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【発明の名称】 コンバインの穀粒排出装置
【発明者】 【氏名】大本 啓一

【要約】 【課題】折畳み側排出筒の排出口を所定の方向に沿って移動させて目標排出位置に合致させる。

【解決手段】穀粒排出装置32は、縦軸心C1,C2周りに旋回自在に支持された基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を有し、縦筒34によって揚上移送された穀粒は、該基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44により排出口42から外部に排出されるようになっており、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が真直ぐな状態から手動スイッチ92をオンすると、制御部90を介して、折畳み側排出筒44が略々90度以下で旋回する場合は、基部側排出筒38と折畳み側排出筒44が逆方向に旋回し、また、略々90度の角度を越えて旋回する場合は同方向に旋回する。このとき、折畳み側排出筒44の排出口42は、該排出口42と基部側排出筒38の基端側とを結ぶ直線方向に沿って移動して目標排出位置に合致するような制御が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱穀部にて脱穀処理された穀粒を穀粒タンクに一時的に貯留し、該貯留された穀粒を揚上移送する縦筒と、該揚上移送された穀粒を内装ラセンにより排出側に移送する基部側排出筒と、該基部側排出筒の排出端側に接続され、前記基部側排出筒から引き継いだ穀粒を内装ラセンにより排出口に向けて移送する折畳み側排出筒と、前記基部側排出筒の基端側を機体に対して縦軸心周りに旋回する基部側旋回手段と、前記基部側排出筒の排出端側にて前記折畳み側排出筒を縦軸心周りに旋回する折畳み側旋回手段とを有するコンバインの穀粒排出装置において、前記基部側排出筒及び折畳み側排出筒の双方を略々同時に操作可能な第1の操作手段と、前記基部側排出筒及び折畳み側排出筒が直線状に伸長された状態から、前記折畳み側排出筒が前記縦軸心周りに略々90度以下の角度で旋回する場合は、該折畳み側排出筒と前記基部側排出筒とを逆方向に旋回させると共に、前記折畳み側排出筒が前記縦軸心周りに略々90度の角度を越えて旋回する場合は、該折畳み側排出筒と前記基部側排出筒とを同方向に旋回させる制御部とを備え、前記第1の操作手段のオン操作により、前記制御部を介して前記基部側排出筒及び折畳み側排出筒を旋回作動し、前記折畳み側排出筒の排出口を、該排出口と前記基部側排出筒の基端側とを結ぶ所定の方向に略々沿って移動させて目標排出位置に合致させるようにした、ことを特徴とするコンバインの穀粒排出装置。
【請求項2】 前記折畳み側排出筒を、略々角度0度から180度の範囲で旋回可能とした、ことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀粒排出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの穀粒排出装置に関し、詳しくは穀粒タンクに貯留された穀粒を排出すべく、基部側排出筒とこれに接続された折畳み側排出筒とを有するコンバインの穀粒排出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のコンバインの穀粒排出装置として、従来、例えば特開平11−253045号公報に記載された技術が公知であり、この従来例によれば、基部側排出筒と、この基部側排出筒に対しスライド自在に嵌合されたスライド側排出筒とを有し、穀粒の搬出時には、このスライド側排出筒を伸縮させて先端の穀粒排出口を目標位置に設定し、外部トラック等に搬出できるようになっている(以下、前者の従来技術という)。
