| 【発明の名称】 |
シクラメン栽培用培地 |
| 【発明者】 |
【氏名】斉藤 俊一
【氏名】藤家 梓
【氏名】武井 譲二
【氏名】岩間 清内
【氏名】佐藤 裕隆
【氏名】小堀 英和
【氏名】角田 真一
|
| 【要約】 |
【課題】シクラメンの栽培に適した培地を提供することを目的とする。
【解決手段】工業用水用の浄化処理過程から発生する浄水場発生土であってその含水率が40%以上60%以下の特定範囲の粒径を有する浄水場発生土に、植物質資材、無機質資材及びリン酸肥料を添加することにより、シクラメンの成育に適した物理性、化学性が長期間維持される培地が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 得られる培地に対して40容量%以上60容量%以下となる量の浄水場発生土に、植物質資材、無機質資材及びリン酸肥料を添加して得られるシクラメン栽培用培地。 【請求項2】 浄水場発生土は、その含水率が40%以上60%以下であり、その構成は、粒径が、目開き5mmの篩を通過するものが50容量%以上90容量%以下、目開き10mmの篩を通過し目開き5mmの篩に残るものが10容量%以上50容量%以下で構成される請求項1記載のシクラメン栽培用培地。 【請求項3】 浄水場発生土が工業用水用の浄水処理過程から発生する発生土である請求項1から2記載のシクラメン栽培用培地。 【請求項4】 植物質資材を培地に対して30容量%以上50容量%以下、及び無機質資材を培地に対して5容量%以上20容量%以下の量でその合計が40容量%以上含有する請求項1又は2記載のシクラメン栽培用培地。 【請求項5】 含有リン酸成分のうち水溶性リン酸を除くく溶性リン酸が50重量%以上であるリン酸肥料を、得られる培地1リットルあたりリン酸成分として1500mg以上4000mg以下となる量で添加する請求項1から4のいずれかに記載のシクラメン栽培用培地。 【請求項6】 植物質資材がピートモス、バーク堆肥、粒径2mm以上のヤシガラ解砕物、及びモミガラのうちから選ばれる少なくとも一種の植物質資材である請求項1から5のいずれかに記載のシクラメン栽培用培地。 【請求項7】 無機質資材が粒径2mm以上10mm以下の、ゼオライト、炭、バーミキュライト、及びパーライトのうちから選ばれる少なくとも一種の無機質資材である請求項1から5のいずれかに記載のシクラメン栽培用培地。 【請求項8】 頭上給水法を用いて栽培されるシクラメンの栽培用である請求項1から7のいずれかに記載のシクラメン栽培用培地。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シクラメンの栽培用培地に関する。更に詳しくはシクラメンの中鉢あるいは大鉢栽培に用いる培地に関する。 【0002】 【従来の技術】シクラメンの中鉢、大鉢栽培では、播種から出荷までの期間が1年以上に及ぶ場合もあり、出荷までの栽培期間が長い作物である。その間、2〜3回の鉢替えが行われる。一般的に中鉢栽培は5〜6月にかけて仕上げ鉢(5号鉢)に鉢上げし、10月以降出荷となる。また、大鉢栽培ではさらに8〜9月頃に仕上げ鉢(6〜7号鉢)に鉢上げし、12月以降出荷となる。この場合、5号鉢では1鉢あたり約3リットル、6号鉢では約5リットルの培地が必要となる。これらのシクラメン栽培の場合、同一の培地で3〜6ヶ月の長期間成育することになり、長期間の栽培に対しても良好な土壌の性質が持続する必要がある。シクラメンの栽培は手灌水、ドリップチューブ、ミスト灌水等の頭上給水法と給水マット、湛液したC鋼を利用した毛管給水法が行われる。とくに頭上給水法のうち手灌水法は1鉢ごとの灌水管理が可能であるため、高品質のシクラメン栽培に適する。一方、毛管給水法は灌水作業を省力化した大量生産に適した方法である。栽培に用いられる灌水方法によって求められる培地の特性は大きく異なる。とくに頭上給水法による栽培を行う場合、灌水した水が培地中を浸透通過する際に微細な粒子が移動し、土壌の孔げきを埋めるため目詰まりを起こし、土壌の物理性が劣化しやすい。