| 【発明の名称】 |
農業用乳酸系多層フィルム |
| 【発明者】 |
【氏名】今村 彰志
|
| 【要約】 |
【課題】本発明が解決しようとする課題は、ハウス、トンネル、マルチ等の農業用資材に幅広く利用出来る、透明性と生分解性に優れ、ブロッキングやブリードアウトが少なく、優れた防塵性、防曇持続性、防霧性を有する農業用乳酸系多層フィルムを提供することにある。
【解決手段】乳酸系ポリマーからなる防塵層と、防曇剤0.1〜3重量%と防霧剤0.02〜2重量%を含む乳酸系ポリマーからなる防曇防霧層で構成される農業用乳酸系多層フィルム。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乳酸系ポリマーからなる防塵層と、防曇剤0.1〜3重量%と防霧剤0.02〜2重量%を含む乳酸系ポリマーからなる防曇防霧層で構成される農業用乳酸系多層フィルム。 【請求項2】 防塵層と防曇防霧層との間に、更に防曇剤1.0〜5.0重量%を含む乳酸系ポリマーから成る防曇持続層を含む請求項1に記載の農業用乳酸系多層フィルム。 【請求項3】 乳酸系ポリマーがポリ乳酸である、請求項1又は2に記載の農業用乳酸系多層フィルム。 【請求項4】 乳酸系ポリマーが乳酸単位とポリエステル単位とから成る乳酸系ポリエステル共重合体である、請求項1又は2に記載の農業用乳酸系多層フィルム。 【請求項5】 ポリエステル単位/乳酸単位の重量比が2/98〜50/50である、請求項4に記載の農業用乳酸系多層フィルム。 【請求項6】 乳酸系ポリマー中の残留モノマー濃度が0.5%以下である請求項1〜5のいずれか一つに記載の農業用乳酸系多層フィルム。 【請求項7】 一軸方向もしくは二軸方向に1.3〜10倍延伸されている請求項1〜6のいずれか一つに記載の農業用乳酸系多層フィルム。 【請求項8】 延伸後、70〜150℃で熱セット処理されている請求項7に記載の農業用乳酸系多層フィルム。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ハウス、トンネル、マルチ等の農業用資材用途に幅広く利用出来、且つ生分解可能な乳酸系ポリマーから成る農業用乳酸系多層フィルムに関する。より詳しくは、農業用のハウスやトンネルに展張りした際に防塵性、防曇持続性、防霧性に優れる生分解性の乳酸系ポリマーから成る農業用乳酸系多層フィルムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、農業用途に農ビ用フィルムとして、例えば、施設園芸ハウスの外張り用、内張り用、ハウス用、トンネル用、及びそれらのマルチ用途に、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂のフィルムが多用されている。これらは、ある期間使用された後、風雨の為に傷むか、透明性が低下する為に新しいフィルムに取り替えられる。 【0003】しかし、これらのフィルムは、自然環境下で分解しないか、又は分解速度が極めて低いため、使用後放置されたり土中に埋設処理された場合、半永久的に地上や地中に残存することになる。更に塩化ビニル系樹脂を焼却処理した場合、ダイオキシン等の有毒ガスが発生し、大気を汚染するだけでなく、人体にも有害をもたらすため廃棄物処理が社会問題となっている。 【0004】これらの問題を解決するために、生分解性ポリマーを農業用フィルムとして用いるための研究開発が盛んに行われてきており、中でも乳酸系ポリマーは高い透明性を有するため、ハウス、トンネル等の用途展開が期待されている。 【0005】例えば、特開平7−177826号公報及び特開平9−233956号公報では、乳酸系ポリマーに可塑剤と紫外線吸収剤を配合した例が、特開平9−286909号公報では、乳酸系ポリマーに滑剤、アンチブロッキング剤及び防霧剤を配合した例が開示されている。 【0006】しかしながら、これらの例はいずれも添加剤を単層の乳酸系ポリマーフィルムに全て配合するために、大量の添加剤により透明性が失われ易く、逆に透明性を維持させる場合には、その添加剤量が少量になるため、その添加効果が発現しないか或いは短期間で終わってしまう等の問題が生じていた。 【0007】また、フィルム表面に添加剤が多量にブリードアウトしてくる為に、フィルム貯蔵時にブロッキングが生じ易いこと、ハウス内部では、発生する霧による水滴の流下でこれらの添加剤が洗い流されて、添加剤効果が短期間に終わること、ハウス外部では、多量にブリードアウトした添加剤に土埃等が付着し、フィルムの透明性を失うこと等の多くの問題が生じていた。 【0008】従って、種々の添加剤を配合しても、ブリードアウトが少なく、透明性を失わず、且つ優れた防塵性、防曇持続性、防霧性を有するた農業用乳酸系多層フィルムの開発が嘱望されていた。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、ハウス、トンネル、マルチ等の農業用資材に幅広く利用出来る、透明性と生分解性に優れ、ブロッキングやブリードアウトが少なく、優れた防塵性、防曇持続性、防霧性を有する農業用乳酸系多層フィルムを提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討した結果、各種効果に合わせて配合した添加剤を含有する乳酸系ポリマーフィルムを多層化させることにより、ブリードアウトを防止し透明性を失わず、優れた防塵性、防曇持続性、防霧性を有する農業用乳酸系多層フィルムを製造できることを見出して本発明を完成するに至った。 