【0003】一方、他の従来例として、特開平8−214685号公報に記載された技術が公知であり、この従来例によれば、基部側排出筒及び折畳み側排出筒からなる穀粒排出筒を夫々基端部と中間部で縦軸心回りに回動可能に支持し、また、折畳み側排出筒の先端側の穀粒排出口を手動で移動するには、2つの手動スイッチを操作して基部側排出筒と折畳み側排出筒を作業位置にセット又は収納位置に収納し、自動スイッチによる場合は、予め手動スイッチの操作により穀粒排出口を目標排出位置まで旋回移動させて、その目標排出位置を記憶し、次いで自動スイッチを操作することで、前記により記憶された位置に基部側排出筒及び折畳み側排出筒が旋回して、穀粒排出口が略々直線状に移動して目標排出位置に到達する技術が開示されている(以下、後者の従来技術という)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した各従来技術のうち、前者の従来技術によれば、スライド側排出筒の伸縮と同時に該スライド側排出筒に内装された内装ラセンも伸縮する必要があるため、この内装ラセンの伸縮により穀粒が詰り易くなるおそれがある。
【0005】また、後者の従来技術によれば、手動操作による場合は、2つの手動スイッチを操作しなければならず、操作が煩雑であると共に、自動操作の場合は、予め手動スイッチの操作により穀粒排出口を目標排出位置まで旋回移動させて、その目標排出位置を記憶し、次いでその後に自動スイッチを操作しなければならないため、手動スイッチと自動スイッチの2種類のスイッチ操作が必要となり、操作性に欠けるという課題があった。
【0006】本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、折畳み側排出筒の排出口を所定の方向に沿って移動させて目標排出位置に合致させることのできるコンバインの穀粒排出装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、脱穀部(26)にて脱穀処理された穀粒を穀粒タンク(22)に一時的に貯留し、該貯留された穀粒を揚上移送する縦筒(34)と、該揚上移送された穀粒を内装ラセン(36)により排出側に移送する基部側排出筒(38)と、該基部側排出筒(38)の排出端側に接続され、前記基部側排出筒(38)から引き継いだ穀粒を内装ラセン(40)により排出口(42)に向けて移送する折畳み側排出筒(44)と、前記基部側排出筒(38)の基端側を機体に対して縦軸心(C1)周りに旋回する基部側旋回手段(52)と、前記基部側排出筒(38)の排出端側にて前記折畳み側排出筒(44)を縦軸心(C2)周りに旋回する折畳み側旋回手段(60)とを有するコンバイン(10)の穀粒排出装置(32)において、前記基部側排出筒(38)及び折畳み側排出筒(44)の双方を略々同時に操作可能な第1の操作手段(92)と、前記基部側排出筒(38)及び折畳み側排出筒(44)が直線状に伸長された状態から、前記折畳み側排出筒(44)が前記縦軸心(C2)周りに略々90度以下の角度で旋回する場合は、該折畳み側排出筒(44)と前記基部側排出筒(38)とを逆方向に旋回させると共に、前記折畳み側排出筒(44)が前記縦軸心(C2)周りに略々90度の角度を越えて旋回する場合は、該折畳み側排出筒(44)と前記基部側排出筒(38)とを同方向に旋回させる制御部(90)とを備え、前記第1の操作手段(92)のオン操作により、前記制御部(90)を介して前記基部側排出筒(38)及び折畳み側排出筒(44)を旋回作動し、前記折畳み側排出筒(44)の排出口(42)を、該排出口(42)と前記基部側排出筒(38)の基端側とを結ぶ所定の方向に略々沿って移動させて目標排出位置に合致させるようにした、ことを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明は、前記折畳み側排出筒(44)を、略々角度0度から180度の範囲で旋回可能とした、ことを特徴とする。
【0009】[作用]本発明において、穀粒タンク(22)に貯留された穀粒は、穀粒排出装置(32)によって外部に排出されるが、この穀粒排出装置(32)は、穀粒タンク(22)内の穀粒を揚上移送する縦筒(34)と、この縦筒(34)によって揚上移送された穀粒を排出側に移送する基部側排出筒(38)と、この基部側排出筒(38)の排出端側に接続された折畳み側排出筒(44)とを有し、前記基部側排出筒(38)の基端側は縦軸心(C1)周りに旋回操作自在に支持され、また、前記折畳み側排出筒(44)は、基部側排出筒(38)の排出端側にて縦軸心(C2)周りに旋回操作自在に支持されている。そして、縦筒(34)によって揚上移送され、かつ前記基部側排出筒(38)の内装ラセン(36)により折畳み側排出筒(44)に引き継がれた穀粒は、該折畳み側排出筒(44)の内装ラセン(40)により排出口(42)に向けて移送され、外部に排出される。
