| 【発明の名称】 |
植物の栽培方法及び栽培装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】泰松 恒男
【氏名】辰野 仁
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| 【要約】 |
【課題】栽培室内の空間利用効率を向上させ、植物の収穫作業効率及び植物が植え付けられた栽培容器の設置効率を向上させることができる植物栽培方法及び植物栽培装置を提供する。
【解決手段】植物栽培装置1は、栽培室20と、この栽培室20内に収容される、上部が開口した長尺筐体状の栽培容器10と、この栽培容器10を栽培作業者の栽培位置に合わせて吊り下げて支持する吊下支持手段11と、潅水手段12とから構成されており、栽培容器10は、その幅寸法/深さ寸法が0.5となるように形成され、その複数が長手方向に連設されると共に、一定の間隔を隔てて対向配置された2列の栽培容器を1組として吊下支持手段により吊り下げられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部が開口し、内部に培地が充填された長尺筐体状の栽培容器を栽培室内に配設し、前記培地に植物を植え付けた後、養液供給源から前記培地に養液を与えて前記植物を育成せしめる植物栽培方法において、前記栽培容器を栽培者の栽培作業位置に合わせて吊下せしめたことを特徴とする植物栽培方法。 【請求項2】 前記栽培容器の複数をその長手方向に連設して1列となし、2列の前記栽培容器列を一定の間隔を隔てて対向配置せしめるとともに、該2列の栽培容器列を1組として吊下せしめたことを特徴とする請求項1記載の植物栽培方法。 【請求項3】 前記各栽培容器の培地に、その長手方向に沿って前記植物を2列に植え付けし、且つ両列相互間における前記植物の配置関係が千鳥状となるように植え付けることを特徴とする請求項1または2記載の植物栽培方法。 【請求項4】 前記植物の収穫物を前記栽培容器の幅方向においてその一方側に偏在させて育成せしめることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかの植物栽培方法。 【請求項5】 前記植物1株当たりの占有培地が1.9〜2.0lとなるように、前記植物を前記培地に植え付けるとともに、前記栽培容器の幅寸法/深さ寸法を、0.3〜0.7に設定したことを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかの植物栽培方法。 【請求項6】 前記培地に供給された養液の過剰分を前記養液供給源に回収,環流させ、前記養液を前記養液供給源と前記栽培容器との間で循環させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5記載のいずれかの植物栽培方法。 【請求項7】 前記培地に供給される養液の量を、日射量に応じて調整するようにしたことを特徴とする請求項1乃至6記載のいずれかの植物栽培方法。 【請求項8】 前記培地の温度,日射量及び前記植物の成育状態に応じて、前記培地の根圏温度,前記栽培室内の炭酸ガス濃度及び電照時間を調整するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7記載のいずれかの植物栽培方法。 【請求項9】 前記植物が苺であることを特徴とする請求項1乃至8記載のいずれかの植物栽培方法。 【請求項10】 上部が開口し、内部に培地が充填された長尺筐体状の栽培容器と、植物が植え付けられた前記培地に養液を供給する潅水手段とを備えるとともに、前記栽培容器が栽培室内に収容され、且つ栽培者の栽培作業位置に適合した位置に配設されてなる植物栽培装置において、前記栽培容器を吊り下げて支持する吊下支持手段を設け、該吊下支持手段により前記栽培容器を前記適合位置に吊下せしめるように構成したことを特徴とする植物栽培装置。 【請求項11】 前記吊下支持手段が、長手方向に連設され、一定の間隔を隔てて対向配置された2列の栽培容器列を1組として吊下せしめるように構成されてなる請求項10記載の植物栽培装置。 【請求項12】 前記栽培容器の幅寸法/深さ寸法が、0.3〜0.7となるように設けられてなる請求項10または11記載の植物栽培装置。 