トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 刈払機用回転刃およびこれを用いた刈払機
【発明者】 【氏名】山田 策次

【要約】 【課題】回転刃が固い物に対して繰り返し衝突した場合であっても、衝突物の飛散や回転刃の一部が損傷して飛んでいってしまうことを十分に抑制する。

【解決手段】保持部44に基端が連結された線条部45と、線条部45の先端部に設けられた切断作用部46と、線条部45を収容する第1および第2カバー部41,42と、を有するとともに、少なくも回転状態において切断作用部46の基端部側が第1カバー部41と第2カバー部42との間に収容され、かつ切断作用部46の先端部側が第1および第2カバー部41,42から突出した刈払機用回転刃4およびこれを備えた刈払機において、切断作用部46に、その先端部46Bよりも肉厚とされた第1干渉部46Cが設けられ、第1および第2カバー部41,42のうちの少なくとも一方には、第1干渉部46Cよりも外周縁よりの部位に第1干渉部46Cと干渉し得る第2干渉部41b,42bを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 保持部に基端が連結された線条部と、この線条部の先端部に設けられた切断作用部と、上記線条部を収容する第1カバー部および第2カバー部と、を有するとともに、少なくも回転状態において上記切断作用部の基端部側が上記第1カバー部と第2カバー部との間に収容され、かつ上記切断作用部の先端部側が上記第1カバー部および上記第2カバー部から突出した刈払機用回転刃であって、上記切断作用部には、その先端部よりも肉厚とされた第1干渉部が設けられており、上記第1カバー部および上記第2カバー部のうちの少なくとも一方には、上記第1干渉部よりも外周縁よりの部位に、上記第1干渉部と干渉し得る第2干渉部が設けられていることを特徴とする、刈払機用回転刃。
【請求項2】 上記第1干渉部は、上記切断作用部の先端部と基端部との間に設けられた段部である、請求項1に記載の刈払機用回転刃。
【請求項3】 上記第2干渉部は、上記第1カバー部および上記第2カバー部のうちの少なくとも一方のカバー部から、他方のカバー部に向けて延出するフランジ部である、請求項1または2に記載の刈払機用回転刃。
【請求項4】 上記線条部は、切断作用部に一定以上の外力が作用した場合に積極的に弾性変形する素材により形成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の刈払機用回転刃。
【請求項5】 上記線条部は、上記保持部および上記切断作用部のうちの少なくとも一方に対して、開口付近の径が上記線条部の径よりも大きくされた挿入穴を介して繋がれている、請求項4に記載の刈払機用回転刃。
【請求項6】 上記保持部は、上記第1カバー部および上記第2カバー部に対して着脱自在とされている、請求項1ないし5のいずれかに記載の刈払機用回転刃。
【請求項7】 上記保持部は、上記第1カバー部および上記第2カバー部のうちの少なくとも一方とともに、樹脂成形により一体成形されている、請求項1ないし5のいずれかに記載の刈払機用回転刃。
【請求項8】 上記切断作用部は、表裏を反転させても刈り払いを行える形態とされている、請求項1ないし7のいずれかに記載の刈払機用回転刃。
【請求項9】 駆動源からの回転出力を伝達する伝動軸が内挿された操作管の先端に対して回転刃が取り付けられた刈払機であって、上記回転刃は、請求項1ないし8のいずれかに記載したものであることを特徴とする、刈払機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、刈払機用回転刃およびこれを用いた刈払機に関する。
【0002】
【従来の技術】田畑の土手等に生育する雑草を除去するために、携帯型刈払機が汎用されている。この種の刈払機は、小型エンジンからの動力により、操作管の先端に支持させた回転刃を回転させるように構成されている。作業者は、スロットルレバーによってエンジンのスロットル開度ないしこれによって回転させられる回転刃の回転数を制御しつつ、操作管を振回して所望の刈り払い作業を行なう。
【0003】回転刃としては、金属円板の外周に鋸刃状の歯を付けたもの、金属円板の外周に超硬チップを取り付けたいわゆる超硬チップ刃と呼ばれるものが一般的である。しかしながら、金属円板の外周に鋸刃状の歯を付けた回転刃は、安価であるが、地面や壁、あるいは石などに衝突した場合の歯の損傷が大きく、寿命が短いといった問題があり、また石などの衝突物が周囲に飛散してしまうといった問題もある。衝突物の飛散の問題については、超硬チップ刃についても同様に生じ得る。
