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【発明の名称】 フィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置、その装着用治具及び保持レール
【発明者】 【氏名】阿波野 政晴

【要約】 【課題】フィルムを破損することなく、安定して容易に固定できるフィルム固定装置を提供する。

【解決手段】フィルム固定装置は、開口部と保持室とからなる凹部を有し、ハウスのフレームに固定される保持レールと、保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、凹部に少なくとも一部が納められ、保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備える。拡幅装置は、凹部の開口部から保持室へ挿入でき、保持室内で一対の側壁が保持室の両側面に当接するように拡幅され得る拡張部と、拡張部内に収納でき、拡張部長手方向に延びる摺動部材及び摺動部材と連動する連動部材を備え、収納状態において拡張用倍力機構を介して摺動部材及び連動部材を作動させ拡張部を拡幅させ得る作動部と、外部操作により操作用倍力機構を介して拡張用倍力機構を駆動する操作部とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置であって、レール長手方向に延びる開口部と該開口部より内方において拡幅した保持室とからなる凹部を有し、前記フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールと、前記保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、前記凹部に少なくとも一部が納められ、前記保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備え、該拡幅装置は、摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び前記連動部材を作動させて拡幅し、且つ、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動するように構成されていることを特徴とするフィルム固定装置。
【請求項2】 フィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置であって、レール長手方向に延びる開口部と該開口部より内方において拡幅した保持室とからなる凹部を有し、前記フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールと、前記保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、前記凹部に少なくとも一部が納められ、前記保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備え、前記拡幅装置は、前記保持レールの前記凹部に納められる細長い形状を有し、前記凹部の開口部から前記保持室へ挿入でき、間に中空部を有する一対の側壁を備え、前記保持室内で前記一対の側壁が該保持室の両側面に当接するように拡幅され得る拡張部と、前記拡張部の中空部内に収納することができ、該拡張部長手方向に延びる摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、前記中空部内への収納状態において、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び連動部材を作動させ前記拡張部の一対の側壁を押圧して該拡張部を拡幅させ得る作動部と、前記拡張部の端面に設けられ、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動する操作部とを備えていることを特徴とするフィルム固定装置。
【請求項3】 前記作動部の拡張用倍力機構が、前記摺動部材に傾斜角を伴って連結された多数の相互に平行なリンクを備えており、該リンクは、前記摺動部材相互の長手方向への相対移動により、該摺動部材に対する角度を直角に近づけることにより前記拡張部を広げるように配置されており、前記操作部の操作用倍力機構は、前記摺動部材を長手方向に摺動させるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム固定装置。
【請求項4】 前記作動部の拡張用倍力機構がさらに、前記摺動部材と協働するように該摺動部材に平行に延びるカム板を備え、該摺動部材及びカム板は、いずれか一方又は双方が、多数の傾斜した相互に平行なカム面を備え、相互に長手方向に相対移動可能とされ、該相対移動により前記カム面に案内されて前記拡張部を広げるように配置されており、前記操作部の操作用倍力機構は、前記摺動部材とカム板とを長手方向に相対移動させるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム固定装置。
【請求項5】 さらに前記拡張部と協働する固定補強部を備え、前記拡張部は、該拡張部の前記一対の側壁に連続し、前記保持レールの開口部に臨む2つの平面部を備え、前記固定補強部は、前記2つの平面部に跨る幅を有して前記拡張部長手方向に延びる保持板を備え、前記平面部及び保持板は、前記拡張部が前記保持室に当接する拡幅状態にあるときに、相互に凹凸嵌合する係合部を備えていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のフィルム固定装置。
【請求項6】 補助拡幅装置をさらに備え、前記拡張部は、前記保持レールの凹部に納められた状態で前記一対の側壁の各々から該凹部の開口部方向に突出する補助壁を備え、該補助壁間に、開口部と、該開口部を経て前記補助拡幅装置を収納するための補助保持室とを形成しており、前記補助拡幅装置は、前記補助保持室に納められる細長い形状を有し、前記開口部から該補助保持室へ挿入でき、間に中空部を有する一対の補助側壁を備え、前記補助保持室内で前記一対の補助側壁が該補助保持室の両側面に当接するように拡幅され得る補助拡張部と、前記補助拡張部の中空部内に収納することができ、前記補助拡張部の長手方向に延びる摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、前記中空部内への収納状態において、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び連動部材を作動させ前記補助拡張部の一対の補助側壁を押圧して前記補助拡張部を拡幅させ得る補助作動部と、前記補助拡張部の端面に設けられ、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動する補助操作部とを備えることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のフィルム固定装置。
【請求項7】 フィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置であって、レール長手方向に延びる開口部と該開口部から内方へ行くに従って、最初に位置する拡幅した保持室と、さらに内方において狭窄部を経て設けられた保持室とを有し、前記フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールと、前記保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、前記保持室に納められ、これらの保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備え、該拡幅装置は、前記保持レールの前記保持室に納められる細長い形状を有し、前記開口部から前記保持室へ挿入でき、間に中空部を有する一対の側壁を備え、前記保持室内で前記一対の側壁が該保持室の両側面に当接するように拡幅され得る拡張部と、前記拡張部の中空部内に収納することができ、前記拡張部の長手方向に延びる摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、前記中空部内への収納状態において、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び連動部材を作動させ前記拡張部の一対の側壁を押圧して前記拡張部を拡幅させ得る作動部と、前記拡張部の端面に設けられ、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動する操作部とを備えていることを特徴とするフィルム固定装置。