【0011】即ち、本発明は、(1)乳酸系ポリマーからなる防塵層と、防曇剤0.1〜3重量%と防霧剤0.02〜2重量%を含む乳酸系ポリマーからなる防曇防霧層で構成される農業用乳酸系多層フィルムと、【0012】(2)防塵層と防曇防霧層との間に、更に防曇剤1.0〜5.0重量%を含む乳酸系ポリマーから成る防曇持続層を含む(1)に記載の農業用乳酸系多層フィルムと、【0013】(3)乳酸系ポリマーがポリ乳酸である、(1)又は(2)に記載の農業用乳酸系多層フィルムと、【0014】(4)乳酸系ポリマーが乳酸単位とポリエステル単位とから成る乳酸系ポリエステル共重合体である、(1)又は(2)に記載の農業用乳酸系多層フィルムと、【0015】(5)ポリエステル単位/乳酸単位の重量比が2/98〜50/50である(4)に記載の農業用乳酸系多層フィルムと、【0016】(6)乳酸系ポリマー中の残留モノマー濃度が0.5%以下である(1)〜(5)のいずれか一つに記載の農業用乳酸系多層フィルムと、【0017】(7)一軸方向もしくは二軸方向に1.3〜10倍延伸されている(1)〜(6)のいずれか一つに記載の農業用乳酸系多層フィルムと、【0018】(8)延伸後、70〜150℃で熱セット処理されている(7)に記載の農業用乳酸系多層フィルムとを含むものである。 【0019】 【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明で用いられる乳酸系ポリマーとは、乳酸単位(残基)を含むポリマーを意味し、具体的には、乳酸残基の繰り返しから成るポリ乳酸、グリコール酸単位と乳酸単位とから成る乳酸系共重合体、乳酸単位とポリエステル単位とから成る乳酸系ポリエステル共重合体等が挙げられる。 【0020】これらの乳酸系ポリマーは、透明であるために農業用フィルムに好ましい。又、柔軟性及び各種添加剤との相溶性の観点からは、特に乳酸単位とポリエステル単位とから成る乳酸系ポリエステル共重合体が好ましい。 【0021】乳酸系ポリマーは、原料として乳酸を用いて、ポリ乳酸又は乳酸単位を有する共重合体を重合する場合は、通常の公知慣用の重縮合反応によって製造できる。即ち、溶剤の存在下もしくは非存在下において、又、触媒の存在下もしくは非存在下に脱水重縮合を行って製造する。無論、減圧下で行っても構わない。 【0022】原料として、ラクタイド、グリコール酸の環状2量体であるグリコライドを用いてポリ乳酸、グリコール酸単位と乳酸単位からなる共重合体を重合する場合は、開環重合触媒の存在下開環重合により製造できる。ここで用いる触媒としては、一般にエステル化触媒、開環重合触媒として知られる触媒はいずれも使用可能であり、例えば、Sn、Ti、Zr、Zn、Ge、Co、Fe、Al,Mn等のアルコキサイド、酢酸塩、酸化物、塩化物等が用いられる。 【0023】中でも、オクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、テトライソプロピルチタネート、テトラブトキシチタン、チタンオキシアセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート、鉄(III)エトキサイド、アルミニウムイソプロポキサイド、アルミニウムアセチルアセトナートは反応が早く好ましい。触媒使用量は反応物に対して、通常、10〜1000ppm、好ましくは、50〜500ppmである。 【0024】原料であるラクタイドには、L−乳酸2分子からなるL−ラクタイド、D−乳酸2分子からなるD−ラクタイド及びL−乳酸及びD−乳酸からなるmeso−ラクタイドが存在する。L−ラクタイド、又はD−ラクタイドのみを含む共重合体は結晶化しやすく、高融点が得られる。 【0025】本発明の乳酸系ポリマーでは、これら3種のラクタイドを組み合わせることにより、用途に応じた好ましい樹脂特性を実現できる。特に本発明では高い熱物性を発現するため、L−ラクタイドを総ラクタイド中、75%以上含むものが好ましく、更に高い熱物性を発現するためには、L−ラクタイドを総ラクタイド中80%以上含むものが好ましい。 【0026】乳酸系ポリエステルに関しては、乳酸と多価カルボン酸及び多価アルコールとの重縮合、乳酸とポリエステルの重縮合、或いはラクタイドとポリエステルの共重合により得ることが出来る。特に、ラクタイドとポリエステルを開環重合触媒で共重合させると反応が早く、分子量の制御も容易であり、物性も優れているため望ましい。これらの重合には触媒を用いることが好ましく、前述同様の触媒が使用できる。 【0027】次にポリエステル成分の原料である多価カルボン酸、多価アルコールに関して説明する。多価カルボン酸としては、特に限定されないが、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸、炭素数4〜14のコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、その他にダイマー酸等が挙げられ、これを2種類以上使用しても構わない。 【0028】多価アルコールとしては、特に種類を問わないが、炭素数2〜10のジオール、ポリエーテルポリオールが好ましい。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、ポリテトラメチレングリコールが挙げられ、これを2種類以上使用しても構わない。 【0029】上記の多価カルボン酸及び多価オールより重合されたポリエステルは、特に制限はなく、例えば、芳香族ポリエステル、芳香族・脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、他にはポリε−カプロラクトンのようなラクトン系ポリエステル等が使用できる。しかし、生分解性を考慮した場合は、脂肪族ポリエステルを用いることが好ましい。 【0030】次に、ラクタイドを用いた乳酸系ポリマーの具体的な製造方法を説明する。