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【発明の名称】 農業用ハウスの内張り材
【発明者】 【氏名】国定 佳孝

【氏名】浅部 仁志

【氏名】桜井 尚史

【要約】 【課題】遮光性、保温性を備え、かつ防霧性にすぐれた農業用ハウスの内張り材を提供すること。

【解決手段】合成樹脂の長繊維フィラメントが高密度にかつ無方向に堆積接合された不織布を細幅にスリットした遮光性テープ2および親水性素材からなる吸湿性テープ3を経糸に、他の合成繊維(例えば、高密度ポリエチレン製モノフィラメント4)を緯糸に用いた織布からなることを特徴とする防霧性農業用ハウスの内張り材1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成樹脂の長繊維フィラメントが高密度にかつ無方向に堆積接合された不織布を細幅にスリットした遮光性テープおよび30℃、65%RHでの吸湿率が5%以上の吸湿性テープを経糸に用い、他の合成繊維を緯糸に用いた織布からなることを特徴とする農業用ハウスの内張り材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用ハウスの内部に展張するシート体であり、遮光、遮熱、保温、防霧を目的として使用される農業用ハウスの内張り材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、果物や花卉などの栽培において、促成栽培や防寒、防霜を目的として、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの被覆材を外側に被覆したいわゆるハウス栽培が広く行われている。しかし、この種の被覆材を被覆した農業用ハウスは、赤外線の透過率が大きいため昼間の温度上昇が大きすぎる傾向にあり、たとえ低温期であっても農作物の生育適温を超えることがあり、また、夜間には放射冷却により温度が低下しすぎるという問題があり、このような問題に対処する方法として、ハウス内において遮光性および保温性を備えた内張り材を展張するケースが多い。
【0003】そして、ハウスの被覆材に用いられる上記ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などには、被覆材の表面張力を低下させる界面活性剤が添加されて、いわゆる防曇性が一般的に付与されており、ハウス内の水分が結露して生じる水滴が被覆材内面に沿って流れ落ちるようにしているが、冬季に限らず夏季の早朝など急激に気温が低下してハウス内外の温度差が大きくなるなどの気象条件とハウス内の湿度などが関連して、被覆材に結露しきれない水分が霧となって空中に拡散する現象がみられる。このように発生した霧は、ハウス内で栽培中の果物や花卉を濡らして損傷する原因となり、また、霧のためハウス内の視界が低下して作業に支障をきたすなどの問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に鑑み、遮光性、保温性を備え、かつ防霧性にすぐれた農業用ハウスの内張り材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するためになされたもので、合成樹脂の長繊維フィラメントが高密度にかつ無方向に堆積接合された不織布を細幅にスリットした遮光性テープおよび30℃、65%RHでの吸湿率が5%以上の吸湿性テープを経糸に、他の合成繊維を緯糸に用いた織布からなることを特徴とする農業用ハウスの内張り材を提供して、上記課題を解消する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、遮光性テープに用いられる不織布は合成樹脂としてポリオレフィンの他、ポリエステル、ポリアミドなどが用いられ、これら合成樹脂よりなるフィラメント形状の長繊維で構成される必要がある。長繊維からなる不織布は、繊維長がcm或いはmm単位のステープル形状の短繊維からなる不織布に比べて表面の摩擦抵抗性にすぐれるため、耐久性にすぐれハウス用内張り材として好適に使用されるからである。不織布の坪量としては、30〜200g/mが好ましく、坪量30g/m未満であると機械的強度が著しく低下し、部分的な強度差が大きく、テープ状の糸条として生産効率が悪化する。一方200g/mを超えると重量が増加し柔軟性に劣り取扱い性が困難となり好ましくない。
【0007】上記不織布は、紡糸、延伸、開繊、接着の工程を連続的に行なう直接紡糸法により、長繊維委をランダムに堆積しボンディングして得られるものであり、具体的には、紡糸可能な熱可塑性樹脂を押出機にて溶融し、紡糸ノズルから押出された繊維をローラー法またはエアジェット法で延伸繊維化するスパンボンド法による不織布や、溶融樹脂を高圧ガス流とともに紡糸ノズルから噴射して延伸繊維化するメルトブロー法による不織布や、紡糸可能な熱可塑性樹脂を溶媒に高温高圧下に熔解した溶液を紡糸ノズルを通して大気中に放出し、溶媒を気化させて繊維化するフラッシュ紡糸法による不織布などが挙げられるが、高強力を有し遮光性テープとしての取扱い性が良好な点でフラッシュ紡糸法による不織布が特に好適である。
