| 【発明の名称】 |
植物育成用の人工培地 |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 孝
【氏名】佐藤 昌之
【氏名】田中 淳吉
【氏名】伊藤 良子
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| 【要約】 |
【課題】植え替え作業を手軽に、かつ容易に行うことができ、また、藻やカビが生えて人工培地が汚れた場合に、より手軽に元の清潔な人工培地を回復することができる、植物育成用の人工培地を提供すること。
【解決手段】複数の培地ユニット2からなり、前記培地ユニット2を、植物3の生育に伴い植え込み容積を拡張するように組み合わせて、植物育成用の人工培地1を構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の培地ユニットからなり、前記培地ユニットを組み合わせて構成する植物育成用の人工培地。 【請求項2】 請求項1記載の植物育成用の人工培地において、培地ユニットは植物の生育に伴い植え込み容積を拡張するように組み合わせるものである植物育成用の人工培地。 【請求項3】 請求項1又は2記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットは人工培地の深さ方向に組み合わせる培地ユニットから構成される植物育成用の人工培地。 【請求項4】 請求項1又は2記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットは人工培地の周方向に組み合わせる培地ユニットから構成される植物育成用の人工培地。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットの保水性を相異なるように形成してなる植物育成用の人工培地。 【請求項6】 請求項3記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットの内の下段に位置する培地ユニットの保水性を、他の培地ユニットよりも低く設定してなる植物育成用の人工培地。 【請求項7】 請求項3記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットの内の上段に位置する培地ユニットの保水性を、他の培地ユニットよりも高く設定してなる植物育成用の人工培地。 【請求項8】 請求項4記載の植物育成用の人工培地において、少なくとも最外周に組み合わせる培地ユニットが、内側の培地ユニットの周面に沿って変形可能な帯状の培地ユニットである植物育成用の人工培地。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、植物育成用の人工培地に関する。さらに詳しくは、例えば室内に配置する観葉植物の栽培、養液栽培、あるいはビル屋上の緑化等の培地として利用される、植物育成用の人工培地に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、室内のインテリアとして観葉植物等の観賞用の植物が多用されている。観葉植物等を飾ることにより、室内の空気がリフレッシュされ、ホルムアルデヒドやベンゼンといった有害物質も中和されるため、生活環境を快適にすることができる。このような観葉植物等は通常、土や、あるいはそれに代わる人工培地を用いて栽培されている。 【0003】上記人工培地としては、例えば、粘土を高温で焼いて発泡させた無機質発泡体が知られており、ハイドロボール等の商品名で上市されている。また、養液栽培においては、ロックウールと呼ばれる、一般に玄武岩、鉱滓等を1500℃程度で溶融し、遠心力、高圧空気等を利用して直径数μmの繊維状に加工した人造鉱物繊維がしばしば用いられている。その他、合成繊維の不織布からなるマット状の人工培地(特開平7−163235号等)や、高吸水性ポリマーからなる人工培地等が知られている。 【0004】しかし、上記従来の人工培地は、いずれも、植物の生育が進んで植え替えが必要になったときに、その植え替えが困難であったり、作業性に劣るという問題があった。例えば、無機質発泡体を容器に詰め入れて人工培地とし、そこに植物を植え込んだ場合、植物の生育が進むにつれて根が広範囲に伸長し容器内の植物が窮屈になるときがある。その結果、植物の生育が阻害されるので、より大きい容器に植え替えが必要となる。しかし、上記無機質発泡体は、細かく、重量も大きいため、扱う作業に手間がかかり、植え替え作業中に手や床等を汚してしまう等の欠点があった。