ラクタイドを開環重合したポリ乳酸、ラクタイドとポリエステルとを共重合した乳酸系共重合体の反応は、混合物を加温溶融させるか、溶剤によって反応物を希釈混合後、重合触媒を添加する。重合温度はラクタイドの融点以上である100℃以上、かつ240℃以下の温度が重合の平衡上望ましく、分解反応にともなう乳酸系ポリマーの着色も防ぐことができ、更に好ましくは、130〜220℃である。 【0031】またラクタイドの分解、着色を防ぐため、全ての反応は乾燥した不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。特に窒素、アルゴンガス雰囲気下、又は不活性ガスをバブリングした状態で行う。同時に原料となるポリエステルも減圧乾燥等で水分を除去しておくことが好ましい。また、フォスファイト系化合物、フェノール系化合物等の酸化防止剤を使用しても良い。 【0032】またラクタイドは溶剤に溶解できるため、溶剤を使用して重合でき、溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソプロピルエーテル等が挙げられる。これらの溶媒も乾燥させて、水分を除去しておくことにより、得られる乳酸系ポリマー分子量のばらつきを抑えることが出来るため好ましい。この重合反応で用いる触媒は前述したのと同様のものが使用できる。 【0033】本発明で使用する乳酸系ポリマーは、製造後の保存安定性を保持するために、グリコライド、ラクタイド等の残留モノマーを減圧下で脱揮或いは溶媒により洗浄除去するのが好ましく、これら残留モノマー量は0.5重量%以下、更に好ましくは0.2重量%以下である。熱履歴により乳酸系ポリマーがバックバイトを起こし、グリコライドやラクタイド等のモノマーが再発生するのを抑制するために、重合触媒を失活させる能力を持つ触媒失活剤を含有させても良い。 【0034】また、本発明に用いる乳酸系ポリマーの重量平均分子量は、フィルムにした際の樹脂強度等を充分に発揮する為に、20,000〜600,000が適しており、好ましくは50,000〜400,000である。重量平均分子量が20,000未満であるとフィルムに加工後の強度が保持できない。逆に重量平均分子量が600,000を越えると、フィルム加工が困難となる。 【0035】本発明で言う防塵層とは、ハウスの外側やトンネルの外側の外気と接する層を言い、防曇防霧層とはハウスの内側やトンネルの内側の層を言う。防曇持続層とは、防塵層と防曇防霧層との間に挟まれた両層の中間層を言う。なお、本発明の効果を損なわない範囲で4層以上の多層フィルムとしても構わない。 【0036】本発明の農業用乳酸系多層フィルムの厚さは、薄すぎると強度が不足し、厚すぎると製膜工程及びその後の裁断、接合、展張作業等の取り扱いに不便をきたすので、30μm〜300μmが好ましく、より好ましくは、50μm〜200μmである。また、フィルム全体に対する防曇防霧層と防曇持続層が占める厚みは50〜95%が好ましい。95%を越えると外層である防塵層の耐摩耗性が低下し、50%未満であるとフィルムの1%モジュラスがが大きくなりすぎるため、展張、フィルム固定具への取り扱いが困難となる。 【0037】本発明の農業用乳酸系多層フィルムにおいては、外層として、乳酸系ポリマーからなる防塵層が設けられる。防塵層に用いられる乳酸系ポリマーは、防塵性及び耐摩耗性に優れることが好ましく、例えば、L−乳酸の組成比が高いことが望ましく、具体的には、80重量%以上、好ましくは90重量%以上である。 【0038】また、防塵層に用いられる乳酸系ポリマーが乳酸とポリエステルとの共重合体である場合、乳酸単位は50〜98重量%、好ましくは80〜98重量%、更に好ましくは85〜98重量%、ポリエステル単位では、2〜50重量%、好ましくは2〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%である。 【0039】防塵層ではソフトセグメントとなるポリエステル含有量が少量で、且つ高分子量となるため、フィルムに製膜した際の表面硬度が硬く、耐摩耗性に優れ、更に表面の接着性も少なく、防塵性も優れるため好ましい。更に、上記のような乳酸系ポリマーは中間層或いは内層に配合された防曇剤を透過させにくい性質も有するため、防曇剤が外層に移行するのを遮断する効果もあるため好ましい。 【0040】更に、防塵層に後述するアンチブロッキング剤、保温剤となる赤外線吸収能を有する無機質充填剤或いは帯電防止剤等を更に配合しても耐摩耗性、帯電防止性が向上し、防塵性に優れるようになる。 【0041】また、本発明の農業用乳酸多層フィルムにおいては、中間層として乳酸系ポリマーと防曇剤からなる防曇持続層が設けられる。この場合の防曇持続性とは、防曇持続層に含まれる防曇剤が防曇防霧層へ徐々に移行することによる防曇効果の長期持続性を言う。防曇持続層の効果は、防曇性の持続化のみならず、防曇防霧層の防曇剤添加量を少量化できる効果もある。 【0042】ここで用いられる乳酸系ポリマーとしては、上で述べたように乳酸単位を持つポリマーであれば、特に限定されないが、例えば、乳酸系ポリマーが、乳酸とポリエステルとの共重合体の場合は、乳酸単位が50〜98重量%、好ましくは60〜90重量%、更に好ましくは60〜85重量%、ポリエステル単位では、2〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは15〜40重量%であると、防曇剤との親和性がより良くなり、防曇剤の保持能力が高くなるため好ましい。 【0043】また、本発明の農業用乳酸多層フィルムにおいては、内層として乳酸系ポリマーと防曇剤及び防霧剤からなる防曇防霧層が設けられる。