【0008】フラッシュ紡糸法は、高密度ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂をハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの低沸点の溶媒に高温高圧下に溶解して得た溶液を用い、より加圧した状態で圧力降下室を設けた紡糸ノズルを通して低温低圧域の大気中に放出し、溶媒が瞬間的に気化することでその膨張力によって繊維に配向を与えたものであるから、単糸繊度が0.1〜0.3dr程度の極細で高強力な繊維が形成され、この繊維を交差させながら堆積して熱圧着して得られる不織布は、高密度に接合した緻密な構造を有する。
【0009】この不織布は、長繊維を高密度に堆積接合したものであるから、不透明性で白化度が高いものであるが、光に対する分光特性として、光吸収率5%以下であるものが好ましい。即ち、遮光性テープの構成部材として、光吸収率が5%以下と低いことで、不織布自体が蓄熱することが少なく、遮光性テープで覆われた内部の異常な昇温を抑制できるのである。
【0010】不織布は、溝付きロールまたは2本のガイドロール間で、カッタ刃または丸刃により所定の幅に合わせて多数本にスリットすることで遮光性テープとする。スリット幅としては2〜30mm幅、好ましくは4〜20mm幅である。2mmより小さいと遮光性テープ及びネット構造物としての取扱い上の強度及び実用的な強度が不十分なものとなる。一方、30mmより大きいと織成の効率が著しく悪化し、実用上取扱い難いものとなる。
【0011】次に、本発明において用いる吸湿性テープは、30℃、65%RHでの吸湿率が5%以上であることが必要であり、これより吸湿率が低いと本発明の目的を達成することが困難となる。30℃、65%RHでの吸湿率は好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。
【0012】吸湿性テープに用いられる素材としては、親水性素材であるポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、レーヨンなどが挙げられ、吸湿性テープとしては、これら素材からなるフィルムまたは不織布を細断したテープが挙げられる。これらのうちでは、ポリビニルアルコールからなるフィルムを細断して形成したテープが最も好ましい。
【0013】上記ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコール100重量%であるもの、またはビニルアルコールとエチレンなどの他のモノマーとの共重合体、あるいはそれらのブレンド物を包含するものである。
【0014】上記ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルを用いて溶融押出法にて容易にフィルムを形成することができる。また、ビスコースレーヨンを凝固液中に押し出してフィルム化したセロハンも吸湿性テープとして好適に用いることができる。
【0015】上記ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、レーヨンからなる不織布の製造方法としては、繊度が1〜10デニールの繊維を公知のニードルパンチ法、スパンレース法、メルトブロー法、スパンボンド法等により交絡結合して得ることができる。
【0016】上記親水性素材からなるフィルムまたは不織布は、溝付きロールまたは2本のガイドロール間で、カッタ刃または丸刃により所定の幅に合わせて多数本にスリットして吸湿性テープとする。スリット幅としては2〜30mm幅、好ましくは4〜20mm幅である。吸湿性テープ幅は、遮光性テープ幅とほぼ同等であると、外観上、または織成効率上好ましい。
【0017】本発明において、他の合成繊維としては、延伸糸条として高強力の得られる熱可塑性樹脂を用いて形成された繊維であって、熱可塑性樹脂として具体的には、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられるが、成形性、廉価性などの点でポリオレフィンが好ましく、具体的には、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましい。
【0018】上記合成繊維の糸条形態としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、フラットヤーン、スプリットヤーンなどいずれも使用できるが、成形性、生産性、などの点からモノフィラメントが好ましい。また、これら糸条の製造方法は、公知の技術を採用すればよく、モノフィラメントはダイスから押し出されたモノフィラメントを縦一軸延伸し、その後の熱処理を施すことによって得ることができる。
【0019】上記合成繊維の繊度としては、100〜1000デニール(以下、dと記載)が好ましく、200〜500dがより好ましい。繊度が100d未満では本発明の用途としての強力が不充分となり、1000dを超えると織成効率が劣るだけでなく、織布として柔軟性が劣り好ましくない。
