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【発明の名称】 コーラルサンド含有茸人工栽培用培地
【発明者】 【氏名】染谷 宣男

【氏名】染谷 慎一

【要約】 【課題】コーラルサンド含有の茸人工栽培用培地を提供する。

【解決手段】茸類、殊にマイタケの人工栽培の成長促進を行うために、培地の基材にフスマ、コーンスターチ、オガクズ(ブナ、ナラ)を用い、培地の栄養源として、亜鉛などの微量ミネラルを含有する粉体または酸との反応液によるコーラルサンドを加え、栄養豊かな培地によるコーラルサンド含有茸栽培用培地を得る。コーラルサンド由来の抗菌作用があり、且つ担持作用のある経時変化の少ない培地を得る。これにより微量ミネラルを含むミネラルリッチなマイタケ栽培ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マイタケなどの茸人工栽培用培地にコーラルサンドを添加して成ることを特徴とするコーラルサンド含有茸人工栽培用培地。
【請求項2】 ふすま、コーンスターチ、オガクズの内少なくとも一種以上を必須成分として含む茸栽培用培地に、コーラルサンドを添加して成ることを特徴とするコーラルサンド含有茸人工栽培用培地。
【請求項3】 ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ストロンチウム、リン、亜鉛、セレン、塩素、イオウ、臭素、ホウ素、鉄、銅、マンガン、窒素、クロム、バナジウムなどの微量ミネラルの内少なくとも一種以上を必須成分として含むことを特徴とする請求項1または2に記載のコーラルサンド含有茸人工栽培用培地。
【請求項4】 前記コーラルサンドは、粉体またはコーラルサンドと酸とを反応させた溶液により成ることを特徴とする請求項1〜3に記載の茸人工栽培用培地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食用や健康食品用の茸、殊にマイタケの人工栽培に用いられるコーラルサンド含有の人工栽培用培地に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決すべき課題】マイタケを含む茸類は、肥満や糖尿病などの生活習慣病を防止または改善する物質(または成分)が含まれており、今日ダイエット食品を始め、様々な商品が提案されているが、その製品のより促進可能な培地の開発が求められている。殊にマイタケは、食味の良さ、香り、健康食品(免疫機能強化、糖尿病予防、肥満予防など)の面で年々人気が高まってきており、現在年間数万トンもの栽培量となっている。
【0003】また、かっては微量元素欠乏症といえば鉄欠乏性貧血が唯一のものと知られていたが、現在では亜鉛、銅、クロム、ヨウ素、コバルト、セレン、マンガン、モリブデン、フッ素、ニッケル、ケイ素、スズ、バナジウムなど多くの微量元素について欠乏症が知られるようになってきた。このうち特に亜鉛は生殖力低下、味覚、臭覚低下、短身の原因になり、また銅は毛髪異常、貧血、骨・動脈異常を起こし、バナジウムは成長・生殖不全、ある種の糖尿病の原因になることが分かってきており、注目を集めている。また、微量亜鉛は殺菌効果もあり、現在の食生活に必需要素となっていることが判明している。
【0004】本発明は、ミネラルリッチなマイタケの供給、就中、上記コーラルサンド(亜鉛を含む多種類の微量元素を含有している)を添加することによるミネラルリッチなマイタケの人工栽培を目的とする。
【0005】一般に、茸類殊にマイタケにはその有効成分による、抗肥満、便秘改善、高血圧・糖尿病と疲労体質の改善、コレステロール値降下作用、慢性疲労症候群の改善、生活習慣病の改善、免疫力を強化することによる癌・エイズ抑制作用など広く人体に有効であることが知られてきている。
【0006】従来のマイタケ等の茸の培地は、オガクズ、米糠、フスマなどの栄養剤および適量の水を加えて混合し、これを袋などに入れて、加圧成形するステップを経てから高圧滅菌し、これを菌床とし植菌して一定の温度、一定の湿度下に約1ケ月程度培養し、その後数カ月(通常約2〜3ケ月)程度保留し、培地を熟成させてマイタケ等の茸を栽培する栽培室にて育成させている。
【0007】しかしながら、上述のように食用ならびに健康食品用のマイタケ類の需要の甚大化に鑑み、よりミネラルリッチなマイタケの育成が望まれている。