ここで用いられる乳酸系ポリマーは上記で述べたように乳酸単位を持つポリマーであれば、特に限定されないが、例えば、乳酸系ポリマーが、乳酸とポリエステルとの共重合体の場合、乳酸単位50〜98重量%、好ましくは60〜90重量%、更に好ましくは60〜85重量%、ポリエステル単位では2〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは15〜40重量%の乳酸系共重合体の場合に、防曇剤との親和性がより良くなり、防曇剤の保持能力が高くなるため好ましい。 【0044】本発明で用いられる防曇剤としては、非イオン性界面活性剤、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノベヘネート等のソルビタン系界面活性剤、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート等のグリセリン系界面活性剤、ポリエチレングリコールモノステアレート、【0045】ポリエチレングリコールモノパルミテート等のポリエチレングリコール系界面活性剤、トリメチロールプロパンモノステアレート等のトリメチロールプロパン系界面活性剤、ペンタエリスリトールモノパルミテート等のペンタエリスリトール系界面活性剤、これらにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加したもの等が挙げられる。これらの内ソルビタン系界面活性剤、グリセリン系界面活性剤が好ましい。 【0046】これらの非イオン性界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いても良く、その配合量は乳酸系ポリマー100重量%に対して0.5〜5重量%であり、好ましくは1〜3重量%である。0.5重量%未満であると、防曇性の持続効果が不十分となり、5重量%を越えると製膜性が不良となり、最終的に得られたフィルムから過度にブリードして白化を起こすことがある。 【0047】本発明で用いられる防霧剤としては、フッ素系防霧剤又はシリコーン系防霧剤等が用いられる。フッ素系防霧剤としては、例えば、パーフロロアルキル基又はパーフロロアルケニル基を含有する低分子又は高分子の化合物であって、少なくとも0.001重量%、好ましくは0.01重量%以上の水中溶解度を有し、25℃において水の表面張力を35E−3N/m以下、好ましくは30E−3N/m以下に低下させる能力を有するものが用いられる。 【0048】また、パーフロロアルキル基は、その炭素鎖中に酸素原子が介在しても良い。具体的には、メガファックF−142D、メガファックF−177(以上、大日本インキ化学工業社製)、ユニダインDS−401、ユニダインDS−403、ユニダインDS−451(以上、ダイキン工業社製)、フロラードFC−170、フロラードFC−176、フロラードFC−430(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS−141、サーフロンS−145、サーフロンS−381、サーフロンS−382、サーフロンS−393(以上、旭硝子社製)等が挙げられる。 【0049】また、シリコーン系防霧剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなどが用いられる。一般に、少なくとも0.01重量%、好ましくは0.1重量%以上の水中溶解度を有し、25℃において水の表面張力を35E−3N/m以下、好ましくは30E−3N/m以下に低下させる能力を有するものが用いられる。具体的には、KF−354(信越化学社製)、SH−3746(東レ・ダウコーニング社製)、TSF−4445(東芝シリコーン社製)等が挙げられる。 【0050】これらの防霧剤は単独で用いても良いし、2種類以上用いても良い。この防霧剤の配合量としては、乳酸系ポリマー100重量%に対し、0.02〜2重量%、好ましくは0.04〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.6重量%である。これよりも量が少ないと十分な防霧性が発現せず、また多すぎると高周波接着性やヒートシール性が劣化する。 【0051】本発明の農業用乳酸系多層フィルムには、乳酸系ポリマーに防曇剤、防霧剤を含有させる以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、無機質充填剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、充填剤、着色防止剤、顔料等の他の添加剤を配合しても良い。 【0052】例えば、本発明では保温剤として、赤外線吸収能を持つ無機質充填剤をフィルムに含有させても良い。好ましい無機質充填剤の例としては、ハイドロタルサイト類、リチウム−アルミニウム複合水酸化物塩、マグネシウム−リチウム−アルミニウム複合酸化物塩、水酸化アルミニウム、リン酸ジルコニウム、タルクなどの水酸基を有する無機質充填剤で5〜30μmの波長領域の赤外線を吸収する能力を有するものが挙げられる。 【0053】これらの無機質充填剤は、平均粒子径が0.01〜10μmの範囲にあるもの、特に0.1〜5μmの範囲にあるものが好ましい。これらの無機質充填剤は単独で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。無機質充填剤の配合量は、乳酸系ポリマー100重量%に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%である。この配合量が0.5重量%未満では保温効果が十分に発揮されないし、20重量%を越えるとフィルムに成形した際、引張強度や引裂強度が低下する原因になる。 【0054】また、本発明では滑剤やアンチブロッキング剤をフィルムに含有させることも出来る。