| 【発明の名称】 |
サンショウ挿し木による木の芽を有する樹体の周年栽培方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岩本 修明
【氏名】島田 徹郎
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| 【要約】 |
【課題】サンショウ樹の季節的休眠中の穂部を挿し木として採集し、自発休眠終了後も長期の強制休眠をなし、その間、日時間隔的に需要を予測した数量の穂部順次取り出して温室栽培をなす。
【解決手段】休眠中の採取したサンショウ樹の生長力がある穂部は生長力保持処理後に低温室で自発休眠し、その後引続き長期の強制休眠なし、強制休眠中に日時間隔を置いて所望数量の穂部を順次取り出して萌芽発根促進処理をなし、その後、滅菌した容器に詰めた非土壌からなる無菌状植物支持材に挿し穂を完植し、室温に配置して充分に給湿させるためミスト栽培乃至密閉栽培をなすと共に遮光率を調整し、萌芽発根時より室外環境への馴化処理をする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 季節的に休眠中のサンショウ母樹で当年枝からなる熟枝半熟枝の穂部を採集すると共に栽培用の室、器具や材料は無菌状態に処理し、前記穂部は充実した樹勢の保持処理をしたのち、空調機で温度0〜3℃、湿度80〜100%の範囲で自動制御可能な低温室に収納して休眠し、自発休眠要求時間量が経過後も同一条件下で強制休眠状態を継続しながら、順次所望の日時間隔をおいて所望数量の穂部を取り出して生長促進処理をなし、その後、容器に詰めた非土壌からなる植物支持材に定植して温室内に配置する、該温室は温度15〜35℃、湿度65〜100%の範囲で自動制御可能な空調機と調整可能な遮光材を設け、且つミスト栽培乃至密閉栽培をなし、木の芽の萌芽と発根時から室外環境への馴化処理をすることを特徴とするサンショウ挿し木による木の芽を有する樹体の周年栽培方法。 【請求項2】 前記植物支持材はバーミキュライト、ロックウール、川砂、パーライト、ピートモスから選択された一種類の材料か二種類以上の材料を混合するか層状に配置して使用することを特徴とする請求項1記載のサンショウ挿し木による木の芽を有する樹体の周年栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】本発明はサンショウ(山椒)挿し木を生長させた木の芽を有する活性樹を周年に亘り栽培する方法に関し、特に、母樹から採集した穂部を自発休眠後も強制休眠させながら、需要に応ずる数量を順次取り出して栽培し、木の芽を有する独立樹体として周年に亘り出荷提供可能な栽培方法に関するものである。 【0002】サンショウ樹はミカン科マツカゼソウ亜科の落葉低木で葉と果実(種子)および茎・枝は強い辛みを有する優れた香辛料として利用される。冬期は休眠し、栽培の地域で多少異なるが、一定の低温状態から脱する3月頃木の芽(新葉・新芽)が萌芽する。しかし木の芽の採集可能な時期は短い。従って露地や庭先などに植えたサンショウ樹から短い萌芽時期の軟らかい木の芽を適宜摘み取って各種料理の季節添え物として使用している。成葉は香りがきつく、堅い食感となり食卓に供し難い。 【0003】従来サンショウ挿し木の栽培については文献は勿論風聞にも接していない現状である。これに比し接ぎ木は栽培されているが、特に木の芽を生産するための栽培ではない。まして周年に亘り木の芽(若葉)を有する独立樹体として周年に亘り生産供給可能な栽培方法はなされていない現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】サンショウ樹の挿し木栽培がなされていない現状を検討すると、これは、サンショウ樹自体とその栽培方法に原因すると考えられる。以下サンショウ樹の問題点に言及する。 【0005】サンショウ樹は実生栽培においてもミカン科その他の果樹と比較して萌芽発根時期に枯死することが多く、特に挿し木栽培では枯死率が極端に高い。それはサンショウ樹の内在的性質と形態による。その具体例は根部は浅根で植物支持材である土壌は保水性と排水性とがなければ生長しない。