【請求項8】 フィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置であって、レール長手方向に延びる開口部と該開口部より内方において拡幅した保持室とからなる凹部を有し、前記フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールと、前記保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、前記保持室に納められ、該保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備え、該拡幅装置は、摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び前記連動部材を作動させて前記摺動部材が外側方に移動させることにより拡幅させ得る作動部と、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動する操作部とを備えていることを特徴とするフィルム固定装置。
【請求項9】 前記作動部は、近接離間可能に配設される一対の細長い側部摺動部材の間に細長い中央摺動部材を併設し、中央摺動部材と側部摺動部材の間に複数の連動部材を列設すると共に、各連動部材の両端部を中央摺動部材と側部摺動部材にそれぞれヒンジ連結し、各側部摺動部材の端部から内方に向けて軸受け部を形成し、中央摺動部材に端面から中央摺動部材の軸方向にねじ孔を設け、ねじを前記軸受け部にて支持すると共に、ねじの先端を中央摺動部材のねじ孔に螺合し、ねじの螺進退による側部摺動部材に対する中央摺動部材の長手方向への相対移動により、連動部材を中央摺動部材及び側部摺動部材に対して傾斜した状態から直角に近づけて側部摺動部材間の距離を拡げるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のフィルム固定装置。
【請求項10】 前記保持レールは、最初に位置する拡幅した保持室と、さらに内方において狭窄部を経て設けられた保持室とを有することを特徴とする請求項8又は9に記載のフィルム固定装置。
【請求項11】 請求項1から10のいずれかに記載のフィルム固定装置の装着用治具であって、ハウス用フレームに固定された前記保持レールに、前記拡幅装置を装着する際に用いられ、使用時に前記拡幅装置に接する細長い当接部と、該当接部に設けられ、前記拡張部における前記保持レールの開口部に臨む部分に係止して該拡幅装置を保持し得る係止部と、使用時に前記当接部に対し前記拡幅装置から遠ざかる側において該当接部に結合され使用者により把持される把持部とを備えたことを特徴とする装着用治具。
【請求項12】 前記係止部が、前記拡幅装置の保持板に設けられた複数の孔に係止する突起を備えていることを特徴とする請求項11に記載の装着用治具。
【請求項13】 前記当接部とほぼ平行に延びる細長い支持部と、前記当接部の長手方向ほぼ中央から前記支持部まで延びこれら当接部及び支持部を結合する中央支柱と、前記当接部の両端寄りの位置から前記支持部まで延びこれら当接部及び支持部を結合する端部支柱と、前記中央支柱及び端部支柱の一方又は双方に設けられた雄ねじ部と、該雄ねじ部に螺合するように前記当接部又は支持部に設けられた雌ねじ部とをさらに備え、前記当接部は、前記雄ねじ部による前記中央支柱又は端部支柱の進退動に伴って湾曲し得るように構成されていることを特徴とする請求項11又は12記載の装着用治具。
【請求項14】 フィルム展張ハウスのためのフィルム固定装置の一部を構成し、フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールであって、長手方向に延びる開口部と該開口部より内方において拡幅した保持室とを備えた凹部を形成するように両側壁及び該両側壁を連結する底壁を備え、該底壁は、前記両側壁間の中央部付近が前記開口部とは反対側へ突出していることを特徴とする保持レール。
【請求項15】 前記両側壁の一部を外側方に突出するように湾曲して湾曲吸収部を形成し、フィルム展張ハウスの湾曲フレームの沿って湾曲して配設されるときには、前記湾曲吸収部が扁平する方向に変形するように構成されたことを特徴とする請求項14に記載の保持レール。
【請求項16】 前記両側壁の上端縁から底壁に向けてスリットを形成し、該スリットを前記側壁に所定間隔で設けたことを特徴とする請求項14に記載の保持レール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルム展張ハウスのためのフィルム固定装置、その装着用治具、及び保持レールに関する。より具体的には、フィルム展張ハウスのフレームに固定され得る保持用レールに設けられた保持室と該保持室内に少なくとも一部が納められる拡幅装置との間にフィルムを介在させてこれを固定するフィルム固定装置、その装着用治具、及び保持レールに関する。
【0002】
【従来の技術】農業用又は園芸用の温室等として設置されるフィルム展張ハウスは、パイプなどを多数結合して組み立てられたハウス用のフレームの上に、ポリエステルフィルム、フッ素系フィルム、PO(ポリオレフィン)系フィルム等を張って、温室用空間を覆うことにより構成されている。張られたフィルムは、強風に耐え得るようにフレーム上に安定して固定する必要があり、このために様々なフィルム固定装置が使用されている。
【0003】フィルム固定装置として、例えば、開口部が外向きになるようにハウスのフレーム上に取り付けられた金属製保持レールの内方に向かって拡幅された溝に、ハウス用のフィルムを介在させた状態で波形棒状に屈曲した金属製スプリングをはめ込むことによってフィルムを固定する装置が知られている。この装置においては、金属製スプリングの弾性を利用して、フィルムを保持レールの溝の側面に押しつけることにより固定を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この装置では、保持レールの溝の側面において、フィルムはスプリングの形状に従い波形の頂上部において局所的に接触している。このため、固定操作時や固定後の風の作用で、擦れが生じることによりフィルムが破れやすいという問題があった。特に、PO系フィルムは、耐候性に優れ、燃やしても有害ガスを発生せず、廃棄処理が容易であるという利点を有しているために、近年よく使用されるが、擦れに対して特に弱い性質を有する。このためにマイカ線などのフィルム押さえ用の補助部材が適用し難いこともあって、展張されたPO系フィルムに風などによって微振動が生じると、フィルム固定部付近で固定部材等との摩擦接触により傷付き易かった。
【0005】また、フィルムが破損しないまでも、このような多数の局所的な固定ではフィルム面にしわが発生しやすく、このようなしわが結露を集合させてハウス内に水滴を落とすこともあった。水滴の落下は、それを受けた作物に悪影響を与えることが多く、特に花のハウス栽培においては、ハウス内で水滴が落ちると花の腐りを生じさせ易い。さらに、しわが形成された場合には、フィルムの透過性が低下するという問題もあった。
【0006】上述のような擦れによるフィルムの破損を低減するために、金属スプリングをスポンジ樹脂等で被覆したものも知られているが、やはり、局所的な固定であるために、フィルムが破損したり、フィルムにしわが発生し易かった。
【0007】また、このような金属性の波形スプリングを保持レールの溝内にはめ込むときには、スプリングを強い力で変形させて押し込むという操作を保持レールの全長に亘って行わなければならず、フィルムの固定のために費される労力が大きかった。
【0008】このようなフィルムの局所的な固定を避け、連続的に固定する固定装置が提案されている。図30は、連続的に固定するための従来のフィルム固定装置を示す。この固定装置では、ハウスのフレームに取り付けられた金属製の保持レール80の溝内に、フィルム84を介在させて樹脂製の内側レール82をはめ込み、この内側レール82を波形スプリング86で幅を広げるように押圧することにより、フィルムの固定を行っている。このようにすれば、フィルム84を保持レール80と内側レール82との間の面で連続的に固定することができる。
【0009】しかし、このような装置においても、樹脂製の内側レールを金属製レールの溝内にはめる際に、内側レールを幅方向に押し縮めながら溝内に強い力で押し込むため、保持レール及び内側レールとフィルムとの間で強い摩擦接触が生じ易かった。また、このような装置では、内側レール単独では溝内でフィルムを押圧する力が弱いので、溝に内側レールをはめた後にこの内側レールが保持レールからはずれないように治具88を用いて仮留めを行い、その後波形スプリング86を内側レール内にはめ込むという作業を必要とし、極めて面倒であった。また、この装置においても、やはり波形スプリングを変形させて内側レール内に押し込むという操作を保持レールの全長に亘って行わなければならないので、フィルム固定のための労力が大きかった。
