トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コンバインの排出口対地角度制御機構
【発明者】 【氏名】梶原 康一

【要約】 【課題】排出口の向きが下方より外れて穀物排出の抵抗となって、排出不能や詰まりが発生するのを防止する。

【解決手段】穀物タンク13と、昇降及び左右旋回自在として穀物タンク内の穀物を取り出すための排出オーガ15と、該排出オーガ先端部に回動自在に設けた排出口25とを備えるコンバインであって、前記排出口の回動基部に対地角度を検出する傾斜センサ110と排出口回動駆動手段45をコントローラ74と接続し、排出口の対地角度が所定角度範囲内に収まるように制御した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀物タンクと、昇降及び左右旋回自在として穀物タンク内の穀物を取り出すための排出オーガと、該排出オーガ先端部に回動自在に設けた排出口とを備えるコンバインであって、前記排出口の回動基部に対地角度を検出する傾斜センサと排出口回動駆動手段をコントローラと接続し、排出口の対地角度が所定角度範囲内に収まるように制御したことを特徴とするコンバインの排出口対地角度制御機構。
【請求項2】 穀物タンクと、昇降及び左右旋回自在として穀物タンク内の穀物を取り出すための排出オーガと、該排出オーガ先端部に回動自在に設けた排出口とを備えるコンバインであって、排出オーガの回動基部に対接地角度を検出するセンサと、前記排出口の回動基部に対排出オーガとの角度を検出するセンサと、排出オーガの昇降回動駆動手段と排出口回動駆動手段をコントローラと接続し、排出口の対接地角度が所定角度範囲内に収まるように制御したことを特徴とするコンバインの排出口対地角度制御機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排出オーガ先端で回動可能に構成される排出口の対地角度を制御する排出口対地角度制御機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来コンバインのグレンタンク内に貯留した穀粒を排出するために排出オーガが配設されており、該排出オーガによる排出時において、コンバインとトラックの荷台との間に水路等があると、届き難い場合があり、このような場合にも排出が容易に行えるように、排出オーガの先端に排出口を回動自在に設けた技術が同一出願人により提案されている。例えば、特願平11−304859の技術である。該コンバインは排出方向を排出オーガの搬送方向に対して前後に振れるようにし、排出距離を伸ばしたり、排出位置を近づけたり離したりして、トラック等の荷台への積載を均平化し、穀粒の飛散を防止するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】ところが前記のコンバインでは、排出口を遠くに飛ばすように角度を大きくした状態で停止し、次に近づいた状態で排出するときに、誤ってその状態で排出すると、荷台よりこぼしてしまうことがあった。また、均平に排出するために排出口の角度を固定したままで排出オーガを上下に回動すると、排出位置が思わぬ方向にズレることもあった。また、排出口を大きく回動した水平に近い角度のまま排出作業を行うと、穀物排出が自然落下から排出圧力を必要とする状態となって、排出不能や詰まりが発生することがあった。そこで、本発明では排出口の対地角度を検出し、該対地角度が鉛直下方を中心とする一定角度範囲を設定して、排出口の向きが該一定角度範囲内に収まるよう制御を行う制御機構を提供することで、排出不能や詰まりの発生を防止しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。即ち、請求項1においては、穀物タンクと、昇降及び左右旋回自在として穀物タンク内の穀物を取り出すための排出オーガと、該排出オーガ先端部に回動自在に設けた排出口とを備えるコンバインであって、前記排出口の回動基部に対地角度を検出する傾斜センサと排出口回動駆動手段をコントローラと接続し、排出口の対地角度が所定角度範囲内に収まるように制御したものである。