また、容器を誤って転倒させた場合、無機質発泡体が周辺にこぼれ散らばり、その片づけに時間を要する問題もあった。 【0005】また、不織布からなるマット状の人工培地の場合にも、植え替えの際に、植物を人工培地から一旦引き抜き、それを別の人工培地に植え込みなおす必要があり、手間がかかるという問題があった。特に、不織布の人工培地は、植物の生育に伴って根が不織布内部の繊維の間に絡み入り、そのため根の絡みをほどいて植物を引き抜くのが容易ではなく、しばしば根の一部が切れて不織布内に残ってしまう、いわゆる根切りが悪いという欠点があり、植物の植え替えをいっそう困難にしていた。 【0006】また、従来の人工培地、特に不織布等の繊維集合体や高吸水性ポリマーからなる人工培地は、肥料分の与え方や日当たり状況によって藻やカビが生え易くなり汚れてしまうことがあった。その人工培地を元の清潔な状態に戻すためには、植物を一旦引き抜いた上で人工培地全体を新しいものとそっくり取り替えるしかなく、手間がかかると共に不経済でもあった。 【0007】さらに、従来の人工培地は、その性質・構造が全体的に一様であるものに限られていた。したがって、植物が生育する過程において培地に必要な条件を考慮し、例えば植物の発芽段階や、その後の根が伸長する段階等の、それぞれの生育段階に適した性質を一つに併せ持つような植物育成用の人工培地はなかった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の状況に鑑み、本発明は、植物の生育に伴い人工培地が窮屈になる等して植え替えの必要が生じたときに、その植え替え作業を手軽に、かつ容易に行うことができ、また、藻やカビが生えて人工培地が汚れた場合には、従来のように人工培地全体をそっくり取り替える必要なく、より手軽に元の清潔な人工培地を回復することができる、植物育成用の人工培地を提供するものである。 【0009】また本発明は、発芽段階や、根が伸長する段階等、植物のそれぞれの生育段階に適した性質を併せ持ち、植物の健全な生育を促す植物育成用の人工培地を提供するものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の請求項1は、複数の培地ユニットからなり、前記培地ユニットを組み合わせて構成する植物育成用の人工培地としたことを特徴とする。 【0011】上記手段によれば、植物を植え込む人工培地が、いくつかの培地ユニットの組み合わせにより構成され、それぞれの培地ユニットは、任意に分離、追加、あるいは交換可能とされる。 【0012】また、請求項2は、請求項1記載の植物育成用の人工培地において、培地ユニットが植物の生育に伴い植え込み容積を拡張するように組み合わせるものであることを特徴とする。 【0013】上記手段によれば、植物の生育が進んで根が広範囲にまで及んだときに、新たな培地ユニットが段階的に追加、増設され、植物が生育するに十分な容積の人工培地が確保される。ここで植え込み容積とは、人工培地中で植物の根が張る範囲の広さをいう。 【0014】また、請求項3は、請求項1又は2記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットが人工培地の深さ方向に組み合わせる培地ユニットから構成されることを特徴とする。 【0015】上記手段によれば、植物育成用の人工培地が、その深さ方向に多段状に積み重ねた複数の培地ユニットから形成される。そして、培地ユニットを分離、追加することにより人工培地の深さが段階的に可変とされる。 【0016】また、請求項4は、請求項1又は2記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットが人工培地の周方向に組み合わせる培地ユニットから構成されることを特徴とする。 【0017】上記手段によれば、植物育成用の人工培地が、その周方向に分離、追加可能な複数の培地ユニットから形成される。ここで周方向とは、人工培地の、植物を植え込む面の面積を拡大、縮小する方向をいう。 【0018】また、請求項5は、請求項1〜4のいずれか記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットの保水性を相異なるように形成したことを特徴とする。 【0019】上記手段によれば、植物が、その発芽段階や、根が伸長する段階等の各生育段階においてそれぞれに異なる保水性を有する培地に接しつつ育成される。 【0020】また、請求項6は、請求項3記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットの内の下段に位置する培地ユニットの保水性を、他の培地ユニットよりも低く設定してなることを特徴とする。 