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【発明の名称】 コンバインのフィードチェン伝動構造
【発明者】 【氏名】大本 啓一

【要約】 【課題】刈取部からフィードチェンへの穀稈の搬送を良好に行なうことができるコンバインのフィードチェン伝動構造を提供する。

【解決手段】エンジン4から刈取部2及び走行装置1a並びにフィードチェン33を有する脱穀部3を伝動駆動したコンバイン作業を行なうコンバインの、フィードチェン33の伝動を、刈取部2の刈取部伝動系5と、脱穀部3等の作業部の作業部伝動系9とから伝動系切換機構6を介して択一的に行なうとともに、該伝動系切換機構6により上記刈取部伝動系5側の伝動回転数が作業部伝動系9側の伝動回転数よりも低くなった場合に、刈取部伝動系5から作業部伝動系9に切換えてフィードチェン33を伝動させるように構成したコンバインのフィードチェン伝動構造にしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン4から刈取部2及び走行装置1a並びにフィードチエン33を併設した脱穀部3を伝動駆動するように構成したコンバイン作業を行なうコンバインにおいて、前記フィードチェン33の伝動を、刈取部2等の刈取走行速度に同調した伝動系5と、刈取走行速度に同調しない伝動系とから伝動系切換機構6を介して択一的に行なうとともに、該伝動系切換機構6により上記刈取部伝動系5側の伝動回転数が作業部伝動系9側の伝動回転数よりも低くなった場合に、刈取部伝動系5から作業部伝動系9に切換えてフィードチェン33を伝動させるように構成したことを特徴とするコンバインのフィードチェン伝動構造。
【請求項2】 伝動系切換機構6を、フィードチェン33の駆動スプロケット70を刈取部伝動系5と作業部伝動系9から択一的に切換伝動する一方向回転クラッチ機構6a,6bで構成する請求項1記載のコンバインのフィードチェン伝動構造。
【請求項3】 作業部伝動系9をエンジン4から脱穀部3を伝動駆動する脱穀部伝動機構43にする請求項1又は2のコンバインのフィードチェン伝動構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインに搭載される脱穀部のフィードチェンを、刈取部伝動系と作業部伝動系とから切換えて伝動させるコンバインのフィードチェンの伝動構造に関する。
【0002】
【従来技術】従来、コンバインに搭載される脱穀部のフィードチェンの伝動は、■エンジンから脱穀部の扱胴や選別部を伝動駆動する脱穀部伝動系に無段変速構造を備えた脱穀部伝動機構を設け、この脱穀部伝動機構の無段変速構造を介してフィードチェンを変速可能に伝動させる方式と、■エンジンから刈取部を伝動駆動させる刈取部伝動系からフィードチェンを単独に伝動駆動させる方式とによって行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来の装置の内、■の脱穀部伝動型の装置は、刈取部の刈取速度に対してフィードチェンの速度を自由に調節して対応させることができ、刈取穀稈を刈取部からフィードチェンへと円滑に継送させることができる利点がある。しかしこの装置は、フィードチェンを無段変速で伝動するので構造が複雑でコスト高になるとともに、刈取速度と同調させる操作が煩雑である等の欠点がある。
【0004】また、■の刈り取り部伝動型の装置は、刈取速度が遅くなるとフィードチェンの搬送速度も遅くなるので搬送継送部での穀稈の乱れや、特に扱室入口部で扱胴による切藁屑の発生が多くなること、及び手刈をした穀稈の手扱作業時に刈取部も無駄に作動されるととにも、作業に煩雑さが伴う等の問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記したような従来のコンバインのフィードチェンの伝動構造の有する問題点を解決する装置を提供することを目的とするものである。
