炭素液25mlを加えて5分間振とうした後、四塩化炭素相を分離して別の分液漏斗にとり、0.02N塩酸液25mlを加えて5分間振とうして四塩化炭素相を捨て、水相は少量の四塩化炭素(1mlずつ3回程度)で洗浄し該水相を試験液とした。尚、アルカリ性で抽出した際にクエン酸アンモニウム緩衝液を加えるのは、鉄とアルミニウムとの沈殿を防ぎ、pHを安定させるためである。 【0093】B.中性N酢酸アンモニウム液50mlおよびジチゾン−四塩化炭素液50mlをピペットで200mlのスキプ型分液漏斗にとり、これに乾土10gを入れて密栓し、1時間振とうした。次に分液漏斗をスタンドに戻して乾土−四塩化炭素懸濁液を遠心分離用チューブに流出させた。遠心分離は、四塩化炭素相が連続して分離するまで十分に行った後、上澄液をピペットの先端が四塩化炭素相の中央部にあるようにして注意して25ml採取した。ピペットは、先端に付着している液および土壌を洗い落とし、管の外側もよく洗いまとめて試験液とした。該試験液を分液漏斗に移し、これに0.02N塩酸25mlを加えて3分間振とうして亜鉛を水相に移し、四塩化炭素相を除き、水相部分には再び少量の四塩化炭素を加えて振とうし、洗浄を行って捨て、妨害イオンおよび若干の参加したジチゾンを除いた。 【0094】C.乾土10gを100ml三角フラスコ(またはポリエチレン製広口びん)にとり、2N塩化マグネシウム液50mlを加えポリエチレン栓で密栓し、45分間激しく振とうした。放置後上澄液を遠沈管に移し、毎分2000回転で10分間遠心分離した。上澄液の適量(通常、25mlで土壌5g)を10mlの中性N酢酸アンモニウム液および25mlの0.01%ジチゾン−四塩化炭素液を入れた100ml容分液漏斗に加えた。2分間振とうして亜鉛およびその他の金属を四塩化炭素相に移し、注意してフラスコ中に流下して分離した。亜鉛を含む四塩化炭素相は再び25mlの0.02N塩酸を入れた100ml容分液漏斗に移して5分間振とうし、水相中に亜鉛を移して四塩化炭素相を除き分離した。 【0095】(3)比色定量まず、鉛、カドミウムを除去するために以下の操作を行った。0.02N塩酸液に0.4Mクエン酸アンモニウム液5mlを加え、フェノールフタレインを指示薬として約1Nのアンモニア水で中和し、0.2%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム液5mlを加えた後、0.01%ジチゾン−四塩化炭素液を正確に10ml加えて5分間振とうし、四塩化炭素相を別の分液漏斗に移して0.01Nアンモニア水25mlを加え、2〜3分間振とうした。この四塩化炭素相の初流出部は捨て、中部分を小試験管に取り、その5ml(抽出液の半量)を25mlの定容フラスコに入れ四塩化炭素を定容とした。ジチゾン−亜鉛錯体は光に弱いので以上の操作をなるべく暗所、例えば、暗室内で、15W蛍光灯スタンド1台の間接照明の下で行うか、着色分液漏斗を使用して行った。吸光度は、2時間以内に四塩化炭素を吸光度ゼロの対象とし、波長530mμ付近の光で行った。上記A〜Cで用いた各浸出用試薬を試験液と全く同じ操作で処理した後、吸光度を測定して浸出空試験とし、試験液の測定値から差し引いた。 【0096】検量線は、以下のようにして作成した。上記で調製した亜鉛5ppmの標準液1〜5mlについて、上記と同様の操作にてジチゾン−亜鉛錯体を含む四塩化炭素相を得た。該四塩化炭素相5mlを25mlの定容フラスコに入れ、これに四塩化炭素を加えて定容とし、発色標準液とした。該発色標準液は、25ml中に2.5μg〜12.5μg(亜鉛濃度0.1〜0.5ppm)の亜鉛を含んでいた。 【0097】<銅イオン定量方法>銅イオンは、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムと銅とが反応して黄金色に呈色する錯体を生じることを利用し、該錯体を440mμで吸光光度定量することにより定量した。該呈色は、極めて鋭敏であり、酸性、中性、アルカリ性いずれにおいても黄金色を呈するが、pHは5.7〜9.2にわたって呈色に影響しない。錯体は、水に難溶であるから保護コロイドを用いるか、または有機溶剤にて抽出した。比色に当たっての妨害イオンとしては、シアン酸塩は、錯塩を形成するし、また、Fe3+は、クエン酸が存在しないと酸性、中性にかかわらず暗褐色の沈殿を生じる。尚、コバルト、ニッケルは含量が少なければ妨害しない。 