トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コンバインにおける回収穀粒量検出装置及び貯留穀粒量表示装置
【発明者】 【氏名】高原 一浩

【氏名】相田 宙

【氏名】池田 博

【要約】 【課題】枝梗粒やワラ屑の混入状況にかかわらず、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留容量を極力精度よく検出することが可能になるコンバインにおける回収穀粒量検出装置を提供する。

【解決手段】一番口に回収した穀粒をグレンタンクに搬送するスクリューコンベアを駆動するトルクを検出するトルク検出手段TK1と、検出されるトルクの情報に基づいてグレンタンクに搬送される穀粒の流量を求め、その演算結果に基づいて、グレンタンクへの穀粒の貯留容量を求める貯留容量推定手段101とが設けられ、貯留容量推定手段101は、トルク検出手段にて検出されるトルクの設定個数分の検出値における変動幅の大きさに基づいて貯留容量を補正するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀粒を貯留する穀粒タンクと、脱穀部における一番口に回収した穀粒を前記穀粒タンクに搬送する回収用のスクリューコンベアと、前記回収用のスクリューコンベアを駆動するトルクを設定サンプリング周期毎に検出するトルク検出手段と、前記トルク検出手段にて検出される前記トルクの情報に基づいて前記穀粒タンクに搬送される穀粒の流量を求める演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づいて、前記穀粒タンクに搬送されて貯留された穀粒の貯留容量を求める貯留容量推定手段とが設けられたコンバインにおける回収穀粒量検出装置であって、前記貯留容量推定手段は、前記トルク検出手段にて検出される前記トルクの設定個数分の検出値における変動幅の大きさに基づいて、前記貯留容量を補正するように構成されているコンバインにおける回収穀粒量検出装置。
【請求項2】 前記トルク検出手段は、前記設定サンプリング周期として、前記スクリューコンベアが1回転する間における所定の回転位相毎に前記トルクを検出するように構成されている請求項1記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置。
【請求項3】 駆動用エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段が備えられ、前記演算手段は、前記回転速度検出手段の検出情報に基づいて、前記穀粒の流量を補正するように構成されている請求項1又は2記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置。
【請求項4】 前記穀粒タンクに貯留される穀粒の水分を計測する水分計測手段が備えられ、前記演算手段は、前記水分計測手段にて検出される水分の計測情報に基づいて、前記穀粒の流量を補正するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置。
【請求項5】 前記トルク検出手段は、回転動力を弾性体を介して前記スクリューコンベアに伝達するとともに、前記弾性体の弾性変位量に基づいて前記トルクを検出するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置を備えた貯留穀粒量表示装置であって、前記穀粒タンクに貯留されている穀粒を外部に搬送する排出用のスクリューコンベアと、前記排出用のスクリューコンベアにて前記穀粒タンクから排出される穀粒の排出容量を推定する排出容量推定手段と、前記貯留容量推定手段にて推定された貯留容量から前記排出容量推定手段にて推定された排出容量を減算した値を残留容量として求め、前記穀粒タンクに貯留可能な最大貯留容量に対する前記残留容量の割合を表す情報を求めて、その情報を表示する表示手段とが設けられている貯留穀粒量表示装置。
【請求項7】 前記排出用のスクリューコンベアを駆動するトルクを設定サンプリング周期毎に検出する排出用トルク検出手段と、前記排出用トルク検出手段にて検出される前記トルクの情報に基づいて前記穀粒タンクから排出される穀粒の流量を求める排出量演算手段とが設けられ、前記排出容量推定手段は、前記排出量演算手段の演算結果に基づいて、前記穀粒の排出容量を推定するとともに、前記排出用トルク検出手段にて検出される前記トルクの設定個数分の検出値における変動幅の大きさに基づいて、前記排出容量を補正するように構成されている請求項6記載の貯留穀粒量表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穀粒を貯留する穀粒タンクと、脱穀部における一番口に回収した穀粒を前記穀粒タンクに搬送する回収用のスクリューコンベアと、前記回収用のスクリューコンベアを駆動するトルクを設定サンプリング周期毎に検出するトルク検出手段と、前記トルク検出手段にて検出される前記トルクの情報に基づいて前記穀粒タンクに搬送される穀粒の流量を求める演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づいて、前記穀粒タンクに搬送されて貯留された穀粒の貯留容量を求める貯留容量推定手段とが設けられたコンバインにおける回収穀粒量検出装置、及び、それを用いた貯留穀粒量表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記構成のコンバインにおける回収穀粒量検出装置において、従来では、前記トルク検出手段にて前記回収用のスクリューコンベアを駆動するトルクを検出するようにして、そのトルクの検出値から搬送される穀粒の流量を求めて、その求められる穀粒の流量をそのまま積算することによって、穀粒タンクに搬送されて貯留された穀粒の貯留容量として求める構成となっていた。
