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【発明の名称】 温 室
【発明者】 【氏名】和田 弘

【氏名】奥村 昭雄

【要約】 【課題】太陽光により加熱空気を効率的に得て、通常では温室内の温度を所定値に確保できない場合に植物の生育に必要な環境を確保でき、また、土中に蓄熱し、あわせて凍結も防止し、酸素を供給して光合成を活性化し、さらに、太陽光が有効に得られない場合でも、補助暖房により同様の作用、効果を得ることができる。

【解決手段】温室内1に、太陽熱集熱パネルと、立ち下がり送風管とそれに接続する埋設蓄熱管および、埋設蓄熱管からの立ち上がり吹出し管とからなる循環蓄熱装置を設け、流入切り替えダンパー、送風ファン、加温パネル、流出切り替えダンパーを配設したハンドリングボックスを立ち下がり送風管に設置し、流入切り替えダンパー配設部分には集熱ダクトと温室内に開口するリターンダクトとを接続し、加温パネルは補助ボイラーに接続し、流出切り替えダンパー配設部分には前記埋設蓄熱管と温室内に開口する循環吹出し口とを接続した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明屋根の温室内に、多数の集熱板を間隔をおいてルーバー状に斜めに配列した太陽熱集熱パネルと、この太陽熱集熱パネルからの空気を温室内の地中に送り込む立ち下がり送風管とそれに接続する埋設蓄熱管および、埋設蓄熱管からの立ち上がり吹出し管とからなる循環蓄熱装置を設け、流入切り替えダンパー、ファン、加温パネル、流出切り替えダンパーを配設したハンドリングボックスを立ち下がり送風管に設置し、ハンドリングボックスの流入切り替えダンパー配設部分には前記太陽熱集熱パネルに接続する集熱ダクトと温室内に開口するリターンダクトとを接続し、加温パネルは補助ボイラーに接続し、流出切り替えダンパー配設部分には前記埋設蓄熱管と温室内に開口する循環吹出し口とを接続したことを特徴とする温室。
【請求項2】 集熱板は、端部同士が重ならないように適宜な間隔をもってなる請求項1記載の温室。
【請求項3】 太陽熱集熱パネルは透光板は、対向させて配列した太陽光の透光板間の空間に多数の集熱板を配列したものであり、この透光板をビニールフィルムとし、間に桟木を配設して張設する請求項1または請求項2記載の温室。
【請求項4】 温室の屋根内に、枠組みおよび中桟に発泡スチロールを使用し、ビニールフィルムを張設して密閉空気層を内部に設けた透光保温パネルを着脱自在に掛止する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の温室。
【請求項5】 発生槽、貯留槽からなるメタンガス発生装置とこのメタンガス発生装置に接続する燃焼装置を配設した請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の温室。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽光の集熱パネルを使用するビニールハウスなどの温室に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の温室は室内が高温、高湿になり過ぎる場合が起こり、尻腐れ病などの病害の発生や、作業者の健康にも悪影響をもたらす場合が起こっている。また、北海道などの寒冷地では土中温度が表層部分しか上がらないために、昼夜の温度差が大きく、多量の補助燃料や補助設備を必要としていた。
【0003】そもそも植物は、根から水を吸い上げ、葉から蒸散することによって植物に必須の成分土中から得るだけでなく、葉からの熱の蒸散によって温度上昇を抑えて、葉緑体の光合成効率を高いレベルに維持している。温室内の湿度が高くなり過ぎて、蒸散が不十分になれば、ミネラルの取り込みができないだけでなく、葉の温度が高くなって光合成効率も低下してしまい、植物の生命活動に危険をもたらす結果になる。
【0004】従来型の温室で、窓の開閉や強制換気、時によっては除湿器を必要としていたのは、温室本体構造が温度のみに着目していたことの結果である。また、このことから、葉面の水蒸気を移動させる室内に微風も大切であることが分かる。
