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【発明の名称】 きのこ栽培装置及び栽培方法
【発明者】 【氏名】宮田 邦弘

【氏名】中島 博文

【氏名】川村 敦

【氏名】三島 護

【要約】 【課題】きのこの生育状況を均一にし、きのこ栽培室のスペースを小さくすることができるきのこ栽培装置及び栽培方法を提供する。

【解決手段】きのこ栽培室11内の幅方向に移動可能な複数台の移動台車12と、その上に載置し多数のきのこ栽培容器を各々収納可能な複数の大型容器13とを有し、移動台車12を一方又は双方に寄せた場合に形成される空間部18に、搬送手段19の作業スペースを有するきのこ栽培装置10を使用し、大型容器13の受け渡し作業時には、各移動台車12を一方又は双方に寄せて、特定の移動台車21の一側に形成した空間部18に搬送手段19を進入し、大型容器13の受け渡しを行い、きのこの育成時には、隣接する各移動台車12間の隙間22の距離を変え、隙間22を通過する空気量を調節し、各移動台車12に載置されるきのこの均等育成を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 きのこ栽培室内の幅方向に移動可能に配置される複数台の移動台車と、それぞれの前記移動台車上に載置され、多数のきのこ栽培容器を各々収納可能な複数の大型容器とを有し、しかも、前記移動台車を一方、あるいは分割して双方に寄せた場合に形成される空間部に、該空間部に進入して前記移動台車との間で前記大型容器の受け渡しを行う搬送手段の作業スペースを有することを特徴とするきのこ栽培装置。
【請求項2】 きのこ栽培室内の幅方向に移動可能に配置される複数台の移動台車と、それぞれの前記移動台車上に載置され、多数のきのこ栽培容器を各々収納可能な複数の大型容器とを有するきのこ栽培装置を使用し、特定の移動台車の前記大型容器の受け渡し作業においては、それぞれの前記移動台車を一方又は双方に寄せて、前記特定の移動台車の一側に空間部を形成し、該空間部に搬送手段を進入させて前記特定の移動台車との間で前記大型容器の受け渡しを行い、きのこの育成時には、該きのこの生育状態に応じて隣接するそれぞれの前記移動台車間の隙間の距離を変えて、該隙間を通過する空気の量を調節し、前記各移動台車に載置されるきのこの均等育成を行うことを特徴とするきのこ栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、きのこを均一に生育させるきのこ栽培装置及び栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】きのこの栽培は、種菌を接種した培養基が詰められたきのこ栽培容器を、所定の生育環境に管理された培養室内に一定期間保管して菌の培養を行い、その後に生育環境を変えた複数の育成室への移動及び保管を繰り返して成長させてから出荷する、という手順で行うのが一般的である。培養室及び育成室での生育環境の管理は、きのこの種類や生育状況等に応じて温度、湿度を調節した空気を送風すると共に室内の空気を排気する空調装置によって行っている。また、きのこ栽培容器の保管形態は、多数個のきのこ栽培容器をコンテナに収納し、該コンテナをパレット等を用いて固定棚に2段程度の段積み、又は平置きにして保管されており、空調装置からの送風を妨げないようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来のきのこ栽培方法は、培養室、育成室での保管期間が数日から数十日と比較的長く、この期間内に空調装置で室内の空気を循環させ、温度や湿度等の環境条件を均一に保ち続けることは困難で、例えば、室内の中央部と端部では温度等に差が生じて、結果としてきのこの生育状態に不揃いが生じていた。また、保管の形態を、パレットを2段積み又は平置きにして、コンテナに均等に空気を当てて環境条件に大きな差が生じないようにしていたので、培養室及び育成室を含む栽培室に広いスペースが必要となり、経済的にも不利となっていた。