| 【発明の名称】 |
マルチシート形成用組成物および形成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】川端 一誠
【氏名】山本 泰弘
|
| 【要約】 |
【課題】実施時の敷設の労力と使用後の回収の労力が省力化されるとともに、廃棄物処理の問題もないシートの形成方法および該形成方法に用いる組成物を提供すること。
【解決手段】被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物ないし生分解性を有するポリマーを低級アルコールおよび/または水に溶解および/または分散させたマルチシート形成用組成物、ならびに前記マルチシート形成用組成物を噴霧装置にて地上に直接噴霧し、乾燥することにより被膜を形成するマルチシートの形成方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物を低級アルコールおよび/または水に溶解および/または分散させたマルチシート形成用組成物。 【請求項2】 生分解性ポリマーを低級アルコールおよび/または水に溶解および/または分散させたマルチシート形成用組成物。 【請求項3】 低級アルコール以外のアルコールおよび/またはリモネンを含有する請求項1または2記載のマルチシート形成用組成物。 【請求項4】 炭素系材料を含有する請求項1または2記載のマルチシート形成用組成物。 【請求項5】 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、ケイ酸、ケイ酸塩およびケイ酸塩鉱物からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属系化合物を含有する請求項1または2記載のマルチシート形成用組成物。 【請求項6】 アンモニア、草木灰および水酸化カリウムから選ばれた少なくとも1種の水溶液がアルカリ性を示す物質を含有する請求項1または2記載のマルチシートの形成用組成物。 【請求項7】 コロイダルシリカを含有する請求項1または2記載のマルチシート形成用組成物。 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6または7記載のマルチシート形成用組成物を散布して被膜を形成するマルチシートの形成方法。 【請求項9】 請求項1、2、3、4、5、6または7記載のマルチシート形成用組成物を噴霧装置にて地上に直接噴霧することを特徴とするマルチシートの形成方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、マルチシート形成用組成物およびマルチシートの形成方法に関する。とくに、本発明は、生分解性ポリマーを利用したマルチシート形成用組成物および形成方法に関する。本発明は、農業用シートなどとして有用なマルチシートを形成するための組成物および形成方法に関する。本発明は、シートの敷設、維持および撤去の労力を大幅に軽減し得るマルチシート形成用組成物および形成方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、農業用途に雑草の防除、保温、保湿などの目的で、マルチシートとして種々のプラスチックフィルム、紙シート、生分解性樹脂シートなどが利用されている。たとえば、畑地に敷いて、表面を覆って、雑草の発芽防止または生育抑制、保温・保水効果、および害虫による被害防止のために、農業用ポリシート(たとえば、積水化学工業(株)製の農ポリなど)が利用されている。 【0003】近年、生分解性をうたったマルチシートが開発されている。しかしながら、これらのマルチシートはいずれもシートやフィルムに加工を施したものであり、現状の農業におけるマルチシート使用に関わる重労働部分、すなわち、敷設、維持および撤去の3工程の撤去の工程にのみ、その効果がうたわれている。したがって、たとえば、シートが風に飛ばされないように縁を重石や止め具で固定していく作業(通常は畝横の土を乗せる)は、シートを広げ伸ばしていく作業以上に重労働である。 【0004】さらに、紙のシートは、その重量より、とても人手で扱うには無理があり、専用の機械を用意する必要があるほか、畑作の場合、畝の形状にフィットしにくいので、使用することができる範囲が限られる。また、いずれのマルチシートも、植え付け穴を開けたのちに植物苗を植え付けなければならない。しかも、使用中に破損した場合は、修繕用のテープなどの粘着剤で貼り付ける必要があり、その作業はかなり作業者の体に負担となる。さらに、近年の大きな台風の通過などによる強風で、吹き飛ばされたシートが、電線に絡んだり、道路に飛ばされたりして交通の妨げになった。 【0005】このように、従来、敷設、維持および撤去にかかる労力の軽減と設備費用のコストダウンとが同時にはかられたシートはいまだ提供されていない。 【0006】生分解性シートを利用する手段として、たとえば、ポリ乳酸などの生分解性ポリマーを溶融させて噴霧する方法が提案されている(特開平11−92304号公報)。しかし、前記従来の方法は、被膜としての強度はあるものの、溶融させるために50℃以上に加熱しなければならない。