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【発明の名称】 緑化用の植生マット
【発明者】 【氏名】坂手 三千兵

【要約】 【課題】土壌表面への密着性が非常に良くて、表層土、植物種子、肥料などの移動を確実に防止することができ、しかも、保水機能が高くて、植物種子の乾燥を防止することができ、その結果、発芽むら、生育むらが発生しにくく、侵入植生も定着しやすい緑化用の植生マットを提供すること。

【解決手段】線状又は帯状に形成された複数の粗大繊維2をそれぞれ螺旋状にカールさせた状態で、これら粗大繊維2同士を絡ませてマット状に集積してある粗大繊維層3を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 線状又は帯状に形成された複数の粗大繊維をそれぞれ螺旋状にカールさせた状態で、これら粗大繊維同士を絡ませてマット状に集積してある粗大繊維層を有することを特徴とする緑化用の植生マット。
【請求項2】 開繊ローラによって線状又は帯状に開繊された複数の粗大繊維同士を絡ませてマット状に集積してある粗大繊維層を有することを特徴とする緑化用の植生マット。
【請求項3】 前記粗大繊維層に植物種子、肥料、土壌改良材および保水材の少なくとも一種類を担持させてある請求項1または請求項2に記載の緑化用の植生マット。
【請求項4】 前記粗大繊維層の少なくとも片面に補強用の粗目のネットが装着されている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の緑化用の植生マット。
【請求項5】 前記粗大繊維層の片面にシート状の薄綿が装着され、この薄綿の外面にネットが装着されてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の緑化用の植生マット。
【請求項6】 前記粗大繊維が、木毛繊維、ヤシ繊維、木質建設廃材や樹木の剪定枝の粉砕物、ワラやヨシに代表される草本類などの腐食性繊維、線状又は帯状の生分解性プラスチック繊維、あるいはプラスチック、金属などの耐腐食性繊維のいずれかである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の緑化用の植生マット。
【請求項7】 前記粗大繊維が、木材チップを開繊ローラで圧削、圧延してなる木毛繊維である請求項6に記載の緑化用の植生マット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば道路や山腹の法面、河川敷、川岸や湖岸などの緑化に用いられる緑化用の植生マットに関する。
【0002】
【従来の技術】植物種子の発芽や幼芽の生育の妨げにならないような目の粗いネットを使用した緑化用の植生マットとしては、(1)ネットの片面にシート状の薄綿を積層し、薄綿表面に植物種子や肥料を水溶性接着剤で接着して保持させたものや、(2)ネットの片面に、天然の例えば木毛繊維などの粗大繊維を水溶性接着剤で接着してマット状に集積した粗大繊維層を積層し、粗大繊維層に植物種子や肥料を水溶性接着剤で接着して保持させたもの、あるいは、(3)前記粗大繊維同士を水溶性接着剤で接着してなる粗大繊維層を有し、この粗大繊維層に植物種子や肥料を水溶性接着剤で接着して保持させたものが知られている。
【0003】前記(1),(2),(3)の植生マットは、植物種子の保持面を下にして、法面などに敷設され、ネットを貫通する止め串で固定される。そして、降雨により、前記(1)の植生マットでは、シート状の薄綿がネットから剥がれ落ち、前記(2)の植生マットでは、粗大繊維層がネットから剥がれ落ちて、植物種子が土壌表面に落下し、植物種子が粗大繊維層で被覆されることにより、直射日光から保護され、表面のネットで粗大繊維層を抑えた状態で、植物種子の発芽、生育が行われることになる。また、前記(3)の植生マットでも、粗大繊維層で植物種子を被覆することで降雨などによって植物種子が流され難くなり、かつ、粗大繊維そのものと粗大繊維層内の空気とが保温性を保つことから良好な発芽を期することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際には、前記(1)の植生マットにおいては、降雨により薄綿がネットから剥がれ落ちた時、薄綿の繊維どうしが絡み合っているため、薄綿が土壌表面の凹部に密着せず、宙に浮いた状態となるため、植物種子や肥料が雨水で流されるなどして移動し、発芽むら、生育むらが生ずることがあった。