【0021】上記手段によれば、人工培地に供給された水は、下段に位置する培地ユニットから排水が促される。 【0022】さらに、請求項7は、請求項3記載の植物育成用の人工培地において、複数の培地ユニットの内の上段に位置する培地ユニットの保水性を、他の培地ユニットよりも高く設定してなることを特徴とする。 【0023】上記手段によれば、人工培地において特に植物を播種・発芽させる部位の保水性が増強され、植物の健全な生育が促される。 【0024】さらに、請求項8は、請求項4記載の植物育成用の人工培地において、少なくとも最外周に組み合わせる培地ユニットが、内側の培地ユニットの周面に沿って変形可能な帯状の培地ユニットであることを特徴とする。 【0025】上記手段によれば、帯状の培地ユニットを、内側の培地ユニットの周面に巻き付けることにより人工培地が周方向に拡張される。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、本発明の実施の形態(1)を図1〜3に基づいて説明する。図1は、植物育成用の人工培地1(以下、人工培地1という)を容器4内に設置し、その人工培地1に植物3を植え込んだ状態を示したものである。人工培地1は、複数の培地ユニット2からなり、その培地ユニット2を組み合わせて概略構成されている。なお、容器4としては、穴のあいている通常の植木鉢でも、底に穴のあいていない水耕栽培用の容器でも良い。また、養液栽培の場合は市販の角型プランター等を使用することも可能である。 【0027】人工培地1を構成する培地ユニット2は、それぞれ任意に分離・追加することができる。したがって、これを利用することにより植物3の植え替え作業を容易に行うことができる。このような植え替え作業の具体例を図2及び図3に示す。まず図2は、容器4A内に設置された単一の培地ユニット2Aに対して、植物3を植え込み、育成する様子を示したものである。ここで植物3の生育段階は、例えば、培地ユニット2Aに播種し、それが発芽したばかりの段階に相当している。このまま植物3の育成を続けると、やがて植物3の根が広範囲に伸長し、図3に示すように、培地ユニット2Aの側面から根がはみ出す等して培地ユニット2Aが窮屈な状態となる。したがって、より大きい容器4に植え替えることが必要となるが、そこで図3に示すように、植物3を植え込んだ培地ユニット2Aの周囲に新たな培地ユニット(培地ユニット2B及び培地ユニット2C)を組み合わせ、それらを容器4内に設置することによって図1の状態となり植え替え作業を容易に完了することができる。これにより、植物3の植え込み容積が拡張され、さらに広範囲への根の伸長が可能となる。具体的には、培地ユニット2Aからはみ出た根が、培地ユニット2B及び培地ユニット2Cの中へさらに伸長することとなる。 【0028】また、複数の培地ユニット2は、それぞれを単位として新しい培地ユニットと交換することができる。したがって、例えば、肥料分の与え方や日当たり状況により人工培地1の上面や側面に藻やカビが生えて汚れた場合、それぞれの面を担う培地ユニット2Aあるいは培地ユニット2Cのみを交換することによって元の清潔な人工培地を回復することができる。なお、図1に示すように、培地ユニット2Aに対して切れ込み21を形成すれば、植物3を植え込んだまま茎や根に引っかからずに、切れ込み21を開いて培地ユニット2Aを分離・交換できるので好ましい。 【0029】また、実施の形態(1)における人工培地1は、その深さ方向に組み合わせる培地ユニット2Bと、周方向に組み合わせる培地ユニット2Cの両方を用いて植え込み容積を拡張するものであるが、この他にも、深さ方向に組み合わせる培地ユニットのみから構成する場合や、周方向に組み合わせる培地ユニットのみから構成する場合等も無論採用することができる。また、図3に示すように、培地ユニット2Aに対して、深さ方向及び周方向にそれぞれ一層(一段)ずつ組み合わせる場合のみならず、それ以上の複数層になるように組み合わせることもできる。さらに、植え込み容積を拡張する方向は、深さ方向及び周方向に限定されず、例えば、図4に示す実施の形態(2)のように、植物3を植え込んだ培地ユニット2Dを、培地ユニット2Eに対して入れ子のように嵌め込んで植え込み容積を全方向的に拡張させることもできる。 【0030】また、上記実施の形態(1)において、周方向に組み合わせる培地ユニット2Cは、他の培地ユニットと組み合わせ可能であれば適宜形状とすることができるが、その中でも好適な例として、図3に示すように、内側の培地ユニット(培地ユニット2A及び培地ユニット2B)の周面22に沿って変形可能な帯状に形成する場合が挙げられる。