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【発明の名称】 脱穀装置の受網構造
【発明者】 【氏名】小谷 真司

【氏名】西條 尚大

【氏名】大西 進

【要約】 【課題】本来より、クリンプ網や樹脂網に比較して耐久性に優れるなどの利点を有する格子状の受網を、その穀稈搬送方向上手側領域と下手側領域とで目合いの大きさが異なる状態に容易に構成できるようにすることにある。

【解決手段】扱胴2の外周に沿って湾曲する受網3を、扱胴回転軸芯Xと直交する板金製の複数の円弧状部材14と、扱胴回転軸芯Xに沿う複数の直線状鋼材15とから格子状に構成してある脱穀装置の受網構造において、長さの異なる直線状鋼材15を、その穀稈搬送方向上手側の端部を揃えた所定の配列で一定ピッチに並設して、受網3における穀稈搬送方向下手側領域Abでの目合いを穀稈搬送方向上手側領域Aaでの目合いよりも大きくした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱胴の外周に沿って湾曲する受網を、扱胴回転軸芯と直交する板金製の複数の円弧状部材と、前記軸芯に沿う複数の直線状鋼材とから格子状に構成してある脱穀装置の受網構造であって、長さの異なる直線状鋼材を、その穀稈搬送方向上手側の端部を揃えた所定の配列で一定ピッチに並設して、前記受網における穀稈搬送方向下手側領域での目合いを上手側領域での目合いよりも大きくしてある脱穀装置の受網構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扱胴の外周に沿って湾曲する受網を、扱胴回転軸芯と直交する板金製の複数の円弧状部材と、前記軸芯に沿う複数の直線状鋼材とから格子状に構成してある脱穀装置の受網構造に関する。
【0002】
【従来の技術】脱穀装置の受網には、主に全稈投入型のコンバインに搭載される脱穀装置で使用されている上記構造の格子状の受網(いわゆるコンケーブ)以外に、線状鋼材を編み込んだ構造のクリンプ網や、超高分子量ポリエチレンなどの樹脂材を一体成形した構造の樹脂網などがある。
【0003】クリンプ網及び樹脂網は、主に自脱型のコンバインに搭載される脱穀装置で使用されているものであり、クリンプ網は、線状鋼材を使用するとともに線状鋼材の編み込みによる凹凸を有することから、耐久性並びに穀粒から枝梗などを取り除く単粒化の面で優れている反面、編み込んだ鋼線間に枝梗が刺さることに起因した目詰まりが発生し易い、あるいは、濡れに弱いなどの欠点がある。一方、樹脂網は、素材そのものに撥水性がある樹脂材の一体成形構造であることから、濡れに強い上にクリンプ網のような枝梗の刺さりに起因した目詰まりがない、などの利点を有する反面、網表面が平坦であることから、凹凸を有するクリンプ網に比較して単粒化の面で劣り、又、超高分子量ポリエチレンなどの樹脂材を採用することによって高価になる割りにクリンプ網よりも耐久性の面で劣るなどの欠点がある。
【0004】これらに対し、格子状の受網は、クリンプ網のように線状鋼材を編み込むものではないことから、枝梗の刺さりに起因した目詰まりがなく、又、板金製の円弧状部材と直線状鋼材とから構成することによって、線状鋼材からなるクリンプ網や樹脂網に比較して耐久性に優れ、更に、線状鋼材を編み込むクリンプ網よりも製造が容易で、かつ、超高分子量ポリエチレンなどの樹脂材を採用する樹脂網よりも安価になるなどの利点を有することから、近年では、この格子状の受網を自脱型のコンバインに搭載される脱穀装置においても積極的に使用することが考えられている。
