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【発明の名称】 農業用フィルム
【発明者】 【氏名】田代 健

【氏名】大西 俊一

【氏名】吉村 恵美

【要約】 【課題】透明性及び保温性に優れた農業用フィルムを提供する。

【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部に対し、Mg、Al、Si及びS成分を主成分とする無機化合物を2〜20重量部配合してなる組成物を製膜してなる農業用フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部に対し、Mg、Al、Si及びS成分を主成分とする無機化合物を2〜20重量部配合してなる組成物を製膜してなる農業用フィルム。
【請求項2】 無機化合物中の(Mg+Al+Si+S)が30重量%以上である無機化合物を配合してなる上記請求項1の農業用フィルム。
【請求項3】 請求項2の無機化合物中のMgとAlのモル比が4:1〜1:1である上記請求項1ないし2の農業用フィルム。
【請求項4】 請求項2の無機化合物中のSiとSのモル比がS/Siが5%以上である上記請求項1〜3の農業用フィルム。
【請求項5】 CuKαを線源とする粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ)が、8〜10度、13〜15度、22〜24度、34〜37度、60〜62度に少なくとも一つのピークを有する低結晶性無機化合物を含有してなる農業用フィルム。
【請求項6】 熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である上記請求項1〜5の農業用フィルム。
【請求項7】 多層構成であるポリオレフィン系樹脂の少なくとも1層に請求項1〜5に記述した無機化合物を配合してなる農業用フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、施設園芸等の被覆に用いられる農業用フィルムに関するものである。更に詳しくは、優れた透明性と保温性を有する農業用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、農業用作物を半促成または抑制栽培して、その市場性、生産性を高めるため、農業用塩化ビニルフィルムやポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂を主体とした特殊フィルムなどの農業用被覆材による被覆下に有用作物を栽培する、いわゆるハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの農業用フィルムは冬場の栽培性向上を目的としたものであり、強度はもちろんであるが、特に透明性と保温性に優れた被覆資材が求められている。冬場は日照時間が短く、また、日射量も少ないため、光合成及びハウス内の昇温のために、透明性を極力阻害しない被覆資材が求められる。また、冬場の夜間、特に晴天時は放射冷却により、ハウス内部は低温になり、暖房機等を使用しない場合は、ハウス内気温、地温が氷点下になる場合もあり、農業用作物に重大な被害をもたらす場合がある。これは、日中の日射によって土中に蓄えられた熱が、大気中に赤外線として放射される事に起因している。(日中も地面からの赤外線放射はあるが、夜間は日射が無いため、大気への赤外線放射のみとなり、冷却がすすむ)。かかる地面などから放射される赤外線エネルギー分布は、同じ温度の黒体から放射される赤外線エネルギー分布に近似していて、ブランクの黒体放射の公式によって近似的に表される。
【0004】よって、地面からの赤外線放射による冷却を抑えるためには、約10μm付近の赤外線の吸収の良い被覆材が求められる。ポリオレフィン系樹脂フィルムは軟質塩化ビニル樹脂フィルムに対比して赤外線吸収能が劣っており、赤外線を吸収反射する物質を添加し、保温性を付与している。また、軟質塩化ビニル樹脂フィルムにおいても更なる保温性を得るために上記物質を添加することがある。赤外線を吸収反射する物質として、無水珪酸(特公昭51−2105)、ゼオライト(特公昭61−44092)、ハイドロタルサイト、複合水酸化物(特開平5−179052、国際公開番号WO97/00828等)などがあり、添加によって農業用フィルムに求められる保温性を付与可能であるが、一方、透明性が低下するという欠点を有している。このように、農業用フィルムには、高透明性と高保温性の両者が求められており、特に、添加しても透明性の低下を伴わない赤外線吸収反射剤が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる背景下にあって、高い赤外線吸収反射能力を有し、かつ、可視光線の透過を極力阻害しない高透明、高保温性を併せ持つ農業用フィルムを提供すべく、鋭意検討した。しかして本発明の要旨とするところは、熱可塑性樹脂100重量部に対し、Mg、Al、Si及びS成分を主成分とする無機化合物を2〜20重量部配合してなる組成物を製膜してなる農業用フィルムに存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の屋外展張用フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、一般にフィルム成形に用いられる樹脂であれば何れでもよい。具体的には、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化エチレン等の単量体の単独またはこれら相互の重合体、あるいはこれら単量体中の少なくとも1種と他の共重合可能な単量体(例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等)との共重合体、含フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド等もしくはこれら重合体のブレンド物があげられる。これらの中では、耐候性、光透過性、経済性、強度等の観点から、塩化ビニル系樹脂(即ち、ポリ塩化ビニルおよび塩化ビニルを50重量%以上含むその共重合体)およびエチレン系樹脂(即ち、ポリエチレンおよびエチレンを50重量%以上含むその共重合体)が好適である。
【0007】本発明において塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニルのほか、塩化ビニルが主成分を占める共重合体をいう。塩化ビニルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等が挙げられる。これら塩化ビニル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって製造されたものであってもよい。
