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【発明の名称】 台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置
【発明者】 【氏名】渡辺 裕之

【要約】 【課題】ガイド孔に導かれた棒状部材が、収納室内の棒状部材によって前方への落下を妨げられることがないようにした台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置を提供する。

【解決手段】収納部材7を前進させた時、ガイド部材9の後端9Aが収納部材7に形成された収納室7Dの前端面7Eより後方に突出させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端側に棒状部材のための収納室を、他端側に先端孔を有し、両者間においてチャックを有する台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置において、軸筒と、棒状部材を保持するためのチャックと、チャックを長手方向後方に付勢するためのスプリングと、前部にチャックを固着しかつ軸筒内を長手方向に摺動可能な内軸と、内軸内に長手方向に摺動可能に内蔵されかつ棒状部材を収納する収納部材と、収納部材を長手方向後方に付勢する後スプリングと、内軸と連動しかつ収納部材の内孔内を長手方向に摺動するガイド部材とからなり、収納部材を前進させた時にガイド部材の後端が収納部材に形成された収納室の前端面より後方に突出することを特徴とする台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【請求項2】 内軸に固着された追従管と、その追従管に固着されたガイド部材と、内軸の内段と収納部材の外段との間に張架された後スプリングとからなり、収納部材の収納室前端面を漏斗状に形成し、通常は収納室の前端面に前記ガイド部材の後端が一致しているが、収納部材を前進させて後スプリングを圧縮した時には、ガイド部材の後端が収納室の前端面より後方に突出することを特徴とする請求項1記載の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【請求項3】 ガイド部材の後端をV型に切り欠いて形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トマト、ナスあるいは瓜等の果菜類について、台木と穂木とをその接ぎ木接合端で突き合わせ、台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は、特開平7−255276号公報に記載されているように、チャックを開くことにより、収納室内に多数収納された棒状部材がテーパー面により案内されて挿通孔よりチャック内に送り込まれ、供給装置の前部に位置させた治具の孔内に落下することにより、棒状部材を先端孔より略半分程度突出させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、収納室内に多数の棒状部材が収納されていると、全ての棒状部材がテーパー面によって中心に寄せられ、挿通孔に案内された棒状部材の側面に周りの棒状部材が押し付けられてしまい、棒状部材がチャック内に落下するのを妨げてしまうものであった。特に、棒状部材の断面を六角形に形成した場合には、棒状部材同士が面接触して摩擦抵抗が増加され、断面円形の棒状部材に比べてより落下しにくくなってしまうものであった。
【0004】本発明は、上記課題を解消する棒状部材の供給装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、一端側に棒状部材のための収納室を、他端側に先端孔を有し、両者間においてチャックを有する台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置において、軸筒と、棒状部材を保持するためのチャックと、チャックを長手方向後方に付勢するためのスプリングと、前部にチャックを固着しかつ軸筒内を長手方向に摺動可能な内軸と、内軸内に長手方向に摺動可能に内蔵されかつ棒状部材を収納する収納部材と、収納部材を長手方向後方に付勢する後スプリングと、内軸と連動しかつ収納部材の内孔内を長手方向に摺動するガイド部材とからなり、収納部材を前進させた時にガイド部材の後端が収納部材に形成された収納室の前端面より後方に突出するものである。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0007】図1は、本発明における台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置の一実施例を示すものであり、図面の左側を前方とし、右側を後方とする。