【0005】また、前記(2),(3)の植生マットにおいては、前記粗大繊維の一本の長さが実際には100〜400mmと非常に長く、たとえ折れたとしても依然長いものであり、しかもこの長い前記粗大繊維自体は線状又は帯状に形成されてはいるが、どちらかと言えば直線的な形状を有する。そのため、前記(2)の植生マットのように、降雨によりネットから剥がれ落ちた粗大繊維層がばらけた後や、前記(3)の植生マットのように、降雨により粗大繊維層がばらけた後は前記粗大繊維が土壌表面の凹部に入り込むことがない。つまり、粗大繊維層がばらけた後は前記粗大繊維が前記凹部に密着せずに宙に浮いた状態となる。しかも直線的な形状のため、粗大繊維同士が絡み難く土壌表面全体を均一に覆うことはできない。よって、植物種子、肥料、表層土などの移動を抑えるのが難しい。また、前記粗大繊維層の保水性が不十分なために植物種子が乾燥して、発芽むら、生育むらが生じるという問題点があった。
【0006】更に、前記(2),(3)の植生マットにおいては、降雨により前記粗大繊維層がばらけると、粗大繊維間に多くの隙間を有するものの、長く直線的な形状を有する粗大繊維に、発芽した植物種子の幼芽がひっかかるような事態も発生する。この場合、粗大繊維にひっかかった幼芽が重い前記粗大繊維を持ち上げる形になって幼芽が上昇伸長するのを阻害されるおそれがあった。
【0007】この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、土壌表面への密着性が非常に良くて、表層土、植物種子、肥料などの移動を確実に防止することができ、しかも、保水機能が高くて、植物種子の乾燥を防止することができ、その結果、発芽むら、生育むらが発生しにくく、侵入植生も定着しやすい緑化用の植生マットを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明の緑化用の植生マットは、線状又は帯状に形成された複数の粗大繊維をそれぞれ螺旋状にカールさせた状態で、これら粗大繊維同士を絡ませてマット状に集積してある粗大繊維層を有する。
【0009】また、この発明は別の観点から、開繊ローラによって線状又は帯状に開繊された複数の粗大繊維同士を絡ませてマット状に集積してある粗大繊維層を有することを特徴とする緑化用の植生マットを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0011】図1は、線状又は帯状に形成された複数の粗大繊維をそれぞれ螺旋状にカールさせ、これら粗大繊維同士を絡ませてマット状に集積した粗大繊維層を有するこの発明の第1の実施形態を示している。
【0012】図1において、1は緑化用の植生マット(以下、単に植生マットという)で、粗大繊維2をマット状に集積してある粗大繊維層3を有する。
【0013】前記粗大繊維2の素材としては、木毛繊維、ヤシ繊維、木質建設廃材や樹木の剪定枝の粉砕物、ワラやヨシに代表される草本類などの腐食性繊維、線状又は帯状の生分解性プラスチック繊維、あるいはプラスチック、金属などの耐腐食性繊維の単体または組合せたものを選択して使用することができる。
【0014】そして、この発明では、前記粗大繊維2として螺旋状にカールさせたものを使用している。この螺旋形態は、例えば長さ50mm当たり、1〜10回転のカールを有する。そして、螺旋状にカールした状態での前記粗大繊維2の全長Aとしは、20〜400mmが好ましい。上限を400mmに設定したのは、これ以上長い繊維を使用すると繊維が長すぎて絡まり過ぎ、一定の厚みに形成し難くなるからである。また、下限を20mmに設定したのは、繊維が短すぎて繊維同士の絡まりが悪く植生マットがばらばらになり易いからである。この実施形態では、前記全長Aが50〜200mmである。また、粗大繊維2として、幅1.0〜5.0mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された100g/m2 程度の木毛繊維を使用している。この木毛繊維は、巨大な鉛筆削り状の刃物を用いて切削形成されたり、木材チップを、例えば、回転の異なる上下のローラを通すなどの開繊ローラで圧削、圧延して形成される。
【0015】つまり、各粗大繊維2は一種のコイルを構成しており、螺旋端部である開放端部2a,2aと、この開放端部2a,2a間に挟まれた螺旋部2bとよりなる渦巻き型の平面曲線を有する。
【0016】そして、前記粗大繊維層3は、この実施形態では、前記粗大繊維2同士をパウダー状や繊維状あるいは液状の水溶性接着剤で接着し、圧着ローラで加圧したり、単に粗大繊維2の集積物を加圧して、任意の厚さ(例えば2〜30mm程度)のマット状に集積したものである。この場合、粗大繊維2同士の絡みは多種多様である。例えば、それぞれ開放端部2a同士を介して絡んだり、開放端部2aと螺旋部2bを介して絡んだり、螺旋部2b同士を介して絡んだりしている。
【0017】そのため、植物種子が播かれた法面の土壌表面に植生マット1を敷設した状態では、従来の前記(3)の植生マットの粗大繊維層に比して、前記粗大繊維層3の方が土壌表面によく馴染む。