また、生分解性ポリマーを溶解状態にする場合には、溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジオキサンなどの環境に対して問題のある有機化合物を使用しなければならない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技術の問題点を解決し、シートの敷設および維持に伴なう労働環境を改善することができるマルチシートの形成方法およびそれに用いる組成物を提供する。 【0008】本発明は、従来のシートの敷設に伴なう周縁の押さえなどを不要にし、植物苗の定植後に形成することができ、作業のための労働を非常に軽微にすることができるマルチシートの形成方法およびそれに用いる組成物を提供する。 【0009】本発明は、使用後のシートを土中ヘ鋤き込んでしまうことにより土中に分散させ、撤去のための労働を不要または軽微にすることができるマルチシートの形成方法およびそれに用いる組成物を提供する。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討した結果、生分解性ポリマーなどの被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物を低級アルコールおよび/または水に溶解および/または分散させた組成物を噴霧装置にて地上に直接噴霧し、乾燥することにより、被膜を形成し、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。 【0011】本発明は、被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物を低級アルコールおよび/または水に溶解および/または分散させたマルチシート形成用組成物、生分解性ポリマーを低級アルコールおよび/または水に溶解および/または分散させたマルチシート形成用組成物、低級アルコール以外のアルコールおよび/またはリモネンを含有する前記の各マルチシート形成用組成物、炭素系材料を含有する前記の各マルチシート形成用組成物、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、ケイ酸、ケイ酸塩およびケイ酸塩鉱物からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属系化合物を含有する前記の各マルチシート形成用組成物、アンモニア、草木灰および水酸化カリウムから選ばれた少なくとも1種の水溶液がアルカリ性を示す物質を含有する前記の各マルチシート形成用組成物、コロイダルシリカを含有する前記の各マルチシート形成用組成物、前記の各マルチシート形成用組成物を散布して被膜を形成するマルチシートの形成方法、および前記の各マルチシート形成用組成物を噴霧装置にて地上に直接噴霧することを特徴とするマルチシートの形成方法にかかわる。 【0012】本発明によれば、地上表面に被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物からなる層、とくに生分解性ポリマーからなる層を形成することができる。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明のマルチシート形成用組成物は、皮膜性および/または疎水性を有する高分子化合物を含有する。皮膜性および/または疎水性を有する高分子化合物の代表例としては、たとえばシェラック、カゼイン、膠(ゼラチン)などの動物性高分子化合物;ロジン、レシチン、セルロース、リグニン、天然ゴム、ウルシなどの植物性高分子化合物;蜜蝋、カルナバワックスなどの蝋、ビール樹脂、それらの誘導体、それらの塩、それらを含む牛乳などの天然由来の高分子化合物;硝化綿、エチルセルロース、γ−ラクトン、乳酸などをもとに合成された生分解性ポリマー;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂などがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。 【0014】本発明の他の実施の形態では、マルチシート形成用組成物は、生分解性ポリマーを含有する。生分解性ポリマーは、形成したマルチシートの撤去の際に耕運機などで土中に鋤き込むことを考慮すると、自然界に生活する微生物によって分解され、有機資材に変化し得るので好ましい。生分解性ポリマーは、被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物でもあり得る。 【0015】生分解性ポリマーとしては、天然由来の生分解性ポリマーおよび合成された生分解性ポリマーがある。天然由来の生分解性ポリマーとしては、たとえば、グッタペルカ、サンダラック樹脂、シェラック、カゼイン、膠(ゼラチン)、ジェルトン、ソルバ、チクル、ダンマル樹脂、ミルラ、ペルーバルサム、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどのロジン、レシチン、セルロース、リグニン、ギルソナイト、ゴムなどがあげられる。合成された生分解性ポリマーとしては、たとえば、硝化綿、エチルセルロース、γ−ラクトン、乳酸などをもとに合成された生分解性ポリマーなどがあげられる。生分解性ポリマーは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。 【0016】本発明のマルチシート形成用組成物においては、生分解性ポリマーが溶媒に溶解および/または分散している。