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【発明の名称】 移植用イグサ苗の栽培法
【発明者】 【氏名】陶山 純

【要約】 【課題】移植用挿し苗の植付け作業を効率化する方法を提供する。

【解決手段】多数のポット状苗室を有する機械移植用育苗箱の各苗室に培土を入れ、培土に水が浸透するまで苗箱を水中に浸漬した後、育苗用に調整したイグサ挿し苗を挿入することを特徴とする移植機用イグサ苗の栽培法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数のポット状苗室を有する機械移植用育苗箱の各苗室に培土を入れ、培土に水が浸透するまで苗箱を水中に浸漬した後、育苗用に調整したイグサ挿し苗を挿入することを特徴とする移植機用イグサ苗の栽培法。
【請求項2】 粒径2mm以下の成分を50%以上含有する培土を用いることを特徴とする請求項1記載の栽培法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、機械移植用イグサ苗を栽培する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、イグサは、新芽を持つ移植用の苗株を11月ごろ、親株から株分けしてイグサ苗を調整し水田に移植する方法で栽培されていた。イグサは株間を詰めて栽培することから、10a当たり2,7000本もの苗株が植え付けられる。このような大量の苗を短期間で調整し移植する作業は過酷な労働であり、機械移植による省力化が強く求められていた。本出願人は、底面に押出穴を設けた多数のポット状苗室を一定間隔に配してなる可撓性のポット育苗箱の各苗室にイグサ苗を育苗し、該ポット育苗箱を機械に搭載して順次各苗室からイグサ苗を機械的に押出し、本田に移植するよう構成されたイグサ用の移植機を提供した(特公昭57−22288号公報)。
【0003】本出願人は、さらに、改良を重ね、育苗用のイグサ苗(以下、挿し苗という)の調整作業の省力化を実現するために、ポット育苗箱の土入れ方法及び装置等を提供した(特開平9−9792号公報)。即ち、イグサ苗は、根痛みがしやすいために、株分け後直ちに植え付ける必要がある。しかるに、上記のごとく、圃場当たり必要なイグサ苗株の数は膨大であり、手作業で育苗用の挿し苗をポット苗箱の各苗室に迅速かつ的確に植え付けることは容易でない。特開平9−9792号公報記載の方法では、ポット苗箱の各苗室に育苗用に調整した挿し苗を挿入(空挿し)した後、土入れをし、最後に潅水する。実際には、図5に示すように、底面に押出穴を設けた多数のポット状苗室2を一定間隔に配してなる可撓性ポット育苗箱の上方に、各ポット状苗室に対応する位置にガイド孔gを有する挿苗ガイドG(図7参照)を配し、該ガイド孔gを通して各ポット状苗室2に直立状態に挿し苗a(2〜3茎株)を挿入した後、挿し苗aの上からガイド孔gを通して各苗室に土4を入れ、潅水する。この半自動植付け手段を図8の概略図により説明すると、挿苗ガイドGをセットしたポット育苗箱Bに挿し苗aを手作業で挿し、ポット育苗箱Bを前方(図中、右方向)に移動させる移動手段を備えた搬送テーブルTに載置すると、該ポット育苗箱Bが搬送され、土入れと潅水が自動的に行われる。即ち、ポット育苗箱Bが床土供給装置15の下方に至ると該床土供給装置15から床土が落下し、挿苗ガイドGのガイド孔gを通してポット状苗室2に土が充填される。余分な土は傾動部Taで苗箱Bを傾けることにより除去され、灌水装置16の下方で灌水される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の空挿しを含む方法では、ポット状苗室に挿入された挿し苗aが倒れないように挿苗ガイドGを膨大な数のポット育苗箱Bにセットしなければならず、挿し苗作業の効率が低下するという課題があった。また、移植機に適合する移植用イグサ苗を生育させるために挿し苗aを各ポット状苗室の底まで十分に挿入する必要があり、挿し苗aの根部を図6に示すように厳密に整理しておかなければならず、そのために株分け作業に多くの時間を費やしていた。さらに、土入れ後の潅水では挿し苗aの活着に十分な水分が供給されず、苗挿し作業終了時から床並べまでの管理に細心の注意が要求され、作業者の負担が大きかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、機械移植用イグサ苗の効率的で簡便な栽培方法を開発することを目的として鋭意研究し、本発明方法を完成するに至った。即ち、本発明は多数のポット状苗室を有する機械移植用ポット育苗箱の各苗室に培土を入れ、培土に水が浸透するまでポット育苗箱を水中に浸漬した後、育苗用に調整したイグサ挿し苗を挿入することを特徴とする移植機用イグサ苗の栽培法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の栽培法には、最小限、ポット状苗室を有するポット育苗箱と、該ポット育苗箱の苗室に入れるための土、及び土入れ後のポット育苗箱を水中に浸漬させるための水槽が必要である。これらはいずれも当該技術分野で既知の入手可能な製品であってよい。また、本発明の栽培法には、イグサ挿し苗が活着し、生育することを条件として任意の培土を用いることができるが、機械移植用にしっかりした根鉢を形成させるためには粒径2mm以下の成分を50%以上含有する土壌が好ましく、75%以上含有することがより好ましい。