また、灌水によって培地中の肥料成分等が溶脱しやすい。このため、栽培後期に土壌条件の劣化が進み、シクラメンの成育を阻害する場合がある。 【0003】さらに、シクラメンは低温性作物であり、高温多湿に弱い。日本国内でシクラメンを栽培する場合、シクラメンの成育に適当でない夏越しが不可欠であり、このときとくに根圏の環境が不適当であると病害の発生や根腐れ等による生理障害が発生し、良質な生産物が得られないことがあり、経営上好ましくない。以上のような事情からシクラメン栽培に用いる培地にはとくに厳しい品質が求められている。一般に、シクラメン生産者は、田土、山土、赤土に腐葉土、ピートモスを等量程度混合して培地として用いているが、配合がばらつくことにより品質が一定でない等の問題がある。また、近年、培地に用いられる田土、山土、赤土等の土壌について、良質なものを安定的に入手することが困難となっている。さらに、生産者の規模拡大に伴って生産作業の分業化が進んでおり、安定した品質の培地の恒常的な供給が求められている。 【0004】一方、浄水場発生土及び浄水場発生土の農業利用については、日本土壌肥料学会編(博友社)“浄水処理ケーキ:特性と農業利用上の問題点”に詳細に記載されている。浄水場発生土は産業廃棄物として処分されているが有機性の肥料分を多く含んでいるため、農業、園芸等に多く利用されている。本文献によると、シクラメン栽培用培地として、浄水場発生土5に対して腐葉土3、川砂2の重量割合で混合するのが適しているが、保水性を高めるための土塊の大きさや植物質資材の配合割合等について検討する必要があるとされており、シクラメンの成育に最も適した培地の材料組成については明らかでない。野菜、花卉などの植物育成培地への浄水場発生土の利用に関しては、植物栽培用培地への利用方法について特開平10−88137号公報、特開平5−207816号公報、特開平7−264933号公報、特開平7−222997号公報等に各種の方法が記載されてはいるが、上記のシクラメンの栽培に求められる培地の品質に十分適しているとは言えない。シクラメン栽培用培地に浄水場発生土を利用するには、素材の均質化と共に、シクラメンの成育に適した物理性、化学性を長期間維持することが必要となる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、浄水場発生土を用い、シクラメンの成育に適した物理性、化学性が長期間維持されることが可能なシクラメン栽培用培地を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、得られる培地に対して40容量%以上60容量%以下となる量の浄水場発生土に、植物質資材、無機質資材及びリン酸肥料を添加して得られるシクラメン栽培用培地である。該浄水場発生土は、その含水率が40%以上60%以下であり、その構成は、粒径が、目開き5mmの篩を通過するものが50容量%以上90容量%以下、目開き10mmの篩を通過し目開き5mmの篩に残るものが10容量%以上50容量%以下で構成されるものが望ましい。さらに望ましくは、上記浄水場発生土は、工業用水用の浄水処理過程から発生する発生土であるものである。本発明のシクラメン栽培用培地の構成は、植物質資材を培地に対して30容量%以上50容量%以下、及び無機質資材を培地に対して5容量%以上20容量%以下でその合計が40容量%以上の量含有するのが望ましい。さらに、該植物質資材の量は常に該無機質資材の量を上回っていることが望ましい。上記植物質資材はピートモス、バーク堆肥、粒径2mm以上のヤシガラ解砕物、及びモミガラのうちから選ばれる少なくとも一種の植物質資材が望ましい。上記無機質資材は粒径2mm以上10mm以下である、ゼオライト、炭、バーミキュライト、及びパーライトのうちから選ばれる少なくとも一種の無機質資材が望ましい。