【0004】かかる問題を解消しようとするものとして、特開平9−298925号公報や実開平7−22620号公報などには、回転体の周縁部から複数の線材やチェーンなどの可撓材を放射状に延出させた回転刃についての発明が記載されている。また、可撓材の先端に、事実上刃として機能する作用部を設けたものもある。このような回転刃では、可撓材が固い物と衝突した場合には、可撓材が変形することにより衝撃エネルギを吸収するため、刃の損傷や小石などの衝突物の飛散が抑制される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各公報に記載された回転刃では、可撓材が繰り返し固い物と衝突した場合には可撓材が切断してしまうおそれがある。回転刃の使用中に可撓材が切断してしまったならば、その遠心力により可撓材やその先端に設けられた作用部が飛んでしまいかねない。とくに、可撓材の先端部に作用部を設けた回転刃では、作用部を設けたことによって先端部の重量が大きくなるため、可撓材に対してより大きな遠心力や衝撃力が作用することとなり、上記した問題がより顕著に表れる。
【0006】本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、回転刃が固い物に対して繰り返し衝突した場合であっても、衝突物が飛散し、あるいは回転刃の一部が損傷して飛んでいってしまうことを十分に抑制することをその課題としている。
【0007】
【発明の開示】上記課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】すなわち、本願発明の第1の側面によって提供される刈払機用回転刃は、保持部に基端が連結された線条部と、この線条部の先端部に設けられた切断作用部と、上記線条部を収容する第1カバー部および第2カバー部と、を有するとともに、少なくとも回転状態において上記切断作用部の基端部側が上記第1カバー部と上記第2カバー部との間に収容され、かつ上記切断作用部の先端部側が上記第1カバー部および上記第2カバー部から突出した刈払機用回転刃であって、上記切断作用部には、その先端部よりも肉厚とされた第1干渉部が設けられており、上記第1カバー部および上記第2カバーのうちの少なくとも一方には、上記第1干渉部よりも外周縁よりの部位に、上記第1干渉部と干渉し得る第2干渉部が設けられていることを特徴としている。
【0009】線条部が切断するなどして切断作用部が保持部から独立して移動可能となった場合には、遠心力の作用により、切断作用部が外方側に向けて独立して移動しようとする。上記構成の回転刃では、第1または第2カバー部において、切断作用部の第1干渉部よりも回転刃の外周よりの部位に、第1干渉部と干渉し得る第2干渉部が設けられている。このため、切断作用部が外方側に向けて移動した場合には、第1干渉部が第2干渉部と干渉することによって切断作用部の移動が制限される。したがって、本願発明の回転刃では、回転刃の使用時に切断作用部が石やコンクリートなどの固い物に繰り返し衝突し、仮に切断作用部が線条部から離脱し、あるいは切断作用部が線条部の一部または全部とともに保持部から離脱したとしても、離脱した切断作用部が回転体から離れて飛んでいってしまうといった危険性は回避される。
【0010】ここで、第1干渉部は、たとえば切断作用部における先端部と基端部との間に設けられた段部として構成することができる。一方、第2干渉部は、たとえば第1および第2カバー部のうちの少なくとも一方のカバー部から、他方のカバー部に向けて延出するフランジ部として構成することができる。このフランジ部は、第1または第2カバー部の周縁部の全体に設けてもよいし、切断作用部が離脱した際に確実に第1干渉部と干渉し得る範囲において、周縁部における一部領域に設けてもよい。もちろん、第1および第2干渉部の構成は、上記した構成に限定されず、本願発明の目的を達成できる範囲において種々に変更可能である。
【0011】好ましい実施の形態においては、上記線条部は、上記切断作用部に一定以上の外力が作用した場合に積極的に弾性変形する素材により形成されている。
【0012】この構成では、切断作用部に一定以上の外力が作用した場合には、線条部が弾性変形することによりエネルギが吸収される。このため、切断作用部が固い物と衝突したとしても、切断作用部と線条部、あるいは保持部と線条部との連結部分に作用する負荷は、線条部の変形により著しく低減する。したがって、本願発明の回転刃では、線条部の切断や、切断作用部の離脱が生じにくい。また、線条部において外力が吸収されれば、切断作用部と石などが衝突したとしても、当該衝突物に作用する力は小さくなる。このため、本願発明の回転刃を使用すれば、使用時における石などの飛散が抑制される。一方、切断作用部に作用する外力が解除された場合には、線条部が弾性により復帰するため、再び刈り払い作業を継続して行うことができる。
