トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 脱穀機
【発明者】 【氏名】木村 敦

【要約】 【課題】脱穀初期における穀稈の停滞や切藁屑等の発生を防止しながら脱穀を良好に行なうことができる脱穀機の扱胴を提供する。

【解決手段】扱胴ドラム20の外周に複数の扱歯5,5aを突設した扱胴2を扱室3内で横向きの扱胴軸2aを中心に脱穀方向に向けて回転駆動させるとともに、上記扱室3の穀稈入口部3bと穀稈出口部3cに連通して開口する扱口3dに、フィードチェン3eを張設した脱穀機において、扱歯5を、扱胴2の軸芯方向に移動可能とし、この扱歯5を往復移動させて穀稈を穀稈送り行程Aにおいて扱室3の内方へ送り込ませながら脱穀をするように構成した脱穀機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱胴ドラム20の外周に複数の扱歯5,5aを突設した扱胴2を、扱室3内で横向きに支持された扱胴軸2aを中心に、脱穀方向に向けて回動させるとともに、上記扱室3の穀稈入口部3bから穀稈出口部3cに連通して開口する扱口3dにフィードチェン3eを張設してなる脱穀機において、前記扱歯5を扱胴2の軸芯方向に移動可能に設けるとともに、該扱歯5を往復移動させて、穀稈を穀稈送り行程Aにおいて扱室3の内方へ送り込みながら脱穀をするように構成した脱穀機。
【請求項2】 扱歯5を扱胴2の回転に伴い扱口3d側において扱室3の内方に向けて往移動させるとともに、反穀稈送り行程B側において復移動させるように構成した請求項1記載の脱穀機。
【請求項3】 扱歯5を往移動させながら、扱歯5の突出高さを高姿勢から低姿勢にさせるように構成した請求項1又は2記載の脱穀機。
【請求項4】 扱歯5を往移動させながら、扱歯5の突出高さを低姿勢から高姿勢にさせるように構成した請求項1又は2又は3記載の脱穀機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱穀初期において効率的に脱穀作用を行うことができるように扱胴を改良したコンバイン等に搭載可能な脱穀機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、脱穀機は、扱胴ドラムの外周に複数の扱歯を突設した扱胴を扱室内で横向きに支持された扱胴軸を中心に、脱穀方向に向けて回転駆動させるとともに、上記扱室の穀稈入口部と穀稈出口部に連通して開口する扱口にフィードチェンを張設して構成している。
【0003】そしてこの脱穀機においては、平鉄板を円筒状に形成した扱胴ドラムの表面外周に、穀稈入口部側から穀稈出口部側に向けて複数の扱歯をネジ止め等の固定手段によって固定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記構成の従来の脱穀機の扱胴は、扱歯が扱胴ドラムに対して固設されているので、例えば前側の刈取部から穀稈をフィードチェンに継送して搬送されるコンバイン用の脱穀機においては、扱室の穀稈入口部側においては穀稈が停滞しようとするが、この穀稈の送り込みが円滑に行なわれない傾向がある。供給する穀稈の乾燥や乱れの状態によっては、この部位に詰まりを生じたり、あるいは穂先遅れの後退姿勢で扱室内に供給されることになり、これが扱歯によって急激に脱穀作用を受けるので、穂切れや切藁屑を多発する等の欠点がある。
【0005】また、穀稈の供給に伴う脱穀初期において、固定された扱歯によって上記のような後退姿勢で送られる大量な穀稈を一挙に脱穀することになるので、扱胴の穀稈巻き付きや過大な脱穀負荷を生ずる等の問題もあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の脱穀機の有する問題点を解決するためになされたものであり、扱胴ドラム20の外周に複数の扱歯5,5aを突設した扱胴2を、扱室3内で横向きに支持された扱胴軸2aを中心に、脱穀方向に向けて回転駆動させるとともに、上記扱室3の穀稈入口部3bと穀稈出口部3cに連通して開口する扱口3dにフィードチェン3eを張設してなる脱穀機において、前記扱歯5を扱胴2の軸芯方向に移動可能に設けるとともに、該扱歯5を往復移動させて、穀稈を穀稈送り工程Aにおいて扱室3の内方へ送り込みながら脱穀をするように構成している。