【0008】又、本発明においては、上記塩化ビニル樹脂として、平均重合度が1000以上2500以下、好ましくは1100以上2000以下のものを用いるが、異なる平均重合度のものを用いて2種混合してもよい。この混合方法としては、フィルム製膜加工時に2種類の樹脂を混合する方法が一般的であるが、塩化ビニル樹脂の重合時に重合条件コントロールによって、見掛け上2種類の平均重合度の異なる樹脂が混合されたことになる方法であってもよい。
【0009】上記基体となる塩化ビニル系樹脂フィルムには、柔軟性を付与するために、可塑剤がこの樹脂100重量部に対して、30〜60重量部、好ましくは、40〜55重量部配合される。30重量部未満では、低温時での柔軟性に乏しいため、充分な低温物性が得られない。また、60重量部を越えると、常温下での取り扱い性(べたつき性等)が悪化したり、製膜加工時の作業性が低下するので好ましくない。
【0010】使用しうる可塑剤としては、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体;トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体;モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート等のオレイン酸誘導体;グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;その他、エポキシ化大油、エポキシ樹脂系可塑剤等が挙げられる。また、樹脂フィルムに柔軟性を付与するために、上述の可塑剤に限られるものでなく、例えば熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル等を使用することもできる。
【0011】本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィンの単独重合体、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど、2種又はそれ以上のα−オレフィンの共重合体、例えばエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体など、エチレンと他の不飽和単量体、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。これらの樹脂の中では、ポリエチレン、特に密度0.93g/cm3 以下の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体及び酢酸ビニル含量が30重量部以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体などが透明性や柔軟性に優れ、良く用いられている。
【0012】これら熱可塑性樹脂には、必要に応じ、通常の熱可塑性樹脂に添加される周知の可塑剤、滑剤、熱安定剤、有機リン酸金属塩、防曇剤、防霧剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤等の添加助剤を通常量配合することができる。滑剤ないし熱安定剤としては、一般的に農業用フィルムに使用される、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、エステル系滑剤、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、有機ホスファイト化合物の如きキレーター、フェノール類、βージケトン化合物等があげられる。具体的には、特公昭62ー53543号公報第7欄第1行〜12行目に記載の化合物等がある。紫外線吸収剤としては、次のようなものがあげられる。
【0013】シアノアクリレート系紫外線吸収剤である、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等。
【0014】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−カルボン酸ブチルエステルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ステアリルオキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−カルボン酸フェニル)ベンゾトリアゾールエチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジメチルフェニル)−5−カルボン酸ベンゾトリアゾールブチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−カルボン酸エステルベンゾトリアゾール、2−(2’−アセトキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等。
【0015】更に、これらシアノアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の数量体、重合体があげられる。これらの紫外線吸収剤は1種あるいは2種以上併用してもよく、その使用量は熱可塑性樹脂100重量部当り0.02〜8重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。0.02重量部未満では、農業用フィルムの耐候性が十分でなく、他方、8重量部より多いと、フィルム使用時に他の添加剤とともにフィルム表面に噴き出したりするという問題が起こり、好ましくない。酸化防止剤としては、2,6−ジアルキルフェノール誘導体や2−アルキルフェノール誘導体などのヒンダードフェノール系化合物、2価のイオウ原子を含むチオール結合もしくはチオエーテル結合を有するイオウ系化合物または、3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などが挙げられる。
【0016】この酸化防止剤配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部の範囲で選ばれる。光安定剤としては、農業用塩化ビニルフィルムに通常配合されるものであればよく、ヒンダードアミン系、金属錯塩系等が挙げられる。特にヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。具体的には、以下の様なものが挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、次の一般式[I]又は[II]で表される構造単位を一分子中に1個以上含有する化合物が適当である。
【0017】
【化1】