生分解性ポリマーの量は、少なすぎると、マルチシート(被膜)を形成させる際に組成物を多量に噴霧しなければならず、装置のタンクを大型化させる必要があるか、または、一度に小面積しか形成させることができないので、たとえば、マルチシート形成用組成物中に1重量%以上、好ましくは5重量%以上含有されるように調整する。生分解性ポリマーの量は、多すぎると、組成物の粘度が高くなりすぎて噴霧に適さなくなるおそれがあるので、たとえば、マルチシート形成用組成物中に80重量%以下、好ましくは70重量%以下含有されるように調整する。 【0017】本発明においては、溶媒として低級アルコールおよび/または水を用いる。溶媒は、重金属および発ガン性物質などの毒物を含有しないものにする。低級アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。防腐効果を期待することができるという点から低級アルコールを用いることが好ましく、とくにエタノールが好ましい。低級アルコールが好ましい理由としては、安全性のほか、水への溶解性があげられる。炭素数の大きいアルコールを用いると、水への溶解性が低いのみではなく、非水溶性のものも見受けられる。 【0018】水としては、たとえば、自然水、酸性水、強酸性水、超音波処理水、アルカリ水、イオン交換水、蒸留水などがあげられる。水とアルコールとを併用する場合には、水:アルコール(重量比)が0:100〜100:0、とくには0:100〜20:80であることが好ましい。 【0019】溶媒としては、低級アルコールおよび水以外の任意の適当な溶媒を併用することができる。低級アルコールおよび/または水と併用することができる溶媒としては、たとえば、クロロホルム、塩化メチレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼンなどがあげられる。しかし、低級アルコールおよび水以外の溶媒は分解されにくく、また、環境に対して光化学スモッグなどの大気汚染、水質汚濁、悪臭、環境ホルモンなどの問題を引き起こす有害物質である。また、高濃度になると、倦怠感、知覚異常および吐き気を催すことも報告されている。したがって、生分解性ポリマーが溶解および/または分散することができて、環境に対しても安全な低級アルコールおよび/または水を用いることが好ましい。 【0020】現在、溶融型の生分解性ポリマーが数多く上市されており、生分解性ポリマーを溶融状態で用いることもできる。しかし、溶融状態にするためには40℃以上に加熱する必要があり、生分解性ポリマーのエマルジョンを散布したとしても被膜を形成させるためには80℃以上に加熱する必要があり、家庭菜園などで一般的に用いるためにはあまり実用的でない。 【0021】本発明のマルチシート形成用組成物は、アルコール;リモネン、レモンオイル、オレンジオイルなどを単独でまたは2種以上を混合して含有することができる。これらのなかでは、防腐効果を期待することができるという点からアルコールおよびリモネンが好ましい。なお、マルチシート形成用組成物を大面積に塗布する場合には、アルコールの含有量が少ないほうが、蒸発する溶剤の蒸気による事故の発生を回避することができる点で好ましい。また水とリモネンとを併用する場合にも、マルチシート形成用組成物中のリモネン成分としての濃度が0.05〜50重量%程度となるように調整することが好ましい。 【0022】本発明のマルチシート形成用組成物は、被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物ないし生分解性ポリマーおよび溶媒のほかに、遮光して草類の発生を抑制する効果および黒色により熱を吸収して地表面温度をコントロールする効果を発現させるために、炭素系材料を含有することが好ましい。 【0023】炭素系材料としては、炭があげられ、かかる炭はいかなるものでもかまわない。炭としては、たとえば、備長炭、竹炭、モミガラ燻炭、広葉樹木炭、針葉樹木炭、椰子穀炭などがあげられる。黒鉛、コークスおよびカーボンブラックも重金属および多環芳香族炭化水素(PAH:Poly Aromatic Hydrocarbons)に注意して用いることができる。たとえば、多環芳香族炭化水素が多量に残留していると環境上好ましくない場合がある。炭素系材料は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。 【0024】炭素系材料の量は、少なすぎると遮光効果および熱の吸収による地表面温度のコントロール効果が充分に発現されないので、たとえば、マルチシート形成用組成物中に1重量%以上、好ましくは3重量%以上含有されるように調整する。炭素系材料の量は、多すぎると組成物の粘度が高くなりすぎ、噴霧に適さなくなるおそれがあるので、たとえば、マルチシート形成用組成物中に80重量%以下、好ましくは70重量%以下含有されるように調整する。マルチシートの強度が低下しないようにするためには、炭素系材料の量が被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物ないし生分解性ポリマーに対して1000重量%をこえないことが好ましい。 