そして、栽培容器を移動するのにフォークリフト等の搬送手段を使用する場合には、予め固定棚を介して配置される各パレット間にフォークリフト等が進入して旋回する作業スペースを確保しておかなければならなかったため、さらに栽培室のスペースを広くする必要があった。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、きのこの生育状況を均一にし、きのこ栽培室のスペースを小さくすることができるきのこ栽培装置及び栽培方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に係るきのこ栽培装置は、きのこ栽培室内の幅方向に移動可能に配置される複数台の移動台車と、それぞれの前記移動台車上に載置され、多数のきのこ栽培容器を各々収納可能な複数の大型容器とを有し、しかも、前記移動台車を一方、あるいは分割して双方に寄せた場合に形成される空間部に、該空間部に進入して前記移動台車との間で前記大型容器の受け渡しを行う搬送手段の作業スペースを有する。きのこ栽培室には、芽出し前の培養室と芽出し後の育成室のいずれをも含む。また、搬送手段には、例えば、フォークリフトやクレーン等を使用する。きのこの育成時には、各移動台車間の隙間を所定間隔あけて風通しをよくし、大型容器を別の場所に移動するときには、移動しようとする大型容器が載置された移動台車に隣接する隙間を広げて空間部を形成し、フォークリフト等が進入して作業するためのスペースを確保する。このように、各移動台車が幅方向に移動可能となっているので、通常は風通しを調整する隙間を、大型容器を移動するときだけ大きくしてフォークリフト等の作業スペースにできるので、スペースを有効に利用でき、また、搬送作業を簡単に行うことができる。
【0005】また、前記目的に沿う本発明に係るきのこ栽培方法は、きのこ栽培室内の幅方向に移動可能に配置される複数台の移動台車と、それぞれの前記移動台車上に載置され、多数のきのこ栽培容器を各々収納可能な複数の大型容器とを有するきのこ栽培装置を使用し、特定の移動台車の前記大型容器の受け渡し作業においては、それぞれの前記移動台車を一方又は双方に寄せて、前記特定の移動台車の一側に空間部を形成し、該空間部に搬送手段を進入させて前記特定の移動台車との間で前記大型容器の受け渡しを行い、きのこの育成時には、該きのこの生育状態に応じて隣接するそれぞれの前記移動台車間の隙間の距離を変えて、該隙間を通過する空気の量を調節し、前記各移動台車に載置されるきのこの均等育成を行う。このように構成することによって、きのこの生育状況が悪い移動台車の両側の隙間を広げて風通しをよくして成長を促進し、また、成長が早すぎる移動台車の両側の隙間を狭くして風通しを悪くして成長を抑え、同一ロットのきのこの生育を均一にすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るきのこ栽培装置10は、きのこ栽培室11内の幅方向(長手方向)に移動可能に配置される複数台の移動台車12と、それぞれの移動台車12上に保管棚14を介して載置され、多数のきのこ栽培容器を各々収納可能な複数の大型容器の一例であるコンテナ13とを有している。以下、先ずきのこ栽培室11の一実施の形態について説明する。きのこ栽培室11には、図示しない空調設備が設けられ、きのこ栽培室11内に温度が、例えば約20度で、湿度が、例えば約70%の空気を送風している。各移動台車12上には、水平板部材12aを縦長棒材13aで連結した2段積み用の保管棚14が移動台車12に固定して設けられ、保管棚14のそれぞれの収納部15、及び載置部15aには、複数のコンテナ13が8〜10段程度に段積みされたパレット16が載せられて、各コンテナ13の内部には、多数のきのこ栽培容器が収納されている。
