| 【発明の名称】 |
高品質作物生産用構造体及び土壌通気方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡島 量男
【氏名】水口 裕敬
【氏名】相川 博志
|
| 【要約】 |
【課題】植物が規則的配列で植えられた土地にむら無く通気することができるようにするとともに、果樹等の果実の糖度、着色等の品質を向上させ、しかも収穫量を増加させる。
【解決手段】規則的配列で植え込まれた果樹9の両側に、果樹9の配列方向に沿って互いに平行な溝1を掘り、溝1に砕石2を敷き詰めて通気層3を形成し、溝1の通気層3に土4を積層して表土層5を形成し、通気層3に多孔管6を埋設し、多孔管6内に外気を吸入する多孔管6の開放端7を大気中に突き出し、多孔管6内の空気を排出する排出管8を大気中に突き出す。外気は開放端7から多孔管6内に吸入され、多孔管6を通過し、排出管8から排出される。多孔管6内に流入した外気は排出管8から排出されるまでに、多孔管6から通気層3、通気層3から表土層5へと供給され、果樹9の細根に新鮮な空気が送られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 規則的配列で植え込まれた植物の少なくとも片側に、前記植物の配列方向に沿って掘られた溝と、前記溝に砕石を敷き詰めて形成される通気層と前記通気層に土を積層して形成される表土層と、前記通気層に埋設される通気性を有する通気管と、前記通気管内に外気を吸入する吸入部と、前記通気管内の空気を大気中へ排出する排出部とを備えていることを特徴とする高品質作物生産用構造体。 【請求項2】 前記吸入部が前記通気管の一方の開放端であって、その開放端が大気中へ突き出していることを特徴とする請求項1記載の高品質作物生産用構造体。 【請求項3】 前記吸入部が前記通気管と連通する吸入管であって、その吸入管の開放端が大気中へ突き出していることを特徴とする請求項1記載の高品質作物生産用構造体。 【請求項4】 前記排出部が前記通気管と連通する排出管であって、その排出管が前記表土層から大気中へ突き出し、その排出管の開放端が前記植物の頂点より高い位置にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高品質作物生産用構造体。 【請求項5】 前記排出管の開放端に、前記通気管内の空気を大気中へ排出するベンチレータが装着されていることを特徴とする請求項4記載の高品質作物生産用構造体。 【請求項6】 前記通気管が水平面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高品質作物生産用構造体。 【請求項7】 前記通気管の内径が約50〜150mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の高品質作物生産用構造体。 【請求項8】 規則的配列で植え込まれた植物の少なくとも片側に、前記植物の配列方向に沿って溝を掘る第1工程と、前記溝に砕石を敷き詰めて通気層を形成する第2工程と、前記溝の通気層に土を積層して表土層を形成する第3工程と、前記通気層に通気性を有する通気管を埋設する第4工程と、前記通気管内に外気を吸入する吸入部を大気中に突き出す第5工程と、前記通気管内の空気を排出する排出部を大気中に突き出す第6工程とを含むことを特徴とする土壌通気方法。 【請求項9】 地面に掘られた溝と、前記溝に砕石を敷き詰めて形成される通気層と、前記通気層の上に土を積層して形成され、植物の根が張る表土層と、前記通気層に埋設される通気性を有する通気管と、前記通気管内に外気を吸入する吸入部と、前記通気管内の空気を大気中へ排出する排出部とを備えていることを特徴とする高品質作物生産用構造体。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は高品質作物生産用構造体及び土壌通気方法に関し、特にみかん等の果実の糖度や着色等の品質を向上させることができる高品質作物生産用構造体及び土壌通気方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、土壌中に通気することにより、土壌微生物の活動を活発にし、芝生の根の呼吸を促進し、芝生の生育を良くする技術が知られている(特開昭48−13126号公報)。 