葉は蒸散率が高く強度の乾燥や日照により、露地や畑地などで栽培している通常の状態でも萎縮して枯死しがちである。更に母樹の枝部を土壌中に挿し木しても発根する以前に腋芽が萌芽するので慎重適確な栽培処理が必要となる。このように樹体自体の内的生長阻害要因が存在する。 【0006】更にサンショウ樹は他の果樹の栽培生長に比較し、外的生長阻害要因に対して抵抗性乃至耐久性が劣る。その一部の具体例を挙げれば、毎年秋より翌年3月から4月にかけておこる萌芽・開花期に急激な低温と霜害などで葉と花は落下して樹体生理に大きな影響を受ける。更に胴枯れ病(フザリウム菌)、紫モンパ病(根腐れを引き起こす 紫モンパ菌)が容易に発生する。そしてハダニ、アブラムシなどの有害虫が新葉、若葉に付着し樹体全体が衰弱枯死するに至ることが多い。そして長期の降雨、夏場の乾燥、冬場の異常低温など環境の変化で枯死率が高くなるなどの問題点が多い。 【0007】本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、上記のサンショウ樹の内的、外的な生長阻害要因を回避しながら且つ、これに対応した適切な生長処理を順次なした栽培方法である。即ち、もっとも母樹中の充実した樹勢のある梢乃至穂部を挿し穂として用いる。それから低温室で長期の休眠処理に耐え得るよう予め樹勢の低下や腐敗乾燥のない処理を行ったのちに休眠させ、休眠は自発休眠要求時間終了後も他発(強制)休眠させながら、需要を予測した数量の穂部を日時間隔を置いて順次取り出し、無菌状の植物支持材を詰めた容器に定植して室温栽培をなし、木の芽を有して萌芽発根した独立樹体となったとき出荷できる栽培方法を提出することを目的としているものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明においては、挿し木を採集するサンショウ母樹は幼木相及び移行相、補助的に成木相の当年枝からなる熟枝や半熟枝の穂部が充実し、高い活性のある樹勢を有し、このような穂部は母樹が休眠する毎年10月中旬頃に採集することが好ましい。そして翌年2月中旬で萌芽する以前で休眠打破前までに穂部を採集する。これは、後の行程である長期休眠後に定植したとき、充分な生育をさせるためである。 【0009】採集した穂部は低温室で長期の休眠をさせるが、その間に内的及び外的生長阻害要因や休眠中で些かな生理乃至代謝作用などで樹勢が低下したり、損傷腐敗、枯死の危険性がある。この危険性を防止して、休眠後の栽培時まで樹勢の充実度を維持することが重要である。従って、休眠処理以前の段階で、予め、穂部の棘(とげ)や葉を除去して保有するエネルギーの消耗を抑制すると共に束状にしたとき穂部相互の損傷を防止する。更に、枯死し易い未熟な穂先と吸水性が低下した下端切口を切り取る。また、低温室に整理して収容するため束状にした穂部は人体、植物に無害で低濃度の殺菌剤水溶液に浸した紙や布で包んで有害菌の増大を防止する。そして更に、水分の蒸散を防止するため合成樹脂製袋で包装して、充実した樹勢保持処理をする。 【0010】前記束状にした穂部の包装袋には母樹の品種や低温室に収容した休眠日、本数などを記載する。これは、本来、ブドウサンショウのように自発休眠要求時間量が500時間程のものや3000時間程度のものもあり、自発休眠が打破されたのちの強制休眠中に日時間隔を有して順次温室中で定植栽培するためである。 【0011】前記束状にした穂部を休眠処理する低温室は不慮の萌芽を防止するよう暗室とし、室内の温度、湿度は自動調整可能な空調機を設ける。小量の穂部を収納する場合は上記の自動調節がなされる冷蔵庫でもよい。もっとも、圃場や露地のサンショウ樹は季節的に10℃程度以下になると落葉しながら自発休眠に入るが、低温室では5℃程度でも長期休眠中萌芽することがあり、0℃より以下では凍結して腐敗することが多い。従って凍結しない状態の0℃以上で3℃以下では長期に亘る安定した休眠状態を保持し続ける。湿度は80%から100%の範囲とすることが好適である。このようにして、自発休眠による要求時間量が経過後も引続き強制休眠を続行する。 