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【発明の名称】 樹木の移植装置
【発明者】 【氏名】加藤 庭台

【要約】 【課題】機械的に強度が高く、大きな重量の樹木を好適に移植することができる樹木の移植装置を提供する。

【解決手段】各支持腕部10aに前後に間隔をおいて設けられた一対のガイド支持部14のそれぞれに、円弧状の長孔16が前後方向に貫通して設けられ、掬い板は掬い面が円周軌道とほぼ同心の断面円弧状に形成され、ガイド部40の各ガイド支持部14のそれぞれに対応してガイド支持部14を挟んで前後に位置するように固定された一対の被支持部15と、ガイド支持部14に連繋されるようにガイド支持部14の円弧状の長孔16内に長孔16の長手方向に摺動可能に挿通されて、両端が一対の被支持部15に固定された摺動部材とから成る連繋部60が設けられ、連繋部60が円弧状の長孔16によって案内され、掬い板18が円周軌道に沿って案内される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輌部に搭載された昇降手段によって昇降する昇降部に、左右方向に所定の間隔をおいて設けられると共に、前後方向に延設された一対の支持腕部と、樹木の根元部の周囲に溝を掘って根切りを行った後の前記樹木を掬い取るべく先端が左右に開閉する一対の掬い板と、前記各支持腕部のそれぞれに配設され、前記各掬い板の開閉動作を案内するガイド部と、前記掬い板を駆動させるシリンダ装置とを備える樹木の移植装置において、前記ガイド部が、各支持腕部に前後に間隔をおいて設けられた一対のガイド支持部から構成され、該ガイド支持部のそれぞれに、前記前後方向に直交する面内の円周軌道に沿って前記掬い板の開閉動作を案内するように、円弧状の長孔が前記前後方向に貫通して設けられ、前記掬い板は掬い面が前記円周軌道とほぼ同心の断面円弧状に形成されると共に、該掬い板には前記ガイド部の各ガイド支持部のそれぞれに対応して該ガイド支持部を挟んで前後に位置するように固定された一対の被支持部と、 前記ガイド支持部に連繋されるように前記ガイド支持部の円弧状の長孔内に該長孔の長手方向に摺動可能に挿通されて、両端が前記一対の被支持部に固定された摺動部材とから成る連繋部が設けられ、該連繋部が前記円弧状の長孔によって案内されることで、前記掬い板が円周軌道に沿って開閉されるように案内されることを特徴とする樹木の移植装置。
【請求項2】 前記ガイド支持部は、所定の間隔をおいて前後に設けられた前壁板及び後壁板と、前記前壁板及び前記後壁板とを一体的に連結する側壁板とから形成され、前後方向に所定の厚みを有する二重構造に設けられていることを特徴とする請求項1記載の樹木の移植装置。
【請求項3】 前記一対の掬い板は、所定の間隔をおいて上下に設けられた内板及び外板と、前記内板と前記外板とを一体的に連結する側壁板とから形成され、前記掬い板の掬い面に直交する方向に所定の厚みを有する二重構造に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の樹木の移植装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹木の移植装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、人手に代わって樹木を移植すべく、動力がついた移植装置が提案されてきている。樹木を移植装置を用いて移植する作業では、移植装置が、樹木を根こそぎ掬い取る作業と、掬い取った樹木を所定の場所まで移動させる作業と、移動した樹木を所定の場所に位置させる作業とを行う。このように、樹木の移植装置を使用すれば、樹木を効率良く移植することができ、人手では対応しきれなかった大型の樹木でも移植することが可能になる。このような樹木の移植装置としては、例えば、特開平7−60号公報記載の樹木の移植装置がある。この樹木の移植装置は掬い板が支持腕部に設けられた円弧状のガイド部に沿って円弧状の軌跡を描いて移動するため、圧縮や引っ張り等の荷重によって樹木の根を傷つけることなく、樹木を土中から切り離して移植することができる。また、一対の掬い板が、一対の円弧状のガイド部が沿う円周軌道と同心の円弧状に形成され、その円周軌道と同心の円弧の底部で先端が閉塞するように設けられている。このため、掬い板の内面を広く利用して、樹木の根元部を巾広く効率良く掬い上げることができる。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような樹木の移植装置では、ガイド部や掬い板の機械的強度が弱く、移植作業を行う最中に、これらが変形してしまったり、あるいは破損してしまったりするという課題があった。