【0003】又、従来の貯留穀粒量表示装置としては、上記構成の回収穀粒量検出装置によって求められた穀粒の貯留容量をそのまま用いて、穀粒タンクに貯留可能な最大貯留容量に対する前記貯留容量の割合を表す情報を求めて、その情報をそのまま表示する構成となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来構成は、上述したようなスクリューコンベアにより穀粒を搬送する場合、穀粒の搬送量が多いほどスクリューコンベアを駆動するトルクは大となるという相関関係があるから、そのトルクの検出結果に基づいて穀粒の搬送量を求めて、その求められる搬送量をそのまま積算することで、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留容量を求めるとともに、その貯留容量が穀粒タンクに貯留可能な最大貯留容量に対して占める割合としての情報を表示させるようにしたものであるが、上記従来構成においては、次のような面で正確な穀粒の貯留容量の検出が行えないおそれがあり、改善の余地があった。
【0005】つまり、上記したようにスクリューコンベアを駆動するトルクに基づいて搬送される穀粒の流量を求める構成とした場合においては、その穀粒の流量としては、スクリューコンベアを回転駆動するときのトルクに対応する情報であることから、穀粒の重量に対応する情報として検出されるものであると考えられる。
【0006】尚、上記したようなコンバインにおいては、刈取作業を実行しながら刈り取った穀稈を脱穀部にて扱き処理し、且つ、その扱き処理物を選別処理して穀粒とその他のワラ屑等に選別して、一番口に回収された穀粒を前記スクリューコンベアにて搬送させる構成となっており、回収される穀粒に、枝梗付き穀粒やワラ屑等が極力混入しないように選別処理するのであるが、このような枝梗付き穀粒やワラ屑等が全く存在しない状態にすることは実際上は難しく選別処理の状態によっては、これらの枝梗付き穀粒やワラ屑等が穀粒に混入するおそれがある。
【0007】そして、上述したように、回収される穀粒に枝梗付き穀粒や藁屑等が比較的多く混入されている場合には、スクリューコンベアにて搬送される穀粒の流量、つまり、重量の情報としての流量が同じであっても、穀粒同士の隙間が大きくなり全体としての容量が大になるものと考えられる。
【0008】そうすると、上記従来構成のように、トルクの検出結果に基づいて穀粒の搬送量を求めて、その求められる搬送量をそのまま積算することで、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留容量を求める構成とすると、重量としての穀粒流量を求めることはできるが、穀粒タンクに貯留される容量としての穀粒量が精度よく検出できていないおそれがある。その結果、穀粒タンクに貯留可能な最大貯留容量に対する前記貯留容量の割合を表す情報が精度よく表わされていないおそれがあり、例えば、前記貯留容量が実際に穀粒タンクに貯留される貯留容量よりも少なめに表示されていると、実際には穀粒タンクに穀粒が満杯状態で貯留されているにもかかわらず、最大貯留容量に対する前記貯留容量の割合として、少なめの状態が表示されて、作業者が誤って刈取作業を継続してしまうといった不都合がある。
【0009】本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、枝梗粒やワラ屑の混入状況にかかわらず、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留容量を極力精度よく検出することが可能になるコンバインにおける回収穀粒量検出装置を提供する点にある。
【0010】又、本発明の他の目的は、枝梗粒やワラ屑の混入状況にかかわらず、穀粒タンクに貯留可能な最大貯留容量に対する実際に貯留される穀粒の貯留容量の割合を表す情報を精度よく求めて表示することが可能となる貯留穀粒量表示装置を提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の特徴構成によれば、穀粒を貯留する穀粒タンクと、脱穀部における一番口に回収した穀粒を前記穀粒タンクに搬送する回収用のスクリューコンベアと、前記回収用のスクリューコンベアを駆動するトルクを設定サンプリング周期毎に検出するトルク検出手段と、前記トルク検出手段にて検出される前記トルクの情報に基づいて前記穀粒タンクに搬送される穀粒の流量を求める演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づいて、前記穀粒タンクに搬送されて貯留された穀粒の貯留容量を求める貯留容量推定手段とが設けられたコンバインにおける回収穀粒量検出装置において、前記貯留容量推定手段は、前記トルク検出手段にて検出される前記トルクの設定個数分の検出値における変動幅の大きさに基づいて、前記貯留容量を補正するように構成されている。
【0012】つまり、前記回収用のスクリューコンベアにて穀粒が搬送されているときに、スクリューコンベアを駆動するトルクがトルク検出手段によって検出され、演算手段にて前記トルクの情報に基づいて穀粒タンクに搬送される穀粒の流量が求められ、更に、貯留容量推定手段が、演算手段の演算結果に基づいて穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留容量が求められることになる。
【0013】ところで、本出願人は、一番口に回収された穀粒を前記回収用のスクリューコンベアにて搬送するときに、そのスクリューコンベアを駆動するトルクが、穀粒に含まれる枝梗粒やワラ屑の混入の状況によって影響を受けることを実験によって見出した。しかも、このスクリューコンベアを駆動するトルクの変動幅の大きさが、穀粒に含まれる枝梗粒やワラ屑の混入の多少に影響されて変化することを実験によって知見するに至った。説明を加えると、前記トルク検出手段によってトルクが検出されるとき、搬送される穀粒に対する枝梗粒及びワラ屑の混入量が少ない場合には、図8(イ)に示すように、トルクの変動幅は小さいものとなり、搬送される穀粒に対する枝梗粒及びワラ屑の混入量が多い場合には、図8(ロ)に示すように、トルクの変動幅が大きくなることが、本出願人の実験により確認されている。
【0014】そこで、これらの実験結果よりトルク検出手段にて検出されるトルクの変動幅の大きさに基づいて穀粒に含まれる枝梗粒及びワラ屑の混入状況を判別することが可能であることから、貯留容量推定手段は、トルク検出手段にて検出されるトルクの設定個数分の検出値における変動幅の大きさに基づいて貯留容量を補正することが可能となるのである。
