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【発明の名称】 台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置
【発明者】 【氏名】渡辺 裕之

【要約】 【課題】毛細管作用により樹液が先端孔から入り込むのを防止した台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置を提供する。

【解決手段】棒状部材6を保持するためのチャック3と、チャック3を閉じるための締リング5と、チャック3を長手方向後方に付勢するためのスプリング4と、先端孔8Bの後方に位置する密閉部材とからなり、密閉部材で棒状部材6を保持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端側に棒状部材のための収納室を、他端側に先端孔を有し、両者間においてチャックを有する台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置において、棒状部材を強く保持するためのチャックと、チャックを閉じるための締リングと、チャックを長手方向後方に付勢するためのスプリングと、先端孔の後方に位置する密閉部材とからなり、前記スプリングによりチャックの頭部を締リングに押圧することによりチャックが閉じられて棒状部材を強く保持するとともに、前記締リングを長手方向に摺動可能に構成し、チャックを前進させることにより棒状部材を前記先端孔より突出させ、更に、前記密閉部材で棒状部材を適度の力で保持することを特徴とする台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【請求項2】 軸筒と、軸筒内に長手方向に摺動可能に内蔵された収納部材と、収納部材の前部に固着されたチャックと、軸筒の内段と収納部材の外段との間に張架され、収納部材を長手方向後方に付勢するためのスプリングと、チャックの頭部が押圧されることによりチャックを閉じるための締リングと、軸筒の前部に設けられた先金と、先金内に設けられた密閉部材とからなり、先金の内段と軸筒の段部との間を前記締リングが長手方向に摺動可能に構成したことを特徴とする台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【請求項3】 棒状部材が収納された容器を収納部材に着脱可能に装着し、容器内の棒状部材を収納部材の収納室内に収納することを特徴とする請求項2記載の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【請求項4】 締リングの長手方向摺動可能距離を、棒状部材の全長の略半分に設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【請求項5】 密閉部材をゴムで構成するとともに、その内孔の最小径部を棒状部材の外径より細径に形成することにより、棒状部材を適度の力で保持するとともに、台木や穂木から生じる樹液が供給装置内に入り込まないように構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【請求項6】 密閉部材の最小径部を、先金の先端から棒状部材全長の半分の寸法より適宜短い位置と適宜長い位置のいずれの位置にも配置させ、1番目の棒状部材が先金の先端より略半分突出した状態において、1番目の棒状部材と2番目の棒状部材のいずれも密閉部材により適度の力で保持したことを特徴とする請求項5記載の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【請求項7】 先金内に前密閉部材と後密閉部材を前後に直列に配置し、先金の先端から棒状部材全長の半分の寸法より適宜短い位置に前密閉部材の最小径部を配置するとともに適宜長い位置に後密閉部材の最小径部を配置し、先金より半分突出した1番目の棒状部材を前密閉部材により適度の力で保持し、2番目の棒状部材を後密閉部材により適度の力で保持したことを特徴とする請求項6記載の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トマト、ナスあるいは瓜等の果菜類について、台木と穂木とをその接ぎ木接合端で突き合わせ、台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は、特開平7−255276号公報に記載されているように、チャックを開くことにより棒状部材がチャック内を挿通し、供給装置の前部に位置させた治具の孔内に落下して先端孔より棒状部材を略半分程度突出させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、供給装置の先端孔内を棒状部材が自由に落下しなければならないが、先端孔内が開口しているために棒状部材を台木に差し込んだ時に台木の樹液が毛細管作用によって先端孔内に入り込み、樹液の表面張力により棒状部材の落下を妨げてしまうものであった。つまり、チャックを開いても棒状部材が落下しないという課題が生じるものであった。