【0098】(1)試薬調製クエン酸アンモニウム液:クエン酸アンモニウム20gを水100mlに溶かした。多量に使用するから純粋なものを用いた。ジエチルジチオカルバミル酸ナトリウム液:0.1%水溶液を褐色瓶に入れて冷所に保管し数週間以内に用いた。 四塩化炭素:特級試薬を用いた。 標準銅液:Cu0.01%、CuSO4 ・5H2 O0.1965gを0.1N塩酸で50mlに溶かした。これを随時、0.1N塩酸で薄めてさらに希薄な溶液とした。 チモールブルー指示薬:0.2%アルコール溶液。 【0099】(2)試験液の調製乾土5gを100mlの三角フラスコにとり、これに50mlの塩酸(1:10)を加え、冷却管をつけて時々振りながら3時間、沸騰した湯浴上において抽出を行った。3時間後に濾紙No.6で濾過し、残渣を熱塩酸(1:10)で洗浄し、濾液と洗液とを合して正確に200mlとする。この200ml全量を蒸発皿に移し、湯浴上で蒸発乾固し、塩酸および硝酸処理を行い、珪酸を分離すると同時に有機物の分解を行った。蒸発皿の内容物が冷却した後、濃塩酸を加えて温めて溶かし、濾紙No.6で濾過し、塩酸(1:10)で洗浄し、濾液を一定量とし、試験液とした。 【0100】(3)比色定量上記試験液(銅10〜25μg程度の範囲)一定量をとり、硝酸を加え、Fe2+をFe3+に酸化しつつ10〜20mlまで濃縮し、150ml容のスキップ型分液漏斗に移した。クエン酸アンモニウム液5mlを加えた後、アンモニア水を滴下してpH9〜9.2にした。これは、同大の分液漏斗にpH9〜9.2の対照液を作り、2〜3滴のチモールブルー指示薬を加えておき、試料にも指示薬を加えて色調を比較しながら行った。液が温まった場合は、室温まで冷ました後、30±1mlとなるまで水で薄めた。 【0101】直射日光や明るい窓際では錯塩が分解褪色することから、以下の操作を暗い場所または人口照明下で行った。まず、上記液に1.0mlのジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム液を試験液に加え、さらにピペットで正確に5mlの四塩化炭素を加えた後、2分間激しく振とうした。直ちに静置して四塩化炭素層を分離させ、黄色の四塩化炭素溶液を吸光度測定用セルに移した。この際ロートの脚が水で濡れているようなことがあれば、予め濾液を筒状に巻いて挿入し、回転して水滴を除いておいた。また、必要に応じて小さいガラスウール層にて四塩化炭素溶液を濾過させた。四塩化炭素により抽出してから20分後に波長440mμで四塩化炭素溶液の吸光度を測定し、検量線と比較した。検量線は、銅0〜25μgのものについて上記同様に操作して作成した。 【0102】<コバルトイオン定量方法>コバルトイオンは、o−ニトロソクレゾールとコバルトとが錯塩を形成することを利用したo−ニトロソクレゾール法を用いて定量した。この方法の前段階で行うジチゾン抽出操作で、重金属の大部分は、ジチゾン錯塩を作り、四塩化炭素相に移動してくる。しかしこのようにして抽出されたコバルト以外の金属イオンもo−ニトロソクレゾールと錯塩を形成するが、そのうち、コバルトと共にn−ヘキサンで抽出されるのは、Fe3+とPd3+である。パラジウムの混入は、土壌中の含有量からほとんど無視できると思われる。一方、鉄の大部分は、ジチゾン抽出で分離排除されるが、尚微量残存すると考えられるので、塩酸ヒドロキシアミン−酢酸ナトリウム緩衝液の添加により、これを2価鉄に還元してn−ヘキサン相から排除する。過剰のo−ニトロソクレゾールは、酢酸銅でn−ヘキサン相から除去される。 【0103】このようにo−ニトロソクレゾール法によれば、他の元素の干渉をほとんど受けない条件で測定できる。コバルト−o−ニトロソクレゾール錯塩の吸収ピークは、紫外部(360mμ)にあり、比較的多量のコバルトが存在しなければ無色に見える。 【0104】(1)試薬調製および器具洗浄再蒸留水:イオン交換脱塩水を硬質ガラス製蒸留器で精製した。 ジチゾン試薬:0.5gの特級ジチゾンを600〜700mlの蒸留四塩化炭素に溶かし、これを、0.02Nアンモニア水2.5〜3.0lを入れた4lの分液漏斗に対し濾過した。5分間振とうし、四塩化炭素相を捨てた。水溶液相は、50mlの蒸留四塩化炭素を加えて振とうし、分離した四塩化炭素相が純緑色となるまでこの操作を繰り返した。次いで1lの蒸留四塩化炭素を加え6N塩酸でわずかに酸性とした。このとき、水溶液相は、オレンジからパープルに変わった。