含有リン酸成分のうち水溶性リン酸を除く、く溶性リン酸が50重量%以上であるリン酸肥料を、得られる培地1リットルあたりリン酸成分として1500mg以上4000mg以下となる量で添加することが、望ましい。本発明の上記シクラメン栽培用培地は、頭上給水法を用いて栽培されるシクラメンの栽培用に適している。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明のシクラメン栽培用培地は浄水場発生土を用いる。本発明で用いる浄水場発生土は工業用水の浄水処理過程で発生する発生土である沈積泥土(浄水汚泥)を濃縮脱水した浄水ケーキが望ましい。上水用の浄水処理では必ず塩素殺菌が行なわれる。その影響で上水道中からマンガンが除去され、上記沈積泥土中に沈積し、浄水場発生土中のマンガン含有量が増加する。これに対し、一般的に塩素処理をしない工業用水道で発生する浄水場発生土中のマンガン含有量は上水道で発生する浄水場発生土中のマンガン含有量より低くなる傾向にあり、工業用水処理で発生する浄水場発生土をシクラメン用の培地に用いるとマンガン過剰障害を軽減することができる。また、本発明で用いる浄水場発生土は凝集剤としてポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウムを添加し、沈殿処理され、無石灰処理により脱水されたものが望ましい。浄水場発生土は、本発明のシクラメン栽培用培地に対して40容量%以上60容量%以下、望ましくは45容量%以上55容量%以下含まれる。本発明のシクラメン栽培用培地として利用するために、望ましくは浄水場発生土は、含水率が40%以上60%以下、更に望ましくは45%以上55%以下に調整され、目開き5mmの篩を通過するものが50容量%以上90容量%以下、目開き10mmの篩を通過し目開き5mmの篩に残るものが10容量%以上50容量%以下の構成を有する。乾熱法により脱水処理された浄水場発生土を用いる場合は、該浄水場発生土の含水率は10%〜20%であるが、そのまま混合した後、灌水により水分調整して用いることができる。 【0008】本発明では、浄水場発生土に対して、植物質資材を添加する。植物質資材はバーク堆肥、ピートモス、粒径2mm以上のヤシガラ解砕物、モミガラの資材のうち単独あるいは複数の資材を添加する。これらの植物質資材を培地に添加することによって培地を膨軟化し、容積重が軽く扱いやすくなるだけでなく、適度な保水性及び透水性を有する培地を得ることができる。植物質資材の添加量は本発明のシクラメン栽培用培地に対して30容量%以上50容量%以下となる量が望ましく、さらに望ましくは35容量%以上45容量%以下となる量である。本発明で用いるバーク堆肥は広葉樹あるいは針葉樹の樹皮に鶏ふんや尿素などの窒素源を加えて長期間醗酵腐熟させたもので、土壌改良資材として政令指定されており、市販品であればいずれのものでも用いることができる。本発明で用いるバーク堆肥の粒径は、平均径で12mm以下が望ましく、10mm以下のものがさらに望ましい。さらにバーク堆肥のC/N比が35以下、全窒素含有量が1.0%以上1.4%以下、電気伝導度が1.0dS/m以下のものが望ましい。バーク堆肥を添加することで前述の効果の他、とくにバーク堆肥中に含有する肥料成分が長期にわたり溶出して供給され、また含有する無機成分や腐植酸質の影響で化学的な緩衝能が高まることにより良好な化学性を栽培期間中維持することができる。本発明で用いるピートモスは保水性の向上を目的とした土壌改良材として政令指定されており、市販されているものであればいずれのものでもよい。ピートモスを添加することで、前述の効果のうちとくに土壌の保水性が高い培地を得ることができる。用いるピートモスの粒径は12mm以下が望ましく、10mm以下のものがさらに望ましい。 