| 【発明の名称】 |
ロックウール育苗用培地 |
| 【発明者】 |
【氏名】小菅 敏夫
【氏名】北島 滋宣
【氏名】安藤 澄雄
【氏名】知久 哲也
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| 【要約】 |
【課題】ロックウールを栽培培地とした苗の育成栽培に対し、好適環境条件を与え、徒長の苗に対しても育成可能とし、しかも作業性を考慮した効率的な育成栽培の方法を得ることを課題とする。
【解決手段】密度が70〜120kg/m3のロックウール育苗用培地12に形成された割裂部14の深さが、ロックウール育苗用培地12全高の85%以下で25mm以上であることを主な解決手段とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】密度が70〜120kg/m3のロックウールからなる育苗用の培地において、該培地が上面側から底面側に向かって割裂され、該割裂の深さが25mm以上で培地全高の85%以下である割裂部として形成されていることを特徴とするロックウール育苗用培地。 【請求項2】前記培地の底面を下地面より少なくとも3mm以上浮かせて用いることを特徴とする請求項1記載のロックウール育苗用培地。 【請求項3】前記培地がスタンドに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロックウール育苗用培地。 【請求項4】前記培地とスタンドとが共にロックウールであり、該培地の上面側から底面側に向かって抜き型スリットを切り込むことにより分離形成されることを特徴とする請求項3に記載のロックウール育苗用培地。 【請求項5】前記培地とスタンドとを分離する抜き型スリットの切り込みが、底面側まで非貫通であり、該非貫通部の長さが、2mm以上9mm以下であることることを特徴とする請求項4に記載のロックウール育苗用培地。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ロックウールを植物の育成栽培用の培地として用いる技術に関し、特に育苗の段階に於ける苗の好適な培地への支持と生育、並びに養液栽培を目的とした技術に関する。 【0002】 【従来の技術】植物の育成栽培に関して、土壌の代わりにロックウールを栽培培地として用いることは従来から種々の方法が提案されている。育苗段階に於ける苗の栽培についても、形態に特徴を持たせたブロック・ポット形状で、取扱い性及び作業性に配慮されたものや、保水性に配慮された構成の栽培用培地等がある。しかしながら、育成栽培に於ける最も重要な育苗の段階で、苗の生育に対し、好適環境条件を与え、しかも作業性を考慮した効率的な育成栽培の方法については、充分な検討及び配慮がなされておらず、培地密度の不適正からくる保水性不足や生育抑制、苗の根への給水不足や溶在酸素不足の発生による生育不良、及び移植後の苗の安定性や正常な苗に比べ伸びすぎてしまった徒長の苗に対する対処等が不十分で問題が生じていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は前記状況を鑑みてなされたものであり、ロックウールを栽培培地として用いた育苗段階での苗の育成栽培に対し、好適環境条件を与え、徒長の苗に対しても配慮がなされ、しかも作業性を考慮した効率的な育成栽培の方法を得ることを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、育成栽培に於いて最も重要な育苗の段階での好適環境条件を与え、しかも作業性を考慮した効率的な育成栽培の方法を得るために、育成培地の密度を適正化する手段と、苗の根への給水不足や溶在酸素不足の解消を図るための手段と、更には移植後の苗の安定性を向上させ、合わせて徒長の苗に対する適正処置を施す手段とを用いる。また本発明のロックウール培地はスタンドとの構成により、作業性と配置性の良い効率的な手段を用いることができる。 【0005】即ち本発明は、前記育苗段階に於ける苗に関し、所望の育成栽培を行うために、密度が70〜120kg/m3のロックウールからなる育苗用培地において、該育苗用培地が上面側から底面側に向かって割裂され、該割裂の深さが培地全高の85%以下で25mm以上の割裂部として形成されているロックウール育苗用培地であることを主要な構成上の手段とし、前記育苗用培地の底面を下地面より少なくとも3mm以上浮かせて用いることも手段とすることができる。 【0006】また、前記培地にスタンドが取り付けられていること。及び、該スタンドが培地と同じロックウールであることを手段とすることができる。