【0005】ところで、従来、格子状の受網は目合いの大きさが一定になるように形成されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが樹脂網では、その穀稈搬送方向上手側領域での目合いを小さくし、かつ、その下手側領域での目合いを上手側領域の目合いよりも大きくすることで、上手側領域では、枝梗などが取り除かれていない未単粒化穀粒などの漏下を抑制して脱穀性能の向上を図るようにしながら、下手側領域では、未単粒化穀粒などの漏下を促進させて未単粒化穀粒などの詰まりに起因した処理能力の低下を抑制する技術を採用したものがあり、格子状の受網においてもその技術の採用が望まれているのであるが、上述した格子状の受網において穀稈搬送方向上手側領域と下手側領域とで目合いの大きさを異ならせるためには、一般的に、上手側領域に応じた長さに切断された上手側領域用の直線状鋼材、下手側領域に応じた長さに切断された下手側領域用の直線状鋼材、直線状鋼材を上手側領域用の目合い間隔(配設間隔)で支持する加工が施された上手側領域用の円弧状部材、及び、直線状鋼材を上手側領域用の目合い間隔とは全く異なる下手側領域用の目合い間隔(配設間隔)で支持する加工が施された下手側領域用の円弧状部材を、それぞれ、各領域での目合い形成数量に応じた数量だけ用意して構成することが考えられていることから、超高分子量ポリエチレンなどの樹脂材を、金型を用いて、上手側領域と下手側領域とで目合いの大きさが異なるように一体成形する樹脂網と比較すると、加工や部品管理が複雑で製作にかなりの手間を要するようになる。
【0007】本発明の目的は、本来より、クリンプ網や樹脂網に比較して耐久性に優れるなどの利点を有する格子状の受網を、その穀稈搬送方向上手側領域と下手側領域とで目合いの大きさが異なる状態に容易に構成できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、扱胴の外周に沿って湾曲する受網を、扱胴回転軸芯と直交する板金製の複数の円弧状部材と、前記軸芯に沿う複数の直線状鋼材とから格子状に構成してある脱穀装置の受網構造において、長さの異なる直線状鋼材を、その穀稈搬送方向上手側の端部を揃えた所定の配列で一定ピッチに並設して、前記受網における穀稈搬送方向下手側領域での目合いを上手側領域での目合いよりも大きくした。
【0009】〔作用〕本発明によると、穀稈搬送方向下手側領域の目合いが上手側領域の目合いよりも大きい格子状の受網を構成する上で、直線状鋼材として、受網の穀稈搬送方向上手側端部から下手側端部に亘る長さに切断された長尺のものと、上手側領域に応じた長さに切断された短尺のものとを、それらの合計数量が上手側領域の目合い形成数量に応じた数量になる数量だけ用意すればよいことから、前述した従来技術のように、直線状鋼材として、上手側領域に応じた長さに切断された上手側領域用のものと、下手側領域に応じた長さに切断された下手側領域用のものとのそれぞれを、各領域での目合い形成数量に応じた数量だけ用意する場合に比較して、直線状鋼材の数量を大幅に削減することができるようになる。
【0010】又、円弧状部材として、直線状鋼材を上手側領域用の目合い間隔(配設間隔)で支持する加工が施された上手側領域用のものと、上手側領域から延出する直線状鋼材を上手側領域用の目合い間隔の整数倍の目合い間隔(配設間隔)で支持する加工が施された下手側領域用のものとを用意すればよいことから、前述した従来技術のように、円弧状部材として、直線状鋼材を上手側領域用の目合い間隔で支持する加工が施された上手側領域用のものと、直線状鋼材を上手側領域用の目合い間隔とは全く異なる下手側領域用の目合い間隔で支持する加工が施された下手側領域用のものとを用意する場合に比較して、下手側領域用の各円弧状部材に直線状鋼材を支持する加工を施すのに要する手間を大幅に削減することができるようになる。
【0011】その結果、格子状の受網を、加工、部品管理、及び、製作の各面での容易化を図りながら、その穀稈搬送方向下手側領域の目合いが上手側領域の目合いよりも大きくなる状態に構成できるようになる。
【0012】〔効果〕従って、本来より、クリンプ網や樹脂網に比較して耐久性に優れるなどの利点を有する格子状の受網においても、その穀稈搬送方向上手側領域と下手側領域とで目合いの大きさが異なる状態に容易に構成できて、上手側領域での脱穀性能の向上を図りながら、下手側領域での未単粒化穀粒などの詰まりに起因した処理能力の低下を抑制できるようになった。
【0013】