【0009】本発明で用いるヤシガラ解砕物はヤシの果肉部や木質部の組織を断裁して得られるもので、特公昭63−52848号公報、特公平6−23号公報、特開平1−312934号公報等に記載の方法によりヤシ解砕物単独もしくは炭、肥料などを加えることによって、保水性、透水性、保肥性のバランスのとれた植物育成培地の資材として利用されており、また、主に保水性の改善、保肥力の改善を目的とした土壌改良材として一般に市販されている。ヤシガラ解砕物は断裁の程度により、粉状の細かいものから直径3cm程度の粒径ものもがある。本発明で用いるヤシガラ解砕物は粒径が平均径で2mm以上であり、特に2mm以上12mm以下のものが望ましい。粒径2mm未満のヤシガラ解砕物は保水性が著しく高く、透水不良の原因となり好ましくない。また、12mmを超えると培地内の物理性が不均一になり、また灌水等により混合したヤシガラ解砕物が分離し好ましくない。上記のヤシガラ解砕物を培地に添加することで、前述の効果以外にとくに培地の気相率が高く、透水性が向上された培地を得ることができる。本発明で用いるモミガラは米を脱穀した際に得られる否可食部の繊維質資材を指す。モミガラは容易に崩れない構造を有しているため、培地に添加することで、前述の効果のうちとくに培地の気相率が高く、透水性が向上された培地を得ることができる。用いるモミガラは粉砕等の加工がされておらず、形状がよく維持されたものが望ましい。上記植物質資材が撥水性を有する場合、界面活性剤を本発明の培地1立方メートル当たり50mlから100ml添加することが望ましい。界面活性剤は物質間の界面において、低濃度で表面張力の著しい低下を与えるものであり、土壌の水分保持力を向上させる効果がある。界面活性剤としては非イオン界面活性剤が好ましい。 【0010】本発明では、浄水場発生土に対して、無機質資材を添加する。本発明で用いる無機質資材は、粒径2mm以上10mm以下の、ゼオライト、炭、バーミキュライト、及びパーライトのうちから選ばれる少なくとも一種の無機資材である。これらの無機質資材を培地に添加することによって、適度な透水性と保水性を有する培地を得ることができる。また、これらの無機質資材は培地内で灌水による水の移動、根の伸長、微生物活動等によってその構造や形状が崩れることがないため、培地内の物理的環境を長期間維持するために効果があり、栽培期間の長いシクラメンの栽培において重要な役割を担う。本発明に添加する無機質資材の粒径は、いずれの資材についても2mm以上10mm以下、好ましくは2mm以上5mm以下である。粒径が2mm未満の無機質資材であると、培地中の気相率の低下、透水性の悪化等の問題があり好ましくない。また、粒径分布が10mmを超える無機質資材であると気相率の過大、保水性の低下、灌水等による混合した資材の分離などの問題があり好ましくない。本発明で用いるゼオライトは、土壌改良材として市販のものであればいずれのものでも良いが、望ましくはクリノプチロライトが望ましい。ゼオライトは主にアナルサイム、モルデナイト、クリノプチロライトの3種類があり、特にモルデナイトとクリノプチロライトは陽イオン交換容量が高く、交換性陽イオン含量が高くアンモニウムイオンを選択的に吸着する性質を持っており、さらに砂質土壌等保水性の低い土壌において保水性を高める働きがあることから農業用として広く使われている。本発明で用いるゼオライトは、農業用として優れた効果を持つクリノプチロライトが最も望ましい。本発明では、ゼオライトを培地に添加することで、前述の無機質資材の効果のうち、とくに培地の透水性が向上され、また前述の無機質資材の効果以外にとくに化学性を改良し、保肥力及び緩衝能が高い培地を得ることができる。 【0011】本発明で用いる炭は、土壌改良材として市販のものであればいずれのものでも良いが、炭の原料として木片、もみがら、食品汚泥等の植物質資材を炭化したものが用いられ、とくに木片を炭化した木炭、モミガラを炭化した籾殻燻炭(pH6.0〜7.5に調整されたもの)が望ましい。炭は通常植物質資材に分類されることが多いが、微生物によって分解されず、構造が灌水等の栽培管理では容易に崩れることがないため、無機質資材として機能する。