該培地の上面側から底面側に向かって抜き型スリットを切り込むことにより、分離形成されること。及び、該育苗用培地とスタンドとを分離する抜き型スリットの切り込みが、底面側まで非貫通であり、該非貫通部の長さが、2mm以上9mm以下であることをも手段として採用できる。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明は前述の通り、好適な育苗用培地のもとで苗の育成栽培を行うために、密度が70〜120kg/m3の範囲のロックウールを採用する。密度が70kg/m3未満の場合では保水力が低下する傾向が著しくなり、また密度が120kg/m3を超える場合では苗の生育を抑制する作用が顕著となるためである。従って、密度が70〜120kg/m3の範囲のロックウールを採用することが良好な保水性を備え、苗の生育に好適な培地を提供することとなる。また後記する実施例のデータからも、更に好ましくは90〜110kg/m3の範囲でロックウール培地密度を採用することができる。 【0008】前記ロックウール育苗用培地密度の条件で苗の育成が行われるが、この際に移植する苗が好適な条件で培地に移されて定着し、且つ育成されることが要求される。本発明においては、苗を効率よく培地に移植して、好適に把持し育成するために、培地の上面側から底面側に向かって割裂が形成された構造を採用し、しかも該割裂の深さが培地全高の85%以下で25mm以上の割裂部を有することを特徴としている。培地に移植する苗は、苗の種類もさることながら、種子から苗に育つまでの条件により移植直前までの苗の生育度にかなりの差が生じる。後記する実施例のデータにも示されているが、ことに茎部長さの相違は、移植後の苗倒れを生じる原因となるため、苗を挟着させるロックウール培地の割裂部深さはトマト等果菜類の正常な苗においては25mm以上が必要である。また茎部長さが40〜50mmに伸びてしまいモヤシ化した苗については徒長苗と称され、苗倒れと移植後の生育が不良となり、従来捨てられていた。本発明者らは、この徒長の苗にも着目し、割裂部深さを25mm以上、好ましくは35mm以上とすることで、保水性と生育の好適なロックウール密度70〜120kg/m3の培地においては、徒長苗の茎部を培地の割裂部で包むようにすると、徒長苗は苗倒れせず、正常な苗と同等に生育が可能となることを見出した。 【0009】また好適なロックウール培地の条件としては、割裂部を開いて苗の根から茎の部分にかけてを割裂部に挿入し、苗を培地割裂部で挟着させる一連の作業時において、培地が割裂付け根部分で割れて二分割化することなく、容易に割裂部を開き、苗をしっかりと挟着させることも必要となる。保水性と生育性の好適なロックウール密度70〜120kg/m3の培地条件と、移植後の苗倒れを防止するロックウール培地の割裂部深さ25mm以上の条件との下では、割裂部の深さが培地全高の85%以下であれば、培地が割裂付け根部分で割れて二分割化することなく、容易に割裂部を開き、苗をしっかりと挟着させることができることをも見出した。 【0010】即ち本発明者らは、前記試験検討の結果、割裂部の深さが培地全高の85%以下で25mm以上とすることが、培地の保水性及び苗の生育性において好適条件である密度70〜120kg/m3のロックウール培地を用いる上で、移植作業を効率良く行うことができ、培地割れが生じなく、しかも苗の種類や、移植直前までの苗生育度の相違に影響されることなくしっかりと移植苗を培地に定着させることを発現できたのである。そして、更に従来捨てていた徒長の苗においても、付与条件により十分に生育が可能であることを見出し、実現できたのである。 【0011】また前記ロックウール育成用培地に苗を移植後、育成する段階において、培地底面を下地面より少なくとも3mm以上浮かせて用いることができる。植物体の若い葉、若い根の部分では、常に新生しているため呼吸作用が盛んに行われている。若い葉の地上部分は空気中の酸素が十分利用できる。畑作物の水耕栽培においては、培養液中の溶存酸素が酸素の供給源となっているが、必要な酸素量が十分に供給されてはいない。ロックウール育苗用培地においても培地底面の水分率は100%近く、気相がほとんどない。周辺温度があまり高く無い場合には、この部分の根は培養液中の溶在酸素の吸収でしのいでいるが、温度の上昇と共に溶在酸素は減少してくることが解っており、周辺温度が39℃以上になると溶在酸素はほとんど存在しない。高温期の温室では40℃以上になるため、ロックウール育苗用培地でも下地面に直接接地させて使用した場合、底面部の根では酸素が吸収できなくなる。