【0010】他のフィルム固定装置としては、図31に示すように、保持レール90の溝内の一対の開口縁と底壁の2カ所とにおいて線状にフィルムを支持する固定装置が、特開平11−69917号公報に記載されている。この固定装置では、波形スプリングを使用しないために作業性は向上するが、この内側レール92を保持レール90の溝内に押し込む際に、やはりフィルムに擦れが生じ易い。また、この装置は、フィルムが保持レールの底面と平行な面に対し斜め上方へ引っ張られた場合、内側レールが溝からはずれ易い構造となっている。このため、強い風が吹いた場合などには、上述の方向にフィルムが引っ張られ、内側レールがはずれてしまうおそれがある。
【0011】本発明の目的は、上記問題を解決し、フィルム張りハウスにおいて、POフィルムやフッ素系フィルムなどの擦れに弱いフィルムであっても、フィルムを破損することなく、安定して容易にハウスのフレームに固定することを可能にするフィルム固定装置を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、上記のようなフィルム固定装置の装着用治具であって、フィルムをより容易に迅速にハウスのフレーム上に固定することを可能にする装着用治具を提供することにある。
【0013】本発明のさらに他の目的は、上記のようなフィルム固定装置において適用され得、結露防止等の効果を奏する保持レールを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のフィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置は、フィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置であって、レール長手方向に延びる開口部と該開口部より内方において拡幅した保持室とからなる凹部を有し、前記フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールと、前記保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、前記凹部に少なくとも一部が納められ、前記保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備え、該拡幅装置は、摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び前記連動部材を作動させて拡幅し、且つ、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動するように構成されており、このことによって上記目的を達成する。
【0015】或いは、本発明のフィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置は、レール長手方向に延びる開口部と該開口部より内方において拡幅した保持室とからなる凹部を有し、前記フィルム展張ハウスのフレームに固定される断面C字状の保持レールと、前記保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、前記凹部に少なくとも一部が納められ、前記保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備え、該拡幅装置は、前記保持レールの前記凹部に納められる細長い形状を有し、前記凹部の開口部から前記保持室へ挿入でき、間に中空部を有する一対の側壁を備え、前記保持室内で前記一対の側壁が該保持室の両側面に当接するように拡幅され得る拡張部と、前記拡張部の中空部内に収納することができ、該拡張部長手方向に延びる摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、前記中空部内への収納状態において、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び連動部材を作動させ前記拡張部の一対の側壁を押圧して該拡張部を拡幅させ得る作動部と、前記拡張部の端面に設けられ、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動する操作部とを備えており、このことによって上記目的を達成する。
【0016】前記作動部の拡張用倍力機構が、前記摺動部材に傾斜角を伴って連結された多数の相互に平行なリンクを備えており、該リンクは、前記摺動部材相互の長手方向への相対移動により、該摺動部材に対する角度を直角に近づけることにより前記拡張部を広げるように配置されており、前記操作部の操作用倍力機構は、前記摺動部材を長手方向に摺動させるように配置されていてもよい。
【0017】或いは、前記作動部の拡張用倍力機構がさらに、前記摺動部材と協働するように該摺動部材に平行に延びるカム板を備え、該摺動部材及びカム板は、いずれか一方又は双方が、多数の傾斜した相互に平行なカム面を備え、相互に長手方向に相対移動可能とされ、該相対移動により前記カム面に案内されて前記拡張部を広げるように配置されており、前記操作部の操作用倍力機構は、前記摺動部材とカム板とを長手方向に相対移動させるように配置されていてもよい。
【0018】さらに前記拡張部と協働する固定補強部を備えていてもよく、前記拡張部は、該拡張部の前記一対の側壁に連続し、前記保持レールの開口部に臨む2つの平面部を備え、前記固定補強部は、前記2つの平面部に跨る幅を有して前記拡張部長手方向に延びる保持板を備え、前記平面部及び保持板は、前記拡張部が前記保持室に当接する拡幅状態にあるときに、相互に凹凸嵌合する係合部を備えていてもよい。
【0019】補助拡幅装置をさらに備え、前記拡張部は、前記保持レールの凹部に納められた状態で前記一対の側壁の各々から該凹部の開口部方向に突出する補助壁を備え、該補助壁間に、開口部と、該開口部を経て前記補助拡幅装置を収納するための補助保持室とを形成しており、前記補助拡幅装置は、前記補助保持室に納められる細長い形状を有し、前記開口部から該補助保持室へ挿入でき、間に中空部を有する一対の補助側壁を備え、前記補助保持室内で前記一対の補助側壁が該補助保持室の両側面に当接するように拡幅され得る補助拡張部と、前記補助拡張部の中空部内に収納することができ、前記補助拡張部の長手方向に延びる摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、前記中空部内への収納状態において、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び連動部材を作動させ前記補助拡張部の一対の補助側壁を押圧して前記補助拡張部を拡幅させ得る補助作動部と、前記補助拡張部の端面に設けられ、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動する補助操作部とを備えるように構成されていてもよい。
【0020】或いは、本発明のフィルム展張ハウスのためのフィルム固定装置は、長手方向に延びる開口部と該開口部から内方へ行くに従って、最初に位置する拡幅した保持室と、さらに内方において狭窄部を経て設けられた保持室とを有し、前記フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールと、前記保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、前記保持室に納められ、これらの保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備え、該拡幅装置は、前記保持レールの前記保持室に納められる細長い形状を有し、前記開口部から前記保持室へ挿入でき、間に中空部を有する一対の側壁を備え、前記保持室内で前記一対の側壁が該保持室の両側面に当接するように拡幅され得る拡張部と、前記拡張部の中空部内に収納することができ、前記拡張部の長手方向に延びる摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、前記中空部内への収納状態において、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び連動部材を作動させ前記拡張部の一対の側壁を押圧して前記拡張部を拡幅させ得る作動部と、前記拡張部の端面に設けられ、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動する操作部とを備えており、このことによって上記目的を達成する。
