トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 スパイラルを有する脱穀装置
【発明者】 【氏名】久保 孝之

【要約】 【課題】従来より、穀稈を扱胴の回動により脱穀処理するスパイラルを有する脱穀装置において、扱胴はいずれも軸方向に略均一な断面を有する円筒形状であり、掻き込み力や脱穀空間は扱胴軸方向において略均一であったため、穀稈供給口付近では穀稈の滞留が発生し、所要動力の増加や穀粒の損傷が起こる、という問題があった。また、実際の脱穀では、穀稈供給口から離間すると共に穀稈密度が低下するため、扱胴が空回りする部分が生じ、無駄に動力が浪費される、という問題もあった。

【解決手段】扱胴21に穀稈供給口12側ほど断面積が増加するテーパ部21a を設け、または、穀稈供給口12付近のスパイラルの扱胴軸方向のピッチを大きくし、もしくは、扱胴全体をテーパ部により形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴は穀稈供給口側の円錐台状のテーパ部と穀稈排出口側の円筒部とから成り、前記テーパ部は穀稈供給口側ほど断面積が増加することを特徴とするスパイラルを有する脱穀装置。
【請求項2】 穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴外周面に立設するスパイラルの扱胴軸方向のピッチを、穀稈排出口側よりも穀稈供給口側を大きくすることを特徴とするスパイラルを有する脱穀装置。
【請求項3】 前記スパイラルは、穀稈供給口側では複数条の螺旋とすることを特徴とする請求項2記載のスパイラルを有する脱穀装置。
【請求項4】 穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴全体が円錐台状のテーパ部から形成され、該テーパ部は穀稈供給口側ほど断面積が減少することを特徴とするスパイラルを有する脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、汎用コンバインなどにおけるスパイラルを有する脱穀装置においては、回動する扱胴を機体に対して前後方向又は左右方向に配設し、該扱胴の外周には半径方向にスパイラルを設け、該スパイラルの外側縁部には必要に応じて扱歯を植設して、刈取部から搬送されてきた穀稈の脱穀と搬送とを行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従来の脱穀装置において、その扱胴は軸方向に略均一な断面を有する円筒形状であり、扱室内の空間の大きさや扱胴外周面の周速度は、扱胴軸方向位置にかかわらず略一定なため、穀稈の掻き込み力・搬送力も、扱胴軸方向全体で略均一であった。そのため、断続的に多量の穀稈が集中しやすい穀稈供給口付近では、穀稈の掻き込み力・搬送力が不足して穀稈の滞留が発生し、穀稈同士、あるいは穀稈と周辺部材との摩擦が増加して、脱穀のための所要動力の不足や穀粒の損傷を招く、という問題があった。
【0004】また、実際の脱穀処理中の扱室内における穀稈の量は、一般に、穀粒や藁屑等の脱穀中の漏下現象により、穀稈供給口側から穀稈排出口側にかけて徐々に減少する。従って、従来のように扱胴が軸方向に略均一な断面を有する円筒形状の場合には、穀稈密度は穀稈供給口付近で最大となり、その後、該穀稈供給口側から穀稈排出口側にかけて徐々に減少する分布をとる。そのため、前述の穀稈集中による穀稈供給口付近での穀稈の掻き込み力・搬送力不足に加えて、穀稈排出口側における穀稈密度低下による扱胴の空回りも発生し、無駄な動力が消費され、燃料コストの点から好ましくない、という問題もあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。すなわち、請求項1においては、穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴は穀稈供給口側のテーパ部と穀稈排出口側の円筒部とから成り、前記テーパ部は穀稈供給口側ほど断面積が増加するものである。
【0006】請求項2においては、穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴外周面に立設するスパイラルの扱胴軸方向のピッチを、穀稈排出口側よりも穀稈供給口側を大きくするものである。
【0007】請求項3においては、前記スパイラルは、穀稈供給口側では複数条の螺旋とするものである。