【0012】強制休眠中の穂部を低温室より需要に対応した予測数量を取り出して、萌芽発根など生長促進処理してから定植処理をし、その後温室栽培をする。定植処理としては合成樹脂製の鉢状ポットや側壁の高い広幅のプランターをアルコール清拭するか蒸気滅菌する。このポットには有害虫病菌がなく、保水性と排水性のある粒状ロックウール、バーミキュライトなどの土壌に代えた植物支持体を詰め込む。そして低温室から取り出した穂部は吸水させたのちポットに必要数量(4号ポットであれば1〜6本程度)を挿し込んで温室内に配置する。 【0013】栽培用温室は清潔にした枠材にガラスまたは合成樹脂製シートを設ける限り、両端を密閉したトンネル形状のものでもよい。更に日照度調節可能な遮光シート、温度・湿度調整可能な空調機、散水装置、必要に応じて階段状棚枠等を設置するものである。本発明に用いる栽培用の温室や器具材料は蒸気やアルコール清拭その他手段ですべて滅菌して清潔にする。 【0014】温室栽培により穂部が萌芽発根して独立樹体となった段階では、外界に適応させるべく馴化処理をしたのち市場に供給する。 【0015】 【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実例に基づき説明する。挿し木として採集するサンショウ母樹は主として播種後1〜3年生の幼木相と移行相(4〜6年生)の当年枝からなる穂部(新梢部分)であり、しかも該穂部は当年枝の熟枝または木部化をはじめた半熟枝が旺盛な樹勢を有するものとして用いられる。これらの穂部が予測需要数量を満たさないときは枯死率は多いが成木相中の前記した穂部を使用することがある。このような穂部は毎年休眠期に入った10月中旬から萌芽前である翌年2月中旬頃までの落葉休眠した時期に採集される。 【0016】前記採集穂部は長期休眠とその後の順調な栽培生長のために、予め樹勢力保持処理をする。それは先ず、樹体のエネルギー消費を防ぎ、作業効率を上げるため棘(とげ)と葉を除去し、軟弱な穂先2−5cm程度を切り取る。そして枝の長さが10〜30cmの範囲、好ましくは15cmの長さに整合し、50〜100本単位の束となす。この束状穂部は人体・植物に無害なベンレート乃至トップジンM2000倍水溶液からなる殺菌剤を含浸させた紙、スポンジ、布で被包し更に蒸散防止用の透明な合成樹脂製袋に封入する。この袋にはサンショウ樹の品種、低温室収納日、穂部数を記載して低温室に整理して収納配置する。 【0017】前記穂部を休眠させる低温室は光遮断壁材により暗室となし、空調機により温度・湿度を調整する。室温を0℃以下のマイナス温度にすると凍結して腐敗する。5℃以上に設定すると休眠中に萌芽することもある。従って、0〜3℃の範囲、好ましくは2℃に設定する。湿度は80〜100%とする。更に休眠中も樹体は極めてわずかな生理作用を有するが、過分な給肥は腐敗の原因となるので、肥料は原則的に与えないものとする。このような低温室の条件下で穂部の長期休眠をなす。 【0018】低温室内の穂部が強制休眠期に入ったものから需要を予測して休眠を終了する。ところでブドウサンショウ樹のように自発休眠要求時間量が500時間(約20日間)と短期なものは毎年10月15日に最初に休眠させたのち11月5日頃休眠を終了する。そして、15日間乃至20日間程度の間隔を置いて所望数量の穂部を順次室温内から取り出してその行程に移す。斯様にして圃場などのサンショウ母樹から採集する穂部の最終採集時期は未だ木の芽が萌芽していない翌年2月中旬頃迄であり、この時期に採集した穂部は毎年10月中旬に採集した穂部を休眠後に定植栽培して出荷する時期迄出荷可能なように長期の休眠処理をする。そして、休眠開始後2500時間から3000時間を超えるものについては、樹体の状態を確認しながら束状穂部の被包物や密封袋を清潔なものと取り替え、樹体が劣化してり枯死しないようにして周年に亘りサンショウの木の芽を有する独立樹体を市場に提供しようとするものである。 【0019】低温室から順次取り出す穂部の束は室温栽培で萌芽発根を充分に達成させるため生長促進処理をする。具体的にはオーキシン系の植物ホルモンであるインドール酪酸(IBA)をタルク材(滑石粉末)に約0.5%の割合で混合した薬剤(商品名オキシベロン)を切り口に塗布する(タルク法)。