【0007】また、扱歯5を扱胴2の回転に伴い扱口3d側において扱室3の内方に向けて往移動させるとともに、反穀稈送り行程において復移動させるようにしている。
【0008】更に、扱歯5を往移動させながら、扱歯5の突出高さを高姿勢から低姿勢にさせるようにしたり、更に扱歯5を往移動させながら、扱歯5の突出高さを低姿勢から高姿勢にさせるようにしている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】図1における1は、コンバインやハーベスタに搭載可能な脱穀機であり、この脱穀機1は、後述する構成からなる扱歯5(可動扱歯)を有する扱胴2を、扱室3内で横向き支持された扱胴軸2aを中心に、脱穀方向(図3の矢印方向)に回動させるようにしている。
【0011】そして上記扱室3の穀稈入口部3bから穀稈出口部3cまで連通して開口する扱口3dに、フィードチェン3eを張設し、更に扱胴2の下方向にはその回転軌跡の下側に沿って張設した受網4を、フィードチェン3e側から内方に延設した扱口板4aの端辺に連設し、この受網4の下方には公知うの揺動選別体4bを揺動運動可能に支持し、扱室3内で回転する扱胴2で脱穀された脱穀物を選別して排出するようにしている。
【0012】また、上記扱胴2は、天板10の前後に配置された入口側板11と出口側板12とに設けたメタル部によって軸支された扱胴軸2aに扱胴ドラム20を固定し、この扱胴軸2aの一側に固着した扱胴プーリ2bに脱穀部駆動側から入力して駆動させるように構成している。そしてこの扱胴ドラム20は、扱室3の幅の長さを有する中空ドラム状に形成されおり、その表周面に複数の扱歯5(本発明による可動扱歯),5a(固定扱歯)が植設されている。
【0013】尚、図示例の扱胴2は、扱胴ドラム20の内部に垂設している連結板21(図4)に設けた連結筒22aを扱胴軸2aに嵌挿して取付ネジ23によって扱胴軸2aに締着してこの扱胴軸2aと一体的に固定している。
【0014】また、この扱胴2は、穀稈入口部3b側において扱胴ドラム20の始端部に穀稈の供給初期の整梳作用と脱穀を行なわせる扱歯(可動扱歯、整流歯)5を、図2等に示すように本発明に係る扱歯移動構造6によって、扱胴2の軸芯方向に往復移動可能に設けており、この扱歯移動構造6により穀稈移送方向下手側の扱胴ドラム20面には、図1に示すように主扱歯5a及びささり粒落とし用の終端扱歯等からなる固定扱歯を放射方向に複数本植設している。
【0015】次に同図を参照して上記扱歯移動構造6について説明する。
【0016】この扱歯移動構造6は、扱胴ドラム20の穀稈入口部3b側の周面に、扱歯横移動用のストロークに開口した長孔22を軸芯に並行に複数個開口し、扱胴ドラム20の内面に、上記長孔22をストローク長にわたって摺接させながら閉鎖可能な扱歯取付座50を設け、この扱歯取付座50に扱歯5の基部を一体的に取付け、先端側を上記長孔22内から放射方向に突出させている。そして基端側に後述する作動部7(カム)と摺合する係合部51を有する作動杆52を連結している。
【0017】従って扱歯5(可動扱歯)は、扱胴ドラム20の回転に伴なって長孔22を介して軸芯方向のみに移動可能に支持されている。また、上記作動部7は、円柱状部材の外周にカム溝70を形成し、このカム溝70に上記駒状の係合部51を摺合させ、扱歯5をストローク長にわたって往復移動させるように構成している。そしてこの作動部7は、扱胴軸2aにベアリング71(図5)を介して嵌挿支持し、その一側端を天板10等の機枠部分に対して支持部材72によって固定している。