本発明では、炭を培地に添加することで、前述の無機質資材の効果のうちとくに培地の透水性が向上され、また前述の無機質資材の効果以外にとくに気相率が高い培地を得ることができる。また、炭に含有される各種ミネラル等の微量成分を植物に供給することができるため、化学性が長期にわたって維持された培地を得ることができる。pHが高い場合は過リン酸石灰を1kg/m3程度混合して用いる。本発明で用いられるバーミキュライトは、土壌改良材として市販のものであればいずれのものでも良い。バーミキュライトは蛭石を高温で焼成したもので、多孔質の軽い資材である。また、陽イオン交換容量が高い。このためバーミキュライトを培地に添加することで、前述の無機質資材の効果のうちとくに培地の保水性が向上され、また前述の無機質資材の効果以外にとくに保肥力及び緩衝能が高い培地を得ることができる。本発明で用いられるパーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して高温で焼成したもので、孔隙率が高く、軽量である。本発明では、保水性、透水性を高める土壌改良材として、市販のものであればいずれのものでも良い。パーライトを培地に添加することで、前述の無機質資材の効果のうちとくに透水性が向上され、また前述の無機質資材の効果以外に高い気相率を有する培地を得ることができる。 【0012】本発明では、植物質資材と無機質資材の合計量は、培地に対して40重量%以上であるのが好ましい。また植物質資材の量は、無機質資材の量を上回っていることが好ましい。 【0013】本発明では、肥料成分としてリン酸肥料を添加する。 浄水場発生土は浄水処理の過程で添加されるアルミニウム化合物の影響でリン酸吸収係数が高いため、リン酸肥料の添加量が少ないとリン酸欠乏を引き起こす。また、リン酸添加量が多すぎると土壌中の塩類濃度を高めて根に障害を及ぼしたり、リン酸肥料の副成分であるカルシウムやマグネシウム等が過剰となり培地中のミネラルバランスを損なう。とくにシクラメンは栽培期間が長期にわたるため、持続的にリン酸成分を植物体に供給することが必要である。このことから、シクラメンの長期にわたる栽培期間中に肥効を持続し、栽培開始時の培地のECを上げることなく、また、カルシウムやマグネシウムが過剰でないリン酸肥料を使用することが必要である。本発明ではシクラメンを長期間栽培するため、本発明のリン酸肥料の種類については、含有リン酸成分のうち水溶性リン酸を除く、く溶性リン酸が50重量%以上であるリン酸肥料を用いるのが望ましい。具体的には熔燐、リンスター、重焼リン等が例示される。本発明で添加するリン酸肥料の添加量は、得られる培地1リットルあたりリン酸成分として1500mg以上4000mg以下、好ましくは2000mg以上、3000mg以下となる量が望ましい。リン酸以外の多量肥料成分である窒素及び加里については、一般的にシクラメンの栽培では培養液を灌液するためとくに添加する必要はない。とくに栽培初期の成育を促進したい場合、窒素肥料を窒素成分で培地1リットルあたり50〜200mg、加里肥料を加里成分で培地1リットルあたり50〜100mg添加するとよい。 【0014】本発明のシクラメン栽培用培地は、予め5mm及び10mmで篩別した浄水場発生土に、植物質資材、無機質資材及びリン酸肥料を添加し、混合後、更に10mmで篩別することによって好ましく製造される。本発明のシクラメン栽培用培地は、好ましくは工業用水から発生する浄水場発生土に植物質資材、無機質資材及びリン酸肥料を添加した後に篩別しシクラメンの栽培に好適な物理・化学性に加工されて得ることができるものであり、とくに5〜7号鉢での栽培に使用するのに好ましい。さらに、本発明のシクラメン栽培用培地は、頭上給水法による灌水を行う栽培に使用するのに適している。 【0015】 【実施例】次に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されるものではない。 