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【発明の名称】 根菜収穫機
【発明者】 【氏名】寺元 省二

【氏名】高橋 慎一

【要約】 【課題】マルチフィルム55で覆った圃場の根菜類Kを、マルチフィルム55の表面に接近するように後傾配置した左右一対の挟持無端帯3、3の前端部で引き抜く場合、マルチフィルム55の盛り上がりを少なくする。

【解決手段】左右一対の挟持無端帯3、3の前端部近傍の下面側にて、根菜類Kの植生列を挟む左右両側にてマルチフィルム55を押さえる左右一対のマルチ押えローラ56a,56bを、そのいずれか一方が他方よりも走行機体の進行方向前寄りとなるように配置し、既掘り起こし側の走行クローラ2aでもマルチフィルム55を押さえる。左右一対のマルチ押えローラ56a,56bによるマルチフィルム55の押圧点を結ぶ作用線60の前寄り近傍位置にて、前記根菜類を引き抜くように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マルチフィルムで被覆された圃場に植生している根菜類の茎葉部を左右から挟持して引き抜き搬送する挟持搬送手段を備えてなる根菜収穫機において、前記挟持搬送手段をその前端部が走行機体より前方にて圃場のマルチフィルム表面に接近するように後傾配置し、該挟持搬送手段の前端部近傍には、前記根菜類の植生列を挟む左右両側にてマルチフィルムを押さえる左右一対のマルチ押えローラを、そのいずれか一方が他方よりも走行機体の進行方向前寄りとなるように配置し、該左右一対のマルチ押えローラによるマルチフィルム押圧点を結ぶ作用線の前寄り近傍位置にて、前記根菜類を引き抜くように構成したことを特徴とする根菜収穫機。
【請求項2】 前記作用線より後方のマルチフィルムを走行機体の走行部にて押圧することを特徴とする請求項1に記載の根菜収穫機。
【請求項3】 前記各マルチ押えローラは、少なくともその外周がスポンジ等の軟質弾性体にて構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の根菜収穫機。
【請求項4】 前記挟持搬送手段の前方には、未堀起し側の根菜類の茎葉部と引き抜くべき根菜類の茎葉部とを振り分けるためのデバイダを設け、該デバイダの下端がマルチフィルムに接触しないように浮かせて配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の根菜収穫機。
【請求項5】 前記圃場に植生している根菜類の根部より下方を振動させて掘り起すためのサブソイラを、前記前記根菜類の引き抜き部の近傍一側から臨ませたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の根菜収穫機。
【請求項6】 前記走行部より前方に前記サブソイラを配置し、且つ該サブソイラの前方位置にマルチフィルム剥がし体を配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の根菜収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人参等の根菜類の収穫機の改良した構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、マルチフィルムにて表面を被覆した圃場に列状に植えられた根菜類を、引き抜き、挟持搬送して収穫するための、公知の根菜収穫機の構造として、特開平9−233925号公報、特開2000−4号及び特開2000−37122号では、走行機体に装着された左右一対の走行クローラにて走行する走行機体の一側寄りの前方下部から走行機体の後方上部にわたって左右一対の挟持無端帯を配置し、該挟持無端帯の始端側(前端側)下方には、圃場に植生された人参等の根菜類の下方を振動にて掘り起こす掘り起し刃を備えたサブソイラを設ける一方、前記左右一対の挟持無端帯の搬送後端部には、挟持搬送される人参の茎葉部と根部との間を切断する左右一対のロータリカッターを配置する一方、前記左右一対の挟持無端帯の搬送前端部の下方には、前記根菜類の植生列を挟んで左右両側にて、マルチフィルムを圃場面に向かって押圧するための左右一対の押圧ローラを配置した構成が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の構成では、左右一対の押圧ローラによる圃場面への押圧点を結ぶ作用線は、平面視において、走行機体の進行方向とほぼ直角の方向に延びる。