【0013】好ましい実施の形態においては、上記線条部は、上記保持部および上記切断作用部のうちの少なくとも一方に対して、開口付近の径が上記線条部の径より大きくされた挿入穴を介して繋がれている。
【0014】この構成では、線条部が弾性変形可能な材料により形成されていれば、切断作用部に外力が作用した場合には、開口の径に応じた範囲で線条部の先端部または基端部の移動が許容される。そして、線条部に大きな負荷が作用した場合には、線条部が開口内を最大限に移動するとともに、挿入穴と線条部の固定点、および挿入穴の開口付近のそれぞれにおいて線条部が屈曲する。このことは、線条部と保持部との連結部分、あるいは線条部と切断作用部との連結部分においては、線条部の弾性変形の際に、負荷集中点が2か所に分散することを意味している。このため、開口付近が広口状とされた挿入穴を介して線条部を繋げば、応力集中による線条部の切断が抑制される。
【0015】好ましい実施の形態においては、上記保持部は、上記第1カバー部および上記第2カバー部に対して着脱自在とされている。
【0016】この構成では、線条部や切断作用部が損傷した場合には、回転刃の全体を交換するまでもなく、保持部に対して線条部および切断作用部を一体化したもののみを交換することにより再び回転刃として使用することができる。
【0017】好ましい実施の形態においては、上記保持部は、上記第1カバー部および上記第2カバー部のうちの一方とともに、樹脂成形により一体成形されていてもよい。もちろん、保持部、第1カバー部、および第2カバー部の全体を一体成形してもよい。
【0018】この構成では、第1または第2カバーを樹脂成形する際に保持部を同時に形成することができ、また当該成形時において、保持部に対して切断作用部が設けられた線条部の基端部をインサート成形することにより、第1または第2カバー部、保持部、および線条部(切断作用部)を一体化させることができる。このように、上記構成の採用すれば、回転刃の製造作業が著しく簡略化され、製造コストの低減を図ることができる。
【0019】なお、第1および第2カバーを形成する樹脂成形としては、たとえばナイロンなどの樹脂をガラス繊維や炭素繊維などの繊維で強化した複合材料が挙げられる。
【0020】好ましい実施の形態においては、上記切断作用部は、表裏を反転させても刈り払いを行える形態とされている。
【0021】この形態の切断作用部を用いれば、第1および第2カバー部などとともに回転刃全体の表裏を反転させて使用しても、あるいは保持部が第1および第2カバー部から着脱自在とされた構成では、保持部、線条部および切断作用部を一体化したものの表裏を反転させて使用したとしても、反転の前後での状態は同等となる。このため、回転刃の回転方向を一方向に決定すれば、初期に回転刃を取り付けた状態ばかりでなく、少なくも切断作用部を反転させた状態においても回転刃として使用できる。このことは、初期の取付状態のみでしか回転刃を使用できない場合に比べて、回転刃の寿命が2倍になることを意味している。
【0022】また、本願発明の第2の側面では、駆動源からの回転出力を伝達する伝動軸が内挿された操作管の先端に対して、回転刃が取り付けられた刈払機であって、上記回転刃は、上述した本願発明の第1の側面において記載したいずれかの回転刃であることを特徴とする、刈払機が提供される。
【0023】この刈払機では、回転刃として本願発明の第1の側面において説明した回転刃が採用されているから、本願発明の第1の側面において記載した効果を享受することができる。
【0024】本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図1ないし図5を参照して具体的に説明する。ここで、図1は本願発明に係る刈払機の一例を示す全体斜視図、図2は上記刈払機における回転刃周りの構成を示す要部断面図、図3は回転刃における回転刃本体を示す全体斜視図、図4は回転刃本体の要部拡大断面図、図5は回転刃の周縁部構成を説明するための要部拡大断面図である。