【0003】この通気方法では、まず、心土の表面に形成された凹部にネット状又は多孔性の排水管を設置し、次に、心土の表面に砕石を敷き詰めて砕石層を形成し、その後、砕石層の表面にネットを敷き、最後に、ネットの上に土を積層して表土層を形成する。 【0004】砕石層は粒径10〜30mmの砕石で形成され、砕石間に生じる隙間によって空気の通路が形成される。 【0005】ネットは表土層の土が砕石層に入り込まないようにするためのものである。 【0006】排水管には換気管が接続され、換気管の開口が地表に露出している。 【0007】この通気方法によれば、換気管の開口を通じて排水管内の空気が換気され、砕石層を介して表土層の通気が行われるとともに、砕石層を介して排水管内に余分な水が集められ、排水管の集水口から水が排出される。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の通気方法はそもそも芝生の生育を良くするための技術であるため、その通気方法をそのまま果樹や野菜に適用した場合、換気管の開口の近くの通気はできるが、畑全体をむら無く通気することができないという問題がある。 【0009】更に、土壌中の通気が不十分であり、果樹等の果実の糖度、着色等の品質を十分に向上させることができないという問題がある。 【0010】この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は植物が規則的配列で植えられた土地にむら無く通気することができるようにするとともに、果樹等の果実の糖度、着色等の品質を向上させ、しかも収穫量を増加させることである。 【0011】 【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するため請求項1の発明の高品質作物生産用構造体は、規則的配列で植え込まれた植物の少なくとも片側に、前記植物の配列方向に沿って掘られた溝と、前記溝に砕石を敷き詰めて形成される通気層と、前記通気層に土を積層して形成される表土層と、前記通気層に埋設される通気性を有する通気管と、前記通気管内に外気を吸入する吸入部と、前記通気管内の空気を大気中へ排出する排出部とを備えていることを特徴とする。 【0012】外気は吸入部から通気管内に吸入され、通気管を通過し、排出部から排出される。通気管内に流入した外気は排出部から排出されるまでに、通気管から通気層、通気層から表土層へと供給され、植物の細根に新鮮な空気が送られる。植物の細根の周りの土壌中に通気し、細根に空気が供給されると、細根が活性化され、細根の成長が促進されて細根の量が増えるとともに、植物に軽度の水分ストレスを与えることになる。 【0013】請求項2の発明の高品質作物生産用構造体は、請求項1の発明の高品質作物生産用構造体において、前記吸入部が前記通気管の一方の開放端であって、その開放端が大気中へ突き出していることを特徴とする。 【0014】通気管の一方の開放端が大気中へ突き出しているので、通気管内への外気の吸入量が多くなる。 【0015】請求項3の発明の高品質作物生産用構造体は、請求項1の発明の高品質作物生産用構造体において、前記吸入部が前記通気管と連通する吸入管であって、その吸入管の開放端が大気中へ突き出していることを特徴とする。 【0016】吸入部としての吸入管の開放端が大気中へ突き出しているので、通気管内への外気の吸入量が多くなる。 【0017】請求項4の発明の高品質作物生産用構造体は、請求項1〜3のいずれか1項の発明の高品質作物生産用構造体において、前記排出部が前記通気管と連通する排出管であって、その排出管が前記表土層から大気中へ突き出し、その排出管の開放端が前記植物の頂点より高い位置にあることを特徴とする。 【0018】通気管内の空気の排出量が増え、土壌中の換気が促進される。 【0019】請求項5の発明の高品質作物生産用構造体は、請求項4の発明の高品質作物生産用構造体において、前記排出管の開放端に、前記通気管内の空気を大気中へ排出するベンチレータが装着されていることを特徴とする。 【0020】通気管内の空気の排出量が大幅に増え、土壌中の換気が促進される。 【0021】請求項6の発明の高品質作物生産用構造体は、請求項1〜5のいずれか1項の発明の高品質作物生産用構造体において、前記通気管が水平面に対して傾斜していることを特徴とする。 