これらを使用することより、フィルム製膜時にフィルム同士のブロッキングを低減し、ハウスやトンネルとして使用した際には、ゴミや塵埃の付着を抑制する効果がある。 【0055】滑剤の具体例としては、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリエチレン等の脂肪族系炭化水素系滑剤、ステアリン酸、ラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、硬化ひまし油等の脂肪酸系滑剤、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、リシノール酸アマイド、オキシステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、【0056】エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、エチレンビスラウリル酸アマイド等の脂肪酸アマイド系滑剤、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の炭素数12〜30の脂肪酸金属塩である金属石鹸系滑剤、モンタンワックス等の長鎖エステルワックス等、又はこれらを複合した複合滑剤等が挙げられる。これらの内、防曇剤等との親和性が良い、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤及び脂肪酸アマイド系滑剤が好ましい。 【0057】滑剤の使用量は乳酸系ポリマー100重量%に対して0.1〜2重量%である。添加量が0.1重量%未満の場合は、得られるフィルムに添加効果が発現されず、2重量%を越えるとフィルムの成形性が低下し、更に得られるフィルムの平板性、透明性等が低下する。 【0058】アンチブロッキング剤の具体例としては、シリカ炭酸カルシウム、チタニア、マイカ、タルク等が挙げられる。これらの内、得られるフィルムの透明性の観点から平均粒径7〜50nmのシリカが好ましい。平均粒径が7nm未満の場合は粒子が凝集しやすくなり、50nmを越えるとフィルム表面に微細な凸凹が生じ外観が不透明になる。 【0059】また、そのシリカはSiO2を95%以上含むものが好ましく、更にSiO2が無水シリカであるとより好ましい。その使用量は乳酸系ポリマー100重量%に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。0.1重量%未満の場合は、得られるフィルムに添加効果が発現されず、2重量%を越えるとフィルムの成形性が低下し、更に得られるフィルムの平板性、透明性等が低下する。 【0060】多層化フィルムの製造方法としては、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出成形が挙げられる。押出温度は100〜280℃、好ましくは130〜250℃の範囲である。成形温度が低いと成形安定性が悪くなり、逆に高いと乳酸系ポリマーが分解を起こし、分子量低下、強度低下、着色等を起こすので好ましくない。 【0061】本発明である農業用乳酸系多層フィルムは、未延伸のものでも延伸されたものでも良いが、強度的には得られたフィルムを一軸延伸又は二軸延伸することが好ましい。一軸延伸の場合は、ロール法による縦延伸又はテンターによる横延伸により、縦方向又は横方向に1.3〜10倍延伸するのが好ましい。 【0062】二軸延伸の場合はロール法による縦延伸及びテンターによる横延伸が挙げられ、その方法としては、一軸目の延伸と二軸目の延伸を逐次的に行っても、同時に行っても良い。延伸倍率は縦方向及び横方向にそれぞれ1.3〜5倍延伸するのが好ましい。延伸倍率がこれ以上低いと十分に満足し得る強度を有するフィルムが得難く、また、高いと延伸時にフィルムが破れてしまい良くない。 【0063】延伸温度は、乳酸系ポリマーのガラス転移点(以後、Tgと称する)Tg〜(Tg+50)℃の範囲が好ましく、更に好ましくはTg〜(Tg+30)℃の範囲である。延伸温度がTg未満では延伸が困難であり、(Tg+50)℃を越えると延伸による強度向上が認められないことがある。 【0064】また、耐熱性を向上するために、延伸後その緊張下で熱セット処理を行うと良い。熱セット処理温度は70℃以上、乳酸ポリマーの融点未満の温度で行うことができ、好ましくは70〜150℃、より好ましくは、90〜140℃で行うと耐熱性だけではなく、引張伸び等他のフィルム物性も向上するため望ましい。熱セット処理時間は通常1秒から30分間であるが、生産性等の実用性を考えた場合、この時間は短い程良いため、好ましくは1秒〜3分間、より好ましくは1秒〜1分間である。 【0065】本発明の農業用乳酸系多層フィルムは、所望により、その外表面側に防塵塗料から成る防塵層を更に設けたり、帯電防止剤から成る水性塗工液を塗布した帯電防止層を設けたり、内表面側に防曇塗料から成る防曇層を更に設けることが出来る。 【0066】 【実施例】以下に実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、もとより本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、この実施例で用いた試験方法は以下の通りである。 【0067】(1)分子量ポリエーテルポリオールの分子量測定は末端基定量法で測定し、その他の分子量測定はGPC測定装置(以下、GPCと略す。東ソー株式会社製HLC−85020、カラム温度40℃、テトラヒドロフラン溶媒)によりポリスチレン標準サンプルとの比較で測定した。 【0068】(2)防曇性水温40℃、室温25℃の水浴上に傾斜30度でフィルムを展張し、所定日数経過後のフィルムの防曇性を次の基準で評価した。 3:水滴の付着がフィルム全体の20%未満の範囲で生じている。 