このようにすれば、種々の形状の内側の培地ユニットに対して組み合わせることができ汎用性に優れる。また、内側の培地ユニットに巻き付けるだけで拡張できるので作業性も良い。なお、周方向に組み合わせる場合、図3に示すように、複数の培地ユニット2C(図3の例では3つのユニット)で内側の培地ユニットを囲むようにしても良いし、あるいは比較的長く形成した一つの帯状の培地ユニットを内側の培地ユニットに対して一周あるいはそれ以上巻き付けることにより組み合わせても良い。 【0031】さらに、上記実施の形態(1)における、深さ方向に組み合わせる培地ユニット2Bの形状も特に限定されるものではなく、使用する容器4の形状等を考慮して適宜設定することができる。具体的には、円柱状、四角柱状、円錐台状等を挙げることができる。 【0032】以下、人工培地1を構成する培地ユニット2について詳細に説明する。培地ユニット2としては、植物3を植え込むことができ、培地ユニット2の内部を根が伸長可能であることを条件として、種々の形態を採用することができる。具体例として、スポンジ体、繊維を集合させて綿状としたもの等を挙げることができる。その中でも、繊維を集合させ一定形状とした繊維ブロック体の複数を集合させて一体化したものは好適に用いられる。図1〜3で説明すると、例えば培地ユニット2Aは、繊維ブロック体23をスティック状に形成し、それらスティック状の繊維ブロック体23の複数を束ねて一体化することにより形成されている。ここで植物3は、繊維ブロック体23間の隙間24に植え込むことが好ましい。また周方向に組み合わせる培地ユニット2Cの場合は、スティック状の繊維ブロック体23の複数を一列に並べ一体化して帯状に形成されている。ここで図3における培地ユニット2Cは、隣接する繊維ブロック体23同士の接触する部分を全て一体化したものであるが、この他の形態として、図5に示す培地ユニット2Fのように、繊維ブロック体23の一部(図5では端部付近)のみを一体化して形成することもできる。図5の培地ユニット2Fを用いた場合、組み合わせるときの作業性に優れ、また、繊維ブロック体23の間から根がはみ出しやすくなり植物の生育を阻害しないので好ましい。なお、複数の繊維ブロック体23を一体化する方法としては、例えば熱融着による方法、不織布等で周囲を巻く方法、紐、輪ゴム等で縛る方法、接着剤で繊維ブロック体23同士を接着する方法等を挙げることができるが、いずれの方法にしても、培地ユニット2を組み合わせたときに、隣接する培地ユニットに向かって根が伸長可能であるように、培地ユニット2の周面22において根を遮断しないようにすることが必要である。 【0033】培地ユニット2を複数の繊維ブロック体23から構成する場合、繊維ブロック体23の原料繊維としては、特に限定されるものではないが、後述するような、繊維ブロック体23を熱融着により保形する場合には、熱融着性合成繊維が好ましく用いられる。その具体例として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系合成繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系合成繊維、ナイロン等のポリアミド系合成繊維、あるいはポリプロピレンを芯成分としポリエチレンを鞘成分とするような複合繊維(以下「PP/PE複合繊維」と略称する)等を挙げることができる。また、捲縮のある熱融着性合成繊維は好ましく用いられる。 【0034】また、上記ポリオレフィン系合成繊維(PP/PE複合繊維を含む)は、耐薬品性に優れ、虫、カビ等にも抵抗性があり、リサイクルが容易であり、燃焼させてもダイオキシン等の有毒物質を発生しないため特に好ましく用いられる。さらに、PP/PE複合繊維は、繊維の表面のみを互いに融着させて保形性に優れた3次元網目構造を形成できる点において一層好ましく用いられる。 【0035】上記の熱融着性合成繊維は、繊維ブロック体23自体を熱融着により保形するために、繊維ブロック体23の少なくとも表皮部分25に含むことが好ましい。ここで表皮部分25は、繊維ブロック体23の表面から0.5mm厚さの部分をいう。すなわち、表皮部分25のみに熱融着性合成繊維を含んで内部26は他の繊維で構成する場合や、表皮部分25・内部26ともに熱融着性合成繊維を含む場合、あるいは、表皮部分25から内部26にかけて熱融着性合成繊維の含有量を徐々に減少させる場合等を採用することができる。 【0036】熱融着させる部位は、繊維ブロック体23の表皮部分25のみとすることもできるし、表皮部分25に加えて内部26までとすることもできる。