【0004】本発明は、上記課題を解消する棒状部材の供給装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、一端側に棒状部材のための収納室を、他端側に先端孔を有し、両者間においてチャックを有する台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置において、棒状部材を強く保持するためのチャックと、チャックを閉じるための締リングと、チャックを長手方向後方に付勢するためのスプリングと、先端孔の後方に位置する密閉部材とからなり、前記スプリングによりチャックの頭部を締リングに押圧することによりチャックが閉じられて棒状部材を強く保持するとともに、前記締リングを長手方向に摺動可能に構成し、チャックを前進させることにより棒状部材を前記先端孔より突出させ、更に、密閉部材で棒状部材を適度の力で保持するものである。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0007】図1は、本発明における台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置の一実施例を示すものであり、図面の左側を前方とし、右側を後方とする。先ず、軸筒1内に長手方向に摺動可能に収納部材2を内蔵し、該収納部材2の前部にチャック3の後部を固着する。チャック3の頭部3Aは前方より切溝が形成されて3つに分割され、通常は拡開した状態となっている。軸筒1の内段1Aと収納部材2の外段2Aとの間にはスプリング4が張架され、収納部材2を長手方向後方に付勢している。従って、収納部材2に固着されたチャック3も長手方向後方に付勢され、チャック3の頭部3Aに外嵌された締リング5にチャック3の頭部3Aが押し付けられる。するとチャック3は閉じられて棒状部材6を強固に保持する。更に収納部材2の後部には棒状部材6を約100本程度収納した容器7が着脱可能に装着され、収納部材2内に棒状部材6が収納される。
【0008】尚、棒状部材6はセラミックにより構成され、全長約15mmで最大径が約5.3mmの断面六角形に形成されている。
【0009】更に、軸筒1の前部には先金8が着脱可能に螺合され、先金8の内段8Aと軸筒1の先端に形成された段部1Bとの間に前記締リング5が長手方向に摺動可能に構成される。尚、締リング5の長手方向摺動可能距離は棒状部材6の全長の略半分の距離が好ましい。その理由は、最初に棒状部材6の先端を先金8の先端孔8Bの端面に合わせておけば、最初の1回のノックで棒状部材6が先金8の先端より半分突出し、次からは2回のノックで棒状部材6が先金8の先端より半分突出する。
【0010】更に、先金8にはゴム製の前密閉部材9と後密閉部材10が前後に内蔵され、該前密閉部材9と後密閉部材10はいずれも内孔の最小径部9A、10Aが棒状部材6の外径より細径に形成されることにより、棒状部材6を適度の力で保持する。しかも、先金8の先端から棒状部材6の全長の半分の寸法より適宜短い位置に前密閉部材9の最小径部9Aを配置し、先金8の先端から棒状部材6の全長の半分の寸法より適宜長い位置に後密閉部材10の最小径部10Aを配置する。従って、先金8より半分突出した1番目の棒状部材6は前密閉部材9により適度の力で保持し、2番目の棒状部材6は後密閉部材10により適度の力で保持する。
【0011】この理由は、棒状部材6を台木に差し込んだ時に樹液が毛細管作用により先金8内に入り込んで来るのを、棒状部材6を保持した前密閉部材9と後密閉部材10の所で止めるためである。
【0012】尚、密閉部材は図示していないが1個でも可能である。この場合には、密閉部材の内孔の最小径部が長手方向に適宜伸ばした形状となる。