【0026】図1に示したように、上記刈払機1は、操作管2の基端側に小型エンジンなどの動力源3が、先端側に回転刃4がそれぞれ連結されている。操作管2には、中央部に操舵用のハンドル20が設けられているとともに、動力源3よりの部位にスロットルレバー21が設けられている。操作管2内には、図2に示したように伝動軸22が挿通されており、動力源3からの回転出力が、スロットルレバー21を操作することにより、伝動軸22を介して操作管2の先端部側に伝達されるようになっている。操作管2の先端部には、ギアケース23が設けられており、このギアケース23内では、伝動軸22と取付軸24とが、たとえばベベルギヤ機構(図示略)などによって連結されており、伝動軸22の回転力により取付軸24が回転するように構成されている。取付軸24の端部には、ネジ穴24aが設けられており、取付軸24に対しては、キャップ50を介してネジ51を螺着することにより回転刃4が取り付けられる。
【0027】回転刃4は、第1および第2カバー41,42により回転刃本体43を覆った格好とされている。
【0028】第1および第2カバー41,42は、それぞれ同一形状とされており、中央部に貫通孔41a,42aが形成された円板状であり、周縁部全体が屈曲または湾曲してフランジ部41b,42bが設けられている。これらのフランジ部41b,42bは、第2干渉部を構成するものである。なお、各カバー41,42は、たとえばアルミニウムなどの金属により形成され、その直径は20〜30cm程度とされる。
【0029】回転刃本体43は、図2および図3に良く表れているように取付軸24に固定される保持部44と、この保持部44から放射状に延びる複数(本実施形態では3つ)の線条部45と、これらの線条部45の先端に設けられた切断作用部46と、を有しており、表裏の区別のない形態とされている。
【0030】保持部44には、取付軸24が挿入される貫通孔44aを有する円筒状の基部44Aから、当該基部44Aの周縁において一定間隔隔てて3つの取付部44Bが放射状に突出して設けられている。各取付部44Bには、線条部45の基端が挿入・取り付けられる挿入穴44bが設けられている。各挿入穴44bは、図4に良く表れているように開口側に向かうほど拡開するテーパ状とされている。なお、保持部44の厚み寸法は、図2に良く表れているように第1および第2カバー41,42の各フランジ部41b,42bの突出寸法Lの合計寸法2Lよりも大きくされている。その結果、第1および第2カバー41,42により回転刃本体43を覆えば、各フランジ部41b,42bの端縁の間に隙間が形成される。なお、保持部44は、その厚みがたとえば5〜10mm程度、基部44Aの直径がたとえば3〜6cm程度、取付部44Bの長さ(基部44Aからの突出長さ)がたとえば1〜3cm程度とされる。
【0031】切断作用部46は、図2および図3に良く表れているように取付部46Aと刃部46Bとが第1干渉部46Cを介して一体化された構成とされている。取付部46Aは、その直径が第1干渉部46Cや保持部44の厚みと同程度とされた円柱状の外観を有するとともに、線条部45の先端が挿入・取り付けられる挿入穴46aが設けられている。各挿入孔46aは、開口側に向かうほど拡開するテーパ状とされている(図4参照)。刃部46Bは、幅方向の端部においては、その端に向かうほど厚みが小さくなるようになされており、その最大厚みは、第1干渉部46Cよりも小さくされている。このため、刃部46Bと第1干渉部46Cとの間には段差がある。このような切断作用部46は、たとえば構造用炭素鋼を焼き入れした硬質金属片に機械加工を施すなどして形成される。なお、切断作用部46は、取付部46Aおよび第1干渉部46Cの厚みがたとえば5〜10mm程度、取付部46Aおよび刃部46Bの長さがたとえば1〜3cm程度とされ、全体重量はたとえば10〜25g程度とされる。
【0032】線条部45は、たとえばステンレス製などの金属細線を撚り合わせたワイヤなどにより構成され、弾性変形可能とされている。この線条部45は、基端部が保持部44の挿入穴44bに対して、先端部が切断作用部46の挿入穴46aに対して、それぞれ溶接あるいはカシメ加工などにより取り付けられている。ここで、各挿入孔44b,46aは、図4に示したように開口側に向けて拡開したテーパ状とされているから、線条部45の先端部および基端部は、各挿入孔44b,46a内において揺動可能とされている。
【0033】線条部45の長さは、回転刃本体43の中心から切断作用部46の第1干渉部46Cまでの距離が各カバー41,42の半径よりも小さくなるとともに、当該中心から切断作用部46の先端縁までの距離が各カバー41,42の半径よりも大きくなるように設定される。したがって、各カバー41,42により回転刃本体43を覆った状態では、各カバー41,42のフランジ部41b,42bの隙間から、切断作用部46の先端部のみが突出した形態とされる。このとき、第1干渉部46Cは、第2干渉部としての各フランジ部41b,42bよりも半径方向の内方側に位置することとなるが、第1干渉部46Cと各フランジ部41b,42bとは密着させずに、両者の間を少なくとも数mm程度離間させるのが好ましい。なお、線条部45は、その長さがたとえば4〜7cm程度、その直径がたとえば2〜5mm程度とされる。