【0005】請求項2においては、穀物タンクと、昇降及び左右旋回自在として穀物タンク内の穀物を取り出すための排出オーガと、該排出オーガ先端部に回動自在に設けた排出口とを備えるコンバインであって、排出オーガの回動基部に対接地角度を検出するセンサと、前記排出口の回動基部に対排出オーガとの角度を検出するセンサと、排出オーガの昇降回動駆動手段と排出口回動駆動手段をコントローラと接続し、排出口の対接地角度が所定角度範囲内に収まるように制御したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例を説明する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同じく平面図、図3は穀物タンク部の平面図、図4は縦送りオーガ部の説明図、図5は排出口の側面図、図6は排出口回動部の側面図、図7は同じく正面図、図8は同じく平面図、図9は傾斜センサの配設の様子を示す排出口回動部の側面図、図10は排出口の対地角度を示す説明図、図11は排出口制御回路図、図12は排出オーガ角度センサの配設の様子を示す側面図、図13は排出口角度センサの配設の様子を示す側面図、図14は排出口の対地角度を示す説明図、図15は排出口制御回路図である。
【0007】1は走行クローラ2を装設するトラックフレーム、3は前記トラックフレーム1に架設する機台、4はフィードチェン5を左側に張架し扱胴6及び処理胴7を内蔵している脱穀部、8は刈刃9及び穀稈搬送機構10などを備える刈取部、11は排藁チェン12終端を臨ませる排藁処理部、13は脱穀部4からの穀粒を楊穀筒14を介して搬入する穀物タンク、15は前記タンク13内の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、16は運転操作部17及び運転席18を備える運転キャビン、19は運転キャビン16下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0008】図3に示す如く、前記楊穀筒14の楊穀コンベア20下端を中継コンベア21を介し脱穀部4の1番コンベア22に連動連結させて、脱穀部4で脱穀された穀粒を楊穀コンベア20を介し穀物タンク13内に投入して貯留する一方、前記穀物タンク13底部に設ける前後方向の底部横送りオーガ23によって穀物タンク13内底部の穀粒を後部に横送りし縦送りオーガ24に受継いでタンク13上方位置まで搬送した後、排出オーガ15に受継いで先端の排出口25より機外に穀物を取出すように構成している。
【0009】なお、26は各オーガ15・23・24の駆動及び駆動停止を行うオーガクラッチである。
【0010】図4に示す如く、前記排出オーガ15は後部を中心として水平方向に旋回自在に設けるもので、前記排出オーガ15の後側基部を中心に前側先端部を昇降させるための手段として油圧昇降シリンダ27を設け、前記縦送りオーガ24上端部に排出オーガ15基部を回動支点軸90回りに上下回動自在に連結させると共に、縦送りオーガ24の上半分を一対のギヤ28・29を介し軸芯回りに回転させる電動旋回モータ30を設け、縦送りオーガ24の略垂直な軸芯回りに縦送りオーガ24上半分及び排出オーガ15を一体回転させるもので、前記昇降シリンダ27制御によって排出オーガ15先端の排出口25を昇降させる共に、前記旋回モータ30制御によって排出オーガ15先端の排出口25を左右に旋回させるように構成している。
【0011】図5乃至図9に示す如く、前記排出口25は、排出オーガ15のオーガ筒34先端下側に横方向の回動支点軸35を介して回動自在に取付ける側面視略逆L形状の排出部材36と、排出部材36の先端外周にボルト37を介し取外し自在に固定する断面略四角形状で縦長の筒部である排出筒38とを備え、図9に示す如く排出筒38は一枚のゴムや合成樹脂等を四角筒状に折り曲げて両端の重合部をビス或いはリベットなど締結部材39によって固着させ、排出部材36の先端の左右外側と排出筒38の左右内側との間に側面視U字形の左右一組のバネ鋼(丸棒、ピアノ線)製などの鋼線体40上端をボルト37を介し固定させ、鋼線体40の下端を排出筒38の下端に略一致させる長さに鋼線体40の上下長さを形成して、可撓性排気筒38の筒形状保持を図ると共に、トラック荷台などに排出筒38が当接した場合にも排出筒38が破損するなどの事故を防止するように構成している。
【0012】前記オーガ筒34の先端外周上面に軸受部材41を取外し自在に固設させ、排出オーガ15のオーガ軸15a先端を軸受部材41に回転自在に支持させると共に、軸受部材41より基端側のオーガ筒34下部外側に回動ベース板42を固設させ、前記回動支点軸35を回転自在に支持する筒軸43を回動ベース板42下面にボルト44を介し取外し自在に固定させている。
