| 【発明の名称】 |
キノコの栽培方法とキノコの栽培用培地 |
| 【発明者】 |
【氏名】高畠 幸司
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| 【要約】 |
【課題】飴殻を培地基材に利用し、キノコを安定した収量で収穫可能なキノコの栽培方法とキノコの栽培用培地を提供する。
【解決手段】針葉樹の鋸屑で子実体形成可能なヒラタケやエノキタケ等のキノコの栽培方法であって、重量の20〜80%を飴殻で構成した培地基材を調整し、この培地基材に所定量の米糠、フスマ、コーンブラン等の栄養材を混合し、その培地に種菌を接種して適温適湿で培養し、子実体を発生させ成長させるものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 針葉樹の鋸屑で子実体形成可能なキノコの栽培方法において、重量の20〜80%を飴殻で構成した培地基材を調整し、この培地基材に所定量の栄養材を混合し、滅菌処理を施し、ここに種菌を接種して適温適湿で培養し、子実体を発生させ成長させることを特徴とするキノコの栽培方法。 【請求項2】 針葉樹の鋸屑で子実体形成可能なキノコの栽培用培地において、重量の20〜80%の飴殻を含む培地基材に、所定量の栄養材を混合したキノコの栽培用培地。 【請求項3】 上記培地基材は、餡殻と針葉樹の鋸屑との混合物であり、上記培地基材重量の40〜60%が飴殻であることを特徴とする請求項2記載のキノコの栽培用培地。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ヒラタケやエノキタケ等、針葉樹の鋸屑で子実体形成可能なキノコの栽培方法とキノコの栽培用培地に関する。 【0002】 【従来の技術】昭和50年代以降、キノコの栽培方法として菌床栽培法(木質材料である培地基材と米糠、フスマ、コーンブラン等の栄養材を混合して調整した培養基材を使って栽培する方法)が広く普及し、季節に関係なく一年を通してキノコが生産可能となった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、ここ数年間は、キノコ類の年間総生産額は2700億円前後で横這い傾向が続き、頭打ち状態となっている。さらに、キノコ生産者の経営状態は、キノコの市場価格の低迷、中国産シイタケに代表される輸入キノコの増大、培地基材であるオガコの高騰等により、厳しい状態が続いている。 【0004】また、菌床栽培法は、普及し始めてから年月が浅く、生産されるキノコの品質と収量が安定しないものであった。加えて、消費者の嗜好は多様化し、消費者間に馴染み深くなり過ぎたヒラタケ(通称シメジ)、エノキタケには斬新な魅力がなく、健康志向を反映した機能性成分の向上が求められている。 【0005】一方、小豆加工食品製造業界では、廃棄物として生じる飴殻の処理に苦慮している。飴殻は、小豆の絞り粕であるが、家畜飼料としての用途以外には焼却処分されており、昨今の環境問題が注目されている状況下では、焼却処分以外の有効利用方法が求められている。小豆加工食品は我が国のいたる所で製造されており、飴殻は乾物重量で年間500t以上生じると推定されている。 【0006】この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、飴殻を培地基材に利用し、キノコを安定した収量で収穫可能なキノコの栽培方法とキノコの栽培用培地を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明は、針葉樹の鋸屑で子実体形成可能なヒラタケやエノキタケ等のキノコの栽培方法において、重量の20〜80%を飴殻で構成した培地基材を調整し、この培地基材に所定量の米糠、フスマ、コーンブラン等の栄養材を混合し、ここに種菌を接種して適温適湿で培養し、子実体を発生させ成長させるキノコの栽培方法である。さらに、ヤナギマツタケ、ブナシメジの栽培にも適用可能である。 【0008】また、上記培地基材は、飴殻と針葉樹の鋸屑との混合物である。使用される木材鋸屑は、例えばスギ製材鋸屑やエゾマツ製材鋸屑等である。 【0009】この発明は、飴殻を含む培地基材に、所定量の栄養材を混合したキノコの栽培用培地である。上記培地基材は餡殻と針葉樹の鋸屑との混合物である。餡殻は、培地基材重量の20〜80%であり、所定量の米糠、フスマ、コーンブラン等の栄養材を混合したキノコの栽培用培地である。培地基材の餡殻の割合は、より好ましくは40〜60%である。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について説明する。この発明の一実施形態のキノコ栽培用培地基材は、針葉樹のオガコ(例えば、スギ製材鋸屑あるいはエゾマツ製材鋸屑)と飴殻を所定の割合で混合して培地基材を調整する。例えば、餡殻の占める割合を重量比で20〜80%、より好ましくは40〜60%とする。この培地基材に栄養材(米糠、フスマ、コーンブラン等)を混合し、適正な含水率に水分調整した後ビンに詰め、ビンごと培地基材に滅菌処理を施す。そして、この培地基材にヒラタケ又はエノキタケの種菌を接種し、一定期間所定温度下で培養する。そして、菌掻き、注水処理後、所定温度で培養を続けると子実体が発生し、傘の開きが適当な状態になったとき子実体を収穫する。 【0011】この実施形態のキノコの栽培方法によれば、飴殻が20〜80%混合された培地基材でヒラタケ又はエノキタケを栽培することにより、子実体の収量が増加する。さらに、エノキタケでは、遊離アミノ酸、有機酸の含有量が増し、甘味性の強い子実体が収穫される。そして、従来廃棄されていた餡殻を有効に利用することができる。 