または20〜100ppmIBA水溶液に24時間程度浸漬して吸収させる(浸漬法)。さらに1,000〜10,000ppmのIBA水溶液に2〜5秒間浸漬して、吸収させる(高濃度瞬間浸漬法)。などして萌芽発根のために生長促進処理をする。 【0020】上述の処理をした穂部は合成樹脂製の小鉢状ポットか方形状のプランタのような容器に詰め込んだ植物支持材に植立して定植する。植物支持材は粉状物を除去した粒状のバーミキュライト、ロックウール、川砂、パーライト、ピートモス等の選択した一種類の材料または2種類以上の材料を混合するか層状にし、支持材は2気圧で121℃程度にしたオートクレーブで20分程度加熱した高圧蒸気により滅菌する。一方前記ポット等はアルコール溶液で清拭する。 【0021】穂部を定植したポット等の容器は温室の階段状棚枠乃至台などに配置される。温室は金属枠に透明なガラス、合成樹脂製板またはシートで形成する。また両端面が開閉可能なトンネルハウスでも良い。更に温室は北側壁を除く全面に開閉可能な遮光用の寒冷紗またはヨシズを設ける。そしてまた、燃料もしくは電気的自動制御可能な空調機により温度と湿度を調整可能に設定する。 【0022】温室の栽培温度は15〜35℃の範囲まで可能であるが、確実に温室栽培をなすには18〜25℃の範囲にする。これにより不慮の失敗による枯死が少なく省エネルギー生産も可能である。湿度は後述する各種の栽培方法により実質的には95〜100%程度を保持させる。また直射日光は可能な限り避け、屋根部、壁部に設けた開閉可能な寒冷紗やカーテンにより遮光率を50%以上にする。 【0023】温室は密閉により高温多湿であるため挿した穂部に病害虫菌が発生しやすい。細菌は主にフザリウム属の菌類であり、これにより最悪の場合は挿し穂株が腐敗死滅する。害虫はハダニ、アブラムシで温室、ポット、器具を消毒しても栽培中に外部から侵入して発生することがある。斯かなる場合に用いる殺菌剤は、ベンレートもしくはトップジンM2000倍水溶液であり、殺虫剤は、アドマイヤ、アリルメート、エイカロール(全て商品名)の500〜2000倍水溶液を使用する。これらの殺虫菌剤は、病害虫菌に薬剤耐性をつけないために、同一薬剤を繰り返して使用しないよう配慮する。どちらにしても、容器類は充分に洗浄し、温室内部には、外部から病害虫を持ち込まない事が肝要である。 【0024】温室栽培において室内の温度、湿度、殺虫菌剤及び遮光率は前述した条件に設定し、穂部の挿し床には水を霧状にして噴出供給するミスト栽培をする。これは手動噴霧器でもよいが、大量生産を行うために噴霧機を配設する。該噴霧機は15〜20℃に加温した貯水槽より温室地下に埋め込んだ水管を配設し、ポットやプランタなど容器側部より起立した管の上部に多孔ノズルを設け、2〜3kg/cm程度の加圧水を供給する。そして噴霧時間と休止時間間隔とは電気的に自動制御する。例えば夏季晴天日の日中は10〜15分の休止間隔を置いて10〜30秒噴霧し、雨天や夜間は15〜30分の休止間隔をおいて10〜30秒間噴霧する。その他の時期や冬季は20〜30分の休止間隔で10〜30秒間噴霧する。このミスト噴霧は灌水と穂部の蒸散防止のために行う。常時水分に晒されているため穂部から養分溶脱が起きるときにはミストノズルを介して液肥を散布することが可能である。液肥は園芸試験場処方のものやこれと同様な構成成分の市販品であるハイポネックスや大塚ハウス肥料を用いる。 【0025】ミスト栽培においても夏季高温時の温室は通気を行っても40℃以上に温度が上昇し、更に光線が強すぎて穂部の蒸散を高め活力を低下させる。そこで7月初旬より8月下旬には温室屋根部は寒冷紗を調節して遮光率80%程度まで上げることが好ましい。 【0026】さらに外気温の低い10月から3月下旬頃迄はプランタなどの容器を支える床温度を20〜25℃に保温するためニクロム線もしくは温水を流すパイプを配置した底熱装置を設けることが好ましい。 【0027】温室内の穂部のミスト栽培を開始して10日を経過すると木の芽(新葉)が萌芽して活性樹体となり、30日後には新根が発生する。