【0016】実施例1浄水ケーキの含水率と粒径の違いが培地の透水性に及ぼす影響(1) 方法含水率と粒径が異なる浄水場発生土、植物質資材、無機質資材を表1のような容量比で混合した。浄水場発生土は、含水率の異なるものを5mmと10mmで篩別しその混合割合を変えることで、培地の透水性に影響があるかどうかを調べるために表2に示した試験区を設けた。混合した供試培地はポリ袋内で24時間放置したのち、透水性の測定を行った。透水性の測定は、まず底がメッシュ状になった直径12cm、高さ10cmの円筒に供試培地を600ml充填した。充填の際は円筒を高さ3cmから3回落として培地を詰めた。土壌を充填した円筒は底から飽水させた。水300mlを培地の表面が著しく攪乱しないように灌水し、培地表面から水が完全に浸透するまでの時間を測定した。同一の円筒に灌水を10回繰り返し、各灌水時に水が完全に浸透するまでの時間を調査した。この方法により、頭上給水を繰り返したときの物理性の悪化程度を推定した。 【0017】 【表1】
【0018】 【表2】
【0019】(2) 結果得られた結果を表3に示した。灌水を連続して行うと徐々に土壌孔隙が微細な粒子によって埋められ、その結果透水性が低下した。浄水場発生土の含水率が35%と低い場合、粒径が細かい区では著しく透水性が悪くなった。反対に粒径が荒い区では著しく透水性が良くなり過ぎ、十分な保水性が得られなくなった。含水率が45、55%では著しい透水性の低下はみられなかったが、65%では粒径の程度に関わらず透水性が悪くなった。以上の結果から、含水率が45〜55%の浄水場発生土を用いることによって、頭上給水による灌水を連続したときに発生する透水性の低下が少なくなる傾向がみられ、栽培中の物理性の著しい悪化を抑制する可能性が示唆された。 【0020】 【表3】
【0021】実施例2植物質資材と、無機質資材の混合割合が培地に及ぼす影響(1) 方法浄水場発生土、植物質資材、無機質資材を表4のような容量比で混合し、試験区を設けた。浄水場発生土は千葉県佐倉浄水場(工業用水)から発生したものを10mmで篩別したものを用いた。含水率は56.7%であった。植物質資材はバーク堆肥、ピートモス、もみがらを容量比7:2:1で混合したもの、無機質資材はいずれも粒径2〜5mmに分布するパーライト、ゼオライト、木炭を容量比で5:2:3で混合したものを供試した。混合して得られた供試培地について土壌の物理・化学性の調査を行った。透水性については、実施例1と同様の方法で行った。10回灌水後の培地を試料円筒に採取し、土壌の三相分布を測定し、残ったサンプルから資材の分離程度を観察した。また、風乾試料を粉砕し、培地の電気伝導度(EC)、全窒素含有量、腐植含有量を測定した。 【0022】 【表4】
【0023】(2) 結果得られた結果を表5に示した。浄水場発生土に対して植物質資材だけを混合した区は透水性がやや悪くなったが、無機質資材を5容量%以上混合することで改善された。灌水後の培地の気相率についても植物質資材だけを混合した区で低かったが、無機質資材を5容量%以上混合することで改善された。しかし、無機質資材が多いほど資材の分離が観察された。これは比重の軽いパーライトが灌水によって浮き上がることに起因すると思われた。供試培地の化学性については、植物質資材の添加量が多いほどEC、全窒素が高い傾向がみられ、肥料成分が多いと考えられる。また、腐植含有量については植物質資材の割合が多いほど高くなる傾向がみられ、土壌の緩衝能が高いことが示唆された。以上の結果から、浄水場発生土50容量%と、植物質資材と無機質資材で構成される資材50容量%で混合する場合、無機質資材を5〜20容量%混合することで、培地の物理性、化学性を良好に保つことができる可能性が示唆された。 【0024】 【表5】