【0020】本発明において、上記遮光性テープおよび吸湿性テープを経糸に用い、他の合成繊維を緯糸に用いて織布を形成し、防霧性農業用ハウスの内張り材を形成するものである。
【0021】上記織布の織組織としては、平織、綾織、絡み織など種々の織組織が採用できるが、広幅の遮光性テープおよび吸湿性テープを経糸として用いたときに、経糸は反転しないことが好ましい。また、織密度としては、目的とする保温性の程度に依り異なり、密組織〜粗目組織まで任意である。なお、このとき、経糸として他の合成繊維を補強用として、遮光性テープおよび吸湿性テープと交織しても差し支えない。
【0022】経糸として用いる遮光性テープと吸湿性テープを配置する割合は、目的とする内張り材の遮光性および吸湿性の程度に依り異なり任意の交織割合を取り得るが、通常、打込本数の割合として、遮光性テープ/吸湿性テープが5/1〜1/5の範囲が好ましい。
【0023】上記のような構成になる農業用ハウスの内張り材は、例えば、図3に示すように、ハウスの内張り材として展張して使用するものである。このような内張り材を展張することにより、所望により適宜の遮光性、保温性を備え、かつ防霧性にすぐれており、農業用ハウスの内張り材として好適に用いられる。
【0024】
【実施例】実施例1:遮光性テープ2として、フラッシュ紡糸法により高密度ポリエチレンを繊維化して製造される坪量58g/mの不織布を選び、2本のガイドロール間に7.2mm幅のディスタンスピースにカッタ刃を取付けたスリッタを通過させて7.2mm幅の遮光性テープ2を得た。この遮光性テープ2は、積分球を装着したライカ社製波長別光学エネルギー分析装置により測定した波長域400〜700nmにおける光反射率は平均94%であった。
【0025】吸湿性テープ3として、平均重合度1700、けん化度99.9%のポリビニルアルコールからなる厚み40μmのフィルムを選び、2本のガイドロール間に7.2mm幅のディスタンスピースにカッタ刃を取付けたスリッタを通過させて7.2mm幅の吸湿性テープ3を得た。この吸湿性テープ3は、30℃、65%RHでの吸湿率が15.5%であった。
【0026】合成繊維として、高密度ポリエチレン(MFR=1.0、密度=0.961g/10min.、Tm=132℃)を用いて、270dのモノフィラメント4を形成した。このモノフィラメントの強力は5.4g/dであった。
【0027】上記遮光性テープ2本に対して、吸湿性テープ1本の割合でテープ間隔を2.3mmに配置して経糸とし、上記高密度ポリエチレン製モノフィラメントを緯糸として打込密度10本/インチで織成し、図1示すような平織の織布を得た。
【0028】上記織布をポリエチレンを被覆材とした農業用ハウス5の内張り材1として、図3に示すように展張して使用したところ、冬季において昼間は遮光性テープ2による遮光効果により、生育適温を超える温度上昇を防止し、夜間は保温性にすぐれて温度が低下しすぎることもなく、また、早朝に急激な日光の照射によりハウス内外の温度差が生じても、吸湿性テープ3の吸湿効果により霧の発生も見ず、農業用ハウスの内張り材として好適に使用された。
【0029】実施例2:実施例1で用いた遮光性テープ2、吸湿性テープ3、高密度ポリエチレン製モノフィラメント4を用い、経糸として遮光性テープ2本に対して、吸湿性テープ1本の割合でテープ間間隔を3.0mmに配置したその間隔に高密度ポリエチレン製モノフィラメント4を絡み織りで2対(4条)配置し、高密度ポリエチレン製モノフィラメント4を緯糸として打込密度10本/インチで織成し、図2示すような織布を得た。この織布は、縦方向の強力も十分で、遮光性、保温性、防霧性にすぐれ、農業用ハウスの内張り材1として好適に使用された。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の防霧性農業用ハウスの内張り材は、合成樹脂の長繊維フィラメントが高密度にかつ無方向に堆積接合された不織布を細幅にスリットした遮光性テープおよび親水性素材からなる吸湿性テープを経糸に用い、他の合成繊維を緯糸に用いた織布からなる構成であって、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの被覆材に覆われたハウスの内部に展張することにより、所望により適宜の遮光性、保温性を備え、かつ防霧性にすぐれており、農業用ハウスの内張り材として好適に用いられる。
【出願人】 【識別番号】000234122
【氏名又は名称】萩原工業株式会社
【識別番号】593182923
【氏名又は名称】丸和バイオケミカル株式会社
【出願日】 平成11年11月12日(1999.11.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−136843(P2001−136843A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−321832