【0007】なお、各コンテナ13の側部には、図示しない通風孔が多数形成され、きのこ栽培容器に空気が直接触れるように構成されている。そして、各移動台車12の下部には、移動車輪17が設けられ、きのこ栽培室11の床部に設けられたレール20に沿って、移動台車12は幅方向に移動可能となっている。図3に示すように、複数の移動台車12を2グループに分割して双方に寄せた場合に形成される空間部18は、空間部18に進入して移動台車12との間でコンテナ13の受け渡しを行う搬送手段の一例であるフォークリフト19の作業スペースを有している。すなわち、きのこ栽培室11の幅方向の長さLは、各移動台車12の幅方向の長さの合計と、1台のフォークリフト19の作業スペースの幅方向の長さとの合計より大きくしておけばよく、このように構成することによって、簡単な構造で、きのこ栽培室11のスペースを小さくすると共に、フォークリフト19の作業スペースを確保することができる。なお、全ての移動台車12を一方に寄せて、きのこ栽培室11の他方側の端部にある移動台車12からもパレット16に段積みされたコンテナ13を出し入れすることができる。
【0008】続いて、本発明の一実施の形態に係るきのこ栽培方法について説明する。きのこを栽培するときには、まず、多数のきのこ栽培容器内に種菌を接種した培養基をそれぞれ詰め、きのこ栽培容器をコンテナ13に収納する。そして、きのこ栽培容器を収納したコンテナ13をパレット16上に段積みし、コンテナ13を積んだパレット16をフォークリフト19できのこ栽培室11に搬入し、図3に示すように、コンテナ13の受け渡し作業を行う特定の移動台車21にこれを載置する。なお、特定の移動台車21とは、受け渡し作業をしようとするコンテナ13が、現在載置され又はこれから載置しようとする移動台車12をいう。特定の移動台車21のコンテナ13の受け渡し作業においては、それぞれの移動台車12(特定の移動台車21を含む)を特定の移動台車21の右側の隙間を境にして双方に寄せて、特定の移動台車21の右側に空間部18を形成し、空間部18にフォークリフト19を進入させて特定の移動台車21の保管棚14の空になった状態の収納部15、及び載置部15aに複数のコンテナ13が載ったパレット16を載置する。各移動台車12のそれぞれの収納部15、及び載置部15aに対してこれを繰り返し、きのこ栽培室11内の移動台車12上にきのこ栽培容器を配置することができる。なお、空間部18は特定の移動台車21の左側に形成することも当然できる。
【0009】こうして、各移動台車12にきのこ栽培容器を空調されたきのこ栽培室11に配置してから、きのこの育成を開始する。きのこが成長するときには、熱を発生し、また、二酸化炭素や硫化水素等のガスを発生する。空調装置によってきのこ栽培室11内に送風する空気の温度を約20度としているので、きのこが発生した熱によって上昇したきのこ栽培容器の温度を下げ、また、きのこが発生したガスを排気して新しい空気を送り、きのこが順調に生育するようにしている。しかし、空調装置から送風される空気は、空気の循環経路にある多数のコンテナ13が障害物となるためきのこ栽培室11内全体を均一に循環することができず、特に、各移動台車12間の隙間22の大きさによって、隙間22を通過して移動台車12上のきのこ栽培容器に供給される空気量は大きく変化していた。この隙間22を通過する空気量によってきのこの生育状況が変わるので、きのこの育成時には、作業者は、きのこの生育状態に応じて、隣接するそれぞれの移動台車12間の隙間22の距離を変えて、隙間22を通過する空気の量を調節し、各移動台車12に載置されるきのこの均等育成を行う。
【0010】きのこの生育状態は、例えば、作業者の目視によって判断することができる。また、各移動台車12の位置と隙間22は、手動によって移動することもできるが、図示しない減速モータ等の駆動手段を各移動台車12に設けておき、この駆動手段によって移動及び停止をさせることも可能である。きのこ栽培室11に所定期間保管され、芽出しがされた後、きのこ栽培容器が収納されたコンテナ13は、きのこ栽培室11と同じ構造で温度及び湿度の条件を変えた他のきのこ栽培室に移送される。移送時には、搬入時と同様にフォークリフト19を使用し、それぞれの移動台車12(特定の移動台車21を含む)を特定の移動台車21の右側又は左側の隙間を境にして双方に寄せて、特定の移動台車21の右側又は左側に空間部18を形成し、空間部18にフォークリフト19を進入させて特定の移動台車21の保管棚14の収納部15、及び載置部15aのうちの1つから複数のコンテナ13が載ったパレット16を取り出して他のきのこ栽培室に移送する。これを繰り返して、きのこ栽培室11から他のきのこ栽培室に、きのこ栽培容器が収納されたコンテナ13を移送することができる。