【0005】そこで、発明者等は先に、昼間、外気を太陽熱集熱パネルを通して加熱し、土中に埋設した網状管を通過させて土中放熱させてから温室内に放出することによって、土の大きな熱容量を利用して室内の過度の温度変化を抑える。同時に、外気の導入と隙間からの流出によって発生水蒸気を屋外に排出するために、室内の湿度上昇も抑え、微風を発生させる。その結果、作物に適切な温・湿度を提供するとともに作業者の作業環境も改善できる温室を特願平9-15964 号(特開平11-6656 号公報)として出願した。
【0006】これは、図20に示すように、骨組材1aとビニール3等による透明膜または板による温室1は、太陽光の集熱装置4による加温手段と、該集熱装置4に接続して温室内に温風を供給するとともに温室の土中に蓄熱させる循環管による蓄熱循環手段とを配設する。前記集熱装置4は、屋根2の南側傾斜面に配設するもので、太陽熱集熱パネル12を複数並列させて屋根2の内側の温室1内に設置する。集熱パネル12のサイズは温室1の構造や規模などにより任意に決定し、不必要時には取り外せるように設置する。
【0007】かかる集熱装置4に接続して温室1内に温風を供給するとともに温室の土中に蓄熱させる循環管による蓄熱循環手段とを配設する。この蓄熱循環手段は、集熱パネル12の排気口11に吸い込み口16が開口する集熱管15と、該集熱管15に接続して温室内の側壁に沿って配管される立ち下がり送風管17と、該立ち下がり送風管17に接続して土中に埋設される下部水平管である土中管18と、該土中管18に接続する土中からの立ち上がり送風管19とで構成する。
【0008】前記集熱管15は妻型の屋根2の頂部内側に水平に配設されるもので、長さ方向で集熱パネル12の排気口11の対応位置に吸い込み口16を形成した。排気口11と吸い込み口16とは図示のように離間させてもよいが、直接接続することもできる。また、立ち下がり送風管17はこの集熱管15の中央下部に上端の開口を接続するもので、該立ち下がり送風管17の中間の高さ位置より下方に別の吸い込み口30を開口し、この吸い込み口30の下方に電動の送風ファン20を取り付ける。
【0009】蓄熱管としての土中管18は温室1内の畝21と直交する方向で中央に1本の本管18aを接続し、該本管18aの両側から畝21の間に位置するように畝21と平行に複数の分岐管18bを接続した。この分岐管18bの端部は温室1の側部に達する長さとする。立ち上がり送風管19は前記分岐管18bの端部にそれぞれ設けられるもので、上端の吹き出し口25を温室1内の下部に開口する。
【0010】また、冬期における放熱防止用の断熱パネル26を温室1の北側の屋根2と側壁に着脱自在に配設し、また、夜間の放熱防止用の断熱パネル27、28を温室1の側壁の高さ方向の中間位置よりも下方の部分や、温室1内の空間の水平中間部などの適宜位置に着脱自在に配設した。断熱パネル26〜28は材質としては発泡ウレタン、発泡スチロールなどを使用する。図中29は前記水平中間部に配設する断熱パネル28の係止部材を示す。
【0011】次に作用について説明する。寒冷地などでビニール等による大気遮断だけでは温室1内の温度を所定値に確保できない場合は、温度補正の手段として、集熱パネル12を温室1の屋根2の内側に設置すれば、太陽光が照射し、これが温められる。温室1内の空気は集熱パネル12の吸気口10から入り、太陽熱で温められた空気は排気口11に至る。
【0012】このようにして集熱パネル12内で加温されて排気口11から排出された温かい空気は送風ファン20の吸引力で吸い込み口16から集熱管15に吸い込まれ、該集熱管15に接続されている立ち下がり送風管17内をさらに流れて、地中に埋設されている土中管18に流れ、本管18aから分岐管18bへと流入する。排気口11と吸い込み口16とを離間させた場合は、排気口11からの温風に温室1内の空気を混合して採り入れることができる。分岐管18b内に送られた温風の熱の一部は周囲に放熱し土を温め、さらに他の一部は立ち上がり送風管19に流れる。