【0012】なお、この発明のキノコの栽培方法とキノコの栽培用培地は、ヤナギマツタケ、ブナシメジ等、針葉樹鋸屑で子実体形成可能な他のキノコの栽培にも適用可能である。 【0013】 【実施例】次に、この発明の第一実施例について説明する。培地基材は、飴殻の占める割合を、重量比で0%(対照区、スギオガコ100%)、25%(スギオガコ75%)、50%(スギオガコ50%)、75%(スギオガコ25%)、100%の5種類に設定し、培地基材を調整した。栄養材として米糠を用い、培地基材と栄養材を重量比で18:17の割合で混合し、含水率を湿量基準で65%に調整して培地とした。 【0014】この培地基材を、PP製ビンに520g詰め、120℃で45分間滅菌処理を施し、放冷後ヒラタケ種菌を接種した。20±2℃で30日間培養し、菌掻き、注水処理後、15±2℃でRH90%以上の条件下で子実体発生を促した。そして16〜18日間後、傘の開きが8分の状態で子実体を収穫した。 【0015】上記の条件で、二回実験を繰り返した。その結果を以下の表1に示す。 【0016】 【表1】
この結果、培地基材に飴殻を混合することにより、子実体収量は増加した。一回目の試験では、飴殻の混合割合75%の試験区において、対照区に対し約1.5割増の子実体収量を示した。また、二回目の実験では、飴殻の混合割合が25〜100%の試験区において、対照区に対し1〜2割増の子実体収量を示し、飴殻の混合割合が75%の試験区で最も子実体量が多くなった。100%飴殻の試験区では、培地に粘性が生じ、培地調整の作業性が著しく低下した。従って、培地基材として飴殻単独で使用することは困難と考えられる。 【0017】次に、この発明の第二実施例について説明する。上記第一実施例と同様の条件で培地を調整し、エノキタケ種菌を接種した。16±2℃で28〜35日間培養し、菌掻き後、芽出し処理を14±2℃で10〜11日間、抑制処理を5±2℃で8日間、生育処理を7±2℃で14日間とし、その後子実体を収穫した。その結果を以下の表2に示す。 【0018】 【表2】
この結果、飴殻の混合割合が50%以上の試験区において、対照区に対し1割程度増加した子実体収量を示した。ただし、飴殻100%の試験区では、ヒラタケ栽培の場合と同様に作業性が劣り、培地基材として飴殻単独で使用することは困難と考えられる。 【0019】次に、この発明の第三実施例について説明する。培地基材は、飴殻の占める割合を、重量比で0%(対照区、エゾマツオガコ100%)、20%(エゾマツオガコ80%)、40%(エゾマツオガコ60%)、50%(エゾマツオガコ50%)、60%(エゾマツオガコ40%)、80%(エゾマツオガコ20%)の6種類に設定し、培地基材を調整した。そして第二実施例と同様の条件で培地を調整し、エノキタケ種菌を接種し、培養を行い、子実体を収穫した。その結果を以下の表3に示す。 【0020】 【表3】
この結果、飴殻の混合割合が20〜80%の試験区において、対照区に対し1〜2割程度増加した子実体収量を示した。 【0021】次に、第三実施例で得られたエノキタケの子実体について、遊糖類、糖アルコール、有機酸、遊離アミノ酸の含有量を測定した。遊離糖と糖アルコールの測定結果を表4に、有機酸の測定結果を表5に、遊離アミノ酸の測定結果を表6に示す。 【0022】 【表4】
【0023】 【表5】
【0024】 【表6】
この結果、餡殻を混合した培地で栽培された子実体には、グリセロール、グリシン、アラニンの甘味性成分の含有量が顕著に増加した。これらの成分の増加により、甘いエノキタケが形成された。また、旨みに関連するグルタミン酸、クエン酸、コハク酸の含有量が多くなり、身体の代謝促進に関連する非タンパク性アミノ酸であるタウリン、γ−アミノ酪酸の含有量が増加した。また、有機酸総量、遊離アミノ酸の総量も増加し、機能性成分に富んだ子実体が収穫された。 【0025】このことから、培地基材の構成要素として飴殻が20〜80%、好ましくは40〜60%占めるように調整した培地でヒラタケ、エノキタケの菌床栽培を行うことにより、子実体収量は1〜2割増加し、エノキタケにおいては機能性に富む甘いキノコの栽培が可能となることが明らかになった。 【0026】 【発明の効果】この発明のキノコの栽培方法とキノコの栽培用培地によれば、子実体収量が増加し、また代謝促進に関連する成分等をより多く含有し、旨み性と甘味性の高いエノキタケ等を得ることができる。これにより、消費者の嗜好の多様性に対応することができ、新たな需要を生むことが期待でき、ヒラタケ、エノキタケ等のキノコ生産者の経営安定化にも繋がるものである。また、飴殻が有効に利用されることにより、従来焼却処分していたものが有効に活用され、小豆加工食品製造業界においてもメリットがある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000236920 【氏名又は名称】富山県
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| 【出願日】 |
平成11年10月7日(1999.10.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095430 【弁理士】 【氏名又は名称】廣澤 勲
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| 【公開番号】 |
特開2001−103837(P2001−103837A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月17日(2001.4.17) |
| 【出願番号】 |
特願平11−286621 |
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