【0010】また、前記基部側排出筒(38)及び折畳み側排出筒(44)が直線状に伸長された状態から、前記折畳み側排出筒(44)が前記縦軸心(C2)周りに略々90度以下の角度で旋回する場合は、該折畳み側排出筒(44)と前記基部側排出筒(38)とを逆方向に旋回させると共に、前記折畳み側排出筒(44)が前記縦軸心(C2)周りに略々90度の角度を越えて旋回する場合は、該折畳み側排出筒(44)と前記基部側排出筒(38)とを同方向に旋回させる制御部(90)を備えている。そして、前記第1の操作手段(92)をオン操作すると、前記基部側排出筒(38)及び折畳み側排出筒(44)が略々同時に、折畳み側排出筒(44)の旋回角度に応じて互いに逆方向、又は同方向に旋回作動されると共に、このとき、折畳み側排出筒(44)の排出口(42)は、該排出口(42)と前記基部側排出筒(38)の基端側とを結ぶ所定の方向に略々沿って移動して目標排出位置に合致するような制御が行われる。
【0011】なお、上述した括弧内の符号は、図面を対照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0013】図1及び図2は、本発明が適用されたコンバインの外観を示しており、このコンバイン10は、左右一対のクローラ走行装置12,12に支持された走行機体14を有しており、該走行機体14の前方には、前処理部16が昇降自在に支持されている。この前処理部16には、走行機体14の略々全幅にわたって穀稈を分草する多数のデバイダ18と、走行機体14の左右端側にナローガイド19が設けられている。
【0014】前記前処理部16の機体後方の右側上部には、運転席20とその後方に穀粒タンク22が夫々配設されていて、前処理部16の機体後方で左側上部には、前処理部16にて刈り取られた穀稈を掻込搬送装置23等を経由して後方に搬送すべく、機体前後方向に張設されたフィードチエン24、及び該フィードチエン24により穀稈入口25に搬送供給された穀稈を脱穀する脱穀部26が配設されている。この脱穀部26にて脱穀された穀粒は、揚穀筒28を介して揚上移送され、穀粒タンク22に一時的に貯留される。また、前記脱穀部26の後部で、フィードチエン24の終端側には図示しない排ワラチエンが連接されていて、処理済の排ワラは、機体後部に設置された排ワラカッタ等の排ワラ処理装置30に搬送されて後処理が行われる。
【0015】すなわち、機体前方の前処理部16にて刈取られた穀稈は、掻込搬送装置23等を経由して前記フィードチエン24に引き継がれ、該フィードチエン24により脱穀部26に供給されて脱穀選別され、該脱穀選別された穀粒は穀粒タンク22に一時的に貯留される。この穀粒タンク22に貯留された穀粒は、穀粒排出装置32により外部に排出されるが、この穀粒排出装置32は、穀粒タンク22内の穀粒を略々垂直方向に揚上移送する縦筒34と、この縦筒34により揚上移送された穀粒を排出側に移送する基部側排出筒38と、この基部側排出筒38の排出端側に接続され、該基部側排出筒38から引き継いだ穀粒を排出口42に向けて移送する折畳み側排出筒44とを有している。
【0016】図3及び図4に示すように、前記縦筒34は縦ラセン46を内装していると共に、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44は夫々内装ラセン36,40を有している。また、前記基部側排出筒38の基端側は、縦筒34の縦軸心C1周りに電動モータ52(基部側旋回手段)により旋回自在に支持され、前記折畳み側排出筒44は、基部側排出筒38の排出端側にて、縦軸心C2周りに電動モータ60(折畳み側旋回手段)により旋回自在に支持されている。
【0017】すなわち、図3において、前記縦筒34は、上下方向の下端部と中間部とを、夫々機体フレーム側に固定されたホルダ35,37により縦軸心C1の周りに旋回自在に支持されていると共に、該縦筒34の下端側の外周部には、リングギヤ48が一体的に取り付けられている。一方、縦筒34の下端側の外周部近傍には、取付アーム50により前記電動モータ52が取り付けられていて、この電動モータ52は、その出力軸に固定された中間ギヤ53を介して前記リングギヤ48に噛合している。更に、縦筒34に内装された縦ラセン46の下端側は、ベベルギヤ39を介して穀粒タンク22の底部に内装された横ラセン41に連結されている。