【0006】前記目的を達成するための本発明は、エンジン4から刈取部2と走行装置1aと、更にフィードチェン33を併設した脱穀部3を伝動駆動するように構成したコンバイン作業を行なうコンバインにおいて、前記フィードチェン33の伝動を、刈取部2等の刈取速度に同調した刈取部伝動系5と、刈取速度に同調しない伝動系とから伝動系切換機構6を介して択一的に行なうとともに、該伝動系切換機構6により上記刈取部伝動系5側の伝動回転数が作業部伝動系9側の伝動回転数よりも低くなった場合に、刈取部伝動系5から作業部伝動系9に切換えてフィードチェン33を伝動させるように構成している。
【0007】また、伝動系切換機構6を、フィードチェン33の駆動スプロケット70を刈取部伝動系5と作業部伝動系9から択一的に切換伝動する一方向回転クラッチ機構6a,6bで構成している。また、作業部伝動系9をエンジン4から脱穀部3を伝動駆動する脱穀部伝動機構43にするようにしている。
【0008】
【発明の実施の形態】次に図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0009】図1は本発明にかかるコンバインのフィードチェン33の伝動構造を示し、このコンバインAは、従来の装置の同様な配置構成により、クローラ式の走行装置1aを有する機体フレーム(走行機体)1に、刈取部2と脱穀部3を前後方向に設けるとともに、これらの側方にエンジン4を搭載している。
【0010】そしてこのエンジン4の出力軸4aからベルト伝動構造40,41を介して走行部伝動機構42と脱穀部伝動機構43に各別に入力してコンバイン作業を行なうように構成している。
【0011】そして、上記走行部伝動機構42は内部のHST又は他の無段変速手段の操作によって走行装置1aを所望の走行速度並びに前後進自在に変速すると共に伝動し、上記変速出力と同調回転をさせる前処理出力軸45から刈取部2を刈取部伝動系5を介して伝動させるように構成している。
【0012】一方、脱穀部伝動機構43は、扱胴出力軸43aからベルト伝動構造30を介して扱室31内に軸支された扱胴32を駆動させるとともに、フィードチェン出力軸43bから後述する“伝動系切換機構6”を備えた“脱穀部フィードチェン伝動系7”を介して、扱室31の扱口側に沿って張設しているフィードチェン33を駆動するように構成している。
【0013】次に上記“脱穀部フィードチェン伝動系7”について説明する。
【0014】この脱穀部フィードチェン伝動系7は、前記フィードチェン33の駆動スプロケット70を軸端に設けたフィードチェン駆動軸71を、前記フィードチェン出力軸43bと、後述する刈取部伝動系5との間に設けた一方向回転クラッチ機構6a,6bからなる“伝動系切換機構6”とで構成している。
【0015】そしてフィードチェン駆動軸71を、刈取部伝動系5と脱穀部フィードチェン伝動系7のうち、高回転数側のものを択一的に選択してその伝動系からフィードチェン33を最遅速度にすることなく適正回転をさせることができるようにしている。
【0016】上記一方向回転クラッチ機構6a,6bは、フィードチェン出力軸43bの端部と、後述する刈取部伝動系5の伝動終端側にそれぞれ設置しており、この構成によりフィードチェン駆動軸71を上記両伝動系と一方向回転可能にクラッチ接合しており、各一方向回転クラッチ機構6a,6bはフィードチェン駆動軸71がフィードチェン出力軸43b及び刈取部側から伝動されるとき、高回転数側の動力を伝えるとともに、低回転数側の伝動を空転状態にさせて逃がすようにしている。なお、この一方向回転クラッチ機構6a,6bは一般的な構成のものを使用することができる。
【0017】また、この実施形態では、刈取部伝動系5の他方の作業部伝動系9として、脱穀部3の伝動を行なうベルト41、脱穀部伝動機構43からなる脱穀部伝動系を利用したが、作業部伝動系9はこれに限ることなく例えば後処理部或いは籾処理部等の伝動系を利用してもよいものである。