先ず軸筒1内に長手方向に摺動可能に内軸2を内蔵し、該内軸2の前部にチャック3の後部を固着する。チャック3の頭部3Aは前方より切溝が形成されて3つに分割され、通常は拡開した状態となっている。軸筒1の内段1Aと内軸2の外段2Aとの間にはスプリング4が張架され、内軸2を長手方向後方に付勢している。したがって、内軸2に固着されたチャック3も長手方向後方に付勢され、チャック3の頭部3Aに外嵌された締リング5にチャック3の頭部3Aが押し付けられる。すると、チャック3は閉じられて棒状部材6を強固に保持する。内軸2には長手方向に伸びた摺動溝2Bが上下に対向して形成され、更に、摺動溝2Bの後端から内軸2の後端2Cまで伸びた挿入溝2Dが内軸2の上下に対向して形成される。尚、挿入溝2Dは前記摺動溝2Bより細幅に形成されている。また、挿入溝2Dの後端部は後述する収納部材7の突起7Aが挿入し易いように後方に向かって拡開するテーパー部2Eが形成されている。
【0008】更に、内軸2の前部にはステンレスパイプからなる追従管8が固着され、該追従管8の後部には棒状部材6を導くためのガイド部材9が固着される。該ガイド部材9の後端9Aは棒状部材6を確実に導くために図2に示した様に30度から45度の角度でV型に切り欠かれている。ガイド部材9の後端9AはV型に切り欠いた方が、ガイド孔9Bに導かれなかった棒状部材6がV型に切り欠かれた両側方向に傾いて前方に移動し易くなるものである。しかし、図示していないが、ガイド部材9の後端9Aは30度から45度の角度で円錐形に形成しても十分に効果が得られるものである。
【0009】前記内軸2内に内蔵される収納部材7は、外周面の上下に対向して突起7Aが形成され、該突起7Aが前記内軸2の挿入溝2Dを挿通して摺動溝2B内に遊嵌され、図3に示した状態となる。したがって、収納部材7が内軸2内を長手方向に摺動可能に構成される。また、収納部材7の前部内孔7Bには前記ガイド部材9が摺動可能に挿入される。
【0010】更に、内軸2の内段2Fと収納部材7の外段7Cとの間には前記スプリング4より弱い弾発力の後スプリング10が張架され、通常収納部材7の突起7Aが内軸2の摺動溝2B後端縁に当接されている。また、この状態においては、ガイド部材9のV型に切り欠かれた後端9Aが収納部材7の収納室7D内に形成された漏斗状の前端面7Eより突出しないように位置合わせされる。
【0011】更に、収納部材7の後部には棒状部材6を約100本程度収納した容器11が着脱可能に装着され、収納部材7内に棒状部材6が収納される。
【0012】尚、棒状部材6はセラミックにより構成され、全長約15mmで最大径が約5.3mmの断面六角形に形成されている。
【0013】更に、軸筒1の前部には先金12が着脱可能に螺合され、先金12の内段12Aと軸筒1の先端に形成された段部1Bとの間に前記締リング5が長手方向に摺動可能に構成される。尚、締リング5の長手方向摺動可能距離は棒状部材6の全長の略半分の距離が好ましい。その理由は、最初に棒状部材6の先端を先金12の先端孔12Bの端面に合わせておけば、最初の1回のノックで棒状部材6が先金12の先端より半分突出し、次からは2回のノックで棒状部材6が先金12の先端より半分突出する。
【0014】更に、先金12にはゴム製の前密閉部材13と後密閉部材14が前後に内蔵され、該前密閉部材13と後密閉部材14はいずれも内孔の最小径部13A、14Aが棒状部材6の外径より細径に形成することにより、棒状部材6を適度の力で保持する。しかも、先金12の先端から棒状部材6の全長の半分の寸法より適宜短い位置に前密閉部材13の最小径部13Aを配置し、先金12の先端から棒状部材6の全長の半分の寸法より適宜長い位置に後密閉部材14の最小径部14Aを配置する。したがって、先金12より半分突出した1番目の棒状部材6は前密閉部材13により適度の力で保持し、2番目の棒状部材6は後密閉部材14により適度の力で保持する。
【0015】この理由は、棒状部材6を台木に差し込んだ時に樹液が毛細管作用により先金12内に入り込んで来るのを、棒状部材6を保持した前密閉部材13と後密閉部材14の所で止めるためである。
【0016】尚、密閉部材は図示していないが1個でも可能である。この場合には、密閉部材の内孔の最小径部が長手方向に適宜伸ばした形状となる。
