トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 野芝の植生工
【発明者】 【氏名】渡辺 哲英

【氏名】清野 勉

【氏名】溝 畑 靖 雄

【要約】 【課題】野芝の繁殖を確実に行う植生工を提供する。

【解決手段】発芽直前の種子1を、野芝育成に必要な床材2と共に散布し、散布後は経年変化で土壌化する部材で形成したマット4で被覆する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 野芝の種子を水に浸けて所定温度を維持して発芽寸前の状態とし、前記種子と発芽床部材とを混合し、水分調整を行って芝張り箇所に散布し、散布後の散布面が乾かないうちに、天然繊維で形成されたマットで、散布面を被覆してなることを特徴とする野芝の植生工。
【請求項2】 種子包装袋内に、適宜量の種子を肥料並びに水分調整を行った散布用養生材に混合して収納し、所定期間温度管理下で保管し、発芽直前に散布用土壌と共に、芝張り箇所に散布し、散布後の散布面が乾かないうちに、天然繊維で形成されたマットで散布面を被覆してなることを特徴とする野芝の植生工。
【請求項3】 マットを、保水剤を保持させた木質不織布で形成され、且つ表面に粘着性を有せしめたベース部上に、肥料粒を散在付着させ、適宜厚さの椰子繊維層を被せ、椰子繊維層上を水溶性フィルムで被覆し、さらに水溶性フィルムの上面を、天然繊維で形成した格子網で被覆して形成したものとしてなる請求項1又は2記載の野芝の植生工。
【請求項4】 請求項3記載のマットにおけるベース部上及び椰子繊維層の双方又は何れかに、適宜な保水機能を備えた土壌改良材を散在させてなる請求項3記載の野芝の植生工。
【請求項5】 発芽床部材を、ピートモスと椰子繊維、アタパルジャイトを混合して、水分量を適宜調整してなる請求項1記載の野芝の植生工。
【請求項6】 散布用養生材の主材として、コイアピートにピートモスを混合したものを使用してなる請求項2記載の野芝の植生工。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、公園の芝生、ゴルフ場の芝生、更には河川堤防の法面保護のための芝生を植生するための芝張り工事に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芝は、他の植物同様に直接種子を撒いて育てることができるものであるが、特に野芝の場合には、芝の発芽条件を満たすための環境条件(気象条件)が整っていることや、発芽前の雑草管理等が必要であり、単に種子を撒いたのみでは所望の芝生を得ることはできない。
【0003】そこで一般的には、芝生の育成業者が栽培した芝を所定の大きさに切り取りして、芝生植生箇所に敷き詰める所謂張り芝が多用されている。勿論切り取りした芝(ターフ)の後は、当然適当深さの根が残っているので、切り取り箇所にも当然芝生が繁ってくるので、切り取り箇所をかえることでターフの需要を満たすことができる。
【0004】しかし前記の張り芝による芝生植生工は、芝のはぎ取り作業、運搬、植え付け箇所の整備、植え付け作業と各作業を必要とし、必ずしも効率的な植生工とはいえない。そこで近年芝生植生工の省力化手段として野芝吹き付け工が提案されている。これは、発芽促進処理済の野芝種子と、肥料(高度化成肥料)、養生材(ファイバー)、安定剤(アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂)、土壌改良剤(苦土石灰:土壌PH値の改善)等を混合し、平坦面や法面に吹き付けて芝の植生を行うものである。
【0005】野芝自体の発芽条件は、積算温度が300〜400℃といわれる程度、高温状態が相当期間続いた後に発芽するものである。このため北日本のような気温の低い場所では、その発芽率が悪い。特に発芽促進処理済の種子を使用した吹き付け工を実施したとしても、その一部が発芽せずにまばらな植生となってしまうことがあり、芝が発芽しない箇所には後日張り芝を行う後作業が必要である。更に低温が予想されると、発芽し難いので、フィルムで覆い、保温確保の手段を要し、また発芽まで時間を要すると雑草の方が早く繁殖してしまう。