【0025】実施例3浄水場発生土の粒径の違いが培地の物理性に及ぼす影響(1) 方法浄水場発生土は、千葉県佐倉浄水場(工業用水)から発生したものを5mmと10mmで篩別しその混合割合を変えることで、表6に示した試験区を設けた。含水率は56.0%であった。資材の混合割合は、混合して得られる供試培地のうち、浄水場発生土、バーク堆肥、ピートモス、パーライト(粒径2−4mm)を50、30、10、10容量%となるように行った。混合して得られた供試培地について土壌の物理・化学性の調査を行った。透水性については、実施例1と同様の方法で行った。10回灌水後の培地を試料円筒に採取し、土壌の三相分布、湿潤時比重等を測定した。 【0026】 【表6】
【0027】(2) 結果得られた結果を表7に示した。試験区1の粒径0〜5mm未満のみの浄水場発生土を添加した区では、透水性が著しく悪く、また、気相率が低かった。粒径5mm以上〜10mmの割合が高くなるほど透水性が良くなり、気相率が上昇する傾向がみられたが、試験区5の粒径5mm以上〜10mm未満のみの浄水場発生土を添加した区では、透水性が良すぎる傾向がみられ、保水性不足、土壌中の肥料成分等の流亡が懸念された。以上の結果から、試験区2、3、4がシクラメン用の培地として適当と思われた。 【0028】 【表7】
【0029】実施例4浄水場発生土に混合する資材の違いが培地の物理性に及ぼす影響(1) 方法浄水場発生土、植物質資材、無機質資材を表8のような容量比で混合し、試験区を設けた。浄水場発生土は千葉県佐倉浄水場(工業用水)から発生したものを5mmと10mmで篩別したものを、その割合が0〜5mm未満、5mm以上〜10mm未満のそれぞれ、7:3になるように混合したものを用いた。含水率は55.2%であった。混合して得られた供試培地について土壌の物理・化学性の調査を行った。透水性については、実施例1と同様の方法で行った。10回灌水後の培地を試料円筒に採取し、土壌の三相分布、湿潤時比重等を測定した。 【0030】 【表8】
【0031】(2) 結果得られた結果を表9に示した。無機質資材としてパーライト、ゼオライト、籾殻燻炭、バーミキュライトのいずれも粒径2mm以下のものを10容量%混合すると著しく透水性が悪くなり、また、気相率が低くなった。これに対して粒径2mm以上の無機質資材では透水性が改善され、気相率も高くなった。しかし、粒径が5〜10mmと大きなパーライトを混合した区では、透水性が良すぎ、保水性不足、土壌中の肥料成分等の流亡が懸念され、また、観察の結果灌水によってパーライトが分離する傾向がみられた。また、植物質資材にヤシ解砕物及びもみがらを混合した区では、粒径2mm以上の資材を混合することによって、透水性が良好となり、気相率が高くなった。しかし、粒径0〜2mm未満のヤシガラ解砕物を添加した区では著しく透水性が悪くなり、また、気相率が低くなった。 【0032】 【表9】
【0033】実施例5浄水場発生土の粒径分布と混合割合がシクラメンの成育等に及ぼす影響(1) 方法供試品種はパステル系シクラメンを用いた。播種は1997年12月20日、1998年3月20日に3号鉢へ鉢上げし、6月初旬に供試培地を充填した5号鉢に鉢替えし、栽培試験を開始した。試験区は表10に示したように最終的に得られた培地に対する浄水場発生土の混合を50容量%、30容量%の2水準、浄水場発生土の粒径分布を3水準を組み合わせて6試験区とした。浄水場発生土は工業用水道である千葉県佐倉浄水場から発生したものを用いた。これらの培地の浄水場発生土を含めた組成を表11に示した。また、浄水場発生土の3水準の粒径分布は表12に示した。本試験では、さらに比較対照として一般的に生産者で利用されている培地を供した。この培地は堆積土(赤土:腐葉土:牛糞等量をサンドイッチ状に堆積し、野ざらし状態で一年経過した土30容量%、黒ボク下層土(赤土)20容量%、ピートモス30容量%、腐葉土(クヌギ)20容量%の割合で混合したものである。すべての培地は、70℃で蒸気消毒を行ない、試験に供した。試験は1区30株とし、合計210株で試験を行った。試験は千葉県農業試験場内ガラス温室内で行い、灌水は頭上給水である手灌水方式で行った。その他の栽培管理は慣行法によって行った。供試培地について、試験開始時と試験終了時に化学分析を行った。参考として、試験開始時に、栽培試験と同様の原料組成の培地に、重焼リンでなく、リンスター(保証成分 く溶性リン酸30%、水溶性リン酸8%)、熔燐(保証成分く溶性リン酸20%)、過燐酸石灰(保証成分 可溶性リン酸20%、水溶性リン酸17%)を混合したものについて、化学分析を行った。 【0034】 【表10】