【発明の実施の形態】図1には自脱型コンバインに搭載される脱穀装置の縦断側面が示されており、この脱穀装置は、刈取穀稈を横向き姿勢で挾持搬送するフィードチェーン1、前後向きの軸芯X周りに回転してフィードチェーン1で挾持搬送される刈取穀稈の穂先側に対して脱穀処理を施す扱胴2、脱穀処理で得られた処理物を漏下させる受網3、受網3から漏下しなかった処理物を落下させる送塵口4、受網3を漏下した処理物と送塵口4から落下した処理物に対してクランク機構5による揺動駆動で篩い選別処理を施す揺動選別装置6、揺動選別装置6に向けて選別風を供給する唐箕7、揺動選別装置6の前部側から漏下する単粒化穀粒(枝梗などが取り除かれたもの)を回収する一番物回収部8、揺動選別装置6の後部側から漏下する未単粒化穀粒(枝梗などが取り除かれていないもの)などを回収する二番物回収部9、及び、切れワラやワラ屑などを機外に排出する排塵ファン10、などによって構成されている。
【0014】一番物回収部8の底部には、回収した単粒化穀粒を脱穀装置の右外方に搬出する一番スクリュー8Aが配備され、一番スクリュー8Aの右端には、一番スクリュー8Aで搬出された単粒化穀粒を図外の穀粒タンクの穀粒受入口に向けて揚送する揚送スクリュー11が連設されている。二番物回収部9の底部には、回収した未単粒化穀粒を右外方に搬出する二番スクリュー9Aが配備され、二番スクリュー9Aの右端には、二番スクリュー9Aで搬出された未単粒化穀粒に再脱穀処理を施して揺動選別装置6の前部側に還元する二番還元装置12が連設されている。
【0015】図1〜3に示すように、受網3は、扱胴2の外周に沿って湾曲する湾曲形状で、その湾曲方向に、扱胴2の回転方向上手側に配設される上手側受網部分3Aと、扱胴2の回転方向下手側に配設される下手側受網部分3Bとに分割可能な2分割構造に構成され、扱胴2の前後両下方に配設された円弧状の受網ガイド13に亘って扱胴2の回転方向下手側寄りに架設されている。
【0016】図2〜9に示すように、上手側受網部分3A及び下手側受網部分3Bは、扱胴2の回転軸芯Xと直交する姿勢で並設される板金製の複数の円弧状部材14、及び、扱胴2の回転軸芯Xに沿う姿勢で並設される複数の直線状鋼材15、などによって格子状に構成されており、以下に、上手側受網部分3A及び下手側受網部分3Bの構成について詳述する。
【0017】上手側受網部分3A及び下手側受網部分3Bには、直線状鋼材15として、各円弧状部材14の一端に接合される断面視略コの字状で長尺の第1鋼材15A、各円弧状部材14の他端に接合される断面視略コの字状で長尺の第2鋼材15B、第1鋼材15Aと第2鋼材15Bの間を3つに区画するように所定ピッチで配設される断面視円形で長尺の棒状鋼材15C、長尺の棒状鋼材15Cで区画された各区画領域に一定ピッチで配設される断面視円形で長尺の第1線状鋼材15D、及び、第1線状鋼材15Dの配設ピッチを2等分又は略2等分するように配設される断面視円形で短尺の第2線状鋼材15Eが備えられている。
【0018】又、円弧状部材14として、第1鋼材15Aと第2鋼材15Bの各端部同士に亘って架設される第1部材14A、両第1部材14Aの間を4つに区画するように所定ピッチで配設されるとともに棒状鋼材15C又は長短の各線状鋼材15D,15Eが挿通される各貫通孔14a〜14cが一定ピッチで穿設された第2部材14B、第2線状鋼材15Eの長さ範囲内で所定ピッチで配設されるとともに棒状鋼材15C又は長短の各線状鋼材15D,15Eが挿通される各貫通孔14a〜14cが一定ピッチで穿設された第3部材14C、穀稈搬送方向最下手側の第3部材14Cと穀稈搬送方向下手側の第1部材14Aとの間に所定ピッチで配設されるとともに棒状鋼材15C又は第1線状鋼材15Dが挿通される各貫通孔14a,14bが一定ピッチで穿設された第4部材14D、及び、第2部材14Bで区画された各区画領域のうちの穀稈搬送方向最上手側の区画領域において棒状鋼材15Cと長短の各線状鋼材15D,15Eとを受け止め支持するように第1鋼材15Aと第2鋼材15Bとに亘って架設された第5部材14Eが備えられている。