5分間振とう後、水溶液相を捨てた。ジチゾン四塩化炭素相は、褐色分注ビュレットに移し、冷室に保存した。 【0105】40%クエン酸アンモニウム液:400gの特級クエン酸を300mlの蒸留水に溶かし、撹拌しながら徐々に特級濃アンモニア450mlを添加した。この時、発熱したが、冷えてからpH8.5に調製後1lに希釈した。2lの分液漏斗に希釈後の液を移し、25mlずつのジチゾン試薬で水溶液相がオレンジ色、四塩化炭素相が緑色になるまで抽出を繰り返した。次いで50mlずつの蒸留四塩化炭素で水溶液のオレンジ色が消えるまで抽出した。最後に四塩化炭素相と水溶液相との分離を完全にするために冷室に2〜3日静置した後、四塩化炭素相を除去した。水溶液相は、分注ビュレットに保管した。 【0106】o−ニトロソクレゾール:特級塩化第二銅10.6gと特級塩酸ヒドロキシアミン8.4gとを900mlの蒸留水に溶かし、これに8mlのm−クレゾールを添加し、さらに撹拌しながら30%過酸化水素水24mlを徐々に加えて室温で2時間撹拌し続けた。この液を2lの分液漏斗に移し、特級濃塩酸25mlを加えn−ヘキサン150mlで4回抽出した。この抽出には、2lの分液漏斗3個を用いて行った。すなわち、2個の分液漏斗に水溶液相を交互に移し、分離したn−ヘキサン相を第3の分液漏斗に集めさらに、濃塩酸25mlを加え、再びn−ヘキサン150mlで4回抽出した後水溶液相を捨てた。以上計8回の抽出で集められたn−ヘキサン相は、0.1N塩酸50〜100mlで2回、蒸留水50〜100mlで2回洗浄した。次いで、n−ヘキサン相は、1%酢酸銅50〜100mlで水溶液相が深赤色から薄い紫色に変化するまで連続抽出し、別の分液漏斗に集めてn−ヘキサン相を捨てた。集めた水溶液相に25mlの濃塩酸を加えn−ヘキサン500mlで2回抽出し、水溶液相を捨てた。分液漏斗に集めたn−ヘキサン相は、0.1N塩酸150〜200mlで2回、蒸留水150〜200mlで数回洗浄した。このようにして調製したo−ニトロソクレゾールは密栓して冷蔵庫に保存し6ヶ月以内に使用した。 【0107】ナトリウム−o−ニトロソクレゾール:o−ニトロソクレゾール50mlをほう酸ナトリウム緩衝液(pH9.1)25mlで2回振とう、抽出(分液漏斗使用)して、ナトリウム塩50mlを調製した。抽出剤の総量は、o−ニトロソクレゾールと等量とし、使用直前に調製するようにした。 白金るつぼの洗浄:炭酸ナトリウム溶融の操作を加えた後、熱水に浸し、更に塩酸(1:1)で数分煮沸した。流水でよく洗い数回蒸留水を通して最後に再蒸留水で洗浄した。なお汚れが取れないときは、酸性硫酸カリウムで溶融した。 ジチゾン抽出用分液漏斗の洗浄:熱硝酸に30分間浸し、水でよく洗った後、蒸留水で数回、再蒸留水で2回洗浄する。更に、念のため、ジチゾン四塩化炭素による抽出操作を加えた方がよい。この操作を経たもの、あるいは、使用後の分液漏斗は蒸留水で数回、再蒸留水で2回洗浄するだけで十分であり、その都度、酸洗浄をする必要はない。 【0108】他のガラス器具は洗剤使用後、流水でよく洗い、重クロム酸カリウム−硫酸混液に浸す。これを流水で洗った後、蒸留水で数回、再蒸留水で2回洗浄する。また、o−ニトロソクレゾール法は、ジチゾン抽出から測定までの操作の間に、種々の試薬添加を頻繁に行うので、分析時間の短縮、ピペット使用による不純物混入を防ぐ意味でできるだけ分注ビュレットを使用することが望ましい。 【0109】また、一般にコバルト0.0μgの透過率は、n−ヘキサンを100%とした場合、90%以上になるはずであるが、これ以上の吸収が認められる場合は、ナトリウム−o−ニトロソクレゾール調製前のo−ニトロソクレゾールを再蒸留水で繰り返し洗浄し不純物を除く必要がある。また、n−ヘキサンが飛散し易いことに鑑み、実験操作は手早く行い、必ず密栓する。また、その蒸気は有害であるので、特に吸光度測定中は、室内の換気に注意することが望ましい。 【0110】(2)試験液の調製試験液は、以下のAおよびBの方法により調製した液を合わせて用いた。 【0111】A.白金るつぼに、乳鉢で細かく砕いた乾土0.500gと炭酸ナトリウム2.0gとを加えてガラス棒でよく混合した。さらにこの上に1.0gの炭酸ナトリウムを厚さが均一になるように加えた。白金るつぼにふたをし、ガスマッフルに乗せ、最初の10分間は、小炎で、その後徐々に炎を強くしてガスマッフルのふたをして赤熱(約1000℃)した。