【0003】本発明は、上記の課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、機械的に強度が高く、従来よりも大きな重量の樹木を好適に移植することができる樹木の移植装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る樹木の移植装置は、車輌部に搭載された昇降手段によって昇降する昇降部に、左右方向に所定の間隔をおいて設けられると共に、前後方向に延設された一対の支持腕部と、樹木の根元部の周囲に溝を掘って根切りを行った後の前記樹木を掬い取るべく先端が左右に開閉する一対の掬い板と、 前記各支持腕部のそれぞれに配設され、前記各掬い板の開閉動作を案内するガイド部と、前記掬い板を駆動させるシリンダ装置とを備える樹木の移植装置において、前記ガイド部が、各支持腕部に前後に間隔をおいて設けられた一対のガイド支持部から構成され、該ガイド支持部のそれぞれに、前記前後方向に直交する面内の円周軌道に沿って前記掬い板の開閉動作を案内するように、円弧状の長孔が前記前後方向に貫通して設けられ、前記掬い板は掬い面が前記円周軌道とほぼ同心の断面円弧状に形成されると共に、該掬い板には前記ガイド部の各ガイド支持部のそれぞれに対応して該ガイド支持部を挟んで前後に位置するように固定された一対の被支持部と、前記ガイド支持部に連繋されるように、前記ガイド支持部の円弧状の長孔内に該長孔の長手方向に摺動可能に挿通されて、両端が前記一対の被支持部に固定された摺動部材とから成る連繋部が設けられ、該連繋部が前記円弧状の長孔によって案内されることで、前記掬い板が円周軌道に沿って開閉されるように案内されることを特徴としている。
【0005】また、このガイド支持部は、所定の間隔をおいて前後に設けられた前壁板及び後壁板と、前記前壁板及び前記後壁板とを一体的に連結する側壁板とから形成され、前後方向に所定の厚みを有する二重構造に設けられていることを特徴としている。これにより、ガイド部の機械的強度を高めることができると共に、装置全体の重量の増大を抑制できる。
【0006】また、前記一対の掬い板は、所定の間隔をおいて上下に設けられた内板及び外板と、前記内板と前記外板とを一体的に連結する側壁板とから形成され、 前記掬い板の掬い面に直交する方向に所定の厚みを有する二重構造に設けられていることを特徴としている。これにより、掬い板の機械的強度を高めることができ、掬い板が変形したり、破損することを防止できる。また、装置全体の重量の増大を抑制できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る好適な実施の形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る樹木の移植装置をバックホウ52に装着した説明図である。図に示すように、バックホウ52のアタッチメントであるバケットに代えてブーム11の先端に樹木の移植装置が装着されている。
【0008】10はフレーム体であり、バックホウ、ブルドーザ等の自走可能な車輌部52に搭載された昇降手段によって昇降可能に設けられた昇降部である。このフレーム体10は、左右方向に所定の間隔をおいて設けられる共に、前後方向に延設された一対の支持腕部10aを有する。そして、各支持腕部10aのそれぞれには、樹木の根元部の周囲に溝を掘って根切りを行った後の樹木を掬い取るべく、先端が左右に開閉する掬い板18の開閉動作を案内するガイド部40が配設されている。
【0009】本実施例のフレーム体10は、基本的に円柱状の部材で、前方に開放するコの字状に形成されている。そして、前方に開放する平面Uの字状に切り欠かれた補強材10cによってコの字状のフレーム体10の一対の内コーナーが補強されている。
【0010】さらに、フレーム体10は、昇降手段を構成するブーム11に回動可能に連結される支柱17を備えている。
【0011】なお、一対の支持腕部10aの間隔は、少なくとも掘り上げる樹木の根元部の巾よりも大きめに設定されている。これにより、樹木を一対の支持腕部10aに挟まれた中央部に位置させた状態でバランス良く樹木の移植作業ができる。