【0025】本発明のマルチシート形成用組成物は、マルチシート(被膜)に、遮光して草類の発生を抑制する効果、黒色により熱を吸収したり白色により熱を反射して地表面温度をコントロールする効果、光の吸収、散乱、乱反射などにより白く光らせたりきらきら光らせてアブラムシを近づけにくくする効果、および、褐色、黄土色、灰色などによりシートを下地から目立たなくさせる効果を発現させるために、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、ケイ酸、ケイ酸塩およびケイ酸塩鉱物からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属系材料を含有することができる。 【0026】金属系材料としては、たとえば、アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、水酸化鉄、二酸化マンガン、二酸化チタン、アルミナ、亜鉛華、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸塩鉱物粉、クレー、カオリン、ゼオライト、シリカ、マイカ、マイカ被覆物(パール顔料)、ベンガラなどがあげられる。金属系材料は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。 【0027】アルミニウム、マイカ、パール顔料はきらきら光る効果を奏する。酸化チタン、酸化鉄、二酸化マンガンは黒色効果を奏する。二酸化チタン、アルミナ、亜鉛華、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカは白色効果を奏する。酸化鉄は茶・褐色効果を奏する。酸化チタン、酸化鉄、水酸化鉄は黄・黄土色効果を奏する。クレー、カオリン、ケイ酸塩鉱物は主に白・灰、黄色の多様色効果を奏する。 【0028】金属系材料の量は、少なすぎると、遮光効果、地表面温度のコントロール効果、アブラムシを近づけにくくする効果およびシートを下地から目立たなくさせる効果を充分に発現させるために組成物を何度も散布しなければならず、不経済であるので、たとえば、マルチシート形成用組成物中に1重量%以上、好ましくは3重量%以上含有されるように調整する。 【0029】金属系材料の量は、多すぎると組成物の粘度が高くなりすぎ、噴霧に適さなくなるおそれがあるので、たとえば、マルチシート形成用組成物中に80重量%以下、好ましくは70重量%以下含有されるように調整する。マルチシートの強度が低下しないようにするためには、金属系材料の量が被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物ないし生分解性ポリマーに対して1000重量%をこえないようにすることが好ましい。 【0030】炭素系材料と金属系材料とを併用することもできる。 【0031】本発明のマルチシート形成用組成物は、溶媒として水を含有する場合には、被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物ないし生分解性ポリマーの水溶化を促進させるために、水溶液がアルカリ性を示す物質を含有することができる。水溶液がアルカリ性を示す物資としては、アンモニア、草木灰、水酸化カリウムなどがあげられる。これらのアルカリ性を示す物質は、マルチシート形成用組成物の塗布後に蒸発したり、土中で植物の肥料となり得るものである。 【0032】前記水溶液がアルカリ性を示す物質の量は、式:【0033】 【数1】
【0034】にしたがい、高分子化合物1000gあたりの必要量(g)が算出される。なお、前記式中、mが1のとき中和率は100%であり、m≧1であることが好ましいが、通常m≧0.5であればよい。 【0035】無機材料の沈降をなくしたり、緩和させたりして、マルチシート形成用組成物の保存性をさらに向上させようとする場合には、無機質のバインダーとしてコロイダルシリカを含有させることが好ましい。かかるコロイダルシリカは水のかわりに用いることも可能である。前記コロイダルシリカの量は、組成物中の沈降のハードケーキ化を防ぎ、組成物の保存性をより充分に向上させる効果や、マルチシート形成後にその強度を向上させ、土壌との密着性を向上させる効果が充分に発現されるように適宜調整することが望ましい。 【0036】本発明のマルチシート形成用組成物は、必要に応じて可塑剤などの添加物を含有することができる。添加物としては、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ソルビトールなどがあげられる。本発明のマルチシート形成用組成物は、たとえば、N、P、K、Mg、Caなどの肥効成分などを適量含有することができる。 【0037】本発明のマルチシート形成用組成物は、使用温度における噴霧装置とのマッチングなどを考慮して、通常25℃での粘度が3〜5000mPa・s程度であることが好ましい。 【0038】本発明のマルチシート形成用組成物は、たとえば、被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物ないし生分解性ポリマーと、炭素系材料、金属系材料などのその他の任意成分と、アルコールおよび/または水とを、たとえば、デイゾルバーなどの撹拌機、ボールミル、ニーダー、ロール、サンドミル、ホモジナイザー、湿式のジェットミル、超音波分散機などの分散機、ホモミキサー、インラインミキサーなどの乳化機などにて均質になるまで処理し、被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物ないし生分解性ポリマーおよびその他の任意成分を、アルコールおよび/または水に溶解および/または分散させ、粗大粒子をろ過などにて除去する方法によって得ることができる。 