【0018】また、前記縦筒34の上部において、該縦筒34と基部側排出筒38との間には油圧シリンダ54が取り付けられていて、該油圧シリンダ54の伸縮により基部側排出筒38は、横軸心Oを中心として上下方向に起伏自在とされている。これにより、折畳み側排出筒44の先端排出口42の圃場面からの高さを自由に設定することができる。なお、横軸心Oを有する横軸57と基部側排出筒38とは、ステー43によって補強支持されている。また、縦筒34に内装された縦ラセン46の上端側は、ベベルギヤ47を介してスパイラルシャフト49に連結されており、更に、該スパイラルシャフト49はベベルギヤ51を介して内装ラセン36に連結されている。以上により、穀粒タンク22の底部の横ラセン41が駆動すると、その駆動力は縦筒34の縦ラセン46に伝達され、更にスパイラルシャフト49を介して基部側排出筒38の内装ラセン36に伝達される。
【0019】また、図4において、基部側排出筒38と折畳み側排出筒44とは、該基部側排出筒38の排出端側にて縦軸心C2を中心として旋回自在に連結されている。そして、基部側排出筒38の排出端側には、略々直角下方に折曲形成された接続上筒38aを有し、また折畳み側排出筒44の基部側には、略々直角上方に折曲形成された接続下筒44aを有していて、該接続下筒44aの外周部にはリングギヤ56が一体的に取り付けられている。
【0020】一方、基部側排出筒38の排出端側の外周部には、前記電動モータ60が取り付けられていて、この電動モータ60は、その出力軸に固定された中間ギヤ61を介して前記リングギヤ56に噛合している。なお、基部側排出筒38の内装ラセン36の排出端側と折畳み側排出筒44の内装ラセン40の基端側には、夫々ベベルギヤ62,63が固定されていて、これらベベルギヤ62,63に噛合するベベルギヤ64a,64bを有する伝動シャフト55が、上下方向に沿って配設されている。
【0021】こうして、前記折畳み側排出筒44は、電動モータ60により縦軸心C2を中心として略々水平方向に旋回可能となっていて、これにより穀粒排出装置32の収納時には、折畳み側排出筒44が基部側排出筒38の下側に位置するように該折畳み側排出筒44を旋回させて、基部側排出筒38と折畳み側排出筒44とが上面視略々一致するように収納する。また、前記電動モータ60の取付位置は、折畳み側排出筒44を収納した場合に、該電動モータ60が基部側排出筒38の終端側よりも前方に突出しないように内側位置に設けられている。
【0022】このため、前記折畳み側排出筒44は、図1に示したように、穀粒排出装置32の収納状態においては、基部側排出筒38の下方側に収納配置されると共に、該基部側排出筒38の排出端側の位置(図4のS−S’線に沿う位置)は、前処理部16の前端部位に設けられたデバイダ18の上方に位置するように設定されている。このように、基部側排出筒38の排出端側を機体前端側と略々同じ位置に設定したことで、機体が全体としてコンパクトにまとめられる。
【0023】また、本実施の形態では、前記折畳み側排出筒44は、穀粒排出装置32の収納状態において、前処理部16の上方から機体後方に向けて延設され、その終端側は、前記脱穀部26の穀稈入口25の上方に至る範囲に納まる長さに設定されている。このように、折畳み側排出筒44の長さを脱穀部26の手前までとしたのは、収納状態において折畳み側排出筒44の長さを脱穀部26と重複する範囲の長さとすると、脱穀部26の高さが高いため、これに干渉しないように、基部側排出筒38の高さを従来よりも高くして折畳み側排出筒44の高さをその分高くする必要があるからである。
【0024】なお、通常は、脱穀部26の穀稈入口25に相当する入口板近傍には、脱穀された穀粒が外部に飛散するのを防止する防塵カバーが設けられているが、該防塵カバーを取り外したときには、収納状態において折畳み側排出筒44の排出口42は入口板の上方に位置することになる。このように、折畳み側排出筒44の排出口42を、脱穀部26の入口板の上方に位置させることで、折畳み側排出筒44の内部に残留していた穀粒が機体振動等により落下した場合においても、前記入口板から扱室内に回収されるので、穀粒の損失を防止することができる。