【0008】請求項4においては、穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴全体がテーパ部から形成され、該テーパ部は穀稈供給口側ほど断面積が減少するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は汎用コンバインの全体側面一部断面図、図2は同じく全体平面一部断面図、図3は脱穀装置及び選別装置の側面断面図、図4は第一実施例の脱穀装置の構成を示す背面一部断面図、図5は第二実施例の脱穀装置の構成を示す背面一部断面図、図6は第三実施例の脱穀装置の構成を示す背面一部断面図、図7は第四実施例の脱穀装置の構成を示す背面一部断面図である。
【0010】まず、本発明に係わる脱穀装置を有する汎用コンバインの全体構成について、図1乃至図3により説明する。クローラー式走行装置1上に機枠フレーム13が搭載され、該機枠フレーム13上に選別装置19や本発明に係わる脱穀装置18と、エンジン48等を収納するエンジンルーム49が載置固定され、脱穀装置18上には穀粒を均等分散させるためのレベリングディスク101とガイド板116とを内設するグレンタンク30が配置され、該グレンタンク30側部にはその内部に貯留された穀粒を排出する排出オーガ40が配置されている。
【0011】また、前記機枠フレーム13より前方には刈取部8が突出されている。該刈取部8はプラットホーム2内に横送りオーガ3を左右方向に収納し、回転駆動することによって穀稈を略左右中央に集めるようにしている。前記プラットホーム2前端下部には刈刃4が横設され、該刈刃4の前上方には掻込リール5が配設されている。前記プラットホーム2の両側の後部上に昇降リンク6の後部が枢支され、該昇降リンク6の前端に前記掻込リール5が回転自在に支持され、油圧モーター等によって掻込リール5が回転駆動される。また、前記プラットホーム2の両側前端には分草板7が配設されている。
【0012】前記刈取部8と脱穀装置18との間には搬送装置9が配置され、該搬送装置9は、フィーダハウス10内にコンベア11が収納され、前記プラットホーム2の後部左右中心よりやや進行方向に対して左側寄りで、前記横送りオーガ3のスパイラルの送り終端位置に合わせてフィーダハウス10の前端が連通されている。該フィーダハウス10の後端は、穀稈供給口12に連通されており、該穀稈供給口12前方には左右水平方向に回転軸心を有する円筒状のビータ34が配置され、穀稈を強制的に脱穀装置18へ送るようにしている。フィーダハウス10の後部は機枠フレーム13に昇降回動自在に支持されている。そして、フィーダハウス10の下面と機枠フレーム13との間には図示せぬ油圧シリンダーを介装して、刈取部8を昇降可能としている。さらに、前記フィーダハウス10とビータ34の上方には運転席15や操向ハンドル16等を収納したキャビン17を配置し、該キャビン17は機体左右中央前方の上方位置に配置して視界を良好として、刈取作業を確認し易くし、左右両側より乗り降りできるようにしている。
【0013】また、前記フィーダハウス10、ビータ34及び穀稈供給口12は、機体の進行方向に向かって左側寄りに設けられ、該穀稈供給口12は第一扱胴21の左前部に配置して、穀稈を脱穀装置18の第一扱胴21の回動によって右方へ搬送するようにしている。該脱穀装置18後端部の排稈口24a下部から後下方には、ガイドプレート60が延出され、該ガイドプレート60後部の上方とエンジンルーム49底面との間位置には、強制的に排稈を後方に送り出す排稈ビータ61が設けられている。該排稈ビータ61は扱胴21・22の外径よりも外径を小さくしたコンパクトで組立容易な形状とし、排稈ビータ61の回転速度を第二扱胴22の回転速度より速くして排稈ビータ61の周速度を扱胴21・22より同等以上の速さとし、排稈を後方に送り出す性能を高めている。
【0014】前記排稈ビータ61は、左端部が排稈口24aの左端部と一致し、排稈ビータ61の右端部は排稈口24a右端部よりさらに右側に延出し、排稈口24aより排出された排稈を後方に左右幅広く搬送し、排稈ビータ61後方の吸引ファン92に取り込まれ、機体後端部に左右に全幅に渡って横架されたチッパー式のスプレッダー62に受け継いで、該スプレッダー62の複数の鉈状の刃によって切断され、機体後端部より圃場に排出される。
