トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 脱穀機の排塵処理装置
【発明者】 【氏名】里路 久幸

【要約】 【課題】従来型の排塵処理室は、一つであるから排塵物の処理能力に限界があり、選別不良が発生して排塵ロスが増える課題があった。

【解決手段】本発明は、その課題を解決するため、つぎの解決手段を講じた。外周に選別網1を張設した扱室2の外側に、二番処理胴3を有する二番処理室4と、第一排塵処理胴5を有する第一排塵処理室6とを設けた。該第一排塵処理室6と前記二番処理室4との上方位置で、かつ、前記扱室2を構成している選別網1の外側に、第二排塵処理胴7を有する第二排塵処理室8を配置して設けた。該第二排塵処理室8は、前記扱室2の中間部から排塵物が供給され構成とした。前記第一排塵処理室6は、前記扱室2の終端部から排塵物が供給される構成とした脱穀機の排塵処理装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周に選別網1を張設した扱室2の外側に、二番処理胴3を有する二番処理室4と、第一排塵処理胴5を有する第一排塵処理室6とを設け、該第一排塵処理室6と前記二番処理室4との上方位置で、かつ、前記扱室2を構成している選別網1の外側に、第二排塵処理胴7を有する第二排塵処理室8を配置して設け、該第二排塵処理室8は、前記扱室2の中間部から排塵物が供給され構成とし、前記第一排塵処理室6は、前記扱室2の終端部から排塵物が供給される構成とした脱穀機の排塵処理装置。
【請求項2】 前記扱室2内の扱胴11の回転周速度は、前記第一排塵処理胴5の回転周速度と第二排塵処理胴7の回転周速度よりも遅いように構成したことを特徴とする請求項1記載の脱穀機の排塵処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱穀機の排塵処理装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば、コンバインに搭載する脱穀機は、排塵処理能力を高めるため、扱胴を内装軸架した扱室に沿わせて、排塵処理胴を有する排塵処理室を連通して設け、扱室で未処理となった排塵物を引き継いで排塵処理する構成としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来型における排塵処理室は、扱室において未処理となった排塵物が引継ぎ口を経由して供給されると、回転している排塵処理胴によって処理する構成としていたが、この種の従来型の構成は、排塵処理室が一つであるから排塵物の処理能力に限界があった。そのため、扱室は、未処理となった排塵物を排塵処理室に供給すると共に、選別室にも排塵する場合があり、三番飛散等の排塵ロスが増える問題点があった。更に、排塵処理室は、扱室から未処理の排塵物が多量に供給されると、処理能力が追いつかず、不十分な処理のまま排塵する等の課題があった。
【0004】また、扱室から排塵処理室へ送られる被処理物は、引継ぎ部近傍にて詰まることがあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講ずるものである。すなわち、請求項1記載の発明においては、外周に選別網1を張設した扱室2の外側に、二番処理胴3を有する二番処理室4と、第一排塵処理胴5を有する第一排塵処理室6とを設け、該第一排塵処理室6と前記二番処理室4との上方位置で、かつ、前記扱室2を構成している選別網1の外側に、第二排塵処理胴7を有する第二排塵処理室8を配置して設け、該第二排塵処理室8は、前記扱室2の中間部から排塵物が供給され構成とし、前記第一排塵処理室6は、前記扱室2の終端部から排塵物が供給される構成とした脱穀機の排塵処理装置としたものである。
【0006】請求項2記載の発明においては、前記扱室2内の扱胴11の回転周速度は、前記第一排塵処理胴5の回転周速度と第二排塵処理胴7の回転周速度よりも遅いように構成したことを特徴とする請求項1記載の脱穀機の排塵処理装置としたものである。
【0007】
【発明の効果】本発明は、上述のように構成したから、請求項1記載の発明においては、扱室で脱粒された排塵物は、穀粒を多く含んだものが第二排塵処理室に供給されて処理され、藁屑を多く含んだ排塵物が第一排塵処理室に供給されて排塵処理されることになる。したがって、扱室で発生した排塵物は、二つの排塵処理室においてそれぞれ分担しながら適確に処理され、機外への排塵ロスを極端に少なくできる特徴を有する。