【請求項13】 前記栽培容器は、容器内底部にその長手方向に沿って形成された排液溝と、この排液溝から容器下面に貫通する排液孔と、この排液孔に装填された不織布とを備えて成り、該栽培容器内の培地に供給された養液の過剰分を前記排液溝に集液した後、集液した過剰養液を前記排液孔及び不織布を介して外部に排出するように構成されてなる請求項10乃至12記載のいずれかの植物栽培装置。 【請求項14】 前記潅水手段が前記培地に供給した養液を回収する養液回収機構を備え、前記養液を潅水手段と栽培容器との間で循環させるように構成されてなる請求項10乃至13記載のいずれかの植物栽培装置。 【請求項15】 前記潅水手段が日射量を検出する日射量検出部を備え、前記培地に供給される養液の量を、検出した日射量に応じて調整するように構成されてなる請求項10乃至14記載のいずれかの植物栽培装置。 【請求項16】 培地の温度を調整する温度調整手段、栽培室内の炭酸ガス濃度を調整する炭酸ガス濃度調整手段を設けたことを特徴とする請求項10乃至15記載のいずれかの植物栽培装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、栽培室内で、ロックウール等の培地が収容された栽培容器に植物を植え付け、この植物に養液を与えることによって植物を生育させる植物栽培方法及び植物栽培装置に関する。 【0002】 【従来の技術】上述した植物栽培装置の一例を図8に示す。尚、図8には苺の栽培装置を例示している。同図に示すように、この栽培装置50は、パイプ状の垂直部材53a及び水平部材53b,53cを図示する如く枠体状に組み立てて形成されたパイプベンチ53と、このパイプベンチ53上に載置される栽培容器51と、栽培容器51の上部にその長手方向に沿って配設され、当該栽培容器51の内部に養液を供給する潅水チューブ54などを備えてなる。 【0003】前記パイプベンチ53は栽培室(図示せず)内のグランド上にその複数個が適宜配列関係をもって配設され、その水平部材53c上に前記栽培容器51が載置される。また、前記栽培容器51は、上部が開口し、内部にロックウール等からなる培地52が充填された長尺筐体状の部材からなり、培地52にその長手方向に沿って1条若しくは2条(図示例では2条)の苗が植え付けられる。尚、パイプベンチ53上に載置される栽培容器51のグランド面からの高さ位置は、栽培作業者が起立姿勢で栽培作業を行うことができる位置に設定されており、栽培作業者は無理な姿勢をとることなく、楽な姿勢で栽培作業を行うことができるようになっている。 【0004】また、前記潅水チューブ54は培地52に植え付けられた苗に沿って設けられている。この潅水チューブ54は所定ピッチで形成された吐出口を備えており、図示しない養液供給源から供給された養液をこの吐出口から吐出して前記培地52に供給するようになっている。尚、培地52に供給された養液は、栽培容器51の底部に形成された排液溝51a及びこの排液溝51aから外部に連通する排液孔(図示せず)を経由して回収され、廃棄される。 【0005】以上の構成を備えた栽培装置50によると、苺苗が植え付けられた栽培容器51の培地52に、養液供給源から潅水チューブ54を介して養液が供給され、この養液によって苗が育成せしめられる。そして、所定の育成期間後に生育した果実が栽培作業者によって収穫される。尚,栽培作業はかかる収穫作業に止まらず上記育成期間を通して行われるが、上述した如く、この栽培装置50によると、栽培容器51の設置されるグランド面からの高さ位置が、栽培作業者が起立姿勢で栽培作業を行うことができる位置に設定されているので、栽培作業者は無理な姿勢をとることなく、楽な姿勢で栽培作業を行うことができ、長時間に亘る収穫作業を身体的に大きな負担を負うことなく実行することができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した栽培装置50においては、そのパイプベンチ53が栽培室内のグランド上に配設されているので、脚部となる垂直部材53aが邪魔となり、栽培容器51下方の床面を掃除し難かったり、栽培容器51の下方部分を他の目的のために使用し難く、栽培室内の空間利用効率が悪いといった問題があった。 【0007】また、前記栽培容器51は、同図に示すように、その深さ寸法に比べて幅寸法が大となるように形成され、1つのパイプベンチ53上には、その長手方向に1列のみが配置された構成となっている。