しかも、圃場に根菜類を多列状に植えられているときには、前記左右一対の押圧ローラは根菜類の植生列の間を通過するように配置されなければならず、前記左右一対の押圧ローラによる押圧点を結ぶ作用線の長さを余り長くできないことになるため、前記左右一対の挟持無端帯の始端部で根菜類を引き抜くときの、当該根菜類の肩部近傍の圃場土の盛り上がりを押さえつける力が大きくなり過ぎる。換言すれば、マルチフィルム自体に可撓性があっても、前記作用線の長さが余り短いと、前記圃場土の盛り上がりに追従するマルチフィルムの伸長量が少なく、当該マルチフィルムと圃場面との間に前記盛り上がり土を逃がすための空間が少ししかできない。そのため根菜類を軽い力で引き抜けず、また、マルチフィルムの孔に根菜類の肩が当たって引き抜きに失敗したり、一対の挟持無端帯における先端部の箇所で前記根菜類の茎葉部を挟持できないことになるという問題があった。さらに、前記のように、左右一対の押圧ローラによる押圧点を結ぶ作用線の長さが短いとき、根菜類の引き抜きに伴う土の盛り上がりに追従するマルチフィルムの上方への伸び上がり量(上方への盛り上がり高さ)が大きくなり、マルチフィルムが挟持無端帯に巻き込まれやすくなるという問題があった。
【0004】本発明は、これらの問題を解決すべくなされたものであって、前記左右一対の押圧ローラの配置を工夫することにより、根菜類のみの引き抜き挟持搬送を確実ならしめるようにした根菜収穫機を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の根菜収穫機は、マルチフィルムで被覆された圃場に植生している根菜類の茎葉部を左右から挟持して引き抜き搬送する挟持搬送手段を備えてなる根菜収穫機において、前記挟持搬送手段をその前端部が走行機体より前方にて圃場のマルチフィルム表面に接近するように後傾配置し、該挟持搬送手段の前端部近傍には、前記根菜類の植生列を挟む左右両側にてマルチフィルムを押さえる左右一対のマルチ押えローラを、そのいずれか一方が他方よりも走行機体の進行方向前寄りとなるように配置し、該左右一対のマルチ押えローラによるマルチフィルム押圧点を結ぶ作用線の前寄り近傍位置にて、前記根菜類を引き抜くように構成したものである。
【0006】そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の根菜収穫機において、前記作用線より後方のマルチフィルムを走行機体の走行部にて押圧するように構成したものである。
【0007】また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の根菜収穫機において、前記各マルチ押えローラは、少なくともその外周がスポンジ等の軟質弾性体にて構成されているものである。
【0008】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の根菜収穫機において、前記挟持搬送手段の前方には、未堀起し側の根菜類の茎葉部と引き抜くべき根菜類の茎葉部とを振り分けるためのデバイダを設け、該デバイダの下端がマルチフィルムに接触しないように浮かせて配置されているものである。
【0009】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の根菜収穫機において、前記圃場に植生している根菜類の根部より下方を振動させて掘り起すためのサブソイラを、前記前記根菜類の引き抜き部の近傍一側から臨ませたものである。
【0010】さらに、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の根菜収穫機において、前記走行部より前方に前記サブソイラを配置し、且つ該サブソイラの前方位置にマルチフィルム剥がし体を配置したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明を具体化した実施形態について説明する。図1は根菜収穫機の側面図、図2は根菜収穫機全体の概略平面図、図3は概略正面図、図4は根菜類の引き抜き部の要部正面図、図5は根菜類の引き抜き部の要部平面図である。