火力を急に強めると気泡のため溶融物中から試料を飛散させるので注意した。内容物が完全に溶融するまで(30〜40分)この温度で加熱した。 【0112】溶融後、ふたをとり、白金付きるつぼ挟みでるつぼを傾けて回し、溶融物をるつぼの側壁に薄く凝固させた。冷却後、溶融物を浸す程度に水を加え、るつぼを傾けて溶融物の周囲を小さな炎で加熱した。この際、液を沸騰させないように注意した。次に、るつぼの底を、加熱した。溶融物全体がるつぼから離れれば、ガラス棒を用いて、これを300mlトールビーカーに移した。1回で溶融物を離すことができないときは、液体をトールビーカーに移し、内壁もよく洗浄した後、上記の操作を繰り返した。るつぼは、2〜3回温水で洗い、洗液は、ビーカーに移した。最後にるつぼの半ばまで温水を加え、さらに塩酸(1:1)5〜6滴を加えてふたをし、湯せん上で15分間加熱してるつぼ内の付着溶融物を完全に溶解させ、さきのビーカーに移した。ふたおよびるつぼを2〜3回温水で洗った後、水を加えてビーカー内の液量を50〜100mlにした。時計皿でふたをし、25mlの塩酸(1:1)をピペットを用いて徐々に加えた。ピペットの先についた飛沫は、水で洗い込んだ。湯せん上で加温して溶融物を完全に崩壊させた。珪酸以外の溶融物が溶解すれば、内容を200mlの蒸発皿に移し、湯せん上に蒸発乾固した。蒸発残渣に25mlの塩酸(1:1)および温水25mlを加えて時々撹拌しながら、5〜10分放置した。熱いうちに濾過し、残渣は数回熱水で洗浄した。濾液および洗液は、100mlの定容フラスコに集め、冷却後100mlとした。 【0113】次に、上記冷却後の液を5〜10ml(Coとして約0.1〜0.8μg)と、40%クエン酸アンモニウム液10mlとを100mlスキプ型分液漏斗にとり、水で50〜60mlとした。これに指示薬としてフェノールフタレイン1滴を加え、アンモニア水(1:1)で微紅色とした。この段階で沈殿が生じた場合には、さらにクエン酸アンモニウムを追加した。ジチゾン10mlをこれに加えて5分間振とうし、ジチゾン相を100mlトールビーカーに移した。上記分液漏斗に2mlの四塩化炭素を加えてこれを流出させて上記トールビーカーに加えた。上記ジチゾンによる操作を繰り返して同様に抽出した。このジチゾン抽出は、四塩化炭素相が純緑色になるまで繰り返した。最後に10mlの四塩化炭素を加えて5分間振とうし、四塩化炭素相をビーカーに移した。トールビーカーに集めたジチゾン四塩化炭素液に2mlの過塩素酸を加え(液量が多い場合は濃縮後)、時計皿を被せて砂皿上で加熱分解した。分解液が無色になったら時計皿を洗って除き、完全に蒸発乾固した。尚、乾固後も高温で長時間加熱してコバルトの損失を招くことのないよう注意した。残渣に0.01N塩酸5mlを加えて加熱溶解し、全量を以下に述べるBで得た液と共に試験液とした。 【0114】B.100mlの栓付ガラス製遠心分離管に乾土5.0g、2.5%酢酸25mlおよびジチゾン試薬25mlを混合し1時間振とうした。2000rpmで5〜10分遠心分離後、吸引細管等を用いて水溶液相を捨てた。ジチゾン相は濾過し、濾液5〜10mlを100mlトールビーカーにとった。これに2mlの過塩素酸を加え、時計皿を被せて砂皿上で加熱分解した。分解液が無色になったら時計皿を洗浄除去し、ビーカーの内壁を洗い落とした後、分解液を蒸発乾固した。残渣は0.01N塩酸5mlに溶解し、全量を上記Aで得た液と共に試験液とした。 【0115】(3)比色定量上記(2)で得た試験液(0.01N塩酸溶解液)をガラス製栓付遠心分離管に移し、約20mlの液量とした。これにほう酸塩緩衝液(pH7.8)5ml、ナトリウム−o−ニトロソクレゾール2mlおよびn−ヘキサン3.0mlを加え10分間振とうした。静置後、水溶液相は吸引毛細管で除去した。1%酢酸銅5mlを加えて1分間振とうし、水溶液相は、同様に除去した。次いで、蒸留水5mlを加え、1分間振とう後、水溶液相を除去した。最後に塩酸ヒドロキシルアミン−酢酸ナトリウム緩衝液5mlを加え、1分間振とうした後、再び水溶液相を除去した。n−ヘキサン相は注入筒を用いて50mmミクロセルに移し、360mμの吸光度を測定した。ブランクおよびコバルト標準液0.0〜0.8μgについても同様に操作し、検量線を作成した。 【0116】尚、コバルトの測定方法としては、上記に限らず、上記o−ニトロソクレゾールで比色する代わりに、ピロリジン・ジチオカルバミン酸アンモニウム(APDC)−メチルイソブチルケトン(MIBK)で抽出して原子吸光光度計で測定する方法を採用してもよい。