【0008】本発明者らは、上記の課題を解決すべく、マイタケを含む茸類のよりミネラルリッチなマイタケの栽培を目的に、茸栽培用培地を提供することをその目的とし、その栽培用培地に創意工夫を加え、特定の培地材を鋭意検討した結果、上記目的を達成することができたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、マイタケなどの茸人工栽培用培地にコーラルサンドを添加して成ることを特徴とするコーラルサンド含有茸人工栽培用培地である。この発明においては、特に、コーラルサンドを培地用材に選択したことが特徴であり、従来例の培地材の中の何れかを適宜選択して使用できる。
【0010】また請求項2に記載の発明は、ふすま、コーンスターチ、オガクズの内少なくとも一種以上を必須成分として含む茸栽培用培地に、コーラルサンドを添加して成ることを特徴とするコーラルサンド含有茸人工栽培用培地である。この発明においては、特に、コーラルサンドを培地用材に選択したことが特徴であり、従来例の培地材の代表的なものの中から何れかを適宜選択して使用できる。
【0011】また請求項3に記載の発明は、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ストロンチウム、リン、亜鉛、セレン、塩素、イオウ、臭素、ホウ素、鉄、銅、マンガン、窒素、クロム、バナジウムなどの微量ミネラルの内少なくとも一種以上を必須成分として含むことを特徴とする請求項1に記載の茸人工栽培用培地である。この発明においては、特に、コーラルサンドに含有される特定した微量ミネラルを培地用材に選択したことが特徴であり、この中の何れかを適宜選択して使用できる。
【0012】また請求項4に記載の発明は、前記コーラルサンドは、粉体またはコーラルサンドと酸とを反応させた溶液により成ることを特徴とする請求項1〜3に記載の茸人工栽培用培地である。この発明においては、コーラルサンド含有の微量ミネラルを有効的に添加するために、パウダー状に粉砕して使用するか、あるいはまた酸との反応液によるものである。使用する酸は、例えば酢酸、クエン酸、乳酸あるいはまたリンゴ酸などの有機酸が挙げられる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のコーラルサンド含有茸栽培用培地は、ふすま、コーンスターチ、オガクズの内少なくとも一種以上を必須成分として含む培地に、コーラルサンドを添加して成るものである。この内、ふすま、コーンスターチ、オガクズは従来例にも見られたものであるがコーラルサンドを加えた点に特徴がある。これらの何れか一種以上を培地とするものであるが、好ましくは全素材を混合する。
【0014】本発明の茸栽培用培地は、コーラルサンド、ふすま、コーンスターチ、オガクズを一定量の水を加えて混合し、これを袋などに入れて、加圧成形するステップを経てから高圧滅菌し、これを菌床とし植菌して一定の温度(約10℃〜50℃)、一定の湿度(約50%〜100%)下に培地を熟成させてマイタケ等の茸を栽培する栽培室にて育成させている。
【0015】なお、温度と湿度との関係は、湿度を100%近くにする場合には、温度を15℃以下とし、湿度を80%位の場合には、温度を16℃位とし、相対的に調整することが肝要となる。高温度且つ高湿度の場合には、湿度過多となり害菌などによる被害が発生する虞れがある。
【0016】本発明の茸栽培用培地においては、上述のように従来例の培地に加え、コーラルサンドを培地材としている。コーラルサンド由来のミネラルリッチなマイタケ類の成長促進がみられる。
【0017】微量ミネラルとしては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ストロンチウム、リン、亜鉛、セレン、塩素、イオウ、臭素、ホウ素、鉄、銅、マンガン、窒素、クロム、バナジウムなどが挙げられる(後述の表1参照)。
【0018】この内、ふすま、コーンスターチ、オガクズはいわゆる培地基材として培床を形成し、コーラルサンドはいわゆる栄養源として培床を形成している。オガクズは、ブナ、ナラなどの広葉樹系の木々のものが好ましい。また、この他周知の米糠、腐食土、チップダスト、炭、稲藁、麦藁なども培地基材として使用し得る。
【0019】上記培地は、培地基材約2〜80重量部に対して、栄養源1〜80重量部を混合して形成することが好ましいがこれに限られない。
【0020】栽培容器としては、従来例のものを使用し得る。すなわち、培地中央に排水用の小孔を連設し、加湿・加温用の当該装置を備えるものとする。
【0021】なお、保水についても、従来例のものを使用し得る。すなわち、保水シートの敷設によってこれを行うことができる。通常、これらは保水層として形成され、その上部に培地層が形成される。