【0039】本発明のマルチシート形成方法においては、マルチシート形成用組成物を散布して、すなわち、被膜性および/または疎水性を有する高分子化合物ないし生分解性ポリマーをアルコールおよび/または水に溶解および/または分散させた状態で散布することによって、被膜を形成する。マルチシート形成用組成物は、たとえば、噴霧装置を用いて散布することができる。本発明のマルチシート形成方法によれば、マルチシート形成用組成物を噴霧装置にて地上に直接噴霧し、必要に応じて乾燥することにより、被膜を形成させることができる。噴霧装置にはとくに限定がなく、マルチシートの形成面積と、装置の容量、1回の噴霧量などとを鑑みて適宜選択することができる。 【0040】本発明のマルチシート形成用組成物を地上に直接噴霧し、たとえば1〜120分間程度放置するなどして形成されるマルチシートの厚さは、強度、遮光性、熱の吸収、反射などの効果を考慮すると、0.01〜5mm程度であることが好ましい。本発明によって形成されるマルチシートは、シートの敷設、維持および撤去の労力を大幅に軽減することができ、たとえば、農業用シート、駐車場、公園、運動場などの抑草用シートなどとして好適に使用することができる。 【0041】 【実施例】つぎに、本発明のマルチシート形成用組成物およびそれを用いたマルチシートの形成方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。 【0042】実施例1シェラック(生分解性ポリマー)40重量部(以下、部という)およびエタノール50部をデイゾルバーで60分間攪拌し、シェラックをエタノールに完全に溶解させ、褐色の液体を得た。これにモミガラ燻炭10部を加え、さらにpH9のアンモニア水100部を徐々に強力に撹拌しながら加え、ダイノミルにて分散させたのち、ろ過して粗粒子を取り除き、黒色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約100mPa・sであった。 【0043】実施例2ロジン(生分解性ポリマー)30部およびモミガラ燻炭10部をエタノール70部にバスケットミルにて溶解させ、100分間分散させたのち、フィルターろ過し、黒色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約20mPa・sであった。 【0044】実施例3アクリル酸樹脂(酸価:200、数平均分子量:10000)30部を70℃の湯70部中に分散させ、水酸化カリウム7部を加えて溶解させた。これに二酸化チタン30部およびd−リモネン0.5部を加え、均一になるまで攪拌し、アルティマイザーを用いて800kg・f/cm2にて2パスさせ、白色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約2000mPa・sであった。 【0045】実施例4ウレタンエマルジョン(固形分:30重量%、最低造膜温度:5℃以下)50部、エタノール10部および水40部を加え、ディゾルバーにて10分間攪拌して乳白色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約400mPa・sであった。 【0046】実施例5完全ケン化ポリビニールアルコール10部を80℃の湯100部にてバスケットミルで溶解させたのち、これにアルミニウムフレーク15部およびL−アスコルビン酸0.5部をディゾルバーにて30分間分散させ、メタリック感のある銀灰色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約3000mPa・sであった。 【0047】実施例660℃に暖めた5%膠コロイド水溶液2000部および備長炭粉100部をサンドグラインダーにて120分間分散させ、黒色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。これを噴霧するまで50℃に保持した。 【0048】実施例7ベンガラ50部、10%カゼインアンモニア水溶液50部およびコロイダルシリカ50部をグレインミルで分散混合させ、赤褐色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約500mPa・sであった。 【0049】実施例8カオリン30部、鉄黄5部およびベンガラ2部を、20%シェラックアンモニア水溶液200部および水100部に、ホモミキサーにて20分間分散させ、茶色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約50mPa・sであった。 【0050】実施例9竹炭20部を20%エチルセルロースエタノール溶液150部にダイノミルにて分散させたのち、マイカ50部を混合してきらきら光る黒色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約40mPa・sであった。 【0051】実施例10二酸化チタン20部およびゼオライト10部を、ビール100部およびヒドロキシエチルセルロース5部とともにサンドグラインダーにて分散させ、白色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約1000mPa・sであった。 