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【発明の名称】 脱穀機
【発明者】 【氏名】角 力

【要約】 【課題】排稈搬送体を上方に退避回動自在な脱穀機において、排稈搬送体を上方に退避操作した際に排稈搬送体の終端部がカッター装置に干渉する不都合を解消する。

【解決手段】排稈搬送体19を、終端側を回動支点として上方に退避回動自在に支持すると共に、排稈搬送体19の終端位置を上記回動支点よりも後方に延出するにあたり、前記カッター装置24の上面部のうち、少なくとも排稈搬送体19の延出部19aに対向する部位を、排稈搬送体19の上方回動に伴って下方に回動した上記延出部19aの下端位置よりも低くする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱室の一側部に沿って茎稈を搬送する脱穀フィードチェンと、該脱穀フィードチェンの終端部で受け継いだ排稈を平面視で斜め後方に搬送する排稈搬送体と、該排稈搬送体の終端部下方で排稈を切断処理するカッター装置とを備える脱穀機において、前記排稈搬送体を、終端側を回動支点として上方に退避回動自在に支持すると共に、排稈搬送体の終端位置を上記回動支点よりも後方に延出するにあたり、前記カッター装置の上面部のうち、少なくとも排稈搬送体の延出部に対向する部位を、排稈搬送体の上方回動に伴って下方に回動した上記延出部の下端位置よりも低くしたことを特徴とする脱穀機。
【請求項2】 請求項1において、扱胴を内装する扱室の上方を、上下回動自在な上部カバーで開閉すると共に、該上部カバーに、扱胴および排稈搬送体を連繋して、上部カバー、扱胴および排稈搬送体を一体的に上方退避可能にしたことを特徴とする脱穀機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバイン等に搭載される脱穀機の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種脱穀機のなかには、扱室の一側部に沿って茎稈を搬送する脱穀フィードチェンと、該脱穀フィードチェンの終端部で受け継いだ排稈を平面視で斜め後方に搬送する排稈搬送体と、該排稈搬送体の終端部下方で排稈を切断処理するカッター装置とを備えると共に、前記排稈搬送体を、終端側を回動支点として上方に退避回動自在に支持したものがある。そして、このものでは、排稈搬送体の上方退避に基づいて排稈搬送体の下方を開放することが可能であるため、詰り物の除去、清掃、点検等のメンテナンスが容易になる利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、排稈をカッター装置の上方まで確実に搬送するには、排稈搬送体の終端位置を退避回動支点よりも後方に延出する必要があるが、この場合には、上記延出部が排稈搬送体の上方回動に伴って下方に回動し、下方のカッター装置に干渉する可能性があるため、排稈搬送体の後方延出量や上方退避量が制限される不都合がある。そこで、排稈搬送体を上方に退避操作しても延出部が下方に回動しないように特殊なリンク機構を介して排稈搬送体を支持するものが提案されているが、このものでは、部品点数の増加や構造の複雑化によってコストアップを招く可能性があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、扱室の一側部に沿って茎稈を搬送する脱穀フィードチェンと、該脱穀フィードチェンの終端部で受け継いだ排稈を平面視で斜め後方に搬送する排稈搬送体と、該排稈搬送体の終端部下方で排稈を切断処理するカッター装置とを備える脱穀機において、前記排稈搬送体を、終端側を回動支点として上方に退避回動自在に支持すると共に、排稈搬送体の終端位置を上記回動支点よりも後方に延出するにあたり、前記カッター装置の上面部のうち、少なくとも排稈搬送体の延出部に対向する部位を、排稈搬送体の上方回動に伴って下方に回動した上記延出部の下端位置よりも低くしたことを特徴とするものである。つまり、特殊なリンク機構を用いなくても、排稈搬送体とカッター装置との干渉を回避できるため、部品点数の増加や構造の複雑化を回避してコストダウンを計ることができ、また、カッター装置の上面部のうち、排稈搬送体の延出部に対向する部位だけ延出部の下端位置よりも低くした場合には、カッター装置の取付け高さを大きく変更することなく実施できる利点がある。また、扱胴を内装する扱室の上方を、上下回動自在な上部カバーで開閉すると共に、該上部カバーに、扱胴および排稈搬送体を連繋して、上部カバー、扱胴および排稈搬送体を一体的に上方退避可能にしたことを特徴とするものである。つまり、上部カバー、扱胴および排稈搬送体の一体的な上方退避に基づいて扱室の内部および排稈搬送体の下方を広く開放することができるため、詰り物の除去、清掃、点検等のメンテナンスにおける作業性を向上させることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。図面において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀し、かつ穀粒を選別する脱穀部3、選別済みの穀粒を貯溜する穀粒タンク4、脱穀済みの排稈を排出処理する後処理部5、左右一対のクローラ走行体を備える走行部6、各種の操作具が配置される操作部7等で構成されているが、これらの基本構成は何れも従来通りである。