このように樹体となってもミスト栽培による温室内と外界との環境は温度、湿度、光量などの条件に大きな差異があり、樹体となったサンショウ樹を直ちに温室外に取り出すと大きな環境変化に晒されて葉の萎縮がおこり活力が低下して枯死することが多い。このような外的生長阻害要因から樹体を守り、外界の環境へサンショウ樹を徐々に適応させる馴化処理をなすことが重要である。 【0028】前記馴化処理の具体的手段は、ミスト噴出の休止時間間隔を次第に長くし、噴出時間を短くして行くことが好適である。夏季の晴天の日中は噴出休止時間を20〜30分間隔とし、噴出時間を10秒程度とする。概略の目安として2日乃至3日ごとに湿度10%程度低下させる。その他の日時や雨天日は休止間隔を30〜40分間隔で5秒から10秒間噴霧し、冬季は60分間隔事に10秒から30秒の範囲内で噴射させる。そして温室内通気量を増加する一方、寒冷紗の遮光率を80%から50%程度まで下げて光量を増加させてゆくものである。更に温室の温度は前述した15〜35℃の範囲内の具体的設定温度から外界の温度側へ漸次設定温度を変更してゆくものである。このようにして馴化処理開始後10日を経過すると多くの新芽が出揃い、根が伸びて支持材に活着し、充実した樹勢となる。そして生長が遅れたものも20日程度で市場への出荷が可能となる。 【0029】上述したミスト栽培とは異なる密閉栽培について言及すると、温室自体を密閉するもの、容器であるポット上端縁に透明合成樹脂製のドーム形状の覆体を装着するもの、プランタはその周壁70〜75cm程度の高さにして平らな覆体を装着密閉するもの等がある。更に小鉢状ポットは蓋付きの筒状覆体に収容配置しても良い。 【0030】前記透明な覆体を用いて密閉栽培をする場合は、温室内の台、または棚に塩化ビニールシートを敷き、その上に穂部を定植したポットを並列に配置する。そして、非土壌の植物支持材からなる挿し床に充分に灌水したのち、覆体を装着する。これにより植物支持材の保水性により原則的には栽培期間中に再度の灌水は殆んど行わなくて良い。ただし管理者が異常高温時に覆体を開放することによっておこる、水分減少時には、個々的に給水する。前記栽培方法は根部の生育や木の芽の萌芽を促進して樹体の活着が早くなる。これは水分が蒸発して水蒸気となり覆体内に充満し、蒸散しやすい木の芽の乾燥を防止するからである。従って露地挿しにおいて発根困難なサンショウ品種でも良好な生長性を確認することができる。 【0031】上記の密閉栽培によると夏場の日中は覆体内では40℃以上の温度に上昇することがあり、その状態で放置すると挿し木床への活着率が低下し、有害虫菌が発生しやすくなる。斯かる高温時は温室内の通気を可能な限り良好になし、温室の北側面を除き、その全面に亘ってヨシズまたは寒冷紗で温室を覆って遮光率80%程度とする。その際、発生する主な病害菌類はクモノスカビ、フザリウム菌、糸状菌である。これらの菌の発生を防除するには先ず、有機質肥料分を全く使用せず、加熱殺菌した粒状のバーミキュライト、ロックウール、川砂等の植物支持材を挿し床に使用し、栽培中に侵入した菌に対してはその発生前に前述した殺虫菌剤を投与する。このような密閉栽培を開始して10日程度で木の芽が萌芽し、25日頃には発根するので30日程度で独立樹体となり、その後の生育も良好である。 【0032】密閉栽培期間が25〜30日を経過する頃から前述のミスト栽培と同様な馴化処理をして需要者への出荷準備をする。それはドーム状覆体の一部や筒状覆体の蓋を調整し僅かに開きながら2〜3日に10%程度に湿度を低下させてゆき、外界の湿度に接近させてゆく。温度については空調機により温室温度を外界温度に2日ごとに僅かに接近させる。これは地域や山地谷合などにより経験から注意深く調整される。また遮光率もヨシズや寒冷紗の開きを調節して減少させてゆく。このような馴化処理は10日間程度で生育の遅れたものは20日程度で終了する。馴化処理を終了すると、温室より取り出して出荷のための準備をする。 【0033】上述したようにミスト栽培と密閉栽培は栽培手法が異なるように説明したが、例えばミスト栽培をするための台、棚またはその全体を透明な塩化ビニールシートで覆い、その内部に定植ポットを配置すれば、噴霧面積やその回数を激減させて長期にわたり省力化したミスト密閉栽培が可能である。 