【0013】次に、図1に示した供給装置による接ぎ木方法を説明すると、先ず供給装置の収納部材2の後部に、約100本程度の棒状部材6を収納した容器7を装着し、収納部材2内に棒状部材6を収納する。この状態で先金8を下に向け軸筒1の後端より突出した容器7の後端を指でノックすることにより、チャック3を前進させる。すると、チャック3とともに締リング5が前進し、締リング5が先金8の内段8Aに当接する。更に、ノックを続けるとチャック3が前進し、チャック3の頭部3Aより締リング5が外れてチャック3が拡開する。
【0014】すると収納部材2内の棒状部材6がチャック3内を挿通して後密閉部材10の内孔まで落下し図2に示した状態となる。そして、一旦ノックを止めるとチャック3はスプリング4の弾発力によって後退させられ、チャック3の頭部3Aが締リング5に押し付けられて再び閉じられ棒状部材6を強固に保持する。そして、再びノックを行うと、チャック3に保持された棒状部材6もチャック3とともに前進し、棒状部材6が後密閉部材10および前密閉部材9内を挿通して先金8より突出する。この時、ノックをしたまま先金8より突出した棒状部材6を押し込めば先金8の先端と棒状部材6の先端が一致する。又、次の棒状部材6はチャック3内を挿通して、1番目の棒状部材6の後端まで落下し、図3に示した状態となる。
【0015】この状態で再びノックを止め、チャック3を閉じた後に再びノックを行うと、1番目の棒状部材6が先金8の先端より半分突出し、図1に示した状態となる。この理由は、締リング5の長手方向摺動可能距離が棒状部材6の全長の略半分に設定されているため、チャック3に保持された2番目の棒状部材6によって押し出されるためである。尚、図1の状態では、1番目の棒状部材6は前密閉部材9により適度の力で保持され、2番目の棒状部材6は後密閉部材10により適度の力で保持される。この状態で先金8より突出した棒状部材6を台木に差し込めば、棒状部材6の半分が台木に差し込まれる。そして、台木の端を手で保持して棒状部材6を供給装置より外し、台木より突出した棒状部材6に穂木の端を差し込めば接ぎ木の作業が完了する。
【0016】尚、台木に棒状部材6を差し込んで供給装置より抜かれた時、毛細管作用により樹液が先端孔8B内に入り込んでも、後密閉部材10が次の棒状部材6を保持して先端孔8Bを密閉しているので、樹液がこれ以上内部に入り込む恐れはない。
【0017】引き続きノックを2回繰り返せば、順次棒状部材6が先金8先端より半分突出し、同様の接ぎ木作業が繰り返し行える。
【0018】したがって上記実施例においては、2回ノックで棒状部材6が順次先金8の先端より半分突出するので、棒状部材6の供給が非常に簡単に行え、接ぎ木作業の効率が飛躍的に向上するものである。
【0019】図4は本発明の他の一実施例を示すもので、図1と同一の部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、軸筒101内に長手方向に摺動可能に内軸11を内蔵し、該内軸11の前部にチャック3の後部を固着する。軸筒101の内段101Aと内軸11の外段11Aとの間にはスプリング4が張架され、内軸11を長手方向後方に付勢している。従って、内軸11に固着されたチャック3も長手方向後方に付勢され、チャック3の頭部3Aに外嵌された締リング5にチャック3の頭部3Aが押し付けられる。内軸11には長手方向に伸びた摺動溝11Bが上下に対向して形成され、更に、摺動溝11Bの後端から内軸11の後端11Cまで伸びた挿入溝11Dが内軸11の上下に対向して形成される。尚、挿入溝11Dは前記摺動溝11Bより細幅に形成されている。また、挿入溝11Dの後端部は後述する収納部材102の突起102Bが挿入しやすいように後方に向かって拡開するテーパー部11Eが形成されている。
【0020】更に、内軸11の前部にはステンレスパイプからなる追従管12が固着され、該追従管12の後部には棒状部材6を導くためのガイド部材13が固着される。該ガイド部材13の後端13Aは棒状部材6を確実に導くために図5に示した様に30度から45度の角度でV型に切り欠かれている。ガイド部材13の後端13AはV型に切り欠いた方が、ガイド孔13Bに導かれなかった棒状部材6がV型に切り欠かれた両側方向に傾いて前方に移動し易くなるためである。しかし、図示していないが、ガイド部材の後端は30度から45度の角度の円錐形に形成しても十分に効果が得られるものである。
【0021】前記内軸11内に内蔵される収納部材102は、外周面の上下に対向して突起102Bが形成され、該突起102Bが前記内軸11の挿入溝11Dを挿通して摺動溝11B内に遊嵌され、図6に示した状態となる。従って、収納部材102が内軸11内を長手方向に摺動可能に構成される。また、収納部材102の前部内孔102Cには前記ガイド部材13が摺動可能に挿入される。