表皮部分25のみを熱融着した場合は、繊維ブロック体23が柔軟であり保水性に富むので、それに密着する植物3が水分を吸収し易くなり好ましい。一方、内部26まで熱融着した場合には、繊維ブロック体23の保水性は若干低下するものの、繊維ブロック体23、ひいてはそれを集合させてなる培地ユニット2の形状安定性が向上して扱い易くなるため、植え込み、植え替え時における施工性が向上する。なお、繊維ブロック体23の内部26まで熱融着する場合は、内部26に熱融着性合成繊維を含むことは無論である。 【0037】繊維ブロック体23を熱融着により保形する場合、繊維ブロック体23の表皮部分25の引裂強度は、0.098〜3.9N、好ましくは0.098〜2.0Nになるように保形することが好ましい。ここでの引裂強度は、繊維ブロック体23の表面から0.5mm厚さの部分を試験片として測定される値をいう。引裂強度が上記の範囲内であれば、図6に示すように、繊維ブロック体23を集合させたときに、植物3が繊維ブロック体23と他の繊維ブロック体23’との間で優先的に生育する。そのため植物の根31が繊維ブロック体23自体に入り込み繊維に絡みついて根切りが悪くなるようなことが起こらず、容易に引き抜くことができる。また、植物3の生育がさらに進んで繊維ブロック体23と他の繊維ブロック体23’との間が窮屈になった場合には、植物3が繊維ブロック体23の表面を破ってその内部26まで伸長することも可能であるため植物3の生育を阻害することはない。すなわち、引裂強度が3.9N以上であると、繊維ブロック体23と他の繊維ブロック体23’との隙間24が植物3を育成するのに窮屈になったとき、繊維ブロック体23の表面を破ってそれ以上生育することができないため、植物3の生育が阻害される可能性がある。また、0.098N以下であると、繊維ブロック体23と他の繊維ブロック体23’との間での生育が優先されず、繊維ブロック体23自体の内部に根が入りこみやすくなり、根切りが悪くなる場合がある。しかし、育成させる植物の種類等によっては上記の範囲に限定されることなく保形することができる。 【0038】また、図6に示すように、スティック状の繊維ブロック体23の周面には、ランダムな方向にシワ27を形成することができる。シワ27により、別のスティック状の繊維ブロック体23’との間に空隙28が形成される。この空隙28は、植物の根31が伸長するための通路として作用する。また、水耕栽培等に用いる場合は、水・養液を溜め込む部位としても作用する。なお、シワ27を形成しなくても、植物の根31が繊維ブロック体23の外側を回り込んで伸長することは可能であるが、シワ27を形成することにより、さらに容易に植物の根31が伸長する。 【0039】上記のシワ27は、スティック状の繊維ブロック体23を集合させて培地ユニット2を形成する際に、ランダムかつ自然に形成させることができる。また、別の方法として、繊維ブロック体23を製造する際の成形型等に溝を形成しておくことによっても得ることができる。さらには、スティック状の繊維ブロック体23を製造した後に、シワ27を形成させることもできる。具体的な方法として、スティック状の繊維ブロック体23の周面に、加熱した櫛状のものでスジを付ける方法が挙げられる。 【0040】さらに、図6に示すように、植物の根31とスティック状の繊維ブロック体23との密着面29では、水・養液が毛細管現象により重力に抗して引き上げられるので、植物の根31の表面の広い面積での水の吸収が可能となり、植物3の生育にとって好ましい。 【0041】上記実施の形態(1)では、培地ユニット2を構成するスティック状の繊維ブロック体23の断面は円形に形成されているが、その他にも、四角形、楕円形、三角形等、任意の形状とすることができる。また、繊維ブロック体23の直径aは、繊維ブロック体23を集合させたときに形成する隙間24が植物3の生育にとって適当な大きさになるような値であれば適宜設定することができる。一般的には、5〜40mm、好ましくは5〜20mmである。40mm以上であると、隙間24が大きすぎるため植物3を植えても十分に保持できず、植物3の姿勢が不安定になる場合がある。また、繊維ブロック体23と植物3が密着しにくいので繊維ブロック体23の中の水分が植物3に供給されにくく生育に悪影響を与える傾向がある。ただし、繊維ブロック体23の集合をより密にすれば直径aを大きくしても植物3は保持可能であり、植物3と十分に密着させることができる。一方、5mm以下であると、繊維ブロック体23が原料繊維自体のように細くなるため、植物の根31が絡みついた際に結局根切れが悪くなる傾向がある。