【0008】請求項2記載の発明においては、扱室から排塵処理室へ被処理物を送り出す際において、詰まりを防止できるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。まず、脱穀機10は、図1乃至図5に示すように、扱胴11を軸架してその外周に沿わせて選別網1を張設して扱室2を構成し、その下側に選別室12を設けて構成している。そして、フィ−ドチエン13は、図3および図4に示すように、前記扱室2の扱口14に沿わせて設け、株元を挾持した穀稈の穂部を扱口14から扱室2に挿入して搬送する構成としている。
【0010】そして、選別室12は、図1に示すように、上側に揺動選別棚15を揺動可能に架設して設け、その下方には選別方向の上手側から順に、圧風唐箕16と、一番移送螺旋17と、二番移送螺旋18とをそれぞれ配置して構成している。そして、脱穀機10は、図1、図2および図4に示すように、扱室2の背後に二番処理室4と第一排塵処理室6とを設けている。そして、二番処理室4は、前記二番移送螺旋18で収集した二番物を二番揚穀装置19によって揚穀して供給し、内部に軸架している二番処理胴3により二番処理作用を行う構成としている。なお、二番処理室4は、図面に示す実施例の場合、供給された二番物を扱胴11の脱穀移送方向とは逆の方向に前方側へ搬送しながら再処理して処理物を順次選別室12に漏下する構成としている。
【0011】つぎに、第一排塵処理室6は、図1、図2および図5に示すように、始端部に開口した引継口20を前記扱室2の終端部に連通し、中間部分には処理物の漏下枠21を張設して設け、終端部の排塵口22を選別室12に開口し、第一排塵処理胴5を内装軸架して構成している。そして、第一排塵処理胴5は、外周面に処理刃を設けて、回転に伴って排塵物を処理する構成にしている。
【0012】したがって、第一排塵処理室6は、扱胴11によって脱穀処理されながら持ち回られて扱室2の終端部分に達し、扱室2の排塵口から下方の選別室12に落下しなかった未処理物を受け継いで再度脱粒処理する構成となっている。そのため、第一排塵処理室6は、比較的藁屑を多く含んだ排塵物を処理することになる。
【0013】そして、第一排塵処理胴5と二番処理胴3は、図面に示す実施例の場合、同時に回転駆動されるように一体の構成としている。つぎに、第二排塵処理室8は、図1、図2、図4および図5に示すように、扱室2の外側において、前記二番処理室4と第一排塵処理室8との上方位置に跨がった状態に配置して構成している。このように、第二排塵処理室8は、図1および図2に示すように、二番処理室4の後半部分と第一排塵処理室6の前半部分とに跨がっており、第二排塵処理胴7を内装軸架して構成している。そして、第二排塵処理胴7は、実施例の場合、外周面に螺旋式の処理刃を設けているが、これにこだわることはなく、通常の処理刃(第一排塵処理胴5の処理刃と同等のもの)を設けることは自由である。
【0014】そして、上記第二排塵処理室8は、その始端部を扱室2の中間部分に引継口23で連通し、穀粒を多く含んだ排塵物を受け継ぎ、終端部に選別室12に開口した排塵口24から排塵する構成としている。そして、第二排塵処理室8は、室内で処理した処理物は選別網から漏下できるものを下方に漏下して下側の二番処理室4や第一排塵処理室6に落下させて混合状態にして最終的に選別室12に落下する構成としている。そして、第二排塵処理室8の排塵口24は、図5に示すように、下側に位置する第一排塵処理室6を迂回するように横側に開口して、排藁搬送通路側から選別室12に排塵する構成にしている。そして、遮蔽板25は、図5に示すように、排塵口24の外側に上部を取り付けて垂れ下げた状態に設け、排塵物を排藁に混入しないように、隔離して下側に落下できる構成としている。
【0015】このように構成することによって、遮蔽板25は、排藁と排塵物とを混合することなく遮蔽することができるから、選別を良好として無駄をなくする(排藁に混入して排出される四番ロスをなくする)ことができる。つぎに、脱穀機10の伝動機構26について説明する。
【0016】まず、伝動機構26は、図2および図3に示すように、エンジン27からベルト28とプ−リ29とによって取り出した回転動力を、扱胴11、二番処理胴3(第一排塵処理胴5)、第二排塵処理胴7に順次分配して伝動する構成としている。すなわち、図3に示すように、扱胴軸30と二番処理胴軸31(第一排塵処理胴軸)と第二排塵処理胴軸32とは、実施例の構成の場合、三軸が図3に矢印で示すように同一の方向(時計回り)に、回転する構成としている。