2:水滴の付着がフィルム全体の20%以上50%未満の範囲で生じている。 1:水滴の付着がフィルム全体の50%以上の範囲で生じている。 【0069】(3)防霧性四方を木板で囲んだ霧観察用フレームの天井傾斜面試験フィルムを張り、これをフィルムの防曇防霧層が下方になるように、予め用意した水温調節可能な水浴上に載せた。所定日数経過毎に、水浴の水温を40℃に上げ、25℃の室温で1時間放置する。次いで、水浴を40℃に保持したまま室温を5℃に下げ、1時間後にフィルムの内表面近傍における霧の発生状況を肉眼で観察した。尚、試験日以外は自然放置した。評価基準は次の通りである。 【0070】4:全く霧の発生は認められない。 3:極わずかに霧の発生が認められる。 2:霧の発生が認められる。 1:非常に多くの霧の発生が認められる。 【0071】(4)防塵性屋外圃場に縦30cm×横50cm高さ30cmのフレームに固定されたフィルムサンプルの3ヶ月経過後のヘイズ(H1)を測定し、固定前の初期ヘイズ(H0)との差△H(=H1−H0)により評価した。防曇剤が防塵層側にブリードアウトした場合、防曇剤により塵等が付着するためヘイズ値が大幅に上がり、防塵性、耐ブリードアウト性が低下する。なお、ヘイズ値の測定には、ヘイズ測定装置(日本電色工業株式会社製NDH−1001DP)を用いた。 【0072】(5)耐ブロッキング性製膜後3ヶ月経過した多層フィルムの巻物を30cm幅に切断し、フィルムを巻物から剥離させるときの荷重(g)を測定し、次のように評価した。 ○:0〜50g△:50〜200g×:200g以上【0073】〔製造例1〕原料1(脂肪族ポリエステル)の重縮合撹拌機、精留塔、窒素ガス導入管を付した50L耐圧釜(SUS316L)にダイマー酸15.4kg、アジピン酸8.0kg、プロピレングリコール8.4kgを仕込み、窒素雰囲気下、160℃、0.5時間、溶融混合後、生成する水を留去しながら、10℃/時間で220℃まで昇温させながら撹拌した。 【0074】8時間後、チタンテトラブトキサイドを1.7g添加し、減圧を開始した。2時間後、0.1Paまで減圧し、220℃、脱グリコール反応を更に5時間行った。得られた脂肪族ポリエステルは数平均分子量34,000、重量平均分子量67,000であった(以後A1と略す)。 【0075】〔製造例2〕原料2(脂肪族ポリエステル)の重縮合撹拌機、精留塔、窒素ガス導入管を付した50L耐圧釜(SUS316L)に、ダイマー酸7.7kg、アジピン酸3.9kg、プロピレングリコール4.2kgを仕込み、窒素雰囲気下、160℃、0.5時間、溶融混合後、生成する水を留去しながら、10℃/時間で220℃まで昇温させながら撹拌した。 【0076】7時間後、Mn=3,000のポリプロピレングリコール(三洋化成製)17.5kgをこの釜に加え、チタンテトラブトキサイドを1.7g添加し、減圧を開始した。2時間後、0.1Paまで減圧し、230℃、脱グリコール反応を更に5時間行った。得られた脂肪族ポリエステルは数平均分子量31,000、重量平均分子量62,000であった(以後A2と略す)。 【0077】〔製造例3〕乳酸系ポリマー1(ポリ乳酸)の重合撹拌機、精留塔、窒素ガス導入管を付した100L耐圧釜(SUS316L)に、L−ラクタイド48kg、D−ラクタイド2.0kg、イルガノックス1012(チバ・ガイギ社製)25g、トルエン10kgを仕込み、窒素雰囲気下、190℃、0.5時間、溶融混合後、オクタン酸錫を15g添加した。 【0078】4時間後、得られたポリ乳酸を釜底からギヤポンプで取り出し、溶融状態のまま3減圧ベント付2軸押出機に搬送した。押出機入口から最も近いベント口から、AP−8(大八化学工業社製)をポリ乳酸に対し500ppmに成るよう添加しながら、0.1Pa、210℃、130rpmの条件下、2軸押出機で残留ラクタイドを脱揮後、ペレット化した。得られたポリ乳酸(以後P1と略)の分子量はMn=150,000、Mw=290,000、残留ラクタイドはGPCでは検出されなかった(GPCの検出限界から残留ラクタイドは0.01%以下である)。 【0079】〔製造例4〕乳酸系ポリマー2(乳酸系ポリエステル)の重合撹拌機、精留塔、窒素ガス導入管を付した100L耐圧釜(SUS316L)に、L−ラクタイドを46.6kg、D−ラクタイドを1.9kg、A1を1.5kg、イルガノックス1010(チバ・ガイギ社製)25g、トルエンを10kg仕込み、窒素雰囲気下、190℃、0.5時間、溶融混合後、オクタン酸錫を15g添加した。 【0080】4時間後、得られた乳酸系ポリエステルを釜底からギヤポンプで取り出し、溶融状態のまま3減圧ベント付2軸押出機に搬送した。押出機入口から最も近いベント口から、AP−8(大八化学工業社製)を乳酸系ポリエステルに対し500ppmに成るよう添加しながら、0.1Pa、210℃、130rpmの条件下、2軸押出機で残留ラクタイドを脱揮後、ペレット化した。得られた乳酸系ポリエステル(以後P2と略)の分子量はMn=130,000、Mw=260,000、残留ラクタイドはGPCでは検出されなかった。 【0081】〔製造例5〕乳酸系ポリマー3(乳酸系ポリエステル)の重合撹拌機、精留塔、窒素ガス導入管を付した100L耐圧釜(SUS316L)に、L−ラクタイドを43.6kg、D−ラクタイドを4.9kg、A1を1.5kg、イルガノックス1010(チバ・ガイギ社製)25g、トルエンを10kg仕込み、窒素雰囲気下、190℃、0.5時間、溶融混合後、オクタン酸錫を15g添加した。 【0082】4時間後、得られた乳酸系ポリエステルを釜底からギヤポンプで取り出し、溶融状態のまま3減圧ベント付2軸押出機に搬送した。