もちろん育成する植物の種類によっては(例えば根の細いカイワレ大根等)、上記の範囲以下の直径とすることもできる。また、直径aは、培地ユニット2を構成するスティック状の繊維ブロック体23について同一とすることもできるし、あるいは相異なるように構成することもできる。 【0042】また、繊維ブロック体23の密度は、保形する過程における圧縮条件、加熱条件等の諸条件を適宜設定することによって調節でき、特に限定されるものではないが、一般に、0.01〜0.1g/cm3 、好ましくは0.02〜0.06g/cm3 とする。 【0043】繊維ブロック体23の作製工程は、熱融着により保形する場合、例えば、熱融着性合成繊維を含む原料繊維から連続したウエブ状繊維集合体を形成する工程と、そのウエブ状繊維集合体を連続的に所定の幅に切断する工程と、その所定幅のウエブ状繊維集合体を所定の断面形状になるよう連続的に圧縮加熱する工程と、その圧縮加熱し保形した連続体を所定の長さに切断する工程とから構成される。具体例として、実施の形態(1)等におけるスティック状に保形された繊維ブロック体23の作製工程について説明すると、まず原料繊維のステープル・ファイバーがカード機に供給される。このステープル・ファイバーの調製は公知手段によれば良い。次に、ステープル・ファイバーからカード機によりウエブ状繊維集合体(非常に柔らかく、伸び縮みし易い)が形成され、そのウエブ状繊維集合体は、コンベアー等の搬送機を備えた前処理予備加熱装置に通され、ウエブ状繊維集合体(保形性が向上して伸び縮みに強い)が形成される。前処理予備加熱装置では、通常、加熱により熱融着性合成繊維同士の接点の一部が熱融着され、その保形性が増強される。例えば熱融着性合成繊維がPP/PE複合繊維である場合、前処理予備加熱装置では、ウエブ状繊維集合体の厚さにもよるが、一般に130〜230℃で数秒〜数分間、好ましくは180〜200℃で熱風により30〜40秒間加熱される。上記のウエブ状繊維集合体は、コンベアー等の搬送機により搬送され、切断機により所定幅に切断され、複数のウエブ状繊維集合体とされる。この複数のウエブ状繊維集合体は、それぞれコンベアー等の搬送機を備えた成形予備加熱装置に通されて予備加熱され、次いで加熱成形機で円形等の断面形状に保形され、コンベアー等の搬送機を備えた冷却装置で冷却され、連続した繊維ブロック体とされる。この連続した繊維ブロック体は、切断機により所定の長さに切断され、かくしてスティック状の繊維ブロック体23が得られる。そして、この繊維ブロック体23の複数を集合させ、前述したような種々の方法で一体化することにより培地ユニット2が形成される。 【0044】繊維ブロック体23を熱融着により保形する際の、圧縮強度、加熱温度、加熱時間等の諸条件は、目的の繊維ブロック体23の密度、保水性、繊維の溶融温度等を考慮して適宜設定する。例えば、PP/PE複合繊維を用いた場合には、加熱温度は130〜230℃が適当であり、好ましくは135〜155℃である。また、上記諸条件を選択することにより、熱融着性合成繊維同士の接点の一部を熱融着することができる。あるいは接点の全部を熱融着することもできる。一般に、熱融着された接点が少ないと目的の繊維ブロック体23が柔軟になり、熱融着された接点が多いと目的の繊維ブロック体23は硬くなる。また、以上の熱融着による保形は、熱融着性合成繊維を含む原料繊維の集合体を種々の形状に成形した後、あるいは成形と同時に、公知の圧縮手段、加熱手段を適宜選択して行うことができる。 【0045】また、繊維ブロック体23は、密度を均一にすることもできるし、密度に疎密の分布を形成することもできる。密度に疎密の分布のある繊維ブロック体23の例を図7に示す。図7は、断面形状が円形で密度の均一なスティック状の繊維ブロック体23の一部に、加熱圧縮手段により括れ部を設け、この括れ部を密度が密の部分23aとし、それ以外の部分を密度が疎の部分23bとしたスティック状の繊維ブロック体23である。図7のような密度に疎密の分布のある繊維ブロック体23を用いれば、一層植物3の生育が良好となることがあり、これは、密度の変化に応じて保水率が変化し、この変化が植物3に良い刺激を与えるためではないかと推測される。また、密度に疎密の分布を設ける手段は、公知の各種圧縮手段、加熱手段等を適宜採用することができる。具体的には超音波により溶着・切断する手段や、部分的に熱をかけた型あるいはワイヤーを繊維ブロック体23に押し当てる手段等を用いることができる。 【0046】繊維ブロック体23には、上記熱融着性合成繊維の他、各種の合成繊維、天然繊維を含むことができる。