【0015】このような構成において、刈取部8で刈り取られた穀稈は、搬送装置9を介して脱穀装置18に供給され、そこで脱穀処理を終えた後の排稈は、排稈ビータ61、吸引ファン92を介して、スプレッダー62で切断されて機体外に排出されるようにしている。
【0016】また、前記脱穀装置18の下方には、選別装置19が配置されており、脱穀装置18より落下する穀粒や藁屑等を選別処理できるようにしている。選別装置19の構成は、流穀板25、揺動部50、選別風を発生させる唐箕27、選別された一番物を左右方向に搬送する一番コンベア28と二番物を搬送する二番コンベア31等より構成されている。該一番コンベア28及び二番コンベア31は、側面視でクローラー式走行装置1の後方に横設され、一番コンベア28の左端部に連通して立状に配したバケット式の揚穀コンベア29や、一番コンベア28の左端部に連設する還元コンベア32とクローラー式走行装置1とが干渉しないようにしている。
【0017】このうち揺動部50は、前記第一扱胴21前端の下方より選別装置19の後端までに渡って配置され、揺動リンク機構51によって揺動自在に支持されている。揺動部50前部には第一扱胴21と第二扱胴22の下方に渡って落下された穀稈を受けるグレーンパン50aが形成されている。該グレーンパン50aは側面視で波状に形成されており、揺動部50の揺動で穀稈を後方に搬送するようにしている。
【0018】そして、前記グレーンパン50a後端には連接してフルイ線52が配置され、該フルイ線52の下方から揺動部50の後端部にかけてチャフ部14が配置されている。該チャフ部14は、前側より脱粒された穀稈量に応じて前記チャフフィン14aの前下がり傾斜角度が変わる可動チャフ53と、手動によってチャフフィン14aの前下がり傾斜角度が変える手動チャフ54と、チャフフィン14aの前下がり傾斜角度が固定された固定チャフ55より構成されている。そして、チャフ部14の下方の揺動部50底面には、落下口50bやクリンプ網が設けられている。
【0019】また、前記チャフ部14の前下方で、グレーンパン50aの前後途中部の下方には唐箕27が横設され、ガイドに従って後方に選別風を送り、落下口50b等を介して揺動部50内に選別風を送風しており、前述したように、前記チャフ部14で比重選別と風選別とを行い、一番物と二番物とに選別している。
【0020】このような構成において、前記第一扱胴21と第二扱胴22の受網23・24より落下された穀粒や藁屑等は、揺動部50のグレーンパン50a上に受け止められて後方に搬送され、グレーンパン50a後部よりフルイ線52で後方に跳ね飛ばされて、そのままチャフ部14に落下され、そこで比重選別と風選別とが行われる。
【0021】ここで、本発明に係わる脱穀装置18について、図1乃至図3により詳細に説明する。脱穀装置18は、第一扱胴21と第二扱胴22と受網23・24等からなり、前記機枠フレーム13上部に収納されている。いずれの扱胴21・22も、周囲に複数の扱歯を有するスパイラル41・42を設けたスクリュー型に構成され、その軸芯は、左右水平方向に向けられて前後平行に配置されており、脱穀装置18を前後方向に短くすることができ、選別装置19後部の上方の空間を利用してエンジンルーム49を設けることができ、効率良くレイアウトできるようにしている。
【0022】そして、第一扱胴21には本発明に係わる扱胴を用い、第二扱胴22には従来の軸方向に略均一な断面を有する円筒形状の扱胴を用いている。なお、脱穀性能を向上させるために、必要に応じて、両扱胴21・22ともに本発明に係わる扱胴を適用してもよく、特に限定されるものではない。
【0023】また、これら第一扱胴21と第二扱胴22の下方には、それぞれ受網23・24が配置され、第一扱胴21と第二扱胴22の上方には、それぞれ上部カバー35・36が配置されて、前扱室37と後扱室38とを構成している。そして、第一扱胴21下方の受網23右側の後部は、前低後高に緩やかな円弧状で傾斜させて、第二扱胴22の上外周の接線方向に向かって延出されて連通部23aが形成され、該連通部23a後端は、第二扱胴22の回転軌跡の前端部近傍まで延出され、また、前記受網24の左後部には、排稈口24aが開口されている。
【0024】そして、前記上部カバー35・36の水平状に成形した上部の内周面には、送塵弁59・59・・・が左右幅方向に適宜間隔を開けて設けられ、上部カバー35・36上部に上下方向の回動支点を中心に回動自在に枢支されており、該送塵弁59・59・・・を回動操作することによって、穀稈が第一扱胴21・第二扱胴22内を移動する時間を穀稈の品種や穀稈の状態に合わせて調整することができ、様々な品種等に合わせた汎用性のある脱穀部18が構成される。