押出機入口から最も近いベント口から、AP−8(大八化学工業社製)を乳酸系ポリエステルに対し500ppmに成るよう添加しながら、0.1Pa、210℃、130rpmの条件下、2軸押出機で残留ラクタイドを脱揮後、ペレット化した。得られた乳酸系ポリエステル(以後P3と略)の分子量はMn=124,000、Mw=249,000、残留ラクタイドはGPCでは検出されなかった。 【0083】〔製造例6〕乳酸系ポリマー4(乳酸系ポリエステル)の重合撹拌機、精留塔、窒素ガス導入管を付した100L耐圧釜(SUS316L)に、L−ラクタイドを34.0kg、D−ラクタイドを8.5kg、A1を7.5kg、イルガノックス1076(チバ・ガイギ社製)を25.0g仕込み、窒素雰囲気下、190℃、0.5時間、溶融混合後、オクタン酸錫を15g添加した。 【0084】4時間後、得られた乳酸系ポリエステルを釜底からギヤポンプで取り出し、溶融状態のまま3減圧ベント付2軸押出機に搬送した。押出機入口から最も近いベント口から、AP−8(大八化学工業社製)を乳酸系ポリエステルに対し500ppmに成るよう添加しながら、0.1Pa、195℃、130rpmの条件下、2軸押出機で残留ラクタイドを脱揮後、ペレット化した。得られた乳酸系ポリエステル(以後P4と略)の分子量はMn=105,000、Mw=209,000、残留ラクタイドはGPCでは検出されなかった。 【0085】〔製造例7〕乳酸系ポリマー5(乳酸系ポリエステル)の重合撹拌機、精留塔、窒素ガス導入管を付した100L耐圧釜(SUS316L)に、L−ラクタイドを35.0kg、A2を15.0kg、グレッグP626(大日本インキ化学工業製)30g、トルエンを10kg仕込み、窒素雰囲気下、190℃、0.5時間、溶融混合後、オクタン酸錫を15g添加した。 【0086】4時間後、得られた乳酸系ポリエステルを釜底からギヤポンプで取り出し、溶融状態のまま3減圧ベント付2軸押出機に搬送した。押出機入口から最も近いベント口から、AP−8(大八化学工業社製)を乳酸系ポリエステルに対し500ppmに成るよう添加しながら、0.1Pa、210℃、130rpmの条件下、2軸押出機で残留ラクタイドを脱揮後、ペレット化した。得られた乳酸系ポリエステル(以後P5と略)の分子量はMn=82,000、Mw=159,000、残留ラクタイドはGPCでは検出されなかった。 【0087】〔製造例8〕乳酸系ポリマー6(乳酸系ポリエステル)の重合撹拌機、精留塔、窒素ガス導入管を付した100L耐圧釜(SUS316L)に、L−ラクタイドを31.5kg、D−ラクタイドを3.5kg、A2を15.0kg、グレッグP626(大日本インキ化学工業製)20g、トルエンを10kg仕込み、窒素雰囲気下、190℃、0.5時間、溶融混合後、オクタン酸錫を15g添加した。 【0088】4時間後、得られた乳酸系ポリエステルを釜底からギヤポンプで取り出し、溶融状態のまま3減圧ベント付2軸押出機に搬送した。押出機入口から最も近いベント口から、AP−8(大八化学工業社製)を乳酸系ポリエステルに対し500ppmに成るよう添加しながら、0.1Pa、210℃、130rpmの条件下、2軸押出機で残留ラクタイドを脱揮後、ペレット化した。得られた乳酸系ポリエステル(以後P6と略)の分子量はMn=80,000、Mw=157,000、残留ラクタイドはGPCでは検出されなかった。表1に製造した乳酸系ポリマーの組成と性状を示す。 【0089】 【表1】
【0090】〔実施例1〕防塵層用(外層)としてP3ペレット、防曇防霧層用(内層)としてP6を97重量%、防曇剤としてレオドールSP−P10(花王社製)を2重量%、防霧剤としてDS−401(ダイキン工業社製)を1重量%配合したペレットを用いて、多層化共押出機(田辺プラスチック社製)により、押出成形し、外層の厚さ100μm、内層の厚さ100μmである2層の多層フィルムを得た。 【0091】〔実施例2〕防塵層用(外層)としてP1ペレット、防曇防霧層用(内層)としてP5を95.5重量%、防曇剤としてPA5221K(丸菱油化工業社製)を2重量%、防霧剤としてサーフロン8405(旭硝子社製)を0.5重量%、保温剤としてハイドロタルサイト化合物DHT−4A(協和化学社製)を2重量%配合したペレットを用いて、多層化共押出機(田辺プラスチック社製)により押出成形し、外層の厚さ30μm、内層の厚さ70μmである2層の多層フィルムを得た。 【0092】〔実施例3〕外層用としてP4を98重量%、保温剤としてハイドロタルサイト化合物DHT−4A(協和化学社製)を2重量%配合したペレット、内層用としてP5を95.5重量%、防曇剤としてリケマールAF−82(理研ビタミン社製)を3重量%、防霧剤としてサーフロンS−145(旭硝子社製)を0.5重量%、滑剤としてダイヤミッド200(日本化成社製)を0.5重量%、アンチブロッキング剤としてアエロジル200(日本アエロジル社製)を0.5重量%配合したペレットを用いて、多層化共押出機(田辺プラスチック社製)により押出成形し、外層の厚さ15μm、内層の厚さ35μmである2層の多層フィルムを得た。 【0093】〔実施例4〕防塵層(外層)用としてP2ペレット、防曇持続層(中間層)用として、P5を97重量%、防曇剤としてレオドールSP−P10(花王社製)を3重量%、防曇防霧層(内層)用としてP5を98.5重量%、防曇剤としてレオドールSP−P10(花王社製)を0.5重量%、防霧剤としてメガファックF−177(大日本インキ化学工業社製)を1重量%配合したペレットを用いて、多層化共押出機(田辺プラスチック社製)により押出成形し、外層の厚さ70μm、中間層の厚さ80μm、内層の厚さ50μmである3層の多層フィルムを得た。 