【0022】表土層から通気層を通って通気管に入り込んだ水が通気管の一方から排出され、通気管が排水機能を発揮する。 【0023】請求項7の発明の高品質作物生産用構造体は、請求項1〜6のいずれか1項の発明の高品質作物生産用構造体において、前記通気管の内径が約50〜150mmであることを特徴とする。 【0024】通気管の内径が50mm以下になると、通気管内の空気摩擦抵抗が大きくなって通気性が悪くなり、更に通気管の表面積が小さくなり、土壌中の炭酸ガスの排出量、酸素の供給量が少なくなる。これに対し、通気管の内径が150mm以上になると、通気過多になり、土壌中の水分不足を招く。 【0025】請求項8の発明の土壌通気方法は、規則的配列で植え込まれた植物の少なくとも片側に、前記植物の配列方向に沿って溝を掘る第1工程と、前記溝に砕石を敷き詰めて通気層を形成する第2工程と、前記溝の通気層に土を積層して表土層を形成する第3工程と、前記通気層に通気性を有する通気管を埋設する第4工程と、前記通気管内に外気を吸入する吸入部を大気中に突き出す第5工程と、前記通気管内の空気を排出する排出部を大気中に突き出す第6工程とを含むことを特徴とする。 【0026】この方法によって高品質作物生産用構造体が形成される。外気は吸入部から通気管内に吸入され、通気管を通過し、排出部から排出される。通気管内に流入した外気は排出部から排出されるまでに、通気管から通気層、通気層から表土層へと供給され、植物の細根に新鮮な空気が送られる。植物の細根の周りの土壌中に通気し、細根に空気が供給されると、細根が活性化され、細根の成長が促進されて細根の量が増える。 【0027】請求項9の発明の高品質作物生産用構造体は、地面に掘られた溝と、前記溝に砕石を敷き詰めて形成される通気層と、前記通気層の上に土を積層して形成され、植物の根が張る表土層と、前記通気層に埋設される通気性を有する通気管と、前記通気管内に外気を吸入する吸入部と、前記通気管内の空気を大気中へ排出する排出部とを備えていることを特徴とする。 【0028】外気は吸入部から通気管内に吸入され、通気管を通過し、排出部から排出される。通気管内に流入した外気は排出部から排出されるまでに、通気管から通気層、表土層へと供給され、植物の細根に新鮮な空気が送られる。細根に空気が供給されると、細根が活性化され、細根の成長が促進されて細根の量が増えるとともに、植物に軽度の水分ストレスを与えることになる。 【0029】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 【0030】図1はこの発明の一実施形態に係る高品質作物生産用構造体を果樹の配列方向に平行に切断した断面図、図2は図1の高品質作物生産用構造体を果樹の配列方向に直角に切断した断面図、図3は図2の高品質作物生産用構造体の一部の拡大断面図、図4は果樹の配列と溝との関係を示す図である。 【0031】この高品質作物生産用構造体は、溝1と、溝1に砕石2を敷き詰めて形成される通気層3と、通気層3に土4を積層して形成される表土層5と、通気層3に埋設される多孔管(通気性を有する通気管)6と、多孔管6に外気を吸入する開放端(吸入部)7と、多孔管6内の空気を大気中へ排出する排出管(排出部)8とを備えている。 【0032】前記溝1は、図4に示すように、規則的配列で植え込まれた果樹(植物)9の両側に、果樹9の配列方向Aに沿って並行に掘られる。果樹9の場合、植込み位置aから溝1の中央までの長さBは50〜150cmである。図示しない野菜等の場合は、植込み位置aから溝の中央までの長さBは10〜50cmである。溝1の幅bは25cm、深さcは45cmである(図3参照)。溝1の幅bについては、多孔管6の周りに砕石2を配することができるように、20〜30cmにするのが良い。 【0033】前記通気層3を構成する砕石2には、石を所定(粒径1〜40mm)の大きさに砕いたものの他に、例えば砂利、貝殻、炭、プラスチックの粒状物及び発泡成形物又はこれらの混合物等の腐食しないものが含まれる。 【0034】通気層3の深さdは10〜20cmである。通気層3に埋設される多孔管6の上部から通気層3の表面までの深さeは5cmである。この実施形態では通気層3の深さdは10〜20cm、通気層3の幅(溝1の幅)bは25cmであるが、この例のようにそれぞれの寸法は50cm以内であることが望ましい。 【0035】前記多孔管6は多数の小孔を有している。