【0012】図2に示す平面視において、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a,2bを配置し、走行機体1上には、人参等の根菜Kの既掘り起こし側(図2において上側、進行方向右側)の走行クローラ2bの外縁より内側(未掘り起こし側)に、前端から操縦コラム4、運転座席5、エンジン6を配置し、走行機体1の後端側には、トランスミッション7を配置し、該トランスミッション7から前記左右一対の走行クローラ2a,2bの後端に配置された駆動輪8(図1参照)に動力伝達される。また、根菜類Kの未掘り起こし側(図2において下側、進行方向左側の走行クローラ2aの外縁より外側(未掘り起こし側)には、左右一対の挟持無端帯3,3からなる挟持搬送手段の少なくとも始端部側が位置するように配置されている。
【0013】走行機体1の後部寄り部位の作業部回動支点9にてブラケット10aを介して上下回動可能に支持された支持フレーム10に装着された始端ホイール11,11及び後端ホイール12,12には、前記左右一対の挟持無端帯3,3が巻掛けられ、各挟持無端帯3の前後中途部は多数の中間ホイール13‥‥にて略一直線状に支持されている。
【0014】図2に示すように、左右一対の挟持無端帯3,3による根菜類Kの茎葉部の挟持搬送ラインHは、前記根菜類Kの未掘り起こし側に近い既掘り起こし側の走行クローラ2aの外縁より外側にて平面視にて走行機体1の進行方向とほぼ平行状となるように配置される。なお、前記始端ホイール11,11と一体的に回転する大径の掻込みホイール(図示せず)を設けることにより、挟持搬送の開始部(始端部)を構成する。
【0015】また、前記左右一対の挟持無端帯3,3のうち、根菜類Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜類Kの茎葉部を、それより未掘り起こし側の根菜類Kの茎葉部と絡まらないように分離するためのデバイダ14を備える。このデバイダ14は、回転駆動する無端ベルトに、基端が所定間隔にて多数装着された分草タイン15が走行機体1の進行方向の前面側において、略垂直面内にて圃場面19側から上向きに移動するように構成されている。
【0016】さらに、前記左右一対の挟持無端帯3,3のうち、根菜類Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜類Kの茎葉部を前記挟持搬送ラインH方向に掻き込むための茎葉掻き込み装置16が配置されている。この茎葉掻き込み装置16では、回転駆動する無端ベルト16aに、基端が所定間隔にて多数装着された掻込みタイン17が始端ホイール11の前面側にて前記デバイダ14における分草タイン15と互いに略直交するように配置され、且つ掻込みタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、当該掻込みタイン17の先端は、デバイダ14におけるケースのうち、分草タイン15の非作用側となる側面カバー部14aと対峙するように配置されている。
【0017】このように、デバイダ14における略垂直面内にて上向き移動する分草タイン15と、このデバイダ14における側面カバー部14aに直交するような掻込みタイン17を有する茎葉掻き込み装置16とにより、掘り起こすべき根菜類Kにおける垂れ下がった(倒伏した)茎葉部の左右両側をも上向きに掻上げることができる。
【0018】前記分草タイン15及び掻込みタイン17は、ゴムのような弾性体により構成され、各タイン15、17の先端が、後述するように、圃場面19、あるいはこれに敷きつめたマルチフィルム55に接触すると、湾曲し、その後形状復元するように構成されている。