【0013】立ち上がり送風管19に流れた温風は、上端の吹き出し口25から温風を温室1内に吹き出す。この立ち上がり送風管19は温室1の側壁にそってほぼ均等な間隔で複数本が配列されているから、温室1内の各部に均等に温風が吹き出される。また、前記集熱パネル12を透過する太陽光は直射日光として温室1内の植物などを照射し、また温室1内を加温する。これにより、温室1内の空気が所定温度以上に保持される。温室1内に吹き出された空気は集熱パネル12の吸気口10から再び吸い込まれてここで温められ、排気口11から集熱管15、立ち下がり送風管17、土中管18へと送られ、これを繰り返す。
【0014】夜間や日照のない日でも、土中への放熱により管周囲の土が温められ、土に熱が蓄熱されてこれが特に冬期において寒冷地での土の凍結を防止する。さらに、夜間や日照のない日には、断熱パネル27で温室の下方部分の側壁を覆うとともに、温室1内の空間の中間位置に断熱パネル28を配設して温室1内を上下に二分し、植物の生育している下方の部分だけに閉鎖された狭い空間を形成し、吸い込み口30から吸い込まれ、吹き出し口25から吹き出される循環温風でこの狭い空間だけを効率よく保温する。
【0015】また、冬期には温室1の北側の全体を断熱パネル26で覆うことで、日照のない北側での放熱を防止できる。かかる断熱パネル26〜28の設置は、これを立てかけたり、置くだけでよい。
【0016】そして、日照のあるときに集熱パネル12で温められた空気を集熱管15から立ち下がり送風管17に送り、土中管18、立ち上がり送風管19を介して吹き出し口25から温室1内に吹き出し、温室1内の温度を所定値以上に保持する。
【0017】夜間は断熱パネル27で温室1の側壁の下半分を覆い、保温を必要とする空間を狭くし、吹き出し口25から吹き出した空気は途中の吸い込み口30からのみ吸い込む。これにより、温風が循環する空間が温室1内の下半分だけとなり、夜間や日照のない日は土中管18による土中の蓄熱を使用しての温度保持が可能となる。
【0018】しかし、このような日照のあるときに集熱パネルで温められた空気を利用する方式では、曇りや雪で十分な日射が得られないおそれがあり、その場合には折角のシステムが有効に活用できないこともある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、太陽光により加熱空気を効率的に得て、寒冷地などでビニール等による大気遮断だけでは温室内の温度を所定値に確保できない場合に植物の生育に必要な直射日光も確保でき、また、土中に蓄熱し、あわせて凍結も防止し、酸素を供給して光合成を活性化し、さらに、太陽光が有効に得らない場合でも、補助暖房により同様の作用、効果を得てシステムの有効活用を図ることができ、使用する装置も簡素化なもので実現できる温室を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、第1に、透明屋根の温室内に、多数の集熱板を間隔をおいてルーバー状に斜めに配列した太陽熱集熱パネルと、この太陽熱集熱パネルからの空気を温室内の地中に送り込む立ち下がり送風管とそれに接続する埋設蓄熱管および、埋設蓄熱管からの立ち上がり吹出し管とからなる循環蓄熱装置を設け、流入切り替えダンパー、ファン、加温パネル、流出切り替えダンパーを配設したハンドリングボックスを立ち下がり送風管に設置し、ハンドリングボックスの流入切り替えダンパー配設部分には前記太陽熱集熱パネルに接続する集熱ダクトと温室内に開口するリターンダクトとを接続し、加温パネルは補助ボイラーに接続し、流出切り替えダンパー配設部分には前記埋設蓄熱管と温室内に開口する循環吹出し口とを接続したことを要旨とするものである。
【0021】第2に、集熱板は、端部同士が重ならないように適宜な間隔をもってなること、第3に、太陽熱集熱パネルは透光板は、対向させて配列した太陽光の透光板間の空間に多数の集熱板を配列したものであり、この透光板をビニールフィルムとし、間に桟木を配設して張設すること、第4に、温室の屋根内に、枠組みおよび中桟に発泡スチロールを使用し、ビニールフィルムを張設して密閉空気層を内部に設けた透光保温パネルを着脱自在に掛止すること、第5に、発生槽、貯留槽からなるメタンガス発生装置とこのメタンガス発生装置に接続する燃焼装置を配設したことを要旨とするものである。