【0018】次に刈取部2及び刈取部伝動系5について説明する。この刈取部2は従来のものと同様な構成で機体フレーム1の前部に回動可能に支持した刈取部支筒20に、刈取部フレーム21を介して、前側に刈刃22とこの刈刃22で刈取られた穀稈をフィードチェン33の始端部に向けて扱深さ調節可能に継送搬送をする扱深調節搬送体23等を一体的に設けている。
【0019】そして刈取部支筒20内には前記前処理出力軸45から前処理クラッチ機構8を介して入り切り自在に入力回転される刈取部伝動軸25を軸支し、その他端に設けたプーリ25aからベルト25bを介して前記フィードチェン駆動軸71に一方向回転クラッチ機構6bで軸装されたプーリ25cを伝動させるとともに、軸中途部に設けたベベルギヤ噛合による屈折伝動機構26、及び縦伝動軸27、屈折伝動機構26aを介して、刈刃22と扱深調節搬送体23を刈取搬送回転軸28で駆動するように構成にしている。
【0020】この構成により、前記フィードチェン33の刈取部伝動系5は前処理クラッチ機構8と刈取部伝動軸25とプーリ25a,25c並びにこれに巻掛けたベルト25bと一方向回転クラッチ機構6bによりフィードチェン33を刈取部2の回転数に同調させることができる伝動系にしている。
【0021】以上のように構成したコンバインAの作業としては、エンジン4の動力で走行部伝動機構42と脱穀部伝動機構43を駆動する。次いで前処理クラッチ機構8を「入り」状態にすると機体1を走行させながら刈取部2及び脱穀部3が駆動させて、刈取部2の刈刃22で刈取った穀稈を扱深調節搬送体23で後方送りし、その終端でフィードチェン33の始端に継送し、このフィードチェン33は穀稈を挟持搬送して扱室31内に供給し、扱胴32による脱穀作用を受けさせて、脱穀した穀稈を、機体の終端から図示しないカッタ等の後処理装置に送給して排出することができ、このようにして一連のコンバイン作業を行なうことができるものである。
【0022】このようなコンバイン作業において、機体1が高速度の車速で走行しながら刈取りをする、いわゆる「高速刈取」をしているときは、走行部伝動機構42の前処理出力軸45から入力されている刈取部伝動軸25は、上記車速と同調して伝動されており、フィードチェン駆動軸71よりも高回転しているので、刈取部伝動軸25はプーリ25a、ベルト25b及びプーリ25cと、一方向回転クラッチ機構6a,6bを介してフィードチェン駆動軸71を伝動するようになっている。
【0023】このとき、脱穀部伝動機構43から駆動されている扱胴32とフィードチェン出力軸43bは、略一定の脱穀設定回転数で伝動されており、フィードチェン出力軸43bの回転数は上記の伝動によるフィードチェン駆動軸71よりも低いので、一方向回転クラッチ機構6aによってフィードチェン出力軸43b側からの伝動は不能にされる。
【0024】即ち、一方向回転クラッチ機構6aは空転状態になるのでフィードチェン33速度は図2に示すように、刈取部2が変速操作される変速範囲に基づいて刈取部伝動軸25が同調して回転されることに伴う速度V1 からV2 の間において設定されることになる。
【0025】従って、高速刈取時には多量の穀稈が刈取部2から搬送供給されることになるが、フィードチェン33は穀稈の量に適応した搬送速度に追随するので、扱深調節搬送体23との継送部での停滞や詰りを生ずることなく、穀稈を扱室31内に送り込んで扱残しや切藁屑の発生を防止した良好な脱穀を行なうことができるものである。
【0026】また、走行部伝動機構42が「低速度の車速」に設定されて刈取部伝動軸25がフィードチェン出力軸43bよりも低回転数になると、即ち、刈取部伝動軸25が前記図2のフィードチェン33速度V1 以下で、一方向回転クラッチ機構6bを介して伝動しようとしてせ、速度の早いフィードチェン出力軸43bが一方向回転クラッチ機構6aを介してフィードチェン駆動軸71を回転させるので、この一方向回転クラッチ機構6bは「空転状態」になって伝動を不能にされるから、この場合にはフィードチェン33は図2で示すように車速に関連することなく、脱穀部伝動機構43から扱胴32の回転数と同調させた所定の低回転域でフィードチェン33を速度V1 程度で伝動する。