【0015】その結果、枝梗粒やワラ屑の混入状況にかかわらず、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留容量を極力精度よく検出することが可能になるコンバインにおける回収穀粒量検出装置を提供できるに至った。
【0016】請求項2に記載の特徴構成によれば、請求項1に記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置において、前記トルク検出手段は、前記設定サンプリング周期として、前記スクリューコンベアが1回転する間における所定の回転位相毎に前記トルクを検出するように構成されている。
【0017】上記したようなスクリューコンベアにおいては、スクリューコンベアが特定の回転位相にあるときにそれ以外の回転位相よりも駆動トルクが大になることがある。例えば、搬送終端側個所に搬送対象物を次の搬送経路に向けて跳ね飛ばして移送させる回転羽根を備える構成においては、回転位相の差による駆動トルクの差が大になることがある。トルク検出手段によりトルクを検出する場合において、設定時間が経過する毎にトルクを検出する構成とすると、前記特定の回転位相においてトルクを検出したり、それ以外の回転位相でトルクを検出する等、回転位相が異なる検出タイミングでトルクが検出されることがあり、このような場合には、同じ搬送量であっても上記したような要因により測定誤差が生じる不利がある。
【0018】そこで、スクリューコンベアが1回転する間における所定の回転位相毎に前記トルクを検出する構成とすることで、常に同じ回転位相におけるトルクを検出することにより穀粒の搬送量に対応するトルクを精度よく検出することが可能となり、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0019】請求項3に記載の特徴構成によれば、請求項1又は2に記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置において、駆動用エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段が備えられ、前記演算手段は、前記回転速度検出手段の検出情報に基づいて、前記穀粒の流量を補正するように構成されている。
【0020】上記したような駆動用エンジンの駆動トルクは回転速度との間に所定の相関関係を有しており、回転速度が変化すると駆動トルクも変化する特性を備えている。そして、コンバインの各部を駆動するために用いられるエンジンでは速度調整装置が備えられて、エンジン負荷のわずかな変動にかかわらず、極力、一定回転速度を維持するようにエンジン出力が自動調節される構成が一般的となっており、エンジン負荷が比較的小さい場合には回転速度、すなわち、駆動トルクも予め設定されている値に維持されることになる。しかし、脱穀作業に伴ってエンジンに対する負荷が大きくなると、回転速度、すなわち、駆動トルクが低下することがある。駆動トルクが変化すると、前記スクリューコンベアを駆動するトルクも変動することになる。そこで、このようなエンジンの回転速度の変化を回転速度検出手段にて検出して、その検出情報に基づいて、上記したようなエンジン回転速度の変動による誤差を修正すべく前記穀粒の流量を補正するのである。このようにして、穀粒の流量をより精度よく検出することが可能となり、請求項1又は2を実施するのに好適な手段が得られる。
【0021】請求項4に記載の特徴構成によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置において、前記穀粒タンクに貯留される穀粒の水分を計測する水分計測手段が備えられ、前記演算手段は、前記水分計測手段にて検出される水分の計測情報に基づいて、前記穀粒の流量を補正するように構成されている。
【0022】穀粒の流量が同じであっても穀粒の水分の量が異なると前記トルクが異なった値になることがあるので、水分計測手段にて検出される穀粒の水分の計測情報を用いて、演算手段が、トルク検出手段にて検出されたトルクより求められる穀粒の流量に対してより補正を加えることで、穀粒の流量をより正確な値として求めることが可能となり、請求項1〜3のいずれかを実施するのに好適な手段が得られる。
【0023】請求項5に記載の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置において、前記トルク検出手段は、回転動力を弾性体を介して前記スクリューコンベアに伝達するとともに、前記弾性体の弾性変位量に基づいて前記トルクを検出するように構成されている。
【0024】スクリューコンベアを駆動するトルクを検出する場合、スクリューコンベアの駆動軸における軸の捻れ量を例えば歪みゲージ等を用いて計測することも可能であるが、このようにした場合、剛体である駆動軸自身の捻れ変位量は非常に小さく、トルクの大きさを検出しようすると、その検出用の分解能が十分取れないおそれがあるが、上記したように、回転動力を伝達する弾性体の弾性変位量に基づいてトルクを検出するので、トルクの大小による変位量を大きくすることができるので、それだけトルクの大きさを精度よく検出することが可能となり、請求項1〜4のいずれか1項を実施するのに好適な手段が得られる。
【0025】請求項6に記載の特徴構成によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバインにおける回収穀粒量検出装置を備えた貯留穀粒量表示装置において、前記穀粒タンクに貯留されている穀粒を外部に搬送する排出用のスクリューコンベアと、前記排出用のスクリューコンベアにて前記穀粒タンクから排出される穀粒の排出容量を推定する排出容量推定手段と、前記貯留容量推定手段にて推定された貯留容量から前記排出容量推定手段にて推定された排出容量を減算した値を残留容量として求め、前記穀粒タンクに貯留可能な最大貯留容量に対する前記残留容量の割合を表す情報を求めて、その情報を表示する表示手段とが設けられている。
【0026】回収用のスクリューコンベアにより搬送されて穀粒タンクに貯留されている穀粒は、排出用のスクリューコンベアにより外部の運搬車両等に向けて搬送されるが、このとき、排出容量推定手段により排出用のスクリューコンベアにて穀粒タンクから排出される穀粒の排出容量が推定される。そして、表示手段が、貯留容量推定手段にて推定された貯留容量から排出容量推定手段にて推定された排出容量を減算した値を残留容量として求め、穀粒タンクに貯留可能な最大貯留容量に対する残留容量の割合を表す情報を求めて、その情報を表示することになる。