【0021】或いは、本発明のフィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置は、フィルム展張ハウスのためのレール型フィルム固定装置であって、レール長手方向に延びる開口部と該開口部より内方において拡幅した保持室とからなる凹部を有し、前記フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールと、前記保持レールとの間にハウス用フィルムを挟んだ状態で、前記保持室に納められ、該保持室において外部操作により拡幅され得る拡幅装置とを備え、該拡幅装置は、摺動部材及び該摺動部材と連動する連動部材を備え、拡張用倍力機構を介して前記摺動部材及び前記連動部材を作動させて前記摺動部材が外側方に移動させることにより拡幅させ得る作動部と、外部操作により操作用倍力機構を介して、前記拡張用倍力機構を駆動する操作部とを備えており、このことによって上記目的を達成する。
【0022】前記作動部は、近接離間可能に配設される一対の細長い側部摺動部材の間に細長い中央摺動部材を併設し、中央摺動部材と側部摺動部材の間に複数の連動部材を列設すると共に、各連動部材の両端部を中央摺動部材と側部摺動部材にそれぞれヒンジ連結し、各側部摺動部材の端部から内方に向けて軸受け部を形成し、中央摺動部材に端面から中央摺動部材の軸方向にねじ孔を設け、ねじを前記軸受け部にて支持すると共に、ねじの先端を中央摺動部材のねじ孔に螺合し、ねじの螺進退による側部摺動部材に対する中央摺動部材の長手方向への相対移動により、連動部材を中央摺動部材及び側部摺動部材に対して傾斜した状態から直角に近づけて側部摺動部材間の距離を拡げるように構成されるようにしても良い。
【0023】前記保持レールは、最初に位置する拡幅した保持室と、さらに内方において狭窄部を経て設けられた保持室とを備えるようにしても良い。
【0024】或いは、前記フィルム固定装置を装着するための本発明の装着用治具は、ハウス用フレームに固定された前記保持レールに、前記拡幅装置を装着する際に用いられ、使用時に前記拡幅装置に接する細長い当接部と、該当接部に設けられ、前記拡張部における前記保持レールの開口部に臨む部分に係止して該拡幅装置を保持し得る係止部と、使用時に前記当接部に対し前記拡幅装置から遠ざかる側において該当接部に結合され使用者により把持される把持部とを備えており、このことによって上記目的を達成する。
【0025】前記係止部が、前記拡幅装置の保持板に設けられた複数の孔に係止する突起を備えていてもよい。
【0026】前記当接部とほぼ平行に延びる細長い支持部と、前記当接部の長手方向ほぼ中央から前記支持部まで延びこれら当接部及び支持部を結合する中央支柱と、前記当接部の両端寄りの位置から前記支持部まで延びこれら当接部及び支持部を結合する端部支柱と、前記中央支柱及び端部支柱の一方又は双方に設けられた雄ねじ部と、該雄ねじ部に螺合するように前記当接部又は支持部に設けられた雌ねじ部とをさらに備え、前記当接部は、前記雄ねじ部による前記中央支柱又は端部支柱の進退動に伴って湾曲し得るように構成されていてもよい。
【0027】或いは、本発明の保持レールであって、フィルム展張ハウスのためのフィルム固定装置の一部を構成し、フィルム展張ハウスのフレームに固定される保持レールは、長手方向に延びる開口部と該開口部より内方において拡幅した保持室とを備えた凹部を形成するように両側壁及び該両側壁を連結する底壁を備え、該底壁は、前記両側壁間の中央部付近が前記開口部とは反対側へ突出していることを特徴とし、このことによって上記目的を達成する。
【0028】前記保持レールを、前記両側壁の一部を外側方に突出するように湾曲して湾曲吸収部を形成し、フィルム展張ハウスの湾曲フレームの沿って湾曲して配設されるときには、前記湾曲吸収部が扁平する方向に変形するように構成しても良い。
【0029】前記保持レールを、前記両側壁の上端縁から底壁に向けてスリットを形成し、該スリットを前記側壁に所定間隔で設けるようにしても良い。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係るフィルム固定装置を説明する。なお、異なる実施形態における同一又は同種の部材には同一の部材番号を付して示す。
【0031】図1は、フィルム展張ハウス1の全体図である。フィルム展張ハウス1は、金属パイプ等の棒材を種々の接続手段を用いて組み合わせて形成されたフレーム4の上に、フィルム固定装置6によってフィルム8を固定して構成されている。
【0032】フィルム固定装置6は、必要に応じてフレーム上の様々な場所に配置される。例えば、ハウス側面部においてパイプに対して垂直に延びるように配置され、ハウスの屋根部においては、パイプに沿う形態で配置される。屋根部等においてパイプがアーチ状に設けられている場合には、フィルム固定装置6もこれに沿うようにアーチ状に配置される。
【0033】以下、本発明のフィルム固定装置6の実施形態を説明する。
(実施形態1)図2は、フィルムを固定した状態の実施形態1のフィルム固定装置6の断面構造を示す。図2に示すように、フィルム固定装置6は、長手方向に延びる保持レール10と拡幅装置20とを有する。拡幅装置20は、保持レール10の凹部内に納められ、フィルム8がこれらの間に介在される。
【0034】保持レール10の凹部は、長手方向に延び拡幅装置20を挿入するための開口部12と、開口部12より内方において拡幅され、挿入された拡幅装置を拡幅状態で保持するための保持室14とを備える。保持レール10は、開口部12が設けられた側と反対側の面において凸部16が設けられ、凸部16においてハウスのフレームに固定されている。その固定は、公知の留め具材を用いて行うことができる。
【0035】本実施形態の保持レール10は、凸部16を有しており、これにより、フィルム8とハウスのフレームとの間に所定の間隙が形成されている。このような間隙は、結露防止の効果を奏する。また、好適には、保持室14の両側面において、内方に向かって拡幅するような段差を付けた抜け留め18が設けられている。抜け留め18には、これに対応して設けられた拡幅装置20の凸部が係止し、これにより開口部12の方向への拡幅装置20の移動を阻止する。従って、保持空間14内での拡幅装置20の保持をより確実にすることができる。
【0036】ただし、保持レール10としては、長手方向に延びる開口部と、開口部より内方において拡幅した保持室とを備えて断面C字の凹部を有するような種々の保持レールを使用することが出来る。
【0037】図3は、拡幅装置20の斜視図を示す。図2及び図3に示すように、拡幅装置20は、保持室14の両側面に当接するように拡張可能に構成された拡張部22と、拡張部内に納められて拡張部を拡幅させるための拡幅機構24と、外部から拡幅機構24を拡幅装置20の長手方向に移動させるためのねじ26とを備えている。
【0038】拡幅装置20の拡張部22は好ましくは樹脂で形成され、拡幅が可能となるように、断面C字状の端部とこれに連続する平坦部とを備えた中空の左右2つの拡張部材22a及び22bが中央で隙間ばめされて構成されている。これら拡張部材22a及び22bの係合部分において、一方の拡張部材22aは、凸部220aを有し、他方の拡張部材22bは、凸部220aと幅方向で嵌合される凹部220bを有している。凸部220aは、先端部が矢尻状に拡径しており、凹部220bは、先端部に一対の返り歯状係止片が設けられ、凸部220aを挿入した後は、凸部の矢尻状先端部と係合して抜け止めをなすことが望ましい。また、凹部220bの幅dは、拡幅装置20の拡幅状態及び縮幅状態に於ける幅を規定する。この幅dは、拡幅状態において拡幅装置の幅が保持室の幅とほぼ同じになるように設計される。また、幅dは、縮幅状態において拡幅装置の幅が保持レールの開口部幅よりも小さくなるように設計される。
【0039】また、左右2つの拡張部材22a及び22bの開口部12側の平坦面上には、それぞれ複数の孔22cが設けられている。孔の形状は拡張部材長手方向に長い長円形であることが望ましい。これにより、拡張装置20が長手方向に沿ってアーチ状に湾曲され、湾曲の外寄りの面が伸張しても、後述する保持板の凸部を受け入れることができる。
【0040】図4は、拡幅機構24を示す。拡幅機構24は、互いに平行に設けられた2本の長細部材24a及び24bと、これを接続する連動部材である複数のリブ24cとを有している。リブ24cは、各接続部jの回りで細長部材24a及び24bに対して回動可能に接続されている。これにより一方の細長部材24aを摺動部材として長手方向に運動させ、リブの細長部材との角度を鋭角から直角に近づけることができる。この結果、2本の細長部材24a及び24b間の間隔が拡がる。すなわち、図4に示す拡幅機構24では、リブ24cが、リンクとして作用することで、細長部材相互の相対移動により細長部材の間隔を広げる拡張用倍力機構の役割をなす。