【0025】次いで、図4に示すように、前記折畳み側排出筒44の基端側の下部には、清掃用窓70が着脱自在に取り付けられている。この清掃用窓70を取り外すことで、基部側排出筒38と折畳み側排出筒44の接続部に残留した穀粒の清掃を行うことができる。これにより、麦や稲等のような異なる穀粒を貯留して排出する場合に、これら異なる穀粒が基部側排出筒38と折畳み側排出筒44の接続部に残留して交わることを防止することができる。
【0026】ここで、本実施の形態では、前記基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44の双方を略々同時に操作可能な第1の操作手段を備えている。
【0027】図5は、穀粒排出装置32を操作するオーガ操作部72のスイッチ配列状態を示す図である。
【0028】このオーガ操作部72は、運転席20の座席後部に配置されていて、該オーガ操作部72には、基部側排出筒38を手動により上下方向に起伏自在又は左右方向に旋回自在に操作されるクロスレバースイッチ91と、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を略々同時に操作可能な手動スイッチ92(第1の操作手段)と、該手動スイッチ92の操作による基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44の旋回方向に対し、これと逆転方向に旋回操作可能な逆転スイッチ93が設けられている。
【0029】そして、前記クロスレバースイッチ91を上方操作すると、基部側排出筒38及び折畳み状態の折畳み側排出筒44は予め定められた最高位置まで上昇可能であると共に、最高位置に上昇させた時点で、折畳み側排出筒44は自動的に真直ぐに伸びるようになっている。また、該クロスレバースイッチ91を下方操作すると、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44は所定の最低位置まで下降可能となっている。更に、クロスレバースイッチ91を横方向に操作すると、真直ぐに伸びた状態の基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が左右方向に旋回する。
【0030】一方、前記手動スイッチ92は、その下部(入る)を押すと、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44は、真直ぐに伸びた状態から、その先端排出口42が目標排出方向に沿って短縮移動を開始し、また、手を放すとその位置にて停止する。この場合、基部側排出筒38と折畳み側排出筒44の旋回方向は、夫々逆方向に旋回するようになっている。また、前記手動スイッチ92の上部(出る)を押すと、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44は、その先端排出口42が目標排出方向に沿って伸長移動を開始する。
【0031】また、前記逆転スイッチ93は、例えば1回押すと基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が左右いずれか一方向に旋回移動し、もう1回押すとその逆方向に旋回移動するようになっている。更に、その他のスイッチとして、自動収納スイッチ97と緊急停止スイッチ98が設けられている。この自動収納スイッチ97を押すと、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が真直ぐに伸びて元の位置(目標方向)に旋回復帰し、次いで先端排出口42が最高位置に上昇すると共に、その位置で折畳み側排出筒44が収納され、更に基部側排出筒38及び折畳み状態の折畳み側排出筒44が機体の所定位置に収納される。また、前記緊急停止スイッチ98は、自動収納スイッチ97を押すことにより、自動で基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を収納しているときに、他部材に衝突する等の理由により緊急に停止したいときに押すスイッチである。
【0032】また、本実施の形態では、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が直線状に伸長された状態から、折畳み側排出筒44が縦軸心周りに略々90度以下の角度で旋回する場合は、折畳み側排出筒44と基部側排出筒38とを逆方向に旋回させると共に、折畳み側排出筒44が縦軸心周りに略々90度の角度を越えて旋回する場合は、折畳み側排出筒44と基部側排出筒38とを同方向に旋回させる制御部を備えている。