【0019】図1に示すように、サブソイラを昇降操作するための昇降リンク機構としての上リンク22と下リンク23の各基端側の回動支点20,21は、前記作業部回動支点9よりも前方である走行機体の内側面に配置され、該上下回動支点20,21を中心にして上下回動可能な平行リンクとしての上リンク22,下リンク23の先端側に縦支持杆24が連結され、この縦支持杆24の下端には、掘り起こし刃25が固定されている。
【0020】そして、図1及び図2に示すように、前記上部の回動支点20の入力軸20aに固定したプーリ28と、前記エンジン6の出力プーリ27とに無端帯29を巻掛けして入力軸20aを回転させ、この入力軸20aに被嵌した偏心ボス(図示せず)を介して前記上リンク22の基端を連結し、この上リンク22を上下方向に振動駆動させる。これにより、圃場面19から差し込んだ掘り起こし刃25を根菜類Kの根部より下方にて上下及び/又は前後に振動させて、走行機体1の前進移動につれて根菜類Kの根部の引き抜きが容易になるように構成されている。
【0021】また、前記下部のリンク23の基端と走行機体1との間に装着された油圧シリンダ26にて前記平行な上下リンク22,23を昇降回動させるように構成されている。
【0022】図2及び図4を参照して理解できるように、平面視において、茎葉掻き起こし装置16の後方には、サブソイラにおける掘り起こし刃25と、その縦支持杆24と、該縦支持杆24を昇降するための昇降リンク機構(上下リンク22,23)とを平面視において前記茎葉掻き起こし装置16と重なるように配置し、且つ図1に示すように、側面視においては、前記掘り起こし刃25と、その縦支持杆24と、該縦支持杆24を昇降するための昇降リンク機構(上下リンク22,23)とを、茎葉掻き起こし装置16と重ならないように配置したものである。
【0023】さらに、図2及び図4に示すように、サブソイラにおける前記昇降リンク機構(上下リンク22,23)が未掘り起こし側の走行クローラ2aと平面視において重なるが、図1に示すように、掘り起こし刃25が圃場面19内に位置する掘り起こし作業中に、昇降リンクを下げた状態において、その下リンク23が前記走行クローラ2aと干渉しないよう配置されている。
【0024】なお、図1、図2及び図4に示すごとく、前記作業部回動支点9と同芯軸上に設けたパイプ状の動力伝達横フレーム30の先端に前向きパイプフレーム31を連結し、該前向きパイプフレーム31の先端には、左右一対の挟持無端帯3,3の長手方向中途部の上方において根菜類Kの既掘り起こし側に向かって延びる茎葉掻き込み用伝達パイプ32を連結し、該茎葉掻き込み用伝達パイプ32の未掘り起こし側端部から前方向に延びる伝達ケース33を介して、前記デバイダ14の上部にデバイダ用伝達ケース34を連結する。そして、前記上部の回動支点20と同軸の入力軸20aに固定したプーリ37からベルト等の無端帯38を介して前記作業部回動支点9と同芯軸上であって、動力伝達横フレーム30内に嵌挿される入力軸39の突出端に固定したプーリ40に動力伝達し、さらに、前向きパイプフレーム31、茎葉掻き込み用伝達パイプ32、伝達ケース33及びデバイダ用伝達ケース34内の伝達軸等の伝達機構を介して、茎葉掻き込み装置16及びデバイダ14に各々動力伝達される。
【0025】また、前記作業部回動支点9と同芯軸である入力軸39に固定されたプーリからチェン41を介して後部伝動ケース42に動力伝達し、前記左右一対の挟持無端帯3,3における両後端ホイール12と同軸の入力部に動力伝達して両挟持無端帯3,3を回動駆動すると共に、前記両後端ホイール12より下部にて、根菜類Kの茎葉部を水平後方に搬送するための左右一対で上下に配置された無端搬送帯43a,43bからなる茎葉排出装置43及び左右一対の水平回転する回転刃44a,44aからなる切断手段44に回転力を伝達する。なお、前記両後端ホイール12より下部には、根菜類Kの根部の上端を水平後方向に案内することにより、前記茎葉排出装置43へ茎葉部を受け継がせるための左右一対の案内杆45が配置されている。