【0027】従って、回収用のスクリューコンベアにより搬送されてくる穀粒の貯留流量から排出用のスクリューコンベアにより排出される穀粒の排出流量を減算して、穀粒タンク内に残っている残留容量の最大貯留容量に対する割合を表す情報を表示するようにしているので、例えば、排出作業が終了した後にもタンク内に穀粒が残留しているような場合に、刈取作業を再開して回収用のスクリューコンベアによる搬送を行う場合であっても、常に、正確な残留容量として表示することができる。その結果、穀粒タンクに穀粒が満杯状態で貯留されているにもかかわらず、最大貯留容量に対する実際の容量の割合として少なめの状態が表示されて、作業者が誤って刈取作業を継続してしまうといった不都合を未然に回避することが可能となる。
【0028】請求項7に記載の特徴構成によれば、請求項6に記載の貯留穀粒量表示装置において、前記排出用のスクリューコンベアを駆動するトルクを設定サンプリング周期毎に検出する排出用トルク検出手段と、前記排出用トルク検出手段にて検出される前記トルクの情報に基づいて前記穀粒タンクから排出される穀粒の流量を求める排出量演算手段とが設けられ、前記排出容量推定手段は、前記排出量演算手段の演算結果に基づいて、前記穀粒の排出容量を推定するとともに、前記排出用トルク検出手段にて検出される前記トルクの設定個数分の検出値における変動幅の大きさに基づいて、前記排出容量を補正するように構成されている。
【0029】排出される穀粒の流量を求める場合にも、貯留容量を求める場合と同様に、トルクの情報に基づいて排出される穀粒の流量を求めるとともに、トルクの変動幅の大きさに基づいて補正を加えることで、枝梗粒やワラ屑の混入状況にかかわらず、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留容量を極力精度よく検出することが可能になり、請求項6を実施するのに好適な手段が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るコンバインにおける回収穀粒量検出装置及び貯留穀粒量表示装置について図面に基づいて説明する。図1に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1R,1Lを備えた走行機体2の前部側に昇降操作自在に刈取部3を備えるとともに、その刈取部3の機体横側部に運転部4が設けられ、前記走行機体2の後部側には、刈取部3にて刈り取られた刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置5、及び、脱穀処理にて回収された穀粒を貯留する穀粒タンクとしてのグレンタンク6が設けられている。前記刈取部3は、倒伏している植立穀稈を立姿勢に引き起こす引起し装置7、引き起こされた植立穀稈の株元側を切断する刈取装置8、刈取られた立姿勢の刈取穀稈を徐々に横倒れ姿勢になるように挟持搬送しながら後方側の脱穀装置5に向けて搬送する搬送装置9等を備えて構成されている。
【0031】図2に示すように、前記脱穀装置5は、フィードチェーン10により刈取穀稈の株元側を挟持して搬送しながら、扱室11内で回転駆動される扱胴12にて搬送される穀稈の穂先側を扱き処理するように構成され、扱き処理された処理物は受網13から下方の選別部14に漏下して選別処理されるようになっている。前記選別部14は、漏下した処理物を揺動運動によって搬送方向下手側に向けて移送しながら、穀粒や枝付き籾等の二番物を漏下選別する揺動選別板15、選別風を供給する唐箕16、揺動選別板15から漏下して一番口に回収した穀粒を機体横一側部に搬送する一番物回収用の横送りスクリューコンベア、揺動選別板15から漏下した二番物を回収して機体横一側部に搬送する二番物回収用のスクリューコンベア18、細かなワラ屑等の塵埃を機外に排出させる排塵ファン19等を備えて構成されている。前記揺動選別板15は、扱室11の搬送始端側から漏下する処理物を受け止めて後方側に移送するグレンパン20、揺動移送しながら穀粒や二番物を選別漏下させる粗選別用のチャフシーブ21、ワラ屑を後方に送るストローラック22が処理物移送方向に沿ってその記載順に設けられ、チャフシーブ21の下方側には、穀粒を選別漏下させる精選別用のグレンシーブ23が設けられ、一番物回収用のスクリューコンベア17にて穀粒が回収されるように構成されている。
【0032】前記一番物回収用の横送りスクリューコンベア17にて回収されて脱穀装置5の横一側部に搬送された穀粒は、その横送りスクリューコンベア17の搬送終端部にベベルギア機構により連動連結された縦送りスクリューコンベア25により上揚搬送され、その上端の供給口26から縦送りスクリューコンベア25に設けられた羽根体27により飛散させる状態でグレンタンク6の内部に供給して貯留させる構成となっている。前記一番物回収用の横送りスクリューコンベア17の搬送途中には、穀粒の含有水分を測定する水分計測手段としての水分計S1が設けられ、搬送される穀粒の含有水分を測定するようになっている。例えば、植立穀稈が雨や朝露で濡れて水分が多いときは、少ない場合に比べて横送りスクリューコンベア17による搬送の際にはすべりがよく駆動トルクが小になるが、縦送りスクリューコンベア25による搬送の際には、穀粒の重量に水分の重量が加算された大きめの重量が螺旋スクリューによる移動に対する負荷となり逆に駆動トルクが大になることがあるので、その水分を測定しておいて、後述するような穀粒量演算処理において利用するようにしている。
【0033】又、グレンタンク6内に貯留されている穀粒を、タンクの満杯時や刈取作業終了後等において、外部のトラック等の運搬車両に排出させるためのアンローダ装置28が備えられている。このアンローダ装置28は、グレンタンク6の底部に横向き姿勢で備えられた排出用の底スクリューコンベア28a、この底スクリューコンベア28aの搬送終端部にベベルギア機構により連動連結されて穀粒を上揚搬送する排出用の縦送りスクリューコンベア28b、この縦送りスクリューコンベア28bの搬送終端部にベベルギア機構により連動連結されて旋回操作自在並びに昇降操作自在に設けられた排出用の旋回スクリューコンベア28cの夫々を備えて構成されている。