【0033】図6は、本実施の形態の制御ブロック図を示しており、マイクロコンピュータが内蔵された制御部90には、前記クロスレバースイッチ91、手動スイッチ92、逆転スイッチ93が接続されていると共に、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44の夫々の旋回角度を検出する角度センサ94,95が接続されていて、これら各スイッチからの操作に基づき、制御部90を介して前記電動モータ52,60が所定方向にかつ所定速度にて旋回制御される。
【0034】そして、前記手動スイッチ(第1の操作手段)92をオン操作することにより、前記制御部90を介して前記基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が旋回駆動され、該折畳み側排出筒44の先端の排出口42を、該排出口42と基部側排出筒38の基端側の縦軸線C1とを結ぶ所定の方向に略々沿って移動させて目標排出位置に合致させるようにしている。この場合、基部側排出筒38と折畳み側排出筒44の旋回方向は、前記制御部90により、折畳み側排出筒44が縦軸心周りに略々90度以下の角度で旋回する場合は、折畳み側排出筒44と基部側排出筒38とを逆方向に旋回させ、また、折畳み側排出筒44が縦軸心周りに略々90度の角度を越えて旋回(例えば略々90度ないし180度の範囲)する場合は、折畳み側排出筒44と基部側排出筒38とを同方向に旋回させる。なお、α=90°の近傍においては、電動モータ52を一旦停止させる制御を行っても良い。
【0035】これを、図7により説明すると、同図は、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を真直ぐに伸長したときの直線ACに対し、基部側排出筒38を縦軸心C1(A点)を中心として時計方向に∠BAC=θだけ旋回させ、同時に、排出口42(C点又はC’点)が常に直線AC上に位置するように、折畳み側排出筒44を縦軸心C2(B点)を中心として反時計方向に∠B’BC’=αだけ旋回したときの位置関係を示す。
【0036】この図では、折畳み側排出筒44の旋回角αの値は、0°≦α≦90°の範囲を例として示しており、この範囲では、前述した制御部90により、折畳み側排出筒44と基部側排出筒38とは互いに逆方向に旋回制御され、また、図示していないが、90°≦α≦180°の範囲では、折畳み側排出筒44と基部側排出筒38とは同方向に旋回制御される。
【0037】ここで、基部側排出筒38の長さをL1 ,折畳み側排出筒44の長さをL2 とし、B点から直線ACに下した垂線の長さをL3 とした場合、角度θとαとの関係について考察する。なお、∠BC’Dをθ’とする。
【0038】△BC’Dと△ABDに正弦定理を適用して、L3 /sinθ’=L2 /sin90°・・・・■L3 /sinθ=L1 /sin90°・・・・・■,■式から、 sinθ’=L1 sinθ/L2 よって、θ’=sin-1(L1 sinθ/L2
∴α=θ+θ’=θ+sin-1(L1 sinθ/L2 )・・・図8は、θの値とL1 /L2 の比を変化させたときの、αの値の変化を示したものであり、この図では、αの値はほぼ、0°≦α≦90°の範囲を例として示している。また、図9は、L1 /L2 の比をパラメータとしたときの、前記αとθとの関係をグラフ化した図である。
【0039】この図9を見ると、L1 /L2 の比にかかわらず、αとθとは略々比例関係にあることがわかる。よって、基部側排出筒38の縦軸心C1を中心とする時計方向の旋回角θに対し、折畳み側排出筒44の縦軸心C2を中心とする反時計方向の旋回角αを、式■を満足するように旋回させれば、折畳み側排出筒44の先端排出口42を、略々直線ACに沿って移動させることができる。
【0040】具体的には、制御部90において予めL1 /L2 の比を記憶しておき、式■に基づき、基部側排出筒38の旋回角θに対する折畳み側排出筒44の旋回角αを算出しておけば、前記手動スイッチ92をオン操作することにより、制御部90を介して電動モータ52,60が駆動されて、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が略々同時に旋回駆動され、これにより折畳み側排出筒44の先端排出口42は、略々直線ACに沿って移動することになる。