【0013】また、回動駆動手段である排出口回動モータ45を取付けるモータ台46を前記回動ベース板42の左側面にボルト47を介し取外し自在に固定させると共に、排出口回動モータ45のモータ軸48に取付ける小径のギヤ49を前記回動支点軸35の固定大径ギヤであるギヤ50に結合させ、回動支点軸35の左右両端に固設する左右枢着板51を前記排出部材36の左右内側面にボルト52を介し取外し自在に固定させて、排出口回動モータ45の駆動で回動支点軸35を回動させるとき回動支点軸35と一体に排出部材36及び排出筒38もオーガ軸15aの軸芯方向となる前後方向に回動させるように構成している。
【0014】さらに、前記排出部材36は、オーガ筒34の先端開口部を臨ませる外周壁を前記回動支点軸35を中心とした円弧部36aに形成すると共に、該円弧部36aより一定寸法外側で円弧部36aに沿う内周面53aを有する排出口カバー53をオーガ筒34外側に連結固定させて、オーガ筒34に近接してオーガ筒34と略平行に折畳む排出口25の収納状態のとき、円弧部36aより開放させるオーガ筒34の先端上方域をカバー53で覆って、排出口25に塵埃や雨水などが浸入するのを防止するように構成している。
【0015】さらに、前記排出口25を回動する回動機構である排出口回動モータ45及びギヤ49・50は、オーガ筒34と排出部材36及び排出口カバー53の左側板間に配設され、排出口回動モータ45の長手方向を排出オーガ15の軸芯方向に一致させて、排出口カバー53の左側板で常に排出口回動モータ45を覆って保護すると共に、ギヤ49・50を側面視で排出部材36の左側板の外観線より常に内側に位置させて、ギヤ49・50の露出を防止しギヤ49・50を保護するように構成している。
【0016】運転席18近傍のオーガ操作パネル62及び排出口カバー53の左側面に配設されている操作ボックス56の双方には、排出口25の前後回動操作に係わる前・後・中立の三段階の入力を可能とするスイングレバー81及びシーソスイッチであるスイングスイッチ80が設けられている。スイングレバー81及びスイングスイッチ80による前後回動操作を検出する排出口前方回動スイッチ77・後排出口後方回動スイッチ78は、図11に示すようにコントローラ74に接続されて、排出口駆動モータ45の駆動を指令している。そして排出口回動モータ45の駆動制御によって、図5に示す如く排出口25を回動角(θ)が0°の水平収納状態より90°〜180°の最大回動角(θ1)の間の回動範囲で回動させることを可能としているのである。ただし、この回動は後述する条件を満たす場合に限られる。
【0017】これより本発明の第一実施例の排出口対地角度制御機構について説明する。図1、図2、図7、図8、図9に示すように、排出口25の回動基部である排出部材36の左側面には、アブソリュート型のロータリエンコーダー等からなる傾斜センサ110が配設されており、図10に示すように、該傾斜センサ110は排出口25と水平面である地面との対地角度aを検出するように構成されている。
【0018】また、傾斜センサ110はコントローラ74に接続されており、該コントローラ74は回動操作により回動される排出口25の対地角度が所定の一定角度範囲内に収まるよう、前記排出口回動モータ45の駆動制御を行っている。この一定角度は、水平方向より上方へは至らない角度範囲で設定され、好ましくは、排出口の向きが略鉛直下向きとなるようにしている。または、任意の角度に設定できるようにしている。図11に示すように、コントローラ74は、前記排出口前後回動スイッチ77・後方回動スイッチ78からの入力信号が排出口25の対地角度を該一定角度範囲外への回動操作を指令するものであれば、この信号を無視するものである。つまり前記の条件とは、排出口25の対地角度が該一定角度範囲内の対地角度に収まることである。また、排出オーガ15が昇降操作によって上下動し、排出口25が排出オーガ15に対して静止しているにも関わらず対地角度が該一定角度範囲外に変化してしまった場合も、排出口回動モータ45の駆動制御によって排出口25が該一定範囲内に収まるよう自動的に回動操作を行うのである。
【0019】なお排出オーガ15の左右旋回中には、作業者は排出口25の回動操作は行わないものとする。これは排出部材36に配設されている傾斜センサ110が旋回による加速度を受けて、正しい対地角度を検出することができないためである。