【0041】細長部材とリブとの接続は、接続部jにおいて回転性と耐久性とが得られるような適切な接続形態となるように、例えば、PO(ポリオレフィン)などからなる樹脂により細長部材とリブとを一体的に形成することによって得られる。このような接続部を形成するために、公知の樹脂材料及び成形方法を用いることが出来る。また、接続部jにおいて、リブ24cは、細長部材との角度が直角となったときに、細長部材に当接して、細長部材のこれ以上の相対移動を抑止するような端面を有している。さらに、リブ24cと細長部材24a及び24bとが直角に当接する状態において、リブは、一対の細長部材の互いに対する方向に加えられる力を支持する支柱としても作用する。
【0042】図5は、拡幅装置20の上方向からの断面図と両端の側面図を示す。拡張部22の中空部内において、拡幅機構24が長手方向に沿って配置されている。拡幅機構24の一方の細長部材24bが、拡張部22の一方の拡張部材22bに固定部28により固定されている。この固定部28は、好適には拡張部材22bと一体成形され、細長部材24bに係止するストッパである。ただし、この固定は種々の手段でなされてよく、例えば、ねじ留め具を用いて、拡張部材22bと細長部材24bとを固定してもよい。
【0043】拡張部材22a、22bの端部には図5に示すキャップ30が装着されている。キャップ30は、拡張部材22a、22bの端部を長円形に覆う平坦部300と、該平坦部から拡張部材22a、22bの外周を囲むように延びるリップ301と、平坦部の途中に形成された蛇腹部302とを備えている。キャップ30は、拡張部材22a、22bに被せられ、リップ301の先端の返り歯状の係止片が拡張部材22a、22bの外周に設けられた溝に係止して固定されている。キャップ30における細長部材24aに対応する箇所には、凹所303とその底部から延びる小径の貫通孔304とが形成されている。この貫通孔304には、ねじ26が挿入され、そのヘッドが凹所303に保持されている。ねじ26の先端側は、細長部材24aの端面から長手方向に延びる雌ねじ付き孔に螺入されている。従って、ねじ26は、Lハンドル等を用いて回すことにより、細長部材24aをキャップ30側へ引き寄せる作用をなす。細長部材24aの反対方向への移動は、ねじ26を逆向きに回したときにリブ24cと細長部材との結合部での弾性力によって生じる。尤も、ねじ26の先端側が、貫通孔304の箇所でキャップ30の内面に当接するようにすれば、ねじの前記逆回転で積極的に細長部材24aをキャップ30から離反する方向へ押しやることが出来る。このようにして、キャップ30のねじ通し孔、ねじ26、細長部材の雌ねじ付き孔は、人手による外部操作の際に機能する操作用倍力機構をなしており、これにより、拡幅装置20の外部から拡幅機構24の拡張用倍力機構を駆動することが可能になっている。
【0044】このように、本実施形態の拡幅装置は、拡張部の端面に設けられたねじ部を操作することにより、操作用倍力機構を介して拡幅機構の細長部材を長手方向に移動させる。また、この移動により、拡張用倍力機構を介して細長部材の間隔が広げられる。これにより、拡張部の中空部両壁内面が押圧されることにより拡張部が拡幅する。拡幅された拡張部は、好適には、保持レールの保持室の寸法にほぼ等しい寸法に達する。
【0045】なお、上述したような拡幅装置20を得るために、種々の形態の拡張部22、拡幅機構24を採用することができ、また、これらの接続形態も種々のものとすることが出来る。以下、上記に示した拡幅機構とは異なる拡幅機構とされた拡幅装置を例示的に説明する。
【0046】図6及び図7は、上記図4及び図5に示す拡幅機構24の接続部jにおいて、リブ端に設けられた円柱体を、細長部材の円筒形窪みに嵌合することにより接続部を形成した拡幅機構を用いた形態の拡幅装置を示す。
【0047】図6に示す拡幅装置において、一方の細長部材24bは、固定ねじ32によってキャップ30及び拡張部材22bに固定されている。このような構造においても、ねじ26を外部から操作して細長部材24aを細長部材24bに対して長手方向に摺動させることにより、リブ24cは円柱体を軸とする回転運動を伴って細長部材との角度を直角に近づける。このようにして、細長部材の間隔が拡がる。
【0048】図7に示す拡幅装置において、一方の細長部材24bと拡張部材22bとの固定は、拡張部材22bに固定された突起36が、細長部材24bに形成された窪みに嵌合されることにより行われている。この構成において、上記突起と窪みとの嵌合により細長部材24bの長手方向への移動は防止される。また、リブ24cによって支持され、リブ24cに接続したもう一方の細長部材24aが拡張部22に当接することで、細長部材24bの幅方向への脱落も防止される。このような接続形態にすることにより、細長部材を拡張部に固定する作業を比較的容易にし得、拡幅装置を組み立てる際の作業性を向上し得る。また、キャップ34は、図に示すように、各拡張部材22a及び22bのそれぞれに取り付けられるように分離された形態とすることができる。
【0049】図8はさらに他の形態の拡幅機構24を示し、図9は図8に示す拡幅機構24を備えた拡幅装置20を示す。この形態の拡幅機構24は、長手方向に延びる細長部材(摺動部材)24dと、この両側において回転可能に接続された多数のリブ(連動部材)24eと、拡張部22に固定され、間にリブ24eを摺動可能に挟持するように対で設けられた柱状体38とから構成されている。
【0050】この形態においては、ねじ26を用いて細長部材24dを長手方向に摺動させることにより、拡張部22の側壁は、リブ24eの先端部に押されて、相互に間隔を広げることになる。リブ24eと、これを挟持するように対で設けられた柱状体38とは、リブ24eが柱状体38との接触部を中心にして回転可能となるように接している。この実施形態では、幅方向中央部に設けられた細長部材24dが、その両側に多数のリブ24eからなる2対のリンク機構を備えることにより、拡幅用倍力機構が構成されている。
【0051】図10は、さらに他の形態の拡幅機構を備えた拡幅装置を示す。この形態の拡幅機構は、スリットにより形成されたカム面47を備えた摺動部材であるカム板46と、2つの拡幅部材のそれぞれに固定され、カムフォロワ(連動部材)を構成する突起48とを備えている。カム面47は、カム板46の長手方向に対して傾斜している。このカム板をねじ26によって長手方向に摺動させることにより、拡幅用倍力機構の突起48が、カム面に案内されて拡張部材の間隔を広げるように動作する。
【0052】図10に示す拡幅機構は、ねじに接続するカム板と、拡張部に固定された突起とによって構成されていたが、これとは異なり、突起を有する摺動部材をねじに接続し、拡張部にカム板溝を形成する形態であってもよい。なお、上記には様々な形態を有した拡幅機構を備える拡幅装置を例示したが、これらの形態の他にも種々の拡幅機構を備える拡幅装置を利用し得る。
【0053】図11に示すように、拡幅装置20はさらに、上述したような拡幅機構24のいずれかを利用して拡幅された拡張部22の形状維持をより確実にするための補強板を備えていてもよい。補強板40は、長手方向に延びる平板42と平板42上に設けられた複数の凸状係合部44とを備える。補強板40は、保持レールの開口部に望む拡張部材22a及び22bのそれぞれの平面部上に跨るように配置され、複数の凸状係合部44によってこれら平面部に設けられた孔22cと凹凸嵌合出来るように構成されている。好適には、補強板40は、可撓性を有する樹脂材料から形成されている。また、凸状係合部44の先端は、抜け止め防止のために拡径していることが望ましい。
【0054】ここで、補強板40の幅方向に配置された一対の凸状係合部44間の間隔Pは、拡張部22が保持レールの保持室とほぼ当接するような拡幅状態にあるときの拡張部の一対の孔22c間の間隔と実質的に同一になるように設計される。従って、補強板の凸状係合部44を拡幅状態の拡張部材の孔にはめ込むことにより、拡張部が縮幅することが防止できるので、拡幅装置が保持レールの保持室から開口部を通ってはずれ落ちるのを防止する。
【0055】次に、本実施形態のフィルム固定装置6の装着用治具について説明する。
【0056】図12及び図13は、フィルム固定装置の装着治具50を示す。装着治具50は、中央部に取っ手59を備え長手方向に延びる細長い支持部52と、支持部52に対して平行に設けられ拡幅装置に接してこれを押さえるための当接面55を有する細長い当接部54と、長手方向中央部において支持部52と当接部54とにほぼ垂直方向で接続されてこれらを固定する中央支柱56とを有している。装着治具50はさらに、支持部52の両端寄りの位置において中央支柱56と平行に設けられた2本の調節ねじ58を有している。調節ねじ58は、支持部52の両端よりの位置に設けられたねじ孔を貫通し、その先端が当接部54に当接するように設けられている。