【0026】前記切断手段44の下方には、茎葉部を切除分離された根菜類Kの根部を受け止め、走行機体1の後端の側方(根菜類Kの既掘り起こし側)に搬送するための、選別コンベヤ46が配置されており、前記トランスミッション7のPTO出力軸36から、プーリ、チェン47a,47bを介して選別コンベヤ46への入力部46aに動力伝達される。この選別コンベヤ46は、一対の無端チェン間に多数の棒状のスラットが一定間隔にて張り渡されているものであり、走行機体1の後端にて歩行する作業者が、選別コンベヤ46上の根菜類Kのうち不良品を選り分ける。選別コンベヤ46の排出端には、良品の根菜類Kを受け止め、蓄積するためのコンテナ48を載置する前後長手のコンテナ台49がある。このコンテナ台49は走行機体1の側面に対して基端が蝶番を介して上下回動可能に連結され、非作業時には、上向きに回動し、作業時にはコンテナ台49が略水平となるように姿勢保持される。
【0027】また、前述のように、前記左右一対の挟持無端帯3,3、茎葉掻き込み装置16及びデバイダ14は、前記作業部回動支点9を中心にして一体的に上下回動するように各装置部のフレーム同士は連結されており、それらの前部側から前向きに突出する支持杆51の前端に装着された接地前輪52にて圃場面19に対して支持される。そして、非作業時や路上走行時には、前記掘り起こし刃25や、前記左右一対の挟持無端帯3,3、茎葉掻き込み装置16及びデバイダ14の下端が地面に干渉しないようこれらの部分を上昇位置に保持するには、油圧シリンダ26を駆動させると、昇降リンク機構である平行状の上下リンク22,23の前端側が上向き回動する。このとき、図1及び図2に示すように、下リンク23の側面に設けた押し上げ用の回転可能なローラ53の上面が前記一対の挟持無端帯3,3の支持フレーム10の下面側等に設けた側面視「ヘ」字状のガイドレール54の下面に沿って移動するように構成しておけば、1つの油圧シリンダ26のピストンロッド突出動の作動にて、掘り起こし刃25と共に挟持無端帯3,3、茎葉掻き込み装置16及びデバイダ14の下端を一体的に圃場面19より上方に大きく持ち上げることが可能となるのである。
【0028】ところで、本実施形態では、圃場面19にマルチフィルム55を敷きつめ、該マルチフィルム55に所定寸法L1の条間隔と、所定寸法W1の列間隔とに栽培孔(図示せず)を穿設し、この各栽培孔を介して根菜類の苗を植え付けて成育させたものであり、このようにマルチ栽培した根菜類Kを確実に収穫するため、収穫機の挟持搬送手段としての左右一対の挟持無端帯3、3の前端部である根菜類Kの引き抜き箇所近傍には、前記根菜類Kの植生列を挟む左右両側にてマルチフィルム55を押さえる左右一対のマルチ押えローラ56a,56bを、そのいずれか一方が他方よりも走行機体1の進行方向前寄りとなるように配置し、該左右一対のマルチ押えローラ56a,56bによるマルチフィルム押圧点を結ぶ作用線の前寄り近傍位置にて、前記根菜類Kを引き抜くように構成するものである。その場合、好ましくは、図2、図5及び図6に示すように、引き抜くべき根菜類Kの条を挟んで既掘り起こし側(図5において上側)のマルチ押えローラ56aを進行方向の前寄りに配置させ、未掘り起こし側(図5において下側)のマルチ押えローラ56bは前記一方のマルチ押えローラ56aより後方に配置する。実施形態では、前記条間隔の寸法W1は略130mm、列間隔の寸法L1は略130mmで、収穫すべき根菜類Kの最大直径は略60mmのとき、各マルチ押えローラ56a,56bの外径は略100mmで、正面視での左右両マルチ押えローラ56a,56bの内法間隔の寸法w2を略90mm〜略160mmに設定し、該左右両マルチ押えローラ56a,56bの前後間隔の寸法L2を略80mmに設定する。
【0029】そして、前記左右各マルチ押えローラ56a,56bは夫々条の外側に突出する支軸57を介して左右一対の挟持無端帯3、3の支持フレーム(図示せず)等から延びるアーム58に取付けられるのである(図3参照)。尚、既掘り起こし側を通過すべき走行クローラ2aにてもマルチフィルム55を踏みつけている。
【0030】従って、図5に示すように、平面視において、左右一対のマルチ押えローラ56a,56bによるマルチフィルム55の押圧点P1,P2を結ぶ作用線60は走行機体1の進行方向に対して直交せず斜めに交差するので、根菜類Kの引き抜き部は前記作用線60よりも進行方向前側に位置させる。そして、既掘り起こし側を通過する走行クローラ2aによりマルチフィルム55を押圧すると、その押圧点P3と前記2箇所の押圧点P1,P2とにより囲まれた三角形の部分のマルチフィルム55は圃場面19に近接して略平面状に緊張されていることになる。