【0022】この発明の、コーラルサンド含有茸栽培用培地の対象は、主にマイタケであるが、これに限られず、例えば、シメジ、エノキタケ、シイタケ、ナメコ、キクラゲ、ヒラタケ、マンネンタケ、マッシュルームなどが挙げられる。
【0023】上記により、植菌後、10℃〜50℃の温度、50%〜100%の湿度の条件下において菌糸を成長させる。子実体発生基が形成された段階、すなわちマイタケ類の子実体の初期発生が見られた段階で、さらに上記条件内で加湿・加温を行い、子実体を成長させる。なお、菌糸の生長には、温度、湿度、ガス環境、水素イオン濃度、光が必須要素であり、また子実体の発生と生育には、温度、湿度、ガス環境、光が必須要素である。
【0024】なお、サンゴのミネラル成分の一例を示すと、表1の通りである。
【表1】
コーラルサンド1g中の成分分析値 ナトリウム 1,200ppm マグネシウム 2.0% カルシウム 35.0% カリウム 10ppm ストロンチウム 0.31% リン 360ppm 亜鉛 2.4ppm セレン 0.1ppm 塩素 190ppm イオウ 2,100ppm 臭素 2ppm ホウ素 10ppm 鉄 1,220ppm 銅 0.8ppm マンガン 12ppm 窒素 0.1ppm クロム 0.2ppm バナジウム 0.2ppm【0025】ここに言うコーラルサンドとは、死滅サンゴが風化して何万年の年数を経て形成されたもので、数多くのミネラルより構成されている。例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、セレン、マンガン、バナジウムなどを含んでおり、本発明者らはその用途開発に注力してきた。
【0026】しかし、その構成元素はサンゴの種類、周りの気温、水温海流などによって若干異なることが判明している。従って、場合により更に適宜微量ミネラルを上記コーラルサンド含有の茸人工栽培用培地に添加することも可能であり、有効である。
【0027】一般に、ある種金属などの微量元素は、例えば食べ物などを通して人体に取り入れる量が著しく低下すると、重大な機能的障害が現れたり、また一方食べ物などを通して適量を人体に取り入れた場合には、栄養状態の改善や健康に効果的であることが知られてきている。
【0028】本発明者らは、マイタケなどの茸類が培地に含まれる養分を可及的に吸収し、子実体に蓄積することに着目し、コーラルサンドを養分の一種として加えたところ、ミネラルリッチなマイタケが収穫できることを発見したのである。
【0029】コーラルサンドは採取した状態で使用し得るが、コーラルサンドを粉末状で用いることが好都合である。この場合、コーラルサンドをそのままで粉砕しても良く、コーラルサンドを洗浄した後、加熱消毒して粉砕しても良い。粉末として用いる場合には、0.1〜150μm、好ましくは3〜44μmに粉砕する。このような粒度では、培地への分散性が良好となる。
【0030】また、コーラルサンドは弱アルカリ性を呈しており(pH7.0〜8.0)、いやなにおいの原因となるバクテリアなどの制菌効果があると共に、またそれが天然の防腐剤の効果があり、培地素材として顕著な作用がある。
【0031】本発明の培地素材に用いられるコーラルサンドは、上述のように風化造礁サンゴの化石から得られるものである。従って、天然物質のカルシウム含有物質であり、炭酸カルシウムを主成分とするばかりでなく、上述のようにマグネシウム、ナトリウム、カリウム、リンなどをはじめとして、微量の鉄、銅、亜鉛、セレン、マンガン、コバルト、クロムなどの人体に有用な多種類のミネラルを多く含有していることが判明している。このため、コーラルサンドを培地素材として利用した場合には、これらのミネラルを吸収することによって、ミネラルリッチなマイタケの栽培作用が期待できるものである。
【0032】これらのミネラルや元素は、腔腸動物である造礁サンゴの生命活動によって蓄積して風化し化石化したものである。このため、コーラルサンドは化学的処理によって得られる物質とは異なり、生体起源の化学組織を備えており、人体に悪影響のない安全なものである。
【0033】上述のように、コーラルサンドは殺菌又は抗菌力をも有している。この殺菌又は抗菌力について、出願人は以下の実験をおこなって、その有効性を確認済みである。すなわち、大腸菌をプレートしたシャーレにコーラルサンドをまいたところ、コーラルサンドをまいた部分の大腸菌の繁殖が抑制され、さらに、コーラルサンドを全面にまいたところ、シャーレの全面で大腸菌の繁殖がなくなったものである。これにより、本発明のコーラルサンドを培地素材として使用することにより、培地素材の消毒及び抗菌を行うことも可能となる。但し、以上のコーラルサンド含有の殺菌または抗菌作用は、マイタケ培養時の害菌などに有効的であるが、マイタケ菌そのものの培養、菌床には何らの影響を与えるものではない。