【0012】14はガイド支持部であり、各支持腕部10aに前後に間隔をおいて一対が配され、ガイド部40の構成要素として設けられている。このガイド支持部14には、円弧状の長孔16が前後方向に貫通して設けられている。この長孔16は、一対の支持腕部10aの対向する位置に設けられたガイド支持部14同士のそれぞれに、前後方向に直交する面内の同一の円周軌道に沿うように設けられている。この長孔16によれば、後述するように、前後方向に直交する面内の円周軌道に沿って掬い板18の開閉動作を好適に案内することができる。
【0013】また、本実施例におけるガイド支持部14の構造は図2に示すように、所定の間隔をおいて前後に設けられた前壁板14a及び後壁板14bと、これらの前壁板14a及び後壁板14bとを一体的に連結する側壁板14cとから形成され、前後方向に所定の厚みを有する二重構造に設けられている。
【0014】18は掬い板であり、各ガイド部40に後述するように円弧状の長孔16に沿って摺動自在に設けられている。この掬い板18の掬い面は前記円周軌道とほぼ同心の断面円弧状に形成されている。
【0015】また、掬い板18には、一対の被支持部15である前側被支持片15aと後側被支持片15bが、各ガイド支持部14のそれぞれに対応してそのガイド支持部14を挟んで前後に位置するように固定されている。そして、両端が一対の被支持部15に固定された摺動部材である2本のピン20が、長孔16に挿通されてガイド支持部14に連繋されている。2本のピンは長孔16の長手方向に並んで挿通された状態に配されている。この2本のピン20、20と一対の被支持部15によって連繋部60が構成されている。このような構成により、2本のピン20が円弧状の長孔16によって案内されることで、掬い板18が円周軌道に沿って開閉されるように案内される。
【0016】図3は掬い板の断面を表す断面図であり、図に示すように、掬い板18は、所定の間隔をおいて上下に設けられた内板18a及び外板18bと、これらの内板18aと外板18bとを一体的に連結する側壁板18cとから形成され、この掬い板18の掬い面に直交する方向に所定の厚みを有する二重構造に設けられている。また、図3に示すように、内板18aと外板18bとの間の空間部には、適宜複数枚の補強板18eが、掬い板18の掬い面に直交方向に立てられて、側壁板18cに平行に配設されている。これにより、掬い板18の構造強度をさらに向上させている。また、掬い板18は前述したように掬い面が断面円弧状に湾曲されて形成され、樹木を掬い取るべく全体装置前後方向に適宜な巾を有し、さらに先端には爪部19が形成されている。
【0017】また、26はシリンダ装置であり、支持部10a上に延設された支持柱部10bの上部に、その後端で回動可能に支持されている。そして、このシリンダ装置26のロッド26aの先端が、掬い板18の外板18bの外面18fに突設されたロッド取り付け部30の回動軸31に回動可能に軸着されている。このシリンダ装置26によれば、掬い板18を開閉駆動させることができる。また、27のシリンダ装置は、ブーム11の先端の軸35を中心に樹木の移植装置を所定の角度に回動させることができる。29のシリンダ装置は、ロッド先端がブーム11の水平方向へ突起された突起部に設けられた軸33に軸着され、ブーム11を回動駆動させる。これにより、移植装置を昇降させることができる。すなわち、シリンダ装置29は前記車輌部52に搭載された昇降手段の構成要素となっている。
【0018】以上のような構成の樹木の移植装置の使用方法について、図4と図5を用いて説明する。
【0019】樹木の移植装置を使用する前提として、予め、移植しようとする樹木Tの根元の周辺をパワーショベル等を用いて掘削して根を切断しておく。オペレータは、図1に示す車輌部52内に設置される運転席52aにおいて、クローラ50を駆動させて車輌部52を走行させ、フレーム10内の平面中央部に樹木Tを位置させるべく、樹木を両側から挟むように支持腕部10aを位置させながら樹木へ接近し、掬い板18の先端を樹木Tの周囲に掘削した溝穴に進入させる。このとき掬い板18は、図4のようにシリンダ装置26をロッド26aが収縮した状態に駆動させて開いた状態としておく。なお、図4のように、シリンダ装置26のロッド26aが収縮した状態のときには、掬い板18は上方に引き上げられた位置にある。