このように、栽培容器51が幅広に形成されている理由の一つとしては、これを多種類の植物の栽培に兼用することができるようにと配慮されてのことである。また、苺栽培の場合、苺の根全体をある程度の温かさに保たせる必要があるが、深い容器ではその下方の根圏部にまで日照による熱量が伝わり難いことから、幅広で深さの浅い栽培容器が使用されているのである。ところが、このような幅広の栽培容器51を一列に配置した構成では、全ての隣接栽培容器列間の配列間隔を、栽培作業を行い得る間隔にしなければならず、必ずしも、栽培容器51の設置効率が良いとは言えなかった。 【0008】また、培地52に供給された養液は回収後廃棄されるようになっているので、培地52には、常に新しい養液を供給しなければならず、養液を効率よく利用することができないという問題があり、更に、養液の廃棄にあたっては、これを環境面に十分配慮して処分する必要があり、廃棄のためにコストがかかるという問題もある。 【0009】本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、栽培室内の空間利用効率を向上させ、植物の収穫作業効率及び植物が植え付けられた栽培容器の設置効率を向上させることができると共に養液の利用効率を向上させることができる植物栽培方法及び植物栽培装置の提供を目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段及びその効果】上記課題を解決するための本発明の請求項1に係る発明は、上部が開口し、内部に培地が充填された長尺筐体状の栽培容器を栽培室内に配設し、前記培地に植物を植え付けた後、養液を収容する養液供給源から前記培地に養液を与えて前記植物を育成せしめる植物栽培方法において、前記栽培容器を栽培者の栽培作業位置に合わせて吊下せしめたことを特徴とする。 【0011】この植物栽培方法によると、栽培容器を栽培者の栽培作業位置に合わせて吊下しているため、上記従来例のように、栽培容器が載置されるパイプベンチの脚部が邪魔になり、栽培容器下方の床面を掃除し難くかったり、栽培容器の下方空間を他の目的のために使用し難いといったことがなく、例えば、栽培容器下方の床面に他の植物栽培容器を設置して、他の植物を栽培するといったことが可能である。このように、請求項1に係る発明によると、栽培室内での作業性を向上させることができ、栽培容器の下方空間を効率よく利用することができるといった効果が得られる。 【0012】尚、かかる植物栽培方法は、請求項10に記載した装置発明によって、これを好適に実施することができる。即ち、請求項10に係る発明は、上部が開口し、内部に培地が充填された長尺筐体状の栽培容器と、植物が植え付けられた前記培地に養液を供給する潅水手段とを備えるとともに、前記栽培容器が栽培室内に収容され、且つ栽培者の栽培作業位置に適合した位置に配設されてなる植物栽培装置において、前記栽培容器を吊り下げて支持する吊下支持手段を設け、該吊下支持手段により前記栽培容器を前記適合位置に吊下せしめるように構成したことを特徴とする。 【0013】また、請求項2及び請求項11に係る発明のように、前記栽培容器の複数をその長手方向に連設して1列となし、2列の前記栽培容器列を一定の間隔を隔てて対向配置せしめるとともに、吊下手段により該2列の栽培容器列を1組として吊下せしめるようにすると、従来に比べて多数の栽培容器を設置することができるといった効果がある。即ち、各組間の設置間隔は、栽培作業領域を考慮して設定する必要があるが、1組を構成する2列の栽培用器列相互間の間隔についてはこれを可能な限り接近させることができ、言い換えれば、前記栽培作業領域以下の間隔とすることができ、このことによって、栽培室内における栽培容器の設置効率を高めることができるのである。 【0014】また、請求項3に係る発明のように、前記各栽培容器の培地に、その長手方向に沿って前記植物を2列に植え付けし、且つ両列相互間における前記植物の配置関係が千鳥状となるように植え付けるようにすると、1株あたりの占有培地を最適に保ったまま、可能なかぎり多くの植物を1つの栽培容器内に植え付けることができ、更に、隣接する植物の葉同士が重なり合って、それぞれの受光状態が悪くなるのを防止することができるといった効果が得られる。 