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【発明の名称】 緑化工法
【発明者】 【氏名】中野裕司

【要約】 【課題】発芽性や生長特性の異なる植物の共生が可能で、より自然に近い状態で緑化が図れる、緑化工法を提供すること。

【解決手段】対象植生面30を区分し、各区分された植生エリアに、発芽および初期生長の遅い単一種または複数種の劣性植物群10と、発芽および初期生長の速い単一種または複数種の優性植物群20とを区分群生するように植生する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発芽および初期成長の異なる複数種類の植物群を植生する緑化工法において、対象植生面を区分し、各区分された植生エリアに、発芽および初期生長の遅い単一種または複数種の劣性植物群と、発芽および初期生長の速い単一種または複数種の優性植物群とを区分群生させて植生したことを特徴とする、(※又は「区分群生させたことを特徴とする、」)
緑化工法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は法面緑化や都市公園等に適用できる緑化工法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】修景を目的とした各種の緑化工法が注目されている。これまでの緑化工法は短期間に全面緑化を図ることが基本思想とされ、緑化植物の選定基準はこの基本思想に基づき厳環境下での発芽性や生長特性に優れた例えば牧草類が多用されている。また現在は施工対象地盤の全面を対象にして均一に植生する手法が採用されている。ところで、上記した緑化思想に基づいた施工例によれば、土壌環境に合致した植物のみが成長し、合致しない植物は駆逐されて単純植生となることが確認されている。土壌環境に合致しない植物が駆逐されて単純植生となった以降において、この植物が肥料切れなどにより一斉に衰退する危険性が高く、この場合地肌が露出して緑化目的である侵食防止と修景効果が損なわれることが指摘されている。また、出願人は単純植生の弊害を回避する手段として、生長特性の異なる植物が混在する自然界の共生環境に近い形態で植生することに着目し様々の試験を試みた。試験の結果、■生長特性の低い植物にあっては発芽ムラがより大きく現れることや、■生長特性の高い植物にあっては生長特性の低い植物の存在によって幼年期の発芽性や生長特性が阻害されることや、■最終的に生長特性の低い植物が生長特性の高い植物に駆逐されてしまい、自然界のように発芽性や生長特性の異なる植物を共存させることが困難であることが判明した。
【0003】
【発明の目的】本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、発芽性や生長特性の異なる植物の共生が可能で、より自然に近い状態で緑化が図れる、緑化工法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、発芽および初期成長の異なる複数種類の植物群を植生する緑化工法において、対象植生面を区分し、各区分された植生エリアに、発芽および初期生長の遅い単一種または複数種の劣性植物群と、発芽および初期生長の速い単一種または複数種の優性植物群とを区分群生させて植生したことを特徴とする、緑化工法である。
【0005】
【発明の実施の形態1】以下図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
<イ>植生植物本発明は、以下に示す特徴を有する二つのタイプの植物群、即ち発芽および初期生長の遅い植物群である劣性植物群10と、発芽および初期生長の速い植物群である優性植物群20とを使用する。劣性植物群10は例えば木本類や草花類などで、図1に示すように法面30の非植生地帯31を除いた小部分の緑化に用いる。優性植物群20は例えば牧草などで、法面30の見掛け上の緑化を早急に行うために、図1に示すように劣性植物群10および非植生地帯31を除いた大部分の緑化に用いる。これにより、法面30の見掛け上の緑化・修景が図れると共に、耐浸食性の向上、および生長の速い優性植物群20の生長により日射・日当りが緩和され、微気象が改善され、後述する発芽にばらつきがあり初期生長の遅い劣性植物群10の生長に有利な環境が整えられる。
【0006】劣性植物群10と優性植物群20との植生面積の割合は、早急緑化の必要性と、長期的な緑化の確保や修景の必要性に応じ調整するが、概ね8:2〜2:8の間で調整して決定する。非植生地帯31は、生長の速い優性植物群20によって、発芽および初期生長の遅い劣性植物群10が被圧されるのを防ぐための緩衝帯で、50.0〜100.0cm程度とすることが適当である。これにより劣性植物群10が徐々に生長し、確実に法面30に定着して緑化することができ、生理的・生態的に異なる植物群10,20の共生(共存)が可能となる。
【0007】<ロ>植生形態1図2に示すように法面30の大部分に亘って優性植物群20を吹付工法等により植生すると共に、優性植物群20を植生しない範囲を非植生地帯31として形成する。空白地である非植生地帯31を法面30に形成することで、周辺から侵入した植物が定着して自然植生が可能となる。優性植物群20は、発芽がほぼ均等であり生長特性に優れるため、早期に法面30の大部分を緑化できると共に、法面30を安定させることができ、かつ非植生地帯31により自然度の高い法面枠を植生へ推移させることができる。
