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【発明の名称】 植物体情報の測定センサ及び判定装置
【発明者】 【氏名】福原 幹夫

【氏名】出川 智久

【氏名】奥島 里美

【要約】 【課題】植物葉からの測定値を非接触、非破壊で測定できる測定センサ及び予め作成されている標準試料の検量線比較により正確かつ比較的簡単に判定できるようにした判定装置の提供。

【解決手段】測定センサ1は、対向関係に位置する発信子3及び受信子4を備え、これらの間には被測定物としての植物葉7が配置される。発信子3から発信された超音波は、植物葉7の片面側から反対面側に透過し受信子4が受信する。この測定センサ1は、パルスレシ−バ12に接続され、このパルスレシ−バ12には、A/D変換部、CPU14及びディスプレイ15がそれぞれ接続され植物体情報の判定装置10が構成される。前記CPU14では、超音波の伝搬時間、減衰比などが測定され、これらの測定値は、予め作成されている相関関係にある検量線との比較により植物葉7の植物体情報が定量的に判定できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波の発信子及び受信子間には、被測定物としての植物葉が配置され、しかも発信子からは超音波が植物葉の片面側に向って発信され、前記受信子では透過波が反対面側から受信されるようにしたことを特徴とする植物体情報の測定センサ。
【請求項2】 前記発信子及び受信子は、凹状ブロックを呈する本体の対向する起立部分にそれぞれ分かれて位置しており、その間に形成された内部空間内には植物葉が配置されるようにした請求項1記載の植物体情報の測定センサ。
【請求項3】 前記測定用センサには、ケ−ブルを介して超音波の発信及び受信を制御するパルサ−レシ−バが接続され、しかもこのパルサ−レシ−バには、前記受信子からの受信波をデジタル変換するA/D変換部、演算処理用のCPU及び波形表示などに用いるディスプレイがそれぞれ接続されるようにしたことを特徴とする植物体情報の判定装置。
【請求項4】 前記測定用センサは、水、アルコ−ル等の液体を収容した容器内に配置されている請求項3記載の植物体情報の判定装置。
【請求項5】 前記測定用センサに用いる超音波は、周波数を0.1〜100MHzとしたパルス波が選択されるようにした請求項3又は請求項4記載の植物体情報の測定装置。
【請求項6】 前記CPUでは、植物葉の硬さ及び超音波の伝搬時間、減衰比に関する相関関係が演算処理され、予め作成されている標準試料の検量線との比較により植物体情報が定量的に判定されるようにした請求項3〜請求項5に記載されたいずれか1項記載の植物体情報の測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物体情報の測定センサ及び判定装置に関し、特に、測定センサは、植物葉に超音波を透過させることにより、その測定値が非接触、非破壊でしかも正確かつ比較的簡単に得られ、また判定装置では、この測定値が予め作成されている標準試料の検量線と比較されることにより植物体情報が判定されるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来、野菜など農産物の高品質省力生産においては、時々刻々変化する植物生育に応じた自動的な生産管理技術が求められ、そのためには植物体を傷つけることなく、長期にわたって安定した測定が必要とされる。
【0003】これに対し、植物体情報の非破壊計測法は、各種提案されているが、どれも一長一短があり、また計測対象物としては一般的に植物葉が適当である。しかしながら、植物葉は、光合成活動を活発に行なっているため、センサの取り付けなどでは比較的傷つきやすく、画像を利用する以外長期の自動計測が困難な部位になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、本発明では、非接触、非破壊に測定できる超音波適用による測定センサを提供して植物葉における測定ができるようにしたものであり、またこの測定センサを利用した測定装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の点に鑑みなされたもので、請求項1に係る発明では、被測定物としての植物葉が超音波の発信子及び受信子間に配置され、しかも前記発信子からは超音波が植物葉の片面側に向って発信され、前記受信子では透過した超音波が反対面側から受信されるようにした植物体情報の測定センサを提供するものである。この場合、前記発信子及び受信子は、凹状ブロックを呈する本体の対向する起立部分にそれぞれ分かれて位置しており、その間に形成された内部空間内には植物葉が配置されることが好ましい。
【0006】また、請求項3〜請求項6に係る発明では、前述した測定センサが適用された判定装置であって、前記測定用センサには、ケ−ブルを介して超音波の発信及び受信を制御するパルサ−レシ−バが接続され、しかもこのパルサ−レシ−バには、前記受信子からの受信波をデジタル変換するA/D変換部、演算処理用のCPU及び波形表示などに用いるディスプレイがそれぞれ接続されるようにしたものである。この場合、前記測定用センサは、水、アルコ−ル等の液体を収容した容器内に配置されることが好ましく、適用される超音波は、周波数を0.1〜100MHzとしたパルス波が選択されることが好ましい。また前記CPUでは、超音波の伝搬時間、減衰比などが測定され、しかもこの測定値が植物葉の硬さと相関関係を有するので予め作成されている標準試料の検量線との比較により植物葉からの植物体情報が定量的に判定できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る植物体情報の測定センサ及び判定装置の一実施例について、図を参照しながら説明する。
【0008】図1(a)(b)は、本発明に係る植物体情報の測定センサ1の概念が示されているものであり、例えば凹状ブロックを呈する合成樹脂製の本体2は、対向する起立部分2a,2bに超音波の発信子3及び受信子4がそれぞれ備えられるようになっている。この場合、発信子3及び受信子4の対向面側にはシュ−5が位置するように構成されている。