【0022】更に、内軸11の内段11Fと収納部材102の外段102Dとの間にはスプリング4より弱い弾発力の後スプリング14が張架され、通常収納部材102の突起102Bが内軸11の摺動溝11B後端縁に当接されている。また、この状態においては、ガイド部材13のV型に切り欠かれた後端13Aが収納部材102の収納室102E内に形成された漏斗状の前端面102Fより突出しないように位置合わせされる。
【0023】更に、収納部材102の後部には棒状部材6を約100本程度収納した容器7が着脱可能に装着され、収納部材102内に棒状部材6が収納されている。
【0024】次に図4に示した供給装置による接ぎ木方法を説明すると、先ず、供給装置の収納部材102の後部に、約100本程度の棒状部材6を収納した容器7を装着し、収納部材102内に棒状部材6を収納する。更に、先金8の先端に棒状部材6の先端を一致させた状態において、先金8を下に向け軸筒101の後端より突出した容器7の後端を指でノックすると、先ず後スプリング14が圧縮されて収納部材102が前進し、ガイド部材13に導かれた棒状部材6以外の収納室102E内の棒状部材6が前方に移動してガイド部材13より前方に位置する。また、内軸11の係止段11Gに収納部材102の外段102Gが当接されて図7に示した状態となる。従って、ガイド孔13B内に導かれた棒状部材6以外は収納室102Eの前方に移動させられるので、収納室102E内の棒状部材6によってガイド孔13B内に導かれた棒状部材6の落下を妨げる恐れがなく、確実にガイド孔13B内を前方に落下することができる。
【0025】更にノックを続けると、収納部材102とともに内軸11が前進し、1番目の棒状部材6が先金8先端より半分突出した後にチャック3が拡開され、図8に示した状態となる。この棒状部材6を順次先金8より突出させ接ぎ木を行う操作は、前記図1の実施例と同様に行うことができる。
【0026】尚、上記実施例はいずれも締リング5の摺動距離が棒状部材6の全長の半分に設定されているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、棒状部材6の全長の4分の1や6分の1の距離に設定することも可能である。ただし、この場合には、棒状部材6を先金8の先端より半分突出させるためのノック回数が増加される。
【0027】また、図9に示したように、受台15の前部に螺子駒16を螺着し、螺子駒16の内孔16A内に摺動駒17を長手方向に摺動可能に挿入する。更に、螺子駒16の内段16Bと摺動駒17の前端との間にリターンスプリング18を張架し、通常摺動駒17を受台15の内鍔15A前端に当接する。更に、内鍔15Aの長手方向距離を棒状部材6における全長の略半分の寸法に設定して治具を構成する。この治具の受台15の第1孔15Bに前記実施例の先金8を挿入し、複数回ノックを行うと棒状部材6が先金8の先端より繰り出され摺動駒17に当接される。すると、棒状部材6の前進とともに摺動駒17が若干前進させられるが、チャック3を開くとリターンスプリング18により摺動駒17が後退され、摺動駒17とともに棒状部材6も後退する。この状態でノックを止めれば、1番目の棒状部材6が前密閉部材9に適度の力で保持された状態で先金8の先端より半分突出するとともに、2番目の棒状部材6が後密閉部材10により適度の力で保持される。この場合には、先金8の先端より棒状部材6が確実に半分突出させることができる。
【0028】前記棒状部材6の材質は、セラミックにて説明したが、棒状部材は金属、合成樹脂等種々の材質が考えられる。
【0029】
【発明の効果】以上説明した本発明の台木と穂木とを接合するための棒状部材の供給装置は、先金内に密閉部材が内蔵されているので、台木の樹液が供給装置内に入り込む恐れがなく、棒状部材が確実に順次先金先端より繰り出される効果が奏せられるものである。
【出願人】 【識別番号】000111904
【氏名又は名称】パイロットプレシジョン株式会社
【出願日】 平成11年11月9日(1999.11.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−128548(P2001−128548A)
【公開日】 平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願番号】 特願平11−317885