【0025】また、第二扱胴22のスパイラル42は、第二扱胴22の右端部より、前記排稈口24aの直右側までの間に形成され、スパイラル42終端部より左側の排稈口24a前方の第二扱胴22外周面には送り羽根58・58・・が形成され、脱穀後の穀稈(排稈)を送り羽根58・58・・で送って排稈口24aより排出するようにしている。
【0026】このような構成において、フィーダハウス10から穀稈供給口12へ刈り取った穀稈が送られると、第一扱胴21の回転によって、刈取穀稈は右方へ搬送されながら脱粒される。そして、第一扱胴21の右端に至ると、緩傾斜状に形成した連通部23aから第二扱胴22の処理空間に送られ、第二扱胴22の回転によって左方へ搬送されながら脱粒され、第二扱胴22の左端に送られると、排稈は、排稈口24aから前記ガイドプレート60上に落下されるのである。
【0027】次に、このような構成よりなる脱穀装置18に関し、本発明の第一実施例について、図2、図3、図4により説明する。本実施例においては、扱胴21は円錐台状のテーパ部21aと円筒部21bとから構成されている。
【0028】前記テーパ部21aは、前記穀稈供給口12側の左端部で最大の断面積を有し、該断面積は、穀稈供給口12から離間するほど減少していき、右端部において円筒部21bの左端部と同径に構成して連結されている。
【0029】このようなテーパ部21aの外周面には、螺旋状に形成されたスパイラル41bが扱胴軸方向に配設され、該スパイラル41bの外周縁には、複数の扱歯20が扱胴外周方向に所定間隔で配設されている。また、円筒部21bの外周面にも、螺旋状のスパイラル41aが前記テーパ部21aの右端部から前記連通部23aの直左側までの間に形成され、連通部23a前方の円筒部21b外周面には第一扱胴21の半径方向に突出する板状の送り羽根57・57・・が形成されている。
【0030】このような構成において、前記刈取部8で刈り取られた穀稈は、コンベア11を介して穀稈供給口12からテーパ部21aに供給されると、該テーパ部21a左部ではスパイラル41bの周速度が速いため、穀稈の掻き込み力も大きく、供給された穀稈は、滞留することなく前扱室37内部に迅速に取り込まれる。さらに、テーパ部21a右部に至ると周速度は遅くなる反面、穀稈の処理空間が拡大するため、取り込んだ穀稈を滞らせることなく、円筒部21bの方に搬送させることができるのである。
【0031】前記テーパ部21aにおいて、スパイラル41bと扱歯20と受網23とにより脱穀されながら高速で搬送されてきた穀稈は、円筒部21bに到達すると、該円筒部21bでは通常速度でしかも長い距離をかけて搬送されるため、穀粒と扱歯20や受網23等との衝突確率が高くなり、良好な脱穀処理がなされる。そして、第一扱胴21の右端に至ると、前記送り羽根57により、連通部23aを通って第二扱胴22の処理空間に送られ、該第二扱胴22において、更に扱き残した穀稈の脱穀処理が行われる。
【0032】すなわち、穀稈を第一扱胴21の外周接線方向に供給し、該第一扱胴21の回動により脱穀処理する脱穀装置18において、第一扱胴21は穀稈供給口12側のテーパ部21aと穀稈排出口側の円筒部21bとから成り、前記テーパ部21aは穀稈供給口12側ほど断面積が増加する構成としたので、穀稈供給口12付近の第一扱胴21外周の周速度を上げることにより、穀稈供給口12付近における穀稈の掻き込み力を増加させると共に、取り込まれた穀稈を円滑に搬送可能な大きな空間を、穀稈供給口12に近設して設けることによって、穀稈供給口12付近での穀稈の滞留を確実に防止することができ、脱穀性能を著しく向上させることができる。また、このような穀稈供給口12付近での穀稈の滞留防止により、穀稈同士、あるいは穀稈と機械要素との無駄な摩擦が減少するため、扱胴軸の駆動に必要な動力を低減でき、更には、穀粒の損傷も防止できるのである。
【0033】次に、第二実施例について、図5により説明する。本実施例においては、スパイラル41の扱胴軸方向の配設ピッチは、穀稈供給口12側になるほど大きくなるように構成されている。
【0034】本実施例の第一扱胴21には従来の円筒状の扱胴が用いられているが、穀稈供給口12付近には、一条のスパイラル41cが配設され、該スパイラル41cの右端部より右方には、スパイラル41cよりも狭いピッチの従来のスパイラル41a・41a・・が等ピッチで連設されている。そして、このスパイラル41c・41aの外周縁にも、第一実施例と同様に複数の扱歯20が扱胴外周方向に所定間隔で配設されている。