【0041】ところで、■式の両辺を時間tで微分すると、dα/dt=dθ/dt+d/dt{sin-1(L1 sinθ/L2 )}=dθ/dt[1+L1 /L2 ・cosθ/cos{sin-1(L1 sinθ/L2 )}]
すなわち、図7において、縦軸心C1(A点)を中心とするB点の角速度と、縦軸心C2(B点)を中心とするC’点の角速度との関係は、基部側排出筒38の角速度をdθ/dt=ω1 ,折畳み側排出筒44の角速度をdα/dt=ω2とした場合、ω2 >ω1 となる。この関係により、基部側排出筒38と折畳み側排出筒44が略々同時間で目的位置に到達することになり、また、折畳み側排出筒44の先端排出口42は、略々直線ACに沿って移動することになる。
【0042】図10は、本実施の形態における制御フローチャートを示す図である。
【0043】まず、S10において、手動スイッチ92が、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を伸長する側(出る)に押されたか、収縮する側(入る)に押されたか、又は操作されない状態(OFF)かが判断され、伸長する側(出る)に押された場合はS11に進み、収縮する側(入る)に押された場合はS12に進み、OFFならS13に進む。伸長する側(出る)に押された場合は、S11において、折畳み側排出筒44の旋回角度αの大きさが判断され、α=0なら、S13で双方の電動モータ52,60の駆動が停止され、α≦90°なら、S14において電動モータ60を逆転側(時計方向)に駆動すると共に、S15において電動モータ52を正転側(反時計方向)に駆動する。また、90°<α<180°なら、S16において電動モータ60を逆転側に駆動すると共に、S17において電動モータ52を逆転側に駆動する。
【0044】一方、収納する側(入る)に押された場合は、S12において、α=180°なら、S13で双方の電動モータ52,60の駆動が停止され、α≦90°なら、S18において電動モータ60を正転側に駆動すると共に、S19において電動モータ52を逆転側に駆動する。また、90°<α<180°なら、S20において電動モータ60を正転側に駆動すると共に、S21において電動モータ52を正転側に駆動する。
【0045】図11は、前記オーガ操作部72のスイッチ操作に基づき、穀粒排出装置32を操作して搬出用トラック96に穀粒を搬出する状態を示す図である。
【0046】同図において、前記基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を直線状に伸長したとすると、長過ぎるため、折畳み側排出筒44の先端排出口42が搬出用トラック96の荷台を越えて外れてしまう。この場合に、コンバイン10又は搬出用トラック96を、穀粒の排出口42とトラック96の荷台とが一致するように移動させることも考えられるが、地理的な条件等から常にそれが可能とは限らない。このような場合に、前述した手動スイッチ92を操作することにより、前記電動モータ52,60が略々同時に駆動制御され、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が、縦軸心C1又はC2を中心として夫々時計方向又は反時計方向に所定角度θ,α旋回し、前述のように、先端排出口42が略々直線ACに沿って移動して目的位置に到達するようにしたものである。
【0047】なお、この穀粒排出時に、手動スイッチ92を操作する代わりに逆転スイッチ93を押すと、同様に電動モータ52,60が略々同時に駆動制御されると共に、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が縦軸心C1又はC2を中心として前記とは逆の、夫々反時計方向又は時計方向に所定角度θ,α旋回し、先端排出口42が略々直線ACに沿って移動する。従って、この場合は、図10の目標排出方向に旋回された状態の穀粒排出装置32(二点鎖線)に対し、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が反対位置に移動することになる。
【0048】次に、作用について説明する。