【0022】請求項1記載の本発明によれば、ハンドリングボックスでの流入切り替えダンパーと、流出切り替えダンパーとの切り替え作用、および、加温パネルの運転で太陽熱集熱パネル使用時と補助暖房使用時のいずれか、もしくは併用を選択でき、また、空気の流れとしても、ハンドリングボックスへの流入において、太陽熱集熱パネル通過の場合と、温室内に開口するリターンダクトから直接取り込む場合、ハンドリングボックスからの流出において、地中の埋設蓄熱管を経由して温室内に吹き出す場合と、地中を経由せずに直接吹き出す場合とを適宜選択もしくはその併用割り合いを選定できる。
【0023】さらに、太陽光がなく、または、十分でない場合にはハンドリングボックス内の加温パネルを使用して温風を得ることができる。そして、前記埋設蓄熱管に流れた温風は一部は土中へ吹き出され、土中に酸素を供給する。その結果、植物の光合成が促進される。さらに他の一部は吹出し管に流れ、温室内へと吹出される。
【0024】また、植物は土中の微生物と共生して生きている。土中菌の活動が活発であることが、地上作物の育成を旺盛にする条件であることは、農民ならば誰でも知っていることである。土中温度が15〜20℃になり、土中に豊富に空気が含まれ、適度な水分があるとき、土中菌の活動が最も活発になり、それと共生する地上作物の根系も発達し、生育も盛んになる。従来型の温室は十分土中環境に寄与していなかったために、脆弱な「温室育ち」を育ててきた。
【0025】また、高密度栽培をする温室では、光合成に必要な炭酸ガスの不足状態を起こすことがあり、炭酸ガスボンベを設置する場合もあった。
【0026】本発明では、土中に埋設された網状管である埋設蓄熱管から土中に熱が供給・蓄熱されると共に、空気の供給されるために、土中菌の生育・活動が活発となり、土中菌によって土の団塊が形成されるいわゆる「ふかふか」土になり、土中の空気流通は一層盛んになる。その結果、作物にとって土壌環境も大きく改善され、「良い根」をもった強靱なものとなる。苗用温室では種子の発芽率も大幅に向上する。
【0027】昼間、太陽熱で加熱された外気を土中に導入しつつ、土中菌の活動による炭酸ガスが加えれれば、酸素−炭酸ガスのサイクルにおいてもミクロコスモスが成立する。
【0028】一方で、植物の生育にとっては、適度の変化の繰り返しも必要である。その変化を積算し、総合して自己の生育段階の切り替えの指標にしているからである。土中温度にも、日変化、季節変化が必要である。
【0029】本発明は基本的に自然エネルギーに依存しているので、測定例にもあるように、北海道の中でも寒冷な地域で冬期土中温度15〜20℃と、最適な変化が自然に得られている。植物の種類や生育段階による調整は運転モードによって調節できる。
【0030】請求項2記載の本発明によれば、太陽熱集熱パネルの集熱板は日照透過の妨げになるおそれがあるが、これら集熱板の間隔を広くすることで、日照透過部分を多く確保できる。
【0031】請求項3記載の本発明によれば、ビニールフィルムと桟木で簡単かつ安価に太陽熱集熱パネルを形成でき、また、上下の桟木で集熱板とビニールフィルムを支持し空気を強制的に集熱板の上下に通して熱交換の効率を良くした。
【0032】ビニールハウスの冬期使用のためには保温と気密性を高める必要があり、保温被覆が必要となる。請求項4記載の本発明によれば、透光保温パネルを設けることで、この内部の密閉した空気は保温性能を高め、また、透光保温パネルの存在自体は日照の採光を妨げることはない。しかも、夏には取り外すことができ、計量でビニールハウスに負担をかけず、安価に製作できる。
【0033】請求項4記載の本発明によれば、畜産糞尿によるメタンガス発生器を利用するので、副産物の豊栄養廃液を給水に混入することも可能である。勿論その他の肥料でも良い。旺盛な土中菌の存在は肥料効果も向上させる。