本発明では培地を少なくとも3mm以上、下地面から離すことにより、培地底面と下地面との間に空気層を設けて、培地底面より突出てきた若い根の部分を直接空気に接触させ、酸素を供給するものである。 【0012】前記ロックウール育苗用培地を配置効率よく、しかも作業性を考慮して配置するため、並びに根に酸素供給を行うために下地面より離して設置することを目的として専用のスタンドを設け、これにロックウール育苗用培地を取り付けることができる。該スタンドは、ロックウール育苗用培地が面積効率よく収まる形状であればいずれでも良いが、ロックウール育苗用培地がスムーズに装着配置できる形状に、番線等で升目状に仕切られたスタンドが好ましい。またロックウール育苗用培地を設置した際に、下地面より3mm以上浮かせることができるスタンド形状であればより好ましい。更には該スタンドを苗の地上部の生育高さを考慮した上で、多段に積層できるものであれば、配置効率が格段に高まることは言うまでもない。 【0013】一方前記培地とスタンドとが共にロックウールであり、該培地とスタンドとが上面側から底面側に向かって抜き型スリットを切り込むことにより分離形成されているものを用いることもできる。この場合にはスタンドを特設することなく、例えば密度70〜120kg/m3のマット状ロックウールに、縦横升目状配列にて配置効率よく前記抜き型スリットを切り込んで分離形成することができる。また前記培地とスタンドとを分離する抜き型スリットの切り込みが、底面側まで非貫通とすることができる。この場合、非貫通部で培地とスタンドとがつながって形成されているため、設置場所に搬送するときに破損等が生ぜず好ましい。非貫通部の長さについては、抜き型スリットの切り込みを入れ、非貫通部の長さを1mm〜13mmにかけて押圧力を測定した結果、10mmの測定で押圧力2.5kgfを示して急激に上昇し、一方、1mm以下では、製造時の切り込み負荷による破損や、移送時に容易に切断しやすく、非貫通部の形成する意味が薄れるため、非貫通部の長さが2mm以上で9mm以下が、人手による作業性に支障が生ぜず、しかも破損等が生じないことで好適であることが解った。好ましくは非貫通部の長さが3mm以上5mm以下であれば、押圧力は1.2kgf〜1.5kgf程度となり、使用するときに培地を容易に押圧して突出させ、スタンドと分離して用いることができる。 【0014】 【実施例】ロックウール育苗用培地の密度に関し、保水性と生育状況との関係を明らかにする。まず保水試験の状況を概略図にて図1に示す。培地の保水試験用に作成した、各設定ロックウール密度40,46,62,74,95,120(kg/m3)毎にサンプル数8個を以て行い、平均値を求めた。試験手順は次の通りである。 1)密度を異にした縦100mm×横100mm×高さ75mmの各ロックウール片1の重量を、8個についてそれぞれ測定し平均値を記録しておく。 2)テーブル2上に、十分に水を浸した縦500mm×横1000mmの長方形のポリエステル不織布3を敷き、テーブル2の端から一辺側を50mm垂直に垂らす。 3)ポリエステル不織布3の上に、各ロックウール片1を、水を十分含ませたさせた状態で8個載せる。 4)そのまま2時間放置した後、各密度毎のロックウール片1の重量を8個についてそれぞれ測定し平均値を記録する。1)〜4)で得た各ロックウール片1の密度毎の平均重量データを下に、下記の式より体積水分率を算出する。 体積水分率(%)=(A−B)×100/(10×10×7.5) A:含水2時間放置後のロックウール重量(g) B:含水前のロックウール重量(g) 試験用ロックウール片の容積:10×10×7.5=750(cm3) 各ロックウール片1の密度と、それぞれの算出した体積水分率との関係を表1に示す。 【0015】 【表1】
【0016】また生育について、トマトの苗を調査対象として生育試験を行った。培地の生育試験用に作成した、各設定ロックウール密度61,81,90,115,130,150(kg/m3)毎にサンプル数10個を以て行い、平均値を求めた。試験手順は次の通りである。密度を異にした75mm×75mm×75mmの立方体形状ロックウール片を用い、給水、周辺温度等を同一条件として、トマトの苗を栽培した。トマトの苗の第1花房開花時に、生育状況を調査。苗の地上部分を切り離し、その重量を地上部生体重量として測定。また切り離した苗の地上部分を乾燥させて地上部乾燥物重量として測定した。各ロックウール片の密度とそれぞれのトマト苗の地上部乾燥物重量との関係を表2に示す。 【0017】 【表2】