【0035】 【表11】
【0036】 【表12】
【0037】(2) 結果得られた結果は表13〜16に示した。表13に示した結果から明らかなように、地上部重は統計的には有意差はみられなかったが、浄水場発生土の割合が多い区、さらに粒径が細かい区で大きくなる傾向がみられ、葉枚数は浄水場発生土の割合が多い区、さらに粒径が細かい区で有意に多くなった。葉長、葉幅は粒径が細かい区で有意に小さくなった。以上の結果から、浄水場発生土の添加量が50%、粒径が細かい区において、小さい葉が多いというシクラメンの品質が高いことの指標である裏付けとなる結果が得られた。表14に示した結果から明らかなように、比較対照培地と比べると、葉長、開花数、蕾数等の成育データには概ね統計的な有意差はみられず、葉柄長についてはいずれの試験区においても比較対照培地に比べて有意に小さくなった。これはシクラメンの植物体が徒長していないことを示し、高品質の裏付けとなる結果である。以上の結果から、浄水場発生土の割合が50%、浄水場発生土の粒径が中粒〜細粒である培地において、通常シクラメンの生産者が用いている培地と同様以上の成績が得られ、シクラメン生産用として利用可能と思われた。 【0038】また、表14及び16に示した化学分析の結果から、含有リン酸成分のうち水溶性リン酸を除くく溶性リン酸が50重量%以上である重焼リン、リンスター、熔燐については、栽培開始時は有効態リン酸も低めであったが、栽培終了時について測定した重焼リンについては比較対照培地と同等程度であり、リン酸肥料がシクラメンの栽培期間を通じて持続的に可給化したことが示唆された。また、表15に示した結果から明らかなように、培地中の交換性加里、石灰、苦土の含有量も栽培開始時、終了時とも比較対照培地に対して著しい違いはみられず、これらの成分についてバランスの著しい崩れもなかったものと思われる。さらに、試験開始時のECについて、表14及び表16に示したように、1.0dS/m以下であり、問題なかった。これに対して、水溶性リン酸の割合が高い過燐酸石灰を添加した培地では表16に示したように試験開始時のECが著しく高くなり、シクラメン用培地として好ましくなかった。 【0039】 【表13】
【0040】 【表14】
【0041】 【表15】
【0042】 【表16】
【0043】 【発明の効果】以上の結果から判るように、本発明の培地は慣行培地に比べ、シクラメンの成育について遜色のない結果が得られ、また、一部の品質について良好な結果が得られた。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000183428 【氏名又は名称】住友林業株式会社 【識別番号】591014710 【氏名又は名称】千葉県
|
| 【出願日】 |
平成11年7月21日(1999.7.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066692 【弁理士】 【氏名又は名称】浅村 皓 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−28942(P2001−28942A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月6日(2001.2.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−206657 |
|