【0015】また、請求項4に係る発明の如く、植物の収穫物を栽培容器の幅方向においてその一方側、即ち、栽培作業者の作業側に偏在させて育成せしめると、収穫物の全てを作業領域側から容易に収穫することができ、栽培者の収穫作業が容易なものとなるといった効果が得られる。 【0016】また、請求項5及び請求項12に係る発明のように、前記植物1株当たりの占有培地が1.9〜2.0lとなるように、前記植物を前記培地に植え付けるとともに、前記栽培容器の幅寸法/深さ寸法を、0.3〜0.7に設定すると、植物の1株に最低限必要な占有培地を確保しつつ、栽培容器の幅寸法を狭くすることができる。即ち、例えば、栽培植物が苺の場合、その根が培地の深くにまで達するため、このような植物の場合には、栽培容器の幅寸法を狭くする一方、その深さ寸法を深くすることで、1株あたりに必要な占有培地量を確保することができる。そして、このようにすることで、植物の植付け間隔を狭くすることが可能となり、その栽植本数を増加させることができるとともに、上述した収穫物を栽培容器幅方向の一方側に偏在させた育成が容易となるのである。尚、幅寸法/深さ寸法が0.3を下回ると、不必要に深さ寸法を深くすることとなる一方、0.7を超えると幅寸法が広くなりすぎ上述した効果を得ることができない。 【0017】また、請求項6及び請求項14に係る発明のように、養液循環機構により前記培地に供給された養液の過剰分を養液供給源に回収,環流させ、養液を養液供給源と栽培容器との間で循環させるようにすると、再利用によって効率良く養液を利用することができ、廃棄する養液を最小限に抑えることができる。したがって、養液廃棄に要するコストを最小限に抑えることができるという効果が得られる。 【0018】また、請求項7及び請求項15に係る発明のように、栽培室内の日射量を検出し、前記培地に供給される養液の量を、検出した日射量に応じて調整するようにすると、日射量に対して、常に最適な養液量を供給することができ、植物の成長を最適なものとすることができる。 【0019】また、請求項8に係る発明のように、前記培地の温度,日射量及び前記植物の成育状態に応じて、前記培地の根圏温度,前記栽培室内の炭酸ガス濃度及び電照時間を調整するようにすると、更に、植物の成長を効果的に促進することができる。尚,根圏温度及び炭酸ガス濃度の調整は、請求項16に係る発明のように、温度調整手段及び炭酸ガス濃度調整手段によってこれを調整することができる。 【0020】また、請求項1乃至8に係る各発明における最適な栽培植物としては、請求項9に係る発明のように苺を挙げることができる。 【0021】また、請求項13に係る発明のように、前記栽培容器に、容器内底部にその長手方向に沿って形成された排液溝と、この排液溝から容器下面に貫通する排液孔と、この排液孔に装填された不織布とを備えたものを用いると、該栽培容器内の培地に供給された養液の過剰分を前記排液溝に集液することができ、集液された過剰養液を前記排液孔及び不織布を介して外部に排出することができる。培地内に過剰の養液が存在すると、植物が根腐れを起こしたり、培地内への酸素の供給がスムーズに行われなくなって、栽培環境が悪化したりするが、本発明によれば、過剰な養液を積極的に容器外に排出することができるので、上記のような問題を生じることがなく、培地内の養液を適度且つ均一な状態に保つことができ、栽培環境を常に良好なものとすることができる。しかも、排液孔内に装填した不織布を介して過剰養液を排出するようにしているので、過剰養液を定められた排水経路に容易に導くことができ、過剰養液の排出に際し、かかる養液によって栽培容器の周囲が汚染されるといった問題が生じるのを効果的に防止することができる。 【0022】尚、本発明における前記「養液」とは、所定の養分を水に溶解させたものの他、人為的に養分を溶解させていない自然水などを含む広い概念である。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施形態について添付図面に基づき説明する。図1は、苺を栽培するための植物栽培装置1を示しており、この植物栽培装置1は、内部温度を調整可能な栽培室20と、この栽培室20内に収容される、上部が開口した長尺筐体上の栽培容器10と、この栽培容器10を栽培作業者の栽培位置に合わせ吊り下げて支持する吊下支持手段11と、栽培容器10内に養液を供給する潅水手段12と、栽培容器10内の根圏温度(植物の根付近の温度)を調整する根圏温度調整手段17などから構成されている。 