【0017】したがって、脱穀機10は、回転に伴って発生する振動が比較的少ない特徴を有する。更に、第一排塵処理室6と第二排塵処理室8とは、それぞれの排塵口22、24から排塵される排塵物が下側の揺動選別棚15の左側に寄った位置に落下して扱室2からの漏下物と分離された状態を保って選別を良好にすることができる。
【0018】そして、扱胴11と第一排塵処理胴5と第二排塵処理胴7とは、それぞれの周速度を、扱胴11<第二排塵処理胴7<第一排塵処理胴5の速度関係を保持して回転するように伝動構成している。すなわち、第一排塵処理胴5は、比較的藁屑を多く含んだ排塵物を適確に処理する必要があるために周速を早くしており、第二排塵処理胴7は、排塵物の中に穀粒を多く含んでいるからこれらに損傷を与えないで処理するために周速を遅く構成している。
【0019】そして、第一排塵処理胴5と第二排塵処理胴7とは、全長を比較すると、第一排塵処理胴5が長く、直径を比較すると、第二排塵処理胴7を長くして構成している。つぎに、その作用について説明する。
【0020】まず、脱穀機10は、刈取穀稈をフィ−ドチエン13の始端部に供給して株元を挟持して搬送を開始すると、穀稈は、穂先側が扱口14から扱室2に挿入されて搬送されながら脱穀作用が開始される。このようにして、穀稈は、株元がフィ−ドチエン13に挾持されて搬送されながら穂先部分が扱口14から扱室2に供給され、回転している扱胴11により脱穀作用を受けると、脱穀物は、回転している扱胴11によって持ち回られて、更に、脱粒処理作用を受けながら選別網1から漏下して選別室12の揺動選別棚15に達し揺動選別作用を受ける。
【0021】又、扱室2の中間部分において穀粒を多く含んだ排塵物は、引継口23を経由して第二排塵処理室8に供給され回転している第二排塵処理胴7によって処理作用を受ける。そして、第二排塵処理室8は、処理物のうち、下側周辺の選別網から漏下できるものは、下側の二番処理室4と第一排塵処理室6とに落下して各処理室4、6の処理物と混合されて一緒に処理され、下側の選別室12に落下することになる。
【0022】この場合、第二排塵処理室8は、前半部分から下側の二番処理室4に漏下する処理物は、穀粒が多く含まれており、後半部分から下側の第一排塵処理室6に漏下する処理物は藁屑等が多くなっている。このようにして、排塵物は、第二排塵処理室8で第二排塵処理胴7によって処理作用を受けながら室外に漏下するが、最終まで持ち回られて残ったものは排塵口24から選別室12に排塵される。
【0023】このとき、排塵物は、遮蔽板25の内側面で案内されて下方に落下し、外側を搬送されている排藁に刺さり込む等のおそれはない。そして、被選別物は、揺動選別棚15上に達し、順次棚先方向に移送されてチャフシ−ブに達し、穀粒が漏下して長藁等と選別分離されながら選別風による風選作用を受けるものである。そして、排塵物は、吸引排塵装置に達するものと、揺動選別棚15の棚先ストロ−ラックに達するものとに分かれてそれぞれ機外に排塵される。
【0024】一方、扱室2内の未処理物は、回転している扱胴11により持ち回られながら選別室12に漏下したものを除き扱室2の終端部分に達し、排塵物として引継口20側に送られる。そのとき、第一排塵処理胴5は、始端部分がその回転掻き込み圏内に達した排塵物を第一排塵処理室6に掻き込み処理作用を開始する。
【0025】このようにして第一排塵処理室6に送り込まれた排塵物は、第一排塵処理胴5による処理作用を受けて漏下枠21の開口から順次選別室12に漏下し、最終の排塵口22に達すると全てが選別室12に排塵されて選別作用を受ける。以上のように、被選別物は、揺動選別作用と選別風による風選作用との共同作用を受けながら選別されて、一番物(精粒)、二番物、排塵物とに選別分離され、一番物は一番移送螺旋17に落下して収集されて機外に収穫され、二番物は二番移送螺旋18から二番揚穀装置19によって揚穀されて二番処理室4に還元されて二番処理作用を受け、排塵物は、吸引排塵装置によって塵埃が排塵され、ストロ−ラックに達した藁屑が棚先から機外に排塵される。