【0034】畜産地域では、糞尿の処理は大きな問題になっている。本発明の温室でも、雨天、曇天などの太陽熱不足に日が続いた場合には、多少の補助熱源が必要となる。そういう場合に畜産糞尿によるメタンガス発生器を温風炉とを組み合わせることができる。温風は集熱パネルに代わって土中に熱と空気を供給する。メタンガス発生の副産物はすべて良質の肥料になる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の温室の1実施形態を示す縦断正面図、図2は同上屋根部分の平面図、図3は同上土中部分の平面図で、前記従来例を示す図20と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
【0036】本実施形態は温室1はいわゆるビニールハウスとして軽量鉄骨による骨組材1aとビニール3とで構成するもので、壁部および屋根2の屋根板もこのビニール3による。図中62は換気口である。
【0037】前記屋根2に集熱装置となる集熱パネル12を組込むが、先にこの集熱パネル12について説明すると、図6〜図10に示すようにこの集熱パネル12は木枠33で矩形に枠組み、桟木34を配設した格子体の上下面に上下に間隔を存して対向する2枚の透光板としてビニールフィルム35を張設し、その間の空間に多数の集熱板7を間隔を存して斜めにルーバー状に並列させた。
【0038】この集熱板7には図10に示すような黒色波鉄板による波板を使用するが、この波板の波の連続方向はビニールフィルム35間の集熱パネル12の平面方向(水平方向)と合致させて、前記桟木34で挟み込み、ビス止めして支持する。
【0039】また、このようにルーバー状に斜めに配列した集熱板7は、透光板であるビニールフィルム35間の空間で、端部同士が重ならないように適宜な間隔(例えば端同士の平行離間距離が5〜10cm程度)を存するものとし、入気口36を端部の上向きに、出気口37を他の端部の下向きに形成した。この出気口37は後述の集熱ダクトに接続するため、接続口として構成する。
【0040】このようにして集熱パネル12は空気を強制的に集熱板7の上下の波の部分を通して熱交換の効率を良くしたもので、集熱板7の間隔を広く取ることで日照通過の妨げをなるべく少なくし、入気口36を上面にしてビニールハウスとの間隙を外気に繋げて空気を取り入れるようにした。
【0041】図4、図5にも示すように、前記集熱パネル12の出気口27と集熱ダクト38を介して接続する立ち下がり送風管17を温室1内に設け、その下端に流入切り替えダンパー39、送風ファン20、温水式の加温パネル41、流出切り替えダンパー42を配設したハンドリングボックス43を設け、この加温パネル41は灯油等を燃料とする補助ボイラー44と接続する。
【0042】流入切り替えダンパー39および流出切り替えダンパー42は一端を軸着した開閉板式のダンパーで、流入切り替えダンパー39部分に温室1内で天井部等に開口するリターンダクト45の端を接続し、流入切り替えダンパー39は集熱ダクト38を経る集熱パネル12からの空気と、このリターンダクト45からの空気をその開閉割合で選択できるようにした。すなわち、集熱ダクト38が連通する立ち下がり送風管17側の開口を大きく取るようにすれば、その分、リターンダクト45側の開口は閉鎖され、この逆にリターンダクト45側の開口を大きく取れば、立ち下がり送風管17側の開口は閉鎖される。いずれか一方を完全に閉じることも可能である。
【0043】ハンドリングボックス43の流出切り替えダンパー42の配置部分の一方には、土中管としての埋設蓄熱管46および、埋設蓄熱管46からの立ち上がり吹出し管47とからなる循環蓄熱装置48のうちの埋設蓄熱管46を接続し、他の一方には温室1内に開口する循環吹出し口49を接続し、この流出切り替えダンパー42でハンドリングボックス43から埋設蓄熱管46への送風と、循環吹出し口49への送風をその開閉割合で選択できるようにした。いずれか一方を完全に閉じることも可能である。
【0044】前記埋設蓄熱管46は立ち下がり送風管17に接続する送風ダクト46aとしての本管とこの本管の両側から畝の間に位置するように畝と平行に接続した複数の分岐管とからなるが、すくなくとも分岐管は排水用網管を使用し、その内部に管壁に多数の孔を設けた給水管50を配設した。この給水管50は温室1内に設置する灌水用タンク63に接続される。なお、他の実施形態として前記本管も排水用網管としてもよい。立ち上がり吹出し管47は前記分岐管の端部にそれぞれ設けられるもので、上端の吹き出し口25を温室1内の下部に開口する。