【0034】このような回転刃4は、各カバー41,42により回転刃本体43を覆った状態において、各カバー41,42の貫通孔41a,42aおよび保持部44の貫通孔44aを取付軸24に一致させ、第2カバー42側からキャップ50を介してネジ51を取付軸24に螺着することにより操作管2の先端に固定される。この状態では、各カバー41,42および回転刃本体43を含めた回転刃4全体が取付軸24と一体的に回転し得る。
【0035】また、回転刃4は、第1および第2カバー41,42が同一の形態とされ、回転刃本体43が表裏の区別のない構成とされているから、回転刃4の表裏を反転させても同様な取付状態を達成できる。したがって、第1カバー41を上面側とした取付状態により使用した後に、さらに第2カバー部42を上面とした取付状態により使用することもできる。また、回転刃本体43は、取り外し可能であるとともに、表裏の区別のない形態とされているから、回転刃本体43の表裏のみを反転させることにより、第1カバー41と第2カバー42との位置関係を変えることなく、2つの使用状態を達成することもできる。なお、回転刃本体43のみを反転させる構成では、本実施形態のように、第1カバー41と第2カバー42とを、必ずしも同一の形態とする必要はない。
【0036】以上に説明した刈払機1では、図1および図2に示したように駆動源3からの動力をスロットルレバー21を操作して伝動軸22を介して取付軸24に伝えることによって取付軸24を回転させることにより、取付軸24の回転に従って回転刃4が回転させられる。そして、スロットルレバー21を操作量を調整すれば、回転刃4の回転数を調節することができる。たとえば、駆動源3として排気量が20cc程度の小型エンジンを用いて、このエンジンの回転数を7500rpmに調整した場合、減速ギアなどを経て回転刃4の回転数が5000rpmに達したとすると、そのときの回転刃4の周速は、回転刃4の直径を25cm程度とすれば240km/h程度となる。
【0037】実際の刈り払い作業では、たとえばスロットルレバー21により回転数を調整しつつ、ハンドル20を操作して、回転刃4を地面に沿って旋回させることにより、雑草などの刈り払いが行われる。回転刃4の周速は、先の説明通り数百km/hにも達するため、雑草などは容易に切断される。
【0038】ところで、地面には小石などが転がっていることから、刈り払い作業においては、回転刃4が小石などと頻繁に接触する。この場合、その衝撃力が切断作用部46や線条部45に伝わるが、線条部45が弾性変形可能とされているため、その衝撃エネルギは、図3に仮想線で示したように線条部45が変形することにより吸収される。このように、小石などとの接触時においては、線条部45の変形により線条部45や切断作用部46に作用する力が低減されるため、接触時における回転刃4の回転数の一時的な低下が抑制される。そればかりか、衝突した小石などに付与される運動エネルギも小さいものとなるため、刈り払い作業時の小石などの飛散が抑制される。また、線条部45の先端部および基端部がテーパ状とされた各挿入孔44b,46a内において揺動可能とされていることから、線条部45の変形時には、図4に示したように先端部および基端部のそれぞれは、取付部44B,46Aとの固定点45a,45bおよび挿入孔44b,46aの入口45c,45dの2点において屈曲することとなる。このため、線条部45の接続点45a,45bに負荷が集中して作用することが回避され、線条部45の切断が生じにくくなり、線条部45が寿命が長くなるといった利点が得られる。
【0039】このように、上記回転刃4では、刈払機1が小石などと繰り返し接触したとしても、回転刃4がさほど損傷することはないが、回転刃4が切り株やコンクリートなどの不動物に接触し、大きな衝撃力が加えられる事態も想定される。この場合においても、線条部45の変形により衝撃エネルギが吸収され、また線条部45における接続点への負荷の集中が回避されるため、回転刃4の損傷を十分に回避することができる。
【0040】ここで、線条部45が切断して切断作用部46が保持部44に対して独立して移動可能された状態を想定してみる。このとき、回転刃4が回転していれば、切断作用部46には遠心力が作用し、切断作用部46は外方側に向けて移動する。切断作用部46には第1干渉部46Cが設けられているとともに、各ケース41,42のフランジ部41b,42bの端縁間の距離が第1干渉部46Cの厚みよりも小さいから、図5に示したように切断作用部46が外側に移動した場合には、第1干渉部46Cが各フランジ部41b,42bと干渉する。したがって、上記構成の回転刃4では、かりに線条部45が切断して切断作用部46が独立して移動可能とされたとしても、これが回転刃4から飛び出してしまうこともなく、線条部45の切断にともなう危険性は著しく回避される。