該測定方法の操作手順は、以下のとおりである。 【0117】上記(2)で得た試験液をガラス製栓付遠心分離管に移し、蒸留水で液量を約20mlとした後、1%APDC水溶液2mlを加えて錯塩を生成させる。MIBK3〜5mlを加えて密栓して20分間振とうし、15分間静置する。吸引毛細管で水溶液相を排除し、MIBK相とこれに接するほぼ同容の水相を15ml遠心分離管に移し、密栓して2000rpmで10分間遠心分離してMIBK相を完全に分離する。これをキャピラリーを通じて原子吸光分光装置のアトマイザに導入噴霧して吸光度を測定し、標準液についても同様に処理する。 【0118】以上述べたように、育苗培土基材中の多価カチオンの量と、アルギン酸塩が提供するアニオン量と、得られる育苗培土の固化状態との関係を上記のように明らかにし、上記関係を満たすような育苗培土基材およびアルギン酸塩の種類と量とを選択することにより、育苗培土が1メートル高さからの自然落下において崩壊しない割合が95%以上という高い割合で、機械移植等に耐え得る育苗培土を得ることができる。 【0119】 【実施例】以下に述べる実施例および比較例において、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらにより何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例で用いた育苗培土基材における多価カチオン量は、前述の各種分析方法により定量した。 【0120】〔実施例1〕本発明にかかる育苗培土基材として、カナダ産ピートモス「magestic」に消石灰を添加混合した育苗培土基材(c)を用いた。該育苗培土基材(c)を、ビート育苗用ペーパーポット(1400穴)に10g/穴(ポット)となるように充填してビート種を播種し、慣行法に従ってビート苗を育苗した。上記育苗培土基材(c)の多価カチオン含量は、1.05me/10g乾土であり、その内訳は、表2に示すとおり、カルシウムイオンのみであった。育苗開始より50日を経過した時点で、0.5重量%(wt%)アルギン酸ナトリウム溶液20ml/穴(ポット)を上部より潅注した。2時間後、100個のポットより育苗培土をそれぞれ抜き取り、育苗培土の固化状態を3段階で評価した。すなわち、ポット底部に穿設された穴より、突き出し棒を用いて育苗培土を突き出し、1mの高さより自然落下させ、崩壊の有無を目視により観察した。上記操作を、各100個の育苗培土について行い、崩壊した育苗培土の個数を調べ、崩壊した個数が0〜10であった場合を固化性3、11〜30である場合を固化性2、31〜100である場合を固化性1として評価した。結果を表3に示す。 【0121】〔実施例2〕育苗培土基材として、北海三共(株)製「粒状培土」からなる育苗培土基材(d)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い育苗培土の固化状態を評価した。結果を表3に示す。また、上記育苗培土基材(d)の多価カチオン含量は、2.83me/10g乾土であり、その内訳は、表2に示すとおりであった。 【0122】〔実施例3〕育苗培土基材として、香川県観音寺市より採取した畑土壌からなる育苗培土基材(e)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い育苗培土の固化状態を評価した。結果を表3に示す。また、上記育苗培土基材(e)の多価カチオン含量は、1.18me/10g乾土であり、その内訳は、表2に示すとおりであった。 【0123】〔比較例1〕育苗培土基材として、カナダ酸ピートモス「magestic」からなる育苗培土基材(a)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い育苗培土の固化状態を評価した。結果を表3に示す。上記育苗培土基材(a)の多価カチオン含量は、検出限界以下、すなわち、検出できない程度の僅かな量であった。 【0124】〔比較例2〕育苗培土基材として、多価カチオンとしてカルシウムを0.35me/10g乾土含むカナダ酸ピートモス「magestic」および消石灰からなる育苗培土基材(b)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い育苗培土の固化状態を評価した。結果を表3に示す。 【0125】 【表2】