【0018】更に、植生マット1の敷設後の降雨あるいは散水により、水溶性接着剤が溶けて、粗大繊維2同士の接着が解除されて粗大繊維層3がばらけるが、螺旋状にカールさせた粗大繊維2は相互に移動可能なように絡みながら、土壌表面の凹部も含めて粗大繊維層3が土壌表面に食い込んだ状態に密着する。
【0019】したがって、植物種子、肥料や表層土などが降雨あるいは散水により移動しようとしても、これらが粗大繊維2に絡み付き、植物種子、肥料、土壌改良材のみならず表層土の移動を阻止できる。すなわち、植物種子、肥料、土壌改良材、表層土の流亡を抑制できる。
【0020】また、前記粗大繊維層2による保水機能を発揮でき、植物種子の乾燥が防止されることになる。
【0021】更に、粗大繊維2は、これが相互に移動可能なように絡み合っているので、土壌表面の凹部に位置する植物種子であっても、その幼芽の伸長に伴って容易に移動できる。よって、幼芽は粗大繊維2による生育の妨げを受けないので、この粗大繊維2を押し広げて容易に上昇伸長するようになり、法面はこの植物種子の生育によって均一に植生被覆される。
【0022】このように、発芽むら、生育むらの発生が確実に抑制される。
【0023】また、粗大繊維層3の存在により、植生マット1の空隙が多くなり、外部から飛来する植物種子や侵入植生も定着しやすい。そして、粗大繊維2が木毛繊維よりなるので、やがては腐食・分解により土壌と同化し、肥料として利用されることになる。
【0024】なお、前記水溶性接着剤として、乾燥状態では接着機能が発現しないポリビニルアルコール(PVA)の繊維状接着剤を、例えば、太さ1.0〜20デニール、長さ2〜30mm等に切断したものを選択し、一時的な湿潤雰囲気を通過させることにより接着機能を発現させて使用している。なお、マット状の集積方法としては、上記の他に、単に圧着ローラを通過させることで、粗大繊維2同士を絡ませてマット状に形成する手法もある。
【0025】なお、この実施形態のように水溶性接着剤を用いた場合は、降雨によって水溶性接着剤が溶けて、粗大繊維2同士の結合が解かれることで、粗大繊維2がルーズな状態になることから、植物種子の発芽・生育面で一層好適であるが、例えばエチレン酢ビエマルジョンやアクリル酢ビエマルジョンなどを前記水溶性接着剤に混合し、これらの接着剤と粗大繊維2とを混合して植生マット1を成形してもよく、この場合、接着剤表面に水に溶けない膜が形成されることから、粗大繊維2の結合が長期間にわたって解かれなくなる。
【0026】図2は、この発明の第2の実施形態を示す。なお、図2において、図1に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0027】この実施形態においては、粗大繊維層3に植生基材10を水溶性接着剤で接着して保持させている。前記植生基材10としては、植物種子11のみであってもよいが、この例では、植物種子10と、肥料12、保水材13、土壌改良材14の少なくとも一つとを混合したものを使用している。
【0028】この場合、粗大繊維層3に植生基材10を保持させてあるので、法面などの施工対象の土壌表面に播種する手間を省くことができ、しかも飛来する植物種子や侵入植生に依存せずに緑化を行うことができる。
【0029】図3〜図5は、粗大繊維層3の片面に補強用の粗目のネット8が装着されているこの発明の第3の実施形態を示す。なお、図3〜図5において、図1、図2に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0030】前記ネット8と粗大繊維層3は前記水溶性接着剤で接着することによって一体化して構成されている。前記ネット8は、ポリエチレン、生分解性プラスチック、天然繊維などの単体又はそれらの組合せを素材とするものであり、ラッセル織り、絡み織り、平織り、熱融着などの手段により製造され、植物種子の発芽や幼芽の生育の妨げにならないような粗い網目、例えば、1.5〜5.0cm程度の網目に設定される。上記の組み合わせ方法は、経糸又は(及び)緯糸を、単体繊維のどれかを限定し、これを1本又は数本おきに編織して、これを繰り返すものなどがある。例えば、生分解性プラスチック糸を縦横1本おきに、他の糸を天然繊維のジュート糸にするなどである。
【0031】具体的には、この例では、図3に示すように、前記ネット8を、ポリエチレンのフラットヤーン300〜1000デニールを目合い15.7mm×20mmのラッセル織りして成るベースネット8aと、ポリエチレンのモノフィラメント500〜1300デニールを目合い50mm×50mmに編み込んだ補強ネット8bとの2層構造としてある。その他、ネット8の他の実施例として、ネットを構成する経糸、緯糸の少なくとも一方を、天然繊維、例えばジュート繊維と生分解性プラスチック糸とを引き揃えて、(ラッセル織りの場合は経糸又は緯糸の鎖に単に挿入して)ネットの構成糸として縦横3〜25mmの目合いのネットを編織する場合があり、こうすると、天然繊維が短期間に腐食した後にも生分解性の糸がしばらくは(約2年程度)補強材として機能する。生分解性糸の引き揃え又は挿入はネットを構成する糸の1本又は数本おきに入れる場合がある。