【0006】8は前記脱穀部3の側面に沿って配設される脱穀フィードチェンであって、該脱穀フィードチェン8は、前処理部2の終端部まで搬送された茎稈を受け継ぐと共に、受け継いだ茎稈を、上方対向位置に並設される脱穀ガイドレール9との間で挟持しながら後方に搬送するようになっている。そして、脱穀フィードチェン8で搬送される茎稈の穂先側は、扱胴10が内装される扱室11内を通過し、その過程で扱胴10の回転脱穀作用を受けて穀粒が脱穀されるようになっている。
【0007】12は前記扱室11を形成する扱室ケースであって、該扱室ケース(上部カバー)12は、扱室フレーム13に対し、扱室11の前面上半部を覆う扱室前面板14、扱室11の後面上半部を覆う扱室後面板15、扱室11の上方を覆う扱室カバー16、前述した脱穀ガイドレール9等を組付けて構成されているが、扱室ケース12の右端部(既刈り地側端部)は、前後方向を向くケース支軸17を介して上下回動自在に支持されているため、扱室ケース12の上方退避操作に基づいて扱室11を開放すれば、扱室11内のメンテナンスを容易に行うことができるようになっている。
【0008】18は前記扱胴10を前後方向に貫通する扱胴軸であって、該扱胴軸18は、前端部に設けられる入力プーリ18aから動力を入力し、該動力で扱胴10を回転作動させるが、本実施形態の扱胴軸18は、前述した扱室前面板14と扱室後面板15との間で回転自在に支持されているため、扱室ケース12を開放操作した場合に、扱胴10が一体的に上昇して扱胴10の下方を開放することになり、その結果、扱胴10の下方に配設される受網10aの清掃や着脱を容易に行うことができるようになっている。
【0009】19は前記扱室11の後方に配設される排稈搬送体であって、該排稈搬送体19は、排稈フレーム20に、排稈フィードチェン21と穂先搬送チェン22とを並設して構成されている。そして、排稈搬送体19は、脱穀フィードチェン8の終端部まで搬送された排稈を受け継ぐと共に、受け継いだ排稈を、下方対向位置に並設される排稈ガイドレール21aとの間で挟持しながら後方の後処理部5に向けて搬送するが、機体の未刈り地側端部で脱穀フィードチェン8から受け継いだ排稈を可及的に既刈り地側に搬送すべく、排稈搬送体19を平面視で傾斜状(終端側ほど既刈り地側に偏倚)に配置すると共に、排稈搬送体19の終端部を前記ケース支軸17の延長線を越える位置まで延出している。
【0010】前記ケース支軸17の後端側は、排稈搬送体19の終端部位まで延出すると共に、ステー23等を介して排稈搬送体19の終端部を上下回動自在に支持している。つまり、排稈搬送体19の上方退避操作に基づいて排稈搬送体19の下方を開放することが可能であるため、詰り物の除去、清掃、点検等のメンテナンスが容易になるが、排稈搬送体19は、前述の如くケース支軸17を越えて後方に延出する延出部19aを有するため、排稈搬送体19を上方に退避操作した場合には、延出部19aが背反的に下方に回動することになる。
【0011】ところで、前記排稈搬送体19の始端側は、連結部材(図示せず)を介して扱室ケース12の後端部に連結されている。そのため、扱室ケース12の上方退避操作に連動して扱胴10および排稈搬送体19が一体的に上方に退避することになり、その結果、扱室11の内部および排稈搬送体19の下方を同時に広く開放して、詰り物の除去、清掃、点検等のメンテナンスにおける作業性をさらに向上させることができるようになっている。
【0012】24は前記後処理部5(排稈搬送体19の終端部下方位置)に設けられるカッター装置であって、該カッター装置24は、所定間隔を存して複数の回転刃25a、26aが設けられる前後一対のカッター軸25、26を、所定間隔を存して平行配置した所謂ディスク型カッター装置に構成されている。そして、カッター装置24では、排稈搬送体19の終端部まで搬送された排稈を、上面部に形成される排稈導入口24aから導入して切断処理するが、上記排稈導入口24aは、後側ほど低位となる傾斜面に形成されている。