【0126】 【表3】
【0127】表3の結果より明らかなように、添加したアルギン酸ナトリウムのアニオン当量に対して、160%以上の多価カチオン当量(80%以上の2価カチオン当量)を有する実施例1〜3の育苗培土については、優れた固化性が得られることがわかる。一方、多価カチオン当量が、添加したアルギン酸ナトリウムのアニオン当量に対して160%未満であり、2価カチオン当量が、添加したアルギン酸ナトリウムのアニオン当量の80%未満である比較例1および2の育苗培土については、固化性が不十分であることがわかる。 【0128】 【発明の効果】請求項1の育苗培土の製造方法は、以上のように、育苗培土基材とアルギン酸塩とを含む育苗培土の製造方法であって、上記育苗培土中の多価カチオン当量(me)が、上記アルギン酸塩のアニオン当量(me)の160%以上となるように、上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合する構成である。 【0129】請求項2の育苗培土の製造方法は、以上のように、育苗培土基材とアルギン酸塩とを含む育苗培土の製造方法であって、上記育苗培土中の2価カチオン当量(me)が、上記アルギン酸塩のアニオン当量(me)の80%以上となるように、上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合する構成である。 【0130】それゆえ、育苗培土中の多価カチオン当量(me)と、アルギン酸塩のアニオン当量(me)とが上記の関係を満たすように、育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合することで、常に良好な固化状態を安定して得ることができる。従って、たとえば、育苗培土基材中または育苗培土中に含まれる多価カチオン量を事前に分析して、用いるアルギン酸塩の量を決定することにより、育苗培土基材の種類および量に応じて、良好な固化状態を有する育苗培土を簡便にかつ安定して得られるという効果を奏する。 【0131】請求項3の育苗培土の製造方法は、以上のように、請求項1または2記載の構成に加えて、0.01〜5.0重量%のアルギン酸塩水溶液を用いて上記育苗培土基材とアルギン酸塩とを混合する構成である。 【0132】それゆえ、アルギン酸塩水溶液を用いることにより、水溶性のアルギン酸塩を育苗培土基材に対して浸透させることができるので、育苗培土基材とアルギン酸塩との混合をより確実かつ迅速に行うことができる。また、アルギン酸塩水溶液の濃度を上記範囲内とすることで、根鉢部分に対し機械移植時に必要とされる根鉢部分の固化性を、より確実に付与できるという効果を奏する。 【0133】請求項4の育苗培土の固化方法は、以上のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の育苗培土の製造方法により得られた育苗培土を固化する構成である。 【0134】それゆえ、上記育苗培土の製造方法により得られた育苗培土を固化することにより、育苗培土基材の種類および量に応じて、良好な固化状態を有する育苗培土を簡便にかつ安定して得られるという効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596005964 【氏名又は名称】住化農業資材株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月29日(2000.5.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080034 【弁理士】 【氏名又は名称】原 謙三
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| 【公開番号】 |
特開2001−333635(P2001−333635A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月4日(2001.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2000−163164(P2000−163164) |
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