【0008】<ハ>植生形態2また図3は非植生地帯31を介させて優性植物群20と劣性植物群10とを共生させた他の植生形態を示す。劣性植物群10は法面30上の非植生地帯31に植生するが、優性植物群20との間に非植生地帯31を形成して植生する。劣性植物群10は、優性植物群20と比較して生長特性が低く、根付きも悪いが、一度根付くと長期に亘って法面30を緑化することが可能である。劣性植物群10が根付くまでの間、生長の速い優性植物群20が劣性植物群10の植生スペースを侵食して劣性植物群10が枯損するおそれがある。そこで、劣性植物群10と優性植物群20との間に緩衝帯となる非植生地帯31を位置させ、しかも非植生地帯31は劣性植物群10の初期生長に必要充分なスペースを確保することで、劣性植物群10の枯損を回避し得る。
【0009】このように、本発明は同一の法面30上に生長特性の異なる植物を混沌と植生するのではなく、夫々劣性植物群10、優性植物群20として区分群生させることにより、法面30上に自然界のような生長特性の異なる植物が共存する環境を人工的に形成するものである。これにより、生長特性の良好な単一種の植物が他の植物を駆逐して法面全体を覆ったりすることが無くなり、法面30を自然と同様にバランスの取れた短期植物と長期植物との共生環境を造ることができる。
【0010】<ニ>植生手段前述した劣性植物群10および優性植物群20は、法面30上に吹き付けにより植生する。この場合、劣性植物群10および優性植物群20の種子を夫々土砂、肥料等と混合してなる植生基材とし、ブロアー等の公知の吹付機により法面30に吹き付けて行う。この際、非植生地帯31を形成するには、被覆材を予め法面30に配置したり、吹き付けを行う際に吹付斑を形成する等、公知のあらゆる手段を利用できる。
【0011】
【発明の実施の形態2】図4は法面30上に非植生地帯31を介在させて優性植物群20と劣性植物群10とを水平方向に沿って列状に植生した他の実施の形態を示す。本例は優性植物群20を法面30の水平方向に0.5〜2.0m程度の層状に吹き付けた後、所定距離の非植生地帯31を隔てて劣性植物群10を水平方向に向けて層状に吹き付ける。なお、劣性植物群10の吹き付け幅は、優性植物群20と同寸法であってもよいが、これに限定されず、緑化事情に合わせて適宜変更してもよい。この工程を繰り返すことにより、列状となる区分群生を実施する。図5に示すように、劣性植物群10を用いた横筋と、その間を非植生地帯31を介して、優性植物群20を帯状に交互に隣接させて植生する。この際、優性植物群20の各列状部分は、発芽および初期生長が速いため、法面30への根付き・定着が速く、劣性植物群10が生長するまで間の法面30の全体の緑化被覆を図ると共に、梁材として働き他の列状部分の崩落防止効果を発揮する。
【0012】
【発明の実施の形態3】図5は前記した実施の形態2の変形例で、法面30を斜面方向に予め複数のブロック32に分割し、ブロック32毎に列状に劣性植物群10、優性植物群20および非植生地帯31を形成した他の実施の形態を示す。本例の場合、吹き付けの順番を予め決め、この順番に従って吹き付けを行うことにより、各ブロック32同士の隣接面に同種の植物群がずれて位置するように施工する。吹き付けに使用する植生基材は、有機質系(養分を多く含むもの)、砂質系(養分を殆ど含まない)や粘土(客土)等を使用できるが、植物の性質に合わせて適宜選択する。
【0013】
【発明の実施の形態4】非植生地帯31の形状や寸法は既述した実施の形態(図2〜図5)に限定されず、植生する劣性植物群10および優性植物群20の生理・生態により適宜設定することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態5】また既述した各実施の形態において、劣性植物群10および優性植物群20の種子を混入させた植生基材中に、固化剤や除草剤等を混入して吹き付ければ、法面の緑化部にランダムにギャップ(非緑化部)を付与できる。緑化部にギャップ(非緑化部)を付与することにより、牧草等の生命力の強い優性植物群20の過剰繁殖等をコントロールすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態6】図6は非植生地帯31を介在させないで施工する他の実施の形態を示す。本例は、発芽および初期生長の遅い劣性植物群10の区画された植生エリアの面積を、発芽および初期生長の速い優性植物群20に被圧されない大きさに植生したものである。本実施の形態においては、非植生地帯31を形成せずに劣性植物群10と優性植物群20とを隣接させた組み合わせとして施工することが可能となる。
【0016】
【発明の効果】本発明は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>劣性植物を群生させることにより、劣性植物の成長の遅さや、発芽ムラ、発芽時期のずれ等による緑化ムラを減少させると共に、優性植物の群生と隣接させることで、生長環境のバランスを自然界のものにより近付けることができる。したがって、各植物の減少および増加のバランスを整え、長期に亘る緑化を実現することができる。
<ロ>優性植物群と劣性植物群とを区分群生させることにより、幼年期の生長環境を良好にでき、生長特性の良い優性植物群に生長特性の劣る劣性植物群が駆逐されることがない。従って、ムラなく長期緑化を計ることが可能となった。
<ハ>牧草等の優性植物群による緑化を施した斜面に、草花等の劣性植物の群生部分があるため、優性植物群が枯死する春から夏の間も、劣性植物により斜面の緑化を維持できる。即ち、1年を通して緑化を維持することができる。
【出願人】 【識別番号】000115463
【氏名又は名称】ライト工業株式会社
【出願日】 平成8年12月27日(1996.12.27)
【代理人】 【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生 (外2名)
【公開番号】 特開2001−197829(P2001−197829A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−366074(P2000−366074)