【0034】なおさらに、コーラルサンド、コーラルサンド粉末は多孔質なため、その細孔の中に、その他の培地素材などを有効に担持し、これらの培地素材の作用を効果的に発揮させるビルダーとしての特性も有している。このため、その他の培地素材に含有の有効成分についても担持作用がみられ、経時変化の少ない培地素材として効果的である。
【0035】なお、カルシウムやマグネシウムを茸人工栽培用培地に添加することは、従来より知られているが、これらを直接当該培地に添加するよりも、コーラルサンドを添加した方がマイタケの利用効率が優れていることが判明した。但し、その理由については、現在のところ必ずしも明らかではない。
【0036】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて説明する。

以上を混合し、水分含有量が約70重量%になるように加水し、30℃、湿度80%の恒温室にて培養・芽かき・芽出しを行い、さらにその後子実体を13℃、湿度95%にて生育させ約90日後に一菌床あたり750gの子実体を収穫した。この結果、コーラルサンドを添加しない場合に比べ、コーラルサンドを添加した場合はその含有ミネラル率は約15%〜25%増した。なお、食品成分表によるとマイタケにはZnが670μg/100g可食部、Cuが220μg/100g含まれていることが判明している。
【0037】

以上を混合し、水分含有量が約70重量%になるように加水し、30℃、湿度80%の恒温室にて培養・芽かき・芽出しを行い、さらにその後子実体を13℃、湿度95%にて生育させ約90日後に一菌床あたり750gの子実体を収穫した。この結果、コーラルサンドを添加しない場合に比べ、コーラルサンドを添加した場合はその含有ミネラル率は約15%〜25%増した。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、培地材を改善したので、従来例のものに比し、よりミネラルリッチなマイタケ類の栽培ができる。また、コーラルサンド由来の抗菌作用により、害菌の発生を抑制し、培床に好適な作用を与え、またさらにコーラルサンドの多孔質由来による担持作用により、経時変化の少ない好適なマイタケ類の人工栽培用培地を得ることができる。
【0039】また、請求項1の発明によれば、マイタケなどの茸人工栽培用培地にコーラルサンドを添加して成ることを特徴とするコーラルサンド含有茸人工栽培用培地であるので、培地栄養源が豊かになり、ミネラルリッチなマイタケ類の栽培が図られ且つ担持作用のある培地を得ることが出来る効果がある。
【0040】また、請求項2に記載の発明によれば、ふすま、コーンスターチ、オガクズの内少なくとも一種以上を必須成分として含む茸栽培用培地に、コーラルサンドを添加して成ることを特徴とするコーラルサンド含有茸人工栽培用培地であるので、培地栄養源が豊かになり、ミネラルリッチなマイタケ類の栽培が図られ且つ担持作用のある培地を得ることが出来る効果がある。
【0041】また、請求項3の発明によれば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ストロンチウム、リン、亜鉛、セレン、塩素、イオウ、臭素、ホウ素、鉄、銅、マンガン、窒素、クロム、バナジウムなどの微量ミネラルの内少なくとも一種以上を必須成分として含むことを特徴とする茸人工栽培用培地であるので、微量ミネラルが特定され、培地栄養源が豊かになり、ミネラルリッチなマイタケ類の栽培が図られ且つ担持作用のある培地を得ることが出来る効果がある。
【0042】また請求項4に記載の発明によれば、前記コーラルサンドは、粉体またはコーラルサンドと酸とを反応させた溶液により成ることを特徴とする茸人工栽培用培地であるので、コーラルサンド含有の微量ミネラルをより有効的に添加することができ、培地栄養源が豊かになり、ミネラルリッチなマイタケ類の栽培が図られ且つ担持作用のある培地を得ることが出来る効果がある。
【出願人】 【識別番号】599122606
【氏名又は名称】マリーンバイオ株式会社
【識別番号】599034376
【氏名又は名称】染谷 宣男
【出願日】 平成11年11月16日(1999.11.16)
【代理人】 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
【公開番号】 特開2001−136832(P2001−136832A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−363196