具体例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル繊維、レーヨン、アセテート等の合成繊維、麻、綿、羊毛、絹等の天然繊維が挙げられる。これらの各種繊維は、いずれか一種を単独で用いることもできるし、複数を併用することもできる。また繊度は、目的の繊維ブロック体23の保形性、保水性等を考慮して適宜設定することができる。例えば、合成繊維を用いた場合の繊度は、一般に1〜8デニール、好ましくは2〜6デニールとすることが適当である。 【0047】また、繊維ブロック体23について、上記の各種繊維に加え、必要に応じて、他の物質を併用することができる。具体例として、炭、ゼオライト等の根腐れ防止剤、水腐れ防止剤や、各種の肥料成分等が挙げられる。さらに、繊維を予め界面活性剤で処理することにより、繊維を親水化し濡れ性を向上させることができる。その結果、繊維ブロック体23の保水性を高めることができる。このような界面活性剤の種類としては、植物に無害なものであれば用いることができ、特にポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤が好適に用いられる。 【0048】次に、本発明の実施の形態(3)を図8に示す。図8の人工培地1は、その深さ方向に多段状に組み合わされた培地ユニット(上段から培地ユニット2G、培地ユニット2H、及び培地ユニット2J)から構成され、それぞれの培地ユニットは、上記実施の形態(1)及び(2)と同様に、複数の繊維ブロック体23を集合させ一体化して構成されている。そして、この実施の形態(3)では、それぞれの培地ユニットの保水性を相異なるように設定したことを特徴とする。好適な例として、上段に位置する培地ユニット2Gの保水性を最も高く、一方下段に位置する培地ユニット2Jの保水性を最も低く設定する場合が挙げられる。上段の培地ユニット2Gの保水性を高くすることにより、培地ユニット2Gで播種・発芽したときに十分な水分を供給することができるので、植物3の生育に好影響を与えることができる。また、下段の培地ユニット2Jの保水性を低くすることにより、人工培地1中の過剰な水分を速やかに排水することができるので好ましい。なお、図8に示す人工培地1を用いて植物3を育成する場合には、培地ユニット2G〜2Jが最初から組み合わされた状態に対して植物3を植え込むこともできるし、あるいは、最初に上段の培地ユニット2Gに播種し、植物3が発芽して生育が進むにつれて植え込み容積を拡張すべく培地ユニット2H、培地ユニット2Jと順次組み合わせることもできる。また、上段の培地ユニット2Gの保水性を高く設定した場合には、植物3が中段の培地ユニット2Hに活着した段階で、上段の培地ユニット2Gと植物3の茎とが接触しないようにするか、もしくは切れ込み21を開く等して上段の培地ユニット2Gを取り除くことが好ましい場合がある。これは、保水性が高いことにより植物3の茎部が腐ることを防ぐためである。 【0049】培地ユニットを、複数の繊維ブロック体23を集合させ一体化して構成する場合、その培地ユニットの保水性は、原料繊維の種類、デニール数、繊維ブロック体23の成形条件、あるいは複数の繊維ブロック体23を集合させるときの密度等により任意にコントロールすることができる。具体例として、保水性を低く(疎水性を高く)設定する方法としては、ポリプロピレン等の撥水性に優れた原料繊維を用いる、デニール数を大きくする等の方法が挙げられ、逆に保水性を高くするためには、レーヨン等の吸水性を有する繊維の割合を増やす、デニール数を小さくする等の方法が挙げられる。 【0050】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。 (実施例1)熱融着性合成繊維として繊度2デニールの捲縮のあるPP/PE複合繊維を用い、そのPP/PE複合繊維を切断、撹拌してステープル・ファイバーを調製し、そのステープル・ファイバーを用いてカード機にてウエブを作製し、該ウエブを搬送ローラにてスライバ状にまとめて、加熱炉にて140℃で120秒間加熱して紐状の連続体を得た。この得られた紐状の連続体を150℃に加熱した円筒形の型に通すことにより、断面形状が円形で、表皮部分が熱融着により保形された、外径16mm、密度0.03g/cm3 の連続体を得た。この得られた連続体を80mmの長さに切断して、スティック状(円形断面、外径16mm、長さ80mm)の繊維ブロック体を得た。この繊維ブロック体の表皮部分の引裂強度を測定したところ、1.47〜1.96Nであった。 【0051】得られたスティック状の繊維ブロック体24本を束ねて集合させ、その周囲を繊維ブロック体同士の熱融着により一体化して円柱状の培地ユニットを作製した。