【0057】当接部54の当接面55は、例えば拡幅装置の拡張部22の上面、すなわち補強板40を装着するための孔が設けられた面と接触する面である。拡張部の上面を安定して押さえ付けるために、当接面55には例えば長手方向に延びる断面山形の凸状面などの係止部が適宜設けられ、これを、拡張部22上の長手方向に延びる段差部などに当接させることによって、拡張部上面が当接面55に対して滑ることを防止し得る。
【0058】また、調節ねじ58は当接面55を長手方向に湾曲させるために設けられている。当接部54を樹脂などの可撓性材料から形成し、支持部52両端近傍に設けられた調節ねじ58を回転させてこれを進退動させることにより、当接面55は所望の曲率半径で湾曲され得る。このように当接面55を湾曲させることができれば、例えばフィルム展張ハウスの天井部における湾曲フレームに沿って湾曲して設けられた保持レールの保持室内に、可撓性の拡幅装置を湾曲させた状態で挿入する場合などにおいて有利である。
【0059】例えばこのような装着治具を用いて、本実施形態のフィルム固定装置は適切に装着される。まず、ハウスのフレーム上のフィルムを固定したい場所に、開口部を外向きにして保持レールを取り付ける。保持レールは、フレームのアーチ状天井部や、直線状側面部などの任意の箇所において、フレームに沿うように、或いはフレームと直角方向に、公知の種々の取り付け具を用いてしっかりと固定される。
【0060】次に、固定すべき被覆フィルム(例えばPOフィルム)を保持レールの開口部を覆うように配置させ、このフィルムの上から本実施形態の拡幅装置を縮幅状態で保持レールの開口部から保持室内へと挿入する。拡幅装置は、保持レールの開口部幅よりも小さい幅を有した縮幅状態で、その実質的に平坦な背面でフィルムを押し込みながら保持室内に挿入されるので、フィルムが損傷する可能性を低減することが出来る。
【0061】このとき、図12及び図13に示す装着用治具を利用すれば挿入作業が容易になる。すなわち、当接面55を拡幅装置の拡張部上面に押し充てつつ、使用者が取っ手59を把持して、拡幅装置を保持レールの凹部内方へと押しつけることにより、拡幅装置は長手方向にほぼ均一な力で押さえられながら、保持レールの保持室内へと挿入される。このような方法によれば、保持室と拡幅装置との間に介在されたフィルムにも局所的な力が加えられることがないので、フィルムにしわが発生するのを低減することができる。
【0062】フィルムを介在させて縮幅状態で保持室内に納められた拡幅装置は、次にねじを操作することにより、外部から拡幅される。このねじは、拡張部の端部(例えば図5に示すキャップ30)に設けられており、公知の工具(例えばLハンドル)を利用して回転させることが出来る。なお、本実施形態の保持レールは、図2に示すように凸部16を介してフレームに取り付けられているため、フレームとねじとの間に空間が形成されることになる。従って、Lハンドルの回転がこの空間を利用して容易に行えるという利点も得られる。
【0063】ねじ26を操作し、拡幅機構24の摺動部材を長手方向に相対移動させることにより、拡張用倍力機構を介して細長部材間の間隔が拡がる。これにより、細長部材は拡張部22の両側壁内面を押圧して拡張部22を拡幅させる。この工程において、フィルムは、この拡幅装置の拡幅により保持室内で拡張部と保持室両側面との間に挟持されることになる。ここで、拡幅装置の拡幅は長手方向に亘って均一に行われ、また、拡幅装置とフィルムとは、平面及び緩やかな凸面で接触しているので、フィルムに損傷を与えにくく、また、展張されたフィルムにしわが生じにくい。
【0064】このようにして拡幅された拡幅装置20の保持レールの開口部に望む平面上の孔22cに、図11に示す補強板40の凸状係合部44をはめ込む。これにより、拡幅装置20は、拡幅状態をより確実に維持する。
【0065】なお、ハウス天井部などのアーチ上フレームに沿って、本実施形態のフィルム固定装置を配置した場合にも、上述のような方法によってフィルムを固定することが出来る。但し、この場合、装着治具の拡幅装置との当接面は、調節ねじを用いてフレームの形状に整合するアーチ状にされていることが望ましい。また、これに対応して湾曲された拡幅装置においても、拡幅機構が適切に機能するために、拡張部の中空部は拡幅装置を収納してさらに余分な空間を有する寸法とされていてもよい。このようにアーチ状に沿って拡幅された拡幅装置において、補強板の装着は、拡張部上面の長手方向に長い長円形状を有する孔22cによって適切に行われる。すなわち、拡張部上面も長手方向にそって湾曲するため、孔の間隔はより大きくなるが、予めその分を考慮して、孔を長円形状に設けることにより、補強板の凸状係止部との凹凸嵌合が適切に行える。
【0066】以上のように、本実施形態のフィルム固定装置を用いて、フィルムを保持レールの凹部内面と拡幅装置との間に介在させて固定すれば、従来のような金属製スプリングや、可撓性内側レールの弾性を利用せずに、フィルムを固定することが出来る。従って、フィルムの損傷やしわを低減し、比較的労力を必要としない。また、本実施形態のフィルム固定装置は、ハウスのフレーム上の直線部及び曲線部の両方において使用することができ、また、いずれの方向にフィルムが引っ張られた場合にも、これがはずれることがないので、様々な用途に安定して利用できる。
【0067】以下、図12及び図13に示す装着用治具とは別の形態の装着治具を用いたフィルムの固定方法を説明する。
【0068】図14は、他の形態の装着用治具50’の部分断面図を示す。装着用治具50’は、当接部54の当接面55の下側半分において長手方向に整列する複数の係止突起55aが設けられており、当接面55の上側半分は、テーパーが付けられている。
【0069】このような装着治具50’を用いた、拡幅装置の保持レールの保持室への挿入は以下のようにして行われる。まず、装着治具50’の当接面55に設けられた係止突起55aに、補強板40を填めて係止する。このために、補強板40には取り付け孔45が設けられている。さらに、この状態で、補強板40の凸状係合部44に、縮幅状態の拡張部22の平面上の孔22cを係止させる。同時に、補強板40を貫通して突き出ている係止突起55aは、拡張部に設けられた補助孔22dを貫通する。これにより、装着用装置50’の当接部54は、補強板40及び拡張部22を係止突起55aによって保持する形態となる。
【0070】ここで、凸状係合部44の幅方向のピッチは、拡幅状態における係合孔22cの幅方向の間隔に対応しているので、縮幅状態で取り付けられた拡張部の他方側の係合孔と、補強板40の他方の凸状係合部とは位置がずれた状態となる。このため、補強板40は、拡張部22と当接面54のテーパー面との間の空間に他方の凸状係合部が配置されるように屈曲され、これにより、補強板の他方の凸状係合部が補強板面からつきだしているために補強板と拡張部との係止を妨害するということがないようにされる。
【0071】この状態で、装着用治具50’に保持された拡幅装置を、固定すべきフィルムを介在させた状態で保持レールの開口部から保持室内へと挿入し、ねじを操作することによって拡張部を拡幅させる。これにより拡幅された拡張部の他方側の係合孔と、補強板の他方側の凸状係合部との位置が一致することになる。その後、装着用治具50’を拡幅装置から取り外し、補強板の凸状係合部を拡張部の係合孔にはめ込む。このようにすれば、保持レール内への拡幅装置の挿入を容易に迅速に行ってフィルムを固定することが出来る。
【0072】(実施形態2)以下、実施形態2のフィルム固定装置を説明する。図15は、実施形態2のフィルム固定装置が有する拡幅装置60を示す。拡幅装置60は、図2及び図3に示す実施形態1の拡幅装置20において、拡張部22の保持レールの開口部に望む平面上に、さらに長手方向に延びる一対の補助壁62a及び62bを備えた形態とされている。
【0073】補助壁62a及び62bのそれぞれは、拡幅部材22a及び22bのそれぞれに固定され、長手方向に延びている。補助壁62は、補助壁間に、開口部64と、これより拡幅する補助保持室66とを有する凹部を形成する形状とされている。
【0074】このように、拡幅装置60はさらに補助保持室66を有していることで、この補助保持室の寸法に適合した補助拡幅装置70(図16に図示)を保持する事が可能になる。補助拡幅装置70は、寸法が異なる他は、実質的に図3に示す実施形態1の拡幅装置20と同じ構造を有している。すなわち、補助拡幅装置70は、補助保持室内の両側壁に当接し、拡張可能に構成された補助拡張部71と、補助拡張部内に納められこの補助拡張部を拡幅させるための補助拡幅機構72と、補助拡幅機構を補助拡幅装置の長手方向に移動させる為の補助ねじとを備えている。