【0018】([I]式においてR1〜R4は炭素数1〜4のアルキル基、R5は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0019】
【化2】

【0020】([II]式においてR1〜R4は炭素数1〜4のアルキル基、R5は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
例えば一般式[III ]で表されるヒンダードアミン系化合物が代表的なものである。
【0021】
【化3】

【0022】(式中、Rはリン又は、1〜4価のカルボン酸から誘導されるモノ〜テトラアシル基、nは1〜4の整数をそれぞれ示す。)
上記一般式[III ]に含まれるものとしては具体的には例えば特公昭63−51458号公報に例示されている、4−シクロヘキシノイルオキシ−2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(o−クロロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0023】金属錯塩系光安定剤としては、金属が、ニッケルとコバルトが好ましい。具体的には、以下の様なものが挙げられる。
ニッケル金属錯体:ニッケル〔2,2′チオビス(4−ターシャリオクチル)フェノレート〕ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカーバメイト、ニッケルビス〔oエチル3,5(ジターシャリブチル4−ヒドロキシベンジル)〕ホスフェート、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド)等が挙げられる。
コバルト金属錯体:コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート、〔1−フェニル,3−メチル,4−デカノイル,ピラゾレート(5)2〕ニッケル等が挙げられる。
【0024】光安定剤の塩化ビニル系樹脂フィルムへの配合量は、余り少ないとフィルムの耐候性が十分に優れたものとならないので好ましくなく、余り多くしてもフィルムの耐候性は添加量に比例して向上することがなく、フィルム表面の噴き出しがおこる。好ましい配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜1.0重量部の範囲である。
【0025】防曇剤としては、農業用フィルムに通常配合される一般的なものが使用可能である。具体的には、例えば、ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジステアレート、ジグリセリンモノオレート、トリグリセリンジオレート、ナトリウムラウリルサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アセチルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルアミン塩酸塩、ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩、トリエチルアセチルアンモニウムイオダイド、オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩、ドデシルピリジニウム硫酸塩の塩基性ピリジニウム塩などが挙げられる。このうち、好ましいものとして、炭素数が14〜22の脂肪酸と、ソルビタン、ソルビトール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコールとのエステルあるいはそのアルキレンオキサイド付加物を主成分とする非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は1種あるいは2種以上の混合が可能である。
【0026】防曇剤の配合量としては、熱可塑性系樹脂100重量部当たり、0.1〜5重量部、特に0.3〜3重量部が好ましい。0.1重量部未満では充分な防曇性が得られず、また、5重量部を超えるとフィルム表面への噴き出しが多く、透明性が損なわれ、好ましくない。アンチブロッキング剤としては、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、マイカなどが用いられる。これらのアンチブロッキング剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、5重量部以下、好ましくは2重量部以下の範囲で選ばれる。防霧剤としては、パーフルオロアルキル基、ω−ヒドロフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物、又はアルキルシロキサン基を有するシリコン系化合物などが挙げられる。これら防霧剤の配合量としては、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、0.02〜1.0重量部、好ましくは0.04〜0.3重量部の範囲で用いることができる。
【0027】この防霧剤配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、0.02〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲で選ばれる。本発明の農業用フィルム表面は、使用目的に応じ、透明、半梨地、梨地の形態をとることができる。添加される無機化合物には、Mg、Al、Si及びSの4種を主成分として含有し、MgとAlのモル比が4:1〜1:1、好ましくは3:1〜1.5:1が良い。また、SiとSのモル比はS/Siが5%以上、好ましくは5%〜30%以下が望ましい。それ以上、S分が多くなると、他のフィルム中の添加剤のアルカリ成分、たとえば、ヒンダードアミン系化合物との相互作用(反応)し、結果としてフィルムの外観を損なう場合がある。その平均粒子径が5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下のものである。また、BET比表面積は50m2 /g以下、より好ましくは、20m2 /g以下のものである。
【0028】また、透明性を損なわないためには、可視光線の散乱を極力抑える事が肝要であり、無機化合物は低結晶性、つまり非晶質である方が好ましい。通常、この無機化合物は粉末で使用されるが、そのX線回折スペクトルを測定すると、そのピークがブロードである事がわかる。また、CuKαを線源とする粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ)が、8〜10度、13〜15度、22〜24度、34〜37度、60〜62度に少なくとも一つのピークを有する無機化合物である。