【0018】また上記カム溝70は扱胴2が1回転する際に図3に示す扱歯送り行程Aにおいてストローク長の始端から終端にわたって扱歯5を往移動させ、そして扱歯戻り行程Bにおいて、扱歯5をストローク長の終端から始端に復移動させることができる形状に形成されている。
【0019】なお、作動部70を扱胴軸2aとは別回転できるように支持し、これを適宜駆動できるように構成しておけば、扱胴ドラム20の回転に無関係に扱歯5に往復運動を与えることができる。
【0020】従って、前記実施の形態のように、扱歯5を扱胴ドラム20の回転に伴なって長孔22を介して軸芯方向のみに移動可能に支持する方法が最も良いが、この扱歯5を別の駆動系統によって駆動する構造を採用すれば、穀稈の湿り具合や穀粒の付き具合によって最適の脱穀条件で運転することが可能となる。
【0021】本発明は以上のように構成したことにより、例えばコンバイン作業が開始されて刈取りされた穀稈がフィードチェン3eに継送搬送され、穀稈入口部3b内に至り脱穀搬送されるその初期段階において、扱胴2の回転に伴って上記穀稈入口部3b側の扱歯5(可動扱歯)が少なくとも扱歯送り行程A(図3)の側において扱室3内の穀稈出口部3cに向けて順次移動しながら初期脱穀をすることになる。
【0022】従って、穀稈入口部3b側で株元側のみが挟持搬送されてこの部位で停滞しようとする自由端側の茎部と穂部を脱穀方向の回転によって整梳作用を加えながら脱穀させるとともに、扱歯往移動によって扱室3の内方に向けて複数の扱歯5が順次送り込み作用をするから、従来の装置のように供給初期の穀稈の穂部が穀稈入口部3bにおいて後退姿勢で停滞することなく、この部位における穀稈詰まりや穂切れ、あるいは藁切屑の多発を防止しながら初期脱穀と、更に以後の脱穀を良好に行なうことができるものである。
【0023】また、上記扱歯5は脱穀作用を奏しないとともに穀稈が存在しない扱歯戻り行程B側において、緩やかに復移動をするようにしているので、穀稈の搬送や脱穀物の滞留処理を妨げることなく、且つ扱歯移動構造6に無理な負荷をかけることなく復移動させて扱胴2の次の回転による連続脱穀作業を円滑に行なうことができる。
【0024】次に、図6及び図7を参照して本発明の第2実施形態に係る扱胴2について説明する。尚、第1実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0025】この扱胴2は、扱歯移動構造6の作動部7を穀稈入口部3b側が大径で、穀稈出口部3c側を小径とした円錐筒に形成し、その外周面に沿って前記扱歯5を移動させる係合部51を摺合させて往復移動させるカム溝70を一連に刻設している。なお、この係合部51は作動部7の周面のカム溝70に対して扱歯5の遠心力による飛出しを防止する噛合状態となる構造に形成されている。
【0026】従って、上記の構成からなる扱歯移動構造6を備えた扱胴2は、その回転に伴って可動歯である扱歯5が扱歯送り行程Aにおいて、この扱歯5は図6に示すように穀稈入口部3b側の上方では扱胴ドラム20から全長を突出させた全突出姿勢「高歯姿勢」にあり、ここから扱歯5は下向きに回転してカム溝70に案内されて往移動しながら徐々に扱胴内方に没入した「低歯姿勢」に運動するので、この扱歯5は「穀稈供給初期」においては穀稈入口部3b側で停滞しようとする穀稈を高歯姿勢で確実に扱室3内に掻込みながら脱穀することができる。
【0027】そして上記段階から更に扱胴2が回転すると、作動部7の作用で順次低歯姿勢に移行するので、穂粒が多くて穂部の慣性力が大きいこの時点での扱胴2に対する穂部の巻き付きやこれに伴う切藁屑の発生を抑制することができる等の各種の利点を有している。なお、扱歯5は図3に示す扱歯戻り行程B(図6の下側から上側への移動)において第1実施形態のものと同様に元の高歯姿勢に向けて円滑に復帰することができるものである。