【0031】他方、前記左右一対の押圧点P1,P2間の距離は進行方向に対して直交している場合よりも長くなり、その作用線60の近傍であって前記三角形領域より外領域上では、根菜類Kを圃場面19から引き抜くときの土の盛り上がりをマルチフィルム55が許容し、且つマルチフィルム55と圃場面19との間に前記盛り上がり土を逃がすための空間を、マルチフィルム55と圃場面19との間の高さが低い状態の元で大きく取れることになる。このことは、換言すると、圃場面19から土の盛り上がりの頂点までの高さが同じとしたとき、前記頂点と前記2つの押圧点P1,P2とで囲まれた三角形の面積(土の盛り上がりを覆うマルチフィルム55と圃場面19とで囲まれた空間の断面積)が、前記作用線60の長さに比例して大きくなることから、容易に理解できる。
【0032】しかも、前記作用線60の長さを長くすることにより、盛り上がり土の所定の容量をマルチフィルム55の下面側の空間に収容しつつも、根菜類Kの引き抜きに伴う土の盛り上がりに追従するマルチフィルム55の上方への伸び上がり量(上方への盛り上がり高さ)を少なくでき、マルチフィルム55を挟持無端帯3、3の始端部で巻き込まれ難くすることができる。
【0033】従って、根菜類を軽い力で引き抜き可能となり、また、挟持無端帯3、3の始端部(前端部)をマルチフィルム55の表面に近付けるべく低くできるから、マルチフィルム55の孔に根菜類Kの肩が当たって引き抜きに失敗したり、一対の挟持無端帯3、3における先端部の箇所で前記根菜類の茎葉部を挟持できないことになるという不都合を回避できる。
【0034】なお、前記左右一対のマルチ押えローラ56a,56bが根菜類Kの植生列を左右から挟む位置に配置されているので、一対の挟持無端帯3、3における先端部で不測にマルチフィルム55を掴んで持ち上げようとしたときにも、前記左右一対のマルチ押えローラ56a,56bにてマルチフィルム55の押さえ込みを迅速にできることは、従来の技術と同様である。
【0035】前記左右一対のマルチ押えローラ56a,56bによる傾斜状の作用線60に加えて、既掘り起こし側の走行クローラ2aの前方のマルチ押えローラ56aの押圧点P1が未掘り起こし側のマルチ押えローラ56bによる押圧点P2よりも走行機体1の進行方向前寄りに配置することにより、既掘り起こし側から圃場19土に差し込むサブソイラの掘り起こし刃25による土の盛り上がりに伴うマルチフィルム55の浮き上がりを迅速且つ的確に押さえることができる。
【0036】既掘り起こし側の前方のマルチ押えローラ56aの押圧点P1とその後方の走行クローラ2aによる押圧点P3とを結ぶ作用線にてもサブソイラによる土の盛り上がりに伴うマルチフィルム55の浮き上がりを迅速且つ的確に押さえることができる。
【0037】以上のことから、押圧点P3と前記2箇所の押圧点P1,P2とにより囲まれた三角形の部分のマルチフィルム55は圃場面19に近接して略平面状に緊張されて、根菜類Kを圃場面19から引き抜くときの土の盛り上がりをマルチフィルム55が効果的に阻止することができる。
【0038】さらに、前記左右一対のマルチ押えローラ56a,56bの少なくとも外周部位の適宜厚さをスポンジゴム等の軟質弾性体にて被覆しておけば、これらのローラによるマルチフィルム55の押圧部での圃場面19に対するめり込み量を少なくでき、各マルチ押えローラによるマルチフィルムの押圧部分の上下屈曲角度がなだらかになり、マルチ押えローラによるマルチフィルム55の不必要な浮き上がりを防止することができる。
【0039】なお、図5に示すように、既掘り起こし側の前方にて、1乃至複数のマルチフィルム剥がし体61は、前記左右一対の挟持無端帯3,3の始端部の前端部の近傍であって、サブソイラにおける縦支持杆24の前方に延長させて配置する。このマルチフィルム剥がし体61は、ゴム板等の弾性(ある程度の撓み変形可能な性質)を有する材料にて形成されている。これにより、サブソイラにおける縦支持杆24の進行時に予め既掘り起こし側のマルチフィルム55を捲るから、マルチフィルム55が絡みついて持ち上がるなどの事故を防止できる。