【0020】そして、図5に示すようにシリンダ装置26のロッド26aが延出されることによって掬い板18は、内側に閉じた状態となるまで回動する。すなわち、掬い板18はガイド支持部14の円弧状の長孔16に沿って円弧状の軌跡を描いて、下方に伸びる根を切断しつつ、根元部を掬うように移動する。 このように、掬い板18が円弧状の軌跡に沿って移動するため、樹木Tの根元部を挟圧することがなく、圧縮荷重によって根を傷つけることがない。 また、掬い板18は円弧状の長孔16に沿って移動するときには、樹木を持ち上げる方向にその動力を作用させないで済む。このため、樹木の根を引っ張って傷つけることを抑制でき、樹木Tを土中から好適に切り離すことができる。さらに、シリンダ装置26による動力は、掬い板18をスライドさせるためにのみ利用され、挟圧する力あるいは持ち上げる力に分散することがないから、好適に動作することができる。このため、動力装置を小型化することができる。
【0021】次に、図1に示すシリンダ装置29のロッド29aを延出させることによってブーム11を上方に持ち上げ、樹木Tを引き上げる。このとき、シリンダ装置27によって樹木の移植装置が水平に維持されるように調整する。このようにして、掬い板18によって掬い、地中から切り離された樹木Tを好適に持ち上げることができる。
【0022】また、上記のようにして掘り上げた樹木を植えつける作業を行う場合にも、本装置は好適に作用する。先ず、上記樹木の移植装置によって、図5に示すように樹木Tを把持した状態で、その樹木Tを植えつけ穴の所定の位置まで移動させる。次に、掬い板18が図4に示すような開放状態となるよう、その掬い板18をガイド支持部14に沿って移動させ、樹木Tを植えつけ穴内に位置させる。このとき、掬い板18は円弧状にスライドし、植え付け穴に投入された植え付け用の土あるいは肥料をかき分けることなく樹木Tを植え付け穴内に傾くことなく好適に位置させることができる。
【0023】次に、図1を用いて、本実施例の効果について説明する。先ず、ガイド支持部14が前述したように全体装置の前後方向に所定の厚みを有する二重構造に設けられ、掬い板18に設けられた連繋部60がピン20の両端を一対の被支持部15で固定する構造強度の高いものとなっているので、これまでよりも大きな重量の樹木であってもガイド支持部14及び連繋部60が変形したり、破損したりせずに、樹木を無理なく土中から引き上げたり、あるいは把持したままの状態で好適に所定の位置まで移動することができる。しかも、ガイド支持部14は中空をなしているから、装置全体の重量の増大を抑制することができる。また、掬い板18が前述したように掬い面に直交する方向に所定の厚みを有する二重構造に設けられているため、これまでよりも大きな重量の樹木であっても掬い板18が変形したり、破損したりせずに樹木を把持することができる。
【0024】以上の説明は、本発明に係る実施例の好適な一例であって、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内でさらに多くの改変を施し得るには勿論のことである。例えば、支持腕部10aは円柱状に限らず、他に例えば、角柱状をなす立体に形成されてもよい。また、前方に開放する補強材10cの平面形状はUの字状に限らず、コの字状に形成されてもよい。また、本実施例では、円弧状に2つのピンを配設しているが、これに代えて円弧状に形成された突起部を円弧状の長孔16内に摺動自在に嵌めてもよい。
【0025】また、本実施例では、掬い板18が円弧状に作動することのみを説明したが、シリンダ装置26の動力を利用して他の動作と組み合わせることも可能である。例えば、図1において、円弧状の長孔16に連続して上方に直線状の長孔16を設け、掬い板18を直線運動させることも可能である。このとき、その直線状の長孔は円弧状の長孔16よりも巾広く設定しておけば、円弧状に配設された2つのピン20でも好適に摺動することができる。
【0026】
【発明の効果】上記のように、本発明に係る樹木の移植装置によれば、掬い板に設けられた前記連繋部が摺動部材(ピン)の両端を一対の被支持部で固定する構造強度の高いものとなっているので、これまでよりも大きな重量の樹木であってもガイド支持部及び連繋部が変形したり、破損したりせずに、樹木を無理なく土中から引き上げたり、あるいは把持したままの状態で好適に所定の位置まで移動することができる。
【0027】
【出願人】 【識別番号】399125470
【氏名又は名称】株式会社平沢工務店
【出願日】 平成12年1月17日(2000.1.17)
【代理人】 【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−197839(P2001−197839A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−7970(P2000−7970)