【0020】以上構成により、排出オーガ15と排出口25の回動角、さらには接地面の傾きによる機体の傾斜によって排出口25の対地角度が変化しても、該排出口25を常に下方向に向くように制御を行っている。この制御により、排出口25が上方を向くなどして籾が流れない状態となり、排出不能もしくは詰まりが発生するのを防いでいるのである。
【0021】次いで、第二実施例の排出口対地角度制御機構について説明する。第二実施例では、第一実施例での傾斜センサ110に代えて、これより述べる二つのポテンショメータ等からなる角度センサが配設されて、排出口25と地面とがなす対地角度aの検出を行っている。
【0022】図12に示すように、排出オーガ15の昇降回動の基部となる前記回動支点軸90にポテンショメータ等よりなる排出オーガ角度センサ91の検出部が連結され、排出オーガ角度センサ91がセンサブラケット92を介して排出オーガ15に取付けられ、該排出オーガ角度センサ91は排出オーガ15の地面との対地角度c(正確にはクローラーの接地面に対する角度)を検出している。また図13に示すように、排出口25の回動基部となる前記回動支点軸35に連結するポテンショメータ等よりなる排出口角度センサ54がセンサブラケット55を介して排出口カバー53に取付けられて、排出オーガ15と排出口25との相対角度bを検出しているのである。この相対角度b及び対地角度cが検出されることより、排出口25の対地角度aが算出される(a=180−(b+c))。この場合の対地角度aは、走行クローラ2の接地面に対する角度、すなわち対接地角度である。
【0023】また図15に示すように、排出オーガ角度センサ91及び排出口角度センサ54はコントローラ74に接続されており、該コントローラ74はまず対地角度aを前記計算によって算出する。次いで、回動操作により回動される排出口25の対地角度が第一実施例の説明で述べた前記所定の一定角度範囲内に収まるよう、前記排出口回動モータ45の駆動制御を行っているのである。したがって第二実施例においても、対地角度aの検出手段が異なるだけで、排出口25の向きによる弊害の除去を実現しているのである。
【0024】
【発明の効果】次に効果を説明する。請求項1記載の如く、穀物タンクと、昇降及び左右旋回自在として穀物タンク内の穀物を取り出すための排出オーガと、該排出オーガ先端部に回動自在に設けた排出口とを備えるコンバインであって、前記排出口の回動基部に対地角度を検出する傾斜センサと排出口回動駆動手段をコントローラと接続し、排出口の対地角度が所定角度範囲内に収まるように制御したので、排出オーガの昇降操作や作業者の誤操作によらず排出口が常に下方向きに維持されるのである。したがって、排出口の向きにより排出口が穀物排出の抵抗となって排出不能状態を招いたりあるいは詰まりを発生することがなく、穀物排出を淀みなく行うことを可能としている。また、穀物の排出方向が大きく逸脱して、トラック等の荷台などの穀物排出先以外に穀物をこぼしたりすることがないのである。
【0025】請求項2記載の如く、穀物タンクと、昇降及び左右旋回自在として穀物タンク内の穀物を取り出すための排出オーガと、該排出オーガ先端部に回動自在に設けた排出口とを備えるコンバインであって、排出オーガの回動基部に対接地角度を検出するセンサと、前記排出口の回動基部に対排出オーガとの角度を検出するセンサと、排出オーガの昇降回動駆動手段と排出口回動駆動手段をコントローラと接続し、排出口の対接地角度が所定角度範囲内に収まるように制御したので、排出オーガの昇降操作や作業者の誤操作によらず排出口が常に下方向きに維持されるのである。したがって、排出口の向きにより排出口が穀物排出の抵抗となって排出不能状態を招いたりあるいは詰まりを発生することがなく、穀物排出を淀みなく行うことを可能としている。また、穀物の排出方向が大きく逸脱して、トラック等の荷台などの穀物排出先以外に穀物をこぼしたりすることがないのである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成12年2月1日(2000.2.1)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−211731(P2001−211731A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−23997(P2000−23997)