【0011】また、レール20に他のきのこ栽培室まで続く他のレールを接続しておき、他のレールに沿って移動台車12ごと移送することも可能である。そして、図2に示すように、他のきのこ栽培室23をきのこ栽培室11の幅方向の一側に連接して設けると共に、他のきのこ栽培室23内に設けられるレール24をレール20の端部に接合して、また、きのこ栽培室11ときのこ栽培室23との間の壁部に両室を連通可能な開閉扉25を設けておくことも可能である。このように構成することによって、開閉扉25を開いて、移動台車12をレール20、24に沿って移動させ、直接他のきのこ栽培室23に移送することもできる。こうして、きのこの成長に応じて温度等の条件を変えた複数のきのこ栽培室にそれぞれ所定期間ずつ保管して移動台車12間の隙間22を変えて通過する空気量を調整することによって、各ロットごとにきのこの均等育成を行い、高品質のきのこを生産することができる。
【0012】図4に移動台車の変形例を示す。移動台車26は、その下部に移動車輪17の替わりにタイヤ27を設けており、その他の部分の構成は移動台車12と同じにしている。このように構成することによって、レール20を省略することができ、きのこ栽培室11の施工を簡単にすることができる。図5にコンテナの載置状態の変形例を示す。移動台車28は、移動台車12の保管棚14を取り外した形状で、その上面には、パレット16を直接載置している。また、移動台車28に直接載置したパレット16の四隅に上方に伸延する支持脚部材29を取付け、それぞれの支持脚部材29の上端で、さらに他のパレット16の下部を支持している。そして、それぞれのパレット16の上には、きのこ栽培容器が多数収納されたコンテナ13が複数段積み重ねられている。このように構成することによって、保管棚14を使用しないでパレット16を自由に移動することができる。なお、この場合の移動台車28の下部の形状を、移動台車26と同じにすることも当然可能である。
【0013】以上、本発明に係る実施の形態について説明してきたが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、きのこ栽培室内の移動台車は1列に配置しているが、2列以上にしてもよい。また、棚(又は載置部)の段数も2段にしているが、1段、又は3段以上にすることも可能である。さらに、各移動台車に駆動手段と共に位置センサを設け、図示しない制御装置によって保管時の各移動台車の位置や移動時の運搬作業を制御することも可能である。このように構成することによって、人手を省いて作業の省力化を図ることができる。
【0014】
【発明の効果】請求項1記載のきのこ栽培装置においては、各移動台車が幅方向に移動可能となって搬送手段の作業スペースを確保しているので、大型容器を受け渡しするときだけ各移動台車間の隙間を大きくして、通常は小さくしておくことができ、室内のスペースを有効に利用して栽培スペースを狭くすることができ、また、搬送作業も簡単に行うことができ、さらに、隙間の調整により同一ロットでの生産の均一性を確保することができる。請求項2記載のきのこ栽培方法においては、きのこの生育状態に応じて隣接するそれぞれの移動台車間の隙間の距離を変えて、隙間を通過する空気の量を調節するので、きのこの生育状況が悪い移動台車の両側の隙間を広げ風通しをよくして成長を促進し、また、成長が早すぎる移動台車の両側の隙間を狭くして風通しを悪くして成長を抑え、同一ロットのきのこの生育状況を均一にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】日鐵プラント設計株式会社
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
【出願日】 平成11年10月7日(1999.10.7)
【代理人】 【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
【公開番号】 特開2001−103838(P2001−103838A)
【公開日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願番号】 特願平11−286926