【0045】寒冷地などで冬期、温室1を構成するビニール3による大気遮断だけでは温室1内の温度を所定値に確保できない場合は、保温と気密性を高めるために、図12、図13にも示すように透光保温パネル51を屋根2の内側に配設できるようにした。この透光保温パネル51は図14〜図16に示すように枠組み51aおよび中桟51bに発泡スチロールを使用し、ビニールフィルム51c(農業用ビニール)をテープで固定することで張設して密閉空気層51dを内部に設けたもので、フック51eを端部に取付けて温室1の骨組材1aであるパイプに着脱自在に掛止することで夏には取外せるようにした。
【0046】この透光保温パネル51は、集熱パネル12に並べて設置でき、下方延長線上には発泡スチロール(スタイロフォーム)等による土中の断熱パネル52につなげてこれらで屋根2の内側をぐるりと覆うようにした。図中53は透光保温パネル51同士を結合する合釘である。
【0047】補助暖房の装置として、図17に示すようにメタンガス発生装置54とこれに接続する燃焼装置としてのガスストーブ55を温室1内に設置する。
【0048】メタンガス発生装置54は、図18,図19に示すように投入口56aと廃液口56bを設けた再生ドラム缶による槽で、内部に温水による加温管56cを配設した発生槽56と、この発生槽56に配管で接続する貯留槽57とからなり、加温管56cには灯油タンク59に接続するボイラー58が接続され、廃液口56bには廃液タンク60が接続される。なお、発生槽56と貯留槽57との間には清浄槽61を設けてもよい。
【0049】このメタンガス発生装置54は、非集熱時の補助暖房の燃焼として、環境汚染が騒がれている家畜の糞尿処理を兼ねるもので、残滓と廃液は有機肥料として利用できる。発生槽56ではメタンガスに必要な30℃前後の温度を温室とボイラー58からの加温管56cへの温水で加温する。また、この発生槽56は蓄熱体として夜間の温室安定の役目も果たす。温室1が複数ある場合には、ガスストーブ55のみ、または、貯留槽57のみを各温室1に配置して分散化を図ることも可能であり、ボイラー58の燃料に合った圧力にするためと安定した供給をするために複数の貯留槽57を備え、小型コンプレッサーで発生槽56から貯留槽57へガスを送る。
【0050】次に使用法について説明する。通常の温室1の保温作用の他に集熱パネル12の集熱作用を利用する場合は、ハンドリングボックス43の流入切り替えダンパー39は集熱ダクト38を経る側を開き、リターンダクト47側を閉じる。このようにして送風ファン20を運転すれば集熱パネル12に吸引作用が働き、温室内1の空気は集熱パネル12の入気口36からビニールフィルム35間に入り、集熱板7からの熱で温められた空気は該集熱板7の周囲にそって上昇し、出気口37に至り、集熱ダクト38を経て立ち下がり送風管17内をさらに流れて、ハンドリングボックス43に取り入れられる。
【0051】土壌蓄熱を行う場合は、ハンドリングボックス43の流出切り替えダンパー42は埋設蓄熱管46側を開き、循環吹出し口49側を閉じる。その結果、前記集熱パネル12内で加温されて出気口37から排出された温かい空気は送風ファン20の吸引力で地中に埋設されてい埋設蓄熱管46に流れ、網管の網の目から土中へ吹き出され、周囲の土を加温してここに蓄熱され、さらに他の一部は立ち上がり吹出し管47に流れる。
【0052】立ち上がり吹出し管47に流れた温風は、上端の吹き出し口25から温風を温室1内に吹き出す。この立ち上がり吹出し管47は温室1の側壁にそってほぼ均等な間隔で複数本が配列されているから、温室1内の各部に均等に温風が吹き出される。温室1内に吹き出された空気は集熱パネル12の入気口36から再び吸い込まれてここで温められ、出気口37から集熱ダクト38、立ち下がり送風管17、ハンドリングボックス43、埋設蓄熱管46へと送られ、これを繰り返す。