【0034】図3にコンバインの伝動構成が示されている。原動部としてのエンジンEの動力がベルトテンション式の主クラッチ29、油圧式無段変速装置30及びミッションケース31を介して左右のクローラ走行装置1R,1Lに伝達されるとともに、無段変速装置30による変速後の出力が刈取クラッチ33を介して断続自在に刈取部3に伝達される構成となっている。一方、エンジンEの動力が脱穀クラッチ35を介して断続自在に前記脱穀装置5に伝達され、エンジンEの動力が穀粒排出クラッチ50を介して断続自在にアンローダ装置28に伝達される構成となっている。前記エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段としてのエンジン速度センサS2が設けられ、このエンジン速度センサS2の情報は後述するような流量演算処理において利用するようにしている。
【0035】そして、このコンバインには、前記一番物回収用の横送りスクリューコンベア17及び縦送りスクリューコンベア25の駆動トルクを設定サンプリング周期毎に検出する回収用のトルク検出手段TK1、前記アンローダ装置28の駆動トルクを設定サンプリング周期毎に検出する排出用のトルク検出手段TK2、回収用トルク検出手段TK1にて検出されるトルクの検出情報に基づいて、横送りスクリューコンベア17及び縦送りスクリューコンベア25にて搬送される穀粒の回収流量を演算する回収量演算手段100、この回収量演算手段100の演算結果に基づいて、グレンタンク6に搬送されて貯留された穀粒の貯留容量を推定する貯留容量推定手段101、排出用トルク検出手段TK2にて検出される前記トルクの検出情報に基づいてアンローダ装置28にて搬送される穀粒の排出流量を演算する排出量演算手段102、この排出量演算手段102の演算結果に基づいてグレンタンク6から外部に排出される穀粒の排出容量を推定する排出容量推定手段103、貯留容量推定手段101にて推定された貯留容量から排出容量推定手段103にて推定された排出容量を減算した値を残留容量として求め、グレンタンク6に貯留可能な最大貯留容量に対する残留容量の割合を表す情報を求めて、その情報を表示する表示手段Fの夫々が備えられている。
【0036】前記回収量演算手段100及び排出量演算手段102は、トルクに基づいて求める穀粒の流量を、水分計S1の検出情報及びエンジン速度センサS2の検出情報に基づいて補正するように構成されている。又、前記貯留容量推定手段101は、回収用トルク検出手段TK1にて検出されるトルクの設定個数分の検出値における変動幅の大きさに基づいて前記貯留容量を補正するように構成され、前記排出容量推定手段103は、排出用トルク検出手段TK2にて検出されるトルクの設定個数分の検出値における変動幅の大きさに基づいて前記排出容量を補正するように構成されている。
【0037】前記回収用トルク検出手段TK1は、エンジンEからの回転動力が弾性体を介して前記一番物回収用の横送りスクリューコンベア17に伝達される弾性体伝動機構D1を備えて構成され、弾性体よりも伝動上手側の回転駆動部分と、弾性体よりも伝動下手側の回転駆動部分との間の回転位相差を検出して、その回転位相差の情報に基づいてトルクを検出するように構成されている。又、前記排出用トルク検出手段TK2は、エンジンEからの回転動力が弾性体を介して前記アンローダ装置28に伝達される弾性体伝動機構D2を備えて構成され、弾性体よりも伝動上手側の回転駆動部分と、弾性体よりも伝動下手側の回転駆動部分との間の回転位相差を検出して、その回転位相差の情報に基づいてトルクを検出するように構成されている。尚、前記各トルク検出手段TK1,TK2の回転位相差検出のための具体構造は共に同じ構成であるから、以下、前記回収用トルク検出手段TK1について説明し、排出用トルク検出手段TK2については説明を省略する。
【0038】図3に示すように、エンジンEから回転動力が伝えられる駆動軸36と一番物回収用の横送りスクリューコンベア17の回転軸17aとの間に弾性体伝動機構D1が介装されている。この弾性体伝動機構D1は次のように構成されている。つまり、図4、図5に示すように、前記駆動軸36と横送りスクリューコンベア17の回転軸17aとが同一軸芯上に位置するとともに、駆動軸36の先端側小径軸部36aが筒状に形成されたスクリューコンベア17の回転軸17aに相対回動自在に内嵌されている。そして、駆動軸36に一体的に設けられる駆動側回転板37と、横送りスクリューコンベア17の回転軸17aに一体的に設けられる従動側回転板38とが所定間隔をあけて対向する状態で設けられ、駆動側回転板37に周方向に約180度の間隔をあけて固設した一対の突起39と、従動側回転板38に周方向に約180度の間隔をあけて固設した一対の突起40との間に夫々コイルスプリング41を張設している。従って、駆動側回転板37が回転駆動されると、前記各コイルスプリング41の張力を介して従動側回転板38が回転駆動されるように構成されている。前記従動側回転板38に固設した一対の突起40は、駆動側回転板37に周方向に所定長さを有する長孔42を挿通するように設けられており、各回転板37,38は長孔42による融通分だけ相対回動が可能なように構成されている。このようにして、エンジンEからの回転駆動力が弾性体としての各コイルスプリング41を介して横送りスクリューコンベア17の回転軸17aに伝達されるように構成されている。
【0039】図5に示すように、前記駆動側回転板37の外周部には、周方向に90度の間隔をあけて4個の位相検出用の突起44が形成されるとともに、各位相検出用の突起44の回転方向下手側に適宜間隔をあけて基準位置検出用の突起45が夫々形成されている。又、従動側回転板38の外周部には、穀粒が搬送されていない無負荷状態、即ち、各コイルスプリング41が伸張していない状態において、前記4個の位相検出用の突起44とほぼ同位相となる位置に4個の位相差検出用の突起46が形成されている。そして、夫々の回転板37,38の径方向外方側の所定位置に夫々回転センサS3,S4が位置固定状態で設けられている。この回転センサS3,S4は、例えば、ホール素子等、各回転体37,38の外周部に対する離間距離の変化による磁気の変化等を利用して、回転に伴って前記突起が通過する毎に図7に示すように検出信号を出力するように構成されている。尚、駆動側回転板37に対応する回転センサS3は1回転当たり計8個の検出信号を出力することになり、従動側回転板38に対応する回転センサS4は1回転当たり計4個の検出信号を出力することになる。各回転センサS3,S4の出力はマイクロコンピュータを備えた制御装置Hに入力される。