【0013】27は前記排稈導入口24aを開閉する排稈処理切換板であって、該排稈処理切換板27は、排稈導入口24aの後端縁部に支軸27aを介して上下回動自在に支持されると共に、排稈処理切換操作具(図示せず)に連繋されている。即ち、排稈処理切換操作具を非カッター位置に操作すると、排稈処理切換板27が排稈導入口24aを閉じてカッター装置24への排稈供給を規制すると共に、上面傾斜に沿って排稈を後方に排出ガイドすることになり、一方、排稈処理切換操作具をカッター位置に操作すると、排稈処理切換板27が排稈導入口24aを開いてカッター装置24への排稈供給を許容するように構成されている。
【0014】さて、前記排稈搬送体19を上方に退避操作した場合には、前述した様に延出部19aが背反的に下方に回動することになるが、カッター装置24の上面位置は、下方に回動した延出部19aの下端位置よりも低く設定されている。つまり、下方に回動した延出部19aの下端と、カッター装置24の上端との間に、所定の間隙Kを確保しているため、特殊なリンク機構を用いなくても、排稈搬送体19とカッター装置24との干渉を回避でき、しかも、本実施形態では、前記排稈処理切換板27の先端回動軌跡を、下方に回動した延出部19aよりも低い位置に設定しているため、排稈処理切換板27の開閉状態に拘わらず排稈搬送体19を退避操作することができる許りでなく、排稈搬送体19が退避状態であっても排稈処理切換板27を開閉操作することが可能になる。
【0015】叙述の如く構成されたものにおいて、扱室11の一側部に沿って茎稈を搬送する脱穀フィードチェン8と、該脱穀フィードチェン8の終端部で受け継いだ排稈を平面視で斜め後方に搬送する排稈搬送体19と、該排稈搬送体19の終端部下方で排稈を切断処理するカッター装置24とを備えるものであるが、前記排稈搬送体19を、終端側を回動支点として上方に退避回動自在に支持すると共に、排稈搬送体19の終端位置を上記回動支点よりも後方に延出するにあたり、前記カッター装置24の上面部のうち、少なくとも排稈搬送体19の延出部19aに対向する部位を、排稈搬送体19の上方回動に伴って下方に回動した上記延出部19aの下端位置よりも低くしたため、特殊なリンク機構を用いなくても、排稈搬送体19とカッター装置24との干渉を回避でき、その結果、部品点数の増加や構造の複雑化を回避してコストダウンを計ることができる。
【0016】また、排稈処理切換板27の先端回動軌跡を、下方に回動した延出部19aよりも低い位置に設定しているため、排稈処理切換板27の開閉状態に拘わらず排稈搬送体19を退避操作することができる許りでなく、排稈搬送体19が退避状態であっても排稈処理切換板27を開閉操作できる利点がある。
【0017】また、扱胴10を内装する扱室11の上方を、上下回動自在な扱室ケース12で開閉すると共に、該扱室ケース12に、扱胴10および排稈搬送体19を連繋して、扱室ケース12、扱胴10および排稈搬送体19を一体的に上方退避可能にしたため、この一体的な退避操作に基づいて扱室11の内部および排稈搬送体19の下方を同時に広く開放することができ、その結果、詰り物の除去、清掃、点検等のメンテナンスにおける作業性を向上させることができる。
【0018】尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば図6に示す第二実施形態の如く、下方に回動した延出部19aの下端と、カッター装置24の上端との間の間隙K1を、第一実施形態の間隙Kよりも小さく設定してもよい。但し、この場合には、排稈処理切換板27の先端回動軌跡と、下方に回動した延出部19aとが側面視でオーバーラップするため、排稈処理切換板27の開状態における排稈搬送体19の退避操作や、排稈搬送体19の退避状態における排稈処理切換板27の開閉操作に不都合が生じる可能性があるが、排稈処理切換板27に、排稈搬送体19の上方退避操作に伴って下方に回動した延出部19aとの干渉を回避するための切欠き部を形成すれば、上記不都合を回避することができる。
【0019】また、前記実施形態では、カッター装置24の取付位置を全体的に下げることで延出部19aとの干渉を回避しているが、図7に示す第三実施形態の様に、カッター装置24の上面部に部分的に凹部24bを形成し、該凹部24bで延出部19aとの干渉を回避するようにしてもよい。つまり、カッター装置24の上面部のうち、排稈搬送体19の延出部19aに対向する部位だけ延出部19aの下端位置よりも低くしているため、カッター装置24の取付け高さを大きく変更することなく実施できる利点がある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2001−204242(P2001−204242A)
【公開日】 平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願番号】 特願2000−15785(P2000−15785)