【0032】上記構成よりなる植生マット1は、図4(A)に示すように、例えば施工対象面としての法面の土壌表面25に植物種子26を播き、必要により肥料や土壌改良材を散布した後、これらを覆うように粗大繊維層3を下にして敷設され、ネット8を貫通する止め串7で固定される。
【0033】そして、植生マット1の施工後の降雨あるいは散水により、粗大繊維層3が水を含んで重くなるとともに、水溶性接着剤が溶けて、ネット8と粗大繊維層3との接着が解除されるので、図2(B)に示すように、粗大繊維層3が土壌表面に食い込んだ状態に密着する。
【0034】したがって、表層土、植物種子26、肥料などの移動が防止されるとともに、粗大繊維層3による保水機能が発揮されるので、植物種子26の乾燥が防止されることになり、しかも、図5(A)〜(D)に示すように、植物種子26が粗大繊維2に付着し堆積した表層土30と混じり合って、ほどよく覆土され、これらの結果、発芽むら、生育むらの発生が確実に抑制される。また、粗大繊維層3の存在により、植生マット1の空隙が多くなり、外部から飛来する植物種子や侵入植生も定着しやすい。そして、粗大繊維2の素材が木毛繊維などの腐食性繊維や生分解性プラスチックよりなるので、やがては腐食・分解により土壌と同化し、肥料として利用されることになる。また、ネット8が腐食性素材よりなる場合は、これも同様に肥料として利用される。なお、粗大繊維の素材として、プラスチック、金属などの耐腐食性素材を使用すると、緑化用の植生マットの法面被覆効果を急傾斜の切り土法面等長期間必要とする場合に有利である。
【0035】したがって、表層土や植生基材10の移動が防止されるとともに、粗大繊維層4による保水機能が発揮され、植物種子6の乾燥が防止されることになり、これらの結果、発芽むら、生育むらの発生が確実に抑制され、法面5などの緑化保護が良好に行われるのである。また、粗大繊維層4の存在により、植生マット1の空隙が多くなり、外部から飛来する植物種子や侵入植生も定着しやすい。そして、ネット2が腐食性素材よりなるとともに、粗大繊維3が木毛繊維などの腐食性繊維や生分解性プラスチックよりなるので、やがては腐食・分解により土壌と同化し、肥料として利用されることになる。
【0036】また、この第3の実施形態の変形例として以下のものを挙げることができる。すなわち、この例においては、ネット8の上に粗大繊維層3を載置した状態で、木綿、麻あるいは生分解性プラスチックなどの腐食性素材よりなる縫製糸を用いて縫い目を粗くして縫製することにより、両者8,3を一体化している。このように構成した植生マット1の作用効果は、第3の実施形態の植生マット1と同様であるので、その説明を省略する。なお、縫製により植生マット1を形成する場合、金網と粗大繊維2とを積層して一体的に縫製してもよい。また、前記縫製糸は、強度、経済性、取り扱い易さなどを考慮した場合、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック素材を使用することもある。
【0037】図6は、粗大繊維層3の片面にシート状の薄綿30が装着され、この薄綿30の外面にネット8が装着されてなるこの発明の第4の実施形態を示す。なお、図6において、図1〜図5に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0038】この場合、目の粗いネット8の片面にシート状の薄綿30を積層し、薄綿30の上に、螺旋状にカールさせた粗大繊維2を前記水溶性接着剤で接着してマット状に集積した粗大繊維層3を積層することによって構成されている。
【0039】シート状の薄綿30は、例えば、ポリエステル等の化学繊維の薄綿、スフやレーヨンなどの薄綿(25〜30g/m2 )をシート状に成形したものであり、水分により早期に分散するように構成されている。
【0040】シート状の薄綿30とネット8は、ネット8がヤシ繊維やシュロ毛で製造された表面の毛羽立ったネット2である場合、ネット8の片面にシート状の薄綿30を重ね合わせ、ローラ等で加圧して、薄綿30の繊維をネット8に絡み付かせることによって一体化することができるが、この例では、ネット8が上述したとおりポリエチレン製であるため、ネット8にポリビニルアルコール(PVA)などの液状の水溶性接着剤を噴霧して、薄綿30を貼り合わせることにより、両者8,30を一体化してある。