【0034】前述の馴化処理をして温室から取り出したとき、生育の悪い樹体からなる株は取り除き、また病害虫菌の発生か否かを検査する。それからミスト栽培のものはポットに葉の蒸散を防止する覆体を装着する。その際、ポットと植物支持材を取り替えても良い。更に密閉栽培をしたものは、そのポット、植物支持材、覆体をそのまま使用しても良く、有害虫菌が発生しないよう新しいものと取り替えても良い。 【0035】 【発明の効果】本発明は以上説明したような挿し木の栽培方法であって、従来の露地やトンネルハウス内の露地栽培で発生するサンショウ樹の内的外的生長阻害要因を可能な限り回避しながら従来と異なる各栽培行程であって、その前後に樹勢の保持と生長促進と次行程への円滑に適応する処理をしながら、挿し木用穂部が木の芽を有する独立樹体として周年に亘り需要者に供給可能な栽培方法を提供可能としたものである。 【0036】採集するサンショウの挿し木としての穂部は露地に植立した幼木相や移行相の当年枝で熟枝乃至半熟枝を用いる、そして、ことにより、長期の休眠や定植栽培中にも充実した樹勢を保持し、且つ大量生産に適する挿し木として利用が可能である。 【0037】採集穂部は休眠させるに当たり、前もって棘、葉の除去、穂先や基部の切除、殺虫菌剤溶液の含浸させると共に所望数を束状にして包装した樹勢保持処理をすることにより低温室に挿し木が長期に亘り安定して休眠可能なように生長力を保持させることが可能である。 【0038】サンショウ挿し木は従来から行われていなかった。低温室での休眠をなし、しかも温度、湿度、遮光、除菌処理をなすことにより露地栽培の如き外的生長阻害要因を回避可能となし、乾燥もなく、更に、自発休眠要求時間経過後も強制的に長期の休眠が可能となり、これにより需要に応じた必要数量を順次取り出して定植栽培し、木の芽の周年栽培の基本的方法が可能となった。 【0039】低温室から取り出して温室栽培をするには前もって必要に応じ再度穂先など基部の切断や生長調整剤の添加など樹体の生長促進処理がなされることにより、きわめて例外的僅少な腐敗枯死が生ずるのみで定植栽培が可能となったものである。 【0040】温室は四季の変化に拘らず温度、湿度がサンショウ樹の生長に最適に制御し、遮光率を調整して内的生長阻害要因に左右されることないようになし、穂部は非土壌からなる植物支持材に定植して外的生長阻害要因を影響を受けないようになし、更に樹体が蒸散による乾燥劣化を防止するためにミスト栽培や密閉栽培をして、短期間に萌芽発根し木の芽を有すよう独立樹体となし得ることが可能となったものである。 【0041】本発明の最終行程である温室栽培で生長した木の芽付き樹体を出荷に際して外部環境に適応させるには温室の通風と温度、湿度、遮光率を室外環境に漸進的に接近させる馴化処理をすることにより、市場や直接需要者に提供後も相対的長期間に亘って順次萌芽する新鮮な木の芽を摘み取り使用する有効な効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598129200 【氏名又は名称】いし本食品工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月18日(2000.1.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064816 【弁理士】 【氏名又は名称】守田 経近
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| 【公開番号】 |
特開2001−197830(P2001−197830A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月24日(2001.7.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−9559(P2000−9559) |
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