多孔管6としては、合成樹脂コルゲート管がフレキシビリティーをもつので施工に適するが、多孔直管でもよい。多孔管6の材質はポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂である。多孔管6の外周面には、砂等による目づまりを防ぐために、不織布(図示せず)が巻かれている。但し、不織布は必ずしも必要ではない。また、通気管としては多孔管6の他に網状のパイプでもよい。 【0036】多孔管6の内径gを50〜150mmにすることが望ましい。多孔管6の内径gが50mm以下になると、多孔管6内の空気摩擦抵抗が大きくなり通気性が悪くなり、また多孔管6の表面積が小さくなり、土壌中の炭酸ガスの排出量、酸素の供給量が少なくなる。逆に、多孔管6の内径が150mm以上になると、通気過多になり、土壌中の水分不足を招くとともに、材料費も増大する。この実施形態では、多孔管6の外径fは65mm、内径gは60mmである。 【0037】多孔管6の管軸は水平面に対して傾いている。すなわち、この実施形態では、多孔管6に通気機能の他に排水機能を与えるために、多孔管6の一端部6aが他端部6bよりも低い位置にある。 【0038】前記排出管8は、多孔管6の他端6bに接続されている。排出管8としては合成樹脂パイプや金属パイプなどがあるが、合成樹脂パイプが望ましく、とりわけ塩化ビニルパイプが適している。排出管8の開放端8aにはベンチレータ10が装着されている。ベンチレータ10は風力で回転し、多孔管6内の空気を吸引して大気中へ排出する。ベンチレータ10は、果樹9の枝、葉及び果実によってベンチレータ10へ向かう風が遮られないように、果樹9の頂点よりも若干高い位置にある(図1参照)。 【0039】前記表土層5の深さhは20cmである。 【0040】次に、上記高品質作物生産用構造体の施工方法(土壌通気方法)を説明する。 【0041】図5〜図9は図1の高品質作物生産用構造体の施工方法を説明するための図である。 【0042】まず、図4及び図5に示すように、規則的配列で植え込まれた果樹9の両側に、果樹9の配列方向に沿って互いに平行な溝1を掘る(第1工程)。溝1の幅b、深さcは上述の通りである。 【0043】なお、溝1の一端の深さcを他端の深さcよりも大きくし、後で配設する多孔管6の管軸を水平面に対して傾斜させ、多孔管6に排水機能を与えるようにしてもよいし、この溝1の深さcを調整する方法に代え、溝1の深さcを一定にし、後述する砕石2の埋戻しの量(溝底から多孔管6の下部までの砕石層の深さi)を溝1の場所に応じて調整し、多孔管6を傾斜させるようにしてもよい。例えば溝1の一端の深さiを他端の深さiよりも大きくする。なお、この工程で溝1を掘るときには、溝1の堀削とともに、溝1と直角の方向へ溝50(図1参照)を掘る。 【0044】次に、図6に示すように、溝1に砕石2を敷き詰め、溝1の底面から2.0〜5.0cmまで溝1を埋め戻す(第2工程)。 【0045】その後、図7に示すように、多孔管6を溝1のほぼ中央(溝の幅b方向の中央)に敷設する(第4工程)。実際の作業では複数の多孔管6を接続して1本の多孔管6にしてもよいし、長尺管を用いてもよい。 【0046】そして、多孔管6の他端6bに多孔管6内の空気を排出するための排出管8を接続し、排出管8の開放端8aにベンチレータ10を装着する。 【0047】排出管8としては、排出管8を立ち上げたとき果樹9の枝、葉及び果実によってベンチレータ10への風が遮られないように、果樹9の頂点よりも若干高くなる長さの無孔パイプを用いる。 【0048】その後、図8に示すように、更に砕石2を多孔管6の上部から上方2〜5cmの位置まで詰め込む(第2工程)。このようにして多孔管6の周りに通気層3が形成される。また、排出管8は砕石2によって垂直に支持されるが、図示しない添え木を用いて排出管8を確実に支持するようにしてもよい(第6工程)。 【0049】最後に、図9に示すように、通気層3の上に土4を埋め戻して表土層5を形成する(第3工程)。このとき図1に示すように多孔管6の開放端7を溝50へ突き出させ、大気中に露出させる(第5工程)。 【0050】外気は多孔管6の開放端7から吸入され、多孔管6を通過し、排出管8から排出される。多孔管6内に流入した外気は排出管8のベンチレータ10から排出されるまでに、多孔管6の小孔を介して通気層3、通気層3から表土層5へと供給され、果樹9の細根に新鮮な空気が送られる。