【0017】次に、図1に示した供給装置による接ぎ木方法を説明すると、先ず、供給装置の収納部材7の後部に、約100本程度の棒状部材6を収納した容器11を装着し、収納部材7内に棒状部材6を収納する。更に、先金12の先端に棒状部材6の先端を一致させた状態において、先金12を下に向け軸筒1の後端より突出した容器11の後端を指でノックすると、先ず後スプリング10が圧縮されて収納部材7が前進し、ガイド部材9に導かれた棒状部材6以外の収納室7D内の棒状部材6が前方に移動してガイド部材9より前方に位置する。また、内軸2の係止段2Gに収納部材7の外段7Fが当接されて図4に示した状態となる。したがって、ガイド孔9B内に導かれた棒状部材6以外の棒状部材6は収納室7Dの前方に移動させられるので、収納室7D内の棒状部材6がガイド孔9B内に導かれた棒状部材6の側面に押し付けられる恐れがない。つまり、収納室7D内の棒状部材6によってガイド孔9B内に導かれた棒状部材6の落下が妨げられる心配がなく、確実にガイド孔9B内を前方に落下することができる。
【0018】更にノックを続けると、収納部材7とともに内軸2が前進し、チャック3が前進させられる。すると、チャック3とともに締リング5が前進し、チャック3に強く保持された棒状部材6を前進させる。更にノックを続けると、チャック3が前進し、チャック3の頭部3Aより締リング5が外れてチャック3が拡開し図5に示した状態となる。また、締リング5の長手方向摺動可能距離が棒状部材6の全長の略半分に設定されているため、チャック3に保持された2番目の棒状部材6によって1番目の棒状部材6が押し出され、先金12の先端より全長の半分が突出する。そして、ノックを止めた後に先金12より突出した棒状部材6を台木に差し込めば、棒状部材6の半分が台木に差し込まれる。そして、台木の端を手で保持して棒状部材6を供給装置より外し、台木より突出した棒状部材6に穂木の端を差し込めば接ぎ木作業が完了する。
【0019】尚、台木に棒状部材6を差し込んで供給装置より抜かれた時、毛細管作用により樹液が先端孔12B内に入り込んでも、後密閉部材14が次の棒状部材6を保持して先端孔12Bを密閉しているので、樹液がこれ以上内部に入り込む恐れはない。
【0020】引き続きノックを2回繰り返せば、順次棒状部材6が先金12の先端より半分突出し、同様の接ぎ木作業が繰り返し行える。
【0021】したがって、上記実施例においては、2回のノックで棒状部材6が順次先金12の先端より半分突出するので、棒状部材6の供給が非常に簡単に行え、接ぎ木作業の効率が飛躍的に向上するものである。
【0022】尚、上記実施例はいずれも締リング5の摺動距離が棒状部材6の全長の半分に設定されているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、棒状部材6の全長の4分の1や6分の1の距離に設定することも可能である。ただし、この場合には、棒状部材6を先金12の先端より半分突出させるためのノック回数が増加される。
【0023】また、図6に示したように、受台15の前部に螺子駒16を螺着し、螺子駒16の内孔16A内に摺動駒17を長手方向に摺動可能に挿入する。更に、螺子駒16の内段16Bと摺動駒17の前端との間にリターンスプリング18を張架し、通常摺動駒17を受台15の内鍔15A前端に当接する。更に、内鍔15Aの長手方向距離を棒状部材6における全長の略半分の寸法に設定して治具を構成する。この治具の受台15の第1孔15Bに前記実施例の先金12を挿入し、複数回ノックを行うと棒状部材6が先金12の先端より繰り出され摺動駒17に当接される。すると、棒状部材6の前進とともに摺動駒17が若干前進させられるが、チャック3を開くとリターンスプリング18により摺動駒17が後退され、摺動駒17とともに棒状部材6も後退する。この状態でノックを止めれば、1番目の棒状部材6が前密閉部材13に適度の力で保持された状態で先金12の先端より半分突出する。また、2番目の棒状部材6が後密閉部材14により適度の力で保持される。この場合には先金12の先端より棒状部材6が確実に半分突出させることができる。
【0024】前記棒状部材6の材質は、セラミックにて説明したが、棒状部材は金属、合成樹脂等種々の材質が考えられる。
【0025】
【発明の効果】以上説明した本発明の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置は、収納部材を前進させた時にガイド部材の後端が収納部材に形成された収納室の前端面より後方に突出するもので、ガイド孔に導かれた棒状部材に周りの棒状部材が押し付けられる恐れがなく、棒状部材がガイド孔内を確実に落下してチャックに送り込まれる効果が奏せられるものである。
【出願人】 【識別番号】000111904
【氏名又は名称】パイロットプレシジョン株式会社
【出願日】 平成11年11月10日(1999.11.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−128549(P2001−128549A)
【公開日】 平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願番号】 特願平11−319480