【0028】次に、図8、図9を参照本発明の第3実施形態について説明する。
【0029】この扱胴2の扱歯移動構造6は、作動部7の形状を穀稈入口部3b側が小径で穀稈出口部3c側が大径となるように形成しており、その外周面に沿って、前記扱歯5の係合部51を飛び出し防止可能に摺合させて往復移動させるカム溝70を一連に形成している。
【0030】この脱穀機によれば、扱胴2は扱歯送り行程Aに至るとき図8に示すように穀稈入口部3b側の上方では扱胴ドラム20内に没入状態の「低歯姿勢」となる。そしてここから下向きに回されて往移動しながら徐々に扱胴外方に突出し、全突出の「高歯姿勢」に移動することになるので、扱歯5は穀稈供給初期においては穀稈に大きく接当することなく、扱胴ドラム20の表面と受網4との間に大きな空隙を形成することになる。
【0031】この作用により、穀稈入口部3bでの扱室3内方への穀稈の供給を妨げることなく円滑に行なわせるとともに、以後は徐々に高歯姿勢に向けて突出する扱歯5によって穀稈の脱穀を行なうので、急激な扱歯5との接当による扱胴の負荷を軽減することができる等の利点がある。
【0032】次に、図10、図11を参照して本発明の第4実施形態について説明する。
【0033】この扱胴2の扱歯移動構造6は、作動部7の形状を穀稈入口部3bと穀稈出口部3c側とで小径とし、それに連続する中央部で大径とした曲面の太鼓状にしているとともに、上記のものと同様な扱歯5(可動扱歯)の係合部51の噛合摺接用カム溝70を、その湾曲面に沿わせて穀稈入口部3b側から穀稈出口部3cに一連に刻設した構成にすることにより、この扱歯5を湾曲軌跡を描かせた低歯姿勢と高歯姿勢にしながら往復移動させるようにしている。
【0034】従って、この球体からなる扱歯移動構造6を内蔵する扱胴2によれば、扱歯送り行程Aにおける往移動では、扱歯5は先ず穀稈入口部3b側では前記第3実施形態のものと同様に「低歯姿勢」から順次「高歯姿勢」になるので、穀稈の穀稈入口部3bにおける供給を円滑に行ないながら徐々に脱穀をさせて、次いで作動部7の中央部から穀稈出口部3c側では、扱歯5は前記第2実施形態のものと同様に「高歯姿勢」から「低歯姿勢」に移行させるので、この部位で巻き付こうとする穂先部を扱歯5に大きくからませたりすることなく、切藁屑の発生を防止した状態で次位の扱歯5aによる脱穀作用を良好に行なわせることができる等の利点がある。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係る脱穀機の扱胴によれば、次のような効果を奏することができる。
【0036】扱胴2に設けられる扱歯5を往復移動可能にし、扱歯送り行程Aにおいて穀稈を扱室3内に引込ませるように構成したので、穀稈の穀稈入口部3bにおける停滞を防止するとともに穂切れや切藁屑の発生を抑制した脱穀を良好に行なうことができる。
【0037】また、扱歯5の往移動時に該扱歯5を高歯姿勢から低歯姿勢に移行させることにより穀稈を扱室3内に確実に送り込みながら、扱胴2に対する穂先部の巻き付きを防止することができる。
【0038】更に、扱歯5の往移動時に、この扱歯5を低歯姿勢から高歯姿勢に移行させることにより、穀稈を扱室3内に供給し易くすることができるとともに、脱穀初期の負荷を軽減させながら切藁屑の発生を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成11年11月18日(1999.11.18)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−145418(P2001−145418A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願平11−328712