この実施形態では、排出管8の開放端8aにベンチレータ10が装着され、しかもベンチレータ10は果樹9の頂点よりも高い位置にあるので、果樹9の枝、葉及び果実によって風が遮られず、ベンチレータ10の回転が確保され、確実かつ十分に自然換気が行われる。 【0051】果樹9の細根の周りの土壌中に通気し、細根に空気が供給されると、細根が活性化され、細根の成長が促進されるとともに細根の量が増え、また病害虫に対する抵抗力が大きくなる。 【0052】図12は細根の活性を示す酸素消費量(細根の乾物約1g当りが5時間の間に消費した酸素消費量)を示すグラフである。 【0053】この実施形態の高品質作物生産用構造体又は土壌通気方法を使用して土壌中の換気を行った場合であって、管径100mm の多孔管6を使用した場合C並びに管径65mmの多孔管6を使用した場合Dのそれぞれの酸素消費量は、図12に示すように、土壌中の換気を行わない場合であって、敷わらをした場合A並びに裸地の場合Bのそれぞれの酸素消費量に較べ、大幅に高くなった。 【0054】また、多孔管6の管軸を水平面に対して傾斜させたので、表土層5から通気層3を通って多孔管6に入り込んだ水を、多孔管6の一端6aから排出することができる。 【0055】この実施形態の高品質作物生産用構造体によれば、果樹9の細根の周りの土壌中の換気が促進されるので、細根の成長が進み、かつ細根の量が増え、果実の量が増加するとともに、果樹9に軽度の水分ストレスを与えることになるため、果実の糖度、色合い等の品質が向上する。 【0056】例えば、みかんの糖度は、図13に示すように、土壌中の換気を行わない場合に較べ、飛躍的に高くなった。糖度テスト(屈折計による測定)によれば、敷わらをした場合Aの果実の糖度が10.40Brix%であったのに対し、裸地の場合Bの果実の糖度が10.25Brix%であり、ベンチレータを用いて土壌中の換気を行った場合C,Dの果実の糖度がそれぞれ11.50Brix%であった。ここでBrix%とはサンプル中に含まれる可溶性固形分(糖等)のパーセント濃度を示す。 【0057】また、みかんの酸っぱさを決めるクエン酸の含有量は、図14に示すように、土壌中の換気を行わない場合に較べ、減少した。クエン酸含有量テスト(スポット滴定法)によれば、敷わらをした場合Aの果実のクエン酸含有量が1.0%であり、裸地の場合Bとベンチレータを用いて土壌中の換気を行った場合Cとの果実のクエン酸含有量が0.8%であったのに対し、ベンチレータを用いて土壌中の換気を行った場合Dの果実のクエン酸含有量が0.7%であった。 【0058】更に、みかんの着色の度合を示す数値は、図15に示すように、土壌中の換気を行わない場合に較べ、高くなった。着色検査(熊本県果実農業共同組合連合会の着色基準法)によれば、敷わらをした場合Aや裸地の場合Bの数値が9.0であったのに対し、ベンチレータを用いて土壌中の換気を行った場合Cの果実の数値が9.6であり、ベンチレータを用いて土壌中の換気を行った場合Dの果実の数値が9.8であった。 【0059】図10及び図11はこの発明の他の実施形態に係る高品質作物生産用構造体を示し、果樹の配列方向に平行に切断した断面図である。前述の実施形態と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。 【0060】前述の実施形態では、通気層3の上に土4を埋め戻して表土層5を形成するときに多孔管6の開放端7を大気中に露出させ、その開放端7から外気を吸入するようにしたが、図10の実施形態では、多孔管6の開放端7を通気層3に埋設し、多孔管6の一端6aに吸入管(吸入部)28を接続し、その吸入管28の開放端を大気中に突き出すように立ち上げた。図11の実施形態では、多孔管6の開放端7を通気層3に埋設し、多孔管6の一端6aに吸入管28を接続し、この吸入管28の開放端を大気中に突き出すように立ち上げ、更に、多孔管6の途中に排出管18を接続し、この排出管18の開放端18aにベンチレータ20を装着するようにした。 【0061】図10の実施形態によれば、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。 【0062】図11の実施形態によれば、多孔管6が長い場合に多孔管6内の空気の排出能力が低下するのを防ぐことができる。 