【0041】そして、植生マット1施工後の降雨あるいは散水により、薄綿30や粗大繊維層4が水を含んで重くなると共に、水溶性接着剤が溶けて、接合が解かれるので、薄綿30がネット8から剥がれ落ち、薄綿30下の粗大繊維層3が土壌表面に食い込んだ状態に密着すると共に、粗大繊維層3が保水性の高い薄綿30で覆われて、粗大繊維層3の移動と乾燥が防止される。
【0042】従って、表層土、植物種子、肥料等の移動が防止され、且つ、粗大繊維層3が保水性の高い薄綿30で覆われることにより、薄綿30と粗大繊維層3とによる二重の保水機能が発揮されるので、粗大繊維層3の乾燥に起因する植物種子の乾燥が防止されることになり、これらの結果、発芽むら、生育むらの発生が確実に抑制される。
【0043】図7は、例えば、回転の異なる上下のローラを通すなどの開繊ローラによって木材片等を圧削、圧延するようにして線状又は帯状に開繊されたさまざまな形の複数の粗大繊維2a同士を絡ませてマット状に集積してある粗大繊維層3aを有するこの発明の第5の実施形態を示す。なお、図7において、図1〜図6に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0044】粗大繊維2aの素材としては、木毛繊維、ヤシ繊維、木質建設廃材や樹木の剪定枝の粉砕物、ワラやヨシに代表される草本類などの腐食性繊維、線状又は帯状の生分解性プラスチック繊維、あるいはプラスチック、金属などの耐腐食性繊維の単体または組合せたものを選択して使用することができる。
【0045】粗大繊維層3aは、粗大繊維2a同士を、パウダー状や繊維状あるいは液状の水溶性接着剤で接着し、圧着ローラで加圧して、任意の厚さ(例えば2〜30mm程度)のマット状に集積したものである。
【0046】具体的には、この例では、粗大繊維2aとして、幅1.0mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された100g/m2 程度の木毛繊維を使用しており、水溶性接着剤として、乾燥状態では接着機能が発現しないポリビニルアルコール(PVA)の粉体(100メッシュ)を、一時的な湿潤雰囲気を通過させることにより接着機能を発現させて使用している。この木毛繊維は、木材チップを開繊ローラで圧削、圧延してなるもので、これにより線状又は帯状に形成されており、直線的な形状を有する。しかし、この粗大繊維2aの特徴は、従来の100〜400mmと非常に長い粗大繊維に比して、長さが短い点である。
【0047】この植生マット1は、法面などの土壌表面に植物種子を播種し、必要であれば肥料や土壌改良材を散布した後、これらを覆うように敷設され、粗大繊維層3aを貫通する止め串で固定される。
【0048】ところで、前記粗大繊維2aは、従来の100〜400mmと非常に長い粗大繊維に比して、短い長さ(10〜100mm)を有するので、降雨により粗大繊維層3aがばらけた後は粗大繊維2aが土壌表面の凹部に入り込むことができる。つまり、粗大繊維層3aがばらけた後は前記粗大繊維2aが前記凹部に密着する。したがって、表層土、植物種子、肥料等の移動を確実に防止できる。なお、粗大繊維2aの下限を10mmに設定したのは、粗大繊維が短すぎると、繊維同士の絡み合いが不十分で、マット状になり難いからである。なお、この場合においても、ネット類を重合したり、薄綿を併用したりすることも前述の通りであり、また、縫製により粗大繊維層を形成することも前記と同様にすることができる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、線状又は帯状に形成された複数の粗大繊維をそれぞれ螺旋状にカールさせた状態で、これら粗大繊維同士を絡ませてマット状に集積してある粗大繊維層を有するので、土壌表面への密着性が非常に良くて、表層土、植物種子、肥料等の移動を確実に防止でき、しかも、保水機能が高くて、植物種子の乾燥を防止でき、これらの結果、発芽むら、生育むらが発生しにくく、侵入植生も定着しやすい緑化用の植生マットを得ることができ、所望の施工を行うことができる。
【0050】また、この発明は、開繊ローラによって線状又は帯状に開繊された複数の粗大繊維同士を絡ませてマット状に集積してある粗大繊維層を有するので、発芽むら、生育むらが発生しにくく、侵入植生も定着しやすい緑化用の植生マットを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000231431
【氏名又は名称】日本植生株式会社
【出願日】 平成12年2月16日(2000.2.16)
【代理人】 【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
【公開番号】 特開2001−224246(P2001−224246A)
【公開日】 平成13年8月21日(2001.8.21)
【出願番号】 特願2000−38741(P2000−38741)