【0007】ここで、土壌の粒径分布は、国際土壌学会法によると、礫(2mm以上)、粗砂(2〜0.2mm)、細砂(0.2〜0.02mm)、シルト(0.02〜0.002mm)、粘土(0.002mm以下)と分類されている。この粒径分布の基準に従い、本発明の培土は礫を除く粗砂〜粘土(細土)またはそれらに相当する成分の含有率が50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。本発明の方法には、上記範囲の粒度分布を示す任意の土壌を用いることができ、育苗や栽培に使用されており当業者が入手可能なあらゆる農業用資材を含み、山土、田土、人工培土など、特に限定されない。
【0008】本発明において、「培土に水が浸透するまでポット育苗箱を水中に浸漬する」とは、ポット状苗室の土壌がイグサ挿し苗の活着生長に適した水分を保有することを意味する。浸漬する時間は培土の構成成分、粒度分布によっても異なるが、通常、数秒から数分の間である。なお、苗挿し作業を確実に行うために、培土のpF値は1.7以下であることが好ましい。ここでpF値は、土壌粒子間の間隙に毛管力で保持される土壌水の張力であり、土壌が水分を保持している状態を表す値である。本発明方法では、培土を充填した苗箱を水中に浸漬するが、苗箱を1個づつ浸漬してもよいが、複数個重ねて一度に浸漬すると効率的である。
【0009】
【実施例】本発明の実施例を、図1〜図6を参照して説明する。まず、粒径2mm以下の成分の含有率が50%以上の培土4を準備する。また、イグサ親株から株分けし、根を適当に調整した挿し苗5を用意する。本発明の効果は根の状態に大きい影響を受けないので、図6に示すように、挿し苗5の根の調整は従来法で用いる挿し苗aに比較して厳密でなくてもよい。図1及び図2は、それぞれ可撓性ポット育苗箱1及び受け箱6を示す。ポット育苗箱1は、底面に移植機の押出杆によりポット苗を押出すための押出し穴が開口した多数のポット状苗室2を一定間隔に有する。3はポット状苗室2のピッチ分だけ機械送りするための送り穴であり、例えば特公昭57−22288号公報に記載されたものと実質的に同一構造である。受け箱6は、ポット育苗箱1を収容する浅い有底箱体であり、底壁には多数の穴7が形成され、通水自在、かつイグサ苗の生長した根が苗床に向けて延びることができるようになっている。
【0010】上記可撓性ポット育苗箱1及び受け箱6を利用してイグサ苗を栽培するには、まず、図3に示すようにポット苗箱1を受け箱6に載置し、培土4を各ポット状苗室2に入れる。次いで、培土4を充填したポット苗箱1と受け箱6を、それらがすっぽりと入る水槽または水を入れた適当な容器に入れて約1分間浸漬する。水が培土4に浸透した(pF値約0)後、引き上げ、図4に示すように、挿し苗5を水を含んだ培土に挿入する。なお、培土4を充填した苗箱1、受け箱6のセットを上下に複数セット重ねて浸漬しても良い。
【0011】続いて、このポット苗箱1を、受け箱6とともに育苗用の苗床に設置し、イグサ苗の根がポット育苗箱1の押出穴及び受け箱6の穴7から出て苗床に届くまでは水を溜めた状態で管理し、その後は落水して畑状態で育苗管理を行う。植付けに際しては根切りをし、ポット育苗箱1と受け箱6を苗床から離し、ポット育苗箱1を受け箱6から分離して移植機にセットし本田に移植する。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、挿苗ガイドが不要であり、イグサ挿し苗のポット苗室への植付けを効率よくしかも簡便に行うことが出来る。しかも、十分な水を含んだ培土に植え付けるので、挿し苗の根の先端がポット苗室底部に達していない場合でも十分に活着するので苗挿し作業が容易である。また、本発明方法で用いるイグサ挿し苗は、図6の5に示すように、従来法で必要とされる挿し苗aに比較して根の処理が簡単であり、作業の効率化が大いに促進される。
【出願人】 【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
【出願日】 平成11年10月8日(1999.10.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−103835(P2001−103835A)
【公開日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願番号】 特願平11−288040