【0063】なお、前述の各実施形態では本願発明を果樹9に適用した場合について述べたが、野菜や観賞用植物等の植物にも適用することができる。 【0064】また、前述の各実施形態では、規則的配列で植え込まれた果樹9の両側に、溝1を果樹9の配列方向に沿って掘った場合について述べたが、これ以外にも、例えば規則的配列で植え込まれた果樹9の片側だけに、溝1を果樹9の配列方向に沿って掘ってもよいし、果樹9を囲むように溝を掘ってもよい。 【0065】更に、図16に示すように、溝1を果樹9等の植物のほぼ真下に掘ってもよい。図16はこの発明の他の実施形態に係る高品質作物生産用構造体を示す断面図である。前述の各実施形態と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。 【0066】この実施形態では、通気管6が果樹9のほぼ真下に位置する。通気管6内に流入した外気は通気管6から通気層3、表土層5へと供給され、植物の細根に新鮮な空気が送られる。果樹9の根は通気管6の周りに繁殖する。 【0067】この実施形態によれば、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。 【0068】なお、前述の各実施形態では、風力を駆動源として作動するベンチレータを使用した場合について述べたが、変形例として、モータなどを駆動源として作動するベンチレータを使用するようにしてもよい。この変形例は本願発明をハウス内で実施する場合に有効である。 【0069】 【発明の効果】以上説明したように請求項1又は9の発明の高品質作物生産用構造体によれば、植物の果実の糖度、着色等の品質若しくは植物自体の品質が向上するとともに、病害虫に対する抵抗力も増し、高品質作物の収穫量が増加する。 【0070】請求項2の発明の高品質作物生産用構造体によれば、通気管の一端の開放端が大気中へ突き出しているので、通気管内への外気の吸入量が多くなり、細根により多くの空気を供給することができる。 【0071】請求項3の発明の高品質作物生産用構造体によれば、通気管内への外気の吸入量が多くなり、細根により多くの空気を供給することができる。 【0072】請求項4の発明の高品質作物生産用構造体によれば、通気管内の空気の排出量が増え、土壌中の換気がより促進される。 【0073】請求項5の発明の高品質作物生産用構造体によれば、通気管内の空気の排出量が大幅に増え、土壌中の換気がより一層促進され、植物の果実等の糖度、着色等の品質が一段と向上する。 【0074】請求項6の発明の高品質作物生産用構造体によれば、通気管が水平面に対して傾斜しているので、表土層から通気層を通って通気管に入り込んだ水を、通気管の一端側から排出することができ、通気管が排水機能を発揮する。 【0075】請求項7の発明の高品質作物生産用構造体によれば、土壌中の炭酸ガスの排出量、酸素の供給量が少なくなるのを防ぐことができるとともに、通気過多になり、土壌中の水分不足を防ぐことができるので、適度な換気を実現することができ、植物の果実の品質を確実に向上させることができる。 【0076】請求項8の発明の土壌通気方法によれば、土壌中の通気により細根が活性化され、細根の成長が促進されて細根の量が増えるとともに、植物に軽度の水分ストレスを与えることになるため、植物の果実の糖度、着色等の品質若しくは植物自体の品質が向上するとともに、病害虫に対する抵抗力も増し、高品質作物の収穫量か増加する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】591202155 【氏名又は名称】熊本県 【識別番号】000222532 【氏名又は名称】東洋化学株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年2月14日(2000.2.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091557 【弁理士】 【氏名又は名称】木内 修
|
| 【公開番号】 |
特開2001−224249(P2001−224249A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月21日(2001.8.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−34416(P2000−34416) |
|