【0035】このような構成においては、第一扱胴21外周の周速度は変わらないが、スパイラル41cと、該スパイラル41cに隣接するスパイラル41aと間に十分な処理空間を確保することができ、加えて、ピッチが広いために扱胴1回転あたりに穀稈を扱胴軸方向へ押し出す速度(以下「搬送速度」とする)も増加するため、穀稈が穀稈供給口12から第一扱胴21に供給されると、該穀稈は、滞ることなく迅速に従来のスパイラル41aの方に搬送される。
【0036】前記スパイラル41cにより多量に高速で搬送されてきた穀稈は、引き続きスパイラル41aにより、通常速度でしかも長い距離をかけて搬送され、穀粒と扱歯20や受網23等との衝突確率が高い、良好な脱穀処理がなされる。そして、第一実施例と同様に、穀稈は、第一扱胴21の右端に至ると送り羽根57により第二扱胴22の処理空間に送られ、該第二扱胴22においては、更に扱き残した穀稈の脱穀処理が行われるのである。
【0037】すなわち、穀稈を第一扱胴21の外周接線方向に供給し、該第一扱胴21の回動により脱穀処理する脱穀装置18において、扱胴外周面に立設するスパイラル41の扱胴軸方向のピッチを、穀稈排出口側よりも穀稈供給口12側を大きくする構成としたので、穀稈供給口12付近における穀稈の処理空間を大きく確保した上で、穀稈の搬送速度を増加させることができ、穀稈供給口12付近での穀稈の滞留を確実に防止して、脱穀性能を向上することができる。また、穀稈供給口12付近での穀稈の滞留防止により、穀稈同士、あるいは穀稈と機械要素との無駄な摩擦が減少して、扱胴軸の駆動に必要な動力を低減することができ、更に、穀粒の損傷も防止できる。
【0038】次に、第三実施例について、図6により説明する。本実施例においては、穀稈供給口12付近に大きなピッチで配設した前記スパイラルを複数条設けるように構成されている。
【0039】第一扱胴21には従来の扱胴が用いられ、該第一扱胴21の外周面で穀稈供給口12付近には、二条のスパイラル41dが配設され、該スパイラル41dの右端部には、スパイラル41dよりも狭いピッチの従来のスパイラル41a・41a・・が等ピッチで連設され、これらスパイラル41d・41aの外周縁には、複数の扱歯20が所定間隔で配設されている。
【0040】このような構成においては、複数条のスパイラル41d・41dを用いて、穀稈を掻き込み・搬送するため、前記第二実施例よりも穀稈の掻き込み力・搬送力が共に増加し、多量の穀稈が穀稈供給口12から第一扱胴21に供給されても、滞留することなく前扱室37内に迅速に取り込まれる。
【0041】すなわち、穀稈供給口12側に配設した広いピッチのスパイラルを複数条の螺旋状態としたので、多数のスパイラルにより穀稈を脱穀しながらより確実に搬送することができ、穀稈供給口12付近での穀稈の滞留を一層確実に防止することができるのである。
【0042】次に、第四実施例について、図7により説明する。本実施例においては、第一扱胴26全体が、穀稈供給口側ほど断面積が減少するテーパ部から構成されている。
【0043】第一扱胴26は、前記穀稈供給口12側の左端部で最小の断面積を有し、該断面積は、穀稈供給口12から離間するほど増加していく。このようなテーパ部から全体が構成される第一扱胴26の外周面には、同一外径のスパイラル41aが、扱胴軸方向に等ピッチで螺旋状に配設され、該スパイラル41aの外周縁には、前述した各実施例と同様に、複数の扱歯20が扱胴外周方向に所定間隔で配設されている。そして、第一扱胴26の右端部の外周面には、半径方向に突出する板状の送り羽根57・57・・が形成されている。
【0044】このような構成においては、第一扱胴26の左部では扱胴半径方向に十分な大きさの処理空間を確保できるため、穀稈供給口12から供給された穀稈は、滞らせることなく右方に搬送できる。そして、右方に搬送されていくと、第一扱胴26の断面積増加に対応して穀稈の処理空間も減少していくが、同時に、前述した如く脱穀が進むにつれて穀粒や藁屑等の前記漏下現象によって穀稈量も減少していくため、穀稈密度を扱胴軸方向全位置において略一定に保つことができるのである。さらに、穀稈供給口12側ほど第一扱胴26の断面積は減少するにもかかわらず、スパイラル41aの外径は扱胴軸方向では略同一に維持されているため、スパイラル41aの突出高さが穀稈供給口12側ほど高くなり、その分、穀稈の掻き込み力・搬送力も増加して、穀稈供給口12付近での穀稈の滞留を防止することができる。