【0052】試験例トラクターにて畑を耕転して通常の農業用の畝(60cm×5m)を形成した。ついで、この土壌上に、実施例1〜10で得られた塗布液を圧力式噴霧器にて噴霧し、一律に約1時間放置して表1に示す色のマルチシートを形成した。 【0053】マルチシートを形成する際の状態および形成されたマルチシートについて、以下の特性を調べた。その結果を表1に示す。なお、比較対象として市販の樹脂シート(厚さ:約0.03mm、積水化学工業(株)製、商品名:黒マルチ)を用いた比較例1および市販の紙シート(白ライナー紙、東海パルプ(株)製、印刷用東海白ライナー)を用いた比較例2についても同様に特性を調べた。その結果もあわせて表1に示す。 【0054】(イ)敷設性土壌と一体化し、周囲を押さえることなくマルチシートを固定することができるか否かを調べた。固定することができた場合を○、できなかった場合を×で示した。 【0055】(ロ)敷設性・維持性畝の上にキュウリの苗を50cm間隔で植え付けたのち、実施例1〜3で得られた塗布液を任意に噴霧させ、任意の形状のマルチシートを形成させることができるか否かを調べた。形成させることができた場合を○、できなかった場合を×で示した。 【0056】(ハ)撤去性前記(イ)敷設性の試験の際、マルチシート形成後(皮膜乾燥後)にトラクターにて再度耕転した際、トラクターの爪にシートが絡まったり、土壌中にシート切片が残ったりするか否かを調べた。シートの絡まりや切片の残りがあった場合を○、なかった場合を×で示した。 【0057】 【表1】
【0058】表1に示す結果から、実施例1〜10で得られた塗布液(マルチシート形成用組成物)を用いた場合には、周囲を押さえることなくマルチシートを固定することができ、しかも苗の植え付け後に任意の形状のマルチシートを形成させることができた。さらに、実施例1〜10で得られた塗布液にてマルチシートを形成したのちにトラクターにて再度耕転しても、トラクターの爪にシートが絡まったり、土壌中にシート切片が残ったりすることがなかった。 【0059】これらのことから、実施例1〜10で得られた塗布液により形成されたマルチシートは、敷設性、維持性および撤去性に同時にすぐれたものであることがわかる。これに対して、従来の樹脂シート(比較例1)は、耐久性にはすぐれるものの、敷設性、維持性および撤去性のいずれにも劣り、また従来の紙シート(比較例2)は、敷設の際に畝が歪んでいると、これに対してフィットさせることができず、やはり敷設性、維持性および撤去性のいずれにも劣ることがわかる。 【0060】さらには、実施例1、2および8で形成された前記マルチシートについて、生分解性特性について調べた。その結果を比較例3とともに表2に示す。 【0061】参考例水分散高分子ポリエステル40部およびエタノール30部およびイオン交換水10部にモミガラ燻炭10部を加え、ダイノミルにて分散させたのち、ろ過して粗粒子を取り除き、黒色の塗布液(マルチシート形成用組成物)を得た。25℃での粘度は約100mPa・sであった。 【0062】(ニ)生分解性畝の上にキュウリの苗を50cm間隔で植え付けたのち、実施例1、2および8で得られた塗布液および参考例で得られた塗布液を任意に噴霧し、任意の形状のマルチシートを形成し、10ヵ月後に生分解されているかどうか否かを調べた。生分解されていた場合を○、されていなかった場合を×で示した。 【0063】 【表2】
【0064】表2に示す結果から、実施例1、2および8で得られた塗布液(マルチシート形成用組成物)を用いた場合には、10ヵ月後にほぼ全部が生分解されていたのに対し、参考例においては生分解されていなかった。これらの生分解されない樹脂が残存した場合、これらの樹脂は化学的安定性が極めて高く、生物学的にも微生物などによる分解がほとんど起こらず、ほぼ半永久的に残存することになり、環境を汚染する問題を引き起こす。 【0065】 【発明の効果】本発明により形成されるマルチシートによれば、敷設、維持および撤去の3工程いずれにおいても、腰をかがめるなど肉体を酷使することなく、労力を大幅に軽減させることができる。また、本発明により形成されるマルチシートは、生分解されるため自然界に残存することもない。したがって、これからの農業従事者の高齢化を鑑み、本発明のマルチシート形成用組成物およびそれを用いたマルチシートの形成方法は、大きな手助けとなると考えられる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】591064508 【氏名又は名称】御国色素株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年9月8日(2000.9.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065226 【弁理士】 【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−145428(P2001−145428A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月29日(2001.5.29) |
| 【出願番号】 |
特願2000−273322(P2000−273322) |
|