【0040】前記排出用トルク検出手段TK2においても、同様に、上記弾性体伝動機構D1と同様な構成の弾性体伝動機構D2が設けられるとともに、一対の回転センサS5,S6が設けられ、それらの出力も制御装置Hに入力される。
【0041】前記制御装置Hには、図6に示すように、各回転センサS3〜S6のほか、水分計S1、エンジン速度センサS2、不揮発性のメモリ47が接続され、更には、収量計測処理の開始及び停止を指令する収量計測スイッチSW、穀粒排出クラッチ50がオンしている排出状態であるか否かを検出する排出検出センサS7、穀粒回収量等の演算結果を表示する例えば液晶表示装置等からなる表示装置48、後述するような異常状態を警報する警報手段の一例としての警報ランプ49の夫々が接続されている。
【0042】そして、制御装置Hは、前記各回転センサS3,S4により検出される駆動側回転板37と従動側回転板38との間の回転位相差に基づいて、横送りスクリューコンベア17を駆動するトルクを求める回収用トルク算出処理、前記トルクの検出情報、水分計S1の検出情報、エンジン回転センサS3の検出情報等に基づいて、横送りスクリューコンベア17及び縦送りスクリューコンベア25にて搬送される穀粒の回収流量を演算する回収量演算処理、回収流量の演算結果に基づいてグレンタンク6に搬送されて貯留された穀粒の貯留容量を求める貯留容量推定処理、前記各回転センサS5,S6により検出される回転位相差に基づいて、アンローダ装置28を駆動するトルクを求める排出用トルク算出処理、前記トルクの検出情報、水分計S1の検出情報、エンジン回転センサS3の検出情報等に基づいて、アンローダ装置28にて搬送される穀粒の排出流量を演算する排出流量演算処理、排出流量の演算結果に基づいてグレンタンク6から排出される穀粒の排出容量を求める排出容量推定処理、前記貯留容量から前記排出容量を減算した値を残留容量として求めてグレンタンク6に貯留可能な最大貯留容量に対する前記残留容量の割合を表す情報を求めて、その情報を表示装置48に表示させる残量容量算出表示処理の夫々の処理を実行するように構成されている。従って、制御装置Hを利用して、回収量演算手段100、貯留容量推定手段101、排出量演算手段102、排出容量推定手段103夫々が構成されている。
【0043】以下、図15〜図19のフローチャートに基づいて制御装置Hによる自動制御動作について説明する。尚、この自動制御動作は、図示しないメインスイッチがオンして、エンジンEが始動しており、脱穀クラッチが入り状態になっている状態で処理が開始されることになる。制御装置Hは、図15に示すように、前記回収量演算処理を行った後に、前記貯留容量推定処理を実行し(ステップ1、2)、排出検出センサS7の検出情報に基づいて、アンローダ装置28による穀粒排出処理が行われていれば、排出流量演算処理を実行するとともに、排出容量推定処理を実行する(ステップ3、4、5)。そして、前記残量容量算出表示処理を実行し(ステップ6)、収量計測スイッチSWがオンしていれば回収流量を累積演算してその時点までの総収穫量を求めて表示装置48に別途表示させる(図13参照)(ステップ7〜9)。尚、収量計測スイッチSWがオフすると、累積演算処理は停止してそれまでの累積演算値を表示する(ステップ10)。
【0044】次に、図16を参照して、前記回収量演算処理について説明する。先ず、横送りスクリューコンベア17及び縦送りスクリューコンベア25が駆動されており上記したような回転センサS3,S4による位相差データを取り込む(ステップ11)。このとき、横送りスクリューコンベア17及び縦送りスクリューコンベア25に穀粒が全く存在しない無負荷状態であれば、駆動側の位相検出用の突起44に対応する検出信号aと、従動側の位相差検出用の突起46に対応する検出信号bとの間の位相差が生じない構成となっているが駆動トルクが大になるに伴ってこの位相差が大きくなるので、この位相差に基づいて横送りスクリューコンベア17及び縦送りスクリューコンベア25を駆動するトルクを検出するのである(ステップ14)。詳述すると、図7に示すように、駆動側の位相検出用の突起44に対応する検出信号aと、従動側の位相差検出用の突起46に対応する検出信号bとの間の位相差のデータt1,t2,t3,t4と、駆動側の位相検出用の突起44に対応する検出信号aと基準位置検出用の突起45に対応する検出信号cとの間の間隔データ(基準データ)T1,T2,T3,T4との比率により、駆動側回転板37と従動側回転板38との位相差を求める。但し、1回転当たり4個(t1/T1),(t2/T2),(t3/T3),(t4/T4)の位相差のデータが求められるが、後述するような穀粒の回収流量を求めるための情報としては、その1回転中の4個のデータ中で最小の値を用いて演算することになる。
【0045】前記位相差は、横送りスクリューコンベア17及び縦送りスクリューコンベア25を駆動するトルクに応じて変化することになる。つまり、トルクが小さい場合には、コイルスプリング41が大きく伸張することはなく駆動側回転板37と従動側回転板38との間の回転位相差は小さいが、トルクが大きくなるに伴って、コイルスプリング41の伸張量が大となり駆動側回転板37と従動側回転板38との間の回転位相差は大になる。
【0046】尚、前記位相差が設定している許容値を超えているときには、搬送詰まりを起こしている等の異常状態であると判断できるから、上記したような処理を停止して警報作動を実行するようにしている(ステップ12,13)。警報ランプ49を点灯させて、詰まりによる異常状態であることを操縦者に報知するのである。
【0047】上記各スクリューコンベア17、25では、前回の作業が終了していても内部には残留粒が存在するので、作業開始前であっても少し負荷がかかる状態となっている。従って、1番口に穀粒が回収されていない状態であっても、トルクのオフセット値が存在することになるので、トルク検出値からこのオフセット値を減算して正確なトルクを検出するようにしている。つまり、制御が開始されてから100回転したときのその100回転分のトルクのデータの平均値を求めて、その平均値を初期トルク(オフセット値に対応する)としてメモリ47に記憶させておく(ステップ15)。そして、設定時間(20msec)の時間間隔毎に過去10回転分のデータに基づいてトルクの変動幅の大きさを算出する(ステップ16)。