【0006】そこで本願発明者の1人は、先に、種子を肥料並びに水分調整を行った散布用土壌に混合して包装袋内に収納し、発芽直前に散布用土壌と共に、芝張り箇所に散布してなる手法を提案した(特開平11−56017号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】然し前記のとおり発芽直前に散布したとしても、散布後の気温の変化によって、発芽後の育成が不十分であり、結果的に芝の繁殖がなされない場合もある。更に風などの影響で散布した野芝の種子などが飛散してしまう場合もある。そして通常の種まき後の保温目的に使用される樹脂フィルムでの被覆では、野芝の生育に邪魔になると共に、後日フィルムを外さなければならない煩雑さがある。そこで本発明は、野芝の確実な育成を実現する植生工を提案したものである。
【0008】
【課題を解決する手段】本発明に係る野芝の植生工は、野芝の種子を水に浸けて所定温度を維持して発芽寸前の状態とし、前記種子と発芽床部材とを混合し、水分調整を行って芝張り箇所に散布したり、又は種子包装袋内に、適宜量の種子を肥料並びに水分調整を行った散布用養生材に混合して収納し、所定期間温度管理下で保管し、発芽直前に散布用土壌と共に、芝張り箇所に散布し、散布後の散布面が乾かないうちに、天然繊維で形成されたマットで、散布面を被覆してなることを特徴とするものである。
【0009】従って発芽直前の野芝の種子をその発芽床となる部材と共に散布することで、発芽が確実になされる確率が非常に高くなり、而も散布後に天然繊維のマットで被覆することによって、天候異変に対して種子及び発芽床を保護するものであるから、野芝は確実に発芽し育成できるものである。更に天然繊維であるので放置しておくと自然に土壌化するものである。
【0010】更に本発明は、特に前記マットが、保水剤を保持させた木質不織布で形成され、且つ表面に粘着性を有せしめたベース部上に、肥料粒を散在付着させ、適宜厚さの椰子繊維層を被せ、椰子繊維層上を水溶性フィルムで被覆し、さらに水溶性フィルムの上面を、天然繊維で形成した格子網で被覆して形成されたことを特徴とするものである。
【0011】従って発芽直前の種子等を散布後に、散布面をマットで覆って適宜な杭体を以て固定すると、散布面はベース部と一緒に地山に密着して保護され、ベース部に付着させた肥料粒は、表面の水溶性フィルムでその飛散並びに散在が防止され、雨水によって水溶性フィルムが溶解し、また椰子繊維で雨水の衝撃を吸収し、さらに雨水はベース部に吸収され、植物成長用に保持されることになる。そしてすべての材料は経年変化によって自然に野芝の地盤となるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について説明する。第一実施形態は、野芝の種子1を水に浸けて所定温度を維持して発芽寸前の状態とし、前記種子1と発芽床部材(ピートモスと椰子繊維とアタパルジャイトの混合物)2と水3を加えて、水分10〜80%(70〜80%が最適)に調整して、前記の混合物Aを散布地面Bに機械散布する。
【0013】次に散布面上に、散布材(種子1と発芽床部材2)が乾かないうちに、マット4を敷きつめ、杭体5でマット4を固定する。マット4の構成はベース部41と、肥料粒42と、椰子繊維層43と、水溶性フィルム44と、格子網45とで形成されるものである。
【0014】ベース部41は、保水剤を保持させ適宜な強度を具備せしめた和紙やその他木質系の繊維を使用した薄紙状で、充分な強度を有するように形成したものであり、その表面に粘着剤を塗布するなどして粘着性を有せしめたものである。このベース部41の上に、肥料粒42を散在付着させ、椰子繊維を絡ませて適宜厚さのマット状に形成した椰子繊維層43を肥料粒散在面上に被せる。水溶性フィルム44は、オブラートのようなデンプン膜や、ポリビニールアルコール膜のように速やかに水に溶ける材質で形成したもので、前記椰子繊維層43を被覆する。格子網45は、麻紐や、堅牢に撚った紙紐等の天然物で形成したもので、前記の水溶性フィルム44の上に、マット全体を覆うようにしたものである。
【0015】また前記マット4を地面Bに止着する手段として杭体5を使用するが、この杭体5は、経年変化によって自然に土壌に帰る土中微生物で分解される材質で形成されると共に、肥効成分を含有させたものである。