【0094】〔実施例5〕外層用としてP3を99重量%、光安定剤チヌビン622(チバ・ガイギ社製)を0.5重量%、紫外線吸収剤バイオソープ130(共同薬品社製)を0.5重量%配合したペレット、中間層用として、P5を97重量%、防曇剤としてPA5221K(丸菱油化工業社製)を2重量%、保温剤としてハイドロタルサイト化合物DHT−4A(協和化学社製)を1重量%配合したペレット、内層用としてP6を99重量%、防曇剤PA5221K(丸菱油化工業社製)を0.5重量%、防霧剤サーフロンS−131(旭硝子社製)を0.5重量%、滑剤としてダイヤミッド200(日本化成社製)を0.5重量%配合したペレットを用いて、多層化共押出機(田辺プラスチック社製)により押出成形し、外層の厚さ70μm、中間層の厚さ80μm、内層の厚さ50μmである3種3層の多層フィルムを得た。 【0095】〔実施例6〕外層用としてP3を98.5重量%、アンチブロッキング剤としてアエロジル200(日本アエロジル社製)を0.5重量%、光安定剤チヌビン622(チバ・ガイギ社製)を0.5重量%、紫外線吸収剤バイオソープ130(共同薬品社製)を0.5重量%配合したペレット、中間層用として、P5を96重量%、光安定剤チヌビン622(チバ・ガイギ社製)を0.5重量%、紫外線吸収剤バイオソープ130(共同薬品社製)を0.5重量%、防曇剤レオドールSP−P10(花王社製)を2重量%、保温剤としてハイドロタルサイト化合物DHT−4A(協和化学社製)を1重量%配合したペレット、内層用としてP4を97.5重量%、防曇剤レオドールSP−P10(花王社製)を1重量%、防霧剤メガファックF−142D(大日本インキ化学工業社製)を1重量%、アンチブロッキング剤としてアエロジル200(日本アエロジル社製)を0.5重量%配合したペレットを用いて、多層化共押出機(田辺プラスチック社製)により押出成形し、外層の厚さ10μm、中間層1の厚さ30μm、内層の厚さ10μmである3種3層の多層フィルムを得た。 【0096】〔実施例7〜9〕実施例1、5及び6と同じ配合条件で押出し、厚さ300μmのフィルムを得、これを60℃に加熱後、長さ方向にロール法で2.5倍延伸し、更に横方向にテンターを用いて2.5倍に延伸を行うことで、厚さ50μmの延伸多層フィルムを得た。 【0097】〔実施例10〜12〕実施例1、5及び6と同じ配合条件で押出し、厚さ700μmのフィルムを得、これを60℃に加熱後、長さ方向にロール法で3倍延伸し、更に横方向にテンターを用いて3倍に延伸を行い、引き続き緊張下で140℃、2分間熱処理することで、厚さ100μmの延伸熱セット処理多層フィルムを得た。 【0098】〔比較例1〕P1を98重量%、防曇剤レオドールSP−P10(花王社製)を2重量%、防霧剤DS−401(ダイキン工業社製)を1重量%配合したペレットを用いて、Tダイ付単軸押出機(池貝社製)により押出成形し、厚さ200μmのフィルムを得た。 【0099】〔比較例2〕P1を96.5重量%、防曇剤レオドールSP−P10(花王社製)を2重量%、防霧剤サーフロンS−131(旭硝子社製)を0.5重量%、光安定剤チヌビン622(チバ・ガイギ社製)を0.5重量%、紫外線吸収剤バイオソープ130(共同薬品社製)を0.5重量%配合したペレットを用いて、Tダイ付単軸押出機(池貝鉄工社製)により押出成形し、厚さ50μmのフィルムを得た。 【0100】〔比較例3及び4〕比較例1及び2と同じ配合条件で押出し、厚さ300μmフィルムを得、これを60℃に加熱後、長さ方向にロール法で2.5倍延伸し、更に横方向にテンターを用いて2.5倍に延伸を行うことで、厚さ50μmの延伸フィルムを得た。 【0101】〔比較例5及び6〕比較例1及び2と同じ配合条件で押出し、厚さ700μmフィルムを得、これを60℃に加熱後、長さ方向にロール法で3倍延伸し、更に横方向にテンターを用いて3倍に延伸を行い、引き続き緊張下で140℃、2分間熱処理することで、厚さ100μmの延伸熱セット処理フィルムを得た。得られたフィルムの性状を表2〜表4に示す。 【0102】 【表2】
【0103】 【表3】
【0104】 【表4】
【0105】(生分解性試験)実施例1〜12及び比較例1〜6で得られた農業用乳酸系多層フィルムについて、コンポストによる生分解性試験を行った。試験片はフィルムを10cm×10cmに切り取ったものを用いた。コンポスト試験はドッグフード及びエコロンボ菌(アロン化成社製)を入れたコンポスト化機械(静岡精機社製)を用い、内部を50±10℃で制御して3ヶ月間行い、試験前後の総合重量平均分子量の残存率(試験後のMw/試験前のMw×100)を測定した。これらの結果を表5に示す。これらはいずれも良好な生分解性を示した。 【0106】 【表5】
【0107】 【発明の効果】本発明は、ハウス、トンネル、マルチ等の農業用資材に幅広く利用出来る、透明性と生分解性に優れ、ブロッキングやブリードアウトが少なく、優れた防塵性、防曇持続性、防霧性を有する農業用乳酸系多層フィルムを提供することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002886 【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年11月17日(1999.11.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088764 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 勝利
|
| 【公開番号】 |
特開2001−136847(P2001−136847A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月22日(2001.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−326716 |
|