【0048】次に、前記1回転中に得られる4個のトルクデータの中で最小の値を用いて、穀粒の搬送流量を演算にて求めるのであるが、そのとき、前記各トルク検出値から前記初期トルクを減算して正確な穀粒搬送に伴うトルクデータに修正して( ステップ17) 、トルクデータから横送りスクリューコンベア17及び縦送りスクリューコンベア25にて搬送される穀粒の回収流量を演算にて求める(ステップ18)。具体例で説明すると、前記トルクと穀粒の流量とは、本出願人の実験によると、例えば、図9に示すように相関関係があり、例えば、回収流量をy,トルクをxとすると、[ 数1]に例示するような一定の演算式(多項式)を設定することができる。
【0049】
【数1】y=16.582x―13.343x2【0050】従って、このような演算式に基づいて回収流量を求めることができる。
【0051】そして、この回収流量の値を、水分計S1にて計測される穀粒の水分、エンジン速度センサS5にて検出されるエンジンの回転速度、トルクの変動幅の大きさの夫々の情報に基づいて適宜補正することで正確な穀粒の回収流量を求めるようにしている(ステップ19)。つまり、穀粒の水分が変化すると、それに伴ってスクリューコンベアの駆動トルクも変動するので、本出願人は、実際の穀粒搬送を行った実験結果に基づいて、例えば図10に示すように含水率に対する補正係数を求めて、上記したように回転位相差に基づいて求められる回収流量を含水率が多いほど小さい値に補正するようにしている。
【0052】又、この種の作業車に搭載されるエンジンは速度調整装置が備えられており、エンジン負荷が多少変動しても回転速度はほぼ一定に維持されるように、速度調整される構成となっているが、作業に伴って負荷が大になると回転速度が変化することがある。このように回転速度が変化すると、エンジンEにて駆動される横送りスクリューコンベア17の駆動トルクも変動することから、回転速度の変動、具体的には、図11に示すように負荷の増大による定格値からの低下割合に対する補正係数を求めて、低下割合が大きいほど搬送の回収流量を大側に補正するようにしている。
【0053】尚、穀粒に対して枝梗粒及びワラ屑の混入量が多い場合には、少ない場合に比べて、同じ搬送流量であってもトルクが大になることが、本出願人の実験により判明している。そこで、図12に示すように、トルクの変動幅が大きいほど回収流量を大側に補正するようにしている。
【0054】次に、貯留容量推定処理について説明する。図17に示すように、前記回収量演算処理にて求められる回収流量を逐次、積算することによって、グレンタンク内に貯留されている穀粒の貯留量を演算にて求める(ステップ20)。そして、このとき、上記ステップ16にて求められたトルクの変動幅の大きさに基づいて穀粒に含まれる枝梗粒及びワラ屑の混入状況より、グレンタンク内に堆積するときの堆積密度を推定する(ステップ21)。説明を加えると、搬送される穀粒に対して枝梗粒及びワラ屑の混入量が少ない場合には、図8(イ)に示すようにトルクの変動幅W1が小さくなり、枝梗粒及びワラ屑の混入量が多い場合には、図8(ロ)に示すようにトルクの変動幅W2が大きくなることが本出願人の実験データにより確認されている。従って、このような本出願人による実験データに基づいて、トルクの変動幅の大きさに基づいて穀粒に含まれる枝梗粒及びワラ屑の混入の割合を推定して、堆積密度を推定することができ、より実際の容積に近い状態となるように前記貯留量の積算値を補正することにより貯留容量を求めることができるのである(ステップ22)。
【0055】本出願による実験データにて示すと、同じ搬送流量として求められていても例えば、穀粒に対する枝梗付き穀粒やワラ屑の混入割合が5〜6パーセントであれば、それらが含まれない場合に比べて2〜3割容量が増大することが確認されている。
【0056】前記排出流量演算処理は、図18のステップ23〜ステップ31に示すように、排出される穀粒を対象として、排出用トルク検出手段の検出情報に基づいて処理が行われる点を除いてその他の処理内容は、前記回収量演算処理と同じ内容の処理内容となっており説明は省略する。尚、このとき、トルクと穀粒の流量との間の関係式は、アンローダ装置における実験データに基づいて別途設定されることになる。又、前記貯留容量推定処理についても、同様に、図19のステップ32〜ステップ34に示すように、排出される穀粒を対象として、排出用トルク検出手段の検出情報に基づいて処理が行われる点を除いてその他の処理内容は、前記貯留容量推定処理と同じ内容の処理となっているので説明は省略するが、トルクの変動幅の大きさに基づいて穀粒に含まれる枝梗粒及びワラ屑の混入の割合を推定して排出容量を補正することにより、排出容量を精度よく求めることができる。尚、上記したように求められた各種の情報は適宜、メモリ47に書込み記憶させるようにしている。
【0057】次に、前記残量容量算出表示処理について説明を加えると、前記貯留容量推定処理により求められた貯留容量から前記排出容量推定処理により求められた排出容量を減算した値を残留容量として求めて、この残留容量が、予め定まった値として記憶されているグレンタンク6に貯留可能な最大貯留容量と比較して、その最大貯留容量に対する前記残留容量の割合を求めて、それを運転部4に備えられた表示装置48に作業者が視認可能な状態で表示するのである。例えば、刈取作業中においては、図13に示すように、最大貯留容量が100パーセントとすると、現在の貯留容量を70パーセントであるといったように文字表示やバーグラフ表示にて表示するのである。又、穀粒排出クラッチがオンして穀粒が排出されているときには、例えば、図14に示すように、バーグラフ表示に加えて重量で表示したり、もみ回収袋に対応する袋数で表示したりするようにしてもよい。
【0058】前記弾性体伝動機構D1、前記各回転センサS4,S5、及び制御装置Hのトルク算出処理の構成によりトルク検出手段TK1が構成され、前記弾性体伝動機構D2、前記各回転センサS6,S7、及び制御装置Hのトルク算出処理の構成によりトルク検出手段TK2が構成され、前記表示装置48と制御装置Hによる表示情報算出処理により表示手段Fが構成されることになる。尚、前記回収用トルク検出手段TK1におけるトルクと穀粒搬送流量との相関関係を示す上記数式(数1)は一例にすぎず、この内容に限定されるものではない。