【0016】従って野芝の種子1は発芽直前状態で散布されると共に、発芽床部材2によって更に発芽条件が満たされ、而もマット4で被覆されているので、気温低下等の環境の変化に対しても発芽条件並びに育成条件が整えられる。更に発芽後は、マット4内の肥料粒42が雨水によって溶け出すと、その肥効成分は、発芽床部材2のピートモスやアタパルジャイトが担持し、野芝育成に効果がある。
【0017】また本発明は、図2に例示するとおり、散布を行う部材を変えた第二実施形態でも実現できる。第二実施形態は、包装用袋6に、野芝の種子1と、養生材7と、肥料8とを重量比で約1:10:5程度の割合で混ぜ、更に適当量の水3を混合したものを収納するもので、包装用袋6は、機械散布用であれば10〜30kg容量とし、手撒き散布であれば適当容量のポリエチレンフィルム製とし、種子1はそのままでも又は発芽処理済みのものでもよいが、発芽処理を行っていない場合には、発芽率が低いので、前記の混合比率より多く混入する。
【0018】養生材7は、椰子の実の外皮から得られる繊維粉であるコイアピートに、ピートモスを混入したものである。コイアピートは、ミズゴケ属ピートと同様の保水性、透水性、耐久性(分解保持力)を備え、ピートモスは、コイアピートの肥効成分保持機能を補完すると共に、後述する機械吹き付け工における潤滑材として作用するものである。肥料8は、発芽後の芝の成育に必要な緩効性の肥料成分を備えた化成肥料で、前記養生材7に添加する。また水3は、発芽床として充分な水分を確保できるように加える。
【0019】前記の混合物を包装用袋6に入れ密封状態でも、多少の空気が流通する状態でも良く、そのまま温度管理を行って適宜期間保管するものである。発芽は、ある程度の積算温度に達すると発芽するので、前記の種子混合養生材の包装用袋6を、温室、室内等のある程度の気温下で適宜期間保管すると、種子1は発芽直前状態となる。即ち種子の殻に割れを見いだすことができるものである。そこで袋6内の種子混合養生材を、予め除草並びに清掃、散水を施した芝生植生箇所(散布地面)Bに散布するものであり、散布手段は前記の種子混合養生材を直接散布してもよく、また水分調整を行い機械散布可能な状態として通常の吹き付け工によって散布しても良い。
【0020】散布が終了すると、前記第一実施形態と同様にマット4で被覆するものである。このマット4は前記第一実施例のものと同様であるが、肥料粒42の内容並びに量については、発芽床である養生材7に化成肥料を添加していることを考慮して定める。
【0021】従って、種子1は発芽直前であるから、散布後すぐに発芽すると共に、マット4による保護によって各自な育成が実現するものである。
【0022】尚本発明は、基本的には発芽直前の種子を、野芝育成に必要な床材と共に散布し、散布後は経年変化で土壌化する部材で形成したマットで被覆するもので、床材の内容とマットの内容は、適宜選択組み合わせが可能であり、前記実施形態の発芽床部材や養生材並びにマットに限定されるものではない。
【0023】
【発明の効果】以上の通り本発明は、発芽直前の野芝の種子と発芽床部材とを混合したり、所定の養生材と共に袋内に収納して発芽直前状態とし、芝張り箇所に前記混合物或いは袋内物を散布し、散布後の散布面が乾かないうちに、天然繊維で形成されたマットで、散布面を被覆してなる野芝の植生工で、発芽を確実とし、且つ発芽後の保護も行い確実な野芝の育成が実現したものであり、散布した部材並びにマットは経年変化で自然に土壌化するもので、植生工後に放置しておいても、野芝が確実に繁殖するものでせある。
【出願人】 【識別番号】595051773
【氏名又は名称】セントラルグリーン株式会社
【識別番号】598073431
【氏名又は名称】株式会社エコロジー
【識別番号】592145268
【氏名又は名称】ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社
【出願日】 平成12年1月27日(2000.1.27)
【代理人】 【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
【公開番号】 特開2001−204244(P2001−204244A)
【公開日】 平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願番号】 特願2000−18911(P2000−18911)