【0041】次に、本願発明に係る回転刃の他の例について、図6および図7を参照して説明する。なお、これらの図においては、先に説明した実施形態の回転刃4と同様な部材および要素などには同一の符号を付してあり、ここではその説明を省略する。
【0042】図6に示した回転刃4′は、第2カバー42′が平板状とされて周縁部にフランジ部が形成されていない点、および切断作用部46′の下面が取付部46A′、第1干渉部46C′および刃部46Bに至るまで平坦面とされている点において異なっている。すなわち、切断作用部46′の上面側のみが第1カバー41のフランジ部41bと干渉するように構成されている。このような回転刃4′においても、先に説明した回転刃4と同様な効果を得ることができる。
【0043】もちろん、第2カバーのみにフランジ部を設けるとともに、切断作用部が第2カバーのみと干渉するように構成してもよい。
【0044】一方、図7に示した回転刃4″は、第2カバー42″の構成が先に説明した各回転刃4,4′と著しく相違している。なお、第1カバー(図示略)はたとえば円板状とされる。
【0045】第2カバー42″には、円板状の基部42c″から上方に向けて突出するとともに第2カバー42″の中心部から周縁部の間の領域に扇環状の3つのブロック壁部42d″が設けられ、これらが放射状に配置されている。隣り合うブロック壁部42d″の間の領域42e″には、回転刃本体43″の線条部45および切断作用部46における取付部46Aや第1干渉部46Cが配置される。当該領域42e″においては、周縁部にフランジ部42b″が設けられており、これが第2干渉部を構成している。各フランジ部42b″の高さは、各ブロック壁部42d″の高さよりも小さくされている。このため、第1カバーによって第2カバー42″を覆った状態では、第1カバーとフランジ部42b″との間に隙間が形成される。そして、この隙間から切断作用部46の刃部46Bが突出した状態とされ、切断用作用部46に大きな外力が作用した場合には、線条部45が大きく弾性変形して、切断作用部46がブロック壁部42d″に衝突し、その移動が規制されるようになされている。
【0046】各ブロック壁部42b″には、第2カバー42″の中心部において半径方向の外方側に向けて凹入した凹部44c″が設けられている。一方、保持部44″の周縁部には、半径方向の外方側に向けて突出する凸部42fが設けられている。このため、回転刃本体43″は、各ブロック壁部42d″の凹部44c″内に凸部42fが収容された状態で第2カバー42″に保持される。この構成では、保持部44″ひいては回転刃本体43″とともに第2カバー42″を確実に回転させることができる。
【0047】以上に説明した回転刃4″においても、線条部45が弾性変形可能に構成され、切断作用部46の外方側への移動が制限されているから、先に説明した回転刃4,4′により得られる効果を享受することができる。
【0048】なお、第2カバー42″は、たとえばナイロンなどの樹脂をガラス繊維や炭素繊維などの繊維で強化した複合材料を樹脂成形するなどして容易に作成することができる。
【0049】また、回転刃本体43″が第2カバー42″から取り外し可能であるから、回転刃本体43″の表裏を反転させることにより、刃部46Bの一側縁による刈り払い作業と、他側縁による刈り払い作業とを選択的に行うことができる。
【0050】もちろん、第1カバーと第2カバーとの構成を逆転したものとしてもよい。また、保持部を第2カバーとともに樹脂成形により一体的に形成してもよく、この成形の際に切断作用部が設けられた線条部の基端部を保持部に対してインサート成形してもよい。
【出願人】 【識別番号】591111972
【氏名又は名称】山田機械工業株式会社
【出願日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【代理人】 【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔 (外2名)
【公開番号】 特開2001−346428(P2001−346428A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−168366(P2000−168366)