【0059】〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、排出用トルク検出手段にて検出されるトルクの情報に基づいてグレンタンクから排出される穀粒の流量を求める排出量演算手段が設けられ、排出容量推定手段は、排出量演算手段の演算結果に基づいて穀粒の排出容量を推定する構成として、排出容量を精度よく検出できるようにしたが、このような構成に限らず、例えば、アンローダ装置の搬送途中に専用の流量センサを設けて穀粒の排出容量を推定する等、他の構成を採用してもよい。
【0060】(2)上記実施形態では、トルク検出手段において、上記弾性体としてコイルスプリングを2個用いたが、コイルスプリングを3個以上用いてもよく、コイルスプリングに代えてゴムや板バネ等の弾性体でもよい。又、このような弾性体は、引張り力によって回転動力を伝達する構成に比べて圧縮力によって回転動力を伝達する構成としてもい。
【0061】(3)上記実施形態では、トルク検出手段として、前記弾性体伝動機構D及び前記各回転センサS3,S4を備えて構成する場合を例示したが、トルク検出手段としては、このような構成に限らず、例えば、スクリューコンベアの回転軸の捻り量を歪みゲージ等により直接検出する構成とする等、各種の形態で駆動トルクを検出してもよい。
【0062】(4)上記実施形態では、回収用スクリューコンベアとして、一番口の穀粒回収用の横送りスクリューコンベアと縦送りスクリューコンベアとを連動連結させて、横送りスクリューコンベアの伝動上手側での駆動トルク、すなわち、横送りスクリューコンベア及び縦送りスクリューコンベアの両方を駆動トルクを検出するようにしたが、このような構成に限らず、エンジンの動力を横送りスクリューコンベアと縦送りスクリューコンベアとに夫々各別に伝達する構成として、横送りスクリューコンベアだけの駆動トルクや縦送りスクリューコンベアだけの駆動トルクを検出する構成としてもよい。
【0063】又、排出用スクリューコンベアとして、底スクリューコンベア、縦搬送スクリューコンベア、及び、旋回スクリューコンベアを連動連結させて、底スクリューコンベアの伝動上手側での駆動トルク、すなわち、前記各スクリューコンベア全ての駆動トルクを検出するようにしたが、このような構成に限らず、縦送りスクリューコンベアの伝動上手側での駆動トルクや旋回スクリューコンベアの伝動上手側での駆動トルクを検出するような構成としてもよい。
【0064】(5)上記実施形態では、制御が開始されてから100回転したときのその100回転分のトルクのデータの平均値を求めて、その平均値をオフセット値として記憶させる構成としたが、このようにオフセット値を実際の検出値に基づいて設定する構成に代えて、実験データ等に基づいて定められる値をオフセット値として設定して、予め、メモリに書込み記憶させておいて、脱穀作業のときには、その値を読み出してトルク検出値から減算する処理だけを実行するように構成してもよい。
【0065】(6)上記実施形態では、スクリューコンベアに穀粒が全く存在しない無負荷状態であれば、駆動側の位相検出用の突起44に対応する検出信号aと、従動側の位相差検出用の突起46に対応する検出信号bとの間の位相差が生じない構成となっている場合を例示したが、このような構成に限らず、前記スクリューコンベアの回転が停止している状態で、前記検出信号aと前記検出信号bとの間の位相差が生じない構成としておくと、無負荷状態であっても駆動回転を開始すると前記各信号の位相差が生じることになるが、この値を無負荷回転時の位相差による無負荷回転トルクを算出して記憶しておいて、例えば、前記実施形態における図8のステップ11において、検出トルクからこの無負荷回転トルクを減算してデータを修正する構成としてもよい。あるいは、このように無負荷回転時のトルクを検出して記憶する構造に代えて、予め所定値を設定しておいて、その値を減算してトルク検出データを修正する構成としてもよい。
【0066】(7)上記実施形態では、トルク検出手段として、スクリューコンベアが1回転する間における所定の回転位相として、約90度づつ位相をずらせた1回転あたり4個所の位置にて前記トルクを検出するようにしたが、このような構成に限らず、1回転あたり1〜3回、あるいは、5回以上検出する構成でもよく、このような所定の回転位相に限らず、例えば、設定時間毎にトルクを検出する構成としてもよい。
【0067】(8)上記実施形態では、前記トルクの変動幅の大きさに基づいて穀粒の搬送量を補正するようにしたが、このような補正を行わない構成としてもよい。
【0068】(9)上記実施形態では、エンジンの回転速度の検出値に基づいて穀粒の搬送量を補正するようにしたが、このような補正を行わない構成としてもよい。
【0069】(10)上記実施形態では、求められた収量の計測結果を表示部にて表示させるようにしたが、このような構成に代えて、あるいは、このような構成に加えて、無線通信にて外部の管理装置に通信するような構成としてもよい。
【0070】(11)上記実施形態では、収量計測スイッチSWのオンオフにより累積演算処理の実行と停止を切り換えるようにしたが、これに代えて、積算開始を指令する開始スイッチと、積算停止を指令する停止指令スイッチとを各別に設ける構成としてもよい。
【0071】(12)上記実施形態では、前記警報動作として警報ランプを点灯させる構成としたが、このような構成に代えて、又は、このような構成に加えて、ブザーを作動させる構成としたり、あるいは、エンジンを非常停止させる等の作動を実行するようにしてもよく、または、このような警報作動を実行しないようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年3月27日(2000.3.27)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−269049(P2001−269049A)
【公開日】 平成13年10月2日(2001.10.2)
【出願番号】 特願2000−86052(P2000−86052)