【0045】すなわち、穀稈を第一扱胴21の外周接線方向に供給し、該第一扱胴26の回動により脱穀処理する脱穀装置18において、第一扱胴26全体がテーパ部から構成され、該テーパ部は穀稈供給口12側ほど断面積が減少する構成としたので、穀稈供給口12付近において、穀稈の処理空間を十分確保することができ、さらに、スパイラル41aの突出高さも高くできるので、穀稈の掻き込み力・搬送力が増加し、穀稈供給口12付近での穀稈の滞留を防止することができる。さらに、穀稈供給口12付近での穀稈の滞留防止により、穀稈同士、あるいは穀稈と機械要素との無駄な摩擦が減少し、扱胴軸の駆動に必要な動力を低減することができ、更に、穀粒の損傷も防止できる。また、扱胴の全長に渡り、穀稈密度を略一定にできるので、穀稈を脱穀・搬送中に、穀稈密度が極端に減少して扱胴が空回りし無駄な動力が浪費されることを防止することができ、大幅な燃費向上を図ることができるのである。
【0046】なお、以上の実施例は、いずれも汎用コンバインについて説明してきたが、スパイラルを有する脱穀装置であれば、脱穀装置のみを主体とする脱穀機などであってもよく、特に限定されるものではない。
【0047】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。即ち、請求項1のように、穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴は穀稈供給口側のテーパ部と穀稈排出口側の円筒部とから成り、前記テーパ部は穀稈供給口側ほど断面積が増加するので、扱胴外周の周速度を上げることにより、穀稈供給口付近における穀稈の掻き込み力を増加させると共に、取り込まれた穀稈を円滑に搬送可能な大きな空間を、穀稈供給口に隣接して設けることにより、穀稈供給口付近での穀稈の滞留を確実に防止し、脱穀性能を著しく向上させることができる。また、穀稈供給口付近での穀稈の滞留防止により、穀稈同士、あるいは穀稈と機械要素との無駄な摩擦が減少するため、扱胴軸の駆動に必要な動力を低減でき、更には、穀粒の損傷も防止できるのである。
【0048】請求項2のように、穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴外周面に立設するスパイラルの扱胴軸方向のピッチを、穀稈排出口側よりも穀稈供給口側を大きくするので、穀稈供給口付近における穀稈の処理空間を大きく確保した上で、穀稈の搬送速度を増加させることができ、穀稈供給口付近での穀稈の滞留を確実に防止して、脱穀性能を向上することができる。また、穀稈供給口付近での穀稈の滞留防止により、穀稈同士、あるいは穀稈と機械要素との無駄な摩擦が減少して、扱胴軸の駆動に必要な動力を低減させ、更に、穀粒の損傷も防止できる。
【0049】請求項3のように、請求項2記載のスパイラルは、穀稈供給口側では複数条の螺旋状態とするので、ピッチの大きな多数のスパイラルにより、脱穀しながらも、より確実に穀稈を搬送することができ、穀稈供給口付近での穀稈の滞留を一層確実に防止できるのである。
【0050】請求項4のように、穀稈を扱胴の外周接線方向に供給し、該扱胴の回動により脱穀処理する脱穀装置において、扱胴全体がテーパ部から形成され、該テーパ部は穀稈供給口側ほど断面積が減少するので、穀稈供給口付近においては、穀稈の処理空間を十分確保し、加えてスパイラルの突出高さも高くすることができ、穀稈の滞留を確実に防止できるのである。さらに、この穀稈供給口付近での穀稈の滞留防止により、穀稈同士、あるいは穀稈と機械要素との無駄な摩擦が減少し、扱胴軸の駆動に必要な動力を低減することができ、更に、穀粒の損傷も防止できる。その上、扱胴の全長に渡って穀稈密度を略一定にできるので、脱穀が進んでいっても、穀稈密度が極端に減少して扱胴が空回りし無駄な動力が浪費されるといったことがなく、大幅な燃費向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成12年5月24日(2000.5.24)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−333627(P2001−333627A)
【公開日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【出願番号】 特願2000−153052(P2000−153052)