【0024】図1及び図2に示すように、前記栽培容器10は、その複数個が長手方向に連設されて一列に形成され、一定の間隔を隔てて対向配置された栽培容器10の2列を1組として吊下支持手段11によって吊り下げられている。また、この栽培容器10は、発泡スチロールからなり、図3(b)に示すように、その内幅寸法が100mm、深さ寸法が200mm、幅寸法/深さ寸法が、0.5となるように形成されている。 【0025】また、栽培容器10には、図4に示すように、その内部にロックウール等からなる培地13が充填され、この培地13に養液を供給するための潅水チューブ12aが培地13の表面上に当該栽培容器10の長手方向に沿って配設されている。この潅水チューブ12aは上記潅水手段12の一部を構成するものであり、その長手方向に図示しない複数の吐出口が形成され、この吐出口から吐出する養液が培地13に供給され、培地13を介しこれに植え付けられた苺苗に養液が供給されるようになっている。 【0026】また、図3(a),(b)に示すように、栽培容器10内の底部には、その長手方向に沿って排液溝10aが形成されており、培地13内の養液の過剰分がこの排液溝10a内に集められるようになっている。更に、この排液溝10aには栽培容器10の下面に開口する排液孔10bが形成されるとともに、この排液孔10b内には不織布16が装填されており、排液溝10aに集められた養液がこの排液孔10b及び不織布16を介して栽培容器10外に排出され、後述する樋15に回収されるようになっている。 【0027】前記吊下支持手段11は、図4に示すように、内部に2列の栽培容器10を収容して支持する容器受け材11aと、容器受け材11aを下方から支持するパイプ部材11bと、容器受け材11aの両側面から下方に延設されたパイプ収容部材11cと、一方端がフック(図示せず)を介してパイプ部材11bに係合するチェーン11dなどから構成される。尚、チェーン11dの他方端は、栽培室20内の上部に配設されたトラス構造体21(図1に図示)に係着されている。斯くして、図1に示すように、1つの吊下支持手段11により2列の栽培容器10が吊り下げられた状態で支持され、それぞれ2列の栽培容器10を支持した複数の吊下支持手段11が、栽培作業領域を考慮して、列の横方向に適宜間隔をあけて配設されている。尚、前記チェーン11dの長さは、吊下した栽培容器10のグランド面からの高さ位置が、栽培作業者が起立姿勢で栽培作業を行うことができる位置となるように適宜調整されている。 【0028】前記潅水手段12は、図6に示すように、各栽培容器10に沿ってそれぞれ配設された上述の潅水チューブ12aと、これら潅水チューブ12aにそれぞれ接続され、養液の供給をON,OFFする電磁弁12bと、養液を清浄するフィルタ12cと、このフィルタ12cの入口側及び出口側に接続され、養液の逆流を防止するバルブ12dと、養液の原液を蓄え、図示しない貯水槽から混合用の水を受水して、所定濃度の養液を配合し、配合した養液を吐出する養液配合機(養液供給源)12eと、これら養液配合機12e,バルブ12d,フィルタ12c,バルブ12d,電磁弁12bを順次連結する往路管12fと、上述した樋15と、この樋15に接続し且つ前記養液配合機12eに接続した復路管12gなどを備えてなる。尚、図4及び図5に示すように、前記樋15は各栽培容器10の下方にその長手方向に沿って設けられており、前記容器受け材11aの下面に固着された樋受け金具14によって支持されている。 【0029】斯くして、この潅水手段12によると、養液配合機12eによって適宜濃度に調整された養液がバルブ12d,フィルタ12c,バルブ12d,電磁弁12bを順次経由して潅水チューブ12aに供給され、この潅水チューブ12aに形成された吐出口から培地13に向けて吐出される。そして、培地13に供給された養液の過剰分は前記栽培容器10に形成された排出溝10a,排出孔10b及び不織布16と、樋15及び復路管12gからなる養液回収機構を介して養液配合機12eに回収され、回収養液に原液及び混合用水が混合されて、当該養液配合機12eにおいて新たな養液が配合される。