【0075】図16に、実施形態2のフィルム固定装置9の断面を示す。図からわかるように、保持レール10と拡幅装置60との間において第1のフィルム8aが固定され、拡幅装置60の補助壁62が形成する補助保持室66と補助拡幅装置70との間において、第2のフィルム8bが固定される。従って、実施形態2のフィルム固定装置9では、2枚のフィルムを別個に固定することが可能である。
【0076】なお、実施形態2のフィルム固定装置9は、実施形態1のフィルム固定装置と同様の方法で使用される。すなわち、拡幅装置60は、縮幅状態で第1のフィルムを介在させながら、保持レールの開口部から保持室内へと挿入される。その後、拡張部端面に設けられたねじなどの作用部を操作して、拡張部の中空内に納められた拡幅機構を作動させる。拡幅機構は、拡張部の両側壁を押圧することにより、これらを拡幅し、保持室の側壁にほぼ当接する状態にされる。その後、所望に応じて、補強板を装着し、このようにして第1のフィルムが適切に固定される。なお、補強板の厚さを考慮して、拡張部の補強板取り付け面は、図16に示すように周りも低くされていることが望ましい。これにより、これらの面上に設けられる補助保持室66の底面を平らにすることができる。
【0077】次に、第2のフィルムを介在させて補助拡幅装置70を縮幅状態で補助保持室内に挿入し、これを同様に拡幅して、第2のフィルムの固定を行う。これらの手順は、実施形態1において説明したものと同様である。
【0078】さらに、2枚のフィルムを固定する他の形態のフィルム固定装置としては、図17に示すような固定装置を用いてもよい。この形態では、保持レール10’は、深さ方向に2つの保持室74及び76を有しており、それぞれの保持室において、拡幅装置75及び77が配置される。それぞれの拡幅装置の構造は、実施形態1の拡幅装置と同じであってよい。
【0079】(実施形態3)図18及び図19は、実施形態3のフィルム固定装置106を示す。フィルム固定装置106においては、拡張部122と拡幅機構124とを備えた拡幅装置120が、固定すべきフィルムを介在させて保持レール110内に納められ、拡幅装置120の拡幅状態において、フィルムを固定する。この実施形態に係るフィルム固定装置は、図2に示した実施形態1と近似した構成を有するが、以下の点において異なる。
【0080】本実施形態3の保持レール110は、拡幅装置120を収容する凹部の左右両側面部分において長手方向に連続し、厚さ方向に張り出した係止部112を上下に有し、保持室116が断面において矢印状形状をなすように形成されている。
【0081】拡幅装置120の拡張部122は、両側の側壁部122aとこれらの間の平面部122cとが葛折り部122bによって結合されており、葛折り部122bによって側壁部122aが厚さ方向に拡径し易くされている。
【0082】また、拡幅装置120の拡幅機構124は、操作用ねじ26に螺合された細長部材(摺動部材)124dと、この両側において回動可能に接続された多数のリブ(連動部材)124eと、拡張部122に固定され、間にリブ124eを摺動可能に挟持する対で設けられた柱状体138とを有する。本実施形態3に係る拡幅機構124は、さらにリブ124eの先端部付近においてリブの上下面に接続された一対の補助リブ130と、一対の補助リブ130に接続された拡径部132とをさらに有している。拡径部132は、断面において全体が「く」字状をなし、両端部が一対の補助リブ130との接続箇所をわずかに越えて延び、中央部で屈曲可能とされている。補助リブ130は、リブ124e及び拡径部132と拡幅装置120の厚さ方向に回動可能に接続されている。
【0083】以下、本実施形態におけるフィルム固定装置106によるフィルムの固定動作を説明する。まず、拡幅装置120を縮幅状態で保持レール110の開口部114から保持室116内に、フィルムを介在させた状態で挿入する。次に、操作ねじ26を駆動することによって細長部材124dを長手方向に摺動させ、これによりリブ124eを回動させる。この際、リブ124eの先端部に設けられた拡径部132が拡張部の両側壁122aを押圧することにより、これらの間隔を広げる。なお、図18に示すように、拡径部132は、好適には両側壁122aとの当接面が円弧状に形成されており、拡幅動作が円滑におこなわれ得る。この結果、拡幅装置が拡幅され、拡張部122の一対の両側壁122aは保持レール110の保持室の両側面にフィルムを介在して当接するようになる(図19(a))。
【0084】ここで、本実施形態では、この拡幅装置120の拡幅状態においても、細長部材(摺動部材)124dとリブ124eとの間の角度が直角に至らない角度となるように、且つ、リブ124eの先端部が幅方向で両側壁122aと間隙を有するように、拡幅機構124が設計されている。
【0085】次に、上述のような一対の両側壁122aと保持室116両側面との当接状態において、操作ねじ26をさらに駆動して、細長部材124dをさらに摺動させる。これにより、細長部材124dと連動するリブ124eは、細長部材との角度をさらに直角に近づけるように回動する。
【0086】ここで、上述のように拡張部と保持室両側面とが既に当接しているため、拡幅装置はこれ以上拡幅できない。そこで、リブ124eに接続された補助リブ130がリブ124eとの角度を大きくする方向に厚さ方向に回動しようとする。これにより、拡径部132は拡幅装置の厚さ方向に拡径することとなり、この拡径部132に押圧されて、拡張部122の両側壁部122aもまた、葛折り部122bの形状を変形させることにより厚さ方向に拡径する(図19(b))。拡径された両側壁122aは、保持レール110の厚さ方向に張り出した係止部112と当接し、拡幅装置120の縮幅を防止する。このような構造にすれば、拡幅装置を保持レール内でより確実に維持することが出来る。
(実施形態4)図20乃至図24は、実施形態4のフィルム固定装置206を示す。図23のように、拡幅装置220は、前記の実施形態の拡張部を兼ねるものであって、保持レール210の保持室214の両側面に当接するように拡張可能に構成された拡幅機構224を備えている。
【0087】図20乃至図22のように、拡幅機構224は、一対の側部長細部材224a、224b(側部摺動部材)の間に中央長細部材224c(中央摺動部材)を配設し、中央長細部材224cと側部長細部材224a、224bの間に複数のリブ224d(連動部材)を列設すると共に、各リブ224dの両端部を中央及び側部長細部材224a、224b、224cにそれぞれ接続して構成されている。
【0088】リブ224cは、各接続部jの回りで中央及び側部長細部材224a、224b、224cに対して回動可能に接続されている。また、側部長細部材224a、224bの一端部には、隣接して配設される拡幅装置220との接続部分にスペースを確保するためのスぺーサー224r、224sが形成されている。
【0089】図21のように、一方の側部長細部材224aの一端部から内方に向けて軸受け部224eが形成され、他方の側部長細部材224bの一端部から内方に向けて挿通孔224f付きの軸受け部224gが形成され、中央長細部材224cの端面から中央長細部材224cの軸方向にねじ孔224hが設けられている。
【0090】軸受け部224eの軸受け孔224i及び軸受け部224gの挿通孔224fにはねじ224jのねじ軸の基端側(無ねじ部)が挿通され、ねじ224jのねじ軸の先端側(雄ねじ部)は中央長細部材224cのねじ孔224hに螺合されている。
【0091】ねじ224jの中間部にはワッシャなどの介在物224mが取り付けられ、この介在物224mは軸受け部224eと軸受け部224gとの間に位置している。また、介在物224mは、側部長細部材224bが側部長細部材224bの軸方向と直交する方向に移動自在となるように側部長細部材224bの軸受け部224gに取り付けられている。なお、側部長細部材224bの該移動がねじ224jによって邪魔されないように軸受け部224gの挿通孔224fは横方向に長い長孔状に形成されている。
【0092】次に、拡幅装置220の動作について説明する。ねじ224jを螺進方向に回転させると、中央長細部材224cが軸受け部224e側に引き寄せられることにより中央長細部材224cが一方の側部長細部材224aに対して相対的に移動し、各リブ224dが側部長細部材224a、224b及び中央長細部材224cに対して直角に近づいて側部長細部材224a、224bの間隔が拡がり、拡幅装置220の幅が拡張する。
【0093】逆に、ねじ224jを螺退方向に回転させると、中央長細部材224cが側部長細部材224aに対して前記とは逆方向に相対的に移動して各リブ224dが側部長細部材224a、224b及び中央長細部材224cに対して傾斜角度が小さくなって側部長細部材224a、224bの間隔が狭まり、拡幅装置220の幅が縮む。