【0053】前記埋設蓄熱管46から土中へ吹き出されることで温風を循環して土壌を暖め蓄熱し、夜間の温度低下とともに放熱して温室1内の室温低下を防ぐ。特に冬期において寒冷地での土の凍結を防止する。また、網状管である埋設蓄熱管46から出る温風が土壌を暖めるとと同時に土壌内に酸素を供給し、土中微生物に繁殖や炭酸ガスの放出を助ける。
【0054】さらに、土中給水(灌水)が必要な場合は、給水管50に通水し、孔から外へ出る水は埋設蓄熱管46の網の目から土中に滲み出して均等に土中給水(灌水)が行われる。
【0055】植物にとって水が不可欠だが、脆弱は栽培植物にとって葉に直接水がかかることは好ましくない。必要量の水分が上を通して根に供給されることが望ましい。その水分に、土中菌によって前処理された植物の必須成分が含まれていることが最も望ましい条件である。
【0056】本発明では、土中湿度センサーと網状管である埋設蓄熱管46の中に設置された給水管50によって、土中に直接供給される。
【0057】土壌蓄熱の必要がない場合は、ハンドリングボックス43の流出切り替えダンパー42は、埋設蓄熱管46を閉じ、循環吹出し口49を開けば、集熱パネル12からの温風は循環吹出し口49から直接温室1内に吹き出され、温室1内を温めて、集熱パネル12の入気口36から再び吸い込まれてここで温められ、出気口37から集熱ダクト38、立ち下がり送風管17、ハンドリングボックス43、循環吹出し口49へと送られ、これを繰り返す。
【0058】なお、流出切り替えダンパー42の開度を適宜選択することにより、前記埋設蓄熱管46へと送る空気量と循環吹出し口49へと送る空気量の配分を調整することも可能である。
【0059】夜間や日照のない日の場合には、集熱パネル12からの十分な温風は得られないものとして、灯油等を燃料とする補助ボイラー44を運転し、加温パネル41でハンドリングボックス43を通過する空気を加熱して温風とし、埋設蓄熱管46または循環吹出し口49へと送る。なお、夜間の室温が15℃程度と低くてよいのと、土壌蓄熱からの放熱があるため、外気温が−20℃以下の日が続いても消費燃料は極めて少なく、灯油3〜5l程度ですむ。
【0060】このような加温パネル41での補助暖房を用いてのハンドリングボックス43で温風を得る場合のハンドリングボックス43への流入空気は集熱パネル12を通過させたものでもよいが流通効率が悪いので、流入切り替えダンパー39をリターンダクト45側を開口し、集熱ダクト38側の開口は閉鎖して、該リターンダクト45で温室1内の、もしくは換気口62を開いて外気を吸い込んで送るようにする。
【0061】さらに前記加温パネル41での補助暖房のみでは足りない場合には、メタンガス発生装置54でのメタンガスをガスストーブ55で燃焼して温室1内を温めることができ、このガスストーブ55のみを単独で運転し、加温パネル41の運転を省略することも可能である。
【0062】
【発明の効果】以上述べたように本発明の温室は、太陽光により加熱空気を効率的に得て、寒冷地における家庭菜園でも、ビニール等による大気遮断だけでは温室内の温度を所定値に確保できない場合に植物の生育に必要な直射日光も確保でき、冬期における農作物の栽培を可能にできて通年にわたって家庭菜園を楽しむことができ、また、土中に蓄熱し、あわせて凍結も防止し、酸素を供給して光合成を活性化し、さらに、太陽光が有効に得られない場合でも、補助暖房により同様の作用、効果を得てシステムの有効活用を図ることができ、使用する装置も簡素化なもので実現できるものである。
【0063】しかも、土中に酸素を供給して光合成を活性化し、さらに、散水設備も本体に組込むことで装置の簡素化を実現できるものである。
【出願人】 【識別番号】390028060
【氏名又は名称】株式会社オーエム研究所
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】 【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
【公開番号】 特開2001−37348(P2001−37348A)
【公開日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願番号】 特願平11−217323