【0018】表1と表2との関係をより解りやすくするために、ロックウール密度(kg/m3)に対する体積水分率(%)と、地上部乾燥物重量(g)との関係を図2のグラフで示す。 【0019】密度90kg/m3のロックウール培地を用いて、苗の根から茎部にかけてを挿入し挟着するための割裂の好適な深さについて試験を行った。培地に移植する際苗の種類にもよるが、通常移植するトマト等の果菜類の正常な苗の茎部長さは15mm〜20mmである。また徒長の苗の茎部長さが40〜50mmのものも育成可能とするために、同じく試験を行った。ロックウール培地の移植用割裂における各深さの条件試験を、トマトの苗を用いて茎部長さ20mmの正常な苗と、茎部長さ50mmの徒長の苗について、移植後2時間後迄に苗の倒れる率を調べた。その結果を表3に示す。 【0020】 【表3】
【0021】図3には、苗4の根から茎部にかけてをロックウール育苗用培地5に形成された割裂の中に挿入し挟着して移植した後、これを専用のスタンド6に取り付けた実施例の一つを示している。ロックウール育苗用培地5の底部7は下地面8より15mm離されている。従ってロックウール育苗用培地5の底面には十分な空間9が形成されている。またロックウール育苗用培地5は、番線10により縦横升目状に仕切られた各平方体の升目状セルの中に一個ずつ納められている。またスタンド6は、いずれも外郭フレームの一部が、上端が凸形状、下端が凹形状で対峙した状態で構成され、該凹に凸を挿着した状態のジョイント部11の結合構成により多段に積層が可能である。図3は、2段に積層した場合を示している。 【0022】図4はロックウール育苗用培地12とスタンド13がロックウールで構成された場合を示す実施例の一つである。(a)は、スタンド13よりロックウール育苗用培地12を取り出して後、苗4を割裂部14に挟着してスタンド13に戻して挿着し、下地面8よりロックウール育苗用培地12の底部15を10mm離して空間9を設けてロックウール育苗用培地12を設置した状態を示している。(b)は、苗4を移植する前の非貫通部16を、底部15の下方からの押圧により切り離し、ロックウール育苗用培地12をスタンド13から分離させた直後の状態を示している。(c)は、苗4を移植する前の、非貫通部16を有するロックウール育苗用培地12とスタンド13との状態を示している。 【0023】底部15の下方からの押圧により切り離し、ロックウール育苗用培地12をスタンド13から分離させる好適な非貫通部16の切断部分の長さを得ることを目的として試験を行った。ベースとなる厚さ50mmのスタンド13に、直径40mmのロックウール育苗用培地12を形成するための、非貫通部16を残した抜き型スリットの切り込みを入れ、非貫通部16切断部分の長さを1mm〜13mmにかけて、押圧力を測定した。その結果、非貫通部16切断部分の長さが10mmの測定で押圧力2.5kgfを超えて、人手による移植の作業性に支障が生じてくることが解った。一方、1mm以下では、容易に切断しやすく、非貫通部16の形成する意味が薄れることが解った。 【0024】 【発明の効果】本発明は以上述べたように、育成栽培に於いて最も重要な育苗の段階での培地として、給水不足や生育抑制等のない保水性並びに生育性に好適なロックウール密度を有し、苗を挟着させる割裂部の特徴を加えることにより、正常な苗の適正生育はもちろんのこと、従来育成不可能とされて廃棄されていた徒長の苗に対しても移植を可能とする効果を有する。また移植後の苗の安定性を向上させ、苗の根への酸素供給不足を解消する効果も有する。 【0025】更に本発明のロックウール育苗用培地は、専用のスタンドとの構成により、効率的な配置機能と、移植時やその後の育成作業上においても好適な作業環境を提供できる効果を有している。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003975 【氏名又は名称】日東紡績株式会社 【識別番号】390010814 【氏名又は名称】株式会社誠和
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| 【出願日】 |
平成11年7月30日(1999.7.30) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−37326(P2001−37326A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月13日(2001.2.13) |
| 【出願番号】 |
特願平11−216487 |
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