これを第1の培地ユニットとする。一方、同じスティック状の繊維ブロック体12本を平行に一列に並べ、繊維ブロック体同士を熱融着することにより一体化して、長さが約18cm(第1の培地ユニットの外周に相当する)の帯状の培地ユニットを作製した。これを第2の培地ユニットとする。 【0052】次に、底面積26cm2 のプラスチック鉢に第1の培地ユニットを詰め入れ、培地ユニットを構成する繊維ブロック体の隙間に植物を植え込んだ。植物は花きりんを採用した。そして一年経過後、植物が生育して根を張り、第1の培地ユニットが窮屈になったため、植物を第1の培地ユニットに植え込んだまま一緒に鉢から取り出し、第1の培地ユニットの周囲に第2の培地ユニットを巻き付けて植え込み容積を拡張し、一回り大きな鉢に植え替えを行った。その後1ヶ月経過して生育状況を観察したところ、順調な生育が確認され、また外観には汚れがなく清潔であった。 【0053】(実施例2)まず、長さが20mm、60mm、及び80mmの3種類である他は、実施例1と同様の方法によりスティック状の繊維ブロック体を作製した。次に、長さが60mmのスティック状の繊維ブロック体を24本を束ねて集合させ、その周囲を繊維ブロック体同士の熱融着により一体化して円柱状の培地ユニットを作製した。これを第1の培地ユニットとする。また、長さが20mmのスティック状の繊維ブロック体についても、同様に24本を一体化して第一の培地ユニットと同じ底面積を有する円柱状の培地ユニットを作製した。これを第2の培地ユニットとする。さらに、長さが80mmのスティック状の繊維ブロック体を6本ずつ平行に一列に並べ、繊維ブロック体同士を熱融着することにより一体化して、長さが約9cmの帯状の培地ユニットを2つ作製した。これらを第3、及び第4の培地ユニットとする。 【0054】次に、底面積26cm2 のプラスチック鉢に第1の培地ユニットを詰め入れ、培地ユニットを構成する繊維ブロック体の隙間に植物を植え込んだ。植物はカランコエを採用した。そして一年経過後、植物が生育して根を張り、第1の培地ユニットが窮屈になった。そこで植物を第1の培地ユニットに植え込んだまま一緒に鉢から取り出し、第1の培地ユニットの下部に第2の培地ユニットを重ね、その重ねた状態の第1及び第2の培地ユニットを、一回り大きな穴あき素焼き鉢に植え替えた。その際、人工培地の周囲と素焼き鉢内周との空間に第3及び第4の培地ユニットを差し込んで第1及び第2の培地ユニットの周囲を取り囲むように組み合わせ、植え込み容積を拡張した。その後1ヶ月経過して生育状況を観察したところ、順調な生育が確認され、また外観には汚れがなく清潔であった。 【0055】 【発明の効果】以上、本発明の植物育成用の人工培地は、いくつかの培地ユニットの組み合わせにより構成したので、植物の生育に伴い人工培地が窮屈になる等して植え替えの必要が生じたときに、培地ユニットを適宜分離・追加することにより植え替え作業を手軽に、かつ容易に行うことができる。また、藻やカビが生えて人工培地が汚れた場合には、従来のように人工培地全体をそっくり取り替える必要なく、汚れた箇所、汚れが目立つ箇所の培地ユニットのみを交換してより手軽に元の清潔な人工培地を回復することができる。 【0056】また本発明は、組み合わせる培地ユニットの保水性等の性質を相異なるようにしたので、発芽段階や、根が伸長する段階等、植物のそれぞれの生育段階に適した培地での育成が可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000128359 【氏名又は名称】株式会社エムジー
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| 【出願日】 |
平成12年4月10日(2000.4.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081271 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 芳春
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| 【公開番号】 |
特開2001−292635(P2001−292635A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月23日(2001.10.23) |
| 【出願番号】 |
特願2000−108600(P2000−108600) |
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