このように、養液は栽培容器10と養液配合機12eとの間で循環されるようになっている。 【0030】また、この潅水手段12は、栽培室20内に照射される日射量を検出する日射量検出部(図示せず)を備えており、検出した日射量に応じて、前記培地13に供給される養液の量を調整することができるようになっている。 【0031】前記根圏温度調整手段17は、前記培地13内に埋設され、当該培地13の温度を検出する温度センサ(図示せず)と、培地13の略中央部に栽培容器10の長手方向に沿って埋設された循環パイプ18(図5に図示)と、この循環パイプ18に所定温度の水を供給する給水手段(図示せず)からなり、温度センサにより検出される培地13の温度が、苺の生育に適した温度となるように、給水手段(図示せず)から所定温度の水を循環パイプ18に供給,循環させて、培地13の温度を前記適正温度に調整することができるようになっている。尚、通常、夏場には前記給水手段(図示せず)から冷水が供給され、冬場には温水が供給される。 【0032】この他、前記栽培室20内には、室内の炭酸ガス濃度を調整する炭酸ガス濃度調整手段(図示せず)や、電照設備(図示せず)が設けられており、かかる炭酸濃度調整手段により、栽培室20内の炭酸ガス濃度を増加させることで、艶のある苺にしたり、苺の果皮及び果実の硬度を増加させ、苺の鮮度を長期間保つことができ、日射量が不足している場合には、不足した光射量を電照設備によって補うことができるようになっている。 【0033】次に、以上の構成を備えた本例の栽培装置1を用いて苺を栽培する方法について説明する。まず、苺の苗を、上述した各栽培容器10内の培地13に、その長手方向に沿って2列に植え付ける。その際、各列の苗が長手方向に交互に位置するように、千鳥状に植え付け、その1株当たりの占有培地が1.9〜2.0lとなるようにする。 【0034】このようにして、苗を植え付けた後、潅水手段12を作動させて培地13に所定量の養液を供給し、苗を生育せしめる。尚、栽培期間中は、日射量に応じて養液供給量を調整するようにし、培地13の温度、日射量及び苺の生育状態に応じて、培地の根圏温度、栽培室内の炭酸ガス濃度及び電照時間を調節する。 【0035】次に、苗が成長し、苺の実(果実)を結び始めると、これを栽培容器10の幅方向においてその一方側(栽培作業者が作業を行う側)に偏在するように、これを導く。これにより、果実が成熟するにつれて前記栽培作業側に垂れ下がるようになる。尚、本例では、栽培容器10の幅寸法と深さ寸法との比率を0.5に設定しているので、苗の1株に最低限必要な占有培地を確保しつつ、栽培容器10の幅寸法を狭くすることができ、その結果として幅寸法を100mmとしている。そして、このように栽培容器10の幅寸法を狭くすることで、上述した如く、全ての果実を前記栽培作業側に偏在させてこれを栽培容器10から垂れ下がるようにすることができるのである。このようにして果実が偏在せしめられた状態を図5に図示している。そして、収穫期を迎えた果実は、吊下支持手段11間を移動する栽培作業者によって収穫されるが、果実を上記のように偏在させることで、栽培作業者は容易に上記収穫作業を行うことが可能となる。 【0036】以上詳述したように、本例の栽培装置1及びこれを用いた栽培方法によれば、栽培容器10を吊下支持手段11によって支持するようにしているので、栽培容器10の下方のグランド上に他の栽培容器をおいて他の植物を栽培するといったように、栽培容器10の下方の空間を有効に利用することができ、また、栽培容器10の下方の掃除などを容易に行うことができるといった効果が得られる。また、吊下される栽培容器10のグランド面からの高さ位置が、栽培作業者が起立姿勢で栽培作業を行うことができる位置に設定されているので、栽培作業者は無理な姿勢をとることなく、楽な姿勢で栽培作業を行うことができ、長時間に亘る収穫作業を身体的に大きな負担を負うことなく実行することができる。 【0037】また、幅寸法の狭い栽培容器10を2列1組として吊下するようにしているので、従来に比べて多数の栽培容器を設置することができる。即ち、各組間の設置間隔は、栽培作業領域を考慮して設定する必要があるが、1組を構成する2列の栽培用器10相互間の間隔についてはこれを可能な限り接近させることができ、言い換えれば、前記栽培作業領域以下の間隔とすることができ、このことによって、栽培室20内における栽培容器10の設置効率を高めることができるのである。 