【0019】そして、各直線状鋼材15の穀稈搬送方向上手側の端部を揃えた状態で、各円弧状部材14及び各直線状鋼材15を前述した所定の配列で並設し、それらの各接合部分を溶接することによって、上手側受網部分3A及び下手側受網部分3Bを、それらの穀稈搬送方向上手側領域Aaの目合いが比較的に小さくなるとともに、穀稈搬送方向下手側領域Abの目合いが比較的に大きくなる格子状に容易に構成できるようになっている。又、このように上手側受網部分3A及び下手側受網部分3Bを目合いの異なる格子状に構成することで、上手側領域Aaでは、単粒化穀粒の漏下を許容しながらも未単粒化穀粒などの漏下を抑制できることから脱穀性能の向上を図れるようになり、下手側領域Abでは、未単粒化穀粒などの漏下を促進させることができることから未単粒化穀粒などの詰まりに起因した処理能力の低下を抑制できるようになっている。
【0020】図3〜5及び図10〜12に示すように、棒状鋼材15C及び長短の各線状鋼材15D,15Eのそれぞれの穀稈搬送方向上手側端部を支持する第3部材14Cには、穀稈搬送方向上手側に配設される第1部材14Aが溶接されている。棒状鋼材15C及び第1線状鋼材15Dのそれぞれの穀稈搬送方向下手側端部を支持する第4部材14Dには、穀稈搬送方向下手側に配設される第1部材14Aが溶接されている。第2線状鋼材15Eの穀稈搬送方向下手側端部を支持する第3部材14Cには、第4部材14Dのうちの穀稈搬送方向最上手側に位置するものが溶接されている。つまり、棒状鋼材15C及び第1線状鋼材15Dは第1部材14Aによって確実に抜け止めされ、第2線状鋼材15Eは穀稈搬送方向上手側の第1部材14Aと第4部材14Dによって確実に抜け止めされている。
【0021】図2〜7に示すように、第2部材14Bは、扱胴2側に大きく突出するように形成されており、これによって、扱胴2と受網3との間での穀稈穂先側の移動速度並びに処理物の流動速度を規制できることから、脱粒性及び単粒化の向上、並びに、受網3における上手側領域Aaからの単粒化穀粒の漏下促進を図れるようになっている。
【0022】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ 脱穀装置としては、全稈投入型のコンバインに搭載されるものであってもよい。
■ 各円弧状部材14及び各直線状鋼材15の配設ピッチは種々の変更が可能なものである。
■ 図13に示すように、受網3としては、短尺の第2線状鋼材15Eが、第1線状鋼材15Dの配設ピッチを3等分又は略3等分するように配設されたものであってもよく、又、図示は省略するが、短尺の第2線状鋼材15Eが、第1線状鋼材15Dの配設ピッチを4つ以上に区画するように配設されたものであってもよい。
■ 図14に示すように、受網3に、短尺の第2線状鋼材15Eよりも更に短尺の第3線状鋼材15Fを直線状鋼材15として備え、かつ、第3線状鋼材15Fが挿通される貫通孔(図示せず)が他の貫通孔14a〜14cとともに所定ピッチで穿設された第6部材14Fを円弧状部材14として備えることで、受網3の下手側領域Abの目合いを2段階で大きくするようにしてもよい。
■ 図15に示すように、棒状鋼材15C及び長短の各線状鋼材15D,15Eのそれぞれの穀稈搬送方向上手側端部を支持する第3部材14Cには、各貫通孔14a〜14cに代えて未貫通孔14d〜14fを形成し〔図15の(イ)参照〕、棒状鋼材15C及び第1線状鋼材15Dのそれぞれの穀稈搬送方向下手側端部を支持する第4部材14Dには、各貫通孔14a,14bに代えて未貫通孔14d,14eを形成し〔図15の(ロ)参照〕、第2線状鋼材15Eの穀稈搬送方向下手側端部を支持する第3部材14Cには、貫通孔14cに代えて未貫通孔14fを形成する〔図15の(ハ)参照〕ことで、第1部材14A及び第4部材14Dのうちの穀稈搬送方向最上手側に配設される第4部材14Dを不要にして構成の簡素化を図るようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年8月25日(1999.8.25)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−61333(P2001−61333A)
【公開日】 平成13年3月13日(2001.3.13)
【出願番号】 特願平11−238363