【0040】次に、前記の構成による根菜類Kの収穫作業について説明する。実施例では、圃場に列状に植生された人参等の根菜類Kをその1列毎に収穫する場合であって、オペレータは運転座席5に座ってエンジン6を駆動し、走行機体1を前進させながら、油圧シリンダ26のピストンロッドを後退させると、収穫すべき列の位置の地面にサブソイラの掘り起こし刃25を押し込み、オペレータは操向ハンドルを操作して走行機体1の向きを調節し、左右一対の挟持無端帯3,3を巻掛けている左右一対の始端ホイール11,11の間が前記未掘り起こし側の根菜類Kの列に位置するように位置合わせし、挟持無端帯3,3の始端部を圃場面(マルチフィルム55に接近させると、上述のように、左右一対のマルチ押えローラ56a,56bが、植生列の左右両側でマルチフィルムを押さえることができる。そして、走行機体1の前進につれて、デバイダ14の下端の分草タイン15の上昇移動にて、掘り起こすべき根菜類Kの茎葉部と、それより未掘り起こし側の根菜類Kの茎葉部とを絡まないように分離する。
【0041】また、前記上部のリンク22の基部の偏心回転ボスにより上下揺動する掘り起こし刃25が心土をほぐして収穫すべき列の根菜類Kの根部より下方を掘り起こす。次いで、茎葉掻き込み装置16の掻き込みタイン17の回動にて、茎葉部が挟持無端帯3,3の上縁よりも上方に引き起こされる。左右一対の挟持無端帯3,3の始端ホイール11,11の箇所で、前記引き起こされた茎葉部を挟持開始し、前記一対の挟持無端帯3,3が走行機体1の後方に行くに従って上昇するように配置されているので、茎葉部が挟持された根菜類Kの根部は圃場から軽い力で引き抜かれる。
【0042】一対の挟持無端帯3,3の挟持搬送ラインHに沿って走行機体1の後方に向けて揚上させられる根菜類Kの根部の上端は、案内杆45の下面箇所にて拘束され、略水平後方に移動し、それより上方の茎葉部は、茎葉排出装置43の左右一対、上下の搬送帯43a,43bにて挟持されながら走行機体1の後方に移動させられる。その途次、切断手段44の左右一対の回転刃44a,44aにて、根菜類Kの根部と茎葉部との間が切断されるから、その根菜類Kの根部は自由落下し、選別コンベヤ46に載って横移動し、コンテナ台49後部のコンテナ48に集積されて収穫される。前記切断された茎葉部は、茎葉排出装置43の後端から圃場面19に放出される。、そのとき、未掘り起こし側の圃場面19に落下しないように湾曲したガイド板62にて案内される。
【0043】なお、挟持無端帯3は、前記始端ホイール11,後端ホイール12及び中間ホイール13の外周における2連等のV溝に嵌まるVベルト部と、根菜類Kの茎葉部を弾力的に挟持するため(押圧時に茎葉部を切断しないようにするため)の軟質挟持部とからなり、この軟質挟持部は、スポンジゴム等の軟質発泡体の表面をゴム硬度が高く、且つ長期間、静止的互いの押圧力により、表層同士が接着しないものであり、且つ水分不透過性を有する硬質ゴム、シリコーンゴム等の表層にて覆ったものである。
【0044】
【発明の効果】以上に詳述したように、請求項1に記載の発明の根菜収穫機は、マルチフィルムで被覆された圃場に植生している根菜類の茎葉部を左右から挟持して引き抜き搬送する挟持搬送手段を備えてなる根菜収穫機において、前記挟持搬送手段をその前端部が走行機体より前方にて圃場のマルチフィルム表面に接近するように後傾配置し、該挟持搬送手段の前端部近傍には、前記根菜類の植生列を挟む左右両側にてマルチフィルムを押さえる左右一対のマルチ押えローラを、そのいずれか一方が他方よりも走行機体の進行方向前寄りとなるように配置し、該左右一対のマルチ押えローラによるマルチフィルム押圧点を結ぶ作用線の前寄り近傍位置にて、前記根菜類を引き抜くように構成したものである。
【0045】この構成により、左右一対のマルチ押えローラによるマルチフィルム押圧点を結ぶ作用線が、走行機体の進行方向と直交するのではなく、走行機体の進行方向に対して斜めに交差するから、前記左右一対の押圧点間の距離は従来のような進行方向に対して直交している場合よりも長くなり、その作用線の前寄り近傍位置で、根菜類を圃場面から引き抜くときの土の盛り上がりをマルチフィルムが許容し、且つマルチフィルムと圃場面との間に前記盛り上がり土を逃がすための空間を、マルチフィルムと圃場面との間の高さが低い状態の元で大きく取れることになる。その結果、挟持搬送手段の前端部をマルチフィルムの表面に近づけ易くでき、マルチフィルムを巻き組むことなく根菜類を引き抜き作用をさせ易くなるという効果を奏する。