【0038】また、各栽培容器10に苗を2列且つ千鳥状となるように植え付けているので、苗1株あたりの占有培地を最適に保ったまま、可能なかぎり多くの苗を1つの栽培容器10内に植え付けることができ、更に、隣接する植物の葉同士が重なり合って、それぞれの受光状態が悪くなるのを防止することができるといった効果が得られる。 【0039】また、栽培容器10内の培地13に供給された養液の過剰分は、不織布16を介することで、栽培容器10内の底部に溜まることなく、スムーズに排出されるため、苺が根腐れを起こすといったことがなく、培地13内の養液を適度且つ均一な状態とし、また、培地内への酸素の供給をスムーズなものとすることができ、栽培環境を常に良好に保つことができるといった効果が得られる。しかも、養液の過剰分は、不織布16を利用することで、確実に樋15に排出することができるといった効果も得られる。 【0040】また、養液回収機構により養液を回収して、回収した養液を再利用するようにしているので、効率良く養液を利用することができ、廃棄する養液を最小限に抑えることができる。したがって、養液廃棄に要するコストを最小限に抑えることができるという効果が得られる。また、日射量に応じて供給する養液量を調整し、培地13の根圏温度,栽培室20内の炭酸ガス濃度及び電照時間を調整するようにしているので、苺の成長に最も適した環境をつくり出すことができる。 【0041】尚、上述した例では、潅水チューブ12aを介して養液を培地13に供給するように構成したが、養液を培地13に供給する態様はこれに限られるものではなく、例えば、図7に示すような態様を採ることもできる。具体的には、前記電磁弁12bに接続され、2列の栽培容器10の下方中央に長手方向に沿って配設されたパイプ22bと、このパイプ22bから上方に向けて立ち上げられ、パイプ22bの長手方向に所定ピッチで配設されたマニホールド22cと、フレキシブルチューブ22dを介してマニホールド22cに接続され、栽培容器10の培地13に埋設される滴下具22aとを設けて構成し、養液配合機12eから供給される養液を、前記滴下具22aから培地13に供給するようにする。このようにすれば、フレキシブルチューブ22dの柔軟性から、苗に対して養液が十分にいきわたるような最適位置に滴下具22aを配設することができ、最も効果的に養液を供給することができる。 【0042】また、上述した例では、チェーン11dによって栽培容器10を吊下するように構成したが、この他、ワイヤーロープやロッド(バー材)などによって吊下するように構成しても良い。また、1つの吊下支持手段11により2列の栽培容器10を吊下するように構成したが、これはあくまでも最適例を示したものであり、1列若しくは3列以上の栽培容器10を吊下するように構成されたものを除く趣旨ではない。 【0043】また、上述した例では苺を栽培対象としたが、本例の栽培装置1における栽培対象がこれに限られるものでないことは言うまでもなく、他の種々の植物を栽培対象とすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391021031 【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
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| 【出願日】 |
平成12年4月5日(2000.4.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100104662 【弁理士】 【氏名又は名称】村上 智司
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| 【公開番号】 |
特開2001−286225(P2001−286225A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月16日(2001.10.16) |
| 【出願番号】 |
特願2000−103208(P2000−103208) |
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