【0027】従って、フィードチェン33は刈取部2の扱深調節搬送体23から「低速度」で送られる穀稈を速やかに継送して扱室31内に搬送するので、継送時の稈こぼしや遅速で挟持搬送されることによる扱胴32よる穀稈の引抜き作用や切藁屑の発生を抑制したコンバイン低速度走行時の脱穀をも、円滑かつ良好に行なうことができるものである。
【0028】また、これにより「手扱作業」を行なう際には、前処理クラッチ機構8を「切り」として刈取部2を停止させた状態においてフィードチェン33の適正回転数の伝動を行なうことができるので、手扱作業時に刈取部2が駆動されることによる無駄や煩わしさを解消することができる等の利点がある。
【0029】そして、上記のようなフィードチェン33の刈取部2と脱穀部伝動機構43側とのフィードチェン33を適正に伝動するための「選択切換」は、刈取部伝動系5と作業部伝動系9側にそれぞれ設けた一方向回転クラッチ機構6a,6bによって自動的に行なうようにしたので、フィードチェン33の適正回転伝動を簡潔で、その耐久性を向上させた装置とすることができる等の特徴がある。
【0030】なお、本発明は上記の構成に限ることなく、図3、図4に示すように構成しても図1に示した装置と同様な作用及び効果を奏することができるものである。なお、図1の装置とと同様な構成の部分についての説明は省略する。
【0031】即ち、図3で示すコンバインAにおいては、刈取部伝動系5側の一方向回転クラッチ機構6bを刈取部伝動軸25の軸端に設け、この一方向回転クラッチ機構6bを介してプーリ25aを設置した構成を示している。
【0032】この構成の場合は、フィードチェン駆動軸71よりも「高回転数」の刈取部伝動軸25側に一方向回転クラッチ機構6bを設置するので、トルク負荷が高回転数分だけ小であるので、それに応じて一方向回転クラッチ機構6bを小型小容量のものにすることができるものである。
【0033】また、図4に示すコンバインAは、一方向回転クラッチ機構6bを、図3の装置の場合と同様な構成にするとともに、脱穀部伝動機構43からフィードチェン駆動軸71の近傍まで延長させたフィードチェン出力軸43b一端に、一方向回転クラッチ機構6aを設けて、この一方向回転クラッチ機構6aを介してプーリ25cを設置し、且つ、このプーリ25cと駆動スプロケット70とを連結筒70aで一体的に連結した構成にしている。
【0034】そしてこの装置によれば、一方向回転クラッチ機構6a,6bを共に機側にまとめることができるとともに、脱穀部3の前側に高回転をさせないフィードチェン出力軸43bを設置することができる等の特徴がある。
【0035】
【発明の効果】上記のように、本発明のコンバインのフィードチェン伝動構造によれば、コンバイン作業時に高速刈取りを行なう際には、フィードチェン33は刈取部2側から刈取速度に同調して駆動されるので、穀稈の停滞や詰り等を防止した搬送を行ないながら良好な脱穀作業を行なわせることができる。
【0036】また、刈取速度が遅くなり、刈取部伝動系5が遅速伝動されると、伝動系切換機構6を介して作業部伝動系9側からフィードチェン33を適正回転で伝動させることができるので、コンバイン作業を能率よく簡単に行なうことができる。また手扱作業時に刈取部2を停止させた状態で良好に作業を行なうことができる。
【0037】そして伝動系切換機構6として、一方向回転クラッチ機構を使用することにより、刈取部伝動系5と作業部伝動系9との切換伝動を的確に行なうことができ、簡潔で廉価な構造にすることができる。
【0038】また作業部伝動系9を脱穀部伝動系にすることにより、フィードチェン33を簡潔な構成を以て適確に伝動駆動することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−169646(P2001−169646A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−360920