【0046】そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の根菜収穫機において、前記作用線より後方のマルチフィルムを走行機体の走行部にて押圧するように構成したものであるから、請求項1に記載の発明の効果に加えて、走行クローラ2aによる押圧点と前記マルチ押えローラによる2箇所の押圧点とにより囲まれた三角形の部分のマルチフィルムは圃場面に近接して略平面状に緊張されていることになり、前記左右一対のマルチ押えローラによる傾斜状の作用線に加えて、既掘り起こし側の走行クローラの前方のマルチ押えローラの押圧点が未掘り起こし側のマルチ押えローラによる押圧点よりも走行機体の進行方向前寄りに配置することにより、広い範囲でマルチフィルムの浮き上がりを迅速且つ的確に押さえることができるという効果を奏する。
【0047】また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の根菜収穫機において、前記各マルチ押えローラは、少なくともその外周がスポンジ等の軟質弾性体にて構成されているものであるから、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、各マルチ押えローラによるマルチフィルムの押圧部分の上下屈曲角度がなだらかになり、マルチ押えローラによるマルチフィルムの不必要な浮き上がりを防止することができるという効果を奏する。
【0048】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の根菜収穫機において、前記挟持搬送手段の前方には、未堀起し側の根菜類の茎葉部と引き抜くべき根菜類の茎葉部とを振り分けるためのデバイダを設け、該デバイダの下端がマルチフィルムに接触しないように浮かせて配置されているものであるから、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、圃場のマルチフィルム表面に近い茎葉部を確実に振り分けすることができるという効果を奏する。
【0049】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の根菜収穫機において、前記圃場に植生している根菜類の根部より下方を振動させて掘り起すためのサブソイラを、前記前記根菜類の引き抜き部の近傍一側から臨ませたものである。
【0050】従って、圃場の土に差し込むサブソイラによる土の盛り上がりに伴うマルチフィルムの浮き上がりを迅速且つ的確に押さえることができる。また、既掘り起こし側の前方のマルチ押えローラの押圧点とその後方の走行クローラによる押圧点とを結ぶ作用線にてもサブソイラによる土の盛り上がりに伴うマルチフィルムの浮き上がりを迅速且つ的確に押さえることができるという効果を奏する。
【0051】さらに、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の根菜収穫機において、前記走行部より前方に前記サブソイラを配置し、且つ該サブソイラの前方位置にマルチフィルム剥がし体を配置したものであるから、サブソイラにおける縦支持杆の進行時に予め既掘り起こし側のマルチフィルムを捲るから、マルチフィルムが前記縦支持杆に絡みついて持ち上がるなどの事故を防止できるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成12年6月8日(2000.6.8)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
【公開番号】 特開2001−346425(P2001−346425A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−171722(P2000−171722)