【0049】穀粒排出装置32の操作は、安全上、運転席20から後方を向いて周囲を確認してから行うが、まず、穀粒排出装置32を収納状態から作業状態に操作するには、オーガ操作部72のクロスレバースイッチ91を上方向に操作すると、油圧シリンダ54が伸長して基部側排出筒38及び折畳み状態の折畳み側排出筒44が最高位置に上昇し、この位置で折畳み側排出筒44が自動的に真直ぐに伸びるようになっている。次いで、該クロスレバースイッチ91を左右横方向に操作すると、基部側の電動モータ52が駆動されて、真直ぐに伸びた状態の基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が左右方向に旋回され、目標排出方向に到達したら停止する。次に、クロスレバースイッチ91を下方向に操作すると、前記油圧シリンダ54が縮小して折畳み側排出筒44の先端排出口42が所定高さに下降したら、その位置で停止させる。
【0050】更に、この最長に伸びた状態の基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を、排出位置に位置決めするために短縮操作するべく、手動スイッチ92の下部を押すと、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が略々同時に駆動される。そして、図11に示すように、基部側排出筒38が縦軸心C1を中心として角度θだけ図の時計方向に旋回し、かつ折畳み側排出筒44が縦軸心C2を中心として角度α(α≦90°の場合)だけ反時計方向に旋回した時点で手を放せば、排出口42が目的の位置に移動して停止する。このとき、折畳み側排出筒44の先端排出口42は、略々直線ACに沿って移動することになる。なお、目測の誤り等から、一旦は短縮させた基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を少し伸ばしたい場合は、前記手動スイッチ92の上部を押せば、先端排出口42は縦軸心C1から遠ざかるように移動する。この場合も、折畳み側排出筒44の先端排出口42は、略々直線ACに沿って移動する。
【0051】また、折畳み側排出筒44の旋回角αが、90°<α<180°の場合は、基部側排出筒38は縦軸心C1を中心として角度θだけ図11の反時計方向に旋回すると共に、折畳み側排出筒44は縦軸心C2を中心として角度α(90°<α<180°)だけ時計方向に旋回する。そして、この場合も、折畳み側排出筒44の先端排出口42は、略々直線ACに沿って移動し、排出口42が目的の位置に移動した時点で手を放す。
【0052】次いで、この作業状態にある基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44を収納するには、前記自動収納スイッチ97を押すと、基部側排出筒38及び折畳み側排出筒44が真直ぐの状態になって元の目標排出方向に旋回移動すると共に、最高位置に上昇してから折畳み側排出筒44が基部側排出筒38の下方側に折畳まれ、更に、この基部側排出筒38及び折畳み状態の折畳み側排出筒44が収納位置の真上に向けて旋回移動し、次いで降下して収納される。
【0053】
【発明の効果】以上説明した通り、請求項1記載の発明によれば、基部側排出筒及び折畳み側排出筒が真直ぐに伸長された状態から、折畳み側排出筒が縦軸心周りに略々90度以下の角度で旋回する場合は、該折畳み側排出筒と基部側排出筒とを逆方向に旋回させると共に、折畳み側排出筒が縦軸心周りに略々90度の角度を越えて旋回する場合は、該折畳み側排出筒と基部側排出筒とを同方向に旋回させることにより、折畳み側排出筒の旋回角度が0度から90度の範囲内はもとより、90度を越える範囲においても、折畳み側排出筒の排出口を所定の方向に略々沿って移動させて目標排出位置に合致させることができる。
【0054】請求項2記載の発明によれば、折畳み側排出筒を略々角度0度から180度の範囲で旋回可能としたことにより、収納位置及び目標排出位置において排出筒のオーバランを防止し、操作性の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成12年2月7日(2000.2.7)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−211734(P2001−211734A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−29082(P2000−29082)