【0026】このような一連の脱穀・排塵処理作用中において、第二排塵処理室8は、扱室2の中間部から穀粒を多く含んだ排塵物を分離して取出し、第二排塵処理胴7によって処理して穀粒(主として二番処理室4に落下供給する)や藁屑(第一排塵処理室6と排塵口24から選別室12に直接に落下する)等の排塵処理作用を行なっている。したがって、脱穀機10は、扱室2の負担が軽減されて脱穀処理をより促進することができ、更に、後続の第一排塵処理室6に送り込む排塵量も、従来より小量になり、第一排塵処理胴5の負担を著しく軽くできる特徴を有する。そのため、本案構成は、排塵処理の精度を従来より高めて排塵ロスの少ない良好な選別ができる利点を有するものである。
【0027】別実施例1つぎに、別実施例1を、図6乃至図9に基づいて説明する。別実施例1は、排塵処理室40の排塵口41に関し、第一の構成例は、グレンタンク42側に寄せて後部から排塵する構成で、第二構成例は、排塵物をクロ−ラ43上に排塵してクロ−ラ43によって前方側に搬送して圃場面に踏み込む(埋め込む)構成にしたものである。
【0028】まず、排塵処理室40は、図8に示すように、排塵処理胴44を内装軸架して始端部に引継口45を設けて扱室46の終端部分に連通し、終端部のグレンタンク42側に排塵口41を開口して構成している。したがって、排塵処理室40は、従来から周知のごとく、扱室46に残留した排塵物を受け継いで排塵処理を行なう構成としている。なお、図8において、47は扱胴、48は二番処理室、49は排藁カッタ−である。
【0029】そして、第一の構成例は、図6および図7に示すように、排塵口41の外側に排藁案内板50を設けて、排塵処理室40から排塵された排塵物を、脱穀機の真後を避けてグレンタンク42側に寄せた位置に排塵する構成としている。そして、第二の構成例は、図9に示すように、排塵口41に連続した筒状の排藁案内板50をクロ−ラ43上方に臨ませて設け、排塵物をクロ−ラ43上に乗せるように構成している。51は揺動選別棚を示す。
【0030】別実施例1は、以上の構成によって、第一の構成例の場合には排塵口41から排塵された排塵物を脱穀機の真後を避けてグレンタンク42側に寄せた位置に排塵し、第二の構成例の場合には、排塵物をクロ−ラ43上に落として前側に搬送し、そのクロ−ラ43を利用して圃場面に踏み込む(埋め込む)ことができる。
【0031】以上述べたように、別実施例1は、いずれの構成例も、排塵処理室40から排塵される排塵物を脱穀機の真後を避けた位置に排塵して、排塵口(揺動選別棚51の後方)からの排塵作用(選別室からの排塵作用)の邪魔にならない特徴を有する。
【0032】別実施例2つぎに、別実施例2を図10乃至図13に基づいて説明する。別実施例2は、刈取前処理装置60の防塵カバ−61に関するものである。まず、刈取前処理装置60は、従来から広く知られているように、前部低位置の分草杆62、その上方に穀稈引起し装置63、低位置に刈取装置64、後部上方に延長した穀稈搬送装置65を設け、圃場の穀稈を刈取って後方の脱穀機66に搬送して供給する構成としている。
【0033】そして、防塵カバ−61は、図面に示すように、刈取前処理装置60の上部をカバ−するように覆い、前部を穀稈引起し装置63の上部に取付け後部を脱穀機66側まで延長して構成している。なお、サイドカバ−67は、刈取前処理装置60の側面を覆せ、防塵効果を高める構成としている。
【0034】そして、防塵カバ−61は、図10乃至図12に示すように、穀稈引起し装置63の上部位置で穀稈の穂先部分が通過する位置に切欠ぎ状の穂先通路68を形成している。別実施例2は、以上のように構成しているから、刈取脱穀作業中に刈取前処理装置60によって発生する藁屑等の塵埃を、防塵カバ−61によって外部への飛散を防止して比較的清潔な作業環境を作り出すことができる。そして、防塵カバ−61は、穀稈引起し装置63によって引き起こされて後方へ搬送される穀稈の穂先部分が通過する位置に切欠ぎ状の穂先通路68を形成しているから、穂部の脱粒を防止してヘッドロスを少なくし、搬送遅れをなくする利点を有する。
【0035】そして、キャリヤ70は、図13に示すように、防塵カバ−61上に装置しておけば、籾袋等を運搬することができて便利である。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成12年1月17日(2000.1.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−197824(P2001−197824A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−7777(P2000−7777)