【0094】このように、拡幅装置220では、リブ224dが、リンクとして作用することで、側部長細部材224a、224bに対する中央長細部材224cの相対移動により細長部材224a、224bの間隔を広げる拡張用倍力機構の役割をなし、また、ねじ224j、側部長細部材224aの軸受け部224e、側部長細部材224bの軸受け部224g、介在物224m及び中央長細部材224cのねじ孔224hは、人手による外部操作の際に機能する操作用倍力機構をなしている。
【0095】また、軸受け部224eによって側部長細部材224aの一端部とねじ224jとの距離は一定に保たれるので、側部長細部材224aと中央長細部材224cの間隔が拡がれば、側部長細部材224aのスぺーサー224rを含む一端部が内方に湾曲してスぺーサー224r、224sの間隔を狭くなる。そこで、本実施例では、図22のように棒状の間隔保持具224nをスぺーサー224r、224sの間に介在させて該間隔を矯正している。
【0096】間隔保持具224nは中間に伸縮部224pを設け且つ両端部に係止突起224qを形成して構成され、他方、スぺーサー224r、224sの内面側には嵌合溝224t,224uが形成されている。そして、図22の二点鎖線のように、間隔保持具224nを斜めの状態でスぺーサー224r、224s間に位置させた後、間隔保持具224nをスぺーサー224r、224sと直角となるように起して係止突起224qを嵌合溝224t,224uにはめ込むことにより間隔保持具224nをスぺーサー224r、224sの間に介在させることができる。なお、伸縮部224pが縮んで係止突起224qを嵌合溝224t,224uに容易にはめ込むことができる。
【0097】拡幅装置220は、ねじ224j及び介在物224mを除いて可撓性材料にて形成され、拡幅機構224がハウス1の湾曲したフレーム4に沿って湾曲して配設されるようになっている。
【0098】また、図20のように、拡幅装置220の中央長細部材224cの中央部には丸状の中央孔224vが、両端部には軸方向に長い長孔状の端部孔224xがそれぞれ穿設されている。そして、前記の装着治具50を用いて拡幅装置220を施工する場合には、装着治具50の当接面55の中央部の係止突起55aに中央長細部材224cの中央孔224vをはめ込み、当接面55の両端部の係止突起55aに中央長細部材224cの端部孔224xをはめ込むようにする。拡幅機構224を湾曲させて施工する場合には、前記のように装着治具50の湾曲した当接面55に沿って拡幅機構224を取り付けるようにするが、湾曲に伴う係止突起55aと端部孔224xとの位置ずれは、端部孔224xを長孔状にすることによって吸収できる。
【0099】図23のように、保持レール210は、拡幅装置220を挿入するための開口部210aと、開口部210aより内方において拡幅され、挿入された拡幅装置220を拡幅状態で保持するための保持室210bとを備えている。保持レール210は、開口部210aが設けられた側と反対側の面においては前記のように結露防止を兼ねる凸部210cが設けられ、両側壁210dは平板状に形成され、保持レール210の凸部210cにおいてハウス1のフレーム4に固定され、その固定は公知の留め具材を用いて行うことができる。
【0100】次に、フイルム固定装置206によるフイルム8の固定方法を、図23及び図24に基づいて説明する。図23のように、保持レール210上にフイルム8を位置させ、拡幅装置220を縮めた状態で開口部210aから保持室210b内に挿入した後、拡幅装置220を拡げることにより、拡幅装置220と保持レール210とでフイルム8を挟持する。なお、拡幅装置220を拡げるためのねじ224jの回転は前記にように公知の工具を用いて行う。この場合に使用する装着治具50は、図23のように、当接面55に突起55aを設け、この突起55aで拡幅装置220を保持レール210内に押し込むようにする。
【0101】以下、同様にして拡幅装置220を保持レール210内に位置させてフイルム8を固定するが、先に挿入され拡幅装置22は、後から挿入される拡幅装置220によって順次押し下げられることになる(図24)。
【0102】また、保持レール210の長手方向では、拡幅装置220が保持レール210内に連続して配設されるが、隣接する拡幅装置220の間には前記のスぺーサー224r、224sが介在することになるので、すべての拡幅装置220をセットし終えた後に、拡幅装置220の位置を調整する場合には、スぺーサー224r、224sによって隣接する拡幅装置220との間に形成されるスペースを利用してねじ224jの前記公知の工具を操作することができるので、拡幅装置220を施工した後の拡幅装置220の位置調整を容易に行うことができる。
【0103】図25及び図26は、保持レールの他例を示す。本例では、保持レール211の側壁を突曲部211eが縦方向に連続した蛇腹状に形成している。したがって、本例の場合のフイルム8の固定方法は、縮めた状態の拡幅装置220を保持室210bの底部に押し込み、拡幅装置220を拡げて側部長細部材224aを最下位の突曲部211e内に挿入してフイルム8を挟持する。この場合に使用する装着治具50は、当接面55に設けられた突起55bの突出寸法は拡幅装置220を保持レール210の底部まで押し込める大きさに設定する。
【0104】以下、同様にして拡幅装置220を保持レール210内に位置させてフイルム8を固定する(図26)。
【0105】なお、図23乃至図26は、ハウス1の開口枠のようにフイルム8が四重になる箇所に用いた例を示したが、フイルム8の重なり枚数により保持レール210、211の側壁の形状は適宜設計変更される。
【0106】図27乃至図29は保持レールの他の例を示す。
【0107】図27の保持レール212は、両側壁212aの一部を外側方に突出するように湾曲させて湾曲吸収部212bが形成され、保持レール212を湾曲させる力が働いたときは湾曲吸収部212bが扁平して該湾曲加工が容易となるように設定されている。したがって、施工現場においてハウス1の湾曲フレームに沿った保持レール212の取付作業性が向上する。
【0108】図28の保持レール213は、両側壁213aの上端縁から底部に向けてスリット213bが形成され、該スリット213bは側壁213aに所定間隔(例えば10cm間隔)で複数設けられ、保持レール211を湾曲させたときにはスリット213a部分で保持レール213が折れ曲がるように設定されている。したがって、施工現場においてハウス1の湾曲フレームに合わせて保持レール211を折れ線状に曲げて湾曲フレームに容易に沿わせることができる。
【0109】図29の保持レール214は、底壁214aの幅方向全長及び両側壁214bの下縁から上方に向けてスリット214cが連続して形成され、該スリット214cは保持レール214の長さ方向に所定間隔(例えば10cm間隔)で複数設けられ、保持レール214を湾曲させる力が働いたときにはスリット214c部分で保持レール214が折れ曲がるように設定されている。したがって、図28の保持レール213と同様に、施工現場においてハウス1の湾曲フレームに合わせて保持レール214を折れ線状に曲げることができ、また、保持レール213の折り曲げによって保持レール213はスリット214cを塞ぐ方向に変形するので、拡幅装置220等の保護が図れる。
【0110】なお、湾曲吸収部212bやスリット213b、214cは、前記の実施形態の保持レールに設けるようにしても良い。
【0111】以上、本発明の実施形態を例示のものとして説明したが、様々な改変、変更を行い得る。本発明のフィルム固定装置は、PO系フィルム、フッ素系フィルム、ビニールなど、種々の被覆材の固定に使用され得る。また、本発明において使用される保持レール、拡張部、拡幅装置は、用途等に応じて、金属、樹脂などの種々の適切な材料から形成される。
【0112】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、保持レールの保持室と、拡幅状態の拡幅装置の拡張部との間においてフィルムが適切に固定される。拡幅装置は、縮幅状態で保持レール内に挿入されるので、この間に介在されたフィルムに損傷をあたえ難い。また、拡幅は外部からの操作用倍力機構と、これのよって駆動される拡張用倍力機構を介して行われ、安定して容易にフィルムの固定が行われる。
【出願人】 【識別番号】391031096
【氏名又は名称】阿波野 政晴
【出願日】 平成12年8月30日(2000.8.30)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二 (外8名)
【公開番号】 特開2001−136842(P2001−136842A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願2000−261701(P2000−261701)