【0029】熱可塑性樹脂100重量部に対し、Mg、Al、Si及びS成分を主成分とする無機化合物を2〜20重量部の範囲で添加する事が好ましい。2重量部以下では、保温性付与による栽培性寄与効果が不十分であるので好ましくない。塩化ビニル系樹脂をフィルム化する場合には、基体となる塩化ビニル系樹脂に、前記可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、有機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩、更に他の樹脂添加物を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサーその他従来から知られている配合機、混合機を使用すればよい。
【0030】このようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するには、それ自体公知の方法例えば溶融押出成形法(T−ダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー成形法、溶液流延法等によればよい。また、ポリオレフィン系多層樹脂フィルムは、各層で使用するポリオレフィン系樹脂及び各添加剤等を必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサーその他の配合機、混合機を用いて混合する。次いで得られた組成物を、それ自体公知の方法、例えば共押出インフレーション法または共押出Tダイ法などの方法により、各層を積層することによって調製することが出来る。
【0031】単層の場合は、上記のように秤量、配合、混合した組成物を、それ自体公知の方法、例えばインフレーション法またはTダイ法などの方法によれば良い。本発明の屋外展張用フィルムに係る熱可塑性樹脂フィルムは、厚みが0.01〜0.3mmのものが好ましい。厚みが0.01mm未満であると、製品の強度が充分なものとならず、また、0.3mmを越えるとフィルムが硬くなり、取り扱い難くなるので好ましくない。多層フィルムの場合、例えば3層構成の場合は、層比は、内外層:中層が1:1〜1:5が望ましい。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。
(1)農業用フィルムの性能評価方法(i)透明性各フィルムの波長555nmにおける直進光線透過率を分光光度計(日立製作所製、3500型)によって測定し、その値を示した。
(ii)保温性15℃の黒体放射エネルギースペクトルを入射エネルギーとし、これに別途赤外分光機を用いて波長4μm〜25μmの範囲で測定したフィルムの透過率スペクトルを乗じて得られた透過エネルギースペクトルを積分して透過エネルギーを求め、入射エネルギーで除して透過率とした。透過率の値が小さい程、保温性に優れる。
【0033】(2)熱可塑性樹脂フィルムの調整(i)軟質塩化ビニル系樹脂(PVC)フィルム【0034】
【表1】
ポリ塩化ビニル(重合度=1300) 100重量部 ジオクチルフタレート 50 〃 トリクレジルホスフェート 5 〃 エポキシ樹脂 2 〃 Ba−Zn系液状安定剤 2 〃 Ba−Zn系粉末安定剤 1 〃 ソルビタンモノパルミテート 1. 5 〃 ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 0. 1 〃 保温性付与目的無機化合物 別紙表1【0035】を秤量し、これらをスーパーミキサーで10分間撹拌混合した後、165℃に加熱したロール上で混練し、L型カレンダー装置によって、幅100cm、厚さ0.15mmの透明な軟質塩化ビニル系樹脂フィルムを製造した。
(ii)ポリオレフィン系(PO)フィルム三層インフレーション成形装置として三層ダイに100mmφ((株)プラ技研製)を用い、押出機は外肉層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40mmφ((株)プラ技研製)として成形温度160℃、ブロー比2.0、引取速度5m/分にて下記配合からなる厚さ0.15mmの積層フィルムを製造した。
【0036】
【表2】
[内外層]原料樹脂(EVA(VA成分5%)) 100重量部 有機リン酸金属塩(リン酸モノオクタデシル亜鉛塩)0.5〃 ヒンダードアミン(MARK LA−57) 0.5〃 紫外線吸収剤 0.5〃 ソルビタンモノステアレート 0.5〃[中層] 原料樹脂(EVA(VA成分15%)) 100重量部 有機リン酸金属塩(リン酸モノオクタデシル亜鉛塩)0.5〃 ヒンダードアミン(MARK LA−57) 0.5〃 紫外線吸収剤 0.5〃 ソルビタンモノステアレート 0.5〃 保温性付与目的無機化合物 別紙表1【0037】保温性付与無機化合物として、実施例には協和化学工業(株)製マグクリスタ(仮称)を用いた。用いたマグクリスタ中の(Mg+Al+Si+S)は35.5wt%、Mg:Si:Al:Sのモル比は2:1:0.9:0.1である。CuKαを線源とする粉末X線回折スペクトルを別紙図1に示す。比較例としてはハイドロタルサイト類化合物(商品名DHT4A 協和化学工業(株)製:Mg0.69Al0.31(OH)2 (CO3 0.15・0.54H2 O、粉末X線回折スペクトルを別紙図2に示す)及びリチウムアルミニウム複合水酸化物(商品名ミズカラック 水沢化学工業製:Al2 Li(OH)6 (CO3 )・1.6H2 O)を用いた。
【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】上記の実施例比較例に示すとおり、塩化ビニルフィルムにおいて公知の無機化合物(DHT4A)を添加した例(比較例1)に比べ、同量の本願発明の化合物を添加した例(実施例1)では、保温性は同程度であるものの、透明性が向上している。他方、ポリオレフィンフィルムにおいても、公知の無機化合物を添加した例(比較例2、3)に比べ、同僚の本発明の化合物を添加した例(実施例4)では、保温性も透明性も優れていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明の農業用フィルムは、透明性及び保温性に優れたものであり、利用価値は極めて高い。
【出願人】 【識別番号】000176774
【氏名又は名称】三菱化学エムケーブイ株式会社
【出願日】 平成11年10月5日(1999.10.5)
【代理人】 【識別番号】100103997
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
【公開番号】 特開2001−103847(P2001−103847A)
【公開日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願番号】 特願平11−283890