【0009】また、前記起立部分2a,2b及びベ−ス部分2cによって形成される内部空間6内には、被測定物としての植物葉7が配置される。
【0010】したがって、この測定センサ−1は、発信子3からは超音波が植物葉7の片面側に向って発信され、前記受信子4では透過した超音波が反対面側から受信される。この場合、透過波は、植物葉7を透過する際共鳴振動して植物葉7の固有の振動波形になる。そして、送受信間の距離は、植物葉7の種類や厚さによって異なるため予め一定距離に調整されており、また超音波には、縦波、横波、パルス波などがあるが連続波でないパルス波が好ましい。パルス波は超音波が複雑に干渉し合うことが少なく、受信波形の解析がしやすく、また超音波の透過時に植物葉7が圧電体固有の振動を極力おさえる機能があるからである。
【0011】また、パルス波の周波数としては、植物葉7の透過の関係から0.1〜100MHz内にあることが必要であり、さらに安定した測定値を得るには0.1〜5MHzが好適する。
【0012】なお、植物葉7の内部空間6内への配置については、各種の手段が考えられるが、図2(a)(b)ではクリップ8及びこのクリップ8内に挿入された両端支持の吊り下げ板9による場合が例示されている。そして、前記クリップ8は、断面略三角形を呈する開閉可能な本体部分8a及び略U字状の押圧ピン8bから構成されるが、押圧ピン8bは、本体部分8aの両脇にそれぞれ位置し、開閉可能にするため両端部分が本体部分8aに係止される。
【0013】したがって、図示しない支持枠上では、クリップ8を嵌挿した吊り下げ板9が架け渡され、これに伴なってクリップ8が移動可能になるため植物葉7を簡単に配置できる。
【0014】また、図3では、本発明に係る植物体情報の判定装置10の概念が示され、前記測定センサ1には、ケ−ブル11を介して超音波の発信及び受信を制御するパルサ−レシ−バ12が接続され、しかもこのパルサ−レシ−バ12には、前記受信子4からの受信波をデジタル変換するA/D変換部13、演算処理用のCPU14及び波形表示などに用いるディスプレイ15がそれぞれ接続されるようになっている。この場合、超音波の伝搬媒質は、空気でも可能であるが、図示された測定用センサでは、容器16内に収容された水、アルコ−ル等の液体17が適用されている。
【0015】なお、超音波の伝搬媒質は、植物葉7の音響インピ−ダンス、取り扱いの容易性及び安全性を考慮すると水が最適である。
【0016】また、測定センサ1の発信子3及び受信子4を構成する圧電体材料は、セラミックス、ポリマ−のいずれでもよいが、音響インピ−ダンスが植物や水に近いということからポリマ−が好適する。測定センサ1の発信子3及び受信子4に隣接するシュ−5の材質についても上記と同様の理由でポリマ−が好適する。
【0017】さらに、前記CPUでは、超音波の伝搬時間、減衰率などが測定される。そして、前記CPUによって得られた測定値は、予め作成されている相関関係にある検量線との比較により植物葉7の植物体情報が定量的に判定される。この場合、植物体情報は、植物体の生育度、水分量、寿命、剪定時期などである。
【0018】次に、本発明に係る判定装置を使用して、茶葉の植物体情報を判定した結果について、以下説明する。
【0019】測定センサ−1は、図1(a)(b)にみられる凹状ブロックを呈するものであり、22.5℃の水を収容した容器16内では、9.86mm幅の起立部分2a,2b間に植物葉7としての茶葉を配置した。
【0020】発信子3からは、3.5MHzの超音波パルスが発信され、茶葉7の透過波を受信子4で受信するようにした。この場合、超音波の発信及び受信は、パルサ−レシ−バ12により行なわれるが、茶葉の透過波として図4のような波形が得られた。
【0021】また、超音波の伝達時間及び硬さの関係からは、図5のようにな検量線が得られ、また図4から得られる減衰比(波高比=V3/V5)と硬さとの関係でも、図6のような検量線が同様に得られた。そして、これらの図5及び図6の検量線は、新茶の柔らかい葉の区別に有効であることが判った。この理由は、葉の硬さには、葉の厚さや含水量の他、形成組織自体の硬度といった植物体の複数の情報が含まれているためである。
【0022】したがって、前記CPU14では、伝搬時間、減衰比の他に、音圧、複素周波数、実部・虚部周波数、位相、波形、波形面積、ナイキスト線図などが測定或いは解析できるので、得られた測定値、線図などから厚さや含水量等に関する相関関係を求める。そして、標準の茶葉について厚さや含水量等に関する相関関係のある検量線を予め作成しておけば、検量線から得られるしきい値との比較により、茶葉に関する生育度、水分量及び寿命などの植物体情報も判定でき、適切な剪定時期を求めることができる。
【0023】また同様に、茶葉以外のキンモクセイ、カキ、フヨウなど木本性植物についても図7(a)〜(c)でみられるような超音波の透過波の形状違いによる特性図がそれぞれ得られた。
【0024】したがって、これらの超音波の透過波特性から、伝搬時間、減衰比等を測定し、相関関係にある硬さ等の検量線比較により植物体情報が判定できる。
【0025】
【発明の効果】本発明の測定センサ1は、以上説明したように被測定物として植物葉7を対象にし、これに超音波を透過させたものであるから、植物体情報に関する測定値が非接触、非破壊でしかも正確かつ比較的簡単に測定できるという利点を有する。また、測定センサ1を組み込んだ判定装置では、植物葉7の硬さ及び超音波の伝搬時間、減衰比が相関関係をもつことから、予め作成されている標準試料による検量線との比較により植物葉7の植物体情報例えば生育度、水分量及び寿命などが定量的に判定できる。
【出願人】 【識別番号】000221144
【氏名又は名称】東芝タンガロイ株式会社
【識別番号】391027136
【氏名又は名称】農林水産省農業工学研究所長
【出願日】 平成11年11月15日(1999.11.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−136834(P2001−136834A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−323963